調節可能な熱交換器及び使用方法
パイプ内パイプおよび使用方法が提供される。パイプ内パイプは、第2の管を覆う第1の管を含む。第1の管及び第2の管は、ある点で異なった構造を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年5月31日出願の米国仮特許出願第60/940,970号に基づき優先権を主張するものであり、その開示はここに参照として明示的に組み入れられる。
【0002】
本発明は、概して熱交換装置に係り、特に金属の処理に用いられる熱交換装置に関する。かかる熱交換装置は、例えば、冶金炉及び/又はそのいずれの支持部品のほか、例えば電力産業や化学産業等の他の産業においても使用されうる。
【背景技術】
【0003】
例えば鉄鋼産業、電力産業及び化学産業を含む産業においては、装置の動作寿命を短くうる、例えば高濃度の酸、微粒子及び他の化学物質を有しうる攻撃的な雰囲気を伴った、変動する、潜在的に極端な熱流束条件下に、一つ以上の水冷要素が置かれることを必要とすることがあるプロセス装置を利用する。例えば、鉄鋼、鋳造及び金属精錬産業では、溶解炉内の高い機械摩耗、高腐食性、高温、高導電性及び/又は熱応力を受ける環境で動作する水冷式及び非水冷式の装置に関する課題を有している。これらの極端な変動する条件により、例えば経済的な動作のための費用/便益要件を最適なものとする潜在力のある様々な材料及び動作特性を有する装置を設計するという選択肢があることが望ましい。
【0004】
例えば鋼の場合、例示としての鋼は、冶金炉内において鉄及び鋼のスクラップを溶解し、精製することによって作られる。例えば、炉は、アーク炉(EAF)又は酸素転炉(BOF)でありうる。かかる炉をできる限り長く操業状態に維持することが望まれる。炉の操業寿命を長くするための一つの方法は、例えば様々な種々の設計の熱交換装置の使用を通じて、熱的ストレス、化学的ストレス及び機械的なストレスから保護することである。
【0005】
装入処理中に生ずる構造的な損傷は、EAFの操業に影響を与える。スクラップは溶解された鋼よりも低い実効密度を有するため、EAFは、スクラップを収容するのに十分な容積を有さねばならず、それでもなお所望の量の鋼を生産せねばならない。スクラップは、溶解すると、炉床又は炉の下部の精錬部に溶銑浴を形成する。炉内の鋼の体積が減少すると、一方で、EAF内の容積は増加する。容器の壁、カバー若しくは蓋、ダクトワーク、及び排ガス室は、スクラップの装入及び溶解と、得られた鋼の精製とによって生ずる熱的ストレス、化学的ストレス及び機械的ストレスにより危険に晒されている。かかるストレスは、炉の操業動作寿命を制限しうる。炉のうち炉床又は精錬部の上の部分を炉の高い内部温度から保護することが望ましい。
【0006】
歴史的に見ると、EAFは、概して、耐火ライニングにより炉の高温から保護される溶接鋼構造として設計され製造されていた。1970年代後期及び1980年代初期には、鉄鋼産業は、高価な耐火れんがを、水冷蓋パネルや炉容器のうち精錬部の上の部分に配置される水冷側壁パネルで置き換えることにより、操業上のストレスに取り組み始めた。水冷部品は、排ガスシステムにおいて炉のダクトワークを内張りするためにも使用されてきた。既存の水冷部品は、様々な等級及び型のプレート及びパイプから形成される。冷却システムの一例は、ここに参照として組み入れられる特許文献1に開示されており、これは一連の冷却コイルを用いる。概して、コイルは、隣接するパイプ部分と湾曲したエンドキャップとから形成され、これはコイルを通って流れる液体冷媒用の流路を形成する。この冷媒は、熱伝導を最大化するよう圧力下でパイプの中を押し通される。かかるパイプ及びプレートは、炭素鋼及びステンレス鋼、または銅等のより高価な金属を用いて形成されてきた。本願の開示では、管、チューブ、パイプ、配管の語は、同義であり、いずれの語を用いても同じである。また、熱交換器は、当業者によって認識されているように、操業温度を安定化させる。
【0007】
幾つかのプロセス用途では、操業中の損傷、摩耗及び早期故障から装置を保護するため、溶解プロセスの副産物である例えばスラグ等の異物を、スラグの非導電性及び絶縁性を抑えるよう、操業側(「ホットサイド」)又は装置の動作部分に集めることが有利である。集められ、又は保持されたスラグは、プロセス中の溶解した金属の過剰な沸騰又はあふれにより生ずる、装置の操業側すなわちホットサイドへの不注意による液体金属のハネの偶発的かつ潜在的に悲惨な影響から保護する。スラグの保持を促進するよう設計された冷却パイプの適切な例は、その開示がここに参照として明示的に組み入れられる、自己の(commonly owned)特許文献2に記載されている。
【0008】
鉄鋼、鋳造及び金属精錬産業は、操業中に装置の高温面に所望でないスラグ及び/又は異物を集める水冷式又は非水冷式の装置についても課題を有している。プロセスに入るこのスラグ、ケイ素の、金属の及び/又は他の異物は、剥がれて炉又はダクト構造内に入っている溶鋼の中に落ちた場合は、操業に悪影響を及ぼしうる。例えば、かかる物質が溶解金属の中に偶発的に入り込むと、容器内の溶解金属は汚染又は他の点で規格外となってしまい、結果的にスクラップとされるか、溶解金属をその規格を満たした組成に戻すよう精製するために追加的な高い費用の処理を必要とすることとなる。この物質の炉内への落下はまた、溶解した金属を過剰に沸騰又はあふれさせることとなり、容器内及び容器の周囲に安全上の問題を生じさせる。更に、異物の剥がれは、装置が停止中のときに落下し、領域内の装置を損傷し又は作業員を傷つけた場合は、安全上の問題となりうる。従って、所望のとおりに操業面上のスラグの保持を促進又は妨げる熱交換器システムを有することが望ましい。かかるシステムの1つの適切な例は、2006年11月1日出願のマニャーセック(Manasek)による自己の特許文献3に見いだすことができ、その開示はここに参照として明示的に組み入れられる。他の実施例のうち、特許文献3は、金属プロセス装置における通常操業中にスラグ、ケイ素の又は他の異物の付着を促進するようその伝導面に切欠き又は刻み目を有する押出し、引抜き、又は冷間圧延された管又はパイプを含む一実施例を示す。複数の例示的な管又はパイプは、例示的に、スラグ、ケイ素の又は他の異物の付着を促進する切欠きのある面を形成するよう共に結合、突合せ及び/又は溶接されうる。他の実施例は、金属プロセス装置、システム又は機器の通常操業中にスラグ、シリカ又は他の異物の付着を妨げ、又は抑えるよう構成された略平坦な面を有する押出、引抜、又は冷延管又はパイプを含む。複数の例示的なパイプは、スラグ、シリカ又は他の異物の付着を妨げ、又は抑えるよう構成された略平滑な平坦な面を形成するよう共に結合、突合せ及び/又は溶接されうる。例示的に、切欠きのある概して平滑な面を有するパイプのいかなる組み合わせ及び形態も、金属プロセス装置、システム又は機器の様々な領域において必要に応じて使用されうる。使用方法もまた請求の範囲に含まれている。
【0009】
今日の現代的なEAF炉は、鋼の製造プロセス中に生ずる排ガスを捕捉するよう公害防止策も組み込んでいる。例えば、炉からの煙は、概して2つの例示的な方法で捕捉される。これらのプロセスはいずれも炉の操業中に採用される。排ガスを捕捉する1つの例示的な形は、炉のキャノピーを通じたものである。キャノピーは、オーブンのフードに似たものである。これは建物の一部であり、装入及び出鋼中にガスを捕らえる。キャノピーは、溶解プロセス中に生じうる漏洩排出も捕らえる。一般的に、キャノピーは、非水冷式ダクトを通じてバグハウスにつながっている。バグハウスは、フィルターバッグと、あらゆる汚染物質の空気やガスを浄化するためフィルターバッグを通して空気や排ガスを押出しもしくは引出しているいくつかのファンとから成っている。
【0010】
排ガス排出物を捕らえる第2の例示的な形は、一次炉ラインを通じたものである。炉の溶解サイクル中は、ダンパーが例示的にキャノピーへと続くダクトを閉め、一次ラインにあるダクトを開ける。これは炉に直結しており、炉の排出物を捕捉する主要な方法である。一次ラインは、炉の圧力制御にも利用されている。このラインは、約華氏4,000度に到達した後に数秒で周囲温度に下げられるような温度に対して保護するよう、水冷式ダクトワークで構成されている。ガス流は一般に、塩酸や硫酸を含む様々な化学要素を含む。固形や砂状粒子も多く存在する。ガス流の速度は、秒速150フィートを超えうる。上述の通り、これらのガスは、浄化のために主要なバグハウスへ向けられることとなる。
【0011】
上述の環境は、EAFの一次ダクトの水冷部品に高い度合いのひずみを生じさせる。冶金産業における可変温度範囲は、部品に対して材料破壊につながる膨張や収縮の問題を引き起こしうる。さらに、塵粒が、砂吹きと似た方法で継続的にパイプの表面を腐食する。システムを通って流れる酸も、材料に対する腐食を増大させ、その上、全体的な寿命を縮める。
【0012】
BOFシステムに関しては、BOF耐火物と製鋼方法の改善により操業寿命が延びている。しかしながら、操業寿命は、特に排ガスシステムのダクトワークといった排ガスシステム部品の耐久性によって制限され、またそれに関係している。このシステムについては、故障が起きた際に、ガスと煙の大気への放出を防ぐよう、システムは、例示であるが、修復のために運転停止されなければならない。現在の故障率では、平均炉運転停止期間は14日間である。EAF式の炉と同様に、部品は歴史的に水冷炭素鋼もしくはステンレス鋼タイプのパネルで構成されてきた。
【0013】
EAFもしくはBOF式の炉で水冷部品を使用することは、耐火コストを削減し、また製鋼業者は、そのような部品なしで可能であった溶解処理回数よりも多くの溶解処理回数をそれぞれの炉で稼動できるようになった。さらに、例示的な水冷機器のおかげで炉はより高い動力で操業できるようになった。結果として、生産は増加し、炉の有用性は益々重要となった。水冷部品の利点にもかかわらず、これらの部品は例示的に磨耗、腐食、浸食及び他の損傷に関して一貫した問題を抱えている。炉に関連するもう一つの問題は、入手できる炉用スクラップの品質が低下しているため、より酸性のガスが発生していることである。これは一般に、スクラップの中により高い濃度のプラスチックが含まれている結果である。これらの酸性ガスは、大気中に放出できるようにするために炉からガス浄化システムへ排出されなければならない。これらのガスは、例示的には、水冷式のパイプを含む複数のヒュームダクトによって、排ガス室又はガス浄化システムへ向かう。しかし、時が経つにつれ、水冷部品及びヒュームダクトは、例えば酸による腐食、金属疲労もしくは浸食に屈してしまうことがある。特定の材料、例えば炭素鋼及びステンレス鋼は、酸による腐食の問題を解決する試みにおいて利用されてきた。スクラップ中の水濃度を減少させ、炉の側壁に付着する酸性塵のリスクを低減させる試みにおいて、より多くの水やより高い水温が炭素鋼と共に利用されてきている。この方法での炭素鋼の使用は、酸による腐食に対しては効果がないことが判明している。
【0014】
ステンレス鋼も、様々な等級で試されてきている。ステンレス鋼は酸による腐食を受けにくいが、炭素鋼の熱伝達特性またはパラメータを持ち合わせていない。従って、得られた結果は、排ガス温度の上昇と、特定の部品に破損と分裂を生じさせた機械的応力の増大であった。
【0015】
1つ以上の炉の部品の破壊は、上述の1つ以上の例示的な問題により既存の炉システムに生じうる。そのような破壊が生じたとき、炉は損傷した水冷部品を修理するための予定外のメンテナンスのために、生産から取り出される必要が生じうる。中断期間中は製鋼所によって溶鋼が生産されないので、特定の製鋼の生産について例示的に毎分5,000ドルと同等の機会損失が生じうる。生産減少に加えて、予定外の中断が操業及びメンテナンスの費用を著しく増加させる。
【0016】
水冷部品への上述の損傷又は損害に加えて、EAFとBOFの両システムのヒュームダクト及び排ガスシステムが、腐食と浸食により損傷を受けている。炉のこれらの領域に対する損傷はまた、生産性の損失や工場作業者のための追加的な保守費用を生じさせる。さらに、漏水が排ガス中の湿度を増加させ、バッグがぬれて目詰まりすることによってバグハウスの効果も減少する。炉の排ガスの放出に利用されるこれらの領域の加速された浸食は、例示的には、炉内の増加したエネルギーにより生じる上昇した温度とガス速度によるものである。より速いガス速度は、排出規制を順守するために、全ての煙を排出するよう取り組みを強くしたことによるものである。ヒュームダクトの腐食は、炉内で様々な物質が出会うことにより起こるダクトの内部への酸の形成/酸による腐食に起因している。先行技術は、炭素鋼もしくはステンレス鋼から成るヒュームダクト装置や他の部品の使用について教示している。上述の幾つかの例示的な理由と同じ理由により、これらの物質は例示的に不十分かつ効果のない結果を提供することが判明している。
【0017】
その開示内容がここに参照として明示的に組み入れられる自己のマニャーセック(Manasek)他による特許文献4と、その開示内容がここに参照として明示的に組み入れられる自己のマニャーセック(Manasek)他による特許文献5は、それぞれが代替的な金属合金を用いた改良された熱交換器システムを使用することを使用すること、例えば、合金が、炉内における製鋼の目的においてより良い熱伝導性、硬度および弾性係数を与える点で、炭素鋼又はステンレス鋼冷却システムよりも向上した機械的・物理的性質を有する、例示的にはアルミニウム青銅システムを使用すること、それにより炉の寿命を長くすることについて記載している。しかしながら、そのような合金、又は、例としてこれに限られるものではないが銅といった他の所望の金属の使用は、(材料自体の費用及び/又は用いられる特定の材料に適した製造原価に関して)炭素鋼又はステンレス鋼の場合よりも費用がかかりうる。
【0018】
歴史的には、上述の熱交換器システム/水冷要素を製造するために均一な材料及び組成の複数の管が使用されてきた。これらの管又はパイプは、例示的に、また、一般的に、鋼又は何らかの他の合金であったし、熱伝導、摩耗特性、冷媒速度、その他のパラメータについての特定用途の要件又はパラメータに適合するよう、可変の断面積と内径を有していた。上述からわかるように、所望の動作特性又はパラメータを達成するために、例えば鋼といった他のものの代わりに、例えばアルミニウム青銅合金といった何らかの金属又は合金を用いることが望ましい。しかしながら、やはり上述からわかるように、そのような望ましい合金、セラミックス、又は例えばアルミニウム青銅合金といった他の特別な材料から製造される管及びパイプの費用は、例えば鋼又は鋳鉄を用いた場合と比較して、より高くなりうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第4207060号明細書
【特許文献2】米国特許第6330269号明細書
【特許文献3】国際特許出願第US06/060461号明細書
【特許文献4】米国特許第6890479号明細書
【特許文献5】米国特許出願第10/828044号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
改良された熱交換器システム及びこれを用いる方法が必要とされる。特に、水冷要素及び/又はヒュームダクトが、選択可能な動作特性又はパラメータを有する熱交換器システムの使用により既存の同等の要素と同じくらい長く、又はそれよりも長く動作可能なままである改善された方法及びシステムと、比較的低い費用で比較的高い性能を可能とする選択可能な製造の方法および材料とが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、本願に添付の様々な請求項に記載の1つ以上の特性及びかかる特性の組合せ、並びに、以下に記載の1つ以上の特性及びその組合せを含みうる。
【0022】
第1の内側境界及び第1の外側境界によって画成され、前記第1の内側境界はコア中心を有する中空コアを画成する、内管と、
前記内管を覆い、第2の内側境界及び第2の外側境界によって画成され、前記第2の内側境界は前記第1の外側境界を覆う、外管とを有する、パイプであって、
前記内管の組成又は構造と、前記外管の組成又は構造とは、互いに対して或る点で異なる、パイプが提供される。
【0023】
また、炉の内側部分を冷却する方法であって、
内管及び前記内管を覆う外管を含むパイプを提供するステップと、
機器に前記パイプを備え付けるステップと、
冷却用流体を管状部分を通して向けるステップとを含む、方法が提供される。
