説明

警報装置

【課題】自動車のアクセルペダルに組込まれる警報装置において、運転操作に影響を及ぼすことなく、運転車に確実に注意を促すことができるようにする。
【解決手段】アクセルペダル1のペダルプレート4の表面にエアノズル8を開口させる。エアノズル8にエア管路9を介して電磁式開閉弁10を接続し、電磁式開閉弁10にエア源11を接続する。コントローラ12によってエア源11の作動及び電磁式開閉弁10の開閉を制御する。電磁式開閉弁10を開いてエア源11から圧縮エアをエアノズル8に供給して、エアノズル8から圧縮エアを噴射することにより、運転操作に影響を及ぼすことなく、また、不快な振動を伴うことなく、確実に運転者に注意を促すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセルペダル等の自動車の操作ペダルを介して、エンジン回転速度超過、車両速度超過等の何らかの情報を運転者に伝達する警報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されているように、自動車のアクセルペダルにバイブレータや電動モータを装着し、エンジン回転速度超過等の一定の運転状態が検出されたとき、バイブレータや電動モータを作動させてアクセルペダルを振動させることによって、その状態を運転者に知らせるようにした警報装置が知られている。
【特許文献1】実開昭58−2676号公報
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたものでは、バイブレータや電動モータによる振動の方向が、アクセルペダルのストローク方向と一致しているため、振動が運転操作に影響する虞がある。このため、振動が運転操作に影響しないように、振幅を小さくするといった対策を講じる必要があり、このようにした場合、運転者に注意を促しにくくなるという問題がある。また、従来のバイブレータや電動モータによる振動は、硬質な振動となり易く、不快感を伴うことがあり、情報伝達手段としては望ましくない場合もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の点に鑑みて成されたものであり、運転操作に影響を及ぼすことなく、また、不快な振動を伴うことなく、操作ペダルを介して確実に運転者に注意を促すことができる警報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために請求項1に係る発明は、自動車の操作ペダルに組込まれる警報装置であって、前記操作ペダルの踏み面に設けられたエアノズルと、前記エアノズルに圧縮エアを供給するエア源と、前記エア源からエアノズルへの圧縮エアの供給を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする。
請求項2の発明に係る警報装置は、上記請求項1の構成において、前記エア源から前記エアノズルへ圧縮エアを供給するためのエア管路が前記操作ペダルを車体に支持するアーム部材の内部に配管されていることを特徴とする。
請求項3の発明に係る警報装置は、上記請求項1又は2の構成において、前記制御手段は、前記エア源から前記エアノズルへ周期的に圧縮エアを供給して前記エアノズルから噴出される圧縮エアを振動させることを特徴とする。
請求項4の発明に係る警報装置は、上記請求項1乃至3のいずれかの構成において、前記操作ペダルは、アクセルペダルであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る警報装置によれば、操作ペダルのエアノズルから圧縮エアを噴出することよって、運転操作に影響を及ぼすことなく、運転者に注意を促すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態は、本発明に係る警報装置を自動車のアクセルペダルに適用したものである。図1及び図2に示すように、アクセルペダル1(操作ペダル)は、運転席の下部前方に配置され、車体のダッシュパネル等に固定されたペダルブラケット2に回動可能に支持されたアーム部材3と、アーム部材3の先端部に取付けられたペダルプレート4とを備え、警報装置5が組込まれている。
【0008】
アーム部材3は、その基端部がペダルブラケット2に回動可能に支持され、エンジンの吸気装置及び燃料供給装置等に連結され、また、戻しばねによって図1に示す原位置へ付勢されている。そして、運転者によってペダルプレート4が踏込まれてアーム部材3が回動することにより、エンジンのスロットル開度、燃料供給量等を調整することができ、エンジンの回転、車両の加減速等を調整することができるようになっている。
【0009】
次に、警報装置5の構造について説明する。
ペダルプレート4は、アーム部材3に固定されたプレート本体6と、プレート本体6の表面に取付けられたゴム等の滑止め部材7とから構成されている。ペダルプレート4の踏み面(運転者によって踏まれる部分)のほぼ中央部には、エアノズル7が開口されている。エアノズル7は、図示のものでは単一の開口であるが、複数の開口としてもよい。エアノズル7には、エア管路9が接続されており、エア管路9は、アーム部材3に沿って配管されて電磁式開閉弁10(制御手段)に接続されている。エア管路9は、アーム部材3を中空構造として、アーム部材3の内部に配管してもよい(図1中の仮想線参照)。これにより、エア管路9を配管スペースを削減することができる。このとき、中空のアーム部材9をエア管路9の一部として利用してもよい。電磁式開閉弁10は、エア源11に接続されている。そして、電磁式開閉弁10及びエア源11には、コントローラ12(制御手段)が接続されている。
