説明

貨幣処理システム、入金機、及び貨幣処理方法

【課題】締め作業に要するコストを削減すると共に、精算処理の厳正化を図る。
【解決手段】貨幣処理システムは、機内の貨幣の在高データを出力可能な複数の釣銭機20と、前記複数の釣銭機から前記在高データを受け取って各釣銭機の在高を管理すると共に、前記複数の釣銭機へ対して回収処理指示を通知する管理装置10と、を備え、前記複数の釣銭機はそれぞれ、前記管理装置から前記回収処理指示が通知されると、回収処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の釣銭機を一括管理することができる貨幣処理システム、入金機、及び貨幣処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーや量販店等の小売店舗には、複数のPOSレジスタと、各POSレジスタに接続された釣銭機が設置されている。釣銭機は、顧客の支払金を入金したり、釣銭を出金したりする。店舗の後方(出納室)には、レジ担当の店員の操作によってレジ毎に必要な現金を払い出したり、店員がレジスタから回収してきた現金を計数して入金処理したりする現金処理装置(入金機)が設置されている。
【0003】
また、釣銭機と、釣銭機に補充する釣銭用現金の出金及び釣銭機からの回収現金の入金を行う現金処理装置と、各釣銭機の釣銭用現金の金種別必要枚数を記憶した現金データ管理装置と、を備え、現金データ管理装置が釣銭機から在高データを受け取り、釣銭機に補充すべき現金の枚数を現金処理装置に通知し、現金処理装置が補充現金を出金する現金管理システムが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
しかし、上述したような従来の現金管理システムでは、営業終了後の締め作業(現金回収・精算作業)において、各レジの担当の店員が、釣銭機内の現金を回収し、現金処理装置に入金していた。そのため、締め作業に要する人件費等のコストが高くなるという問題があった。また、締め作業に多くの人員が関わることは、精算処理の厳正化の妨げになるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−241531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、締め作業に要するコストを削減すると共に、精算処理の厳正化を図ることができる貨幣処理システム、入金機、及び貨幣処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様による貨幣処理システムは、機内の貨幣の在高データを出力可能な複数の釣銭機と、前記複数の釣銭機から前記在高データを受け取って各釣銭機の在高を管理すると共に、前記複数の釣銭機へ対して回収処理指示を通知する管理装置と、を備え、前記複数の釣銭機はそれぞれ、前記管理装置から前記回収処理指示が通知されると、回収処理を行う。
【0008】
本発明の一態様による貨幣処理システムにおいては、前記複数の釣銭機の少なくとも1つは、貨幣を金種別に収納する収納庫と、当該釣銭機から貨幣を回収するカセットと、を備え、前記回収処理指示が通知されると、前記収納庫に収納されている貨幣を前記カセットへ移動させることが好ましい。
【0009】
本発明の一態様による貨幣処理システムにおいては、前記釣銭機は、前記カセットが装着されたときにロックすることで当該カセットの持ち出しを不能にすることができ、前記回収処理指示を条件の1つとして、ロックを解除して当該カセットを持ち出し可能とすることが好ましい。
【0010】
本発明の一態様による貨幣処理システムにおいては、前記複数の釣銭機の少なくとも1つは、前記回収処理の開始指示を受け付ける受付部を備え、前記管理装置から前記回収処理指示が通知された後に、前記受付部を介して前記開始指示を受け付けた場合に、前記回収処理を行うことが好ましい。
【0011】
本発明の一態様による貨幣処理システムにおいては、前記管理装置は、前記釣銭機の収納庫に収納されている貨幣を全て回収する全回収、又は前記釣銭機に予め設定されている金種別枚数の貨幣を前記収納庫に残す残置回収、又は回収貨幣の金種別枚数若しくは前記収納庫に残す貨幣の金種別枚数を指定する指定回収を前記回収処理指示として前記複数の釣銭機に通知することが好ましい。
【0012】
本発明の一態様による貨幣処理システムにおいては、前記釣銭機から回収した貨幣が入金され、計数を行う入金機をさらに備え、前記管理装置は、当該釣銭機に指定した回収貨幣の金種別枚数と、前記入金機の計数結果とを照合することが好ましい。
