説明

豆類皮むき装置

【課題】生の豆類の皮を短時間で剥き、剥き身と皮を同時に分離し、剥き身が砕けたり削られたりしない、簡単に清掃できる豆類皮むき装置を提供するものである。
【解決手段】円筒容器内に、円盤波と皮むき棒と分離間隙とを構成し、回転する円盤波で生ずる水流により豆粒が皮むき棒と衝突して皮が剥かれ、剥かれた皮が遠心力により円筒容器壁に突き当たり水圧により円筒容器壁と円盤との間の分離間隙に吸い込まれて、剥き身と皮が連続的に分離される新規な豆類皮むき装置を実現したものである。本豆類皮むき装置は、投入部と、円筒容器部と、皮剥部と、排出部と、剥き身取出し部と、駆動部と、架台部を具備する豆類皮むき装置であって、皮剥部の円盤に取り付けた4〜6個のかまぼこ形または円弧形円盤波と8〜18枚の皮むき棒、ならびに円筒容器壁と円盤との間に2〜3mmの分離間隙を有することを主要な構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生の豆類の皮を剥く豆類皮むき装置およびその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開平11−225726号公報(以下、特許文献1という)に、「羽根車(6)は回転し、ねじ曲げられた羽根(7)により大豆は上下に飛び散り大変よく攪拌され、突起面(8)は弧を描いて回転するため突起(9)は強力なちからで大豆に衝突して皮が剥ける。この攪拌がよいので各々大豆は斑なく均一に皮が剥けて、90%以上が丸い粒の皮剥き大豆が製造できる。大豆の実と皮の分離は別の工程で行う。」という記載がある。
【0003】
特開2001−103946号公報(以下、特許文献2という)に、「本発明の皮剥き機に適用する被皮剥材としては、皮を有する根野菜や果物類であり、例えば、ジャガイモ,里芋,さつま芋,人参,玉ねぎ等の、好ましくは球状に近い根野菜類、渋皮付き栗等の果物類等を挙げることができる。
縦軸の円筒容器にディスクを内設し、該ディスクより上方の空間を皮剥処理部とする皮剥き機において、前記皮剥処理部に対応する前記円筒容器の内壁面を周方向に曲面状の凹凸が繰り返す波形に形成し、前記ディスクの上面に回転中心部から放射方向に延長する凸部と回転中心部から放射方向に略水平に延長する平坦部とを周方向に交互に配置し、前記凸部の少なくとも回転方向前方側を斜面にし、前記平坦部に回転方向に刃先を向けた刃と該刃先に平行に配列して下面側に連通するスリットとを設けたことを特徴とするものである。」という記載がある。
【0004】
「ディスク2の外周速度としては、200〜400m/minの範囲、回転速度としては200〜250rpmの範囲が好ましい。(段落番号0023)」との記載がある。
「被皮剥材Gには、上記のような周方向への移動作用に加えて、遠心力により半径方向外側への押圧力も作用する。そのため、周方向と半径方向との両移動力を合計することにより、図2に矢印で示すように、被皮剥材Gはディスク半径方向に対し斜め方向に移動する。このように被皮剥材Gが半径方向斜めに移動するとき、平坦部13上の刃14の刃先14aに接触して表皮が削がれる。その削がれた皮はスリット15を介して皮受部4へ落下する。(段落番号0023)」との記載がある。
【0005】
また、特開2002−65233(以下、特許文献3という)に、「回転盤1は、盤の上表面が複数の段差11によって同数の斜面部12に分かれており、この実施の形態では、4つの段差11によって4つの斜面部12に分かれている(図2)。それぞれの段差11は同じ高さで、その段差面は回転盤1の回転方向に向いており、それぞれ連続する斜面部12は、それぞれの段差11から隣の段差11まで緩やかな下り斜面になって次の段差11に連続している。他の実施例としては、それぞれの段差11が異なった高さの形態や、それぞれの段差面が回転盤1回転方向の反対方向に向いている実施例も可能である。回転盤1の丸棒10は、それぞれの斜面部12に垂直状に立ち固定されて設けられており、この実施の形態では4つの斜面部12にそれぞれ1本ずつ合計4本立設されている。丸棒10の高さは、同じで円筒状脱皮槽2の円筒の高さ程度である。この実施例では棒10は、丸棒であるが、四角形状等の多角形状の棒でもよく、表面を砥石状面や、縦に溝の入った凹凸面の棒で形成してもよく、また、非対称形状等のような棒で形成することも可能である。(段落番号0010、段落番号0011)」との記載がある。
