説明

貨幣処理機、貨幣処理システムおよび貨幣処理方法

【課題】営業時間外等において操作者に対してエラー解除操作(復旧操作)を前もって体験させることにより、実際に貨幣処理機において異常で発生したときに、操作者の技能レベルにかかわらず当該貨幣処理機を迅速に復旧させることができる貨幣処理機、貨幣処理システムおよび貨幣処理方法を提供する。
【解決手段】貨幣の処理を行う貨幣処理機は、少なくともエラー解除体験モードを行うことを選択できる選択手段と、選択手段によりエラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、異常状態が発生した旨の情報を出力する出力手段と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣や硬貨等の貨幣の処理を行う貨幣処理機、この貨幣処理機を備えた貨幣処理システムおよび貨幣処理機により貨幣の処理を行う貨幣処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙幣や硬貨等の貨幣の処理を行う貨幣処理機として様々な種類のものが知られている。具体的には、紙幣釣銭機および硬貨釣銭機が組み合わせられて一体となった貨幣釣銭機が店舗等に設置されており、顧客から受け取った紙幣や硬貨を店員が貨幣釣銭機に入金するとともに、釣銭としての紙幣や硬貨が貨幣釣銭機から出金されるようになっている。
【0003】
このような貨幣釣銭機においては、紙幣や硬貨の入金処理や出金処理を行う間に紙幣や硬貨が機体内で詰まってしまいジャム等の異常が発生する場合がある。特許文献1には、機体内でジャム等の異常が発生した場合に、不慣れな店員でも復旧操作ができるように、操作箇所の画像や復旧操作の手順を、復旧操作の進捗に応じて段階的にモニタ等の表示部に表示させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−113450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の貨幣釣銭機では、操作箇所の画像や復旧操作の手順を、復旧操作の進捗に応じて段階的にモニタ等の表示部に表示させたとしても、操作者の技能レベルが低いときにはいきなり貨幣処理機内でジャム等の異常が発生したときに慌ててしまい落ち着いて対処することができない場合がある。この場合には、現場の操作者は自分でジャム等の異常に対処する代わりにメンテナンス員を現場に呼ぶ傾向があり、貨幣処理機を迅速に復旧させることができず、また、メンテナンス員を現場に呼ぶための費用がかかってしまうという問題がある。
【0006】
また、紙幣や硬貨が機体内で詰まってしまいジャム等の異常が発生する場合以外にも、例えば貨幣釣銭機の収納庫がフルやエンプティになったり、センサが汚れてしまったりしたときに、操作者がエラー解除操作(復旧操作)を前もって体験していなければ、操作者の技能レベルが低い場合には不慣れなことにより慌ててしまい貨幣処理機を迅速に復旧させることができないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、営業時間外等において操作者に対してエラー解除操作(復旧操作)を前もって体験させることにより、実際に貨幣処理機において異常で発生したときに、操作者の技能レベルにかかわらず当該貨幣処理機を迅速に復旧させることができる貨幣処理機、貨幣処理システムおよび貨幣処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、貨幣の処理を行う貨幣処理機であって、少なくともエラー解除体験モードを行うことを選択できる選択手段と、前記選択手段によりエラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、異常状態が発生した旨の情報を出力する出力手段と、を備えた、貨幣処理機である。
【0009】
このような貨幣処理機によれば、選択手段により、少なくともエラー解除体験モードを行うことを選択できるようになっており、選択手段によりエラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、異常状態が発生した旨の情報が出力手段により出力されるようになっている。このように、選択手段によりエラー解除体験モードを行うことを選択することによって、営業時間外等において操作者に対してエラー解除操作(復旧操作)を前もって体験させることができるようになる。このことにより、実際に貨幣処理機において異常で発生したときに、操作者の技能レベルにかかわらず当該貨幣処理機を迅速に復旧させることができる。
【0010】
本発明の貨幣処理機においては、前記出力手段は、前記選択手段によりエラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、異常状態が発生した旨の情報に加えて、異常状態の解除方法に係る情報も追加的に出力するようになっていてもよい。
【0011】
この際に、前記出力手段により出力された異常状態の解除方法に係る情報に沿って貨幣処理機が操作されたときに、異常状態が解除されたと判断する判断手段を更に備えていてもよい。
【0012】
本発明の貨幣処理機においては、前記貨幣処理機は表示部を更に備えており、前記出力手段により出力された情報は前記表示部に表示されるようになっていてもよい。
【0013】
この際に、前記表示部は、前記選択手段によりエラー解除体験モードを行うことが選択された場合と、前記選択手段によりエラー解除体験モード以外のモードを行うことが選択された場合とで表示内容を異なる態様で表示するようになっていてもよい。
【0014】
本発明の貨幣処理機においては、前記貨幣処理機は通信部を更に備えており、前記出力手段により出力された情報は前記通信部により前記貨幣処理機とは別に設けられた外部装置に送信されるようになっていてもよい。
【0015】
本発明の貨幣処理機においては、複数の種類のエラー解除体験モードが予め準備されており、前記選択手段によりエラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、どの種類のエラー解除体験モードを行うかについても選択されるようになっていてもよい。
【0016】
この際に、複数の種類のエラー解除体験モードは、収納庫フル解除体験モード、収納庫エンプティ解除体験モード、センサ汚れ解除体験モード、在高異常可能性解除体験モード、および搬送エラー解除体験モードを含む群の一部または全部であってもよい。
【0017】
本発明は、貨幣の処理を行う貨幣処理機と、前記貨幣処理機とは別に設けられ、当該貨幣処理機に通信接続された外部装置と、を備えた貨幣処理システムであって、少なくともエラー解除体験モードを行うことを選択できる選択手段と、前記選択手段によりエラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、異常状態が発生した旨の情報を出力する出力手段と、を備えた、貨幣処理システムである。
【0018】
このような貨幣処理システムによれば、選択手段により、少なくともエラー解除体験モードを行うことを選択できるようになっており、選択手段によりエラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、異常状態が発生した旨の情報が出力手段により出力されるようになっている。このように、選択手段によりエラー解除体験モードを行うことを選択することによって、営業時間外等において操作者に対してエラー解除操作(復旧操作)を前もって体験させることができるようになる。このことにより、実際に貨幣処理機において異常で発生したときに、操作者の技能レベルにかかわらず当該貨幣処理機を迅速に復旧させることができる。
【0019】
本発明の貨幣処理システムにおいては、前記外部装置は表示部を有しており、前記出力手段により出力された情報は前記外部装置の前記表示部に表示されるようになっていてもよい。
【0020】
本発明は、貨幣処理機により貨幣の処理を行う貨幣処理方法であって、エラー解除体験モードを行うことを選択する工程と、エラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、異常状態が発生した旨の情報を出力する工程と、を備えた、貨幣処理方法である。
【0021】
このような貨幣処理方法によれば、エラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、異常状態が発生した旨の情報を出力するようになっている。このように、エラー解除体験モードを行うことを選択することによって、営業時間外等において操作者に対してエラー解除操作(復旧操作)を前もって体験させることができるようになる。このことにより、実際に貨幣処理機において異常で発生したときに、操作者の技能レベルにかかわらず当該貨幣処理機を迅速に復旧させることができる。
【0022】
本発明は、貨幣の処理を行う貨幣処理機であって、貨幣を搬送する搬送部と、前記搬送部の制御を行う制御部であって、所定の指示を受け付けると、前記搬送部による貨幣の搬送を途中で停止させるよう当該搬送部を制御する制御部と、を備えた、貨幣処理機である。
【0023】
このような貨幣処理機によれば、制御部は、所定の指示を受け付けると、搬送部による貨幣の搬送を途中で停止させるよう搬送部を制御するようになっている。このように、制御部に所定の指示を与えることにより、貨幣処理機の機体内における貨幣の搬送が途中で停止されるため、ジャムを人為的に発生させることができるようになる。このことにより、営業時間外等において操作者に対してエラー解除操作(復旧操作)を前もって体験させることができるようになる。このため、実際にジャム等の異常が貨幣処理機で発生した場合において、どのような技能レベルの操作者でも、エラー解除操作(復旧操作)を前もって体験していることにより、貨幣処理機を迅速に復旧させることができるようになる。
【0024】
本発明は、貨幣の処理を行う貨幣処理機であって、貨幣を搬送する搬送部と、前記搬送部の制御を行う制御部であって、少なくともエラー解除体験モードを行うことを選択できる選択手段が設けられており、前記選択手段によりエラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、前記搬送部による貨幣の搬送を途中で停止させるよう当該搬送部を制御する制御部と、を備えた、貨幣処理機である。
【0025】
このような貨幣処理機によれば、選択手段により、少なくともエラー解除体験モードを行うことを選択できるようになっており、選択手段によりエラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、搬送部による貨幣の搬送を途中で停止させるようになっている。このように、選択手段によりエラー解除体験モードを行うことを選択することにより、貨幣処理機の機体内における貨幣の搬送が途中で停止されるため、ジャムを人為的に発生させることができるようになる。このことにより、営業時間外等において操作者に対してエラー解除操作(復旧操作)を前もって体験させることができるようになる。このため、実際にジャム等の異常が貨幣処理機で発生した場合において、どのような技能レベルの操作者でも、エラー解除体験モードでエラー解除操作(復旧操作)を前もって体験していることにより、貨幣処理機を迅速に復旧させることができるようになる。
【0026】
本発明の貨幣処理機においては、異常状態が発生した旨の情報を出力する出力手段を更に備え、前記出力手段は、前記搬送部による貨幣の搬送を途中で停止させた後、異常状態が発生した旨の情報を出力するようになっていてもよい。
【0027】
この際に、前記出力手段は、前記搬送部による貨幣の搬送を途中で停止させた後、異常状態が発生した旨の情報に加えて、異常状態の解除方法に係る情報も追加的に出力するようになっていてもよい。
【0028】
また、前記出力手段により出力された異常状態の解除方法に係る情報に沿って貨幣処理機が操作されたときに、異常状態が解除されたと判断する判断手段が前記制御部に設けられていてもよい。
【0029】
本発明は、貨幣の処理を行う貨幣処理機と、前記貨幣処理機とは別に設けられ、当該貨幣処理機に通信接続された外部装置と、を備えた貨幣処理システムであって、前記貨幣処理機は、貨幣を搬送する搬送部を有しており、前記搬送部の制御を行う制御部であって、所定の指示を受け付けると、前記搬送部による貨幣の搬送を途中で停止させるよう当該搬送部を制御する制御部が設けられた、貨幣処理システムである。
