説明

警告装置

【課題】点検作業終了後に点検用スイッチの状態が点検状態となっていることを作業者に確実に知らせることができる警告装置を得る。
【解決手段】状態が通常状態と点検状態とに切り替わる点検用スイッチ6を備えたエレベータ2を点検する際に用いられ、操作されることにより状態が活動状態と休止状態とに切り替わる端末装置4を備え、端末装置4は、警告音を発する発音部23と、警告画像を表示する表示部24とを有し、点検用スイッチ6の状態が点検状態である場合であって、状態が活動状態から休止状態に切り替わるように端末装置4が操作された場合に、端末装置4の状態が活動状態のままとなり、発音部23が警告音を発し、表示部24が警告画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、点検作業終了後に点検用スイッチの状態が点検状態となっていることを作業者に知らせるための警告装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エスカレータ本体の異常を検出する異常検出装置と、機械室の蓋が回動することによる機械室の出入口の開閉を検出する開閉検出装置と、機械室内に設けられ、操作されることにより状態が通常状態と点検状態とに入れ替わり、状態が点検状態の場合に異常検出装置の検出信号を無効にし、状態が通常状態の場合に異常検出装置の検出信号を有効にする点検用スイッチとを備えたエスカレータが知られている。このエスカレータには、点検用スイッチの状態が点検状態である場合であって、機械室の出入口が閉じられたことを開閉検出装置が検出した場合に点灯する警告用照明灯を備えた警告装置が設けられている。作業者は、機械室の出入口を開けて、点検用スイッチの状態を点検状態にした後に、エスカレータ本体の点検を行う。点検作業終了後に、作業者が点検用スイッチの状態を点検状態から通常状態に切り替えずに、機械室の出入口が閉じられた場合には、警告用照明灯が点灯する。これにより、点検用スイッチの状態が点検状態となっていることを作業者に知らせることができ、点検作業終了後に点検用スイッチの状態が点検状態のままとなってしまうことが抑制される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−24040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、作業者が警告用照明灯の点灯を見落とした場合には、点検用スイッチの状態が点検状態となっていることを作業者に知らせることができず、点検作業が終了しているにもかかわらず、点検用スイッチの状態が点検状態のままとなってしまうという問題点があった。
【0005】
この発明は、点検作業終了後に点検用スイッチの状態が点検状態となっていることを作業者に確実に知らせることができる警告装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る警告装置は、状態が通常状態と点検状態とに切り替わる点検用スイッチを備えたエレベータまたは乗客コンベヤを点検する際に用いられ、操作されることにより状態が活動状態と休止状態とに切り替わる端末装置を備え、前記端末装置は、前記点検用スイッチの状態が前記点検状態である場合であって、状態が前記活動状態から前記休止状態に切り替わるように前記端末装置が操作された場合に、状態が前記活動状態のままとなる。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る警告装置によれば、状態が通常状態と点検状態とに切り替わる点検用スイッチを備えたエレベータまたは乗客コンベヤを点検する際に用いられ、操作されることにより状態が活動状態と休止状態とに切り替わる端末装置を備え、端末装置は、点検用スイッチの状態が点検状態である場合であって、状態が活動状態から休止状態に切り替わるように端末装置が操作された場合に、状態が活動状態のままとなるので、点検作業が終了し、点検用スイッチの状態が点検状態のままで、端末装置の状態が活動状態から休止状態に切り替わるように作業者が端末装置を操作しても、端末装置の状態は活動状態のままとなる。これにより、点検作業終了後に点検用スイッチの状態が点検状態となっていることを作業者に確実に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係る警告装置を示すブロック図である。