【0006】
そして、「投入後、回転駆動手段である電動機3を作動させると、回転軸30に嵌合され固定されている回転盤1が円筒状脱皮槽2の中で回転し始める。この回転数は、変則的に時間によって回転数を変えて回転する。回転盤1が回転し始めると回転盤1上でかつ円筒状脱皮槽2中で、ニンニク玉は、回転する丸棒10に当たり、回転盤1の段差11によって起こる乱水流によってそれぞれのニンニク片にバラバラにされると同時に、ニンニク玉およびそれぞれのニンニク片は、回転遠心力により回転周辺側に付勢され円筒状脱皮槽2の内側脱皮槽2aの内側面である凹凸上面20や、粒状砥石面21に接触し(図3)、また当たり、かつバラバラにされつつあるニンニク玉や、バラバラになったニンニク片同士が揉み合い擦れ合いながら、ニンニク片の薄皮は剥かれていく。(段落番号0019)」との記載がある。
【0007】
【特許文献1】特開平11−225726号公報
【特許文献2】特開2001−103946号公報
【特許文献3】特開2002−65233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、その構成がミキサーと同様であり、しかも刃先があるために豆類の身が砕け易いという問題点がある。90%以上が丸い粒の皮剥き大豆であることから、10%も身が砕けている。身と皮が分離されないので、容器に混在し、豆類の実と皮の分離は別の工程で行うという問題点がある。この分離処理には手間と時間かかるという問題点がある。
【0009】
特許文献2では、根菜の皮を剥くための刃14の刃先14aに接触して、豆類の表皮だけでなく、豆類の身の部分も削りとられるという問題点がある。削られないで剥けた皮は大きいためにスリットから排出されないで身と皮が分離されないという欠点がある。処理時間がかかるという問題点がある。
【0010】
特許文献3では、丸棒が4本立設されていて、塊のニンニクを小片にバラバラにする働きをするもので、皮を剥くための概念はない。球形や楕円体の豆類は、寸法も小さく、皮が厚く強度もあるために相互の揉み合い擦れ合いながら剥がれることがないという問題点がある。また、ニンニク片と異なり、その形状から、円筒状脱皮槽2の内側脱皮槽2aの内側面である凹凸上面20や、粒状砥石面21に接触することにより皮のみならず、身の方も削られるという欠点がある。さらに、水に浸かった状態でないので、攪拌を強くすると、豆類の場合は、身が砕ける問題がある。
円筒状本体に図3に示される円筒状脱皮槽との二重構造になっており、豆類のくずや皮やぬめりが残存し、腐敗しやすく、清掃しにくいという問題点がある。
【0011】
本発明は、生の豆類の皮を短時間で剥き、剥き身と皮を同時に分離し、剥き身が砕けたり削られたりしない、簡単に清掃できる豆類皮むき装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明者は、鋭意研究の結果、単純な形状の円筒容器部200と、円盤306に取り付けられた円盤波3308と皮むき棒305をもつ皮剥部300と、分離間隙310との構成により発明を完成し、上記課題を解決した。すなわち、
本発明は、円筒容器内に、円盤波308と皮むき棒305と分離間隙310とを構成し、回転する円盤波308で生ずる水流により豆粒が皮むき棒305と衝突して皮が剥かれ、剥かれた皮が遠心力により円筒容器壁201に突き当たり水圧により円筒容器壁201と円盤306との間の分離間隙310に吸い込まれて、剥き身と皮が連続的に分離される新規な豆類皮むき装置を実現したものである。
本発明の豆類皮むき装置は、投入部100と、円筒容器部200と、皮剥部300と、排出部400と、剥き身取出し部500と、駆動部600と、架台部700を具備する豆類皮むき装置であって、皮剥部300の円盤306に取り付けた円盤波308と皮むき棒305、ならびに円筒容器壁201と円盤306との間に分離間隙310を有することを主要な構成とする。
【0013】