【0030】
このような貨幣処理システムによれば、制御部は、所定の指示を受け付けると、搬送部による貨幣の搬送を途中で停止させるよう搬送部を制御するようになっている。このように、制御部に所定の指示を与えることにより、貨幣処理機の機体内における貨幣の搬送が途中で停止されるため、ジャムを人為的に発生させることができるようになる。このことにより、営業時間外等において操作者に対してエラー解除操作(復旧操作)を前もって体験させることができるようになる。このため、実際にジャム等の異常が貨幣処理機で発生した場合において、どのような技能レベルの操作者でも、エラー解除操作(復旧操作)を前もって体験していることにより、貨幣処理機を迅速に復旧させることができるようになる。
【0031】
本発明は、貨幣の処理を行う貨幣処理機と、前記貨幣処理機とは別に設けられ、当該貨幣処理機に通信接続された外部装置と、を備えた貨幣処理システムであって、前記貨幣処理機は、貨幣を搬送する搬送部を有しており、前記搬送部の制御を行う制御部であって、少なくともエラー解除体験モードを行うことを選択できる選択手段が設けられており、前記選択手段によりエラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、前記搬送部による貨幣の搬送を途中で停止させるよう当該搬送部を制御する制御部が設けられた、貨幣処理システムである。
【0032】
このような貨幣処理システムによれば、選択手段により、少なくともエラー解除体験モードを行うことを選択できるようになっており、選択手段によりエラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、搬送部による貨幣の搬送を途中で停止させるようになっている。このように、選択手段によりエラー解除体験モードを行うことを選択することにより、貨幣処理機の機体内における貨幣の搬送が途中で停止されるため、ジャムを人為的に発生させることができるようになる。このことにより、営業時間外等において操作者に対してエラー解除操作(復旧操作)を前もって体験させることができるようになる。このため、実際にジャム等の異常が貨幣処理機で発生した場合において、どのような技能レベルの操作者でも、エラー解除体験モードでエラー解除操作(復旧操作)を前もって体験していることにより、貨幣処理機を迅速に復旧させることができるようになる。
【0033】
本発明は、貨幣処理機により貨幣の処理を行う貨幣処理方法であって、前記貨幣処理機の搬送部により貨幣を搬送する工程と、前記貨幣処理機の制御部が所定の指示を受け付けると、前記搬送部による貨幣の搬送を途中で停止させる工程と、を備えた、貨幣処理方法である。
【0034】
このような貨幣処理方法によれば、貨幣処理機の制御部は、所定の指示を受け付けると、搬送部による貨幣の搬送を途中で停止させるようになっている。このように、制御部に所定の指示を与えることにより、貨幣処理機の機体内における貨幣の搬送が途中で停止されるため、ジャムを人為的に発生させることができるようになる。このことにより、営業時間外等において操作者に対してエラー解除操作(復旧操作)を前もって体験させることができるようになる。このため、実際にジャム等の異常が貨幣処理機で発生した場合において、どのような技能レベルの操作者でも、エラー解除操作(復旧操作)を前もって体験していることにより、貨幣処理機を迅速に復旧させることができるようになる。
【0035】
本発明は、貨幣処理機により貨幣の処理を行う貨幣処理方法であって、前記貨幣処理機の搬送部により貨幣を搬送する工程と、エラー解除体験モードを行うことを選択する工程と、エラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、前記搬送部による貨幣の搬送を途中で停止させる工程と、を備えた、貨幣処理方法である。
【0036】
このような貨幣処理方法によれば、エラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、前記搬送部による貨幣の搬送を途中で停止させるようになっている。このように、エラー解除体験モードを行うことを選択することにより、貨幣処理機の機体内における貨幣の搬送が途中で停止されるため、ジャムを人為的に発生させることができるようになる。このことにより、営業時間外等において操作者に対してエラー解除操作(復旧操作)を前もって体験させることができるようになる。このため、実際にジャム等の異常が貨幣処理機で発生した場合において、どのような技能レベルの操作者でも、エラー解除体験モードでエラー解除操作(復旧操作)を前もって体験していることにより、貨幣処理機を迅速に復旧させることができるようになる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の貨幣処理機、貨幣処理システムおよび貨幣処理方法によれば、営業時間外等において操作者に対してエラー解除操作(復旧操作)を前もって体験させることにより、実際に貨幣処理機において異常で発生したときに、操作者の技能レベルにかかわらず当該貨幣処理機を迅速に復旧させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一の実施の形態における貨幣処理システムの構成の概略を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す貨幣処理システムにおける硬貨釣銭機、紙幣釣銭機および制御端末機の外観を示す斜視図である。
【図3】図1等に示す貨幣処理システムの制御ブロック図である。
【図4】図1等に示す貨幣処理システムにおいてエラー解除体験モードを行うことが選択されたときの動作を示すフローチャートである。
【図5】図1等に示す貨幣処理システムにおいてエラー解除体験モードを行うことが選択されたときの操作表示部における表示内容を示す図である。
【図6】図1等に示す貨幣処理システムにおいて収納庫フル解除体験モードを行うことが選択されたときの動作を示すフローチャートである。
【図7A】図1等に示す貨幣処理システムにおいて収納庫フル解除体験モードを行うことが選択されたときの操作表示部における表示内容を示す図である。
【図7B】図1等に示す貨幣処理システムにおいて収納庫フル解除体験モードを行うことが選択されたときの操作表示部における表示内容を示す図である。
【図8】図1等に示す貨幣処理システムにおいて収納庫エンプティ解除体験モードを行うことが選択されたときの動作を示すフローチャートである。
【図9A】図1等に示す貨幣処理システムにおいて収納庫エンプティ解除体験モードを行うことが選択されたときの操作表示部における表示内容を示す図である。
【図9B】図1等に示す貨幣処理システムにおいて収納庫エンプティ解除体験モードを行うことが選択されたときの操作表示部における表示内容を示す図である。
【図10】図1等に示す貨幣処理システムにおいてセンサ汚れ解除体験モードを行うことが選択されたときの動作を示すフローチャートである。
【図11A】図1等に示す貨幣処理システムにおいてセンサ汚れ解除体験モードを行うことが選択されたときの操作表示部における表示内容を示す図である。
【図11B】図1等に示す貨幣処理システムにおいてセンサ汚れ解除体験モードを行うことが選択されたときの操作表示部における表示内容を示す図である。
【図12】図1等に示す貨幣処理システムにおいて在高異常ドット解除体験モードを行うことが選択されたときの動作を示すフローチャートである。
【図13A】図1等に示す貨幣処理システムにおいて在高異常ドット解除体験モードを行うことが選択されたときの操作表示部における表示内容を示す図である。
【図13B】図1等に示す貨幣処理システムにおいて在高異常ドット解除体験モードを行うことが選択されたときの操作表示部における表示内容を示す図である。
【図14】図1等に示す貨幣処理システムにおいて搬送エラー解除体験モードを行うことが選択されたときの動作を示すフローチャートである。
【図15】図1等に示す貨幣処理システムにおいて搬送エラー解除体験モードを行うことが選択されたときの操作表示部における表示内容を示す図である。
【図16】変形例における硬貨釣銭機や紙幣釣銭機の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態について説明する。図1乃至図15は、本実施の形態に係る貨幣処理システムの構成を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態における貨幣処理システムの構成の概略を示す概略構成図であり、図2は、図1に示す貨幣処理システムにおける硬貨釣銭機、紙幣釣銭機および制御端末機の外観を示す斜視図である。また、図3は、図1等に示す貨幣処理システムの制御ブロック図である。また、図4は、図1等に示す貨幣処理システムにおいてエラー解除体験モードを行うことが選択されたときの動作を示すフローチャートであり、図5は、図1等に示す貨幣処理システムにおいてエラー解除体験モードを行うことが選択されたときの操作表示部における表示内容を示す図である。また、図6乃至図15は、各種のエラー解除体験モードを行うことが選択されたときの動作を示すフローチャートや操作表示部における表示内容を示す図である。
【0040】
まず、貨幣処理システムの全体構成について図1および図2を用いて説明する。図1および図2に示すように、貨幣処理システム1は、硬貨釣銭機100と、紙幣釣銭機200と、制御端末機300とを備えている。硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200は、それぞれ硬貨や紙幣の入出金処理を行うようになっている。より具体的には、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200には顧客から預かった硬貨や紙幣がそれぞれ入金されるとともに、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200から釣銭としての硬貨や紙幣がそれぞれ出金されるようになっている。また、図2に示すように、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200は左右方向に並べて配置される。
【0041】
一方、制御端末機300は例えばPOSレジスタ(販売時点管理機能を有する金銭登録機)からなり、この制御端末機300はホストサーバ400に通信接続されている。そして、制御端末機300からホストサーバ400に売上情報等が送信されるようになっている。
【0042】
図1に示すように、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200は、それぞれ制御部130、230を有しており、これらの制御部130、230は互いに通信接続されている。また、制御端末機300も制御部330を有しており、紙幣釣銭機200の制御部230は制御端末機300の制御部330に通信接続されている。そして、制御端末機300は、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200の上面に載置される。
【0043】
以下、硬貨釣銭機100、紙幣釣銭機200および制御端末機300について図1および図2を用いて詳述する。
【0044】
まず、硬貨釣銭機100の構成について具体的に説明する。図1および図2に示すように、硬貨釣銭機100は、前部上面にタッチパネル等の操作表示部112を有する筐体110を備えている。筐体110の前部には硬貨受入部114および硬貨払出部116が設けられている。
【0045】
硬貨受入部114は、受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ機内に取り込むようになっている。硬貨受入部114には、当該硬貨受入部114により機内に取り込まれた硬貨を搬送する入金搬送部103が接続されている。
【0046】
この入金搬送部103の途中には、硬貨の識別を行う硬貨識別部101と、分岐部104とがそれぞれ設けられている。分岐部104は、硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部116から払い出されるべき硬貨を出金搬送部108へ案内(搬送)するようになっている。