【0013】
本発明の一態様による貨幣処理システムにおいては、前記釣銭機から回収した貨幣が入金され、計数を行う入金機をさらに備え、当該釣銭機は、前記回収処理した貨幣の金種別枚数データを前記管理装置へ出力し、前記管理装置は、当該釣銭機から受け取った回収貨幣の金種別枚数データと、前記入金機の計数結果とを照合することが好ましい。
【0014】
本発明の一態様による貨幣処理システムにおいては、前記釣銭機に補充する貨幣を出金すると共に、出金額を前記管理装置へ出力する出金機をさらに備え、前記釣銭機は、貨幣が補充されると、補充額を計数して前記管理装置へ出力し、前記管理装置は、前記出金額と前記補充額とを照合することが好ましい。
【0015】
本発明の一態様による入金機は、貨幣の受け入れ、計数、及び収納を含む入金処理を行う入金機であって、複数の釣銭機から機内の在高データを受け取って、各釣銭機の在高を管理する管理部と、前記複数の釣銭機に対して、回収処理の実行を指示する指示部と、を備えるものである。
【0016】
本発明の一態様による入金機においては、前記指示部が指示する前記回収処理は、前記釣銭機の収納庫に収納されている貨幣を全て回収する全回収、又は前記釣銭機に予め設定されている金種別枚数の貨幣を前記収納庫に残す残置回収、又は回収貨幣の金種別枚数若しくは前記収納庫に残す貨幣の金種別枚数を指定する指定回収であることが好ましい。
本発明の一態様による入金機においては、前記管理部は、前記釣銭機から回収した貨幣について前記入金処理を行った時の計数結果と、前記指示部が前記釣銭機に指定した回収貨幣の金種別枚数とを照合することが好ましい。
【0017】
本発明の一態様による入金機においては、前記管理部は、前記釣銭機から回収貨幣の金種別枚数の情報を受け取り、この金種別枚数の情報と、当該釣銭機から回収した貨幣について前記入金処理を行った時の計数結果とを照合することが好ましい。
【0018】
本発明の一態様による貨幣処理方法は、複数の釣銭機が機内の貨幣の在高データを出力する工程と、管理装置が前記在高データを受け取って、各釣銭機の在高を管理する工程と、前記管理装置が前記複数の釣銭機に対して回収処理指示を通知する工程と、前記複数の釣銭機が、前記回収処理指示に基づいて回収処理を行う工程と、を備えるものである。
【0019】
本発明の一態様による貨幣処理方法においては、前記管理装置は、前記釣銭機の収納庫に収納されている貨幣を全て回収する全回収、又は前記釣銭機に予め設定されている金種別枚数の貨幣を前記収納庫に残す残置回収、又は回収貨幣の金種別枚数若しくは前記収納庫に残す貨幣の金種別枚数を指定する指定回収を前記回収処理指示として前記複数の釣銭機に通知することが好ましい。
【0020】
本発明の一態様による貨幣処理方法においては、入金機が、前記釣銭機から回収した貨幣の入金、計数、及び収納を行う工程と、前記管理装置が、当該釣銭機に指定した回収貨幣の金種別枚数と、前記入金機の計数結果とを照合する工程と、をさらに備えることが好ましい。
【0021】
本発明の一態様による貨幣処理方法においては、前記釣銭機が、前記回収処理した貨幣の金種別枚数データを前記管理装置へ出力する工程と、入金機が、当該釣銭機から回収した貨幣の入金、計数、及び収納を行う工程と、前記管理装置が、当該釣銭機から受け取った回収貨幣の金種別枚数データと、前記入金機の計数結果とを照合する工程と、をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、締め作業に要するコストを削減すると共に、精算処理の厳正化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る貨幣処理システムの概略構成図である。
【図2】同実施形態に係る釣銭機の外観斜視図である。
【図3】同実施形態に係る釣銭機のブロック構成図である。
【図4】同実施形態に係る管理装置が管理する釣銭機の在高の一例を示す図である。
【図5】同実施形態に係る貨幣回収処理を説明するフローチャートである。
【図6】同実施形態に係る貨幣補充処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に本発明の実施形態に係る貨幣処理システムの概略構成を示す。貨幣処理システムは、機内の貨幣の在高データを出力可能な複数の釣銭機20と、複数の釣銭機20から在高データを受け取って各釣銭機20の在高を管理すると共に、複数の釣銭機20に対して回収処理指示を通知する管理装置10と、備える。
