説明

警報器取り付け具

【課題】容易に警報器を設置面に取り付けることが可能となる警報器取り付け具を提供する。
【解決手段】警報器取り付け具10は、設置面の側に配置される裏面と火災警報器等の警報器が取り付けられる表面13と、裏面と表面13の両方の面に対して垂直な方向に貫通する貫通穴を備える取り付け具本体11と、一端に設置面へ接着する両面接着テープや接着剤からなる接着部と、他端に固定具20を貫通穴の円周方向に回転させることで接着部による設置面への接着を解除する溝状の取り外し部26とを有し、取り付け具本体11の表面13の側から裏面の側に向かって、接着部が取り付け具本体11の裏面の側となるように貫通穴に挿通される固定具20と、取り付け具本体11の表面13設けられ、警報器の警報信号を受信するセンサ50と、センサ50からのセンサ信号に基づき外部の受信機に向かって通信信号を送信する送信機60と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種警報器を壁面や天井面に取り付けるための警報器取り付け具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁面や天井面等の設置面に取り付けて使用するガス漏れ警報、不完全燃焼警報、火災警報、防災検知器等の各種警報器が知られている。
【0003】
また、これらの各種警報器にワイヤレス送信機を内蔵した機器も公知であり、例えば特許文献1には、天井面に設置され、予め定められた監視エリアの火災監視を行い、火災の検出信号をワイヤレス信号として出力する住宅用火災警報器が開示されている。
【0004】
これらの従来の各種警報器は、特許文献2に開示されるように、取付用ピンによって警報器の筐体を石こうボード等の壁面に取り付けられていたり、特許文献3に開示されるように、警報器の裏面に設けた取付け金具に、ネジを挿通するためのネジ孔を設け、このネジ孔にネジを挿通させて天井面や壁面にネジ込むことによって、天井面や壁面に取付けられていた。
【0005】
また、火災警報器について、消防法等の改正により住宅への設置が順次義務付けられることになった。このため、様々な種類の火災警報器がホームセンター等で市販されている。
【0006】
このような市販の火災警報器は、各家庭で簡便に取り付けられるように、警報器本体と警報器本体をねじ込みや嵌め合わせ等で一体化する取り付けベースとから構成され、この取り付けベースを予め壁面や天井面にネジ等で取り付けておいてから警報器本体を該取り付けベースに嵌め合わせ等で設置するものが大半である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】 特開平7−182574号公報
【特許文献2】 特開2006−127447号公報
【特許文献3】 特開平10−105849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これらの市販されている火災警報器を取り付ける作業は、壁面や天井面等の設置面がコンクリート製である場合にはネジを設置面にねじ込む前に下穴が必要であったり、また、設置面が木製である場合でも、特許文献2に開示されるような警報器を脚立等の上に立って設置面である天井面にネジ止めする作業は、普段、日曜大工を行わない設置者にとっては大変な作業となる。
【0009】
ましてや、特許文献2に開示されるような、石膏ボード製の壁面に警報器を取り付ける作業は、石膏ボード取り付け用の特殊ネジや特殊釘を設置面に対して斜めに取り付けなければならない等、一般の設置者にとって困難な作業となる。
【0010】
また、一般に、警報器が取り付けられている部屋の外へ救援を求めるためには、ワイヤレス送信機を内蔵した警報器を用いて、部屋の外に設置した受信機から別途警報音等を発するようにすることが有効であるが、既にワイヤレス送信機を内蔵しない警報器を使用している場合には、ワイヤレス送信機を内蔵する警報器への買い替えが必要となってしまう。
【0011】