【0047】
一方、正常硬貨等の機内に収納されるべき硬貨は入金搬送部103により硬貨収納部106へ搬送されるようになっている。硬貨収納部106は硬貨を金種別に収納するようになっている。具体的には、例えば入金搬送部103の上流側から高額順に硬貨が収納される。
【0048】
出金搬送部108は、硬貨収納部106から繰り出された硬貨を硬貨払出部116へ搬送するようになっている。また、出金搬送部108は、分岐部104から案内されたリジェクト硬貨等を硬貨払出部116へ搬送するようになっている。
【0049】
次に、紙幣釣銭機200の構成について具体的に説明する。図1および図2に示すように、紙幣釣銭機200は、筐体210と、この筐体210内の略中央部に設けられた環状の周回搬送部203aとを備えている。また、紙幣受入部214、3つの紙幣収納部206、紙幣払出部216、出金リジェクト部204、および紙幣回収カセット207が、周回搬送部203aを外周から取り囲むように配置されている。
【0050】
また、紙幣釣銭機200の筐体210の内部には、紙幣受入部214、各紙幣収納部206、紙幣払出部216、出金リジェクト部204、および紙幣回収カセット207と、周回搬送部203aとの間をそれぞれ接続する複数の接続搬送部203bが形成されている。また、周回搬送部203aには紙幣識別部201が設けられており、この紙幣識別部201は、当該紙幣識別部201を通過する紙幣の識別を行うようになっている。
【0051】
また、周回搬送部203aと各接続搬送部203bとの間で紙幣の搬送経路を切り換える経路切換部(図示せず)が、周回搬送部203aに沿って配置されている。
【0052】
図1および図2に示すように、筐体210の前面には、紙幣受入部214の紙幣受入口214aと、紙幣払出部216の紙幣取出口216aとがそれぞれ設けられている。また、紙幣回収カセット207は筐体210に対して着脱自在に取り付けられている。
【0053】
紙幣受入部214は、紙幣受入口214aに挿入された入金紙幣を1枚ずつ取り込んで、周回搬送部203a側へ繰り出すようになっている。各紙幣収納部206は、紙幣識別部201の識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納する。紙幣払出部216は、各紙幣収納部206から周回搬送部203aに繰り出された紙幣を紙幣取出口216aより機外へ放出するようになっている。
【0054】
出金リジェクト部204は、紙幣収納部206から繰り出された紙幣のうち、斜行等により紙幣識別部201で識別することができない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納する。また、紙幣受入部214から機内に取り込まれた紙幣のうち、汚損等により紙幣識別部201で識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣払出部216に返却されるようになっている。
【0055】
次に、制御端末機300の構成について具体的に説明する。制御端末機300は、前述のように、例えばPOSレジスタ(販売時点管理機能を有する金銭登録機)からなり、この制御端末機300は、商品の購入情報を登録するとともに、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に対して硬貨や紙幣の入出金処理を行わせるようになっている。
【0056】
制御端末機300の制御部330は、図1に示すように、紙幣釣銭機200の制御部230に通信接続されているとともに、ホストサーバ400にも通信接続されている。そして、この制御部330は、硬貨釣銭機100の制御部130や紙幣釣銭機200の制御部230に指令を送ることにより硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に対して硬貨や紙幣の入出金処理を行わせるようになっている。また、制御部330は、硬貨釣銭機100の制御部130や紙幣釣銭機200の制御部230から、これらの硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況に係る情報を受け取るようになっている。
【0057】
操作部304は、操作者が操作することができるようになっており、制御部330に対して様々な指令を与えることができるようになっている。また、表示部302は、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高を表示するようになっている。また、制御端末機300には追加の表示部302aが設けられており、様々な情報を表示部302に表示させる代わりに、あるいは表示部302における表示に加えて、追加の表示部302aにおいて表示が行われるようになっていてもよい。
【0058】
図3に、上述のような構成からなる貨幣処理システム1の制御ブロック図を示す。図3に示すように、硬貨釣銭機100の制御部130には、インターフェース132、硬貨受入部114、入金搬送部103、硬貨識別部101、分岐部104、硬貨収納部106、出金搬送部108、硬貨払出部116、操作表示部112、記憶部134等がそれぞれ接続されており、硬貨識別部101から制御部130に硬貨の識別結果が送られるとともに、制御部130から硬貨受入部114、入金搬送部103、分岐部104、硬貨収納部106、出金搬送部108、硬貨払出部116等の各々に対して様々な指令が送られるようになっている。また、硬貨釣銭機100の制御部130は、インターフェース132により、紙幣釣銭機200の制御部230に対して信号の送受信を行うようになっている。また、操作者により操作表示部112に入力された指令が当該操作表示部112から制御部130に送られるとともに、制御部130は操作表示部112に指令を送ることにより当該操作表示部112に様々な情報を表示させるようになっている。より詳細には、操作表示部112には、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高を表示するようになっている。記憶部134には、設定内容等の各種情報が記憶される。
【0059】
また、図3に示すように、硬貨釣銭機100には硬貨詰まり検出手段120が設けられており、この硬貨詰まり検出手段120は制御部130に接続されている。硬貨詰まり検出手段120は、硬貨釣銭機100の入金搬送部103や出金搬送部108等において硬貨の詰まり(ジャム)が発生したときにこのことを検出するようになっている。硬貨詰まり検出手段120により硬貨の詰まりが検出されると、この情報は制御部130に送られるようになっている。
【0060】
また、図3に示すように、硬貨釣銭機100の制御部130には、選択手段150、出力手段152、判断手段154がそれぞれ接続されている。選択手段150は、少なくともエラー解除体験モードを行うことを選択できるようになっている。また、出力手段152は、選択手段150によりエラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、異常状態が発生した旨の情報を出力するようになっている。また、出力手段152は、選択手段150によりエラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、異常状態が発生した旨の情報に加えて、異常状態の解除方法に係る情報も追加的に出力するようになっていてもよい。出力手段152により出力された情報は、硬貨釣銭機100の操作表示部112に表示されたり、インターフェース132を介して紙幣釣銭機200の制御部230や制御端末機300の制御部330、あるいはホストサーバ400に送信されたりするようになっている。出力手段152により出力された情報が制御端末機300の制御部330に送信されたときには、この情報を制御端末機300の表示部302に表示することができるようになる。これにより、制御端末機300に備えられた大きな表示部を活用して、エラー解除操作を行うことができる。また、出力手段152により出力された情報が制御端末機300の制御部330に送信されたときに、制御端末機300にプリンタが接続されている場合には、出力手段152により出力された情報をプリンタにより印字することができるようになっていてもよい。判断手段154は、出力手段152により出力された異常状態の解除方法に係る情報に沿って硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200が操作されたときに、異常状態が解除されたと判断するようになっている。
【0061】
また、紙幣釣銭機200の制御部230には、インターフェース232、紙幣受入部214、周回搬送部203a、接続搬送部203b、紙幣識別部201、紙幣収納部206、出金リジェクト部204、紙幣払出部216、記憶部234等がそれぞれ接続されており、紙幣識別部201から制御部230に紙幣の識別結果が送られるとともに、制御部230から紙幣受入部214、周回搬送部203a、接続搬送部203b、紙幣収納部206、出金リジェクト部204、紙幣払出部216等の各々に対して様々な指令が送られるようになっている。また、紙幣釣銭機200の制御部230は、インターフェース232により、硬貨釣銭機100の制御部130や制御端末機300の制御部330に対して信号の送受信を行うようになっている。
【0062】
また、図3に示すように、紙幣釣銭機200には紙幣詰まり検出手段220が設けられており、この紙幣詰まり検出手段220は制御部230に接続されている。紙幣詰まり検出手段220は、紙幣釣銭機200の周回搬送部203aや接続搬送部203b等において紙幣の詰まり(ジャム)が発生したときにこのことを検出するようになっている。紙幣詰まり検出手段220により紙幣の詰まりが検出されると、この情報は制御部230に送られるようになっている。
【0063】
また、制御端末機300の制御部330には、表示部302、操作部304、記憶部334、インターフェース332等がそれぞれ接続されており、操作者により操作部304に入力された指令が当該操作部304から制御部330に送られるとともに、制御部330は表示部302に指令を送ることにより当該表示部302に様々な情報を表示させるようになっている。なお、制御部330は、表示部302に様々な情報を表示させる代わりに、あるいは表示部302における表示に加えて、追加の表示部302aにおいて表示を行わせるようになっていてもよい。また、制御端末機300の制御部330は、インターフェース332により、紙幣釣銭機200の制御部230やホストサーバ400に対して信号の送受信を行うようになっている。
【0064】
次に、このような構成からなる貨幣処理システム1の動作について説明する。なお、以下に示す貨幣処理システム1の動作は、硬貨釣銭機100の制御部130や紙幣釣銭機200の制御部230が、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の各構成要素をそれぞれ制御することにより行われる。本実施の形態による貨幣処理システム1では、硬貨釣銭機100の制御部130や紙幣釣銭機200の制御部230は、通常モードおよびエラー解除体験モードのうちいずれか一方のモードを選択的に実行するようになっている。なお、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の電源をOFFからONをしたときには、制御部130や制御部230は通常モードで立ち上がるようになる。
【0065】
貨幣処理システム1の動作についてより詳細に説明すると、通常時には、硬貨釣銭機100の制御部130や紙幣釣銭機200の制御部230は通常モードを実行するようになっている。この場合には、硬貨釣銭機100の硬貨受入部114に硬貨が受け入れられると、硬貨受入部114は、受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ機内に取り込み、取り込まれた硬貨は入金搬送部103により搬送される。そして、入金搬送部103により搬送される硬貨は硬貨識別部101により硬貨の識別が行われる。硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部116から払い出されるべき硬貨であると識別された硬貨は、分岐部104により出金搬送部108へ案内(搬送)され、出金搬送部108により硬貨払出部116に搬送される。一方、硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、正常硬貨等の機内に収納されるべき硬貨であると識別された硬貨は、入金搬送部103により硬貨収納部106へ搬送され、当該硬貨収納部106に金種別に収納される。