【0024】
パイプは、例であるがこれに限られるものではないプレートといった取付部材と結合されうる。他の例示的な取付部材は、ブラケットを含む。プレートは、例であるがこれに限られるものではない炉であってもよい機器と結合されうる。
【0025】
熱交換又は保護システムのパイプにおける使用のために次の材料、即ち、鋼、鋳鉄、押出鋼、ステンレス鋼、ニッケル合金、銅、アルミニウム青銅合金等が一般的且つ例示的に利用可能であった。本発明は、上記の任意の所望の組合せ、または任意の他の所望の金属、又は複合材料を含む他の材料が、単独で又は組合せとして使用されることを可能とする。例えば、内管は、液体冷媒を搬送するのに適した、例であってこれに限られるものではない鋼といった適切な、それでも比較的安価な材料又は金属を含むものでありうる。この内管は、特定の動作環境において内管材料よりも良い動作特性又はパラメータを有する、例であってこれに限られるものではないアルミニウム青銅合金といった異なった、また例示的にはより高価であるかもしれない材料を含む特別な/選択された外側材料で覆われ又はクラッドされうる。例示的に、外側層又はクラッディングは、クラッディング管/パイプを、クラッドパイプの内側を形成するパイプ/管の上に押出しすることにより製造されうる。外側材料は、内側材料よりも高価であってもよく、その逆であってもよいことがわかるであろう。従って、また、外側及び内側材料は、同一又は同様の材料の異なった等級又は組成のものであってもよい。いずれにしても、外側材料は、それが動作する環境に対して最適化された性能特性を有しうることもわかるであろう。また、内管材料は、それが動作する状況(例えば流体搬送)において、外側材料よりも、良い動作特性を有してもよく、また多かれ少なかれ高価であってもよい。いずれにしても、内管は、外管の特性又はパラメータとは異なる1つ以上の特性又はパラメータを有しうる。内管と外管はそれぞれ、1つ以上の特性又はパラメータを強調するため、例であってこれに限られるものではない夫々の内管及び外管の形状、断面、及び/又は材料を変化させることにより、異なった組成又は構造を有しうる。強調は、特定の特性又はパラメータの最適化を追求するものであってもよいが、追求するものである必要はない。従って、特別なクラッド管/パイプは、クラッド管が、例示的に、より低い総費用を有し、それ自体が選択された特性又はパラメータでありうること、及び/又は、一以上の状況においてより良い動作特性/パラメータを有しうることを除き、例示的に、選択された材料を100%用いて製造された管/パイプと同じ又は同様の物理的な、摩擦耐性、化学腐食耐性、熱伝導、熱属性又は他の特性/パラメータを有することとなる。或いは、外側及び内側材料は、それらが動作する状況について互いに対して最適化されている異なった動作特性に基づいて組み合わされうる。従って、例示的に、アルミニウム青銅合金の外側クラッディングを有するパイプを組み込んだ熱交換又は保護装置の場合は、スチールパイプと比較して、より高い熱伝導性、高温ガスの蒸気によるエッチングへの耐性(弾性係数)、および良い酸化耐性を有し、従って熱交換システム及び関連する部品の腐食及び浸食の減少を通じて、熱交換システムの寿命が長くなる。内側材料及び外側材料の組合せは、例えばEAFの一部での使用に必要な厚肉パイプといった、一定の厚さのパイプ壁を設ける必要性があり、その厚さの内側部分が高価な材料で構成される必要がないようにするために、必要となりうる。同様に、上述からわかるように、材料の組合せは、異なる状況において最適な動作特性を得るよう選択されてもよい。例えば、内側材料は、その状況における例えば液体流速といった所望の動作特性を最適化するよう、又は、費用効果性を与えるよう選択されても、又はその何らかの組合せであってもよく、一方、外側クラッディングは、内側パイプ又は管の材料よりもホットサイドのストレスにより良く耐えるよう選択される。
【0026】
本発明は、例示的に、機器の寿命だけでなく、稼働信頼性及び稼働時間を改善する構成の材料の、より広い柔軟性及び用途を可能とし、なぜならば、機器は、炉、燃焼室、燃料ガスシステム等、かかる要素の組合せからなる機器における高い熱束、腐食及び摩擦雰囲気の影響に耐えるのにより良く適するようになるためである。
【0027】
本発明は、復水器、多管熱交換器、フィン型熱交換器、プレート・フレーム型熱交換器、及び強制通風空冷熱交換器といった他の熱交換機器と組み合わせて使用されうることが期待される。更に、かかる他の熱交換機器は、それ自体が、本発明による材料の組合せを使用することによる利益があることが期待される。更に、本発明、及び本発明を組み込んだ任意の熱交換システムは、ガスの1つ以上の構成要素を捕捉するためにガスが冷却され、捕捉が復水、炭層吸収、又は濾過により行われる、加工工場、製紙工場、石炭火力及びガス発電所、及び他の排ガス発生源からの排ガスの冷却といった、他の用途を有することが期待される。
【0028】
例示的には、パイプは、冷間圧延、熱間圧延、引抜き、押出し、又は鋳造されうる。パイプは、鉄金属、鋼、銅、鋼/鉄合金又は銅合金、ニッケル、チタン、アルミニウム青銅合金及びニッケル青銅合金の合金を含む青銅合金、及び他の適当な材料から製造されうる。パイプは、所望の設計によって、継ぎ目なしであっても、溶接されてもよい。
【0029】
概説するに、本発明は、例示的に、鉄鋼、化学、電力、若しくは他の産業用途用の、顧客用に作られ、設計された水冷要素の幅広い範囲の材料、動作特性、及び製造費用を選択する手法を提供する。要素は、要素内の内在的且つ改善された冷媒速度と、結果として得られる高められた熱伝達能力により、炉、排ガスシステム、排ガスフード、スカート、燃焼室、ドロップアウトボックス等における厳しい、常に変化する要件に対してより良く耐える能力を有することとなる。本発明によれば、要求される又は所望の断面半径で異なる材料の内管/パイプ上に押出しされうるクラッディング材料の選択が、要望に応じて、また、市販の概して均一な材料から管/パイプを選択するという現在の要件に制限されることなく、例えば用途における熱伝導及び弾性要件といった一以上の状況における動作特性を潜在的に最適化させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】例示的に炉排気ダクトの内部に取り付けられえ、例示的に例えばアルミニウム青銅である一の材料が例えば鋼である他の材料を覆うパイプを有しうる、波形屈曲配管の少なくとも1つのパネルを有する熱交換器システムを示す部分切取斜視図である。
【図1a】図1に示す熱交換器システムの斜視図である。
【図1b】排ガス室に連結された直線排気ダクトに連結しているエルボ排気ダクトを示す側面図である。
【図1c】図1bに示すダクトと排ガス室の正面図である。
【図1d】一連の冷却排気ダクトのオフセット立面図である。一連の冷却排気ダクトは、排ガス室と、炉の蓋に連結したエルボ排気ダクトとに連結している。一連のダクトは、炉から排出される高温ヒュームガス及びダストの冷却と排出の両方を提供している。
【図2】スモークリングとして構成された熱交換器システムを示す平面図であり、スモークリングは、往復しながら曲がることで楕円状リングである湾曲パネルを形成する波形屈曲導管から成る。楕円状リングは、冷却水用の1つの入口及び1つの出口を有する。或いは、スモークリングは1つ以上の入口と出口を有するよう構成されてもよい。
【図3】図2の切断線3−3に沿った本発明の断面図である。
【図4】図2に示すスモークリングとして構成された熱交換器を示す側面図である。
【図5】入口及び出口を有する波形屈曲配管のパネルの側面図である。配管は、間隔をあけて、ろう付け結合部と結合されている。
【図6】スプラインとベースを備える波形屈曲配管の断面図である。ベースは壁の内側に付いているベースプレートに付いている。
【図7】どのようにしてパイプが間隔をあけて連結結合部と結合しているかを説明する波形屈曲配管の断面図である。
【図8】熱交換器の多数の部品を装着した製鋼炉の断面図である。該システムは、排気ガスを冷却するダクト内同様、炉内で使用される。
【図9】バッフルを利用する熱交換器システムの断面図であり、該システムはダクトの冷却を行う。該システムにはバッフルにより作られた流路があり、そこでバッフルは冷却液が蛇行形式に流れるよう誘導する。
【図10】バッフルを利用する熱交換器システムの部分切取側断面図であり、熱交換器は製鋼炉の壁に取付けられている。熱交換器はアルミニウム青銅フロントプレート、バッフル及びベースプレートを有する。フロントプレートは炉によって生じる熱、排気ガス、及びスラグに直接さらされる。
【図11】噴射ノズルを利用する熱交換器システムの断面図であり、該熱交換器は製鋼炉の壁にはめ込まれている。熱交換器はアルミニウム青銅のフロントプレート、ノズルが装着されたパイプ及びベースプレートを有する。フロントプレートは製鋼工程によって生じる熱、排気ガス、及びスラグに直接さらされる。ノズルはベースプレートからフロントプレートの裏側へ向かって冷却液を噴射する。冷却液がより広い面積に分散されるようフロントプレートはノズルから十分離されている。
【図12】噴射ノズルを利用する熱交換器システムの断面図であり、該熱交換器は風箱である。アルミニウム青銅フロントプレートは風箱の内側にあり、ノズルが装着されているパイプは、ベースプレートに設けられている。ノズルはベースプレートに固定されているパイプからフロントプレートの裏側に向かって冷却液を噴射する。フロントプレートは冷却液が重複パターンで噴射されるようにノズルから十分離されている。その重なりは面積を覆うのに十分である。なお、二つの吸込口と二つの吹出口がある。
【図13】例示的なパイプについて、内側部分及び外側部分を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の上述の及び他の利益及び使用は、以下の例示的な実施例の説明からより明らかとなろう。
【0032】
本発明の原理の理解を促進するために、以下、図示する多数の例示的な実施例を参照し、これを説明するために特定の用語が使用される。開示される実施例は、様々な形で具現化されうる本発明を典型的に示すだけのものであることが理解されるべきである。従って、本願に開示する特定の構造的及び機能的な詳細については、制限的なものであると解釈されるべきではない。
【0033】
図13を参照するに、典型的なパイプ50を含む例示的な熱交換システム10が示されている。例示的な熱交換システム10は、内側材料及び外側材料を有するパイプ50を含む。例示的に、内側材料は内管150を構成し、外側材料は外管250を構成する。内側及び外側の管又は部分150、250は、例示的には1つ以上の点で違いに異なる組成又は構造を有する。例であってこれに限られるものではないが、これらは異なった寸法を有してもよく、同じ材料の異なった等級を含む異なった材料から製造されてもよく、異なったプロセスで製造されてもよい、等である。
【0034】
内管150は、例示的には、第1の内側境界151と第1の外側境界152とによって画成される。第1の内側境界151及び第1の外側境界152は、内管150の壁を構成又は画成し、内管150の概して中心を通り長手方向の長さに沿って延びる中央軸210を有する中空コア200の境界を成し又は画成する。パイプ50は、第2の内側境界251及び第2の外側境界252によって画成される外管250を更に含む。外管250は、内管150を覆う。例示的に、外管250が内管150を覆うとき、中心軸210は、概して外管250の中心を通って長さに沿って延びる。換言すれば、パイプと、内管及び外管150、250は、例示的には同心であって、例示的には同一の中心及び中心軸210を共有し、又は有する。内管及び外管は、互いに異なった組成又は構造でありうる。
【0035】
外管250は、例示的には、内管150上に成形され、鋳造され、又は押出しされうる。特定の材料に適した他の製法が使用されうる。例えば、外管250は、内管150に溶接されうる。適した製法の他の例示的な例では、内管及び外管150、250は、ユニタリーパイプ50へと成形されうる。更に例示的には、クラッディング250は、例であってこれらに限られることのない熱、圧力、押出し、又は鋳造により内側材料又は管150に結合されうる。いずれにしても、内管150は、異なった組成の金属コーティング250でクラッドされ又は覆われうる。例であってこれに限られることのないクラッディング250は、例えば伝導性、又は、腐食、浸食、圧力、熱応力等に対する耐性といった何らかの所望の性質、特性、又はパラメータを、例えば与え、強調し、促進し、最小限とし、又は最適化することによって、有効に利用するよう選択されうる。内管150は、クラッディングと比較して同じ又は異なった所望の性質を、例えば与え、強調し、促進し、又は最適化することによって、有効に利用するよう構成されうる。例えば、内側材料150は、流体の流れ、熱伝達、属性、寿命、材料コスト、製造プロセス等を最適化するよう選択されうる。
【0036】
上述からわかるように、クラッド150及びクラッディング250材料は、所望の動作特性又はパラメータ、又は、例であってこれに限られるものではない経済的な要件を含む他の用途要件を満たすよう選択されうる。例示として、内管は、クラッディング材料の費用よりも低い費用を有する材料から作られてもよいが、そのような材料から作られる必要はない。例示として、断面積及び外側クラッディングの形態は、装置の動作装置を最適化するのに必要な、装置における、結果として得られる冷媒速度、圧力低下、及び滞留時間を満たすよう調整されうる。クラッディング材料の全長は、例示的には、その長さ全体に亘って概して一貫した形状を有しうる。例えば、外面は、例示的には、平滑であってもよく、用途のために必要な形状を組み込んでいてもよい。例えば、外面は、スラグ保持装置若しくは刻み目を含んでもよく、あるいは、パイプ50を、一以上の他のパイプ50に、及び/又は、取付部材若しくはプレート93に、又はEAF等の装置若しくはその部分に直接取り付けるためのウェブ又は突起を有してもよい。クラッディング管の外側形状はまた、例えば所望であれば溶接により、複数のパイプが互いに接続されることを可能とするよう羽根部又は他の突起を有するよう設計されてもよい。
【0037】
クラッド150管及びクラッディング250管は、ここにその開示内容が明示的に参照として組み入れられる、例であるがこれに限られるものではない2007年4月30日出願の米国特許出願第11/741,769号で開示される種類の半管又はハーフパイプを構成しうる。例示的に、管150、250のうち一方又は他方のみが、ハーフパイプ又は半円状の構成を有してもよい。複数のかかる例示的な半管/ハーフパイプ部品は、例示的には取付部材又は平坦なプレートに溶接されてもよい。溶接は、例示的に、例であってこれに限られるものではない半管/ハーフパイプ要素の長さに沿う。羽根付きの設計の半管が用いられる場合、一回の溶接で2つの隣接する管/パイプを一緒に取り付けることができる。クラッド管/パイプは、180度のハーフエルボ、即ち留め継ぎエルボ、又は供給ヘッダー及び戻りヘッダーのいずれかを有する閉ループ冷媒路を構成するよう接続される。結果として得られる水冷部品が、装置で用いられるべき半径を必要とする場合(例えば、アーク炉の側壁用の水冷ダクト又は水冷部品)、部品全体が、典型的な板圧延で、特に変更された板圧延で所望の半径へと圧延されるよう設計されうる。部品の全体厚さは、典型的な管/パイプ設計部品と比較して減少されうることがわかるであろう。これは、装置の動作体積を有効に増加させる。本発明は、鉄鋼、化学、及び電力産業、並びに他の産業用途のための複合熱交換装置のための費用競争力の高い製造材料を提供する。
【0038】
例示的なパイプは、例示的には内側材料とは異なる外側材料又はクラッディングを有することがわかるであろう。かかるパイプは、多くの産業における多くの種類の熱交換器用途での使用のために多くの種類の熱交換システムにおいて使用されうる。ここで、1つのかかる例示的な熱交換システムにおける例示的な使用について説明するが、例示的な熱交換システムにおいて説明するパイプは、例示的には内管/材料とは異なる外管/材料を有するよう例示的に構築または形成されることが理解される。
【0039】
例示的には、用途の要件に基づいて選択されうる外管クラッディング材料は、クラッディング材料とは異なる、例えばクラッディング材料よりも低価格の、1つ以上の特性を有しうる内管の上に形成、鋳造、又は押出しされる。断面積及び/又は外側クラッディングの形態は、例示的には装置の動作寿命を最適化するのに要求される、装置内での結果として得られる冷媒速度、圧力降下、及び/又は滞留時間に適合するよう調整されうる。