【図2】図1の端末装置のハードウエアを示すブロック図である。
【図3】図1のスイッチ状態記憶部に予め記憶されている点検用スイッチの状態の情報を示すテーブルである。
【図4】図1の端末装置の状態が活動状態の場合の表示部の画面を示す図である。
【図5】図4の表示部の画面に警告画像が表示された状態を示す図である。
【図6】図1のスイッチ状態通知部の動作を示すフローチャートである。
【図7】図1のOS停止抑止部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る警告装置1を示すブロック図である。図において、警告装置1は、エレベータ2の動作を監視するエレベータ監視装置3と、エレベータ2を点検する際に用いられる端末装置4と、エレベータ監視装置3に接続され、エレベータ監視装置3と端末装置4との間の無線通信を可能にする無線LANアクセスポイント5とを備えている。
【0010】
エレベータ2は、操作されることにより状態が通常状態と点検状態とに切り替わる点検用スイッチ6と、点検用スイッチ6の状態等のエレベータ2の状態についての情報が入力され、かご(図示せず)の昇降を制御するエレベータ制御部7と、エレベータ制御部7に接続されたネットワーク通信部8と、ネットワーク通信部8に接続されたシリアル通信部9とを有している。
【0011】
点検用スイッチ6としては、点検作業中である旨をエレベータの表示装置(図示せず)に表示させるためのメンテナンススイッチ、かごの天井に設けられた照明装置(図示せず)を点滅点灯させるための点検スイッチ、停電時自動着床装置(図示せず)の駆動を停止させるための駆動停止スイッチ、エレベータ制御部7を収容する制御盤(図示せず)の扉の回動による操作口の開閉を検出する制御盤扉開閉スイッチ等が挙げられる。
【0012】
エレベータ監視装置3は、点検用スイッチ6の状態等のエレベータ2の状態の情報をエレベータ制御部7から読み出すエレベータ監視部10と、エレベータ監視部10が読み出したエレベータ2の状態の情報の中から点検用スイッチ6の状態の情報を読み出して、点検用スイッチ6の状態を示す信号を端末装置4に送るスイッチ状態通知部(送信装置)11と、エレベータ監視部10およびスイッチ状態通知部11のそれぞれに接続されたネットワーク通信部12と、ネットワーク通信部12に接続され、エレベータ2のシリアル通信部9に接続されたシリアル通信部13と、ネットワーク通信部12に接続され、無線LANアクセスポイント5に接続されたLAN通信部14とを有している。エレベータ制御部7およびエレベータ監視部10は、ネットワーク通信部8、シリアル通信部9、シリアル通信部13およびネットワーク通信部12を介して、互いに通信可能となっている。
【0013】
スイッチ状態通知部11は、点検用スイッチ6の状態が通常状態である場合の点検用スイッチ6の状態の情報が予め記憶される領域と、エレベータ監視部10から読み出した点検用スイッチ6の状態の情報が記憶される領域とを有している。スイッチ状態通知部11は、予め記憶されている点検用スイッチ6の状態の情報と、エレベータ監視部10から読み出した点検用スイッチ6の状態の情報とを比較して、点検用スイッチ6の状態が通常状態であるか点検状態であるかを判定する。
【0014】
端末装置4は、インテル アクティブ マネジメント テクノロジ(インテルAMT)に対応したパソコン(パーソナル コンピュータ)から構成されている。端末装置4は、操作されることにより、OS(オペレーティングシステム)が稼働している状態である活動状態と、OSが非稼働の状態である休止状態とに状態が切り替わるようになっている。端末装置4は、端末装置4の状態が活動状態のときにのみ動作する活動状態動作部15と、端末装置4が活動状態であるか休止状態であるかに関係なく動作する定常動作部16とを有している。
【0015】
活動状態動作部15は、スイッチ状態通知部11から送られた点検用スイッチ6の状態を示す信号に基づいて、点検用スイッチ6の状態の情報を記憶するスイッチ状態記憶部17と、スイッチ状態記憶部17に接続されたネットワーク通信部18と、点検作業に必要なエレベータの状態の情報がエレベータ監視部10から送られる保守ツール部19と、操作されることにより端末装置4の状態が活動状態から休止状態に切り替わるOS停止操作部20と、端末装置4の状態が活動状態から休止状態に切り替わることを抑止するOS停止抑止部21と、OSが稼働するOS部22と、警告音を発する発音部23と、警告画像を表示する表示部24とを有している。発音部23および表示部24は、OS停止抑止部21により制御されるようになっている。