【0066】
また、硬貨釣銭機100の制御部130が通常モードを実行しているときに、当該硬貨釣銭機100から釣銭としての硬貨を出金する場合には、操作者は操作表示部112により出金されるべき硬貨の金種別の枚数や合計金額等を入力する。あるいは、制御端末機300の制御部330から出金指令が硬貨釣銭機100の制御部130に送られることにより、硬貨釣銭機100から釣銭としての硬貨が出金されるようになる。硬貨釣銭機100の制御部130に対して出金指令が与えられると、硬貨収納部106に収納されている硬貨が当該硬貨収納部106から繰り出され、繰り出された硬貨は出金搬送部108により硬貨払出部116へ搬送される。このようにして、操作者は、硬貨払出部116から硬貨を取り出すことができるようになる。
【0067】
また、紙幣釣銭機200の制御部230が通常モードを実行しているときに、紙幣受入部214の紙幣受入口214aに紙幣が挿入されると、紙幣受入部214は、紙幣受入口214aに挿入された入金紙幣を1枚ずつ取り込んで、周回搬送部203a側へ繰り出す。そして、周回搬送部203a側へ繰り出された紙幣は当該周回搬送部203aにより搬送され、この際に紙幣識別部201により紙幣の識別が行われる。紙幣識別部201により正常な紙幣であると識別された紙幣は、各紙幣収納部206に金種別に収納される。一方、紙幣受入部214から取り込まれた紙幣のうち、汚損等により紙幣識別部201で識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣払出部216に返却される。
【0068】
また、紙幣釣銭機200の制御部230が通常モードを実行しているときに、当該紙幣釣銭機200から釣銭としての紙幣を出金する場合には、操作者は操作表示部112により出金されるべき紙幣の金種別の枚数や合計金額等を入力する。あるいは、制御端末機300の制御部330から出金指令が紙幣釣銭機200の制御部230に送られることにより、紙幣釣銭機200から釣銭としての紙幣が出金されるようになる。紙幣釣銭機200の制御部230に対して出金指令が与えられると、紙幣収納部206に収納されている紙幣が当該紙幣収納部206から繰り出され、繰り出された紙幣は紙幣識別部201により識別された後、周回搬送部203aにより紙幣払出部216に送られる。そして、紙幣払出部216は、紙幣収納部206から送られた紙幣を紙幣取出口216aより筐体210外へ放出する。このようにして、操作者は、紙幣釣銭機200から出金された紙幣を得ることができるようになる。なお、紙幣収納部206から繰り出された紙幣のうち、斜行等により紙幣識別部201で識別することができない紙幣は、出金リジェクト紙幣として出金リジェクト部204に収納される。
【0069】
硬貨釣銭機100の制御部130や紙幣釣銭機200の制御部230が通常モードを実行しているときに、硬貨詰まり検出手段120により入金搬送部103や出金搬送部108等における硬貨の詰まりが検出されたり、紙幣詰まり検出手段220により周回搬送部203aや接続搬送部203bにおける紙幣の詰まりが検出されたりすることにより、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200でジャム等のエラーが発生した場合には、操作表示部112にはエラーが発生した旨を示す情報やエラー解除方法に関する情報が表示されるようになる。より詳細には、操作表示部112には、エラーを解除するために操作が必要な箇所の画像や復旧操作の手順が示されるようになる。そして、操作者は、操作表示部112に表示されたエラー解除方法を見ながら、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部でジャムを生じさせている硬貨や紙幣を取り除くことにより、エラー解除操作(復旧操作)を行うこととなる。
【0070】
次に、硬貨釣銭機100の制御部130や紙幣釣銭機200の制御部230において、処理モードを通常モードからエラー解除体験モードに切り換える方法について、図4に示すフローチャートおよび図5に示す硬貨釣銭機100の操作表示部112の表示画面を用いて以下に説明する。
【0071】
図5(a)に、通常モードにおける硬貨釣銭機100の操作表示部112の待機中の画面を示す。図5(a)に示すような待機中の画面が操作表示部112に表示されているときに、操作者が「設定」キーを押下すると、操作表示部112の表示画面が図5(b)に示すような設定画面に切り替わる。そして、図5(b)に示すような設定画面が操作表示部112に表示されているときに、操作者が「エラー解除体験」にカーソルを合わせ、「決定」キーを押下すると、図4のフローチャートのSTEP1に示すように、選択手段150によりエラー解除体験モードを行うことが選択され、操作表示部112の表示画面が図5(c)に示すようなエラー解除体験の体験項目を選択する画面に切り替わる(STEP2)。図5(c)に示すように、エラー解除体験モードとしては、複数の種類のものが用意されており、選択手段150によりエラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、どの種類のエラー解除体験モードを行うかについても選択されるようになる。具体的には、エラー解除体験モードとして、搬送エラー解除体験モード、収納庫フル解除体験モード、収納庫エンプティ解除体験モード、センサ汚れ解除体験モードおよび在高異常ドット解除体験モード(在高異常可能性解除体験モード)という5つのエラー解除体験モードが用意されている。なお、エラー解除体験モードとして、上述した5つのエラー解除体験モード全てを用意する必要はなく、代わりに、これらの5つのエラー解除体験モードのうち一部のエラー解除体験モードのみが用意されていてもよい。
【0072】
そして、図4のフローチャートに示すように、操作者が収納庫フル解除体験モードを行うことを選択したときには(STEP3の「YES」)、後述するような収納庫フル解除体験モードが実行される。ここで、収納庫フル解除体験モードとは、硬貨釣銭機100の硬貨収納部106や紙幣釣銭機200の紙幣収納部206がフル状態またはニアフル状態となったときのエラー解除操作を操作者に前もって体験させる方法に関するものである。
【0073】
また、操作者が収納庫エンプティ解除体験モードを行うことを選択したときには(STEP4の「YES」)、後述するような収納庫エンプティ解除体験モードが実行される。ここで、収納庫エンプティ解除体験モードとは、硬貨釣銭機100の硬貨収納部106や紙幣釣銭機200の紙幣収納部206がエンプティ状態またはニアエンプティ状態となったときのエラー解除操作を操作者に前もって体験させる方法に関するものである。
【0074】
また、操作者がセンサ汚れ解除体験モードを行うことを選択したときには(STEP5の「YES」)、後述するようなセンサ汚れ解除体験モードが実行される。ここで、センサ汚れ解除体験モードとは、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に設けられた各種センサが汚れてしまったときのエラー解除操作を操作者に前もって体験させる方法に関するものである。
【0075】
また、操作者が在高異常ドット解除体験モード(在高異常可能性解除体験モード)を行うことを選択したときには(STEP6の「YES」)、後述するような在高異常ドット解除体験モードが実行される。ここで、在高異常ドット解除体験モードとは、硬貨釣銭機100の各硬貨収納部106に収納された硬貨の在高や紙幣釣銭機200の各紙幣収納部206に収納された紙幣の在高に異常がある可能性がある場合にこのような異常の可能性を解消する操作を操作者に前もって体験させる方法に関するものである。ここで、「硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に収納された硬貨や紙幣の在高に異常がある可能性」は、硬貨釣銭機100において2枚以上の硬貨が同時に繰り出されたり、紙幣釣銭機200において2枚以上の紙幣が同時に繰り出されたりした場合に生じてしまうことがある。このように、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における実際の硬貨や紙幣の処理内容と、制御部130、230により管理されている硬貨や紙幣の処理内容とが異なる場合に、在高異常ドットの異常状態が発生してしまう。
【0076】
また、操作者が搬送エラー解除体験モードを行うことを選択したときには(STEP7の「YES」)、後述するような搬送エラー解除体験モードが実行される。ここで、搬送エラー解除体験モードとは、硬貨釣銭機100の入金搬送部103や紙幣釣銭機200の周回搬送部203a等において硬貨や紙幣が詰まってしまいジャムが発生してしまったときのエラー解除操作を操作者に前もって体験させる方法に関するものである。
【0077】
なお、図5(c)に示すようなエラー解除体験項目の選択画面が操作表示部112に表示されているときに、操作者が「戻る」キーを押下すると(STEP8の「YES」)、操作表示部112の表示画面は図4(b)に示すような設定画面に戻り、エラー解除体験モードが解除されて通常モードに戻ることが可能である(STEP9)。また、図5(b)に示すような設定画面が操作表示部112に表示されているときに、操作者が「戻る」キーを押下すると、操作表示部112の表示画面は図4(a)に示すような待機中の画面に戻るようになる。
【0078】
次に、硬貨釣銭機100の制御部130や紙幣釣銭機200の制御部230が収納庫フル解除体験モードを実行しているときの動作について、図6に示すフローチャートならびに図7Aおよび図7Bに示す硬貨釣銭機100の操作表示部112の表示画面を用いて以下に説明する。
【0079】
図5(c)に示すようなエラー解除体験モードの体験項目選択画面が操作表示部112に表示されているときに、収納庫フル解除体験モードを行うことが選択手段150により選択された場合には(STEP3の「YES」)、まず、図7A(a)に示すように硬貨の補充を促す旨のメッセージが操作表示部112に表示される(STEP11)。そして、硬貨釣銭機100に硬貨が補充されると(STEP12の「YES」)、図7A(b)に示すように補充された硬貨の枚数が操作表示部112に表示される(STEP13)。この際に、操作者によって硬貨釣銭機100に1枚でも硬貨が補充されると、制御部130において硬貨フルが検知されるようになる。このため、操作者はそれ以上硬貨釣銭機100に硬貨を補充する必要がなくなる。
【0080】
そして、図7A(c)に示すように、収納庫フルに係るエラーが操作表示部112に表示される(STEP14)。具体的には、「硬貨満杯あり」というメッセージおよびどの金種の硬貨がフル状態であるかという情報が操作表示部112に表示される。また、図7A(c)に示すように、「回収キーを押下してくださいというメッセージが操作表示部112に表示される。この際に、操作表示部112において「回収」キーは強調表示される。
【0081】
そして、操作者が「回収」キーを押下すると(STEP15の「YES」)、図7A(d)に示すように、エラーを解除するための手順が操作表示部112に表示される(STEP16)。具体的には、収納庫フルの異常状態の解除方法として、「途中回収」キーを押下して硬貨収納部106内の硬貨を硬貨釣銭機100から出金させて回収する方法が用いられるが、操作表示部112にも、「途中回収キーを押下してくださいというメッセージが表示される。この際に、操作表示部112において「途中回収」キーは強調表示される。
【0082】