また、火災警報器に関しては、通常、総務省消防庁が省令で定める構造、材質、性能等の技術上の基準に適合しているかについて東京消防庁や第三者機関等から認定を受けることが一般的であるが、特許文献1等のワイヤレス送信機を内蔵する火災警報器では、この内蔵するワイヤレス送信機も技術上の基準の適合が求められるため、設計や製造の面で不利となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の目的は、上述した事情に鑑みなされたもので、この発明の主たる目的は、誰にとっても容易に警報器を設置面に取り付けることが可能となる警報器取り付け具を提供することである。
【0013】
また、この発明の別の目的は、既に使用しているワイヤレス送信機を内蔵しない警報器を、買い換えせずにワイヤレス送信機を内蔵した警報器と同様に使用可能な警報器取り付け具を提供することである。
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明に係わる警報器取り付け具は、請求項1の記載によれば、一方の面が設置面の側に配置され、他方の面の側に警報器が取り付けられる取り付け具本体と、一端に前記設置面へ接着する接着部を有する固定具と、前記取り付け具本体に設けられ、前記警報器の警報信号を受信するセンサと、前記取り付け具本体に設けられ、前記センサからのセンサ信号に基づき通信信号を送信する送信機と、を具備することを特徴とする。
【0015】
また、この発明に係わる警報器取り付け具は、請求項2の記載によれば、前記警報器の警報信号が電磁信号であり、前記センサが電磁センサであることを特徴とする。
【0016】
また、この発明に係わる警報器取り付け具は、請求項3の記載によれば、前記警報器の警報信号が音波信号であり、前記センサが受音センサであることを特徴とする。
【0017】
また、この発明に係わる警報器取り付け具は、請求項4の記載によれば、前記警報器の警報信号が光波信号であり、前記センサが受光センサであることを特徴とする。
【0018】
また、この発明に係わる警報器取り付け具は、請求項5の記載によれば、前記送信機が無線送信機であることを特徴とする。
【0019】
また、この発明に係わる警報器取り付け具は、請求項6の記載によれば、前記取り付け具は前記一方の面と前記他方の面とを貫通する円形状の貫通穴を備え、前記固定具は、前記貫通穴に前記取り付け具本体の前記他方の面の側から前記一方の面の側へ挿通されて前記取り付け具本体の前記一方の面から前記接着部が突出する円柱状であり、前記貫通穴に回動可能に挿通されていることを特徴とする。
【0020】
また、この発明に係わる警報器取り付け具は、請求項7の記載によれば、前記固定具は、他端の側に前記固定具の前記貫通穴への挿通を停止する挿通停止部を有することを特徴とする。
【0021】
また、この発明に係わる警報器取り付け具は、請求項8の記載によれば、前記挿通停止部は、前記固定具の他端の側の側面の円周に沿って設けられた少なくとも一対のつば部であることを特徴とする。
【0022】
また、この発明に係わる警報器取り付け具は、請求項9の記載によれば、前記取り付け具本体の前記他方の面の前記貫通穴の周辺部に設けられ、前記貫通穴の円周に沿って溝部が形成された少なくとも一対の立設部と、前記一対のつば部とからなる連結部で前記取り付け具本体と前記固定具が連結されることを特徴とする。
【0023】
また、この発明に係わる警報器取り付け具は、請求項10の記載によれば、前記取り付け具本体の前記他方の面の前記貫通穴の周辺部に設けられ、前記貫通穴の円周に沿って突起部が形成された少なくとも一対の立設部と、前記固定具の側面の円周に沿って設けられた少なくとも一対の溝部とからなる連結部で前記取り付け具本体と前記固定具が連結されることを特徴とする。
【0024】
また、この発明に係わる警報器取り付け具は、請求項11の記載によれば、前記立設部と前記立設部に当接する前記固定具の側面とには、互いに相補的に嵌合する凸部及び凹部が各々形成され、該凸部及び凹部の嵌合を介して前記連結部の連結が係止されることを特徴とする。
【0025】
また、この発明に係わる警報器取り付け具は、請求項12の記載によれば、前記固定具の他端の側に、前記固定具を前記貫通穴の円周方向に回転させることで前記接着部による前記設置面への接着を解除する取り外し部を備えることを特徴とする。
【0026】
また、この発明に係わる警報器取り付け具は、請求項13の記載によれば、前記貫通穴と該貫通穴に挿通される前記固定具を複数備えることを特徴とする。
【0027】