【0016】
定常動作部16は、管理エンジン部25と、管理エンジン部25に接続された無線LAN通信部26と、管理エンジン部25に制御される電源管理部27とを有している。無線LANアクセスポイント5と無線LAN通信部26との間は、無線通信が行われる。電源管理部27は、端末装置4の状態が活動状態であるか休止状態であるかに関係なく、管理エンジン部25および無線LAN通信部26に通電する。したがって、管理エンジン部25、無線LAN通信部26および電源管理部27は、端末装置4の状態が活動状態であるか休止状態であるかに関係なく、動作可能となっている。また、電源管理部27は、端末装置4の状態が活動状態である場合にのみ、スイッチ状態記憶部17、ネットワーク通信部18、保守ツール部19、OS停止操作部20、OS停止抑止部21、OS部22、発音部23および表示部24に通電する。したがって、スイッチ状態記憶部17、ネットワーク通信部18、保守ツール部19、OS停止操作部20、OS停止抑止部21、OS部22、発音部23および表示部24は、端末装置4の状態が活動状態である場合にのみ、動作可能となっている。
【0017】
端末装置4の状態が活動状態である場合にのみ、エレベータ監視部10と保守ツール部19との間の通信が可能となり、スイッチ状態通知部11とスイッチ状態記憶部17との間の通信が可能となる。端末装置4が活動状態であるか休止状態であるかに関係なく、スイッチ状態通知部11と管理エンジン部25との間の通信が可能となっている。
【0018】
図2は図1の端末装置4のハードウエアを示すブロック図である。端末装置4のハードウエアは、活動状態動作部15(図1)を動作させるための活動状態動作ハードウエア部28と、定常動作部16(図1)を動作させるための定常動作ハードウエア部29と、活動状態動作ハードウエア部28および定常動作ハードウエア部29のそれぞれに電力を供給する電源供給装置30とを有している。
【0019】
活動状態動作ハードウエア部28は、CPU(セントラル プロセッシング ユニット)31と、HDD(ハード ディスク ドライブ)32と、HDD32を制御するHDDコントローラ33と、ディスプレイ34と、ディスプレイ34を制御するディスプレイコントローラ35と、スピーカ36と、スピーカ36を制御するサウンドコントローラ37と、キーボード・マウス38と、キーボード・マウス38を制御する入力コントローラ39とを有している。
【0020】
定常動作ハードウエア部29は、管理CPU40と、管理CPU40に接続されたメモリコントローラ41と、メモリコントローラ41により制御されるメモリ42と、メモリコントローラ41に接続されたI/Oコントローラ43と、無線LANインタフェース44と、不揮発性メモリ45とを有している。無線LANインタフェース44および不揮発性メモリ45は、I/Oコントローラ43に接続されている。
【0021】
図3は図1のスイッチ状態記憶部17に予め記憶されている点検用スイッチ6の状態の情報を示すテーブルである。スイッチ状態記憶部17には、メンテナンススイッチ、点検スイッチ、停電時自動着床装置の駆動停止スイッチおよび制御盤扉開閉スイッチのそれぞれの状態が通常状態である場合の各スイッチの状態の情報が予め記憶されている。メンテナンススイッチおよび点検スイッチの状態は、通常状態の場合に、オフ状態となり、点検状態の場合に、オン状態となる。駆動停止スイッチおよび制御盤扉開閉スイッチの状態は、通常状態の場合に、オン状態となり、点検状態の場合に、オフ状態となる。
【0022】
スイッチ状態記憶部17は、点検用スイッチ6の状態の情報が予め記憶される領域と、スイッチ状態通知部11から送られる点検用スイッチ6の状態を示す信号に基づいた点検用スイッチ6の状態の情報が記憶される領域とを有している。
【0023】
OS停止抑止部21(図1)には、スイッチ状態記憶部17が予め記憶している点検用スイッチ6の状態の情報と、スイッチ状態通知部11から送られる点検用スイッチ6の状態を示す信号に基づいてスイッチ状態記憶部17に記憶された点検用スイッチ6の状態の情報とが入力されるようになっている。OS停止抑止部21は、スイッチ状態記憶部17が予め記憶している点検用スイッチ6の状態の情報と、スイッチ状態通知部11から送られる点検用スイッチ6の状態を示す信号に基づいてスイッチ状態記憶部17に記憶された点検用スイッチ6の状態の情報とを比較して、点検用スイッチ6の状態が通常状態であるか点検状態であるかを判定する。