そして、操作者が「途中回収」キーを押下すると(STEP17の「YES」)、硬貨釣銭機100において出金動作が行われる(STEP18)。この際に、図7B(e)に示すように、「回収中です」というメッセージが操作表示部112に表示される。そして、硬貨釣銭機100における硬貨の回収動作が終了すると、操作表示部112には、図7B(f)に示すように、「回収硬貨を抜き取ってください」というメッセージが表示される。その後、操作者が回収硬貨の抜き取りを行うと(STEP19)、判断手段154は、異常状態が解除されたと判断し(STEP20)、操作表示部112には、図7B(g)に示すように、「解除完了」というメッセージが表示される。このようにして、収納庫フル解除体験モードが完了する。
【0083】
次に、硬貨釣銭機100の制御部130や紙幣釣銭機200の制御部230が収納庫エンプティ解除体験モードを実行しているときの動作について、図8に示すフローチャートならびに図9Aおよび図9Bに示す硬貨釣銭機100の操作表示部112の表示画面を用いて以下に説明する。
【0084】
図5(c)に示すようなエラー解除体験モードの体験項目選択画面が操作表示部112に表示されているときに、収納庫エンプティ解除体験モードを行うことが選択手段150により選択された場合には(STEP4の「YES」)、まず、図9A(a)に示すようにエラーが発生した旨が操作表示部112に表示される(STEP21)。具体的には、500円硬貨が不足しているという情報が操作表示部112に表示されるとともに、「不足貨幣を入れてください」というメッセージが操作表示部112に表示される。そして、操作者によって硬貨釣銭機100に500円硬貨が補充されると(STEP22の「YES」)、操作表示部112には、図9A(b)に示すように「補充動作中」というメッセージおよび補充された500円硬貨の枚数が表示される(STEP23)。なお、収納庫エンプティ解除体験モードが行われているときに、硬貨釣銭機100に500円硬貨が1枚でも補充されると、硬貨釣銭機100においてエンプティ状態またはニアエンプティ状態が解除される。そして、硬貨釣銭機100においてエンプティ状態またはニアエンプティ状態が解除されると(STEP24の「YES」)、判断手段154は、異常状態が解除されたと判断し(STEP25)、操作表示部112には、図9A(c)に示すように、「解除完了」というメッセージが表示される。
【0085】
その後、収納庫エンプティに係るエラーを解除するために硬貨釣銭機100に投入された硬貨が、この硬貨釣銭機100から出金される(STEP26)。この際に、操作表示部112には、図9B(d)に示すように、「解除貨幣の出金動作中」というメッセージが表示される。そして、硬貨釣銭機100から硬貨が出金されると、操作表示部112には、図9B(e)に示すように、「解除貨幣を抜き取ってください」というメッセージが表示される。その後、硬貨釣銭機100から出金された硬貨を操作者が抜き取ると(STEP27)、収納庫エンプティ解除体験モードが完了する。
【0086】
次に、硬貨釣銭機100の制御部130や紙幣釣銭機200の制御部230がセンサ汚れ解除体験モードを実行しているときの動作について、図10に示すフローチャートならびに図11Aおよび図11Bに示す硬貨釣銭機100の操作表示部112の表示画面を用いて以下に説明する。
【0087】
図5(c)に示すようなエラー解除体験モードの体験項目選択画面が操作表示部112に表示されているときに、センサ汚れ解除体験モードを行うことが選択手段150により選択された場合には(STEP5の「YES」)、まず、図11A(a)に示すようにエラーが発生した旨が操作表示部112に表示される(STEP31)。具体的には、「硬貨部センサ汚れを検知」「硬貨部センサを掃除してください」というメッセージが操作表示部112に表示されるとともに、掃除すべき箇所の画像が操作表示部112に表示される。また、操作表示部112における「清掃」キーが強調表示される。
【0088】
そして、操作者が「清掃」キーを押下すると(STEP32の「YES」)、操作表示部112にはエラーを解除するための手順が表示される(STEP33)。具体的には、まず、図11A(b)に示すように、「鍵を保守にして硬貨部を引き出します」というメッセージが操作表示部112に表示される。そして、操作者が硬貨釣銭機100の硬貨部(各硬貨収納部106が設けられたユニット)を筐体110から引き出し、ユニット開が検知されると、図11A(c)に示すように、操作表示部112には筐体110から引き出された硬貨釣銭機100の硬貨部が表示されるとともに「掃除道具を取り出してください」というメッセージが表示される。その後、操作表示部112には、図11B(d)に示すように、掃除すべき箇所の画像が操作表示部112に点滅状態で表示されるとともに「点滅部を掃除してください」「硬貨部を元に戻してください」というメッセージが操作表示部112に表示される。
【0089】
そして、操作者によってセンサの掃除が行われ、その後、硬貨釣銭機100の硬貨部を筐体110内に戻すことによりユニット閉が検知されると(STEP34の「YES」)、判断手段154は、異常状態が解除されたと判断する(STEP35)。このようにして、センサ汚れ解除体験モードが完了する。
【0090】
次に、硬貨釣銭機100の制御部130や紙幣釣銭機200の制御部230が在高異常ドット解除体験モードを実行しているときの動作について、図12に示すフローチャートならびに図13Aおよび図13Bに示す硬貨釣銭機100の操作表示部112の表示画面を用いて以下に説明する。
【0091】
図5(c)に示すようなエラー解除体験モードの体験項目選択画面が操作表示部112に表示されているときに、在高異常ドット解除体験モードを行うことが選択手段150により選択された場合には(STEP6の「YES」)、まず、図13A(a)に示すようにエラーが発生した旨が操作表示部112に表示される(STEP41)。具体的には、「在高キーを押下してください」というメッセージが操作表示部112に表示される。この際に、操作表示部112において「在高」キーは強調表示される。そして、操作者が「在高」キーを押下すると(STEP42の「YES」)、操作表示部112には、エラーを解除するための手順が表示される(STEP43)。ここで、エラーを解除するための手順は、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の計数モードによって異なるようになる。
【0092】
硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の計数モードとしては、例えば、預かり金計数機モード、釣銭機モードおよび現金管理機モードの3つのモードがある。預かり金計数機モードとは、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に、預かり金の計数機能および釣銭の出金機能が設けられたモードのことをいう。このような預かり金計数機モードが行われているときには、レジでの運用手順は、まず、POSレジスタからなる制御端末機300で商品の金額を計算し、次に店員が客から預かった預かり金を硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に投入し、その後これらの硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200から釣銭が出金されるようになる。
【0093】
また、釣銭機モードとは、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に、釣銭の出金機能のみが設けられたモードのことをいう。このような釣銭機モードが行われているときには、レジでの運用手順は、まず、POSレジスタからなる制御端末機300で商品の金額を計算し、次に店員が客から預かった預かり金の金額を制御端末機300で手入力し、その後硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200から釣銭が出金されるようになる。その後、任意のタイミングで硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に硬貨や紙幣が補充される。
【0094】
また、現金管理機モードとは、預かり金計数機モードと同様に、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に、預かり金の計数機能および釣銭の出金機能が設けられたモードのことをいう。このような現金管理機モードが行われているときには、レジでの運用手順は、預かり金計数機モードと同様に、まず、POSレジスタからなる制御端末機300で商品の金額を計算し、次に店員が客から預かった預かり金を硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に投入し、その後これらの硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200から釣銭が出金されるようになる。
【0095】
なお、出金時の在高更新のタイミングは、預かり金計数機モードや釣銭機モードが行われているときには、硬貨釣銭機100の硬貨収納部106や紙幣釣銭機200の紙幣収納部206から硬貨や紙幣を1枚繰り出したタイミングで在高を更新する。一方、現金管理機モードが行われているときには、出金指示枚数が全て硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体外に出たタイミングで在高を更新する。このため、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において出金処理中にエラーが発生した場合、これらの硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における出金搬送部108や周回搬送部203a上の硬貨や紙幣の取り扱いについて、預かり金計数機モードや釣銭機モードでは、硬貨収納部106や紙幣収納部206に戻すか、それとも釣銭機の機体外に取り除くかについて判断に迷うこととなる。一方、現金管理機モードでは、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において出金処理中にエラーが発生した場合に、これらの硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200内の硬貨や紙幣は全て硬貨収納部106や紙幣収納部206に戻しても問題ない。
【0096】
操作表示部112に、エラーを解除するための手順が表示される際に(STEP43)、計数モードが預かり金計数機モードまたは釣銭機モードである場合には(STEP44)、操作表示部112には、図13A(b)に示すように、「個別回収キーを押下してください」というメッセージが表示されるとともに、操作表示部112における「個別回収」キーが強調表示される。そして、操作者が「個別回収」キーを押下すると(STEP45の「YES」)、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において出金動作が行われる(STEP46)。この際に、操作表示部112には、図13A(c)に示すように「回収中です」というメッセージが表示される。そして、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において出金動作が完了すると、操作表示部112には、図13A(d)に示すように「回収貨幣を抜き取ってください」というメッセージが表示される。その後、操作者が回収硬貨の抜き取りを行うと(STEP47)、判断手段154は、異常状態が解除されたと判断し(STEP48)、操作表示部112には、図13B(e)に示すように、「解除完了」というメッセージが表示される。
【0097】
その後、操作表示部112には、図13B(f)に示すように、「解除貨幣を再投入してください」というメッセージが表示される。そして、操作者が、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200から回収された硬貨や紙幣を、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に再投入すると(STEP49)、操作表示部112には、図13B(g)に示すように、「解除貨幣の補充動作中」というメッセージが表示される。そして、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200から回収された枚数の硬貨や紙幣が硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に補充されると(STEP50の「YES」)、在高異常ドット解除体験モードが完了する。