【0025】
各釣銭機20にはPOSレジスタ70が接続されている。POSレジスタ70は、顧客の商品購入等に伴う取引金額を特定する。釣銭機20は、顧客からの預かり金額から取引金額を引いた釣銭額の釣銭を出金する。POSレジスタ70は、顧客が購入した商品の情報等をホストコンピュータ(図示せず)へ送信する。
【0026】
各釣銭機20は、管理装置10から回収処理指示が通知されると、回収処理を行い、機内の貨幣を機外から回収できるようにする。回収処理の詳細については後述する。
【0027】
図1に示すように、貨幣処理システムは、管理装置10に接続された入金機11及び出金機12を備える。管理装置10と、入金機11及び出金機12とは、例えばLANで接続される。
【0028】
入金機11は、釣銭機20から回収した貨幣が投入され、受け入れた貨幣の識別、計数、収納を含む入金処理を行う。入金機11は貨幣の計数結果を管理装置10へ出力する。貨幣の識別、計数、収納を行う入金機は公知であるため、その構成の詳細な説明は省略する。
【0029】
出金機12は、釣銭機20に補充する貨幣を出金し、出金額(補充額)を管理装置10へ出力する。出金機12は公知のものであり、その構成の詳細な説明は省略する。
【0030】
管理装置10は、各釣銭機20の在高を管理する管理部10aと、複数の釣銭機20に対して回収処理指示を通知する指示部10bとを有する。指示部10bは、複数の釣銭機20に対して、回収処理指示を、同時に、又は、順に連続して通知する。指示部10bは、釣銭機20に対して、全回収、残置回収、指定回収の3種類のうちのいずれかの回収処理を行うように指示する。
【0031】
ここで、全回収は、釣銭機20の機内にある貨幣を全て回収する処理をいう。また、残置回収は、釣銭機20に予め設定されている金種別枚数の貨幣を残し、その他の貨幣を回収する処理をいう。また、指定回収は、釣銭機20から回収する貨幣の金種別枚数又は釣銭機20に残す貨幣の金種別枚数を管理装置10が指定し、釣銭機20がこの指定に基づいて貨幣を回収する処理をいう。
【0032】
管理部10aは、回収処理により釣銭機20から回収されるべき貨幣のデータと、実際に釣銭機20から回収されて入金機11で入金処理を行った際の計数結果とを照合する。
【0033】
次に、図2、図3を用いて、釣銭機20の構成を説明する。図2、図3に示すように、釣銭機20は、紙幣釣銭機30及び硬貨釣銭機50を備える。
【0034】
まず、紙幣釣銭機30の構成について説明する。紙幣釣銭機30は、紙幣が挿入される入金口32と、入金口32によって受け入れられた紙幣を機内に取り込む繰込ユニット34と、繰込ユニット34に連結され、当該繰込ユニット34によって繰り込まれた紙幣を搬送する接続搬送部36bと、接続搬送部36bに連結され、当該接続搬送部36bから搬送された紙幣を搬送する周回搬送部36aとを有する。なお、この周回搬送部36aは、繰込ユニット34によって繰り込まれた紙幣を搬送する場合には反時計回りの方向に紙幣を搬送し、後述する収納庫40から繰り出された紙幣を搬送する場合には時計回りの方向に紙幣を搬送する。
【0035】
また、図3に示すように、周回搬送部36aには、紙幣の金種等を識別する識別部38が設けられており、周回搬送部36aで搬送される紙幣の金種等が識別される。また、周回搬送部36aには、接続搬送部36bを介して収納庫40が連結されている。収納庫40は複数(例えば3つ)設けられており、各収納庫40はそれぞれ対応する接続搬送部36bを介して周回搬送部36aに連結される。
【0036】
各収納庫40には、識別部38による識別結果に基づいて、金種毎に紙幣が収納される。また、各収納庫40には繰出機構(図示せず)が設けられており、各収納庫40に収納された紙幣を繰出機構により接続搬送部36bに繰り出すことができる。
【0037】
また、周回搬送部36aには、各収納庫40内の紙幣を回収する場合に、収納庫40から繰り出された紙幣を収納する回収カセット42が、接続搬送部36bを介して連結されている。この回収カセット42は、紙幣釣銭機30本体に装着された際にロックされると、持ち出し不能となる。ロックを解除することで、回収カセット42は、紙幣釣銭機30本体の前面から手前側に引き出し可能となり、持ち出し可能となる。
【0038】
また、周回搬送部36aには、出金時に各収納庫40から繰り出された紙幣が放出される放出ユニット44が、接続搬送部36bを介して連結されている。放出ユニット44には、紙幣を機外へ放出する出金口46が設けられている。また、放出ユニット44の隣には、出金時に異常があると判断された紙幣が搬送されて集積される出金リジェクト部48が設けられている。