【0024】
図4は図1の端末装置4の状態が活動状態の場合の表示部24の画面を示す図である。端末装置4の表示部24の画面には、端末装置4の状態が活動状態の場合に、OS停止操作を受け付けるOS停止釦46の画像が表示される。OS停止操作部20(図1)は、OS停止釦46が押し下げられることにより、OS停止抑止部21(図1)に対して、端末装置4の状態が活動状態から休止状態に切り替わるように、OS停止の信号を送る。
【0025】
図5は図4の表示部24の画面に警告画像が表示された状態を示す図である。点検用スイッチ6の状態が点検状態である場合であって、OS停止釦46が操作された場合には、OS停止操作部20からOS停止の信号が送られるものの、OS停止抑止部21は、端末装置4の状態を活動状態のままとし、表示部24の画面に、点検用スイッチ6の状態を通常状態に戻してから作業を終了させることを指示する旨の警告文が記載された警告画像を表示させる。
【0026】
次に、スイッチ状態通知部11の動作について説明する。図6は図1のスイッチ状態通知部11の動作を示すフローチャートである。まず、スイッチ状態通知部11は、エレベータ制御部7から点検用スイッチ6の状態の情報を読み出す(ステップS1)。
【0027】
その後、スイッチ状態通知部11は、読み出した点検用スイッチ6の状態の情報に基づいて、点検用スイッチ6の中の何れかのスイッチの状態が点検状態であるか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2で、点検用スイッチ6の中の何れのスイッチの状態も点検状態ではないとスイッチ状態通知部11が判定すると、ステップS1が繰り返される。
【0028】
一方、ステップS2で、点検用スイッチ6の中の何れかのスイッチの状態が点検状態であるとスイッチ状態通知部11が判定すると、スイッチ状態通知部11は、スイッチ状態通知部11とスイッチ状態記憶部17との間での通信が可能か否かを判定する(ステップS3)。ステップS3で、スイッチ状態通知部11とスイッチ状態記憶部17との間での通信が可能であるとスイッチ状態通知部11が判定すると、スイッチ状態通知部11は、スイッチ状態記憶部17に対して、点検用スイッチ6の状態を示す信号を送る(ステップS4)。このとき、スイッチ状態通知部11は、点検用スイッチ6の状態が点検状態であれば、点検用スイッチ6の状態が点検状態であることを示す点検状態信号を送り、点検用スイッチ6の状態が通常状態であれば、点検用スイッチ6の状態が通常状態であることを示す通常状態信号を送る。
【0029】
その後、スイッチ状態通知部11は、点検用スイッチ6の中の全てのスイッチの状態が通常状態であるか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5で、点検用スイッチ6の中の全てのスイッチの状態が通常状態であるとスイッチ状態通知部11が判定すると、ステップS1に戻る、一方、ステップS5で、点検用スイッチ6の中の何れかのスイッチの状態が点検状態であるとスイッチ状態通知部11が判定すると、ステップS3に戻る。これにより、点検用スイッチ6の状態が点検状態の場合に、点検状態信号がスイッチ状態記憶部17に定期的に送られ、点検用スイッチ6の状態が点検状態から通常状態に切り替わった直後に、点検状態信号が送られることが停止され、通常状態信号がスイッチ状態記憶部17に一時的に送られ、その後、スイッチ状態記憶部17へ通常状態信号が送られることが停止される。
【0030】
一方、ステップS3で、スイッチ状態通知部11とスイッチ状態記憶部17との間での通信が可能ではないとスイッチ状態通知部11が判定すると、スイッチ状態通知部11は、管理エンジン部25に対して、OS部22を起動させることを指示する信号を送る。これにより、管理エンジン部25の制御により、OS部22が起動する(ステップS6)。その後、エレベータ監視装置3のネットワーク通信部12と端末装置4のネットワーク通信部18との間が互いに通信可能となり、スイッチ状態通知部11とスイッチ状態記憶部17との間の通信が可能となる(ステップS7)。その後、ステップS4に進む。