【0098】
なお、操作表示部112に、エラーを解除するための手順が表示される際に(STEP43)、計数モードが現金管理機モードである場合には(STEP44)、操作表示部112には、図13A(b)に示すような「個別回収キーを押下してください」というメッセージが表示される代わりに、「戻入れキーを押下してください」というメッセージが表示される。また、この際に、操作表示部112における「戻入れ」キーが強調表示される。なお、図13A、図13Bでは、「戻入れ」キーは表示されていないが、実際には、図13A(b)における「個別回収」キーの代わりに「戻入れ」キーが表示されるようになる。そして、操作者が「戻入れ」キーを押下し(STEP51の「YES」)、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に硬貨や紙幣を投入すると、これらの硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において硬貨や紙幣の戻入れ動作が行われる(STEP52)。この際に、操作表示部112には、「戻入れ中です」というメッセージが表示される。ここで、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200には、在高異常ドットが生じている金種について、操作者が考えている不足枚数分の硬貨や紙幣が戻入れされるようになる。
【0099】
そして、在高異常ドットが生じている金種の硬貨や紙幣が硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に戻入れされると(STEP53の「YES」)、判断手段154は、異常状態が解除されたと判断し(STEP54)、操作表示部112には、図13B(e)に示すように、「解除完了」というメッセージが表示される。
【0100】
その後、在高異常ドットに係るエラーを解除するために硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に戻入れされた硬貨や紙幣が、これらの硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200から出金される(STEP55)。この際に、操作表示部112には、「解除貨幣の出金動作中」というメッセージが表示される。そして、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200から硬貨や紙幣が出金されると、操作表示部112には、「解除貨幣を抜き取ってください」というメッセージが表示される。その後、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200から出金された硬貨や紙幣を操作者が抜き取ると(STEP56)、在高異常ドット解除体験モードが完了する。
【0101】
次に、硬貨釣銭機100の制御部130や紙幣釣銭機200の制御部230が搬送エラー解除体験モードを実行しているときの動作について、図14に示すフローチャートならびに図15に示す硬貨釣銭機100の操作表示部112の表示画面を用いて以下に説明する。
【0102】
図5(c)に示すようなエラー解除体験モードの体験項目選択画面が操作表示部112に表示されているときに、搬送エラー解除体験モードを行うことが選択手段150により選択された場合には(STEP7の「YES」)、操作者が硬貨や紙幣を硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に投入する旨の表示が操作表示部112に表示される。そして、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に硬貨や紙幣が投入されると(STEP61の「YES」)、これらの硬貨や紙幣が機体内に取り込まれた後、硬貨収納部106や紙幣収納部206に搬送される前に、硬貨や紙幣の搬送が途中で停止される(STEP62)。より詳細には、搬送エラー解除体験モードが実行されているときに、硬貨釣銭機100の硬貨受入部114に硬貨が受け入れられると、当該硬貨が入金搬送部103により搬送されて硬貨識別部101により識別された後、分岐部104の手前の箇所で入金搬送部103による硬貨の搬送が停止されるようになる。更に具体的に説明すると、図1に示すように、入金搬送部103における分岐部104の手前の箇所には検出センサ105が設けられており、この検出センサ105により硬貨が検出されたときに入金搬送部103による当該硬貨の搬送が停止されるようになる。一方、搬送エラー解除体験モードが実行されているときに、紙幣受入部214の紙幣受入口214aに紙幣が挿入されると、当該紙幣が周回搬送部203aにより搬送されて紙幣識別部201により識別された時点で、周回搬送部203aによる紙幣の搬送が停止されるようになる。このように、入金搬送部103や周回搬送部203aによる硬貨や紙幣の搬送を途中で停止させることにより、ジャムに類似する状態を人為的に発生させることができるようになる。なお、搬送エラー解除体験モードが実行されているときには、硬貨識別部101や紙幣識別部201により識別された硬貨や紙幣は、計数結果には含まれないようになる。
【0103】
そして、制御部130や制御部230は、搬送エラー解除体験モードが実行されているときに、硬貨釣銭機100の入金搬送部103や紙幣釣銭機200の周回搬送部203aによる硬貨や紙幣の搬送を途中で停止させた後、発生させられたエラーに対応したエラー解除方法に関する情報を出力する。そして、出力されたエラー解除方法に関する情報は、硬貨釣銭機100の操作表示部112に表示される(STEP63)。具体的には、紙幣釣銭機200の周回搬送部203aによる紙幣の搬送が途中で停止した後に、操作表示部112には、図15に示すような、エラー解除方法に関する情報が表示される。より詳細には、操作表示部112には、エラーを解除するために操作が必要な箇所の画像や復旧操作の手順が示されるようになる。
【0104】
そして、操作者は、操作表示部112に表示されたエラー解除方法に従って各部位を操作すると、搬送が途中で停止された硬貨や紙幣を硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内から取り出すことができ、エラーが解除される(STEP64の「YES」)。エラーが解除されて、装置を元の状態に戻した後、操作者が操作表示部112により所定の戻し操作を行うことによって(具体的には、操作表示部112に表示された「戻る」キーを操作者が押下することによって)(STEP65の「YES」)、制御部130や制御部230において実行される処理モードが搬送エラー解除体験モードから通常モードに戻るようになる(STEP66)。戻し操作が行わなければ(STEP65の「NO」)、再び硬貨または紙幣を投入することで、エラーを発生させて、エラー解除操作を再び体験することができる。なお、他の例として、エラーが解除されると、操作者が操作表示部112により所定の戻し操作を行わなくても、エラー解除体験は1回限りとし、制御部130や制御部230において実行される処理モードがエラー解除体験モードから自動的に通常モードに戻るようになっていてもよい。このようにして、搬送エラー解除体験モードが完了する。
【0105】
本実施の形態では、上述したような各種のエラー解除体験モードが行われているときに、操作表示部112に表示されるエラー解除方法は、通常モードが実行されているときに操作表示部112に表示されるエラー解除方法とは異なる態様となっている。具体的には、エラー解除体験モードが実行されているときには、操作表示部112には、〔収納庫フル解除体験モード中〕〔収納庫エンプティ解除体験モード中〕といったメッセージが画面の左上欄に表示されるようになる。あるいは、エラー解除体験モードが実行されているときに操作表示部112に表示されるエラー解除方法が、通常モードが実行されているときに操作表示部112に表示されるエラー解除方法とは異なる色で表示されるようになっていてもよい。
【0106】
以上のように本実施の形態による硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200、あるいはこれらの硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200を備えた貨幣処理システム1によれば、選択手段150により、少なくともエラー解除体験モードを行うことを選択できるようになっており、選択手段150によりエラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、異常状態が発生した旨の情報が出力手段152により出力されるようになっている。このように、選択手段150によりエラー解除体験モードを行うことを選択することによって、営業時間外等において操作者に対してエラー解除操作(復旧操作)を前もって体験させることができるようになる。このことにより、実際に硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において異常で発生したときに、操作者の技能レベルにかかわらずこれらの硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200を迅速に復旧させることができる。
【0107】
また、本実施の形態による硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200、あるいはこれらの硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200を備えた貨幣処理システム1によれば、選択手段150により搬送エラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、制御部130や制御部230は、入金搬送部103や周回搬送部203aによる硬貨や紙幣の搬送を途中で停止させるようになっている。このように、搬送エラー解除体験モードが行われているときには、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内における紙幣や硬貨の搬送が途中で停止されるため、ジャムを人為的に発生させることができるようになる。
【0108】
また、本実施の形態の硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200においては、出力手段152は、選択手段150によりエラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、異常状態が発生した旨の情報に加えて、異常状態の解除方法に係る情報も追加的に出力するようになっている。このことにより、営業時間外等において操作者に対してエラー解除操作を前もって体験させる際に、操作者は、出力された異常状態の解除方法を参照してエラー解除操作を行うことができるようになる。
【0109】
また、本実施の形態の硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200においては、出力手段152により出力された異常状態の解除方法に係る情報に沿って硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200が操作されたときに、判断手段154は、異常状態が解除されたと判断するようになっている。このことにより、営業時間外等において操作者に対してエラー解除操作を前もって体験させる際に、エラーが解除されたか否かを判断手段154によって確実に判断することができるようになる。
【0110】