【0040】
クラッディング材料の全長は、その長さ全体に亘って一貫した形状を有しうる。クラッディングの外面は、平滑であってもよく、例であってこれに限られないスラグ保持装置、例であってこれに限られないフィン96、耐スラグ装置、又は複数のパイプを一緒に溶接するのを容易とする凹み若しくはウエブといった特定の用途に必要とされる他の形状を組み込んだものであってもよい。
【0041】
クラッディング管/パイプの外側形態もまた、複数の管が一緒に溶接されることを可能とするよう延長部又は羽根部を有するよう設計されうる。
【0042】
上述の複数の半管/ハーフパイプ部品は、例示的には、炉といった装置に取り付けられてもよく、又は例であるがこれに限られない溶接により、プレートに取り付けられ、これが更に装置に取り付けられてもよい。溶接は、例示的には半管/ハーフパイプ部品の長さに沿ったものでありうる。
【0043】
羽根付きの設計の半管が用いられる場合、2つの隣接する管/パイプを一緒に取り付けるために例示的には1回の溶接が用いられうる。
【0044】
クラッド管/パイプは、例であるがこれに限られるものではない180度のハーフエルボ、即ち留め継ぎエルボ、又は供給ヘッダー及び戻りヘッダーを用いることにより、閉ループ冷媒路を構成するよう流体連通して一緒に連結されうる。
【0045】
結果として得られる水冷部品が、装置において用いられるべき半径を必要とする場合(例えば、アーク炉の側壁用の水冷ダクト又は水冷部品)、部品全体が、典型的な板圧延で、特に変更された板圧延で所望の半径へと圧延されるよう設計されうる。
【0046】
設計の第2の利点は、部品の全体厚さが、典型的な管/パイプ設計部品と比較して減少されうることである。これは、装置の操業体積を有効に増加させるため、製鉄プロセス装備において有利である。
【0047】
本発明は、鉄鋼、化学、及び電力産業、並びに他の産業用途のための複合熱交換装置のための費用競争力のより高い製造材料を提供する。上述され、図13に示す例示的な実施例は、多くの熱交換形態及び部品に適用されうるとともに、以下説明する他の構成においても使用されうることがわかるであろう。
【0048】
図1乃至図12を参照するに、他の形態及び構成が意図されている。例えば、熱交換システム又は熱交換器10は、入口56及び出口58を有する少なくとも1つの波形屈曲配管50のパネルと、少なくとも1つパネルの入口と流体連通する流入マニホルド84と、少なくとも1つのパネルの出口と流体連通する流出マニホルド86と、配管を通って流れる冷却液とを含む。ここに記載する配管50は、例示的には、本願に記載の内管及び外管又はクラッディングを有する配管を含みうる。熱交換器システム10は、高温ヒュームガス36及び冶金炉80やその支持部材から排出されたダストを冷却する。配管は、並列に設置された連結チューブの部分的な長さの組立体であり、連結チューブは、リンク部材82によって互いに固定され、少なくとも1つのパネル50を形成する。配管50を製造するための1つの例示的且つ好ましい組成は、アルミニウム青銅合金であるとわかった。アルミニウム青銅合金は、予想より高い熱伝導率、高温ガスの流れによるエッチングに対する耐性(弾性率)及び優れた耐酸化性を有することが発見されている。従って、熱交換器の動作寿命は延びている。熱交換器や関連する部品の腐食や浸食は、それらがアルミニウム青銅で加工されると、減少する。アルミニウム青銅は、P22(Fe約96%、C約0.1%、Mn約0.45%、Cr約2.65%、Mo約0.93%)よりも41%高く、炭素鋼(A106B)よりも30.4%高い熱伝導率を有する。アルミニウム青銅やその合金を用いて製造された熱交換器はより効率的であり、耐火物質や他の金属合金で構築された炉より長い操業寿命を有する。
【0049】
また、配管は例示的には押し出し成形でありうること、また、押出しは、配管が腐食、浸食、圧力、そして熱応力に耐えることに役立ちうることがわかった。用途に応じて、配管がフィン又はスプライン96として作用する細長いリッジを備える場合は、性能が特に向上されうる。フィンは冷却を高めたり、スラグを収集することに役立つことができる。配管が押し出し成形される場合、フィンに関連づけられた故障しうる溶接線はなく、押し出し成形された継ぎ目のない配管は、より均一に熱を分配し、ひいては熱交換器システムの全体性能を改善する。配管は、必要であれば、それが取り付けられている壁の曲がりに一致するよう湾曲又は屈曲されうる。より典型的には、得られたパネルが壁の湾曲に相当する湾曲を有するように、配管の個々の部分は角度のあるリンク部材で互いに固定される。
【0050】
図示(図1乃至図12)の熱交換器システムは、冷却効果をさらに高めるために、マニホルド及び多数のパネルを採用している。そうした組み合わせは、冷却水が全ての配管を通過し、熱交換を最適化することを確実にしている。波形屈曲配管は、表面積を最大限とする。配管は、一般にリンク部材やスペーサを使用して固定され、ヒュームガスが基本的に配管のほぼ全周囲を流れるようにしている。
【0051】
図1を参照するに、例示的な熱交換器10は、壁の内側93と壁の外側95とを具備した壁94を有するヒューム排気ガスダクト44の中に示されている。壁94は、ダクト44の内側を見るために部分的に切断されている。図示のダクト44は楕円形であり、円形ダクトと比較して表面積を増加させるために選択された工学構造である。ダクトは、横座標と縦座標の点線で示されているように、1乃至4の番号が付された四分円に分けられる。本発明においては、熱交換器は波形屈曲配管の4つのパネルを利用し、それぞれが1つの入口56及び1つの出口58を有している。各パネルは、配管50に固定するためにスペースやファスナとして役立つリンク部材52によって組み立てられており、配管の1つの部分的な長さの隣接した配管の部分的な長さに対する相対的な位置を確立している。パネル1乃至4はダクト44の内壁93に取り付けられている。各パネルは、流入マニホルド84及び流出マニホルド86と流体連通している。マニホルド84及び86は、壁94の外側95に取り付けられており、ダクト44を実質的に囲んでいる。配管50は、ダクト44の壁と実質的に共線上にあるような向きにされる。その向きは、製造するのがより容易であるため選択され、ダクトの長さに亘る圧力の低下を減少させる。ダクト44の両端は、冷却ダクトが他のダクトと連結できるようにするフランジ54で終端処理されている。各ダクトは実質的に自給式モジュラー冷却装置である。モジュラー化は、ダクトの製造をある程度一般的なものにすることができる。各ダクトは冷却容量を備え、そしてダクトは所望の冷却を達成するために十分な数が組み合わされる。モジュラー化は、一つには、熱交換器システムが、組み合わされたときにダクトの冷却容量を決める、既知の冷却容量を有する個々の冷却パネルから構成されるという事実によるものである。従って、累積的な冷却容量は、最終的には、パネルの種類、数、及び形態、並びに、マニホルドから供給される冷却液の温度及び流量の関数である。パネルは、主に実質的に自給式な、やはり比較的一般的なモジュラー式の部品である。ヒューム排気ガスダクト44は、一般にダクトをフレームやサポートに取付けるための一対の据付支持部62を具備する。
【0052】
ダクト及び熱交換器システムの外部要素は、図1a、1b、1c及び1dに図示されている。ダクト44には、ダクトを炉蓋、排ガス室(時に風箱48と称される)に取付けるため、もしくはフランジ54への支持を提供するために、取付部材又はブラケット60が取り付けられうる。図1bを参照するに、エルボダクト45は直線排気ダクト44と連結し、これが次に排ガス室48と連結している。エルボ型ダクト45は、エルボ45を炉蓋に固定するためのルーフブラケット60を具備している。スモークリング66は、エルボダクト66の入口から突出している。図2乃至図4及び図8から分かるように、スモークリング66は円形の輪郭を持つ熱交換器10である。エルボダクトは、流入マニホルド84及び流出マニホルド86を具備する。流入マニホルド84は、88で冷却水の供給源と連結し、流出マニホルド86は、再循環出口90と連結している。エルボダクト45及び直線ダクト44は、それぞれのフランジ54を経由して連結している。直線ダクト44と排ガス室48は、それぞれのフランジ54を経由して連結している。排ガス室48は、炉内で発生する万が一の爆発に備えて圧力解放機構を有することが好ましい。排ガス室48は、もし更なる容量が後日必要となった場合、接続箱としても役立つ。図1cを参照するに、炉から放出され、部分的に冷却されたヒュームガスは、排気システム16の他の部分に90度それている。システムの長さは、EAFやBOFのような既存の冶金炉における華氏4,000度〜5,000度から華氏200度〜350度へといったような排気ガスの冷却に十分である。図1dに示すように、炉の外側の完全な冷却システムは、排ガス室48より後ろの8対のマニホルド、加えて排ガス室48の前にある2対のマニホルド、及びスモークリングから成っている。各対のマニホルドは、各4つの熱交換器パネルを具備し、総計40パネルとなり、加えてスモークリングパネル66を有する。スモークリングは、ダクトに設置する代わりに炉の蓋上に設置可能であり、この配置についての論議は下記に続く。
【0053】
図2乃至図4を参照するに、スモークリングとして構成された熱交換器システムがさらに図示され、スモークリング66は楕円形の輪である湾曲パネルを形成するよう往復しながら曲がっている波形屈曲配管から構成される。楕円形の輪は冷却水のための1つの入口及び1つの出口を備えている。あるいは、スモークリングは1つ以上の入口及び出口を具備するよう構成することができる。図示の実施例では、熱交換器10は、熱交換器をドーム型の炉蓋に設置するための3つのスモークリングブラケット64を有する。図3に示すように、配管50は左側よりも右側のほうがより圧縮され、左側のブラケット64は左側のほうが右側よりも低い。ブラケットの圧縮や異なる配置は蓋の勾配を補正し、十分に垂直である外形となる。リンク部材82は波形屈曲配管50のパネルの湾曲だけでなく、その外形をも確立する。
【0054】
図8を参照するに、EAF式炉80として例示的な炉が示されている。EAFは説明のためだけに開示されており、本発明はBOF式炉等に容易に採用可能であると理解すべきである。図8においては、EAF80は、炉用シェル12、複数の電極14、排気システム16、作業台18、ロッカ傾斜機構20、傾斜シリンダ22及び排ガス室bを含む。炉用シェル12は、ロッカ傾斜20や他の傾斜機構上に可動式に配置される。さらに、ロッカ傾斜20は、傾斜シリンダ22によって動力を供給される。ロッカ傾斜20は、作業台18の上にさらに固定される。
【0055】
炉用シェル12は、皿型炉床24、概して円柱状の側壁26、流れ口28、流れ口扉30及び概して円柱状の円形蓋32から成っている。流れ口28及び流れ口扉30は、円柱状の側壁26の片側に設置されている。開放位置では、流れ口28は侵入空気34が炉床24に入り、溶解から発生したガス36を部分的に燃焼することを可能にしている。炉床24は、従来技術において知られている適切な耐火物質で形成される。炉床24の一端には、その下端に出鋼手段38を有する鋳込み箱がある。溶解中は、出鋼手段38が耐火栓もしくはスライド可能な扉で閉められる。その後、炉用シェル12は傾き、出鋼手段38は、栓が引き抜かれ、あるいは開かれ、そして要求に応じて、溶解金属が取鍋、タンディッシュ、もしくは他の装置へ注ぎ込まれる。
【0056】
炉用シェル12の内壁26には、波形屈曲配管50の水冷パネル40がはめ込まれている。パネルは、事実上、炉80の内壁としての役割を果たす。冷水やその戻りを供給するマニホルドは、パネル40と流体連通している。典型的には、マニホルドは図示の排気ダクト44と同様の方法で周囲に配置されている。マニホルドの断面は、図8において炉用シェル12の外側に示されている。熱交換器システム10は、より効果的な操業を提供し、EAF炉10の操業寿命を引き延ばしている。1つの例示的な実施例として、パネル40は波形屈曲配管が図2乃至図4に示されたスモークリングと同等に、概して水平な向きを保つよう組み立てられている。図7に示すように、配管50はリンク部材82と結合されるか、もしくは壁94に取り付けられているベース92を具備することができる。典型的には、後者の構造では、配管はスラグを収集するためや更なる表面積を配管に追加するために細長いリッジ96を有する。或いは、図5に示すように、パネル40は、波形屈曲配管50が概して垂直な向きを保つよう取り付けられる。パネル40の上端は、炉80の側壁26部の上縁に円形リムを画成する。
【0057】
熱交換器システム10は、炉80の蓋32にはめ込むことができ、水冷パネル40が基本的に蓋32のドーム型の輪郭に略従う湾曲を有することを特徴とする。例示的に、熱交換器システム10は、炉80の側壁26の内側、蓋32、及び排気システム16の入口、並びに、排気システム16全体にも配置される。累積的に、熱交換器システムは、炉を保護し、高温排ガス36がダクトを通って、ダストが回収され、ガスが大気へ放出されるバグハウスあるいは他のろ過及び空気処理設備へ送られる間にこれを冷却する。
【0058】
作動中においては、高温排ガス36、ダスト及びヒュームは、炉用シェル12の中で炉床24から通気孔46を抜けて除去される。通気孔46は、図1及び図1a乃至図1dに示すような、ヒュームダクト44から成る排気システム16と連通する。
【0059】
図5を参照するに、パネル40は、多数の軸方向に配置されたパイプ50を具備する。U型エルボ53は、連続した配管システムを形成するために、配管もしくはパイプ50の隣接した部分的な長さを連結している。さらにスペーサとしても役立つリンク部材82は、隣接したパイプ50の間にあり、それらはパネル40の構造上の統合性を提供し、パネル40の曲率を決める。
【0060】
図7は、図5のパネル実施例の断面図である。図6に変形例が図示されており、パイプ50は管状の断面、ベース92、細長いリッジ96そしてベースプレート93を有する。ベースプレート93は、炉壁26もしくは炉蓋32に取り付けられている。配管の組合せ及び必要に応じてベースプレートがパネル40を形成し、炉の内壁を造る。パネル40が、EAFの炉床上の炉の壁26もしくはBOFのフード及びヒュームダクトを冷却する。
【0061】
パネルは、水冷され、例であってこれに限られない、カスタム溶解され、シームレスパイプ50に加工されたアルミニウム青銅合金を含む上述の任意の材料又は材料の組合せからなるものでありうる。例であってこれに限られないが、外管250は、アルミニウム青銅からなるものであってもよく、一方で内管150は、異なった等級又は厚さからなるものであっても、全体として異なる材料であってもよい。冷却ダクト44は、排気システム16に組込まれている。さらに、配管50は冷却パネル40へと形成され、蓋32とダクト44のいたるところに設置される。アルミニウム青銅合金は、望ましくは、組成式として好ましいのは、6.5%のAl、2.5%のFe、0.25%のSn、その他最大5%及びバランスにあったCuを配合していることである。しかし、組成は多様であってもよいと理解すべきであるため、Al含有量は、青銅化合物を含むそれぞれの余剰と共に5%以上11%未満とする。
【0062】
例であるがこれに限られない外側クラッディング材料250としてのアルミニウム青銅合金の使用は、炉で製鋼を行ううえで合金が優れた熱伝導率、硬度、弾性率を提供することから、先行技術の装置(すなわち炭素鋼もしくはステンレス鋼冷却システム)よりも機械的にも物理的にも向上した特性を提供する。それらの向上点を利用することにより、炉の操業寿命は直接的に延びる。
【0063】
優れた熱交換特性に加えて、合金の伸び力は鋼やステンレス鋼の伸び力よりも優れており、それによって配管やダクトワーク44が、ひび割れすることなく拡張や収縮することを可能にする。さらに、表面硬度は、排ガス屑の砂吹き効果から浸食の影響を減らすという点において、先行技術より優れている。
【0064】
図6に示されているパイプにおいては、細長いリッジ96は、スラグを収集するのに特に適したフィン又はスプラインである。管状の部分の中心線からの各側の質量は、例示的に、また概して、均等であり、そのため細長いリッジ96の質量はベース92の質量とおおよそ等しい。質量の均衡を図り、押し出しされたアルミニウム青銅合金を採用することによって、結果として得られるパイプは、応力集中部を実質的に有さない。開示されたパイプは改善された応力特性を有しており、そしてそれらのパイプで製造された熱交換器パネルは、例えば、炉の循環中における劇的な温度変化による損傷を受けにくい。
