説明

負荷電流制御装置

【目的】 負荷電流を規定値以内に維持するよう機能する装置にかかわるものである。
【構成】 負荷電流を制限する負荷電流制限機構と、当該負荷電流が規定値を超えるか否かを判定する負荷電流判定機構と、その判定値の如何により当該負荷電流機構を短絡・解放する開閉機構とで構成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の分野】この発明は、負荷電流がある規定値を超える時は、その負荷電流を制限する装置を駆動して負荷に流れる負荷電流を当該規定値以内のほぼ一定値に適正に維持し、逆に負荷電流が規定値以下の時はその負荷電流を制限する機構を短絡する機能を有する装置に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】従来は、電源投入直後より短時間、負荷電流が異常に大きいとき、たとえば突入電流などが生じる時は、負荷をいくつかのブロックに分け、順次時間差をつけて電源を投入するとか、異常な負荷電流を制限するために大型の負荷電流制限回路を具備して負荷電流を制御するなどしていた。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】前述のごとく、負荷をいくつかのブロックに分け、順次時間差をおいて電源を投入し、特入電流などの異状に大きい負荷電流を制限する方法では、すでに流れている負荷電流の上に別のブロックの負荷電流が新たに重畳されるため、その負荷電流の総和が簡単に規定値を超え制限された負荷電流値以内に維持することがすこぶる困難である。特に当該突入電流などの異常に大きい負荷電流が温度などの外乱要因で変化するときは、当該負荷電流を規定値以内に維持することは極めて困難と言わざるを得ない。また、PTCヒータを内蔵した暖房器具などの負荷をブロック単位ごとにその発熱温度が相互に相違するなどの温度むらを発生し、その為全体的に均一な暖房が出来ないなどの問題が生じていた。また、電源電圧を加えたまま全負荷を開閉しなければならず、開閉器の容量を大きくする必要があり、また寿命も短くなってしまっていた。電流制限回路のみで制御する場合、多くの電流制限回路は熱を大量に発生するため、その放熱のために大きな放熱器が必要となり制御器が巨大ならざるを得なかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、負荷電流を制限する負荷電流制限機構と、当該負荷電流が規定値を超えるか否かを判定する負荷電流判定機構と、その判定値の如何により当該負荷電流制限機構を短絡・解放する開閉機構とで構成された事を特徴とするものである。更に開閉機構をリレーで構成した負荷電流制御装置とするものである。
【0005】
【作用】電源投入時、常に負荷電流が規定値を超えるか否かを判定する負荷電流判定機構を稼働させておき、突入電流などの異常に大きい負荷電流を常に監視し、当該負荷電流判定機構により当該負荷電流が規定値以内になるよう制御する。また、温度上昇や時間経過など諸条件により負荷電流が規定値以内になれば、即座に負荷電流制限機構を閉路する。開路する際は電流制限機構を機能させた上で開閉器を開路し、電流制限機構にて全体を閉路する。
【0006】
【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例について、図面を参照して説明する。図1は本実施例による制御装置を備えた加熱装置である。負荷はPTC効果を持つ面状発熱体である。この発熱体は、大きな正の温度係数を持つヒータで、この例では0度付近では2オーム、10度付近で5オーム、20度付近では7オーム、30度付近では10オームと変化する。電源投入時、0度であれば100ボルトを加えると、50Aにも達する。そこで電流制限回路の一例として、トライアック1の点弧角を調整する事により負荷電流を制御する。コンピュータ3には電流検出器2の出力が接続されているので、負荷電流を常時知ることが出来るので、それが制限電流(16A)以内になるようにトライアックの点弧角を制御する。時間と共にヒータの温度が上昇し、電流が減少すれば、コンピュータ3はそれを検出して、トライアック2の点弧角を徐々に大きくし、制限電流まで電流を上げ、効率よく加熱するよう制御する。更に時間が経過し、ヒータの温度が20度付近に達すると、トライアック2の点弧角を全点弧にしても、制限電流以下となるので、コンピュータ3は開閉器の一例として用いたリレー4にて、トライアック回路そのものを短絡する。負荷電流はリレー4を通じて流れ、トライアックには流れないためトライアックの発熱はなくなる。この種の温度制御は、PTC効果の持つ面状発熱体の面全体を均等に加熱するという、性質を最大限生かすため、数分の時間間欠制御をするのが、本装置は間欠運転ごとに、上記の電流制限及びその回路の短絡を繰り返す。本回路では電流制限回路の電圧降下が2V以下と小さいので、ショートするリレーの接点電力を著しく小さくすることが出来る。また、負荷を切るときは一旦トライアック2を全点弧してから、リレーを切るため、リレー接点間の電圧は同じく2Vになるため、火花など出ないので接点の磨耗を少なく出来る。尚かつリレーの入り切りの際は、電流がゼロ付近で行うようコンピュータ3が指令するため、リレーの接点寿命は著しく延びる。なお、電流制限回路はトライアックの他、サイリスタ、FET、GTO、トランジスタ等の半導体スイッチング素子や、サーミスタ、トランス、抵抗などでも同様な効果が得られる。
【0007】
【発明の効果】以上の視点から明確なように本発明に基づく負荷電流制限装置を用いれば突入電流動作状態時には常に負荷電流を規定値以内のほぼ一定の負荷電流値に押さえることが出来、突入電流の時期が過ぎれば負荷電流制限機構を短絡するので、そこでの消費される無用な電力損失を低減することが出来、節電対策に効果を有する。また、負荷をいくつかのブロックに分け、順次時間差をおいて電源を投入し、突入電流などの異状に大きい負荷電流を制限する必要もないことから、負荷装置全体の制御が比較的簡単であるなどの利点がある。さらに短時間の制御で済むから負荷電流制限機構で無用に電力を消費することも少なくなることから、従来の方法に比べ一段と効率を向上させることも可能である。
【0008】
【図面の簡単な説明】
【図1】機能を説明する回路図である
【符号の説明】
1.電流制限回路
2.負荷電流検出回路
3.コンピュータ
4.電流制限回路
5.負荷
【図2】実施例を説明する回路図である
【符号の説明】
1.電流制限素子(トライアック)
2.負荷電流検出用電流検出器
3.制御用コンピュータ
4.リレー(電流制限回路短絡用)
5.負荷(PTCヒータ)
6.リレー(電源投入用)

【特許請求の範囲】
【請求項1】負荷電流を制限する負荷電流制限機構と当該負荷電流が規定値を超えるか否かを判定する負荷電流判定機構と、その判定値の如何により、当該負荷電流制限機構を短絡・解放する開閉機構とで構成されたことを特徴とする負荷電流制御装置。
【請求項2】開閉機構をリレーで構成した特許請求の範囲代項記載の負荷電流制御装置

【図1】
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【図2】
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