また、この発明に係わる警報器取り付け具は、請求項14の記載によれば、前記取り付け具本体の前記他方の面に、前記固定具が突出しないようにする盛り部が備えられていることを特徴とする。
【0028】
また、この発明に係わる警報器取り付け具は、請求項15の記載によれば、前記取り付け具本体に、警報器を取り付ける警報器取り付け部が備えられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
この発明によれば、誰にとっても容易に警報器を設置面に取り付けることが可能となる警報器取り付け具を提供することができる。
【0030】
また、この発明により、警報器を設置面から容易に取り外すことが可能となる警報器取り付け具を提供することができる。
【0031】
さらに、この発明により、既に使用しているワイヤレス送信機を内蔵しない警報器を、買い換えせずにワイヤレス送信機を内蔵した警報器と同様に使用可能となる警報器取り付け具を提供することができる。
【0032】
さらにまた、この発明により、ワイヤレス送信機を内蔵した警報器より安価であるワイヤレス送信機を内蔵しない警報器を、該警報器が取り付けられている部屋の外へ救援を求めることができる警報器として使用可能な警報器取り付け具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】 第1の実施例の警報器取り付け具を示す表面斜視図
【図2】 第1の実施例の警報器取り付け具を示す裏面斜視図
【図3】 第1の実施例の取り付け具本体を示す表面斜視図
【図4】 第1の実施例の固定具を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0034】
以下に図面を用いて本発明の実施例を説明する。なお、この実施例において、本発明の警報器取り付け具で取り付けられる警報器は主に火災警報器としているが、これに限定されるものではない。具体的には、ガス漏れ警報器、不完全燃焼警報器、防災検知器にも適用可能である。
【0035】
<第1の実施例>
最初に図1乃至図4を用いて、本発明の第1の実施例の警報器取り付け具10を説明する。図1は、警報器取り付け具10を示す表面斜視図である。図2は、警報器取り付け具10を示す裏面斜視図である。図3は、取り付け具本体11を示す表面斜視図である。図4は、固定具20を示す斜視図である。
【0036】
本発明の第1の実施例において、取り付けの対象となる警報器であるホームセンター等で市販される火災警報器は、図示しない警報器本体と警報器本体をねじ込みや嵌め合わせ等で一体化する取り付けベースとから構成されている。
【0037】
本発明の警報器取り付け具10は、該取り付けベースを予め取り付ける取り付け具本体11と、この取り付け具本体11を天井面等の設置面に固定する固定具20とを具備している。
【0038】
図1乃至図3によると、取り付け具本体11は、プラスチック等の合成樹脂、または各種金属等からなる略円形の板状の形状であり、設置面の側に配置される一方の面としての裏面12と火災警報器等の警報器が取り付けられる他方の面としての表面13と、裏面12と表面13の両方の面に対して垂直な方向に貫通する貫通穴14を備えている。また貫通穴14の貫通する方向に垂直な断面の形状は円形状となっている。
【0039】
また、図1、図2及び図4によると、固定具20は、プラスチック等の合成樹脂、または各種金属等からなる円柱状である。また、該円柱の径は、固定具20を貫通穴14に挿通した状態で回動可能となるように、貫通穴14の穴径より小径に設定されている。
【0040】
この固定具20は、一端に設置面へ接着する例えば両面接着テープや接着剤からなる接着部22と、他端に固定具20を貫通穴14の円周方向に回転させることで接着部22による設置面への接着を解除する溝状の取り外し部26とを有しており、取り付け具本体11の表面13の側から裏面12の側に向かって、接着部22が取り付け具本体11の裏面12の側となるように貫通穴14に挿通されている。また、接着部22が取り付け具本体11の裏面12から突出するように、接着部22の厚みや固定具20の長さ(円柱の軸方向の長さ)や、後に説明する挿通停止部や連結部の位置が設定されている。なお、図1乃至図3の取り付け具本体11では、この固定具20が略三角形の頂点の位置となるように3個設けられている。
【0041】