【0039】
また、紙幣釣銭機30には紙幣制御部30aが設けられている。紙幣制御部30aは管理装置10及びPOSレジスタ70に通信接続されている。また、紙幣制御部30aは、紙幣釣銭機30の各構成要素に接続されており、各構成要素の制御を行う。紙幣制御部30aは、識別部38による紙幣の金種等の識別結果が通知される。紙幣制御部30aは、識別部38から通知された識別結果に基づいて、入金された紙幣の合計金額を算出する。
【0040】
また、図2に示すように、紙幣釣銭機30には、操作者からの各種指示を受け付ける指示受付部49が設けられている。
【0041】
次に、硬貨釣銭機50の構成について図2及び図3を用いて説明する。硬貨釣銭機50は硬貨を受け入れる入金口52と、入金口52によって受け入れられた硬貨を機内に繰り入れる繰入機構(図示せず)と、繰入機構によって繰り入れられた硬貨を搬送する硬貨搬送部54と、硬貨搬送部54に設けられ、硬貨の金種等を識別する識別部56とを有する。
【0042】
識別部56の下流側には、金種別に硬貨を収納する複数(例えば6つ)の収納庫58が設けられている。
【0043】
各収納庫58には、当該収納庫58から出金すべき硬貨を繰り出す繰出機構(図示せず)が連結されており、この繰出機構には、当該操出機構によって繰り出された硬貨を受け入れる出金口60が連結されている。収納庫58の硬貨を釣銭硬貨として払い出す場合や、収納庫58の硬貨を回収するため機外に払い出す回収処理を行う場合に、この繰出機構によって硬貨を出金口60に払い出す。
【0044】
また、硬貨搬送部54の識別部56の下流側であって、各収納庫58と出金口60の上流側に分岐部62が設けられている。分岐部62は、硬貨搬送部54で搬送された硬貨を収納庫58に搬送するか、又は出金口60に搬送するかを分けるようになっている。この分岐部62では、入金時に識別部56で識別することができなかった硬貨をリジェクト硬貨の返却として出金口60に戻すようになっている。
【0045】
また、硬貨釣銭機50には硬貨制御部50aが設けられている。硬貨制御部50aは、紙幣釣銭機30の紙幣制御部30aに通信接続されている。硬貨制御部50aは、硬貨釣銭機50の各構成要素に接続されており、各構成要素の制御を行う。識別部56による硬貨の金種等の識別結果は硬貨制御部50aに通知される。また、図2に示すように、硬貨釣銭機50にも、操作者からの各種指示を受け付ける指示受付部59が設けられている。
【0046】
硬貨制御部50aは、識別部56から通知された識別結果に基づいて、入金された硬貨の合計金額の情報を紙幣制御部30aへ送信する。紙幣制御部30aは、入金された紙幣の合計金額と、入金された硬貨の合計金額とを加算して、入金額を算出する。釣銭機20(紙幣釣銭機30、硬貨釣銭機50)へ貨幣を補充する際も、入金時と同様の処理により補充額が算出される。
【0047】
硬貨制御部50aは硬貨釣銭機50内(収納庫70内)の硬貨の在高データを管理しており、この在高データを紙幣制御部30aへ送信する。紙幣制御部30aは、紙幣釣銭機30内(収納庫40内)の紙幣の在高データを管理している。紙幣制御部30aは、紙幣の在高データと、硬貨制御部50aから受け取った硬貨の在高データとを合わせて、釣銭機20内の在高データを管理装置10へ随時送信する。これにより、管理装置10は、図4に示すように、各釣銭機20の在高を(リアルタイムに)管理することができる。
【0048】
図4を参照して、管理装置10が管理するデータについて説明する。「開始在高」は、営業開始前に釣銭機20に予め補充しておいた(または、前日から機内に残置されていた)釣銭準備金の額である。「補充」は、営業時間中に釣銭準備金が不足し、新たに補充した貨幣の額である。「途中回収」は、営業時間中に収納貨幣が増加したため機外に払い出して回収した貨幣の額である。「回収」は、営業終了後の締め作業において、釣銭機20から回収した貨幣の額である。「残置金額」は、営業終了後の締め作業で回収せずに、翌日の営業の釣銭準備金として釣銭機20内に残置させた貨幣の額である。そして、これらの額と「現金売上」として釣銭機20に入金される貨幣の額が、釣銭機に入金・出金される貨幣の全てであるから、「現金売上」=「残置金額」+「途中回収」+「回収」−「開始在高」−「補充」により算出できる。
【0049】
また、紙幣制御部30aは、補充処理によって釣銭機20(紙幣釣銭機30、硬貨釣銭機50)に補充された貨幣の補充額を、管理装置10へ出力する。
