説明

警報システム、警報装置、プログラムおよび警報方法

【課題】道路に規制部材を配置した上で保全作業を行う際のもらい事故から作業者を守ることを、作業者自身が簡単な操作でかつ低コストに実現する。
【解決手段】この警報システムは、道路上にコーン1を点在させて車両の走行レーンを規制し、走行レーンとは反対の側に設けた所定の作業場所において道路の上流方向に向けて画像を撮影するカメラ22と、このカメラ22により順次撮影される道路の画像を基に、車両が走行しない安全エリアを定義するエリア定義部32と、道路の画像の安全エリアを監視する監視部33と、安全エリアにおける画像の変化が検出された場合、発報する警報発生部34とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路で作業を行うための警報システム、警報装置、プログラムおよび警報方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば高速道路などの道路では、その一部区間で保全作業を行う場合、事故防止のために、保全作業を行う区間の数百メートル手前の位置に、例えばロードコーン類、フェンス類、バリケード類などの規制部材をおくことで、車両が走行するレーンを規制している。
【0003】
しかし、高速道路では、ハンドル操作のミスが事故に直結するため、例えば脇見運転、居眠り運転などで、車両が規制部材を突破して保全作業の現場に飛び込む事故(もらい事故)が後を絶たず、作業者を守るための対策が急務になっている。
【0004】
道路における事故防止技術としては、例えばレーダー装置または遠隔用のステレオカメラなどを搭載した保全作業用の車両を作業現場の端に配置し、車の流れの上流側から近づいてくる車両との距離を計測し、通行車両が現場に接近する可能性がある場合に警報する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−251637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記技術の場合、レーダー装置またはステレオカメラなどの機器は、高速走行する車両を捕捉するため、作業現場の先頭に配置しなければならず、その前に規制部材などを設置した場合、それが障害物になり、走行する車両との距離がうまく計測できず、規制部材を設置する現場には向かないという問題があった。
【0007】
また、レーダー装置または遠隔用のステレオカメラなどの機器は、道路保全用の機器とは異なる特殊な機器であり高価であり、導入コストがかかる。
さらに、上記機器は特殊な機器であることから保全作業を行う作業者とは別に専任のオペレータが必要であり、その都度、現場へ派遣する必要があり、これも機器導入の妨げとなる要因になる。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、道路に規制部材を配置した上で保全作業を行う際のもらい事故から作業者を守ることを、作業者自身が簡単な操作でかつ低コストに実現できる警報システム、警報装置、プログラムおよび警報方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の警報システムは、道路上に規制部材を点在させて車両の走行レーンを規制し、前記走行レーンとは反対の側に設けた所定の作業場所において前記道路の上流方向に向けて画像を撮影するカメラと、前記カメラにより撮影される道路の画像を記憶する記憶部と、前記記憶部から読み出した一つ以上の道路の画像を基に、車両が走行しない安全エリアを定義するエリア定義部と、前記カメラにより所定間隔をおいて撮影された複数の道路の画像を前記記憶部から読み出して、前記エリア定義部により定義された安全エリアの画像を監視し前記画像の変化の有無を検出する監視部と、前記監視部により前記安全エリアにおける画像の変化が検出された場合、発報する警報発生部とを具備することを特徴とする。
【0010】
本発明の警報装置は、道路上に規制部材を点在させて車両の走行レーンを規制し、前記走行レーンとは反対の側に設けた所定の作業場所において前記道路の上流方向に向けて画像を撮影するカメラにより撮影される道路の画像を記憶する記憶部と、前記記憶部から読み出した一つ以上の道路の画像を基に、車両が走行しない安全エリアを定義するエリア定義部と、前記カメラにより所定間隔をおいて撮影された複数の道路の画像を前記記憶部から読み出して、前記エリア定義部により定義された安全エリアの画像を監視し前記画像の変化の有無を検出する監視部と、前記監視部により前記安全エリアにおける画像の変化が検出された場合、発報する警報発生部とを具備することを特徴とする。
【0011】
本発明のプログラムは、道路上に規制部材を点在させて車両の走行レーンを規制し、前記走行レーンとは反対の側に設けた所定の作業場所において前記道路の上流方向に向けて画像を撮影するカメラが接続された情報処理装置に処理を実行させるプログラムにおいて、前記カメラにより撮影される道路の画像を記憶する記憶部と、前記記憶部から読み出した一つ以上の道路の画像を基に、前記車両が走行しない安全エリアを定義するエリア定義部と、前記カメラにより所定間隔をおいて撮影された複数の道路の画像を前記記憶部から読み出して、前記エリア定義部により定義された安全エリアの画像を監視し前記画像の変化の有無を検出する監視部と、前記監視部により前記安全エリアの画像の変化が検出された場合、前記作業場所に配置された警報機器に対して警報信号を送出する警報発生部として前記情報処理装置を機能させることを特徴とする。
【0012】
本発明の警報方法は、道路上に規制部材を点在させて車両の走行レーンを規制し、前記走行レーンとは反対の側に設けた所定の作業場所において前記道路の上流方向に向けてカメラが道路の画像を撮影するステップと、前記カメラにより撮影される道路の画像を記憶部に記憶するステップと、前記記憶部から読み出した一つ以上の道路の画像に、車両が走行しない安全エリアを定義するステップと、前記カメラにより所定間隔をおいて撮影された複数の道路の画像を前記記憶部から読み出して、定義された安全エリアの画像を監視し前記画像の変化の有無を検出するステップと、前記安全エリアの画像の変化が検出された場合、前記作業場所に配置された警報機器から発報するステップと
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、道路に規制部材を配置した上で保全作業を行う際に、車両が規制部材を突破して作業現場に飛び込むような事態が発生したときに作業者を守ることを低コストに実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】警報システムの機器配置図である。
【図2】第1実施形態の構成を示すブロック図である。
【図3】PCの動作を示すフローチャートである。
【図4】カメラにより撮像された画像の一例を示す図である。
【図5】図4の画像をコーン検知により区画した状態を示す図である。
【図6】第2実施形態の構成を示すフローチャートである。
【図7】単管バリケードを示す図である。
【図8】A型バリケードを示す図である。
【図9】フェンス類を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の警報システムに係る一つの実施の形態を詳細に説明する。図1は警報システムの機器配置図、図2は第1実施形態の構成を示すブロック図である。
【0016】
図1、2に示すように、この警報システムは、ロードコーン1(以下「コーン1」と称す)などの規制部材、標識車2、監視装置としてのコンピュータ3(以下「PC3」と称す)、送信機5、受信機6、例えばサイレン41、回転灯42、LEDサインライト43、振動装置付き安全チョッキ44などの警報機器を有線(通信ケーブル)または無線ネットワークで接続して構成されている。
【0017】
このような高速道路の保全作業を行う上では、道路上にコーン1などの規制部材を点在させて車両7が走行する走行レーンを規制し、走行レーンとは反対の側に作業場所である作業現場が設けられる。作業現場には、例えばショベルカー40などの工事車両が配置される。
【0018】
コーン1は、例えば60cm程度の高さの円錐形状で複数の色で着色したものであり、道路の規制部材としては、例えば赤色の地に白色の反射テープを巻いたものが一般に用いられる。すなわちコーン1は、高速道路などの道路の保全作業を行う上で、道路上に点在させて車両7が走行する走行レーンを規制するものである。
【0019】
標識車2は、トラックの座席側にPC3が配置され、荷台部分の車両の高い位置に電光掲示板21(以下「看板21」と称す)とカメラ22を搭載したものである。
【0020】
看板21は、複数のLEDランプからなり、個々のLEDランプを点灯させて文字を描き、作業帯の直前(数十m)の位置に停車させた標識車2の方向に向かってくる車両(のドライバー)に対し、工事が行われていることを警告するためのものである。
【0021】
カメラ22は、例えばCCDカメラなどであり、車載された看板21の最上部に設置されている。カメラ22は、看板21を車道の方向に向けることでアングル(撮像範囲)を後方の道路に向け、道路の上流(車両が向かってくる方向)を連続して撮像する。なおカメラ22は、三脚などの支持部材を利用して路面に立設してもよい。
【0022】
カメラ22の撮像方向は、車両が向かってくる方向、つまり道路の上流であり、アングルが作業者によって調整される。すなわち、カメラ22は、アングルを工事現場の後方(車両が向かってくる方向)の道路に向けて画像を順次撮影する。アングル(撮像範囲)には、道路とそこに点在するコーン1が含まれることになる。
【0023】
PC3は、CPU、メモリ31などを備えた汎用のノート型コンピュータまたはタブレット型PCなどの情報処理装置であり、カメラ22により撮像された連続する画像(動画像)をメモリ31に取り込み、その画像に保全作業を行うエリア(安全エリア)を定義し、この安全エリアの画像に変化が生じた場合、警報信号を各警報機器へ送信する。
【0024】
PC3には画像処理および警報ソフトウェアがインストールされている。画像処理および警報ソフトウェアは、画像取得部30、エリア定義部32は、監視部33、警報発生部34などの機能を有している。
【0025】
画像取得部30は、カメラ22により所定の時間的な間隔をおいて撮影される複数の道路の画像を取得し、メモリ31に順次バッファリング(一時記憶)する。カメラ22により、所定間隔をおいて、例えば一秒間に数枚から数十枚程度の画像が撮影される。この場合、メモリ31には数秒から数十秒間分の画像が保持される。画像取得部30は、メモリ31に対して古い順に新しい画像を上書きすることを繰り返す。
【0026】
エリア定義部32は、カメラ22により撮像された画像に含まれるコーン1のみか、またはコーン1および車両7,7aを識別する。エリア定義部32は、識別したその点在するコーン1を結ぶ線分を生成しその線分を境界にして画像を2つの区域に区画する。エリア定義部32は、区画した線分(境界)の位置から標識車2が存在する側の区域とこの区域の反対側の区域(車両7が通行している側の区域)に区画(分類)する。
【0027】
ここで、境界から標識車2側の区域を安全領域(安全エリア)、境界から車両7が通行している側の区域を危険領域(非安全エリア)と定義し、そのエリア定義情報をメモリ31に記憶する。
【0028】
エリア定義部32は、メモリ31から読み出した道路の画像から、予め設定された、コーン1の画像および車両7,7aの画像を識別する識別部として機能する。またエリア定義部32は、識別された、点在するコーン1の画像を結ぶ線分を生成し、その線分を境界にして車両の画像が含まれる側を車両が走行する非安全エリア、その反対側を車両が走行しない安全エリアとして画像を区画する区画部として機能する。なお、コーン1の画像のみを識別する場合は、標識車2が設置されている側を安全エリアとして定義する。
【0029】
すなわち、エリア定義部32は、メモリ31から読み出した道路の画像に、車両が走行する非安全エリアと車両が走行しない安全エリアとを定義する。
【0030】
監視部33は、メモリ31に記憶されたエリア定義情報に基づいて、カメラ22から順次メモリ31に取り込まれる前後の画像を比較し、安全エリアの部分の画像の変化を監視することで、コーン1を突破して安全エリア内に進入する車両の有無を判定する。
【0031】
すなわち、監視部33は、カメラ22により所定間隔をおいて撮影された複数の道路の画像をメモリ31から読み出して、エリア定義部32により定義された安全エリアの画像を監視し画像の変化の有無を検出する。
【0032】
なお、前後の画像の比較ではなく、例えば車両、規制部材(コーン、フェンス、バリケードなど)の画像をメモリ31に予めテンプレートとして保持しておき、車両や規制部材のテンプレートと類似する輪郭および/または配色を持つ画像が、撮影された画像に含まれているか否かを判定することで、危険車両7aとコーン1の位置関係から危険車両7aがコーンを突破したことを検出してもよい。
【0033】
そして、安全エリアに侵入する危険車両7aにより、メモリ31に取り込まれた前後の画像に変化が生じた場合、監視部33は、警報発生部34を制御して、警報信号を送信機5を通じて作業現場に設置された各警報機器へ無線送信し、各々の警報機器を動作させて発報させ、作業現場の作業者へ音声、映像、光、振動などで危険を知らせ、作業者が避難のために要する時間を確保する。
【0034】
すなわち、監視部33は、カメラ22により連続して撮影された複数の道路の画像をメモリ31から読み出し、安全エリアにおける前後の画像どうしの差分検出を行う差分検出部として機能する。
【0035】
警報発生部34は、送信機5に対して警報信号を送る。つまり警報発生部34は、監視部33からの制御により、作業者に危険を知らせるための発報信号を発生し送信機5へ出力する。
【0036】
送信機5は例えば接点入力特小無線送信機であり、警報発生部34から入力された警報信号を無線通信する。受信機6は、作業現場に設置されており、送信機5から送信された警報信号を受信し各警報機器を動作させる。
【0037】
すなわち、警報発生部34、送信機5、受信機6および各警報機器は、監視部33により安全エリアにおける画像の変化が検知された場合、発報する発報部として機能する。
【0038】
ここで、図3乃至図5を参照して道路の保全工事の際の作業手順と各機器の動作を説明する。
【0039】
まず、路上工事を実施するための準備作業として道路上にコーン1を所定の間隔で置いてゆき、車両7が走行する通路(走行レーン)を規制する区間を設け、この区間のコーン1で規制した反対の側を保全工事の作業帯とし、この作業帯の車両進行方向最前部に作業現場を設ける。
【0040】
作業者は、作業帯の内側を安全エリアとし、安全エリアの中に設けた作業現場に各警報機器を設置する。
【0041】
安全確保のために、作業者はコーン1を10m〜20m間隔で作業帯の上流数km手前に設置する。そして、作業現場の手前から道路の上流に向かって安全エリアを見通すようにカメラ22のアングルを向けて標識車2を停車させる。したがってカメラ22で撮像される道路の画像の中には、コーン1が点在することとなる。
【0042】
続いて、保全作業を開始する前に、PC3のセッティングを行う。
作業者は、PC3の画像処理および警報ソフトウェアを起動する。すると、画像取得部30が、カメラ22に道路の画像を撮像させて(図3のステップS101)、それをPC3側に取り込み、メモリ31に記憶する(ステップS102)。
【0043】
このときの道路の画像を図4に示す。
道路の画像がメモリ31に記憶されると、エリア定義部32は、その画像に含まれるコーン1(の画像)を識別し、画像上のコーン1の位置を特定する(ステップS103)。
【0044】
次に、エリア定義部32は、図5に示すように、道路の画像に点在する複数のコーン1の画像のエッジ部分(または中心位置)を結んだ線分51を生成し、その線分51を境界にして、道路の画像を2つの区域(エリア)に区画(分類)する(ステップS104)。
【0045】
換言すると、エリア定義部32は、区画した境界に対して標識車2側の区画とその区画の反対側の区域に区画する。
【0046】
ここで、エリア定義部32は、境界である線分51に対して、標識車2側の区画を安全領域(安全エリア52)、境界から車両7が通行している側の区画を危険領域(非安全エリア51)と定義する。
【0047】
以降、PC3では、監視部33が安全エリア52を監視対象としてそのエリア52の画像の変化の有無を監視し(ステップS105)、安全エリア52に変化が生じた場合(ステップS106のYes)、監視部33は作業現場の各警報機器に発報させるため、発報信号を送信機5から送信する(ステップS107)。
【0048】
すなわち、監視部33は、メモリ31に設定されたエリア定義情報の中で、安全エリア52の画像の変化の有無を監視し、コーン1を突破して安全エリア52側に侵入した車両7aのため、安全エリア52の画像が変化した場合、警報発生部34を制御して、直ちに作業者に危険を知らせる警報信号を送信機5から受信機6へ送信させ、受信機6が警報信号を受信することで、サイレン41、回転灯42、LEDサインライト43、振動装置付き安全チョッキ44などの警報機器を動作させて発報し、作業者へ危険を通知し、作業者が避難のために要する時間を確保する。
【0049】
作業者が避難のために要する時間は、道路の形状・視界内の有効距離にもよるが、仮に5秒間と定義する。高速道路上では、車両が例えば100km/h程度の速度で走行していたのであれば138m、50km/h程度であれば69m、作業帯の手前で検知する必要がある。
【0050】
以上のようにこの第1実施形態によれば、道路にコーン1などの規制部材を配置した上で保全作業を行う際に、道路の保全作業に用いる機材の他に、コンピュータ3とカメラ22を導入するだけで、危険車両7aがコーン1を突破して作業現場に飛び込む、いわゆる「もらい事故」から作業者を守ることができる。
また、カメラ22の方向をセッティングし、コンピュータ3のソフトウェアを起動し、実行操作をすれば、コーン1を起点とした境界の区画から安全エリアの設定および監視までの一連の動作が自動的に行われるので、保全作業の作業者自身が、警報システムに関する全ての作業を行うことができる。
つまり、道路の保全作業の際に車両の飛び込み事故から作業者の身を守ることを、作業者自身が簡単な操作でかつ低コストに実現することができる。
【0051】
次に、図6を参照して第2実施形態について説明する。なお上記第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付しその説明は省略する。
【0052】
図6に示すように、この第2実施形態は、入力部35を備える。入力部35は、例えばPC3のキーボード、マウス等の標準装備品である。この他、PC3がタブレットPCなどの場合は手書きペン入力装置などを用いてもよい。入力部35は、メモリ31から読み出した道路の画像に対して区分線を描くか、または画像のコーン1が配置された位置など、画像上のいくつかのポイントを指定するものであり、この場合、エリア定義部32は、描かれた区分線またはいくつか指定されたポイントの位置から安全エリア52を定義する。手書きペン入力装置には、例えば汎用のペンタブレット、デジタイザ、液晶ペンタブレットなどが用いられる。
【0053】
すなわち、エリア定義部32は、入力部35により区分線が入力された場合、その区分線を境界にして道路の画像を車両が走行しない安全エリアと車両が走行する非安全エリアに区画(定義)する。
【0054】
またエリア定義部32は、入力部35により画像上にいくつかのポイントが指定された場合は、指定されたいくつかのポイントを結ぶ(繋ぐ)ことにより囲まれた区域(領域)を安全エリアとして設定(定義)する。
【0055】
この第2実施形態では、カメラ22から得た道路の画像では、第1実施形態のように、コーン1を結んで線分を生成し、境界から二つの区域に区画できない場合、PC3の操作者(作業者)が入力部35から直接、安全エリアを指定することで、監視対象のエリアを確実に定義することができる。
【0056】
以上のようにこの第2実施形態によれば、カメラ22で撮影した道路の画像からでは、エリアが定義できない場合、手動操作で監視対象のエリアを定義することができる。
【0057】
なお、本願発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形(要素の一部削除、実施形態間の要素の組み合わせの変更など)してもよい。
【0058】
上記実施形態では、規制部材として、コーン1を例示したが、これ以外に、例えば図7に示すような単管バリケード71、図8に示すようなA型バリケード72などのバリケード類や、図9に示すようなフェンス類73などを、道路の画像から線分を生成する際の素材として利用してもよい。これらの規制部材は、単独で利用してもまた組み合わせて利用してもよい。すなわち、規制部材として、コーン類、バリケード類、フェンス類の中の少なくとも一つを用いる。また走行する車両から見える規制部材であれば、例示した以外のものであってもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、エリア定義部32は、道路上に配置されたコーン1などの規制部材を識別しそれを指標に画像を区画したが、メモリ31に記憶される一つ以上の道路の画像を基に、車両が走行しない安全エリアを定義してもよい。
【0060】
この場合、カメラ22により得られた一枚の画像内でのピント状態(画像のボケ、ぶれ)の違い、または複数の道路の画像どうしを比較することで、画像のピント状態が悪い部分または画像に変化が生じた部分とそうでない部分とを識別し、画像のピント状態が悪い部分または画像に変化が生じた部分を高速走行する車両7の走行レーンとして識別(定義)し、その走行レーンから所定の距離だけマージンをとったエリアを安全エリアとして識別(定義)し、区画する。
【0061】
上記実施形態で説明した各構成要素を、コンピュータのハードディスク装置などのストレージにインストールしたプログラムで実現してもよく、また上記プログラムを、コンピュータ読取可能な電子媒体:electronic mediaに記憶しておき、プログラムを電子媒体からコンピュータに読み取らせることで本発明の機能をコンピュータが実現するようにしてもよい。電子媒体としては、例えばCD−ROM等の記録媒体やフラッシュメモリ、リムーバブルメディア(Removable media)等が含まれる。さらに、ネットワークを介して接続した異なるコンピュータに構成要素を分散して記憶し、各構成要素を機能させたコンピュータ間で通信することで実現してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…コーン(ロードコーン)、2…標識車、3…コンピュータ(PC)、5…送信機、6…受信機、7…車両、7a…危険車両、21…電光掲示板(看板)、22…カメラ、30…画像取得部、31…メモリ、32…エリア定義部、33…監視部、34…警報発生部、35…入力部、40…ショベルカー、41…サイレン、42…回転灯、43…LEDサインライト、44…振動装置付き安全チョッキ、71…単管バリケード、72…A型バリケード、73…フェンス類。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上に規制部材を点在させて車両の走行レーンを規制し、前記走行レーンとは反対の側に設けた所定の作業場所において前記道路の上流方向に向けて画像を撮影するカメラと、
前記カメラにより撮影される道路の画像を記憶する記憶部と、