本発明の豆類皮むき装置は、投入部100と、円筒容器部200と、皮剥部300と、排出部400と、剥き身取出し部500と、駆動部600と、架台部700を具備する豆類皮むき装置であって、皮剥部500の円盤306に取り付けた4〜6個のかまぼこ形または円弧形円盤波308と皮むき棒305ならびに円筒容器壁201と円盤との間に2〜3mmの分離間隙310を主要な構成とする。
本発明の豆類皮むき装置は、皮むき棒305が、面の幅25〜40mm、厚み2〜5mmの直方体の板状であって、複数本立て8〜18枚からなることを特徴とするも含まれる。
本発明の豆類皮むき装置は、円筒容器部200が、直径350〜900mm、長さ900〜1800mmの、単純な形状をした無底の円筒パイプからなることを特徴とする。
本発明の豆類皮むき装置は、簡単に分解したり、組み立てたりできることを特徴とする。使用しないとき、清掃して保管できる特徴がある。
【0014】
本発明にいう円筒容器は、有底、無底をとわず、円筒形の容器であり、鉄製、ステンレス製、アルミニウム・アルミニウム合金製の鋼管から作成されるものである。食品を取り扱うために、衛生的で、洗浄に耐えられ、変形し難い材料から作成される。
本発明にいう円盤波308は、容器内の水を巻き上げ、上昇水流を発生させる機能を持つもので、その断面が図5(2)四角a、かまぼこ形b、三角c、その他の多角d、円弧e、であるものをいう。
本発明にいう皮むき棒305は、図7三角形a、四角形b、六角形d、四角形の中でも直方体の板状cのものであり、水流で変形し難い材質から作成したものである。
本発明にいう豆類は、アオイマメ、アズキ、インゲンマメ、エンドウマメ、グリンピース、ケツルアズキ、ササゲ、ソラマメ、ダイズ(大豆)、ナタマメ、ナンキンマメ(ラッカセイ、落花生)、ヒヨコマメ、フジマメ、ヤエナリ、レンズマメである。
【発明の効果】
【0015】
以上説明した本発明の豆類皮むき装置を用いると、生の浸漬した豆類の皮を短時間に容易に剥くことができる。とくに、大豆の皮が問題となる食品等において、人手により長時間の処理をする必要があったけれども、本装置を使用することで解決できる。落花生の薄皮を剥ぐことは従来、至難の業であったが、本装置を使用することで、砕けたり、削られたり、割れや欠けのない剥き身を、短時間に容易に得ることができる。
また、簡単に分解したり、組み立てたりできることから、清掃して衛生的に保管できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の形態を本発明装置に基づいて説明する。本発明の実施例の装置断面図を図1に示す。豆類皮むき装置1は、投入部100と、円筒容器部200と、皮剥部300と、排出部400と、剥き身取出し部500と、駆動部600と、架台部700を具備するものである。
投入部を図2に示す。投入部100は、蓋103に取り付けた給水口101とシャワーノズル102と、蓋103に開口した投入口104とからなる。蓋103は、ステンレス製、アルミ製などの錆び難い金属や合金が好ましい。浸漬した豆類を投入口104から投入する。ホースを給水口101に取り付け、水道水または循環水を給水する。給水口のシャワーノズル102からシャワー状に放水して浸漬した豆類に給水する。浸漬した豆類が水に浸かった状態を保持する。
この投入部100は、円筒容器部200の上部から簡単に取り外せる構造になっている。
【0017】
円筒容器部200を図3に示す。円筒容器部200は、直径350〜900mm、長さ900〜1800mmの、単純な形状をした無底の円筒パイプからなっている。軸方向を縦方向とし、底部を架台部700に置き、上部に投入部100を取り外しができるように取り付け、中間部に皮剥部300と排出部400とで仕切る。内部の壁を円筒容器壁201と呼ぶ。
皮剥部300と投入部100との空間において、豆類の皮剥き処理をするところである。この空間の円筒容器壁201の一部に剥き身取出し口507を開口し、そこに剥き身取出し部500を取り外しができるように取り付ける。
排水部400の下方の円筒容器壁201に排水口404を開口する。そこから排水パイプ402を出す。
【0018】
皮剥部を図4に示す。皮剥部300は、円盤306の上面に円盤波308と皮むき棒305305を、取り外しができるように取り付けている。円盤306の中心に連結軸309を介して可変速モーター611の軸617を連結し、つまみ307で固定する。