また、本実施の形態の硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200においては、出力手段152により出力された情報は操作表示部112に表示されるようになっている。この際に、操作表示部112は、選択手段150によりエラー解除体験モードを行うことが選択された場合と、選択手段150によりエラー解除体験モード以外のモード、具体的には例えば通常モードを行うことが選択された場合とで表示内容を異なる態様で表示するようになっている。例えば、エラー解除体験モードが実行されているときには、操作表示部112には、〔収納庫フル解除体験モード中〕〔収納庫エンプティ解除体験モード中〕といったメッセージが画面の左上欄に表示されるようになる。また、エラー解除体験モードが実行されているときに操作表示部112に表示されるエラー解除方法が、エラー解除体験モード以外のモードが実行されているときに操作表示部112に表示されるエラー解除方法とは異なる色で表示されるようになっていてもよい。
【0111】
また、本実施の形態の硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200においては、出力手段152により出力された情報は、インターフェース132、232を介して外部装置(例えば制御端末機300やホストサーバ400)に送信されるようになっている。このことにより、操作者は、例えば制御端末機300の表示部302に表示されたエラー解除方法を見ながら、エラー解除操作(復旧操作)を行うことができるようになる。
【0112】
また、本実施の形態の硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200においては、複数の種類のエラー解除体験モードが予め準備されており、選択手段150によりエラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、どの種類のエラー解除体験モードを行うかについても選択されるようになっている。
【0113】
また、本実施の形態の硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200においては、制御部130や制御部230は、搬送エラー解除体験モードが実行されているときに、硬貨受入部114や紙幣受入部214により硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に投入された紙幣や硬貨について入金搬送部103や周回搬送部203aによる搬送を途中で停止させるよう入金搬送部103や周回搬送部203aを制御するようになっている。このことにより、搬送エラー解除体験モードが実行されているときに、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に入金された紙幣や硬貨が硬貨収納部106や紙幣収納部206に収納されてしまうことを防止することができるため、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高が変化してしまうことを防止することができる。
【0114】
なお、本実施の形態による硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
【0115】
例えば、少なくともエラー解除体験モードを行うことを選択できる選択手段150、選択手段150によりエラー解除体験モードを行うことが選択されたときに異常状態が発生した旨の情報を出力する出力手段152、および異常状態が解除されたと判断する判断手段154は、硬貨釣銭機100に設けられることに限定されることはない。これらの手段の一部または全部が、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200ではなく、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に通信接続された外部装置に設けられていてもよい。例えば、選択手段150、出力手段152および判断手段154のうち一部または全部の手段が制御端末機300に設けられていてもよい。この場合、出力手段152により出力された情報は制御端末機300の表示部302に表示されるようになっていてもよい。
【0116】
また、選択手段150により搬送エラー解除体験モードを行うことが選択された後、操作者が硬貨や紙幣を硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に投入しなくても、硬貨収納部106や紙幣収納部206から硬貨や紙幣が自動的に出金搬送部108や周回搬送部203aに繰り出されるようになっていてもよい。この場合には、硬貨収納部106や紙幣収納部206から繰り出された硬貨や紙幣が、硬貨払出部116や紙幣払出部216に搬送される前に、出金搬送部108や周回搬送部203aによる硬貨や紙幣の搬送が途中で停止されるようになる。より詳細には、搬送エラー解除体験モードが実行されているときに、硬貨釣銭機100の硬貨収納部106から硬貨が自動的に繰り出されると、当該硬貨は出金搬送部108により硬貨払出部116に向かって搬送されるようになるが、当該硬貨払出部116の手前の箇所で出金搬送部108による硬貨の搬送が停止されるようになる。一方、搬送エラー解除体験モードが実行されているときに、紙幣釣銭機200の紙幣収納部206から紙幣が自動的に繰り出されると、当該紙幣が周回搬送部203aにより搬送されて紙幣識別部201により識別された時点で、周回搬送部203aによる紙幣の搬送が停止されるようになる。このように、出金搬送部108や周回搬送部203aによる硬貨や紙幣の搬送を途中で停止させることにより、硬貨収納部106や紙幣収納部206から繰り出された硬貨や紙幣についてジャムに類似した状態を人為的に発生させることができるようになる。
【0117】
そして、硬貨釣銭機100の出金搬送部108や紙幣釣銭機200の周回搬送部203aによる硬貨や紙幣の搬送を途中で停止させた後、硬貨釣銭機100の制御部130や紙幣釣銭機200の制御部230はエラー解除方法に関する情報を出力する。そして、出力されたエラー解除方法に関する情報は、硬貨釣銭機100の操作表示部112に表示される。
【0118】
その後、操作者は、操作表示部112に表示されたエラー解除方法に沿って、搬送が途中で停止された硬貨や紙幣を硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内から取り出すと、エラーが解除されるようになる。エラーが解除されると、操作者が操作表示部112により所定の戻し操作を行うことによって、制御部130や制御部230において実行される処理モードが搬送エラー解除体験モードから通常モードに戻るようになる。その後、操作表示部112には、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内から取り出された硬貨や紙幣を再投入する旨の表示がなされる。
【0119】
操作者は、操作表示部112に表示された表示内容に基づいて、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内から取り出した硬貨や紙幣を再投入する。このことにより、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に再投入された硬貨や紙幣は、硬貨収納部106や紙幣収納部206に再び収納されるようになる。このため、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高が、搬送エラー解除体験モードを行う前後で変化することを防止することができる。
【0120】
このように、変形例に係る硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200によれば、制御部130や制御部230は、搬送エラー解除体験モードが実行されているときに、硬貨払出部116や紙幣払出部216により硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体外へ出金されるべき紙幣や硬貨について、出金搬送部108や周回搬送部203aによる搬送を途中で停止させるよう、出金搬送部108や周回搬送部203aを制御するようになっている。この場合でも、選択手段150により搬送エラー解除体験モードを行うことを選択することにより、営業時間外等において操作者に対してエラー解除操作(復旧操作)を前もって体験させることができるようになる。この変形例によれば、エラー解除操作の体験のために紙幣や硬貨を用意する必要がなく、また、硬貨や紙幣の出金搬送路で生じるエラーを体験することができるようになるという利点がある。
【0121】
なお、上述のような変形例に係る硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200においては、搬送エラー解除体験モードが実行されているときに、出金搬送部108や周回搬送部203aによる搬送が途中で停止された硬貨や紙幣に関する情報と、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に再投入された硬貨や紙幣に関する情報との照合を行い、一致すれば通常モードに戻ることができるが、一致しなければ警告を発するようになっている。このことにより、搬送エラー解除体験モードが実行されているときに硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内から取り出された硬貨や紙幣が適切に硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に再投入されたか否かを確認することができるようになる。
【0122】
また、本実施の形態による硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200は、選択手段150がエラー解除体験モードを選択できるものに限定されることはない。硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の更なる変形例として、制御部130や制御部230が、所定の指示を受け付けると、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内での硬貨や紙幣の搬送を途中で停止させるようになるような態様としてもよい。このような硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の更なる変形例について、図16に示すフローチャートを用いて説明する。
【0123】
更なる変形例に係る硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200によれば、制御部130や制御部230においてエラー解除体験モードは設定されていない。代わりに、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内で硬貨や紙幣が搬送されているときに(STEP71)、制御部130や制御部230が所定の指示を受け付けると(STEP72の「YES」)、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内での硬貨や紙幣の搬送が途中で停止されるようになる(STEP73)。より具体的には、操作者が操作表示部112により所定の指示を入力することにより、あるいは制御端末機300やホストサーバ400から硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の制御部130や制御部230に所定の指示が送信されることにより、制御部130や制御部230に対して所定の指示が与えられるようになる。
【0124】
そして、制御部130や制御部230は、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内での硬貨や紙幣の搬送を途中で停止させた後、エラー解除方法に関する情報を出力する。そして、出力されたエラー解除方法に関する情報は、硬貨釣銭機100の操作表示部112に表示される(STEP74)。その後、操作者は、操作表示部112に表示されたエラー解除方法に従って各部位を操作することにより、搬送が途中で停止された硬貨や紙幣を硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内から取り出し、装置を元の状態に戻すと、エラーが解除される(STEP75の「YES」)。