紙幣制御部30aは、POSレジスタ70との間で、取引金額、釣銭額等を受信したり、入金額を送信したりすることができる。
【0050】
釣銭機20(紙幣釣銭機30、硬貨釣銭機50)が釣銭を支払う際は、紙幣制御部30aが、釣銭額の内、紙幣で支払うべき釣銭について、収納庫40から必要な紙幣を繰り出し、出金口46から機外へ放出する。また、紙幣制御部30aは、釣銭額から紙幣の釣銭額を差し引いた残りの釣銭額について、硬貨制御部50aに出金指示を行う。硬貨制御部50aは出金指示に基づいて、収納庫58から必要な硬貨を繰り出し、出金口60から払い出す。
【0051】
紙幣制御部30aは、管理装置10から回収処理指示が通知されると、この回収処理指示を硬貨制御部50aへ送信する。そして、紙幣制御部30a及び硬貨制御部50aは、回収処理指示に基づいて、回収処理を行う。
【0052】
まず、回収処理として全回収が指示された場合の紙幣釣銭機30及び硬貨釣銭機50の動作について説明する。
【0053】
紙幣釣銭機30は、収納庫40に収納されている紙幣をすべて回収カセット42へ搬送する。さらに、回収カセット42のロックを解除し、紙幣釣銭機30本体から持ち出し可能とする。硬貨釣銭機50は、収納庫58に収納されている硬貨をすべて出金口60へ払い出す。
【0054】
次に、回収処理として残置回収が指示された場合の紙幣釣銭機30及び硬貨釣銭機50の動作について説明する。
【0055】
紙幣釣銭機30には、機内に残しておく紙幣の金種別枚数が予め設定されている。紙幣釣銭機30は、この予め設定された金種別枚数の紙幣を収納庫40に残し、それ以外の紙幣を回収カセット42へ搬送する。さらに、回収カセット42のロックを解除し、紙幣釣銭機30本体から持ち出し可能とする。
【0056】
紙幣釣銭機30と同様に、硬貨釣銭機50にも、機内に残しておく硬貨の金種別枚数が予め設定されている。硬貨釣銭機50は、この予め設定された金種別枚数の硬貨を収納庫58に残し、それ以外の硬貨を出金口60へ払い出す。
【0057】
続いて、回収処理として指定回収が指示された場合の紙幣釣銭機30及び硬貨釣銭機50の動作について説明する。指定回収には、管理装置10が、釣銭機20から回収する貨幣の金種別枚数を指定する場合と、釣銭機20に残す貨幣の金種別枚数を指定する場合とがある。
【0058】
管理装置10が、釣銭機20から回収する貨幣の金種別枚数を指定する場合、紙幣釣銭機30は、指定された金種別枚数の紙幣を回収カセット42へ搬送する。さらに、回収カセット42のロックを解除し、紙幣釣銭機30本体から持ち出し可能とする。硬貨釣銭機50は、指定された金種別枚数の硬貨を出金口60へ払い出す。
【0059】
管理装置10が、釣銭機20に残す貨幣の金種別枚数を指定する場合、紙幣釣銭機30は、指定された金種別枚数の紙幣を収納庫40に残し、それ以外の紙幣を回収カセット42へ搬送する。さらに、回収カセット42のロックを解除し、紙幣釣銭機30本体から持ち出し可能とする。また、硬貨釣銭機50は、指定された金種別枚数の硬貨を収納庫58に残し、それ以外の硬貨を出金口60へ払い出す。
【0060】
なお、管理装置10は、釣銭機20の在高を管理しているため、釣銭機20から回収する貨幣の金種別枚数を指定することは、釣銭機20に残す貨幣の金種別枚数を指定することにもなる。
【0061】
このような回収処理により、釣銭機20(紙幣釣銭機30、硬貨釣銭機50)内の貨幣が回収できるようになる。
【0062】
硬貨制御部50aは、回収処理の実行後、回収処理された硬貨、すなわち出金口60へ払い出した硬貨、の金種別枚数データを紙幣制御部30aへ送信する。紙幣制御部30aは、回収処理された紙幣、すなわち回収カセット42へ搬送した紙幣、の金種別枚数データと、硬貨制御部50aから受信した金種別枚数データとを合わせて、この釣銭機20(紙幣釣銭機30及び硬貨釣銭機50)から回収された貨幣の金種別枚数データを作成し、管理装置10へ出力する。
【0063】
管理装置10(管理部10a)は、回収前後の釣銭機20の在高の差から回収される金額を求め、入金機11から受け取った計数結果と照合することができる。また、管理装置10は、釣銭機20から回収する貨幣の金種別枚数を指定する指定回収を指示した場合、指定した貨幣の金種別枚数と、回収貨幣が投入された入金機11の入金処理による計数結果とを照合し、回収貨幣の過不足を確認することができる。また、管理装置10は、釣銭機20が出力した回収貨幣の金種別枚数データと、回収貨幣が投入された入金機11の入金処理による計数結果とを照合することでも、回収貨幣の過不足を確認することができる。