また、図4に示すとおり、固定具20は、他端の側の側面の円周に沿って、固定具20の貫通穴14への挿通を停止する挿通停止部としての一対のつば部24を有している。
【0042】
この一対のつば部24の外径は、貫通穴14の穴径より大径に設定されている。このため、固定具20を取り付け具本体11の表面13の側から裏面12の側に向かって挿通させていくと、一対のつば部24が取り付け具本体11の取り付け具本体11の表面13に当接し、固定具20の貫通穴14への挿通が停止される。このように、一対のつば部24は、固定具20を貫通穴14に挿通した際に、取り付け具本体11の裏面12の側に抜け通ることを防止する挿通停止部となっている。
【0043】
また、挿通停止部としての一対のつば部24は、固定具20の挿通を停止させる機能のみならず、固定具20の一端に設けられた接着部22の取り付け具本体11の裏面12からの突出を確保できるように設けられている。具体的には、一対のつば部24の固定具20の長さ方向(円柱の軸方向)の配置を、固定具20の一端に設けられた接着部22が裏面12から若干突出するよう配置されている。
【0044】
さらに、挿通停止部としての一対のつば部24は、固定具20の一端に設けられた接着部22を設置面である壁面や天井面に接着した際に、取り付け具本体11が一対のつば部24と該設置面とで挟み込まれて固定されるように、固定具20の長さ方向の配置を設定している。このため、本発明の警報器取り付け具で取り付けられる警報器は、該警報器が取り付けられる取り付け具本体11と取り付け具本体11に備えられている貫通穴14に挿通される、一対のつば部24を有する固定具20により、容易に設置面である壁面や天井面に取り付けることが可能となる。なお、固定具20の一端に設けられた接着部22の裏面12からの突出の度合いは、取り付け具本体11が一対のつば部24と該設置面とで挟み込まれて充分に固定される程度となっている。
【0045】
また、図1及び図2に示すとおり、取り付け具本体11と固定具20は、取り付け具本体11の表面13の側に警報器が取り付けられた状態において、外れないように連結部で連結されている。
【0046】
この連結部は、取り付け具本体11の表面13の貫通穴14の周辺部に設けられ、貫通穴14の円周に沿って溝部16が形成された一対の立設部15と、上述した、円柱状の固定具20の他端の側の側面の円周に沿って設けられた一対のつば部24とを備えている。
【0047】
なお、図3に示すとおり、一対の立設部15は、取り付け具本体11の貫通穴14に各々設けられている。また、その配置は、貫通穴14を挟んで向かい合う位置となっている。
【0048】
また、図4に示すとおり、一対のつば部24は、円柱形状の固定具20の側面に各々設けられている。また、その配置は、固定具20の長さ方向(円柱の軸方向)においては他端の側で、固定具20の断面方向(円柱の軸に垂直な方向)においては、その断面の円周において向かい合う位置となっている。さらに、一対のつば部24の固定具20の長さ方向の配置は、固定具20を貫通穴14に挿通した際に固定具20の一端に設けられた接着部22が裏面12から突出するよう配置されている。
【0049】
また、一対のつば部24の外周は、固定具20の側面の円周と平行となる形状であり、その外径は、貫通穴14の穴径よりも大径に設定されると共に、一対の立設部15に各々設けられた2つの溝部16で構成される円周(溝部16は貫通穴14の円周に沿って形成されているので、貫通穴14の穴中心と同心の円周となる)の内径より小さく設定されている。このため、固定具20を取り付け具本体11の表面13の側から裏面12の側に向かって貫通穴14へ挿通する際には、一対のつば部24を一対の立設部15が設けられていない位置で挿通する。
【0050】
また、取り付け具本体11と固定具20が外れないように連結する手順は、一対のつば部24を一対の立設部15が設けられていない位置にして固定具20を貫通穴14に挿通した後に、固定具20の他端に設けられた溝状の取り外し部26にコイン等を挿入して固定具20を貫通穴14の円周方向に回転させ、一対のつば部24を一対の立設部15の各々に設けられた溝部16に嵌め合わせることで行う。この結果、一対のつば部24の外径が貫通穴14の穴径よりも大きいため、固定具20が貫通穴14から抜け出ることはないと共に、一対のつば部24が溝部16に嵌め合わされているため、固定具20が貫通穴14から外れ出ることはない。