【0031】
次に、OS停止抑止部21の動作について説明する。図7は図1のOS停止抑止部21の動作を示すフローチャートである。まず、OS停止抑止部21は、OS停止操作部20からOS停止の信号を受けたか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11で、OS停止操作部20からOS停止の信号を受けていないとOS停止抑止部21が判定すると、ステップS11が繰り返される。
【0032】
一方、ステップS11で、OS停止操作部20からOS停止の信号を受けたとOS停止抑止部21が判定すると、OS停止抑止部21は、スイッチ状態記憶部17から点検用スイッチ6の状態の情報を読み出す(ステップS12)。
【0033】
その後、OS停止抑止部21は、点検用スイッチ6の中の何れかのスイッチの状態が点検状態であるか否かを判定する(ステップS13)。ステップS13で、点検用スイッチ6の中の何れかのスイッチの状態が点検状態であるとOS停止抑止部21が判定すると、OS停止抑止部21は、OS部22を停止させず、一定時間、表示部24に警告画像を表示させ、さらに、発音部23に警告音を発せさせ(ステップS14)、ステップS1に戻る。
【0034】
一方、ステップS13で、点検用スイッチ6の中の全てのスイッチの状態が通常状態であるとOS停止抑止部21が判定すると、OS停止抑止部21は、表示部24に通常画像を表示させ(ステップS15)、その後、OS部22を停止させる(ステップS16)。
【0035】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係る警告装置1によれば、状態が通常状態と点検状態とに切り替わる点検用スイッチ6を備えたエレベータ2を点検する際に用いられ、操作されることにより状態が活動状態と休止状態とに切り替わる端末装置4を備え、端末装置4は、点検用スイッチ6の状態が点検状態である場合であって、状態が活動状態から休止状態に切り替わるように端末装置4が操作された場合に、状態が活動状態のままとなるので、点検作業が終了し、点検用スイッチ6の状態が点検状態のままで、端末装置4の状態が活動状態から休止状態に切り替わるように作業者が端末装置4を操作しても、端末装置4の状態は活動状態のままとなる。これにより、点検作業終了後に点検用スイッチ6の状態が点検状態となっていることを作業者に確実に知らせることができる。
【0036】
また、端末装置4は、点検用スイッチ6の状態が点検状態である場合であって、状態が活動状態から休止状態に切り替わるように端末装置4が操作された場合に警告音を発する発音部23を有しているので、点検用スイッチ6の状態が点検状態のままで、端末装置4の状態が活動状態から休止状態に切り替わるように端末装置4が操作された場合に、発音部23が警告音を発し、点検用スイッチ6の状態が点検状態となっていることを作業者にさらに確実に知らせることができる。
【0037】
また、端末装置4は、点検用スイッチ6の状態が点検状態である場合であって、状態が活動状態から休止状態に切り替わるように端末装置4が操作された場合に警告画像を表示する表示部24を有しているので、点検用スイッチ6の状態が点検状態のままで、端末装置4の状態が活動状態から休止状態に切り替わるように端末装置4が操作された場合に、表示部24が警告画像を表示し、点検用スイッチ6の状態が点検状態となっていることを作業者にさらに確実に知らせることができる。
【0038】
また、警告装置1は、点検用スイッチ6の状態が点検状態の場合にのみ、点検用スイッチ6の状態が点検状態であることを示す点検状態信号を端末装置4に送るスイッチ状態通知部11を備えているので、点検用スイッチ6の状態が点検状態の場合に、点検用スイッチ6の状態が点検状態であることを端末装置4に確実に通知することができる。
【0039】
また、スイッチ状態通知部11は、点検状態信号を端末装置4に定期的に送るので、スイッチ状態通知部11と端末装置4との間の通信が一時的に不能となった場合であっても、スイッチ状態通知部11と端末装置4との間の通信が回復した後に、点検用スイッチ6の状態が点検状態であることを端末装置4に確実に通知することができる。
【0040】