【0064】
さらに、管理装置10は、釣銭機20が出力した補充額と、出金機12が出力した出金額とを照合することで、補充処理が確実に行われたか否かを確認することができる。
【0065】
上述したように、管理装置10は、複数の釣銭機20に対して回収処理指示を通知する。複数の釣銭機20は回収処理指示に基づいて回収処理を行い、各釣銭機20内の貨幣が回収可能となる。このようにして回収可能となった貨幣は、少数の限られた店員(例えば会計責任者等)が複数の釣銭機20を順にまわって速やかに回収することができる。
【0066】
従って、各レジの担当の店員が、担当していたレジの釣銭機20の貨幣回収を行う必要がなく、貨幣回収を含む締め作業に要するコストを削減することができる。また、貨幣回収に携わる者を少数に限定すると共に、管理装置10が照合を行うことで、精算処理の厳正化を図ることができる。
【0067】
このような貨幣処理システムにおける貨幣回収方法を図5に示すフローチャートを用いて説明する。
【0068】
(ステップS101)管理装置10が複数の釣銭機20に対して回収処理指示を通知する。
【0069】
(ステップS102)各釣銭機20が回収処理を行う。各釣銭機20は、回収処理の終了タイミングで、自身のIDとともに、回収処理として払い出した貨幣の金種別枚数を管理装置10に送信する。紙幣釣銭機30は、回収処理として回収カセット42に払い出した紙幣の金種別枚数を保持しておき、硬貨釣銭機50から回収硬貨の金種別枚数を受信した時点で、両方の金種別枚数を合わせて管理装置10に送信するようにしてもよい。また、紙幣釣銭機30は、回収カセット42が抜き取られたタイミングで送信するようにしてもよい。また、紙幣釣銭機30では、回収処理が完了した時点で、回収カセット42のロックを解除する。
【0070】
(ステップS103)各釣銭機20から貨幣が回収される。この時、各釣銭機20において回収処理が実行済みであり、回収可能となった貨幣を集めるだけでよいため、少数の限られた店員(例えば会計責任者等)で行うことができる。
【0071】
(ステップS104)入金機11が回収貨幣について識別、計数、収納を含む入金処理を行う。
【0072】
(ステップS105)入金機11が計数結果を管理装置10へ出力する。
【0073】
(ステップS106)管理装置10が、入金機11から受け取った計数結果を用いて、回収貨幣の照合を行う。例えば、ステップS102における回収処理に伴い釣銭機20が回収貨幣の金種別枚数データを出力していた場合、この金種別枚数データと入金機11から受け取った計数結果とを照合する。また、管理装置10は、回収前後の釣銭機20の在高の差から回収されるべき金額を求め、入金機11から受け取った計数結果と照合することもできる。
【0074】
次に、本実施形態に係る貨幣処理システムにおける貨幣補充方法を図6に示すフローチャートを用いて説明する。
【0075】
(ステップS201)出金機12が各釣銭機20に補充する貨幣を出金する。出金する貨幣の金種別枚数は、予め定めた所定枚数としても良いし、各釣銭機から要求のあった枚数とすることもできる。
【0076】
(ステップS202)出金機12が出金額を管理装置10へ通知する。
【0077】
(ステップS203)各釣銭機20に貨幣が補充される。
【0078】
(ステップS204)各釣銭機20が補充額を管理装置10へ通知する。
【0079】
(ステップS205)管理装置10が、ステップS202で通知された出金額と、ステップS204で通知された補充額とを照合する。
【0080】
なお、釣銭機20の在高を管理している管理装置10が、各釣銭機20内の貨幣の不足を検出し、出金機12に対して補充貨幣の出金を指示するようにしてもよい。この場合、図6におけるステップS202は省略可能となり、ステップS205において、管理装置10は、出金機12に対して指示した出金額と、ステップS204で通知された補充額とを照合する。複数の釣銭機の補充貨幣を、出金機12から一括して出金する場合は、各釣銭機のIDと補充貨幣の金種別枚数とを紐付けたデータを表示してもよいし、出金明細として印字出力するようにしてもよい。
【0081】
このように、本実施形態に係る貨幣処理システムによれば、締め作業に要するコストを削減すると共に、精算処理の厳正化を図ることができる。
【0082】