【0051】
また、図1乃至図4に示すとおり、立設部15と該立設部15に当接する固定具20の側面とには、互いに相補的に嵌合する凸部及び凹部が各々形成されている。具体的には、立設部15の各々には凹部17が設けられ、固定具20の側面には、各々2個の凸部27が設けられている。
【0052】
上述した、固定具20を貫通穴14の円周方向に回転させ、一対のつば部24を一対の立設部15の各々に設けられた溝部16に嵌め合わせにより、固定具20の側面に設けられた2個の凸部27も回転して、立設部15の各々に設けられた凹部17に嵌合し、取り付け具本体11と固定具20の連結が係止される。このように、凸部27と凹部17の嵌合により、固定具20の予期しない回転が制限されるので、勝手に一対の立設部15と一対のつば部24による連結が解除されることがなくなる。
【0053】
また、図1乃至図3に示すとおり、取り付け具本体11には、市販されている火災警報器の警報器本体をねじ込みや嵌め合わせ等で一体化する取り付けベースを取り付けるための2つの穴状の警報器取り付け部18が設けられている。発明者らが市販されている火災警報器の調査を行ったところ、各メーカの火災警報器の多くにおいて、同一配置で同一形状の取り付け穴が設けられていることが確認されている。本発明の警報器取り付け具10は、この同一配置で同一形状の取り付け穴に対応した警報器取り付け部18を設けている。なお、この警報器取り付け具18は、2つの穴状のものに限るものではなく、表面13の側(表面13を含む)に警報器が取り付けられるものであれば、どのようなものでも良い。例えば、両面接着テープを後に説明する盛り部19に設けても良いし、市販されている火災警報器の警報器本体をねじ込みや嵌め合わせ等で一体化する取り付けベースの取り付け部の構成を本発明の警報器取り付け部18の構成としても良い。
【0054】
また、図1及び図2に示すとおり、取り付け具本体11には、裏面12と表面13の厚みより、裏面12からの厚みが厚くなるように盛り部19が設けられている。なお、この盛り部19の表面(表面13の側の面)と裏面12との間の厚みは、固定具20の一対のつば部24を一対の立設部15の各々の溝部16に嵌め合わせた時の裏面12と固定具20の他端との間の厚みより厚いか、または同一に設定されている。また、この第1の実施例における取り付け具本体11では、盛り部19は一部の立設部15と一体化しているとともに、その厚みも同じとなるように設けられているが、裏面12と立設部15の表面13の側の端部までの厚みは盛り部19の厚みより薄くしてもよい。
【0055】
また、この盛り部19は全面が同じ厚みの平面となるように設けられているとともに、上述したように該平面から突出する箇所がないように設けられている。これは、取り付け具本体11の表面13の側(即ち盛り部19)に取り付けられる警報器の底面が壁面や天井面という平面に取り付けるために平面となっているので、盛り部19に警報器の底面が面した際に、盛り部19と警報器の底面との間に隙間が空いて斜めにならないようにするためである。
【0056】
また、図1及び図3に示すとおり、取り付け具本体11には、他方の面としての表面13に警報器の警報信号を受信するセンサ50とセンサ50からのセンサ信号に基づき外部の受信機に向かって通信信号を送信する送信機60が設けられている。
【0057】
センサ50は、電磁誘導コイルを用いており、警報器の警報信号として、警報器に設けられたスピーカが火災等により鳴動した際の磁場の変化を検出するようになっている。このように、センサ50として電磁誘導コイルを利用すると、外部からの各種ノイズに強く、警報器の警報信号としてのスピーカからの磁場の変化を検出可能である。
【0058】
なお、図1及び図3において、センサ50は、警報器取り付け部18の略中央に配置されているが、その位置を限定するものではなく、警報器のスピーカからの磁場を検出できる位置であれば、どの位置にでも配置可能である。
【0059】
また、センサ50として用いられている電磁誘導コイルの磁場検出強度の向上のために、該電磁誘導コイルの周りに強磁性体材料としての鉄製カバー等を設けても良い。
【0060】
なお、警報器に設けられたスピーカが圧電スピーカ等のセラミックススピーカの場合には、圧電スピーカを鳴動させるために発信回路内に設けられたコイルやトランスからの磁場をセンサ50で検出する。