円盤波308の配置図を図5に示す。円盤306の上面に円盤波308を放射線状に取り付ける。円盤波308を等角度に3,4,5,6,8,9または12枚それぞれ取り付けることができる。4,5,6枚が好ましい。8枚以上であると上昇流が立ち上がり難く、3枚のときも同様である。水中で円盤が回転すると円盤波308の起伏により上昇水流が起こる。鋭い角があると豆類の身を砕き易い。三角形cは崩れが少ないけれども、上昇水流が弱く、上部への上がりが良くない。円盤波308の形状として、円弧形e、かまぼこ形bが好ましく、高さは35〜55mmが好ましい。高さが低いと水流の上昇が弱く上部に上がらない。高く成りすぎるとむき身の崩れが多くなる。円盤波308の幅は55〜70mmが好ましい。幅が狭いとむき身の崩れが多くなり、幅が広く成りすぎると、むき身の崩れは無くなるが、水流の上昇が弱く上部に上がらない。
【0019】
円盤306の上面に皮むき棒305を取り付ける配置の類型を図6(a)〜(f)に示す。
3本立て4列(a)、3本立て6列(b)、2本立て4列(c)、2本立て6列(d)、1本立て4列(e)、1本立て6列(f)をそれぞれ示している。円筒容器の直形が400mmの場合、1本4列(e)、1本6列(f)のとき、ほとんど皮が剥けない。3本6列(b)のとき、良く剥けるが、豆の一部が崩れ、屑になり始める。
皮むき棒305と皮むき棒305との間をすり抜けた豆粒が次ぎの列の皮むき棒305の面に衝突するように配置することがより好ましい。
【0020】
皮むき棒305の形状の類型を図7(a)〜(e)に示す。皮むき棒305の形状は三角形、四角形、五角形、六角形が好ましく、四角形の中でも直方体の板状のものが最も良い。これ以上の多角形のものや円柱形、楕円柱形のものはほとんど皮が剥けない。
面の幅は25〜40mmが好ましい。
幅の広い面の傾斜によって、皮の剥け方に差異がある。中心線に対して40〜50度(130〜140度)に傾斜している場合、面全体に約50%が衝突し、約50%が逃げ、その繰り返しによって良く皮が剥けて、好ましい。90度の場合、豆粒が面に衝突しないで、逃げて、ほとんど皮は剥けない。0度の場合、面全体に衝突し過ぎて、逃げが少なく、面に乗ったまま廻り、ほとんど皮は剥けない。
【0021】
皮むき棒305の長さは、浸漬した豆類を投入したとき、容器内の嵩の高さが1〜1.3倍あれば良い。回転している状態で、浸漬した豆類の上面よりも短いと、上部の豆粒は面に衝突しないでぐるぐる回ってほとんど皮が剥けないので、上面よりも長く突き出ることが好ましい。
皮むき棒305の面にはとくに何も施さなくて良い。ヤスリや刃物や鋭角の凹凸を施すとかえって豆類の身を削り好ましくない。
【0022】
排出部の断面図を図8に示す。排出部400は、円盤306と円筒容器部200内部との間隙である分離間隙310と、円周部が弾性体であって円筒容器壁201と密接する受板403と、排出パイプ402と、排出口404とを具備する。豆粒の径が4mm以上のとき、分離間隙310の幅は2〜3mmが好ましい。隙間が狭すぎると、皮が出にくく、広すぎると皮も出るが、身も多くでる。また、隙間が広すぎると排水量が多くなり、浸漬した豆類を水中に保ために、多量の給水をする必要がある。
受板403は、排出パイプ402に向かって勾配を設けている。円周部に弾性体を貼り付けて円筒容器壁201と密接する防水構造とする代わりに受板403が受け皿のようになっていて、駆動部600に皮や水が飛散しないようにしたものであっても良い。また、受板403の中心部には、軸615が貫通し、O−リングなどで漏水防止の処理が施されている。
排出パイプ402は、プラスチック製の二重スライドパイプであり、排出口404から容易に外すことができる。また、蛇腹式の変形できるパイプであってもよい。
【0023】
剥き身取出し部500の概略図を図9に示す。円筒容器壁201201に取出し口507を開け、これに扉506を取り付け、取っ手505で開閉できるようにしてある。扉506の下方に取出しカバー504を取り付ける。剥き終わったら扉506を開いて、給水しながら回転盤をゆっくり回転しながら、水と共に剥き身を取出しカバー504に沿って流し出し、容器に収納する。
【0024】