【0065】
例であるがこれに限られない炭素鋼、ステンレス鋼、及び/又はアルミニウム青銅合金といった材料の組合せとは対照的に、先行技術の配管やプレートは炭素鋼又はステンレス鋼又はアルミニウム青銅合金といった単一材料から成っている点で、例示的な熱交換器システムの構成は先行技術と異なっている。上述からわかるように、外管250にアルミニウム青銅を用いることは、他の材料に対して幾つかの利点がある。例であってこれに限られないが、アルミニウム青銅合金の組成は、酸腐食が起こりにくい。さらに、アルミニウム青銅が炭素鋼やステンレス鋼の両方よりも高い熱交換性を有すること、及び合金は熱分解しないで拡張及び収縮をする性能を有することが見いだされた。また、合金の表面硬度はいずれの鋼の硬度よりも優れており、それによりダクト/冷却システムを通る排気ガスの砂吹き効果からの表面浸食の影響が減らされる。
【0066】
他の例示的な態様では、熱交換器システムを通る冷却液と同様の流れが波形屈曲チャネルの使用によって実現している。チャネル122は、フロントプレート120とベースプレート93の間にバッフル124を置くことによって形成されている。図9は、バッフルを用いた熱交換器システム10の態様を図示している。図示の態様では、熱交換器システム10はダクト45であり、フロントプレート120はダクト45の内部に位置している。図示の態様では、ベースプレート93は、ダクト45の外壁としても機能している。ダクトは、一のダクトと他のダクトを結合するため、又は、風箱48と結合するため、又は、炉80の蓋32と結合するためのフランジ54を有している。図示の態様では、冷却液は紙面へ向かう方向に流れ込み、紙面から出る方向に流れ出している。図示するように、1つのパネル41しかなく、そのパネルは流入マニホルド(図示せず)及び流出マニホルド(図示せず)と流体連通している。マニホルドは、ベースプレート93の外部に取り付けられている。
【0067】
図10は、冷却パネル41である内部炉壁47として構成された熱交換器システム10を示している。内部炉壁47は、炉用シェル12の壁26の輪郭に従うよう製造されている。パネル41は、フロントプレート120とベースプレート93の間に取り付けられたバッフル124を有する。システムは、冷却液用の入口56及び出口58を有する。冷却水やその戻りを供給するマニホルドは、パネル41と流体連通している。1つのパネルだけが示されているが、本出願は多数のパネルを具備するよう構成されることも可能である。フロントプレート120とバッフル124は、例示的にはアルミニウム青銅合金の組成を有する。バッフルは、例示的には、長手方向のエッジ126に沿ってフロントプレートに溶接される。ベースプレートは、対向する長手方向のエッジに接着され、チャネル122を形成する。チャネル122は、図10の左側の角に見ることができる。留意すべき点は、冷却液の流れは蛇行して波状に曲がっていて、図5のように並列に設置されたパイプの組立体を通過する流れととても似ているということである。マニホルドは、態様45もしくは47には示されていないが、図2に図示して上述したように、周囲に位置づけられている。
【0068】
図11を参照するに、複数の噴射ノズル125を有するパネル43で冷却された内部炉壁49が示されている。熱交換器は、アルミニウム青銅フロントプレート120、ノズル125がはめ込まれたパイプ50、及びベースプレート93を有する。フロントプレート120は、製鋼プロセスで生じる熱、排気ガス、及びスラグに直接さらされる。ノズル125は、ベースプレートからフロントプレート120の裏面へ向かって冷却液を噴射する。
【0069】
図12は、噴射ノズル125を利用する熱交換器システムを使用して冷却される風箱48の断面図である。例示的な4つのアルミニウム青銅フロントプレート120が風箱48の内部を画成する。パイプ50上の複数のノズル125は、フロントプレート120の裏面に冷却液のパターン化された噴霧を向かわせる。ベースプレート93は、風箱48の外壁としてだけでなく、パイプ50の取付台としても作用する。フロントプレート120は、冷却液が重複パターンで噴射されるように複数のノズルから十分離されている。重複は面積を覆うのに十分であり、フロントプレートの冷却に必要な蛇行した湾曲の数を減らしている。図12に図示する態様においては、それぞれ入口56と出口58を有する2本のパイプだけの組立てが示されている。ノズルを有するより多くのパイプは表示されていない。図11を再度見直すと、パイプはU型エルボ53に連結していて、風箱48に同様の連結が使用可能である。図示のように、少なくとも1つの入口と出口を有する1つのパネル43のみが示されている。
【0070】
本発明の範囲には、他の種類の管/パイプが含まれることが認められるであろう。例えば、他の管の部分は、完全に弓状であり概して中断されていない又は平滑な外面又は外側境界252を有する一方で、例であるがこれに限られない概して平坦でありうる部分、例えばベース92を有してもよく、または突起を有してもよい。突起は、上述のフィン又はスプライン96を含んでもよく、または、水平に延びる平坦な部分又はベースから延びる羽根部を含んでもよい。或いは、平坦な部分は、切欠き又は刻み目、又は、例であるがこれに限られるものではない。例えばスラグ又はシリカを含む任意の異物の保持を促進又は阻止する要請といった、任意の種類の動作特性を最適化し又は阻止する要請に応じて、任意の他の適当な面を画成しうる。例として、切欠き又は刻み目は、例であるがこれに限られるものではない急勾配、矩形、鋸歯状、長円形等でありうる。管50の露出した平滑な/刻み目のある面の厚さは、プロセスの熱伝導と機械的要件を最適化するよう設計されうる。管50の支持部分は、例であるがこれに限られない円形、正方形、2つの半円がその端点の接線である平行線により接続された形状等を含む任意の適当な幾何学形状を有しうる。管/パイプは、プロセスにより必要であれば、熱伝導又は機器の冷却を生じさせるよう、その中を向かわされる又は流れる、例であるがこれに限られない例えば水といった液体を含む任意の流体、又は空気といった気体を有しうる。
【0071】
パイプ50の種類にかかわらず、例えば弓状、キー溝付き、平坦及び/又は切欠きのある1以上のパイプが、例えば弓状、キー溝付き、平坦及び/又は切欠きのある1以上の任意の他の種類のパイプ50との任意の組合せへと結合されうる。例であるがこれに限られるものではない例示的なパイプ50は、単独で、又は平滑な、キー溝付き、弓状、刻み目付き、切欠き付き、羽根付き、又は他の種類の任意の組合せのパイプと共に、金属プロセル装置、システム、又は機器の操業部分又は領域内に結合又は取付けられることができ、これは、例であるがこれに限られるものではない電気アーク炉(EAF)、鋳造炉、冶金炉、取鍋冶金装置、及び/又は脱気(VAD AOD等)装置における、システムの蓋、側壁、ダクト、バーナー用グランド、又は他の機器への取付を含む。パイプは、例示的には、システムの内部と壁の間の機器の中に位置する。換言すれば、パイプの伝導部分は、溶銑又はそこから発せられるガスに晒され、一方で支持部は、システムの壁、蓋、若しくは他の内部構造に直接、又は、システムに取り付けられたプレートに取り付けられる。支持部は、システムに直接に取り付けられ、又は結合されてもよく、又は、取付プレート又は他の適当な構成要素に取り付けられ、それが更に例であってこれに限られるものではないEAFといったシステムの壁、蓋等に取り付けられ、結合されてもよい。パイプ50は、伝導部分の片側又は両側へのスポット溶接を含む任意の適切な方法、又は、当業者によって知られている他の適切な方法を用いて結合されうる。同様に、支持部は、例であるがこれに限られない溶接を含む任意の適切な方法を用いて、システムの支持構造、又はプレートに取り付けられ、又は結合されうる。例であるがこれに限られない任意のガス又は液体といった任意の適切な流体は、熱伝導を容易とするようコア200を通じて向かわされうる。
【0072】
例示的に、パイプ50は、冷間圧延、熱間圧延、引抜き、押出し、又は鋳造を含む任意の適切なプロセスを用いて製造されうる。例示的に、パイプは、鉄金属、鋼、銅、鋼/鉄合金又は銅合金、ニッケル、チタン、アルミニウム青銅合金及びニッケル青銅合金を含む青銅を含む青銅合金、並びに、他の適切な材料およびその組合せから製造されうる。パイプは、継ぎ目無し又は溶接された設計でありうる。例示的に、例えば、パイプが押し出し成形された場合、中心線のいずれの側の質量も実質的に等しい。
【0073】
上述のことより、我々がアルミニウム青銅合金で構成された改善された熱交換器システムを発明し、アルミニウム青銅合金は、期待よりも高い熱伝導性、高温ガスの蒸気によるエッチングへの耐性、酸化に対する良い耐性を有することが容易にわかるであろう。更に、我々は、熱交換器及び関連する部品がアルミニウム青銅合金で製造される場合は、その腐食及び浸食が減少されるため、熱交換器の動作寿命が延びた熱交換システムを提供した。
【0074】
更に、製鋼炉から放出される排ガスの冷却に適した熱交換器システムであって、熱交換器システムが、炉の壁、炉の蓋、スモークリング排気ポート、排気ダクトの直線部分、及び排気ダクトの湾曲部分にはめ込まれうる熱交換器システムが提供される。熱交換器システムは、EAF又はBOFといった冶金炉を出る排ガスを、華氏4,000度−華氏5,0000度から華氏200度−華氏350度へと冷却する。
【0075】
本発明は、スラグを収集し、冷却するよう適合されうる熱交換器システムであって、波形屈曲配管は、細長いリッジを有する押し出し成形された継ぎ目無しのパイプであり、配管は、腐食、浸食、圧力、及び熱応力に耐える、熱交換器システムを提供する。
【0076】
また、加工工場、製紙工場、石炭火力及びガス発電所、及び他の排ガス発生源からの排ガスの冷却といった、他の用途を有することが期待され、ガスは、ガスの1以上の成分を捕捉する目的で冷却され、捕捉は、復水、炭素床吸収、又は濾過により行われる、他の用途を有する熱交換器が提供される。
【0077】
上述の説明や具体的な実施例は、本発明の最良の形態及びその原則を単に例示したものに過ぎず、当業者により本願の発明の範囲及びその精神から離れることなく、様々な修正や補強が装置に行われうると理解すべきである。
【0078】
本発明は、上述の図面及び説明において詳細に図示され説明されたが、これは例示的なものであって制限的な性質を持つものではないと考えられるべきであり、その例示的に過ぎない実施例のみが示され、説明され、また、本発明の精神の範囲内の全ての変更及び修正は、保護されることが望まれることが理解されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年5月31日出願の米国仮特許出願第60/940,970号に基づき優先権を主張するものであり、その開示はここに参照として明示的に組み入れられる。
【0002】
本発明は、概して熱交換装置に係り、特に金属の処理に用いられる熱交換装置に関する。かかる熱交換装置は、例えば、冶金炉及び/又はそのいずれの支持部品のほか、例えば電力産業や化学産業等の他の産業においても使用されうる。
【背景技術】
【0003】
例えば鉄鋼産業、電力産業及び化学産業を含む産業においては、装置の動作寿命を短くうる、例えば高濃度の酸、微粒子及び他の化学物質を有しうる攻撃的な雰囲気を伴った、変動する、潜在的に極端な熱流束条件下に、一つ以上の水冷要素が置かれることを必要とすることがあるプロセス装置を利用する。例えば、鉄鋼、鋳造及び金属精錬産業では、溶解炉内の高い機械摩耗、高腐食性、高温、高導電性及び/又は熱応力を受ける環境で動作する水冷式及び非水冷式の装置に関する課題を有している。これらの極端な変動する条件により、例えば経済的な動作のための費用/便益要件を最適なものとする潜在力のある様々な材料及び動作特性を有する装置を設計するという選択肢があることが望ましい。
【0004】
例えば鋼の場合、例示としての鋼は、冶金炉内において鉄及び鋼のスクラップを溶解し、精製することによって作られる。例えば、炉は、アーク炉(EAF)又は酸素転炉(BOF)でありうる。かかる炉をできる限り長く操業状態に維持することが望まれる。炉の操業寿命を長くするための一つの方法は、例えば様々な種々の設計の熱交換装置の使用を通じて、熱的ストレス、化学的ストレス及び機械的なストレスから保護することである。
【0005】
装入処理中に生ずる構造的な損傷は、EAFの操業に影響を与える。スクラップは溶解された鋼よりも低い実効密度を有するため、EAFは、スクラップを収容するのに十分な容積を有さねばならず、それでもなお所望の量の鋼を生産せねばならない。スクラップは、溶解すると、炉床又は炉の下部の精錬部に溶銑浴を形成する。炉内の鋼の体積が減少すると、一方で、EAF内の容積は増加する。容器の壁、カバー若しくは蓋、ダクトワーク、及び排ガス室は、スクラップの装入及び溶解と、得られた鋼の精製とによって生ずる熱的ストレス、化学的ストレス及び機械的ストレスにより危険に晒されている。かかるストレスは、炉の操業動作寿命を制限しうる。炉のうち炉床又は精錬部の上の部分を炉の高い内部温度から保護することが望ましい。
【0006】
歴史的に見ると、EAFは、概して、耐火ライニングにより炉の高温から保護される溶接鋼構造として設計され製造されていた。1970年代後期及び1980年代初期には、鉄鋼産業は、高価な耐火れんがを、水冷蓋パネルや炉容器のうち精錬部の上の部分に配置される水冷側壁パネルで置き換えることにより、操業上のストレスに取り組み始めた。水冷部品は、排ガスシステムにおいて炉のダクトワークを内張りするためにも使用されてきた。既存の水冷部品は、様々な等級及び型のプレート及びパイプから形成される。冷却システムの一例は、ここに参照として組み入れられる特許文献1に開示されており、これは一連の冷却コイルを用いる。概して、コイルは、隣接するパイプ部分と湾曲したエンドキャップとから形成され、これはコイルを通って流れる液体冷媒用の流路を形成する。この冷媒は、熱伝導を最大化するよう圧力下でパイプの中を押し通される。かかるパイプ及びプレートは、炭素鋼及びステンレス鋼、または銅等のより高価な金属を用いて形成されてきた。本願の開示では、管、チューブ、パイプ、配管の語は、同義であり、いずれの語を用いても同じである。また、熱交換器は、当業者によって認識されているように、操業温度を安定化させる。
【0007】
幾つかのプロセス用途では、操業中の損傷、摩耗及び早期故障から装置を保護するため、溶解プロセスの副産物である例えばスラグ等の異物を、スラグの非導電性及び絶縁性を抑えるよう、操業側(「ホットサイド」)又は装置の動作部分に集めることが有利である。集められ、又は保持されたスラグは、プロセス中の溶解した金属の過剰な沸騰又はあふれにより生ずる、装置の操業側すなわちホットサイドへの不注意による液体金属のハネの偶発的かつ潜在的に悲惨な影響から保護する。スラグの保持を促進するよう設計された冷却パイプの適切な例は、その開示がここに参照として明示的に組み入れられる、自己の(commonly owned)特許文献2に記載されている。
【0008】
鉄鋼、鋳造及び金属精錬産業は、操業中に装置の高温面に所望でないスラグ及び/又は異物を集める水冷式又は非水冷式の装置についても課題を有している。プロセスに入るこのスラグ、ケイ素の、金属の及び/又は他の異物は、剥がれて炉又はダクト構造内に入っている溶鋼の中に落ちた場合は、操業に悪影響を及ぼしうる。例えば、かかる物質が溶解金属の中に偶発的に入り込むと、容器内の溶解金属は汚染又は他の点で規格外となってしまい、結果的にスクラップとされるか、溶解金属をその規格を満たした組成に戻すよう精製するために追加的な高い費用の処理を必要とすることとなる。この物質の炉内への落下はまた、溶解した金属を過剰に沸騰又はあふれさせることとなり、容器内及び容器の周囲に安全上の問題を生じさせる。更に、異物の剥がれは、装置が停止中のときに落下し、領域内の装置を損傷し又は作業員を傷つけた場合は、安全上の問題となりうる。従って、所望のとおりに操業面上のスラグの保持を促進又は妨げる熱交換器システムを有することが望ましい。かかるシステムの1つの適切な例は、2006年11月1日出願のマニャーセック(Manasek)による自己の特許文献3に見いだすことができ、その開示はここに参照として明示的に組み入れられる。他の実施例のうち、特許文献3は、金属プロセス装置における通常操業中にスラグ、ケイ素の又は他の異物の付着を促進するようその伝導面に切欠き又は刻み目を有する押出し、引抜き、又は冷間圧延された管又はパイプを含む一実施例を示す。複数の例示的な管又はパイプは、例示的に、スラグ、ケイ素の又は他の異物の付着を促進する切欠きのある面を形成するよう共に結合、突合せ及び/又は溶接されうる。他の実施例は、金属プロセス装置、システム又は機器の通常操業中にスラグ、シリカ又は他の異物の付着を妨げ、又は抑えるよう構成された略平坦な面を有する押出、引抜、又は冷延管又はパイプを含む。複数の例示的なパイプは、スラグ、シリカ又は他の異物の付着を妨げ、又は抑えるよう構成された略平滑な平坦な面を形成するよう共に結合、突合せ及び/又は溶接されうる。例示的に、切欠きのある概して平滑な面を有するパイプのいかなる組み合わせ及び形態も、金属プロセス装置、システム又は機器の様々な領域において必要に応じて使用されうる。使用方法もまた請求の範囲に含まれている。
【0009】
今日の現代的なEAF炉は、鋼の製造プロセス中に生ずる排ガスを捕捉するよう公害防止策も組み込んでいる。例えば、炉からの煙は、概して2つの例示的な方法で捕捉される。これらのプロセスはいずれも炉の操業中に採用される。排ガスを捕捉する1つの例示的な形は、炉のキャノピーを通じたものである。キャノピーは、オーブンのフードに似たものである。これは建物の一部であり、装入及び出鋼中にガスを捕らえる。キャノピーは、溶解プロセス中に生じうる漏洩排出も捕らえる。一般的に、キャノピーは、非水冷式ダクトを通じてバグハウスにつながっている。バグハウスは、フィルターバッグと、あらゆる汚染物質の空気やガスを浄化するためフィルターバッグを通して空気や排ガスを押出しもしくは引出しているいくつかのファンとから成っている。
【0010】
排ガス排出物を捕らえる第2の例示的な形は、一次炉ラインを通じたものである。炉の溶解サイクル中は、ダンパーが例示的にキャノピーへと続くダクトを閉め、一次ラインにあるダクトを開ける。これは炉に直結しており、炉の排出物を捕捉する主要な方法である。一次ラインは、炉の圧力制御にも利用されている。このラインは、約華氏4,000度に到達した後に数秒で周囲温度に下げられるような温度に対して保護するよう、水冷式ダクトワークで構成されている。ガス流は一般に、塩酸や硫酸を含む様々な化学要素を含む。固形や砂状粒子も多く存在する。ガス流の速度は、秒速150フィートを超えうる。上述の通り、これらのガスは、浄化のために主要なバグハウスへ向けられることとなる。
【0011】
上述の環境は、EAFの一次ダクトの水冷部品に高い度合いのひずみを生じさせる。冶金産業における可変温度範囲は、部品に対して材料破壊につながる膨張や収縮の問題を引き起こしうる。さらに、塵粒が、砂吹きと似た方法で継続的にパイプの表面を腐食する。システムを通って流れる酸も、材料に対する腐食を増大させ、その上、全体的な寿命を縮める。
【0012】
BOFシステムに関しては、BOF耐火物と製鋼方法の改善により操業寿命が延びている。しかしながら、操業寿命は、特に排ガスシステムのダクトワークといった排ガスシステム部品の耐久性によって制限され、またそれに関係している。このシステムについては、故障が起きた際に、ガスと煙の大気への放出を防ぐよう、システムは、例示であるが、修復のために運転停止されなければならない。現在の故障率では、平均炉運転停止期間は14日間である。EAF式の炉と同様に、部品は歴史的に水冷炭素鋼もしくはステンレス鋼タイプのパネルで構成されてきた。
【0013】
EAFもしくはBOF式の炉で水冷部品を使用することは、耐火コストを削減し、また製鋼業者は、そのような部品なしで可能であった溶解処理回数よりも多くの溶解処理回数をそれぞれの炉で稼動できるようになった。さらに、例示的な水冷機器のおかげで炉はより高い動力で操業できるようになった。結果として、生産は増加し、炉の有用性は益々重要となった。水冷部品の利点にもかかわらず、これらの部品は例示的に磨耗、腐食、浸食及び他の損傷に関して一貫した問題を抱えている。炉に関連するもう一つの問題は、入手できる炉用スクラップの品質が低下しているため、より酸性のガスが発生していることである。これは一般に、スクラップの中により高い濃度のプラスチックが含まれている結果である。これらの酸性ガスは、大気中に放出できるようにするために炉からガス浄化システムへ排出されなければならない。これらのガスは、例示的には、水冷式のパイプを含む複数のヒュームダクトによって、排ガス室又はガス浄化システムへ向かう。しかし、時が経つにつれ、水冷部品及びヒュームダクトは、例えば酸による腐食、金属疲労もしくは浸食に屈してしまうことがある。特定の材料、例えば炭素鋼及びステンレス鋼は、酸による腐食の問題を解決する試みにおいて利用されてきた。スクラップ中の水濃度を減少させ、炉の側壁に付着する酸性塵のリスクを低減させる試みにおいて、より多くの水やより高い水温が炭素鋼と共に利用されてきている。この方法での炭素鋼の使用は、酸による腐食に対しては効果がないことが判明している。
【0014】
ステンレス鋼も、様々な等級で試されてきている。ステンレス鋼は酸による腐食を受けにくいが、炭素鋼の熱伝達特性またはパラメータを持ち合わせていない。従って、得られた結果は、排ガス温度の上昇と、特定の部品に破損と分裂を生じさせた機械的応力の増大であった。
【0015】
1つ以上の炉の部品の破壊は、上述の1つ以上の例示的な問題により既存の炉システムに生じうる。そのような破壊が生じたとき、炉は損傷した水冷部品を修理するための予定外のメンテナンスのために、生産から取り出される必要が生じうる。中断期間中は製鋼所によって溶鋼が生産されないので、特定の製鋼の生産について例示的に毎分5,000ドルと同等の機会損失が生じうる。生産減少に加えて、予定外の中断が操業及びメンテナンスの費用を著しく増加させる。
【0016】
水冷部品への上述の損傷又は損害に加えて、EAFとBOFの両システムのヒュームダクト及び排ガスシステムが、腐食と浸食により損傷を受けている。炉のこれらの領域に対する損傷はまた、生産性の損失や工場作業者のための追加的な保守費用を生じさせる。さらに、漏水が排ガス中の湿度を増加させ、バッグがぬれて目詰まりすることによってバグハウスの効果も減少する。炉の排ガスの放出に利用されるこれらの領域の加速された浸食は、例示的には、炉内の増加したエネルギーにより生じる上昇した温度とガス速度によるものである。より速いガス速度は、排出規制を順守するために、全ての煙を排出するよう取り組みを強くしたことによるものである。ヒュームダクトの腐食は、炉内で様々な物質が出会うことにより起こるダクトの内部への酸の形成/酸による腐食に起因している。先行技術は、炭素鋼もしくはステンレス鋼から成るヒュームダクト装置や他の部品の使用について教示している。上述の幾つかの例示的な理由と同じ理由により、これらの物質は例示的に不十分かつ効果のない結果を提供することが判明している。
【0017】
その開示内容がここに参照として明示的に組み入れられる自己のマニャーセック(Manasek)他による特許文献4と、その開示内容がここに参照として明示的に組み入れられる自己のマニャーセック(Manasek)他による特許文献5は、それぞれが代替的な金属合金を用いた改良された熱交換器システムを使用することを使用すること、例えば、合金が、炉内における製鋼の目的においてより良い熱伝導性、硬度および弾性係数を与える点で、炭素鋼又はステンレス鋼冷却システムよりも向上した機械的・物理的性質を有する、例示的にはアルミニウム青銅システムを使用すること、それにより炉の寿命を長くすることについて記載している。しかしながら、そのような合金、又は、例としてこれに限られるものではないが銅といった他の所望の金属の使用は、(材料自体の費用及び/又は用いられる特定の材料に適した製造原価に関して)炭素鋼又はステンレス鋼の場合よりも費用がかかりうる。
【0018】
歴史的には、上述の熱交換器システム/水冷要素を製造するために均一な材料及び組成の複数の管が使用されてきた。これらの管又はパイプは、例示的に、また、一般的に、鋼又は何らかの他の合金であったし、熱伝導、摩耗特性、冷媒速度、その他のパラメータについての特定用途の要件又はパラメータに適合するよう、可変の断面積と内径を有していた。上述からわかるように、所望の動作特性又はパラメータを達成するために、例えば鋼といった他のものの代わりに、例えばアルミニウム青銅合金といった何らかの金属又は合金を用いることが望ましい。しかしながら、やはり上述からわかるように、そのような望ましい合金、セラミックス、又は例えばアルミニウム青銅合金といった他の特別な材料から製造される管及びパイプの費用は、例えば鋼又は鋳鉄を用いた場合と比較して、より高くなりうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第4207060号明細書
【特許文献2】米国特許第6330269号明細書
【特許文献3】国際特許出願第US06/060461号明細書
【特許文献4】米国特許第6890479号明細書
【特許文献5】米国特許出願第10/828044号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
改良された熱交換器システム及びこれを用いる方法が必要とされる。特に、水冷要素及び/又はヒュームダクトが、選択可能な動作特性又はパラメータを有する熱交換器システムの使用により既存の同等の要素と同じくらい長く、又はそれよりも長く動作可能なままである改善された方法及びシステムと、比較的低い費用で比較的高い性能を可能とする選択可能な製造の方法および材料とが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、本願に添付の様々な請求項に記載の1つ以上の特性及びかかる特性の組合せ、並びに、以下に記載の1つ以上の特性及びその組合せを含みうる。
【0022】
第1の内側境界及び第1の外側境界によって画成され、前記第1の内側境界はコア中心を有する中空コアを画成する、内管と、
前記内管を覆い、第2の内側境界及び第2の外側境界によって画成され、前記第2の内側境界は前記第1の外側境界を覆う、外管とを有する、パイプであって、
前記内管の組成又は構造と、前記外管の組成又は構造とは、互いに対して或る点で異なる、パイプが提供される。
【0023】
また、炉の内側部分を冷却する方法であって、
内管及び前記内管を覆う外管を含むパイプを提供するステップと、
機器に前記パイプを備え付けるステップと、
冷却用流体を管状部分を通して向けるステップとを含む、方法が提供される。
【0024】
パイプは、例であるがこれに限られるものではないプレートといった取付部材と結合されうる。他の例示的な取付部材は、ブラケットを含む。プレートは、例であるがこれに限られるものではない炉であってもよい機器と結合されうる。
【0025】
熱交換又は保護システムのパイプにおける使用のために次の材料、即ち、鋼、鋳鉄、押出鋼、ステンレス鋼、ニッケル合金、銅、アルミニウム青銅合金等が一般的且つ例示的に利用可能であった。本発明は、上記の任意の所望の組合せ、または任意の他の所望の金属、又は複合材料を含む他の材料が、単独で又は組合せとして使用されることを可能とする。例えば、内管は、液体冷媒を搬送するのに適した、例であってこれに限られるものではない鋼といった適切な、それでも比較的安価な材料又は金属を含むものでありうる。この内管は、特定の動作環境において内管材料よりも良い動作特性又はパラメータを有する、例であってこれに限られるものではないアルミニウム青銅合金といった異なった、また例示的にはより高価であるかもしれない材料を含む特別な/選択された外側材料で覆われ又はクラッドされうる。例示的に、外側層又はクラッディングは、クラッディング管/パイプを、クラッドパイプの内側を形成するパイプ/管の上に押出しすることにより製造されうる。外側材料は、内側材料よりも高価であってもよく、その逆であってもよいことがわかるであろう。従って、また、外側及び内側材料は、同一又は同様の材料の異なった等級又は組成のものであってもよい。いずれにしても、外側材料は、それが動作する環境に対して最適化された性能特性を有しうることもわかるであろう。また、内管材料は、それが動作する状況(例えば流体搬送)において、外側材料よりも、良い動作特性を有してもよく、また多かれ少なかれ高価であってもよい。いずれにしても、内管は、外管の特性又はパラメータとは異なる1つ以上の特性又はパラメータを有しうる。内管と外管はそれぞれ、1つ以上の特性又はパラメータを強調するため、例であってこれに限られるものではない夫々の内管及び外管の形状、断面、及び/又は材料を変化させることにより、異なった組成又は構造を有しうる。強調は、特定の特性又はパラメータの最適化を追求するものであってもよいが、追求するものである必要はない。従って、特別なクラッド管/パイプは、クラッド管が、例示的に、より低い総費用を有し、それ自体が選択された特性又はパラメータでありうること、及び/又は、一以上の状況においてより良い動作特性/パラメータを有しうることを除き、例示的に、選択された材料を100%用いて製造された管/パイプと同じ又は同様の物理的な、摩擦耐性、化学腐食耐性、熱伝導、熱属性又は他の特性/パラメータを有することとなる。或いは、外側及び内側材料は、それらが動作する状況について互いに対して最適化されている異なった動作特性に基づいて組み合わされうる。従って、例示的に、アルミニウム青銅合金の外側クラッディングを有するパイプを組み込んだ熱交換又は保護装置の場合は、スチールパイプと比較して、より高い熱伝導性、高温ガスの蒸気によるエッチングへの耐性(弾性係数)、および良い酸化耐性を有し、従って熱交換システム及び関連する部品の腐食及び浸食の減少を通じて、熱交換システムの寿命が長くなる。内側材料及び外側材料の組合せは、例えばEAFの一部での使用に必要な厚肉パイプといった、一定の厚さのパイプ壁を設ける必要性があり、その厚さの内側部分が高価な材料で構成される必要がないようにするために、必要となりうる。同様に、上述からわかるように、材料の組合せは、異なる状況において最適な動作特性を得るよう選択されてもよい。例えば、内側材料は、その状況における例えば液体流速といった所望の動作特性を最適化するよう、又は、費用効果性を与えるよう選択されても、又はその何らかの組合せであってもよく、一方、外側クラッディングは、内側パイプ又は管の材料よりもホットサイドのストレスにより良く耐えるよう選択される。
【0026】
本発明は、例示的に、機器の寿命だけでなく、稼働信頼性及び稼働時間を改善する構成の材料の、より広い柔軟性及び用途を可能とし、なぜならば、機器は、炉、燃焼室、燃料ガスシステム等、かかる要素の組合せからなる機器における高い熱束、腐食及び摩擦雰囲気の影響に耐えるのにより良く適するようになるためである。
【0027】
本発明は、復水器、多管熱交換器、フィン型熱交換器、プレート・フレーム型熱交換器、及び強制通風空冷熱交換器といった他の熱交換機器と組み合わせて使用されうることが期待される。更に、かかる他の熱交換機器は、それ自体が、本発明による材料の組合せを使用することによる利益があることが期待される。更に、本発明、及び本発明を組み込んだ任意の熱交換システムは、ガスの1つ以上の構成要素を捕捉するためにガスが冷却され、捕捉が復水、炭層吸収、又は濾過により行われる、加工工場、製紙工場、石炭火力及びガス発電所、及び他の排ガス発生源からの排ガスの冷却といった、他の用途を有することが期待される。
【0028】
例示的には、パイプは、冷間圧延、熱間圧延、引抜き、押出し、又は鋳造されうる。パイプは、鉄金属、鋼、銅、鋼/鉄合金又は銅合金、ニッケル、チタン、アルミニウム青銅合金及びニッケル青銅合金の合金を含む青銅合金、及び他の適当な材料から製造されうる。パイプは、所望の設計によって、継ぎ目なしであっても、溶接されてもよい。
【0029】
概説するに、本発明は、例示的に、鉄鋼、化学、電力、若しくは他の産業用途用の、顧客用に作られ、設計された水冷要素の幅広い範囲の材料、動作特性、及び製造費用を選択する手法を提供する。要素は、要素内の内在的且つ改善された冷媒速度と、結果として得られる高められた熱伝達能力により、炉、排ガスシステム、排ガスフード、スカート、燃焼室、ドロップアウトボックス等における厳しい、常に変化する要件に対してより良く耐える能力を有することとなる。本発明によれば、要求される又は所望の断面半径で異なる材料の内管/パイプ上に押出しされうるクラッディング材料の選択が、要望に応じて、また、市販の概して均一な材料から管/パイプを選択するという現在の要件に制限されることなく、例えば用途における熱伝導及び弾性要件といった一以上の状況における動作特性を潜在的に最適化させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】例示的に炉排気ダクトの内部に取り付けられえ、例示的に例えばアルミニウム青銅である一の材料が例えば鋼である他の材料を覆うパイプを有しうる、波形屈曲配管の少なくとも1つのパネルを有する熱交換器システムを示す部分切取斜視図である。
