説明

識別用リストバンド

【課題】識別機能を有し、かつ構造が簡単でありながら適度な装着感をもたせることが可能な識別用リストバンドを提供する。
【解決手段】識別用リストバンド1は、短冊状の不織布製の帯状体2と、この帯状体2の一方の端部に形成され、かつ粘着剤で構成された粘着剤層3と、この粘着剤層3との接着により被装着体に対して帯状体2を装着するための被粘着部4と、前記帯状体2の一部に形成された折り込み部5とこの切り込み部5を仮止めする仮止め部6とで構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被装着者を特定又は識別する機能を有し、使用時に適度な装着感をえることが可能な識別用リストバンドに関する。
【背景技術】
【0002】
病院、遊園地、イベント会場などの多数の人々が集まる場所では、個人又は個人の属するグループを特定又は識別を必要とする場合がある。識別機能を有する媒体として、チケットやIDカード等が汎用されている。しかし、チケットやIDカード等は、収納場所(例えば、ポケットやケースなど)から取り出して提示した後、収納場所に入れる必要があり、操作が煩雑であるうえに、紛失しやすい。一方、識別表示媒体として、例えば、リストバンドが知られている。この識別用リストバンドは、識別機能の他に、つけている間、適度な装着感をえられることが求められる。また、使い捨てのものがよく使われているので、安価で製造するために、構造が簡単なものが望まれている。
【0003】
また、特に遊園地などで使用する場合は、不正な再使用を防止する必要があり、識別用リストバンドの一部に実公昭50−36949号公報(特許文献1)に開示しているような切込みと粘着剤層からなる不正な再使用を防止する構造を施したものが使用されている。すなわち、この認識用リストバンドは、帯状体をリング状の形態で被装着者に装着して粘着部と被粘着部とを粘着させた後、帯状体を粘着部から剥離すると、剥離力の伝播に伴って切り込み部により、リング状が破壊され、再使用できないように形成されている。
【0004】
しかし、このような認識用リストバンドは、一旦装着してしまうと、貼り替えることができない構造としているので、誤って被着者が窮屈だと感じるようにきつく装着してしまった場合の対処方法がないという問題があった。
【特許文献1】実公昭50−36949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、簡単な構造でありながら、装着時に適度な装着感をえることができる識別用リストバンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記課題を達成するために検討した結果、帯状体を被装着体に装着して被粘着部と粘着剤層とを粘着させてリング状態とし、仮止め部を剥離すると、仮止め部によって仮止めされていた折り込み部が広がることにより、適度な余裕がうまれることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明の識別用リストバンドは、帯状体の所定部(通常、少なくとも一方の端部)に形成された粘着剤層と、この粘着剤層との粘着により、被装着体に対して前記帯状体をリング状の形態で装着するための被粘着部と、前記帯状態の一部に仮止め部の一方に折り込み部を有し、前記仮止め部を剥離することにより折り込み部が広がることで余裕がうまれる。このような識別用リストバンドは、一旦装着した後、被装着者が窮屈だと感じても、仮接着部を剥離することで、折り込み部が広がり、適度な装着感をえることが可能である。また、帯状体に仮止め部と折り込み部とを形成すればよいため、構造も簡単で安価で製造することが可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、粘着剤層と被粘着部により識別用リストバンドを形成し、被装着者が窮屈さを感じるときには、仮止め部を剥離することにより仮止めされていた折り込み部が広がり、余裕がうまれるため、構造が簡単でありながら、被装着者が適度な装着感をえることができる。さらに、上記識別用リストバンドは仮止め部と折り込み部を形成するという簡単な構造であるため、安価に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、必要に応じて添付図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。図1は本発明の識別用リストバンドの一例を示す概略斜視図であり、図2は図1の識別用リストバンドの折り込み部の部分構成説明図であり、図3は図1の識別用リストバンドの折り込み部の部分断面図であり、図4は図1の識別用リストバンドの装着図である。
【0010】
識別用リストバンド1は、短冊状の不織布製の帯状体2と、この帯状体2の一方の端部に形成され、かつ粘着剤で構成された粘着剤層3と、この粘着剤層3との接着により被装着体に対して帯状体2を装着するための被粘着部4と、前記帯状体2の一部に形成された折り込み部5とこの切り込み部5を仮止めする仮止め部6とで構成されている。
【0011】