駆動部600の概略図を図10に示す。駆動部600は、インバータ付き可変速モーター611の軸(ピン)617に嵌める軸615と、スイッチ613を含む回転制御盤619を具備する。

円筒容器部201と駆動部600とを載せる架台部700の概略図を図11に示す。架台脚701の上に架台底板703を取り付ける。この架台底板703の中心部に、可変速モーター611を駆動部取付ビス孔709で固着したとめ板705を、ビス孔707を介して設置する。この架台底板703の外周部に、円筒容器部201を載せて固着する。
【0025】
〔豆類の皮むき方法〕
分解して清掃した各部品を皮むき装置1に組み立てる。豆類の種類とその大きさを勘案して、円盤波308の数、皮むき棒305の形状、皮むき棒305の傾斜、皮むき棒305の本数を決定し、調整する。
所定の量の乾燥している生の豆類を、水温10〜30度Cの水に3〜12時間浸漬する。40度C以上で浸漬すると豆の身が柔らかくなり、砕け易い。浸漬時間が3時間より短いと皮が固くて剥きにくく、12時間以上浸漬すると、発酵、腐敗することがある。指で豆類を押さえて皮がつるりと剥けたときを、大豆の浸漬が完了したときとする。
【0026】
この生の浸漬した豆類を投入部100から円筒容器部200に投入する。
投入口104の蓋103は、工作でき錆びないアルミ製にした。投入口104の大きさは、大豆が跳びでない様に20〜25cmにする。また、蓋103を山形にする。蓋103を山形にすることによって、蓋103にあたる衝撃が少ないため、大豆の形が崩れない。
皮むき装置1の給水口101にホースをつなぎ込む。シャワーノズル102から放水し、給水する。浸漬した豆類が潅水したとき、スイッチ618を入れて徐々に回転数を上げる。水がない時は、滑りが悪く、大豆が崩れて練った状態になる。
水中で皮剥部300の円盤306が回転すると円盤波308の起伏により上昇水流が起こる。豆類が皮むき棒305の上端に届くまで回転数を上げる。円盤306の回転は、1秒間に2〜5回転(120〜300rpm)、好ましくは180〜240rpmである。回転方向は、一方向の回転である。回転数が遅いと水流が上昇せず、早すぎると剥き身が崩れ易い。剥き身は円盤306の上を水と共に回転している。水があるため、豆の形がくずれない。また、反転すると身が崩れ易い。回転数が低いと時間がかかる。
【0027】
浸漬した豆粒が上下する。皮むき棒305の面にあたり、徐徐にむけていく。むけた薄皮は、円盤306と円筒容器部200の隙間310から水と共に排出する。
すなわち、円筒容器内に、回転する円盤波308で生ずる上昇水流により豆粒が皮むき棒305と衝突して皮が剥かれる。剥き身と皮との水に対する抵抗力差による分離、剥かれた皮が遠心力により円筒容器壁201に突き当たり、水圧により円筒容器壁201と円盤との間の分離間隙310に吸い込まれて受板403に落ちる。このようにして剥き身と皮が連続的に分離される。皮は水と共に排水パイプから排出される。
【0028】
約8分間経過後に1度、スイッチ613をとめる。豆類を容器の中から手で取出し、剥けた状態を目視する。剥き身が約8割だったら、再度スイッチを入れ、作動する。2〜3分間回転させる。モータのスイッチを切り、手で豆類を取り、目視する。100%剥けたことを確認する。あるいは、円筒容器壁201の一部に覗き窓をあけて、剥けたことを確認することもよい。
剥き身取出し部500の取っ手515をひねり、扉506をあけて、給水しながら円盤306をゆっくり回転しながら、水と共に剥き身を取出しカバー504に沿って流し出し、水切りして容器に収納する。
引き続き、生の浸漬した豆類を投入部100から円筒容器部200に投入して、皮むき作業を繰り返す。
作業を終えて、そのままの状態にしておくと、身の屑や皮やぬめりが円盤306や外壁容器壁201にこびりつき、腐敗してしまうので、直ちに豆類皮むき装置1を分解し、清掃する。

【実施例1】
【0029】
〔大豆の皮むき〕
かまぼこ形b図5(2)、円盤波308の数を4枚、皮むき棒305の形状を板状、皮むき棒305の傾斜を45度、皮むき棒305を6列12本とした。