【図1a】図1に示す熱交換器システムの斜視図である。
【図1b】排ガス室に連結された直線排気ダクトに連結しているエルボ排気ダクトを示す側面図である。
【図1c】図1bに示すダクトと排ガス室の正面図である。
【図1d】一連の冷却排気ダクトのオフセット立面図である。一連の冷却排気ダクトは、排ガス室と、炉の蓋に連結したエルボ排気ダクトとに連結している。一連のダクトは、炉から排出される高温ヒュームガス及びダストの冷却と排出の両方を提供している。
【図2】スモークリングとして構成された熱交換器システムを示す平面図であり、スモークリングは、往復しながら曲がることで楕円状リングである湾曲パネルを形成する波形屈曲導管から成る。楕円状リングは、冷却水用の1つの入口及び1つの出口を有する。或いは、スモークリングは1つ以上の入口と出口を有するよう構成されてもよい。
【図3】図2の切断線3−3に沿った本発明の断面図である。
【図4】図2に示すスモークリングとして構成された熱交換器を示す側面図である。
【図5】入口及び出口を有する波形屈曲配管のパネルの側面図である。配管は、間隔をあけて、ろう付け結合部と結合されている。
【図6】スプラインとベースを備える波形屈曲配管の断面図である。ベースは壁の内側に付いているベースプレートに付いている。
【図7】どのようにしてパイプが間隔をあけて連結結合部と結合しているかを説明する波形屈曲配管の断面図である。
【図8】熱交換器の多数の部品を装着した製鋼炉の断面図である。該システムは、排気ガスを冷却するダクト内同様、炉内で使用される。
【図9】バッフルを利用する熱交換器システムの断面図であり、該システムはダクトの冷却を行う。該システムにはバッフルにより作られた流路があり、そこでバッフルは冷却液が蛇行形式に流れるよう誘導する。
【図10】バッフルを利用する熱交換器システムの部分切取側断面図であり、熱交換器は製鋼炉の壁に取付けられている。熱交換器はアルミニウム青銅フロントプレート、バッフル及びベースプレートを有する。フロントプレートは炉によって生じる熱、排気ガス、及びスラグに直接さらされる。
【図11】噴射ノズルを利用する熱交換器システムの断面図であり、該熱交換器は製鋼炉の壁にはめ込まれている。熱交換器はアルミニウム青銅のフロントプレート、ノズルが装着されたパイプ及びベースプレートを有する。フロントプレートは製鋼工程によって生じる熱、排気ガス、及びスラグに直接さらされる。ノズルはベースプレートからフロントプレートの裏側へ向かって冷却液を噴射する。冷却液がより広い面積に分散されるようフロントプレートはノズルから十分離されている。
【図12】噴射ノズルを利用する熱交換器システムの断面図であり、該熱交換器は風箱である。アルミニウム青銅フロントプレートは風箱の内側にあり、ノズルが装着されているパイプは、ベースプレートに設けられている。ノズルはベースプレートに固定されているパイプからフロントプレートの裏側に向かって冷却液を噴射する。フロントプレートは冷却液が重複パターンで噴射されるようにノズルから十分離されている。その重なりは面積を覆うのに十分である。なお、二つの吸込口と二つの吹出口がある。
【図13】例示的なパイプについて、内側部分及び外側部分を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の上述の及び他の利益及び使用は、以下の例示的な実施例の説明からより明らかとなろう。
【0032】
本発明の原理の理解を促進するために、以下、図示する多数の例示的な実施例を参照し、これを説明するために特定の用語が使用される。開示される実施例は、様々な形で具現化されうる本発明を典型的に示すだけのものであることが理解されるべきである。従って、本願に開示する特定の構造的及び機能的な詳細については、制限的なものであると解釈されるべきではない。
【0033】
図13を参照するに、典型的なパイプ50を含む例示的な熱交換システム10が示されている。例示的な熱交換システム10は、内側材料及び外側材料を有するパイプ50を含む。例示的に、内側材料は内管150を構成し、外側材料は外管250を構成する。内側及び外側の管又は部分150、250は、例示的には1つ以上の点で違いに異なる組成又は構造を有する。例であってこれに限られるものではないが、これらは異なった寸法を有してもよく、同じ材料の異なった等級を含む異なった材料から製造されてもよく、異なったプロセスで製造されてもよい、等である。
【0034】
内管150は、例示的には、第1の内側境界151と第1の外側境界152とによって画成される。第1の内側境界151及び第1の外側境界152は、内管150の壁を構成又は画成し、内管150の概して中心を通り長手方向の長さに沿って延びる中央軸210を有する中空コア200の境界を成し又は画成する。パイプ50は、第2の内側境界251及び第2の外側境界252によって画成される外管250を更に含む。外管250は、内管150を覆う。例示的に、外管250が内管150を覆うとき、中心軸210は、概して外管250の中心を通って長さに沿って延びる。換言すれば、パイプと、内管及び外管150、250は、例示的には同心であって、例示的には同一の中心及び中心軸210を共有し、又は有する。内管及び外管は、互いに異なった組成又は構造でありうる。
【0035】
外管250は、例示的には、内管150上に成形され、鋳造され、又は押出しされうる。特定の材料に適した他の製法が使用されうる。例えば、外管250は、内管150に溶接されうる。適した製法の他の例示的な例では、内管及び外管150、250は、ユニタリーパイプ50へと成形されうる。更に例示的には、クラッディング250は、例であってこれらに限られることのない熱、圧力、押出し、又は鋳造により内側材料又は管150に結合されうる。いずれにしても、内管150は、異なった組成の金属コーティング250でクラッドされ又は覆われうる。例であってこれに限られることのないクラッディング250は、例えば伝導性、又は、腐食、浸食、圧力、熱応力等に対する耐性といった何らかの所望の性質、特性、又はパラメータを、例えば与え、強調し、促進し、最小限とし、又は最適化することによって、有効に利用するよう選択されうる。内管150は、クラッディングと比較して同じ又は異なった所望の性質を、例えば与え、強調し、促進し、又は最適化することによって、有効に利用するよう構成されうる。例えば、内側材料150は、流体の流れ、熱伝達、属性、寿命、材料コスト、製造プロセス等を最適化するよう選択されうる。
【0036】
上述からわかるように、クラッド150及びクラッディング250材料は、所望の動作特性又はパラメータ、又は、例であってこれに限られるものではない経済的な要件を含む他の用途要件を満たすよう選択されうる。例示として、内管は、クラッディング材料の費用よりも低い費用を有する材料から作られてもよいが、そのような材料から作られる必要はない。例示として、断面積及び外側クラッディングの形態は、装置の動作装置を最適化するのに必要な、装置における、結果として得られる冷媒速度、圧力低下、及び滞留時間を満たすよう調整されうる。クラッディング材料の全長は、例示的には、その長さ全体に亘って概して一貫した形状を有しうる。例えば、外面は、例示的には、平滑であってもよく、用途のために必要な形状を組み込んでいてもよい。例えば、外面は、スラグ保持装置若しくは刻み目を含んでもよく、あるいは、パイプ50を、一以上の他のパイプ50に、及び/又は、取付部材若しくはプレート93に、又はEAF等の装置若しくはその部分に直接取り付けるためのウェブ又は突起を有してもよい。クラッディング管の外側形状はまた、例えば所望であれば溶接により、複数のパイプが互いに接続されることを可能とするよう羽根部又は他の突起を有するよう設計されてもよい。
【0037】
クラッド150管及びクラッディング250管は、ここにその開示内容が明示的に参照として組み入れられる、例であるがこれに限られるものではない2007年4月30日出願の米国特許出願第11/741,769号で開示される種類の半管又はハーフパイプを構成しうる。例示的に、管150、250のうち一方又は他方のみが、ハーフパイプ又は半円状の構成を有してもよい。複数のかかる例示的な半管/ハーフパイプ部品は、例示的には取付部材又は平坦なプレートに溶接されてもよい。溶接は、例示的に、例であってこれに限られるものではない半管/ハーフパイプ要素の長さに沿う。羽根付きの設計の半管が用いられる場合、一回の溶接で2つの隣接する管/パイプを一緒に取り付けることができる。クラッド管/パイプは、180度のハーフエルボ、即ち留め継ぎエルボ、又は供給ヘッダー及び戻りヘッダーのいずれかを有する閉ループ冷媒路を構成するよう接続される。結果として得られる水冷部品が、装置で用いられるべき半径を必要とする場合(例えば、アーク炉の側壁用の水冷ダクト又は水冷部品)、部品全体が、典型的な板圧延で、特に変更された板圧延で所望の半径へと圧延されるよう設計されうる。部品の全体厚さは、典型的な管/パイプ設計部品と比較して減少されうることがわかるであろう。これは、装置の動作体積を有効に増加させる。本発明は、鉄鋼、化学、及び電力産業、並びに他の産業用途のための複合熱交換装置のための費用競争力の高い製造材料を提供する。
【0038】
例示的なパイプは、例示的には内側材料とは異なる外側材料又はクラッディングを有することがわかるであろう。かかるパイプは、多くの産業における多くの種類の熱交換器用途での使用のために多くの種類の熱交換システムにおいて使用されうる。ここで、1つのかかる例示的な熱交換システムにおける例示的な使用について説明するが、例示的な熱交換システムにおいて説明するパイプは、例示的には内管/材料とは異なる外管/材料を有するよう例示的に構築または形成されることが理解される。
【0039】
例示的には、用途の要件に基づいて選択されうる外管クラッディング材料は、クラッディング材料とは異なる、例えばクラッディング材料よりも低価格の、1つ以上の特性を有しうる内管の上に形成、鋳造、又は押出しされる。断面積及び/又は外側クラッディングの形態は、例示的には装置の動作寿命を最適化するのに要求される、装置内での結果として得られる冷媒速度、圧力降下、及び/又は滞留時間に適合するよう調整されうる。
【0040】
クラッディング材料の全長は、その長さ全体に亘って一貫した形状を有しうる。クラッディングの外面は、平滑であってもよく、例であってこれに限られないスラグ保持装置、例であってこれに限られないフィン96、耐スラグ装置、又は複数のパイプを一緒に溶接するのを容易とする凹み若しくはウエブといった特定の用途に必要とされる他の形状を組み込んだものであってもよい。
【0041】
クラッディング管/パイプの外側形態もまた、複数の管が一緒に溶接されることを可能とするよう延長部又は羽根部を有するよう設計されうる。
【0042】
上述の複数の半管/ハーフパイプ部品は、例示的には、炉といった装置に取り付けられてもよく、又は例であるがこれに限られない溶接により、プレートに取り付けられ、これが更に装置に取り付けられてもよい。溶接は、例示的には半管/ハーフパイプ部品の長さに沿ったものでありうる。
【0043】
羽根付きの設計の半管が用いられる場合、2つの隣接する管/パイプを一緒に取り付けるために例示的には1回の溶接が用いられうる。
【0044】
クラッド管/パイプは、例であるがこれに限られるものではない180度のハーフエルボ、即ち留め継ぎエルボ、又は供給ヘッダー及び戻りヘッダーを用いることにより、閉ループ冷媒路を構成するよう流体連通して一緒に連結されうる。
【0045】
結果として得られる水冷部品が、装置において用いられるべき半径を必要とする場合(例えば、アーク炉の側壁用の水冷ダクト又は水冷部品)、部品全体が、典型的な板圧延で、特に変更された板圧延で所望の半径へと圧延されるよう設計されうる。
【0046】
設計の第2の利点は、部品の全体厚さが、典型的な管/パイプ設計部品と比較して減少されうることである。これは、装置の操業体積を有効に増加させるため、製鉄プロセス装備において有利である。
【0047】
本発明は、鉄鋼、化学、及び電力産業、並びに他の産業用途のための複合熱交換装置のための費用競争力のより高い製造材料を提供する。上述され、図13に示す例示的な実施例は、多くの熱交換形態及び部品に適用されうるとともに、以下説明する他の構成においても使用されうることがわかるであろう。
【0048】
図1乃至図12を参照するに、他の形態及び構成が意図されている。例えば、熱交換システム又は熱交換器10は、入口56及び出口58を有する少なくとも1つの波形屈曲配管50のパネルと、少なくとも1つパネルの入口と流体連通する流入マニホルド84と、少なくとも1つのパネルの出口と流体連通する流出マニホルド86と、配管を通って流れる冷却液とを含む。ここに記載する配管50は、例示的には、本願に記載の内管及び外管又はクラッディングを有する配管を含みうる。熱交換器システム10は、高温ヒュームガス36及び冶金炉80やその支持部材から排出されたダストを冷却する。配管は、並列に設置された連結チューブの部分的な長さの組立体であり、連結チューブは、リンク部材82によって互いに固定され、少なくとも1つのパネル50を形成する。配管50を製造するための1つの例示的且つ好ましい組成は、アルミニウム青銅合金であるとわかった。アルミニウム青銅合金は、予想より高い熱伝導率、高温ガスの流れによるエッチングに対する耐性(弾性率)及び優れた耐酸化性を有することが発見されている。従って、熱交換器の動作寿命は延びている。熱交換器や関連する部品の腐食や浸食は、それらがアルミニウム青銅で加工されると、減少する。アルミニウム青銅は、P22(Fe約96%、C約0.1%、Mn約0.45%、Cr約2.65%、Mo約0.93%)よりも41%高く、炭素鋼(A106B)よりも30.4%高い熱伝導率を有する。アルミニウム青銅やその合金を用いて製造された熱交換器はより効率的であり、耐火物質や他の金属合金で構築された炉より長い操業寿命を有する。
【0049】
また、配管は例示的には押し出し成形でありうること、また、押出しは、配管が腐食、浸食、圧力、そして熱応力に耐えることに役立ちうることがわかった。用途に応じて、配管がフィン又はスプライン96として作用する細長いリッジを備える場合は、性能が特に向上されうる。フィンは冷却を高めたり、スラグを収集することに役立つことができる。配管が押し出し成形される場合、フィンに関連づけられた故障しうる溶接線はなく、押し出し成形された継ぎ目のない配管は、より均一に熱を分配し、ひいては熱交換器システムの全体性能を改善する。配管は、必要であれば、それが取り付けられている壁の曲がりに一致するよう湾曲又は屈曲されうる。より典型的には、得られたパネルが壁の湾曲に相当する湾曲を有するように、配管の個々の部分は角度のあるリンク部材で互いに固定される。
【0050】
図示(図1乃至図12)の熱交換器システムは、冷却効果をさらに高めるために、マニホルド及び多数のパネルを採用している。そうした組み合わせは、冷却水が全ての配管を通過し、熱交換を最適化することを確実にしている。波形屈曲配管は、表面積を最大限とする。配管は、一般にリンク部材やスペーサを使用して固定され、ヒュームガスが基本的に配管のほぼ全周囲を流れるようにしている。
【0051】