【0125】
以上のように、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の更なる変形例では、制御部130や制御部230は、所定の指示を受け付けると、入金搬送部103や出金搬送部108、周回搬送部203a等による硬貨や紙幣の搬送を途中で停止させるようこれらの入金搬送部103や出金搬送部108、周回搬送部203a等を制御するようになっている。このように、制御部130や制御部230に所定の指示を与えることにより、筐体内で硬貨や紙幣が途中で停止するため、ジャムに類似した状態を人為的に発生させることができるようになり、営業時間外等において操作者に対してエラー解除操作(復旧操作)を前もって体験させることができるようになる。このため、実際にジャム等の異常が硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200で発生した場合において、どのような技能レベルの操作者でも、エラー解除操作(復旧操作)を前もって体験していることにより、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200を迅速に復旧させることができるようになる。
【0126】
また、本発明において用いられる貨幣処理機は、硬貨釣銭機や紙幣釣銭機に限定されることはない。本発明において用いられる貨幣処理機として、硬貨や紙幣からなる貨幣を処理することができるものであれば、硬貨釣銭機や紙幣釣銭機以外のものを適用してもよい。
【0127】
また、搬送エラー解除体験モードが行われているときに、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において擬似的なジャムが発生した状態で、操作者によって操作表示部112によりクリア指示の入力が行われると、入金搬送部103や出金搬送部108、周回搬送部203a等の搬送手段が駆動されて、停止されていた硬貨や紙幣が硬貨払出部116や紙幣払出部216に搬送されるようになっていてもよい。この場合には、エラー解除操作を上手く行えない等により、搬送エラー解除体験モードを取り止める必要があるときに、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に投入された硬貨や紙幣を機体外に戻すことができるようになる。
【0128】
また、搬送エラー解除体験モードが行われているときに、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において擬似的なジャムを発生させる際に、操作者が操作表示部112により硬貨や紙幣を停止する位置を指定することができるようになっていてもよい。操作者が操作表示部112により硬貨や紙幣を停止する位置を指定した後に硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に硬貨や紙幣を投入すると、指定された位置で硬貨や紙幣が停止され、操作者は当該位置でのエラー解除操作を体験することができるようになる。例えば、硬貨釣銭機100において、硬貨受入部114、硬貨識別部101、入金搬送部103における分岐部104より上流側の箇所、分岐部104、入金搬送部103における分岐部104より下流側の箇所、および硬貨払出部116の中から硬貨を停止する箇所を選択することができるようになっていてもよい。
【0129】
また、搬送エラー解除体験モードが行われているときに、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において擬似的なジャムを発生させる際に、アトランダムな位置で硬貨や紙幣を停止させてエラーを発生させるモードが設けられていてもよい。このようなモードを実行することにより、操作者のエラー解除操作の能力をテストしたり、操作者の技量の向上を図ったりすることができるようになる。
【符号の説明】
【0130】
1 貨幣処理システム
100 硬貨釣銭機
101 硬貨識別部
103 入金搬送部
104 分岐部
105 検出センサ
106 硬貨収納部
108 出金搬送部
110 筐体
112 操作表示部
114 硬貨受入部
116 硬貨払出部
120 硬貨詰まり検出手段
130 制御部
132 インターフェース
134 記憶部
150 選択手段
152 出力手段
154 判断手段
200 紙幣釣銭機
201 紙幣識別部
203a 周回搬送部
203b 接続搬送部
204 出金リジェクト部
206 紙幣収納部
207 紙幣回収カセット
210 筐体
214 紙幣受入部
214a 紙幣受入口
216 紙幣払出部
216a 紙幣取出口
220 紙幣詰まり検出手段
230 制御部
232 インターフェース
234 記憶部
300 制御端末機
302 表示部
302a 追加の表示部
304 操作部
330 制御部
332 インターフェース
334 記憶部
400 ホストサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣の処理を行う貨幣処理機であって、
少なくともエラー解除体験モードを行うことを選択できる選択手段と、
前記選択手段によりエラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、異常状態が発生した旨の情報を出力する出力手段と、
を備えた、貨幣処理機。
【請求項2】
前記出力手段は、前記選択手段によりエラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、異常状態が発生した旨の情報に加えて、異常状態の解除方法に係る情報も追加的に出力するようになっている、請求項1記載の貨幣処理機。
【請求項3】
前記出力手段により出力された異常状態の解除方法に係る情報に沿って貨幣処理機が操作されたときに、異常状態が解除されたと判断する判断手段を更に備えた、請求項2記載の貨幣処理機。
【請求項4】
前記貨幣処理機は表示部を更に備えており、
前記出力手段により出力された情報は前記表示部に表示されるようになっている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の貨幣処理機。
【請求項5】
前記表示部は、前記選択手段によりエラー解除体験モードを行うことが選択された場合と、前記選択手段によりエラー解除体験モード以外のモードを行うことが選択された場合とで表示内容を異なる態様で表示する、請求項4記載の貨幣処理機。
【請求項6】
前記貨幣処理機は通信部を更に備えており、
前記出力手段により出力された情報は前記通信部により前記貨幣処理機とは別に設けられた外部装置に送信されるようになっている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の貨幣処理機。
【請求項7】
複数の種類のエラー解除体験モードが予め準備されており、
前記選択手段によりエラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、どの種類のエラー解除体験モードを行うかについても選択されるようになっている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の貨幣処理機。
【請求項8】
複数の種類のエラー解除体験モードは、収納庫フル解除体験モード、収納庫エンプティ解除体験モード、センサ汚れ解除体験モード、在高異常可能性解除体験モード、および搬送エラー解除体験モードを含む群の一部または全部である、請求項7記載の貨幣処理機。
【請求項9】
貨幣の処理を行う貨幣処理機と、
前記貨幣処理機とは別に設けられ、当該貨幣処理機に通信接続された外部装置と、
を備えた貨幣処理システムであって、
少なくともエラー解除体験モードを行うことを選択できる選択手段と、
前記選択手段によりエラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、異常状態が発生した旨の情報を出力する出力手段と、
を備えた、貨幣処理システム。
【請求項10】
前記外部装置は表示部を有しており、
前記出力手段により出力された情報は前記外部装置の前記表示部に表示されるようになっている、請求項9記載の貨幣処理システム。
【請求項11】
貨幣処理機により貨幣の処理を行う貨幣処理方法であって、
エラー解除体験モードを行うことを選択する工程と、
エラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、異常状態が発生した旨の情報を出力する工程と、
を備えた、貨幣処理方法。
【請求項12】
貨幣の処理を行う貨幣処理機であって、
貨幣を搬送する搬送部と、
前記搬送部の制御を行う制御部であって、所定の指示を受け付けると、前記搬送部による貨幣の搬送を途中で停止させるよう当該搬送部を制御する制御部と、
を備えた、貨幣処理機。
【請求項13】
貨幣の処理を行う貨幣処理機であって、
貨幣を搬送する搬送部と、
前記搬送部の制御を行う制御部であって、少なくともエラー解除体験モードを行うことを選択できる選択手段が設けられており、前記選択手段によりエラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、前記搬送部による貨幣の搬送を途中で停止させるよう当該搬送部を制御する制御部と、
を備えた、貨幣処理機。
【請求項14】
異常状態が発生した旨の情報を出力する出力手段を更に備え、
前記出力手段は、前記搬送部による貨幣の搬送を途中で停止させた後、異常状態が発生した旨の情報を出力するようになっている、請求項12または13記載の貨幣処理機。
【請求項15】
前記出力手段は、前記搬送部による貨幣の搬送を途中で停止させた後、異常状態が発生した旨の情報に加えて、異常状態の解除方法に係る情報も追加的に出力するようになっている、請求項14記載の貨幣処理機。
【請求項16】
前記出力手段により出力された異常状態の解除方法に係る情報に沿って貨幣処理機が操作されたときに、異常状態が解除されたと判断する判断手段が前記制御部に設けられている、請求項15記載の貨幣処理機。
【請求項17】
貨幣の処理を行う貨幣処理機と、
前記貨幣処理機とは別に設けられ、当該貨幣処理機に通信接続された外部装置と、
を備えた貨幣処理システムであって、
前記貨幣処理機は、貨幣を搬送する搬送部を有しており、
前記搬送部の制御を行う制御部であって、所定の指示を受け付けると、前記搬送部による貨幣の搬送を途中で停止させるよう当該搬送部を制御する制御部が設けられた、貨幣処理システム。
【請求項18】
貨幣の処理を行う貨幣処理機と、
前記貨幣処理機とは別に設けられ、当該貨幣処理機に通信接続された外部装置と、
を備えた貨幣処理システムであって、
前記貨幣処理機は、貨幣を搬送する搬送部を有しており、
前記搬送部の制御を行う制御部であって、少なくともエラー解除体験モードを行うことを選択できる選択手段が設けられており、前記選択手段によりエラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、前記搬送部による貨幣の搬送を途中で停止させるよう当該搬送部を制御する制御部が設けられた、貨幣処理システム。
【請求項19】
貨幣処理機により貨幣の処理を行う貨幣処理方法であって、
前記貨幣処理機の搬送部により貨幣を搬送する工程と、
前記貨幣処理機の制御部が所定の指示を受け付けると、前記搬送部による貨幣の搬送を途中で停止させる工程と、
を備えた、貨幣処理方法。
【請求項20】
貨幣処理機により貨幣の処理を行う貨幣処理方法であって、
前記貨幣処理機の搬送部により貨幣を搬送する工程と、
エラー解除体験モードを行うことを選択する工程と、
エラー解除体験モードを行うことが選択されたときに、前記搬送部による貨幣の搬送を途中で停止させる工程と、
を備えた、貨幣処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−41572(P2013−41572A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−125934(P2012−125934)
【出願日】平成24年6月1日(2012.6.1)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】