また、スイッチ状態通知部11は、点検用スイッチ6の状態が通常状態の場合にのみ、点検用スイッチ6の状態が通常状態であることを示す通常状態信号を端末装置4に送るので、点検用スイッチ6の状態が通常状態であることを端末装置4に確実に通知することができる。
【0041】
また、スイッチ状態通知部11は、通常状態信号を一時的に送るので、点検用スイッチ6の状態が通常状態に戻った後に、継続して通常状態信号が端末装置4に送られることが防止される。
【0042】
また、端末装置4は、端末装置4の状態が休止状態である場合であって、点検用スイッチ6の状態が点検状態の場合に、状態が休止状態から活動状態に切り替わるので、作業者が端末装置4を休止状態のままで、点検用スイッチ6の状態が点検状態となるように点検用スイッチ6を操作すると、端末装置4の状態が休止状態から活動状態に切り替わる。これにより、点検用スイッチ6が点検状態となっていることを作業者により確実に知らせることができる。
【0043】
なお、上記実施の形態1では、エレベータ2を点検する際に用いられる端末装置4を備えた警告装置1について説明したが、エスカレータや動く歩道等の乗客コンベヤを点検する際に用いられる端末装置4を備えた警告装置1であってもよい。
【0044】
また、上記実施の形態1では、点検用スイッチ6の状態の情報がエレベータ監視装置3および無線LANアクセスポイント5を介して端末装置4に入力される構成について説明したが、点検用スイッチ6の状態の情報が点検用スイッチ6から直接的に端末装置4に入力される構成や、点検用スイッチ6の状態の情報がエレベータ監視装置3および無線LANアクセスポイント5を介さずにエレベータ制御部7から端末装置4に入力される構成であってもよい。
【0045】
また、上記実施の形態1では、端末装置4の休止状態として、OSが非稼働である状態を例に説明したが、端末装置4の休止状態としては、OSが動作せず、発音部23や表示部24などにより作業者に警告を通知する手段が動作不可となる状態、例えば、ハイバネーション(実行状態のHDDへの退避、CPU、メモリへの電力供給停止)やサスペンド(実行状態をメモリに維持したままCPUを省電力モードに移行し、HDD、I/O類等への電力供給停止)等の状態であってもよい。
【0046】
また、上記実施の形態1では、OS停止操作部20がOS停止釦46の押し下げによりOS停止抑止部21に対してOS停止の信号を送る構成について説明したが、端末装置4の停止スイッチ(作業者が直接操作するものや、ノート型パソコンを折りたたむことに連動して入り切りするもの)に連動して、OS停止操作部20がOS停止抑止部21に対してOS停止の信号を送る構成であってもよい。
【0047】
また、上記実施の形態1では、エレベータ監視装置3と端末装置4との間の通信が無線により行われる構成について説明したが、エレベータ監視装置3と端末装置4との間の通信が有線により行われる構成であってもよい。
【0048】
また、上記実施の形態1では、スイッチ状態通知部11が読み出した点検用スイッチ6の状態が点検状態である場合に、スイッチ状態通知部11がスイッチ状態記憶部17に点検用スイッチ6の状態の情報を送る構成について説明したが、スイッチ状態通知部11が読み出した点検用スイッチ6の状態が点検状態であるか通常状態であるかに関係なく、スイッチ状態通知部11がスイッチ状態記憶部17に点検用スイッチ6の状態の情報を送る構成であってもよい。
【0049】
また、上記実施の形態1では、スイッチ状態記憶部17が予め記憶している点検用スイッチ6の状態の情報と、スイッチ状態通知部11から送られる点検用スイッチ6の状態の情報とを比較して、点検用スイッチ6の状態が通常状態であるか点検状態であるかをOS停止抑止部21が判定する構成について説明したが、点検用スイッチ6の状態の情報から点検用スイッチ6の状態が通常状態であるか点検状態であるかについてスイッチ状態記憶部17が判定してもよい。スイッチ状態記憶部17が判定する場合には、判定結果がOS停止抑止部21に送られる。また、スイッチ状態通知部11の判定結果がスイッチ状態記憶部17やOS停止抑止部21に送られる構成であってもよい。
【0050】