【0061】
また、この本発明の第1の実施例において、センサ50は電磁誘導コイルを利用しているが、その他のセンサとして、警報器が警報を発する際の光源を警報器の警報信号とする場合には、受光センサを利用して該光源の光波信号を受光する。なお、受光センサの利用は、一般に、警報器に設けられる光源が警報器取り付け具10とは反対の面となるため、その配置位置等を工夫する必要がある。
【0062】
また、警報器が警報を発する際のスピーカの音を警報器の警報信号とする場合には、受音センサを利用して該スピーカの音波信号を受音する。なお、受音センサの利用は、一般に、警報器の外部からの各種音波信号をノイズとして受けることがあるため、受音する音声信号の周波数を限定したり、音量で閾値を設定する等の工夫が必要である。
【0063】
センサ50は、その他のセンサ、例えば静電容量センサや渦電流センサ等の各種センサが利用可能である。
【0064】
送信機60は、各種電池等の電源部と、送信機60全体を制御する制御部と、外部の受信機への通信信号を発生させて送信する送信部等から構成されており、制御部がセンサ50からのセンサ信号を受けて送信部を駆動させて通信信号を送信する。
【0065】
また、送信機60の内部の送信部を無線信号送信部とすることで、警報器取り付け具10は無線通信が可能となる。
【0066】
なお、この第1の実施例においては、立設部15の各々に凹部17が設けられ、固定具20の側面に各々2個の凸部27が設けられていると説明したが、立設部15の各々に凸部を設け、固定具20の側面に凹部を設けても良いことは説明するまでもない。
【0067】
また、この第1の実施例において、取り外し部26は固定具20の他端に設けられた溝状であると説明したが、固定具20を貫通穴14に挿通した状態で回転させることができれば、どのような構成としてもよい。例えば、固定具20の他端に設けられた十字形の溝にネジ回し用ドライバーを差し込んで回転させる構成や、固定具20の他端に設けられた固定具20の回転中心から外れた位置に設けた穴に棒状の道具を差し込んで回転させる構成、または、固定具20の他端の側の側面に設けられた固定具20の断面方向に平行な方向の穴に棒状の道具を差し込んで回転させる構成等でも良い。
【0068】
さらに、この第1の実施例において、連結部は、取り付け具本体11の貫通穴14に各々設けられた一対の立設部15と、円柱形状の固定具20の側面に各々設けられた一対のつば部24とを備えると説明したが、立設部15とつば部24は各々二対以上としてもよいことは説明するまでもない。
【0069】
またさらに、連結部は、取り付け具本体11に固定具20が連結されて係止される構成であればどのような構成であっても良く、例えば、取り付け具本体11の表面13の貫通穴14の周辺部に設けられ、貫通穴14の円周に沿って突起部が形成された一対の立設部と、固定具20の側面の円周に沿って設けられた一対の溝部とからなる連結部としても良い。
【0070】
さらにまた、貫通穴14は円形状であり、固定具20は円柱状であると説明したが、固定具20を貫通穴14に挿通した状態で固定具20が回動可能であり、固定具20と取り付け具本体11が連結可能であれば、貫通穴14の形状と固定具20の断面形状は真円、楕円を含むどのような円形状としても良い。
【0071】
次に、本発明の警報器取り付け具10に火災警報器等の警報器を取り付けて壁面や天井面等の設置面に取り付ける手順の一例を説明する。
【0072】
最初に、取り付け具本体11の貫通穴14へ固定具20を挿通し、固定具20の取り外し部26を回転させて凹部17と凸部27を嵌合し、固定具20と取り付け具本体11の連結を係止する。
【0073】
次に、市販されている火災警報器の警報器本体を取り付けベースから取り外し、該取り付けベースの取り付け穴を利用して警報器取り付け部18へ取り付けベースを取り付ける。
【0074】
次に、固定具20の接着部22の両面接着テープを保護している保護シールを取り外し、壁面または天井面等の設置面に接着固定する。
【0075】
最後に、警報器本体をねじ込みや嵌め合わせ等で取り付けベースへ取り付けて一体化する。なお、警報器本体の取り付けベースへの取り付けは、設置面への接着固定の前に行っても良い。
【0076】