乾燥大豆3kgを計量器で計り、大きなタルに入れる。それを手で良く洗う。1回、2回、3回まで洗う。大豆3kgに対して水6リットルの量で、温度が20〜25度Cで7〜8時間浸漬した。乾燥大豆は、皮が硬い状態のため、時間が経つにつれて、徐々に大豆に水がしみ込む。皮と身が離脱し易くなる。大豆の浸漬が終了した状態は、手で触って、指で大豆を押さえた時、皮がつるりと剥けたときである。これを浸漬した大豆と呼ぶ。
【0030】
浸漬した大豆を投入口104より、投入した。皮むき装置の給水口101にホースでつなぎ込む。投入口104の蓋103は、工作し易く錆びないアルミ製にした。投入口104の大きさは、大豆が跳びでない様に20〜25cmにした。また、蓋103を山形にした。蓋103を山形にすることによって、蓋103にあたる衝撃が少ないため、大豆の形が崩れない。水道の蛇口をひねり、シャワー水を出す。約1分間に40〜50リットルの量を散水した。駆動のスイッチ613を入れる。シャワーの出口は、網状になっている。シャワーの位置は、上部にある。水をだすと、シャワー状態になるため、水が広がり全体にかかる。剥き身と皮がシャワーの水により分離し、分離間隙310に皮のみがおちる。水がない時は、滑りが悪く、大豆がくずれ、練った状態になる。身は円盤306の上を水と共に回転している。水があるため、大豆の形がくずれない。
【0031】
円盤306の回転数を180rpmとし、一方向に回転させた。大豆が容器から出なく抵抗無くよく廻る。回転の皮むき時間は、8〜10分間であった。
皮むき棒305は、錆びないためにステンレス仕様とし、板の厚みは、強度を保つために3mmの板を使用した。皮むき棒305の傾斜は、45度とした。板状にすると、大豆が良く当り、砕けず、良く剥ける。皮むき棒305の幅は30mm、皮むき棒305の本数は6列12本で、大豆が逃げ及び抵抗具合が良い。そのため、良く剥ける。皮むき棒305の位置は、円を6等分し、1列2本立である。中心から円に対して3分の1の位置と3分の2の位置に1本づつ立てた。円盤波308の形状はかまぼこ形になっていて、4本である。
【0032】
円盤306が回転し、皮むき棒305があるため、大豆がまわりはじめる。大豆にシャワーがかかり、大豆と大豆の間に常に水が入り、砕けず、形を保ったまま廻る。大豆は、皮むき棒305に当り、皮が徐々に剥けていく。円盤波308があるため、下部の大豆は上部にあがり、上部の大豆は下部に下りる。大豆は、回転により、上下を繰り返す。その時に皮は、水と共に離脱し、遠心力により分離し、円筒容器壁201に当り、分離間隙310の2mmを通り排水出口404より排出される。
作動して8分間経過後1度、スイッチ613をとめる。大豆を容器の中から手で取出し、剥けた状態を目視した。剥き身が約8割だったので、再度スイッチを入れ、作動した。2〜3分回転させた。モーターのスイッチを切り、手で大豆を取り、目視した。100%剥けていることを確認した。
【0033】
剥き身大豆は、スイッチ613を切らず、可変速モータ611をゆっくり廻しながら、取出し口の扉506を開ける。そうすると、遠心力により、手で出さなくて自動的に95〜98%むき身取出し部500の取出しカバー504に沿って流れて出てくる。外に置いてある45〜50cmのカゴに受ける。容器の中に残った剥き身大豆を、手でとりだす。
一方、皮の排水出口404の下に30〜35cmのカゴを用意して、皮を受ける。
剥き身大豆を取り出したあと、水道水のシャワーを止める。そのあと、容器を水道水で良く洗い、乾いたタオルで水分を拭き取る。
結果を表1に示す。ほとんど剥き身が崩れないで回収できた。
〔比較例1〕
【0034】
皮むき棒305の本数を各列一本立てにした以外は実施例1と同様にした。その結果、逃げが多く、大豆を叩かないため、ほとんど皮が剥けなかった。
〔比較例2〕
【0035】
円盤波308の数を4枚にした以外は実施例1と同様にした。その結果、水流が強く、波が多いため、大豆をよく叩き、削れて屑がでた。
【実施例2】
【0036】
〔大豆の皮むき〕
円盤波308の数を6枚にし、回転数を240pmにした以外は、実施例1と同様にした。その結果、ほとんど剥き身が崩れないで回収できた。
〔比較例3〕
【0037】
回転数を400rpmにした以外は実施例2と同様にした。その結果、水流が強く、大豆をよく叩き、崩れて屑がでた。歩留まりが悪い。
〔比較例4〕
【0038】
皮むき棒305の形状を丸棒または八角棒にした以外は実施例2と同様にした。その結果、ほとんど皮が剥けなかった。