さらに、前記帯状体2のうち粘着剤層3と反対側の面には、模様や文字などで構成された識別表示7が付されている。なお、粘着剤層3は、剥離基材8でカバーされている。また、帯状体2の一部に形成された折り込み部5を仮止めする仮止め部6は、前記粘着剤層3と反対の面に形成し、折り込み部5の上面に剥離剤層9、仮止め剤層10、仮止め基材11の順で形成され、仮止め剤層10は、仮止め基材11でカバーされている。
【0012】
前記折り込み部5は、仮止め部を剥離すると広がるように形成される。この時、仮止め剤層10は、少なくとも仮止めを必要とする部分に仮止め剤層10を形成していればよく、折り込み部分全体に仮止め剤層10を形成してもよい。ただし、折り込み部を形成する幅は、仮止め部を剥離したときに、手首から抜けてしまうことのない範囲内で形成する。(20mm程度)
【0013】
また、帯状体2には、粘着剤層3、剥離基材8を形成した一端部分に不正な再使用を防止する切込み12が形成される。
【0014】
このような識別用リストバンド1は、粘着剤層3から剥離基材8を剥離し、粘着剤層3を被粘着部4に粘着することにより、被装着体に対して帯状体2をリング状の形態で簡単に装着できる。
【0015】
また、識別用リストバンド1は、仮止め部6を剥離させると、折り込み部5が広がり、装着者に適度な装着感をあたえることができる。
【0016】
本発明において、折り込み部は、仮接着部の剥離に伴って、折り込み部が広がればよく、折り込み部の構造は、前記構造に限定されず、例えば、折り部の数を複数設けることもできる。
【0017】
帯状体は、少なくとも丈夫で可撓性の高い種々の材料、例えば、布類、紙類、プラスチックのフィルムやシート、発泡樹脂フィルムやシート、皮革類などで構成できる。これらの材料は単独で又は2種類以上組み合わせて使用できる。
【0018】
帯状体の巾、長さに特に制限はないが、普通、巾10〜20mm、長さ100〜300mmである。
【0019】
粘着剤層は、アクリル系粘着剤やゴム系粘着剤等に代表される粘着剤を使用できる。
【0020】
粘着剤層は、帯状体の所定部に形成すればよく、被装着体の種類などに応じて適所に形成できる。好ましい態様では、粘着剤層は、帯状体の少なくとも一方の端部に形成される。
【0021】
識別表示は、必ずしも必要ではなく、帯状体の少なくとも一方の面に施されていればよく、種々の方法(印刷、シール貼着、筆記など)で施すことができ、必要であればバーコードやICチップなどを帯状体と一体化(埋設、接着などによる一体化)してもよい。
【0022】
前記構造の識別用リストバンドは、帯状体の所定部に仮止め部の剥離に伴って帯状体が広がる折り込み部を形成することにより製造できる。より具体的には、帯状体の所定部に剥離剤を塗布して剥離剤層を形成した後、剥離剤層の形成部位に折り込み部を形成してもよく、帯状体の所定部に折り込み部を形成した後、折り込み部に剥離剤を塗布して剥離剤層を形成してもよい。製造工程をより簡単にするためには、前者の方法が有利である。なお、折り込み部は、慣用の方法、例えば折り機などにより帯状体の所定部に形成することにより行うことができる。なお、折り込み部を形成する工程、仮止め部を形成する工程、粘着剤層を形成する工程、帯状体に識別表示を付する工程などの諸工程は適当な順序で行うことができ、例えば、所定の大きさと識別表示とを有する帯状体に、折り込み部と仮止め部と粘着剤層とを形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、プール、遊園地などの有料施設で、入場券、整理券、利用券などとして使用できる。例えば、年齢や身長制限のある乗り物の場合、乗車可能な乗り物か否かを識別用リストバンドの色彩や模様などにより識別することもできる。また、病院で患者や新生児を識別したり、集団検診において個人を確認したり、航空手荷物の所有者を確認するためにも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は本発明の識別用リストバンドの一例を示す概略斜視図である。
【図2】図2は図1の折り込み部の部分拡大図である。
【図3】図3は図1の折り込み部の部分構成説明図である。
【図4】図4は図1の装着図である。
【符号の説明】
【0025】
1 識別用リストバンド
2 帯状体
3 粘着剤層
4 被接着部
5 折り込み部
6 仮止め部
7 識別表示
8 剥離基材
9 剥離剤層
10 仮止め剤層
11 仮止め基材
12 不正な再使用を防止する切り込み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状体の所定部に形成された粘着剤層と、この粘着剤層との粘着により、被装着体に対して前記帯状体をリング状の形態で装着する識別用リストバンドであって、前記帯状体の一部に折り込み部と、折り込み部を仮止めする仮止め層を有する識別用リストバンドであって、前記仮止め層を剥離することによって折り込み部による余裕がうまれる識別用リストバンド。
【請求項2】
帯状体の少なくとも一方の面に識別表示が付されている請求項1記載の識別用リストバンド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate