説明

警報器および警報システム

【課題】電池寿命が末期となった警報器、あるいは子警報器が過接続された警報システムにおいて、少なくとも所定時間警報を音声出力できるようにする。
【解決手段】電源電池11によって作動し、異常を検知したときには警報を出力すると共に、床面等を照明することで報知する警報器1において、警報を音声出力する音声出力部14と、照明を行う照明部15と、異常を検知したときには、音声出力部14で警報の音声出力を開始させて、所定時間前記音声出力を継続させてから、照明部15で照明を開始させる制御部17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙、熱あるいはガス漏れ等の異常を検知したときには警報を出力すると共に、床面等を照明する警報器、および警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
次の特許文献1には、火災を検知したときに、ブザー等の警報音を出力すると共に、光を床面等に照射して照明することで安全性を向上させた警報器が開示されている。
【特許文献1】特開2006−39818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、警報音と光とを同時に出力するために必要とする電力も大きくなる。そのため、警報器を電源電池で動作させる構成のものでは、電池寿命の末期になると、異常を検知しても電力不足のため居住者に報知できない場合があった。また、上記特許文献1を有線連動タイプの警報システムに適用した場合は、電力を供給する親警報器に、所定数よりも多くの警報器が繋がれた場合は電力不足となり易く、場合によってはシステムダウンする虞もあった。
【0004】
そこで、本発明は、電池寿命が末期となった警報器、あるいは子警報器が過接続された警報システムにおいて、少なくとも所定時間は警報を音声出力できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による警報器は、電源電池によって作動し、異常を検知したときには警報を出力すると共に、床面等を照明する警報器において、前記警報を音声出力する音声出力部と、前記照明を行う照明部と、前記異常を検知したときには、前記音声出力部で前記警報の音声出力を開始させて、所定時間前記音声出力を継続させてから、前記照明部で前記照明を開始させる制御部とを備える。
【0006】
また、本発明による警報システムは、自器および子警報器に電源を供給する親警報器と、前記親警報器から電源を供給される子警報器とを信号線で接続し、いずれかの警報器が異常を検知したときには、全ての警報器で、連動して警報を出力する共に、床面等を照明する警報システムにおいて、前記警報器の各々は、前記警報を音声出力する音声出力部と、前記照明を行う照明部と、前記異常を検知したときには、前記音声出力部で前記警報の音声出力を開始させて、所定時間前記音声出力を継続させてから、前記照明部で前記照明を開始させる制御部とを備える。
【0007】
なお、前記警報器あるいは警報システムにおいて、前記警報の音声出力と、前記照明とを交互に行うようにしてもよい。
【0008】
また、前記警報器あるいは警報システムでは、前記警報として、所定のメッセージを繰り返し音声出力するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明による警報器では、異常を検知すると、少なくとも所定時間警報を出力してから、照明を開始させている。そのため、電源電池の寿命末期に電力不足となっていて、照明の開始が困難なときでも、警報によって、居住者に異常を報知することができる。
【0010】
また、本発明による警報システムは、少なくとも所定時間警報を出力してから、照明を開始させているので、子警報器が過接続されているため、照明を開始できない場合でも、警報によって、居住者に異常を報知することができる。
【0011】
更に、警報の音声出力と、前記照明とを交互に行う構成では、警報器の電源電池の寿命を延ばすことができ、警報システムにおいては、子警報器が過接続の場合でも、警報時の消費電力が大きすぎてシステムがダウンする危険性が低減できる。
【0012】
また、警報として、例えば「ヒュン、ヒュン、火事です。火事です」というような1フレーズのメッセージを繰り返す構成では、少なくともその1フレーズ分を音声出力させてから照明を開始すれば、居住者に火災を確実に認識させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図に従って説明する。この実施例は、電源電池によって作動し、火災要因として発煙等の異常を検知したときには警報を出力すると共に、床面等を照明することで報知する住宅用火災警報器であるが、本発明は、火災警報器に限定されるものではなく、ガス漏れ警報器等にも適用できる。
【0014】
図1は実施例の機能ブロック図、図2は実施例の外観斜視図であり、警報器1は住宅の天井面あるいは壁面に固定して使用される。
【0015】
警報器1は、各部に電源を供給する電源電池11と、煙濃度を検知する検知部12と、警報の停止操作を受け付ける操作部13と、警報の音声データが予め登録された音声出力部14と、床面等を照明する照明部15と、警報器1の作動状態を表示する表示部16と、各部を制御する制御部とで構成されている。
【0016】
これらの構成要素は、本体カバー1aに収容された基板上に回路として構成されており、本体カバー1aからは、検知部12の保護防虫カバー12a、操作部13を構成する操作ボタン13a、引紐13b、表示部16を構成する発光ダイオード16a、照明部15を構成するランプ15aが露出しており、また、警報部13を構成するスピーカのための通音孔14a、引紐を挿通させるための挿通孔13cが形成されている。
【0017】
検知部12は、光を遮断しつつ空気の流通を許容するラビリンス壁に囲まれた検知室内部に発光ダイオード等からなる発光部と、ホトダイオード等からなる受光部とを適宜配置した構成で、発光部の照射した光が煙粒子によって反射された反射光を受光部が受光して光電変換し、煙濃度信号として出力する仕組みである。検知室は、保護防虫カバー12aに収容され保護されている。
【0018】
操作部13は、基板上に設けられたスイッチと、そのスイッチを作動させる操作ボタン13a、操作ボタン13aと連動する引紐等13bで構成される。
【0019】
音声出力部14は、音声合成IC、増幅器、スピーカ等で構成されており、音声ICには、警報メッセージとして、例えば「ヒュン、ヒュン、火事です。火事です」等、1フレーズ分の音声データが予め記憶されており、異常を報知する際には、その音声データを繰り返し再生出力する。
【0020】
照明部15は、例えばランプ15aとして高輝度の白色発光ダイオードあるいは小型電球と反射ミラー等で構成され、異常を報知する際には、点灯あるいは所定の照明パターンに従った点滅によって、床面等を照らしつけることで注意を喚起する。
【0021】
制御部17は、例えばCPU等で構成され、図示しない不揮発性のメモリに格納された制御プログラムに従って、各部を制御する。
【0022】
警報器1は、基本的な動作として、所定の周期で煙濃度を測定して異常を検知すると、「ヒュン、ヒュン、火事です。火事です」のような警報を繰り返し音声出力し、更に床面等を照明することで報知し、その後、警報の停止操作を受け付けると、警報の音声出力および照明を停止する。この基本動作は従来と同様であるが、本発明は、警報の音声出力を開始し、その後所定時間経過してから、照明を開始することを特徴としている。
【0023】
図3は、その報知の動作を示したタイミング図である。この例では、照明部15のランプ15aとして小型電球を想定している。
【0024】
時刻T1において異常を検知して、警報の音声出力を開始し、その後、所定時間が経過した時刻T2において照明を開始している。また、時刻T3においては警報の停止操作を受け付けたことにより、警報および照明による報知を停止している。消費電力を見てみると、時刻T1には、音声出力部の作動によって待機時よりも消費電力が増大している。時刻T2には、照明部15の作動によって消費電力が更に増大している。時刻T2直後の消費電力は、ランプが小型電球であることから、特に高いものになっている。
【0025】
このように本発明では、異常を検知すると、少なくとも1フレーズ分の警報を出力し終えてから、所定時間経過後に、照明を開始させているので、電源電池11の寿命末期に、電力不足のため警報の音声出力と照明とを同時に行うことができない場合、つまり、上記時刻T2直後の消費電力のピークに対応できない場合でも、少なくとも1フレーズ分の警報を音声出力することで、居住者に報知することができる。
【0026】
図4は、報知の他の動作を示したタイミング図である。この例では、少なくとも1フレーズ分の警報を出力し終えてから、所定時間経過後に、照明を開始させ、かつ警報の音声出力と、照明とを交互に行うことを特徴としている。
【0027】
具体的には、時刻T4において、異常を検知して警報の音声出力を開始し、時刻T5には、警報を停止して、照明を開始している。その後、時刻T6には、照明を停止し、警報の音声出力を再開している。なお、時刻T7には警報の停止操作を受け付けたことにより、警報の音声出力を停止している。
【0028】
このような動作では、上記の効果に加え、警報の音声出力と照明とを交互に行うことで、電力の消費が更に抑えられ、電源電池11の寿命を延ばすことができる。
【0029】
次いで、本発明を警報システムに適用した他の実施例を説明する。
【0030】
図5は、他の実施例を構成する親警報器1A、子警報器1Bの機能ブロック図、図6は他の実施例のシステム図である。
【0031】
この警報システムは、自器および子警報器1Bに電源を供給する親警報器1Aと、親警報器1Aから電源を供給される子警報器1Bとを信号線で接続したシステムであるが、以下、図1で説明した警報器1と共通の構成要素には、同一の参照符号を付けて説明を省略する。
【0032】
親警報器は1A、交流電源から、自器および子警報器1Bの電源を生成する電源回路18を備え、制御信号線30を通じて子警報器1Bに電源を供給する。一方、子警報器1Bは、制御信号から電源を受け取る受電回路19を備えている。
【0033】
通信部20は、制御信号線30を通じ、他の警報器1との間で連動警報指令や警報停止指令の制御信号を相互に伝送する。伝送方式は、各指令に対して制御信号線30の電圧レベルを予め規定しておき、送信元の警報器1が制御信号線30の電圧レベルをコントロールし、他の警報器1は制御信号線30の電圧レベルを読み取る方式としてもよい。また、警報器1の各々にIDコードを予め割り当てておき、IDコードを含めた制御信号をFM変調等によって伝送する方式としてもよい。
【0034】
この警報システムは、基本的な動作として、警報器1の各々が所定の周期で煙濃度を測定して異常を検知すると、警報を音声出力すると共に、床面等を照明することで自ら報知し、更に、他の警報器1に連動警報指令を送信して、他の警報器1でも、警報および照明によって連動して報知させる。その後、警報器1のいずれかで警報停止操作がなされると、その警報器1は、警報および照明による報知を中止し、更に、他の警報器1に警報停止指令を送信して、他の警報器でも、警報および照明による報知を中止させる。
【0035】
また、本発明の特徴として、警報器1が異常を検知したとき、あるいは連動警報指令を受信したときには、上記実施例と同様に、まず警報の音声出力を開始し、その後所定時間経過してから、照明を開始する。これにより、親警報器1Aに子警報器1Bが過接続されている場合でも、少なくとも1フレーズ分の警報を音声出力できる。
【0036】
また、更に、警報の音声出力と照明とを交互に行うようにしてもよい。このようにすれば、親警報器1Aに規定数よりも多くの子警報器1Bが接続された場合、つまり子警報器が過接続の場合でも、警報時の消費電力が大きすぎてシステムがダウンする危険性が低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施例の機能ブロック図である。
【図2】実施例の外観斜視図である。
【図3】実施例による報知の動作を示したタイミング図である。
【図4】実施例による報知の他の動作を示したタイミング図である。
【図5】他の実施例を構成する警報器の機能ブロック図である。
【図6】他の実施例のシステム図である。
【符号の説明】
【0038】
1 警報器
1A 親警報器
1B 子警報器
11 電源電池
14 音声出力部
15 照明部
17 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電池によって作動し、異常を検知したときには警報を出力すると共に、床面等を照明する警報器において、
前記警報を音声出力する音声出力部と、前記照明を行う照明部と、
前記異常を検知したときには、前記音声出力部で前記警報の音声出力を開始させて、所定時間前記音声出力を継続させてから、前記照明部で前記照明を開始させる制御部とを備えた警報器。
【請求項2】
自器および子警報器に電源を供給する親警報器と、前記親警報器から電源を供給される子警報器とを信号線で接続し、いずれかの警報器が異常を検知したときには、全ての警報器で、連動して警報を出力する共に、床面等を照明する警報システムにおいて、
前記警報器の各々は、
前記警報を音声出力する音声出力部と、前記照明を行う照明部と、
前記異常を検知したときには、前記音声出力部で前記警報の音声出力を開始させて、所定時間前記音声出力を継続させてから、前記照明部で前記照明を開始させる制御部とを備えた警報システム。
【請求項3】
請求項1において、
前記警報の音声出力と、前記照明とを交互に行うことを特徴とした警報器。
【請求項4】
請求項2において、
前記警報の音声出力と、前記照明とを交互に行うことを特徴とした警報システム。
【請求項5】
請求項1または3において、
前記警報として、所定のメッセージを繰り返し音声出力する警報器。
【請求項6】
請求項2または4において、
前記警報として、所定のメッセージを繰り返し音声出力する警報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−146393(P2010−146393A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324352(P2008−324352)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】