【実施例3】
【0039】
〔大豆の皮むき〕
皮むき棒305の板幅を25mmとし、皮むき棒305の傾斜を35度にし、皮むき棒305の枚数を4列8枚にし、円盤波308の数を4枚にし、回転数を120rpmにした以外実施例1と同様にした。
多少時間がかかるがほとんど剥き身が崩れないで回収できた。
しかしながら、同様にして回転数を80rpmにすると、剥くのに非常に時間がかかった。
【実施例4】
【0040】
円盤波308の数、皮むき棒305の形状、皮むき棒305の傾斜、皮むき棒305の本数などの条件を変えて、回転数を変えて実験した結果を表に示す。図中、◎は良好、○はやや良好、△はやや不良、×は不良を意味する。
【0041】
【表1】

【実施例5】
【0042】
〔落花生の皮むき〕
落花生30kgを計量器で計り、大きなタルに入れる。それを手で良く洗う。1回、2回、3回まで洗う。落花生30kgに対して水60リットルの量で、温度が20〜25℃で浸漬時間を10〜12時間した。落花生は、大豆より皮が厚く硬いので、大豆に比べて2〜3割浸漬する時間が長い。落花生の状態として、手で触って、指を落花生に押さえた時、皮がつるりと剥ければ、落花生が浸漬したことになる。
【0043】
浸漬した落花生を投入口104より、約5Kgを投入した。皮むき装置の給水口101にホースでつなぎ込む。投入口104の大きさを、落花生が跳びでない様に20〜25cmにした。また、蓋103を山形にした。蓋103を山形にすることによって、蓋103にあたる衝撃が少ないため、落花生の形が崩れない。
水道の蛇口をひねり、シャワー水を出した。約1分間に40〜50リットルの量を放水した。駆動のスイッチ613を入れた。シャワーの出口は、網状になっている。シャワーの位置は上部にある。水をだすと、シャワー状態になるため、水が広がり全体にかかる。落花生の身と皮がシャワー水により浮遊し、分離間隙301に皮のみ通り抜けておちた。水がない時は、滑りが悪く、落花生が崩れ、練った状態になる。剥き身は円盤306の上を水と共に回転した。水があるため、形がくずれなかった。
【0044】
円盤306の回転は、1秒間に3〜4回転した。180〜240rpmである。
一方向の回転である。皮むき時間として、8〜10分間作動した。皮むき棒305は、錆びないためにステンレス仕様とし、板の厚みは、強度を保つために3mmの板を使用した。板の傾斜は40〜45度である。板状にすると、落花生が良く当り、砕けず、良く剥けた。皮むき棒305の幅は60mm、皮むき棒305の本数は、4列12本で、落花生の逃げ及び抵抗の具合が良かった。そのため、良く剥けた。皮むき棒305の位置は、円を4等分し、1列3本立である。中心から円に対して4分の1の位置と4分の2の位置と4分の3の位置に1本づつ立てた。
【0045】
円盤波308は、4本である。円の4等分の位置にあり、形状は円弧形になっている。高さは40mm、幅60mmである。円盤306が回転し、皮むき棒305があるため、落花生がまわりはじめる。落花生にシャワーがかかり、落花生と落花生の間に水が入り、砕けず形のまま廻る。落花生は、皮むき棒305に当り、皮が徐々に剥けていく。円盤波308があるため、底の落花生は、上部にあがり、上部の落花生は、下部に下りる。落花生は、回転により、上下を繰り返す。その時に皮は、剥き身から水と共に離脱し、遠心力により分離し、円筒容器壁201に当り、分離間隙310の2.5mmを通り抜け、排水出口404より排出された。
【0046】
約7分間経過後、1度スイッチ613を止めた。落花生を容器の中から手で取出し、剥けた状態を目視した。剥きが8割だったので、再度スイッチを入れ、作動した。2〜3分間回転させた。モーターのスイッチを切り、手で落花生を取り、目視した。100%剥けたことを確認した。
【0047】
剥き身落花生を取り出すには、スイッチ613を切らず、可変速モーター611を廻しながら、取出し口の蓋506を開ける。そうすると、遠心力により、手で出さなくても自動的に95〜98%むき身取出し部500より出てくる。外に置いてある45〜50cmの網カゴに受ける。容器の中に残った剥き身落花生を手でとりだす。剥き身落花生を取り出したあと、水道水のシャワーを止める。