本発明の警報器取り付け具10は、市販されている火災警報器で一般的な脚立等の上に立って天井面等にネジ止めする作業を行う必要が無く、作業の行いやすい卓上等で予め取り付けベースを警報器取り付け具10にネジ止めしておき、上述したように設置面への取り付けは両面接着テープ等を利用した貼り付けだけで済むため、取り付けの作業が非常に簡単なものとなる。
【0077】
また、本発明の警報器取り付け具10は、固定部20が予め取り付け具本体11に取り付けられているので、設置面に力強く押しつけることが可能であり、確実に警報器を設置面に取り付けることが可能である。
【0078】
また、両面接着テープ等からなる接着部は、同じ面積であれば、1つの接着部よりも複数の接着部を所定間隔を置いて配置した方が接着力が大きくなることが、発明者らの実験で確認されている。この点において、本発明の警報器取り付け具10は、3個の接着部22を略三角形の頂点の位置に配置されるように配置しているので、少ない両面接着テープで大きな接着力が得ることが可能となっている。
【0079】
さらに、本発明の警報器取り付け具10は、3個の接着部22を略三角形の頂点の位置に配置されるように配置していることと、1個の接着部22の大きさをあまり大きくしなくとも必要な接着力が得られるので、設置面の凹凸等の状態が良くなくとも確実に警報器を設置面に取り付けることが可能である。
【0080】
さらにまた、本発明の警報器取り付け具10は、接着部22が裏面12から突出するように設けられている。この突出の程度は、固定具20の軸方向の長さや接着部22の両面接着テープのクッション材で調整されているが、該クッション材の厚みを厚めに設定しておけば、設置面の凹凸等の状態が良くなくとも確実に警報器を設置面に取り付けることが可能である。
【0081】
次に、火災警報器等の警報器が取り付けられた本発明の警報器取り付け具10を壁面や天井面等の設置面から取り外す手順の一例を説明する。
【0082】
最初に、取り付けベースにねじ込みや嵌め合わせ等で取り付けられている警報器本体を取り付けベースから取り外す。
【0083】
次に、取り付け具本体11にネジ止め等で取り付けられている取り付けベースを取り外す。なお、本発明の取り付け具本体11に直接警報器本体を取り付けられるように警報器取り付け部18を構成してある場合や、取り付けベースの隙間から固定具20の取り外し部26が露出している場合には、この作業は必要無くなる。
【0084】
最後に、固定具20の溝状の取り外し部26へコイン等を差し込み固定具20を回転させると、接着部22の接着固定が解除される。この作業を3個の固定具20に対して行うことで、取り付け具本体11を設置面から取り外すことが可能である。
【0085】
なお、この固定具20を回転の量は、凹部17と凸部27の嵌合が解除されて固定具20と取り付け具本体11の連結の係止が解除される程度の少ない量で接着部22の接着固定が解除される。
【0086】
一般に接着剤や両面接着テープ等による設置面の接着固定は、設置面(接着面)に垂直な方向への力(引っ張り力)には強く、設置面に平行な方向への力(剪断力)にはあまり強くない。このため、上述した取り付け具本体11の設置面からの取り外しは、固定具20をほんの少し回転させることで可能であり、取り外しの作業が非常に簡単である。
【0087】
また、本発明の警報器取り付け具10は、3個の接着部22を略三角形の頂点の位置に配置されるように配置していること、また、1個の接着部22の大きさをあまり大きくしなくとも必要な接着力が得られると上述したが、このため、個々の固定具20を取り外す際に必要な回転力は非常に小さくて済むので、設置面である壁面や天井面の壁紙が剥がれたり傷つけたりするおそれが少ない。
【0088】
以上のように、本発明の警報器取り付け具10は、簡便に警報器を壁面等の設置面に取り付けられると共に、その取り外しも非常に簡単、かつ、設置面を傷つけるおそれが少ない。
【符号の説明】
【0089】
10・・・警報器取り付け具、 11・・・取り付け具本体、 12・・・裏面、 13・・・表面、 15・・・立設部、 16・・・溝部、 17・・・凹部、 18・・・警報器取り付け部、 19・・・盛り部、 20・・・固定具、 22・・・接着部、 24・・・つば部、 26・・・取り外し部、 27・・・凸部、 50・・・センサ、 60・・・送信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面が設置面の側に配置され、他方の面の側に警報器が取り付けられる取り付け具本体と、