上記実施形態において、釣銭機20は、管理装置10から回収処理指示が通知された後、さらに操作者から開始指示を受け付けた場合に、回収処理を行うようにしてもよい。これは、店舗の営業時間の間などに釣銭機20内の貨幣を回収する、いわゆる途中回収を行う場合に好適である。操作者からの開始指示は、例えば、図2に示す指示受付部49が受け付ける。回収カセット42を有する釣銭機が途中回収の指示を受けた場合は、釣銭機への入金処理や釣銭出金処理が行われていない空き時間を利用して、回収貨幣を回収カセット42に事前に払い出しておき、操作者の指示受付部49からの開始指示により即座に回収カセット42の回収を行えるようにしてもよい。
【0083】
上記実施形態では、回収する紙幣を回収カセット42へ搬送する構成について説明したが、回収カセット42を設けなくてもよく、回収紙幣を外部と隔離されないオープンスペースへ払い出すようにしてもよい。すなわち、回収カセット42に代えて、出金口46と同様の構成の排出口としてもよい。硬貨釣銭機50の出金口60もオープンスペースであるが、操作者からの開始指示を受け付けてから回収処理を行うようにした場合は、操作者が釣銭機の前に立ち、回収処理により貨幣が機外に払い出されることを期待して開始指示を入力するのであるから、オープンスペースへ回収貨幣を払い出しても、運用上の問題は無い。
【0084】
また、硬貨釣銭機50に回収カセットを設け、紙幣釣銭機30と同様に、回収する硬貨を回収カセットへ搬送する構成としてもよい。
【0085】
また、上記実施形態において、紙幣釣銭機30は、回収カセット42を用いて紙幣の補充を行えるようにしてもよい。この場合、回収カセット42には接続搬送部36bへ紙幣を繰り出す繰出機構が設けられ、繰り出された紙幣は、接続搬送部36b及び周回搬送部36aを介して収納庫40へ搬送、収納される。このようにして、カセットを用いた補充を行うことができる。紙幣制御部30aは、この補充処理の際に識別部38によって計数された補充紙幣の金額(補充額)を管理装置10へ出力する。
【0086】
出金機12が棒金(所定枚数単位で包装された硬貨)を出金し、釣銭機20が棒金の在高を算出できる棒金ドロアを備えていてもよい。これにより、棒金を用いて貨幣の補充を行うことができる。
【0087】
上記実施形態において、管理装置10は入金機11と一体型になっていてもよい。また、管理装置10は、出金機12と一体型になっていてもよい。また、管理装置10は、入金機11の機能と出金機12の機能を有する入出金機と一体型になっていてもよい。
【0088】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0089】
10 管理装置
11 入金機
12 出金機
20 釣銭機
30 紙幣釣銭機
50 硬貨釣銭機
70 POSレジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機内の貨幣の在高データを出力可能な複数の釣銭機と、
前記複数の釣銭機から前記在高データを受け取って各釣銭機の在高を管理すると共に、前記複数の釣銭機へ対して回収処理指示を通知する管理装置と、
を備え、
前記複数の釣銭機はそれぞれ、前記管理装置から前記回収処理指示が通知されると、回収処理を行うことを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項2】
前記複数の釣銭機の少なくとも1つは、貨幣を金種別に収納する収納庫と、当該釣銭機から貨幣を回収するカセットと、を備え、前記回収処理指示が通知されると、前記収納庫に収納されている貨幣を前記カセットへ移動させることを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項3】
前記釣銭機は、前記カセットが装着されたときにロックすることで当該カセットの持ち出しを不能にすることができ、前記回収処理指示を条件の1つとして、ロックを解除して当該カセットを持ち出し可能とすることを特徴とする請求項2に記載の貨幣処理システム。
【請求項4】
前記複数の釣銭機の少なくとも1つは、前記回収処理の開始指示を受け付ける受付部を備え、前記管理装置から前記回収処理指示が通知された後に、前記受付部を介して前記開始指示を受け付けた場合に、前記回収処理を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の貨幣処理システム。
【請求項5】