【0048】
一方、皮の排水出口404の下に30〜35cmのカゴを用意して、皮を受ける。そのあと、容器を水道水で良く洗い、乾いたタオルでよく拭く。
その結果を表2に示す。薄皮が取れ、ほとんど剥き身が崩れないで回収できた。
【0049】
【表2】


〔比較例5〕
【0050】
回転数を400rpmにし、皮むき棒305の形状を板状にし、皮むき棒305の傾斜を25〜35度、皮むき棒305の枚数を二本立て12枚にし、円盤波308の数を4列にした以外は実施例5と同様にした。その結果を表1に示す。回転数が速く、崩れが多く出て、歩留まりが悪い。
【実施例6】
【0051】
〔落花生の皮むき〕
回転数を150rpmにし、皮むき棒305の形状を板状にし、皮むき棒305の傾斜を50度にし、皮むき棒305の本数を2列12本にし、円盤波308の数を6列にした以外は実施例5と同様にした。
その結果、ほとんど剥き身が崩れないで、所定の時間10分間で回収できた。
〔比較例5〕
【0052】
回転数を、80rpmにする以外は実施例5と同様にした。
皮むき棒305の傾斜を25度にすると、傾斜が小さいため、抵抗が強く回転が重たくなり、モーターに無理がくる。皮むき棒305の枚数を2列12枚にすると、大豆が崩れ、良く上下に躍る。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の装置全体の断面図である。
【図2】投入部
【図3】円筒容器部
【図4】皮剥部
【図5】円盤波の配置図(1)数量 (a)2列 (b)3列 (c)4列 (d)5列 (e)6列 (2)形 (a)四角形 (b)かまぼこ型 (c)三角形 (d)多角形 (e)円弧 (3)高さ (a)30mm (b)40mm (c)50mm (d)60mm(4)巾 (a)30mm (b)40mm (c)50mm (d)60mm
【図6】皮むき棒305の配置図(a)3本立て4列(b)3本立て6列(c)2本立て4列(d)2本立て6列(e)1本立て4列(f)1本立て6列
【図7】皮むき棒305の形状(a)三角形(b)四角柱形(c)直方体の板状(d)六角形(e)円柱形
【図8】排出部
【図9】剥き身取出し部
【図10】駆動部
【図11】架台部
【符号の説明】
【0054】
100 投入部
101 給水口
102 シャワーノズル
103蓋
104投入口
200円筒容器部
201円筒容器壁201
300皮剥部
305皮むき棒305
306円盤
307つまみ
308円盤波
309連結軸
310分離間隙
400排水部
401排水パイプ入口
402排水パイプ
403受板
404排水出口
500むき身取り出し部
504取出しカバー
505取っ手
506扉
507取出し口
600駆動部
611可変速モータ
613スイッチ
615軸
617ピン
700架台部
701架台脚
703架台底板
705とめ板
707ビス孔
709駆動部取付ビス孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入部と、円筒容器部と、皮剥部と、排出部と、剥き身取出し部と、駆動部と、架台部を具備する豆類皮むき装置であって、皮剥部の円盤に取り付けた3〜6個の円盤波と皮むき棒ならびに円筒容器壁と円盤との間に2〜3mmの分離間隙310を主要な構成とする豆類皮むき装置。
【請求項2】
皮むき棒が、面の幅25〜40mm、厚み2〜5mmの直方体の板状であって、複数本立て8〜18枚からなることを特徴とする請求項1に記載の豆類皮むき装置。
【請求項3】
円筒容器部が、直径350〜900mm、長さ900〜1800mmの、単純な形状をした無底の円筒パイプからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の豆類皮むき装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−202406(P2007−202406A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21285(P2006−21285)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(305053824)
【Fターム(参考)】