図1を参照するに、例示的な熱交換器10は、壁の内側93と壁の外側95とを具備した壁94を有するヒューム排気ガスダクト44の中に示されている。壁94は、ダクト44の内側を見るために部分的に切断されている。図示のダクト44は楕円形であり、円形ダクトと比較して表面積を増加させるために選択された工学構造である。ダクトは、横座標と縦座標の点線で示されているように、1乃至4の番号が付された四分円に分けられる。本発明においては、熱交換器は波形屈曲配管の4つのパネルを利用し、それぞれが1つの入口56及び1つの出口58を有している。各パネルは、配管50に固定するためにスペースやファスナとして役立つリンク部材52によって組み立てられており、配管の1つの部分的な長さの隣接した配管の部分的な長さに対する相対的な位置を確立している。パネル1乃至4はダクト44の内壁93に取り付けられている。各パネルは、流入マニホルド84及び流出マニホルド86と流体連通している。マニホルド84及び86は、壁94の外側95に取り付けられており、ダクト44を実質的に囲んでいる。配管50は、ダクト44の壁と実質的に共線上にあるような向きにされる。その向きは、製造するのがより容易であるため選択され、ダクトの長さに亘る圧力の低下を減少させる。ダクト44の両端は、冷却ダクトが他のダクトと連結できるようにするフランジ54で終端処理されている。各ダクトは実質的に自給式モジュラー冷却装置である。モジュラー化は、ダクトの製造をある程度一般的なものにすることができる。各ダクトは冷却容量を備え、そしてダクトは所望の冷却を達成するために十分な数が組み合わされる。モジュラー化は、一つには、熱交換器システムが、組み合わされたときにダクトの冷却容量を決める、既知の冷却容量を有する個々の冷却パネルから構成されるという事実によるものである。従って、累積的な冷却容量は、最終的には、パネルの種類、数、及び形態、並びに、マニホルドから供給される冷却液の温度及び流量の関数である。パネルは、主に実質的に自給式な、やはり比較的一般的なモジュラー式の部品である。ヒューム排気ガスダクト44は、一般にダクトをフレームやサポートに取付けるための一対の据付支持部62を具備する。
【0052】
ダクト及び熱交換器システムの外部要素は、図1a、1b、1c及び1dに図示されている。ダクト44には、ダクトを炉蓋、排ガス室(時に風箱48と称される)に取付けるため、もしくはフランジ54への支持を提供するために、取付部材又はブラケット60が取り付けられうる。図1bを参照するに、エルボダクト45は直線排気ダクト44と連結し、これが次に排ガス室48と連結している。エルボ型ダクト45は、エルボ45を炉蓋に固定するためのルーフブラケット60を具備している。スモークリング66は、エルボダクト66の入口から突出している。図2乃至図4及び図8から分かるように、スモークリング66は円形の輪郭を持つ熱交換器10である。エルボダクトは、流入マニホルド84及び流出マニホルド86を具備する。流入マニホルド84は、88で冷却水の供給源と連結し、流出マニホルド86は、再循環出口90と連結している。エルボダクト45及び直線ダクト44は、それぞれのフランジ54を経由して連結している。直線ダクト44と排ガス室48は、それぞれのフランジ54を経由して連結している。排ガス室48は、炉内で発生する万が一の爆発に備えて圧力解放機構を有することが好ましい。排ガス室48は、もし更なる容量が後日必要となった場合、接続箱としても役立つ。図1cを参照するに、炉から放出され、部分的に冷却されたヒュームガスは、排気システム16の他の部分に90度それている。システムの長さは、EAFやBOFのような既存の冶金炉における華氏4,000度〜5,000度から華氏200度〜350度へといったような排気ガスの冷却に十分である。図1dに示すように、炉の外側の完全な冷却システムは、排ガス室48より後ろの8対のマニホルド、加えて排ガス室48の前にある2対のマニホルド、及びスモークリングから成っている。各対のマニホルドは、各4つの熱交換器パネルを具備し、総計40パネルとなり、加えてスモークリングパネル66を有する。スモークリングは、ダクトに設置する代わりに炉の蓋上に設置可能であり、この配置についての論議は下記に続く。
【0053】
図2乃至図4を参照するに、スモークリングとして構成された熱交換器システムがさらに図示され、スモークリング66は楕円形の輪である湾曲パネルを形成するよう往復しながら曲がっている波形屈曲配管から構成される。楕円形の輪は冷却水のための1つの入口及び1つの出口を備えている。あるいは、スモークリングは1つ以上の入口及び出口を具備するよう構成することができる。図示の実施例では、熱交換器10は、熱交換器をドーム型の炉蓋に設置するための3つのスモークリングブラケット64を有する。図3に示すように、配管50は左側よりも右側のほうがより圧縮され、左側のブラケット64は左側のほうが右側よりも低い。ブラケットの圧縮や異なる配置は蓋の勾配を補正し、十分に垂直である外形となる。リンク部材82は波形屈曲配管50のパネルの湾曲だけでなく、その外形をも確立する。
【0054】
図8を参照するに、EAF式炉80として例示的な炉が示されている。EAFは説明のためだけに開示されており、本発明はBOF式炉等に容易に採用可能であると理解すべきである。図8においては、EAF80は、炉用シェル12、複数の電極14、排気システム16、作業台18、ロッカ傾斜機構20、傾斜シリンダ22及び排ガス室bを含む。炉用シェル12は、ロッカ傾斜20や他の傾斜機構上に可動式に配置される。さらに、ロッカ傾斜20は、傾斜シリンダ22によって動力を供給される。ロッカ傾斜20は、作業台18の上にさらに固定される。
【0055】
炉用シェル12は、皿型炉床24、概して円柱状の側壁26、流れ口28、流れ口扉30及び概して円柱状の円形蓋32から成っている。流れ口28及び流れ口扉30は、円柱状の側壁26の片側に設置されている。開放位置では、流れ口28は侵入空気34が炉床24に入り、溶解から発生したガス36を部分的に燃焼することを可能にしている。炉床24は、従来技術において知られている適切な耐火物質で形成される。炉床24の一端には、その下端に出鋼手段38を有する鋳込み箱がある。溶解中は、出鋼手段38が耐火栓もしくはスライド可能な扉で閉められる。その後、炉用シェル12は傾き、出鋼手段38は、栓が引き抜かれ、あるいは開かれ、そして要求に応じて、溶解金属が取鍋、タンディッシュ、もしくは他の装置へ注ぎ込まれる。
【0056】
炉用シェル12の内壁26には、波形屈曲配管50の水冷パネル40がはめ込まれている。パネルは、事実上、炉80の内壁としての役割を果たす。冷水やその戻りを供給するマニホルドは、パネル40と流体連通している。典型的には、マニホルドは図示の排気ダクト44と同様の方法で周囲に配置されている。マニホルドの断面は、図8において炉用シェル12の外側に示されている。熱交換器システム10は、より効果的な操業を提供し、EAF炉10の操業寿命を引き延ばしている。1つの例示的な実施例として、パネル40は波形屈曲配管が図2乃至図4に示されたスモークリングと同等に、概して水平な向きを保つよう組み立てられている。図7に示すように、配管50はリンク部材82と結合されるか、もしくは壁94に取り付けられているベース92を具備することができる。典型的には、後者の構造では、配管はスラグを収集するためや更なる表面積を配管に追加するために細長いリッジ96を有する。或いは、図5に示すように、パネル40は、波形屈曲配管50が概して垂直な向きを保つよう取り付けられる。パネル40の上端は、炉80の側壁26部の上縁に円形リムを画成する。
【0057】
熱交換器システム10は、炉80の蓋32にはめ込むことができ、水冷パネル40が基本的に蓋32のドーム型の輪郭に略従う湾曲を有することを特徴とする。例示的に、熱交換器システム10は、炉80の側壁26の内側、蓋32、及び排気システム16の入口、並びに、排気システム16全体にも配置される。累積的に、熱交換器システムは、炉を保護し、高温排ガス36がダクトを通って、ダストが回収され、ガスが大気へ放出されるバグハウスあるいは他のろ過及び空気処理設備へ送られる間にこれを冷却する。
【0058】
作動中においては、高温排ガス36、ダスト及びヒュームは、炉用シェル12の中で炉床24から通気孔46を抜けて除去される。通気孔46は、図1及び図1a乃至図1dに示すような、ヒュームダクト44から成る排気システム16と連通する。
【0059】
図5を参照するに、パネル40は、多数の軸方向に配置されたパイプ50を具備する。U型エルボ53は、連続した配管システムを形成するために、配管もしくはパイプ50の隣接した部分的な長さを連結している。さらにスペーサとしても役立つリンク部材82は、隣接したパイプ50の間にあり、それらはパネル40の構造上の統合性を提供し、パネル40の曲率を決める。
【0060】
図7は、図5のパネル実施例の断面図である。図6に変形例が図示されており、パイプ50は管状の断面、ベース92、細長いリッジ96そしてベースプレート93を有する。ベースプレート93は、炉壁26もしくは炉蓋32に取り付けられている。配管の組合せ及び必要に応じてベースプレートがパネル40を形成し、炉の内壁を造る。パネル40が、EAFの炉床上の炉の壁26もしくはBOFのフード及びヒュームダクトを冷却する。
【0061】
パネルは、水冷され、例であってこれに限られない、カスタム溶解され、シームレスパイプ50に加工されたアルミニウム青銅合金を含む上述の任意の材料又は材料の組合せからなるものでありうる。例であってこれに限られないが、外管250は、アルミニウム青銅からなるものであってもよく、一方で内管150は、異なった等級又は厚さからなるものであっても、全体として異なる材料であってもよい。冷却ダクト44は、排気システム16に組込まれている。さらに、配管50は冷却パネル40へと形成され、蓋32とダクト44のいたるところに設置される。アルミニウム青銅合金は、望ましくは、組成式として好ましいのは、6.5%のAl、2.5%のFe、0.25%のSn、その他最大5%及びバランスにあったCuを配合していることである。しかし、組成は多様であってもよいと理解すべきであるため、Al含有量は、青銅化合物を含むそれぞれの余剰と共に5%以上11%未満とする。
【0062】
例であるがこれに限られない外側クラッディング材料250としてのアルミニウム青銅合金の使用は、炉で製鋼を行ううえで合金が優れた熱伝導率、硬度、弾性率を提供することから、先行技術の装置(すなわち炭素鋼もしくはステンレス鋼冷却システム)よりも機械的にも物理的にも向上した特性を提供する。それらの向上点を利用することにより、炉の操業寿命は直接的に延びる。
【0063】
優れた熱交換特性に加えて、合金の伸び力は鋼やステンレス鋼の伸び力よりも優れており、それによって配管やダクトワーク44が、ひび割れすることなく拡張や収縮することを可能にする。さらに、表面硬度は、排ガス屑の砂吹き効果から浸食の影響を減らすという点において、先行技術より優れている。
【0064】
図6に示されているパイプにおいては、細長いリッジ96は、スラグを収集するのに特に適したフィン又はスプラインである。管状の部分の中心線からの各側の質量は、例示的に、また概して、均等であり、そのため細長いリッジ96の質量はベース92の質量とおおよそ等しい。質量の均衡を図り、押し出しされたアルミニウム青銅合金を採用することによって、結果として得られるパイプは、応力集中部を実質的に有さない。開示されたパイプは改善された応力特性を有しており、そしてそれらのパイプで製造された熱交換器パネルは、例えば、炉の循環中における劇的な温度変化による損傷を受けにくい。
【0065】
例であるがこれに限られない炭素鋼、ステンレス鋼、及び/又はアルミニウム青銅合金といった材料の組合せとは対照的に、先行技術の配管やプレートは炭素鋼又はステンレス鋼又はアルミニウム青銅合金といった単一材料から成っている点で、例示的な熱交換器システムの構成は先行技術と異なっている。上述からわかるように、外管250にアルミニウム青銅を用いることは、他の材料に対して幾つかの利点がある。例であってこれに限られないが、アルミニウム青銅合金の組成は、酸腐食が起こりにくい。さらに、アルミニウム青銅が炭素鋼やステンレス鋼の両方よりも高い熱交換性を有すること、及び合金は熱分解しないで拡張及び収縮をする性能を有することが見いだされた。また、合金の表面硬度はいずれの鋼の硬度よりも優れており、それによりダクト/冷却システムを通る排気ガスの砂吹き効果からの表面浸食の影響が減らされる。
【0066】
他の例示的な態様では、熱交換器システムを通る冷却液と同様の流れが波形屈曲チャネルの使用によって実現している。チャネル122は、フロントプレート120とベースプレート93の間にバッフル124を置くことによって形成されている。図9は、バッフルを用いた熱交換器システム10の態様を図示している。図示の態様では、熱交換器システム10はダクト45であり、フロントプレート120はダクト45の内部に位置している。図示の態様では、ベースプレート93は、ダクト45の外壁としても機能している。ダクトは、一のダクトと他のダクトを結合するため、又は、風箱48と結合するため、又は、炉80の蓋32と結合するためのフランジ54を有している。図示の態様では、冷却液は紙面へ向かう方向に流れ込み、紙面から出る方向に流れ出している。図示するように、1つのパネル41しかなく、そのパネルは流入マニホルド(図示せず)及び流出マニホルド(図示せず)と流体連通している。マニホルドは、ベースプレート93の外部に取り付けられている。
【0067】
図10は、冷却パネル41である内部炉壁47として構成された熱交換器システム10を示している。内部炉壁47は、炉用シェル12の壁26の輪郭に従うよう製造されている。パネル41は、フロントプレート120とベースプレート93の間に取り付けられたバッフル124を有する。システムは、冷却液用の入口56及び出口58を有する。冷却水やその戻りを供給するマニホルドは、パネル41と流体連通している。1つのパネルだけが示されているが、本出願は多数のパネルを具備するよう構成されることも可能である。フロントプレート120とバッフル124は、例示的にはアルミニウム青銅合金の組成を有する。バッフルは、例示的には、長手方向のエッジ126に沿ってフロントプレートに溶接される。ベースプレートは、対向する長手方向のエッジに接着され、チャネル122を形成する。チャネル122は、図10の左側の角に見ることができる。留意すべき点は、冷却液の流れは蛇行して波状に曲がっていて、図5のように並列に設置されたパイプの組立体を通過する流れととても似ているということである。マニホルドは、態様45もしくは47には示されていないが、図2に図示して上述したように、周囲に位置づけられている。
【0068】
図11を参照するに、複数の噴射ノズル125を有するパネル43で冷却された内部炉壁49が示されている。熱交換器は、アルミニウム青銅フロントプレート120、ノズル125がはめ込まれたパイプ50、及びベースプレート93を有する。フロントプレート120は、製鋼プロセスで生じる熱、排気ガス、及びスラグに直接さらされる。ノズル125は、ベースプレートからフロントプレート120の裏面へ向かって冷却液を噴射する。
【0069】
図12は、噴射ノズル125を利用する熱交換器システムを使用して冷却される風箱48の断面図である。例示的な4つのアルミニウム青銅フロントプレート120が風箱48の内部を画成する。パイプ50上の複数のノズル125は、フロントプレート120の裏面に冷却液のパターン化された噴霧を向かわせる。ベースプレート93は、風箱48の外壁としてだけでなく、パイプ50の取付台としても作用する。フロントプレート120は、冷却液が重複パターンで噴射されるように複数のノズルから十分離されている。重複は面積を覆うのに十分であり、フロントプレートの冷却に必要な蛇行した湾曲の数を減らしている。図12に図示する態様においては、それぞれ入口56と出口58を有する2本のパイプだけの組立てが示されている。ノズルを有するより多くのパイプは表示されていない。図11を再度見直すと、パイプはU型エルボ53に連結していて、風箱48に同様の連結が使用可能である。図示のように、少なくとも1つの入口と出口を有する1つのパネル43のみが示されている。
【0070】
本発明の範囲には、他の種類の管/パイプが含まれることが認められるであろう。例えば、他の管の部分は、完全に弓状であり概して中断されていない又は平滑な外面又は外側境界252を有する一方で、例であるがこれに限られない概して平坦でありうる部分、例えばベース92を有してもよく、または突起を有してもよい。突起は、上述のフィン又はスプライン96を含んでもよく、または、水平に延びる平坦な部分又はベースから延びる羽根部を含んでもよい。或いは、平坦な部分は、切欠き又は刻み目、又は、例であるがこれに限られるものではない。例えばスラグ又はシリカを含む任意の異物の保持を促進又は阻止する要請といった、任意の種類の動作特性を最適化し又は阻止する要請に応じて、任意の他の適当な面を画成しうる。例として、切欠き又は刻み目は、例であるがこれに限られるものではない急勾配、矩形、鋸歯状、長円形等でありうる。管50の露出した平滑な/刻み目のある面の厚さは、プロセスの熱伝導と機械的要件を最適化するよう設計されうる。管50の支持部分は、例であるがこれに限られない円形、正方形、2つの半円がその端点の接線である平行線により接続された形状等を含む任意の適当な幾何学形状を有しうる。管/パイプは、プロセスにより必要であれば、熱伝導又は機器の冷却を生じさせるよう、その中を向かわされる又は流れる、例であるがこれに限られない例えば水といった液体を含む任意の流体、又は空気といった気体を有しうる。