前記記憶部から読み出した一つ以上の道路の画像を基に、車両が走行しない安全エリアを定義するエリア定義部と、
前記カメラにより所定間隔をおいて撮影された複数の道路の画像を前記記憶部から読み出して、前記エリア定義部により定義された安全エリアの画像を監視し前記画像の変化の有無を検出する監視部と、
前記監視部により前記安全エリアにおける画像の変化が検出された場合、発報する警報発生部と
を具備することを特徴とする警報システム。
【請求項2】
前記エリア定義部は、
前記記憶部から読み出した道路の画像から、予め設定された、前記規制部材の画像および前記車両の画像を識別する識別部と、
前記識別部により識別された、点在する前記規制部材の画像を結ぶ線分を境界にして前記車両の画像が含まれる側を前記車両が走行する非安全エリア、その反対側を車両が走行しない安全エリアとして前記画像を区画する区画部と
を具備することを特徴とする請求項1記載の警報システム。
【請求項3】
前記記憶部から読み出した道路の画像に対して、前記車両が走行する非安全エリアと車両が走行しない安全エリアとに分類するための境界線を描くか、または監視用のエリアを指定する入力部を備え、
前記エリア定義部は、
前記入力部により入力された境界線を境界にして前記道路の画像を、車両が走行しない安全エリアと車両が走行する非安全エリアとして定義するか、または前記入力部により指定された前記エリアを車両が走行しない安全エリアとして定義し、定義した各エリアの情報を前記記憶部に設定することを特徴とする請求項1記載の警報システム。
【請求項4】
前記エリア定義部は、
前記記憶部から読み出した一つの道路の画像内でのピント状態の違い、または複数の道路の画像どうしを比較することで差分をとり、変化が生じた領域を前記車両が走行する非安全エリア、その反対の領域を安全エリアとして定義することを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
前記規制部材が、コーン類、バリケード類、フェンス類の中の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1記載の警報システム。
【請求項6】
道路上に規制部材を点在させて車両の走行レーンを規制し、前記走行レーンとは反対の側に設けた所定の作業場所において前記道路の上流方向に向けて画像を撮影するカメラにより撮影される道路の画像を記憶する記憶部と、
前記記憶部から読み出した一つ以上の道路の画像を基に、車両が走行しない安全エリアを定義するエリア定義部と、
前記カメラにより所定間隔をおいて撮影された複数の道路の画像を前記記憶部から読み出して、前記エリア定義部により定義された安全エリアの画像を監視し前記画像の変化の有無を検出する監視部と、
前記監視部により前記安全エリアにおける画像の変化が検出された場合、発報する警報発生部と
を具備することを特徴とする警報装置。
【請求項7】
道路上に規制部材を点在させて車両の走行レーンを規制し、前記走行レーンとは反対の側に設けた所定の作業場所において前記道路の上流方向に向けて画像を撮影するカメラが接続された情報処理装置に処理を実行させるプログラムにおいて、
前記カメラにより撮影される道路の画像を記憶する記憶部と、
前記記憶部から読み出した一つ以上の道路の画像を基に、前記車両が走行しない安全エリアを定義するエリア定義部と、
前記カメラにより所定間隔をおいて撮影された複数の道路の画像を前記記憶部から読み出して、前記エリア定義部により定義された安全エリアの画像を監視し前記画像の変化の有無を検出する監視部と、
前記監視部により前記安全エリアの画像の変化が検出された場合、前記作業場所に配置された警報機器に対して警報信号を送出する警報発生部
として前記情報処理装置を機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
道路上に規制部材を点在させて車両の走行レーンを規制し、前記走行レーンとは反対の側に設けた所定の作業場所において前記道路の上流方向に向けてカメラが画像を撮影するステップと、
前記カメラにより撮影される道路の画像を記憶部に記憶するステップと、
前記記憶部から読み出した一つ以上の道路の画像に、車両が走行しない安全エリアを定義するステップと、
前記カメラにより所定間隔をおいて撮影された複数の道路の画像を前記記憶部から読み出して、定義された安全エリアの画像を監視し前記画像の変化の有無を検出するステップと、
前記安全エリアの画像の変化が検出された場合、前記作業場所に配置された警報機器から発報するステップと
を有することを特徴とする警報方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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