また、上記実施の形態1では、点検用スイッチ6として、点検作業中である旨をエレベータの表示装置(図示せず)に表示させるためのメンテナンススイッチ、かごの天井に設けられた照明装置(図示せず)を点滅点灯させるための点検スイッチ、停電時自動着床装置(図示せず)の駆動を停止させるための駆動停止スイッチ、エレベータ制御部7を収容する制御盤(図示せず)の扉の回動による操作口の開閉を検出する制御盤扉開閉スイッチを例に挙げて説明したが、これらのスイッチに限らず、その他のスイッチであってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 警告装置、2 エレベータ、3 エレベータ監視装置、4 端末装置、5 無線LANアクセスポイント、6 点検用スイッチ、7 エレベータ制御部、8 ネットワーク通信部、9 シリアル通信部、10 エレベータ監視部、11 スイッチ状態通知部(送信装置)、12 ネットワーク通信部、13 シリアル通信部、14 LAN通信部、15 活動状態動作部、16 定常動作部、17 スイッチ状態記憶部、18 ネットワーク通信部、19 保守ツール部、20 OS停止操作部、21 OS停止抑止部、22 OS部、23 発音部、24 表示部、25 管理エンジン部、26 無線LAN通信部、27 電源管理部、28 活動状態動作ハードウエア部、29 定常動作ハードウエア部、30 電源供給装置、31 CPU、32 HDD、33 HDDコントローラ、34 ディスプレイ、35 ディスプレイコントローラ、36 スピーカ、37 サウンドコントローラ、38 キーボード・マウス、39 入力コントローラ、40 管理CPU、41 メモリコントローラ、42 メモリ、43 I/Oコントローラ、44 無線LANインタフェース、45 不揮発性メモリ、46 OS停止釦。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
状態が通常状態と点検状態とに切り替わる点検用スイッチを備えたエレベータまたは乗客コンベヤを点検する際に用いられ、操作されることにより状態が活動状態と休止状態とに切り替わる端末装置を備え、
前記端末装置は、前記点検用スイッチの状態が前記点検状態である場合であって、状態が前記活動状態から前記休止状態に切り替わるように前記端末装置が操作された場合に、状態が前記活動状態のままとなることを特徴とする警告装置。
【請求項2】
前記端末装置は、前記点検用スイッチの状態が前記点検状態である場合であって、状態が前記活動状態から前記休止状態に切り替わるように前記端末装置が操作された場合に警告音を発する発音部を有していることを特徴とする請求項1に記載の警告装置。
【請求項3】
前記端末装置は、前記点検用スイッチの状態が前記点検状態である場合であって、状態が前記活動状態から前記休止状態に切り替わるように前記端末装置が操作された場合に警告画像を表示する表示部を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の警告装置。
【請求項4】
前記点検用スイッチの状態が前記点検状態の場合にのみ、前記点検用スイッチの状態が前記点検状態であることを示す点検状態信号を前記端末装置に送る送信装置をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の警告装置。
【請求項5】
前記送信装置は、前記点検状態信号を定期的に送ることを特徴とする請求項4に記載の警告装置。
【請求項6】
前記送信装置は、前記点検用スイッチの状態が前記通常状態の場合にのみ、前記点検用スイッチの状態が通常状態であることを示す通常状態信号を前記端末装置に送ることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の警告装置。
【請求項7】
前記送信装置は、前記通常状態信号を一時的に送ることを特徴とする請求項6に記載の警告装置。
【請求項8】
前記端末装置は、前記端末装置の状態が前記休止状態である場合であって、前記点検用スイッチの状態が前記点検状態の場合に、状態が前記休止状態から前記活動状態に切り替わることを特徴とする請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の警告装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−162380(P2012−162380A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26080(P2011−26080)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】