前記管理装置は、前記釣銭機の収納庫に収納されている貨幣を全て回収する全回収、又は前記釣銭機に予め設定されている金種別枚数の貨幣を前記収納庫に残す残置回収、又は回収貨幣の金種別枚数若しくは前記収納庫に残す貨幣の金種別枚数を指定する指定回収を前記回収処理指示として前記複数の釣銭機に通知することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の貨幣処理システム。
【請求項6】
前記釣銭機から回収した貨幣が入金され、計数を行う入金機をさらに備え、
前記管理装置は、当該釣銭機に指定した回収貨幣の金種別枚数と、前記入金機の計数結果とを照合することを特徴とする請求項5に記載の貨幣処理システム。
【請求項7】
前記釣銭機から回収した貨幣が入金され、計数を行う入金機をさらに備え、
当該釣銭機は、前記回収処理した貨幣の金種別枚数データを前記管理装置へ出力し、
前記管理装置は、当該釣銭機から受け取った回収貨幣の金種別枚数データと、前記入金機の計数結果とを照合することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の貨幣処理システム。
【請求項8】
前記釣銭機に補充する貨幣を出金すると共に、出金額を前記管理装置へ出力する出金機をさらに備え、
前記釣銭機は、貨幣が補充されると、補充額を計数して前記管理装置へ出力し、
前記管理装置は、前記出金額と前記補充額とを照合することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の貨幣処理システム。
【請求項9】
貨幣の受け入れ、計数、及び収納を含む入金処理を行う入金機であって、
複数の釣銭機から機内の在高データを受け取って、各釣銭機の在高を管理する管理部と、
前記複数の釣銭機に対して、回収処理の実行を指示する指示部と、
を備えることを特徴とする入金機。
【請求項10】
前記指示部が指示する前記回収処理は、前記釣銭機の収納庫に収納されている貨幣を全て回収する全回収、又は前記釣銭機に予め設定されている金種別枚数の貨幣を前記収納庫に残す残置回収、又は回収貨幣の金種別枚数若しくは前記収納庫に残す貨幣の金種別枚数を指定する指定回収であることを特徴とする請求項9に記載の入金機。
【請求項11】
前記管理部は、前記釣銭機から回収した貨幣について前記入金処理を行った時の計数結果と、前記指示部が前記釣銭機に指定した回収貨幣の金種別枚数とを照合することを特徴とする請求項10に記載の入金機。
【請求項12】
前記管理部は、前記釣銭機から回収貨幣の金種別枚数の情報を受け取り、この金種別枚数の情報と、当該釣銭機から回収した貨幣について前記入金処理を行った時の計数結果とを照合することを特徴とする請求項9又は10に記載の入金機。
【請求項13】
複数の釣銭機が機内の貨幣の在高データを出力する工程と、
管理装置が前記在高データを受け取って、各釣銭機の在高を管理する工程と、
前記管理装置が前記複数の釣銭機に対して回収処理指示を通知する工程と、
前記複数の釣銭機が、前記回収処理指示に基づいて回収処理を行う工程と、
を備える貨幣処理方法。
【請求項14】
前記管理装置は、前記釣銭機の収納庫に収納されている貨幣を全て回収する全回収、又は前記釣銭機に予め設定されている金種別枚数の貨幣を前記収納庫に残す残置回収、又は回収貨幣の金種別枚数若しくは前記収納庫に残す貨幣の金種別枚数を指定する指定回収を前記回収処理指示として前記複数の釣銭機に通知することを特徴とする請求項13に記載の貨幣処理方法。
【請求項15】
入金機が、前記釣銭機から回収した貨幣の入金、計数、及び収納を行う工程と、
前記管理装置が、当該釣銭機に指定した回収貨幣の金種別枚数と、前記入金機の計数結果とを照合する工程と、
をさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の貨幣処理方法。
【請求項16】
前記釣銭機が、前記回収処理した貨幣の金種別枚数データを前記管理装置へ出力する工程と、
入金機が、当該釣銭機から回収した貨幣の入金、計数、及び収納を行う工程と、
前記管理装置が、当該釣銭機から受け取った回収貨幣の金種別枚数データと、前記入金機の計数結果とを照合する工程と、
をさらに備えることを特徴とする請求項13又は14に記載の貨幣処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−63936(P2012−63936A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207081(P2010−207081)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】