【0010】
エア源11は、エアポンプ、電動モータ、蓄圧器、調圧弁等を含み、コントローラ12からの制御信号に基づいて作動して、所定圧力の圧縮エアを供給する。エア源11としては、エアブレーキ用等、既に車載のものがあれば、それを流用してもよい。電磁式開閉弁10は、コントローラ12からの制御信号によって開閉して、エア源11からペダルプレート4のエアノズル8への圧縮エアの供給を制御する。
【0011】
コントローラ12は、車載された各種センサから、車両速度、エンジン回転速度、車間情報、GPS情報(車両位置情報)等の信号を受信し、これらの信号に基づいて、車両速度超過、エンジン回転速度超過、先行車両の接近、急カーブの接近等の運転者に提供する車両運転情報の必要性を判断し、エア源11の作動及び電磁式開閉弁10の開閉を制御する。そして、運転者への警報が必要な場合には、エア源11を作動させ、電磁式開閉弁10を開いて、エア源11からエア配管9を介してペダルプレート4のエアノズル8からエアを噴出する。
【0012】
以上のように構成した本実施形態の作用について次に説明する。
通常、アクセルペダル1は、運転者によって操作され、ペダルプレート4の踏込みによるアーム部材3の回動に応じて、エンジンのスロットル開度、燃料供給量等を調整してエンジンの回転速度、車両の加減速を制御するために使用される。
【0013】
次に、警報装置5の作動について説明する。
コントローラ12からの制御信号によって、エア源11が作動し、電磁式開閉弁10が開くと、エア源11からエア配管9を介してペダルプレート4のエアノズル8に圧縮エアが供給されて、エアノズル8から圧縮エアが噴出される。これにより、アクセルペダル1を操作している運転者に注意を促すことができる。
【0014】
このとき、圧縮エアの噴出によって、確実に運転者に注意を促すことができ、また、運転者のアクセルペダル1の踏込み量は、圧縮エアの噴出によって直接影響を受けることがないので、運転者は安定したペダル操作を行うことができる。また、圧縮エアによって、従来のバイブレータ、電動モータ等による硬質な振動よりもソフトな警報が可能となり、振動による不快感を解消することができる。
【0015】
更に、コントローラ12によって、電磁式開閉弁10を周期的に開閉することにより、エアノズル8から噴出される圧縮エアを振動させることができる。このとき、電磁式開閉弁10の開閉周期を変化させることにより、圧縮エアの噴出の振動特性を変化させることができるので、警報の種類に応じて振動特性を変更することが可能となる。
【0016】
なお、上記実施形態では、一例として、本発明をアクセルペダル1に適用した場合について説明しているが、本発明は、これに限らず、ブレーキペダル、クラッチペダル等の他の操作ペダルにも同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る警報装置を組込んだ自動車のアクセルペダルの概略構成を示す側面図である。
【図2】図1に示すアクセルペダルのペダルプレート部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0018】
1 アクセルペダル(操作ペダル)、3 アーム部材、5 警報装置、8 エアノズル、9 エア管路、10 電磁式開閉弁(制御手段)、11 エア源、12 コントローラ(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の操作ペダルに組込まれる警報装置であって、
前記操作ペダルの踏み面に設けられたエアノズルと、前記エアノズルに圧縮エアを供給するエア源と、前記エア源からエアノズルへの圧縮エアの供給を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする警報装置。
【請求項2】
前記エア源から前記エアノズルへ圧縮エアを供給するためのエア管路が前記操作ペダルを車体に支持するアーム部材の内部に配管されていることを特徴とする請求項1に記載の警報装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記エア源から前記エアノズルへ周期的に圧縮エアを供給して前記エアノズルから噴出される圧縮エアを振動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の警報装置。
【請求項4】
前記操作ペダルは、アクセルペダルであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の警報装置。

【図1】
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【図2】
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