一端に前記設置面へ接着する接着部を有する固定具と、
前記取り付け具本体に設けられ、前記警報器の警報信号を受信するセンサと、
前記取り付け具本体に設けられ、前記センサからのセンサ信号に基づき通信信号を送信する送信機と、
を具備する警報器取り付け具。
【請求項2】
前記警報器の警報信号が電磁信号であり、前記センサが電磁センサであることを特徴とする請求項1に記載の警報器取り付け具。
【請求項3】
前記警報器の警報信号が音波信号であり、前記センサが受音センサであることを特徴とする請求項1に記載の警報器取り付け具。
【請求項4】
前記警報器の警報信号が光波信号であり、前記センサが受光センサであることを特徴とする請求項1に記載の警報器取り付け具。
【請求項5】
前記送信機が無線送信機であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の警報器取り付け具。
【請求項6】
前記取り付け具は前記一方の面と前記他方の面とを貫通する円形状の貫通穴を備え、
前記固定具は、前記貫通穴に前記取り付け具本体の前記他方の面の側から前記一方の面の側へ挿通されて前記取り付け具本体の前記一方の面から前記接着部が突出する円柱状であり、前記貫通穴に回動可能に挿通されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の警報器取り付け具。
【請求項7】
前記固定具は、他端の側に前記固定具の前記貫通穴への挿通を停止する挿通停止部を有することを特徴とする請求項6に記載の警報器取り付け具。
【請求項8】
前記挿通停止部は、前記固定具の他端の側の側面の円周に沿って設けられた少なくとも一対のつば部であることを特徴とする請求項7に記載の警報器取り付け具。
【請求項9】
前記取り付け具本体の前記他方の面の前記貫通穴の周辺部に設けられ、前記貫通穴の円周に沿って溝部が形成された少なくとも一対の立設部と、前記一対のつば部とからなる連結部で前記取り付け具本体と前記固定具が連結されることを特徴とする請求項8に記載の警報器取り付け具。
【請求項10】
前記取り付け具本体の前記他方の面の前記貫通穴の周辺部に設けられ、前記貫通穴の円周に沿って突起部が形成された少なくとも一対の立設部と、前記固定具の側面の円周に沿って設けられた少なくとも一対の溝部とからなる連結部で前記取り付け具本体と前記固定具が連結されることを特徴とする請求項8に記載の警報器取り付け具。
【請求項11】
前記立設部と前記立設部に当接する前記固定具の側面とには、互いに相補的に嵌合する凸部及び凹部が各々形成され、該凸部及び凹部の嵌合を介して前記連結部の連結が係止されることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の警報器取り付け具。
【請求項12】
前記固定具の他端の側に、前記固定具を前記貫通穴の円周方向に回転させることで前記接着部による前記設置面への接着を解除する取り外し部を備えることを特徴とする請求項6乃至請求項11のいずれか1項に記載の警報器取り付け具。
【請求項13】
前記貫通穴と該貫通穴に挿通される前記固定具を複数備えることを特徴とする請求項6乃至請求項12のいずれか1項に記載の警報器取り付け具。
【請求項14】
前記取り付け具本体の前記他方の面に、前記固定具が突出しないようにする盛り部が備えられていることを特徴とする請求項6乃至請求項13のいずれか1項に記載の警報器取り付け具。
【請求項15】
前記取り付け具本体に、警報器を取り付ける警報器取り付け部が備えられていることを特徴とする請求項6乃至請求項14のいずれか1項に記載の警報器取り付け具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−141835(P2012−141835A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294880(P2010−294880)
【出願日】平成22年12月31日(2010.12.31)
【出願人】(501359412)株式会社リンテック21 (38)
【Fターム(参考)】