【0071】
パイプ50の種類にかかわらず、例えば弓状、キー溝付き、平坦及び/又は切欠きのある1以上のパイプが、例えば弓状、キー溝付き、平坦及び/又は切欠きのある1以上の任意の他の種類のパイプ50との任意の組合せへと結合されうる。例であるがこれに限られるものではない例示的なパイプ50は、単独で、又は平滑な、キー溝付き、弓状、刻み目付き、切欠き付き、羽根付き、又は他の種類の任意の組合せのパイプと共に、金属プロセル装置、システム、又は機器の操業部分又は領域内に結合又は取付けられることができ、これは、例であるがこれに限られるものではない電気アーク炉(EAF)、鋳造炉、冶金炉、取鍋冶金装置、及び/又は脱気(VAD AOD等)装置における、システムの蓋、側壁、ダクト、バーナー用グランド、又は他の機器への取付を含む。パイプは、例示的には、システムの内部と壁の間の機器の中に位置する。換言すれば、パイプの伝導部分は、溶銑又はそこから発せられるガスに晒され、一方で支持部は、システムの壁、蓋、若しくは他の内部構造に直接、又は、システムに取り付けられたプレートに取り付けられる。支持部は、システムに直接に取り付けられ、又は結合されてもよく、又は、取付プレート又は他の適当な構成要素に取り付けられ、それが更に例であってこれに限られるものではないEAFといったシステムの壁、蓋等に取り付けられ、結合されてもよい。パイプ50は、伝導部分の片側又は両側へのスポット溶接を含む任意の適切な方法、又は、当業者によって知られている他の適切な方法を用いて結合されうる。同様に、支持部は、例であるがこれに限られない溶接を含む任意の適切な方法を用いて、システムの支持構造、又はプレートに取り付けられ、又は結合されうる。例であるがこれに限られない任意のガス又は液体といった任意の適切な流体は、熱伝導を容易とするようコア200を通じて向かわされうる。
【0072】
例示的に、パイプ50は、冷間圧延、熱間圧延、引抜き、押出し、又は鋳造を含む任意の適切なプロセスを用いて製造されうる。例示的に、パイプは、鉄金属、鋼、銅、鋼/鉄合金又は銅合金、ニッケル、チタン、アルミニウム青銅合金及びニッケル青銅合金を含む青銅を含む青銅合金、並びに、他の適切な材料およびその組合せから製造されうる。パイプは、継ぎ目無し又は溶接された設計でありうる。例示的に、例えば、パイプが押し出し成形された場合、中心線のいずれの側の質量も実質的に等しい。
【0073】
上述のことより、我々がアルミニウム青銅合金で構成された改善された熱交換器システムを発明し、アルミニウム青銅合金は、期待よりも高い熱伝導性、高温ガスの蒸気によるエッチングへの耐性、酸化に対する良い耐性を有することが容易にわかるであろう。更に、我々は、熱交換器及び関連する部品がアルミニウム青銅合金で製造される場合は、その腐食及び浸食が減少されるため、熱交換器の動作寿命が延びた熱交換システムを提供した。
【0074】
更に、製鋼炉から放出される排ガスの冷却に適した熱交換器システムであって、熱交換器システムが、炉の壁、炉の蓋、スモークリング排気ポート、排気ダクトの直線部分、及び排気ダクトの湾曲部分にはめ込まれうる熱交換器システムが提供される。熱交換器システムは、EAF又はBOFといった冶金炉を出る排ガスを、華氏4,000度−華氏5,0000度から華氏200度−華氏350度へと冷却する。
【0075】
本発明は、スラグを収集し、冷却するよう適合されうる熱交換器システムであって、波形屈曲配管は、細長いリッジを有する押し出し成形された継ぎ目無しのパイプであり、配管は、腐食、浸食、圧力、及び熱応力に耐える、熱交換器システムを提供する。
【0076】
また、加工工場、製紙工場、石炭火力及びガス発電所、及び他の排ガス発生源からの排ガスの冷却といった、他の用途を有することが期待され、ガスは、ガスの1以上の成分を捕捉する目的で冷却され、捕捉は、復水、炭素床吸収、又は濾過により行われる、他の用途を有する熱交換器が提供される。
【0077】
上述の説明や具体的な実施例は、本発明の最良の形態及びその原則を単に例示したものに過ぎず、当業者により本願の発明の範囲及びその精神から離れることなく、様々な修正や補強が装置に行われうると理解すべきである。
【0078】
本発明は、上述の図面及び説明において詳細に図示され説明されたが、これは例示的なものであって制限的な性質を持つものではないと考えられるべきであり、その例示的に過ぎない実施例のみが示され、説明され、また、本発明の精神の範囲内の全ての変更及び修正は、保護されることが望まれることが理解されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内管と、
前記内管を覆う外管と、
有するパイプ。
【請求項2】
前記内管と前記外管の構造は互いに異なる、請求項1記載のパイプ。
【請求項3】
前記内管は第1の選択された材料から製造され、前記外管は第2の選択された材料から製造される、請求項2記載のパイプ。
【請求項4】
前記第2の選択された材料は、鉄金属、鋼、銅、アルミニウム、鋼鉄合金、銅合金、ニッケル、チタン、青銅合金、アルミニウム青銅合金及びニッケル青銅合金からなるリストから選択され、前記第1の選択された材料は、鉄金属、鋼、銅、アルミニウム、鋼鉄合金、銅合金、ニッケル、チタン、青銅合金、アルミニウム青銅合金及びニッケル青銅合金からなるリストから選択され、前記第1の選択された材料と前記第2の選択された材料は、いくつかの点については互いに異なる、請求項3記載のパイプ。
【請求項5】
前記第2の選択された材料はアルミニウム青銅からなる、請求項4記載のパイプ。
【請求項6】
前記第2の選択された材料はアルミニウム青銅からなり、前記第1の選択された材料は、前記第2の選択された材料の等級とは異なる等級のアルミニウム青銅からなる、請求項3記載のパイプ。
【請求項7】
前記第2の選択された材料はアルミニウム青銅からなり、前記第1の選択された材料は鋼からなる、請求項3記載のパイプ。
【請求項8】
前記第2の選択された材料は銅からなり、前記第1の選択された材料は、鉄金属、鋼、銅、アルミニウム、鋼鉄合金、銅合金、ニッケル、チタン、青銅合金、アルミニウム青銅合金及びニッケル青銅合金からなるリストから選択される、請求項3記載のパイプ。
【請求項9】
前記内管は、第1の内側境界及び第1の外側境界によって画成され、前記外管は、第2の内側境界及び第2の外側境界によって画成され、前記第2の内側境界は前記第1の外側境界を覆う、請求項3記載のパイプ。
【請求項10】
前記第2の外側境界は、その上に異物が堆積することを防ぐよう形成される、請求項9記載のパイプ。
【請求項11】
前記第2の外側境界は、概して弓状である、請求項10記載のパイプ。
【請求項12】
前記第2の外側境界は、その上に異物が堆積することを促進するよう形成される、請求項9記載のパイプ。
【請求項13】
前記第2の外側境界は、1以上の細長い隆起を含む、請求項12記載のパイプ。
【請求項14】
前記第2の外側境界は、その中に切欠きを有する概して平坦な部分を含む、請求項12記載のパイプ。
【請求項15】
前記第2の外側境界は、概して平坦な部分を含む、請求項9記載のパイプ。
【請求項16】
前記第1の選択された材料は、第1の特性を活かすよう選択され、前記第2の選択された材料は、第2の特性を活かすよう選択される、請求項3記載のパイプ。
【請求項17】
前記第1の選択された材料は、第1の特性を最適化するよう選択され、前記第2の選択された材料は第2の特性を最適化するよう選択される、請求項3記載のパイプ。
【請求項18】
前記パイプは、ハーフパイプを構成する、請求項1記載のパイプ。
【請求項19】
前記パイプは、ユニタリーパイプを構成する、請求項1記載のパイプ。
【請求項20】
前記パイプは、厚肉パイプを構成する、請求項1記載のパイプ。
【請求項21】
前記パイプは、金属パイプを構成する、請求項1記載のパイプ。
【請求項22】
前記パイプは、冷間圧延、熱間圧延、引抜き、押出し及び鋳込みからなる群から選定されるプロセスにより製造される、請求項1記載のパイプ。
【請求項23】
プレートを更に含み、前記プレートと前記パイプは互いに結合される、請求項1記載のパイプ。
【請求項24】
前記第1の内側境界は、それを通して流体を運ぶよう構成された中空のコアを画成する、請求項9記載のパイプ。
【請求項25】
外管及び内管を有し、前記外管は前記内管を覆うパイプを、装置に設けるステップと、
第1の特性を生かすよう前記外管の組成を選択するステップと、
第2の特性を生かすよう前記内管の組成を選択するステップとを有する、
機器を保護する方法。
【請求項26】
前記外管の組成は前記第1の特性を最適化するよう選択され、前記外管の組成は前記第2の特性を最適化させるよう選択される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
取付部材と、
内管、及び、前記内管を覆う外管を有するパイプとを有し、
前記取付部材と前記パイプは互いに結合され、
前記内管は第1の選択された材料から製造され、前記外管は第2の選択された材料から製造される、
熱交換装置。
【請求項28】
前記第1の選択された材料は、鉄金属、鋼、銅、アルミニウム、鋼鉄合金、銅合金、ニッケル、チタン、青銅合金、アルミニウム青銅合金及びニッケル青銅合金からなるリストから選択され、前記外管は、鉄金属、鋼、銅、アルミニウム、鋼鉄合金、銅合金、ニッケル、チタン、青銅合金、アルミニウム青銅合金及びニッケル青銅合金からなるリストから選択される第2の選択された材料から製造される、請求項27記載の熱交換装置。
【請求項29】
前記取付部材はプレートからなる、請求項27記載の熱交換装置。
【請求項30】
前記プレートは、前記パイプ及び前記装置によって保護されるべき機器を一緒に取り付けるよう構成される、請求項29記載の熱交換装置。
【請求項1】
内管と、
前記内管を覆う外管と、
有するパイプ。
【請求項2】
前記内管と前記外管の構造は互いに異なる、請求項1記載のパイプ。
【請求項3】
前記内管は第1の選択された材料から製造され、前記外管は第2の選択された材料から製造される、請求項2記載のパイプ。
【請求項4】
前記第2の選択された材料は、鉄金属、鋼、銅、アルミニウム、鋼鉄合金、銅合金、ニッケル、チタン、青銅合金、アルミニウム青銅合金及びニッケル青銅合金からなるリストから選択され、前記第1の選択された材料は、鉄金属、鋼、銅、アルミニウム、鋼鉄合金、銅合金、ニッケル、チタン、青銅合金、アルミニウム青銅合金及びニッケル青銅合金からなるリストから選択され、前記第1の選択された材料と前記第2の選択された材料は、いくつかの点については互いに異なる、請求項3記載のパイプ。
【請求項5】
前記第2の選択された材料はアルミニウム青銅からなる、請求項4記載のパイプ。
【請求項6】
前記第2の選択された材料はアルミニウム青銅からなり、前記第1の選択された材料は、前記第2の選択された材料の等級とは異なる等級のアルミニウム青銅からなる、請求項3記載のパイプ。
【請求項7】
前記第2の選択された材料はアルミニウム青銅からなり、前記第1の選択された材料は鋼からなる、請求項3記載のパイプ。
【請求項8】
前記第2の選択された材料は銅からなり、前記第1の選択された材料は、鉄金属、鋼、銅、アルミニウム、鋼鉄合金、銅合金、ニッケル、チタン、青銅合金、アルミニウム青銅合金及びニッケル青銅合金からなるリストから選択される、請求項3記載のパイプ。
【請求項9】
前記内管は、第1の内側境界及び第1の外側境界によって画成され、前記外管は、第2の内側境界及び第2の外側境界によって画成され、前記第2の内側境界は前記第1の外側境界を覆う、請求項3記載のパイプ。
【請求項10】
前記第2の外側境界は、その上に異物が堆積することを防ぐよう形成される、請求項9記載のパイプ。
【請求項11】
前記第2の外側境界は、概して弓状である、請求項10記載のパイプ。
【請求項12】
前記第2の外側境界は、その上に異物が堆積することを促進するよう形成される、請求項9記載のパイプ。
【請求項13】
前記第2の外側境界は、1以上の細長い隆起を含む、請求項12記載のパイプ。
【請求項14】
前記第2の外側境界は、その中に切欠きを有する概して平坦な部分を含む、請求項12記載のパイプ。
【請求項15】
前記第2の外側境界は、概して平坦な部分を含む、請求項9記載のパイプ。
【請求項16】
前記第1の選択された材料は、第1の特性を活かすよう選択され、前記第2の選択された材料は、第2の特性を活かすよう選択される、請求項3記載のパイプ。
【請求項17】
前記第1の選択された材料は、第1の特性を最適化するよう選択され、前記第2の選択された材料は第2の特性を最適化するよう選択される、請求項3記載のパイプ。
【請求項18】
前記パイプは、ハーフパイプを構成する、請求項1記載のパイプ。
【請求項19】
前記パイプは、ユニタリーパイプを構成する、請求項1記載のパイプ。
【請求項20】
前記パイプは、厚肉パイプを構成する、請求項1記載のパイプ。
【請求項21】
前記パイプは、金属パイプを構成する、請求項1記載のパイプ。
【請求項22】
前記パイプは、冷間圧延、熱間圧延、引抜き、押出し及び鋳込みからなる群から選定されるプロセスにより製造される、請求項1記載のパイプ。
【請求項23】
プレートを更に含み、前記プレートと前記パイプは互いに結合される、請求項1記載のパイプ。
【請求項24】
前記第1の内側境界は、それを通して流体を運ぶよう構成された中空のコアを画成する、請求項9記載のパイプ。
【請求項25】
外管及び内管を有し、前記外管は前記内管を覆うパイプを、装置に設けるステップと、
第1の特性を生かすよう前記外管の組成を選択するステップと、
第2の特性を生かすよう前記内管の組成を選択するステップとを有する、
機器を保護する方法。
【請求項26】
前記外管の組成は前記第1の特性を最適化するよう選択され、前記外管の組成は前記第2の特性を最適化させるよう選択される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
取付部材と、
内管、及び、前記内管を覆う外管を有するパイプとを有し、
前記取付部材と前記パイプは互いに結合され、
前記内管は第1の選択された材料から製造され、前記外管は第2の選択された材料から製造される、
熱交換装置。
【請求項28】
前記第1の選択された材料は、鉄金属、鋼、銅、アルミニウム、鋼鉄合金、銅合金、ニッケル、チタン、青銅合金、アルミニウム青銅合金及びニッケル青銅合金からなるリストから選択され、前記外管は、鉄金属、鋼、銅、アルミニウム、鋼鉄合金、銅合金、ニッケル、チタン、青銅合金、アルミニウム青銅合金及びニッケル青銅合金からなるリストから選択される第2の選択された材料から製造される、請求項27記載の熱交換装置。
【請求項29】
前記取付部材はプレートからなる、請求項27記載の熱交換装置。
【請求項30】
前記プレートは、前記パイプ及び前記装置によって保護されるべき機器を一緒に取り付けるよう構成される、請求項29記載の熱交換装置。
【図1】
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2010−529399(P2010−529399A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510469(P2010−510469)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/064995
【国際公開番号】WO2008/150806
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(506352256)アメリファブ,インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/064995
【国際公開番号】WO2008/150806
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(506352256)アメリファブ,インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】
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