貨幣処理装置
【課題】出金処理の際にリジェクト貨幣が発生したときの、貨幣の管理を適切に行い得る貨幣処理装置を提供する。
【解決手段】貨幣処理装置(紙幣入出金機1)は、収納部3と、識別部25と、出金部23と、出金処理時に収納部3から繰り出された貨幣を識別した後に出金部に払い出すよう構成された制御部513と、を備える。制御部513は、出金処理においてリジェクト貨幣を識別したときには、少なくとも当該リジェクト貨幣を出金部23に払い出すと共に、その後に、出金部23に払い出された貨幣の計数を行うための計数処理に移行する。
【解決手段】貨幣処理装置(紙幣入出金機1)は、収納部3と、識別部25と、出金部23と、出金処理時に収納部3から繰り出された貨幣を識別した後に出金部に払い出すよう構成された制御部513と、を備える。制御部513は、出金処理においてリジェクト貨幣を識別したときには、少なくとも当該リジェクト貨幣を出金部23に払い出すと共に、その後に、出金部23に払い出された貨幣の計数を行うための計数処理に移行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、貨幣の出金処理と前記貨幣の計数処理とを少なくとも行う貨幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、現金自動取引装置に実装される紙幣入出金機を開示している。この入出金機は、それぞれ紙幣を収納する複数の収納部を備えている。この入出金機は、出金処理において、収納部に収納している紙幣を繰り出すと共に、繰り出した紙幣の識別を識別部によって行い、その識別後に、紙幣を出金口に払い出す。この入出金機はまた、出金処理時に払い出す紙幣を収納する収納部(リサイクル庫)とは別に、出金しない紙幣を収納する収納部(入金庫)を備えている。このようにリサイクル庫と入金庫との2種類の収納部を備えた装置構成は、装置を大型化させる。又は、装置筐体の大きさが同じであれば、入金庫の分だけリサイクル庫の容量は少なくなる。
【0003】
これに対し、特許文献2は、例えば銀行等の金融機関におけるテラーカウンターに設置され、窓口業務を行うテラーが操作する紙幣入出金機を開示している。この入出金機は、リサイクル庫を備えている一方で、入金庫を備えていない。この入出金機は小型であるため、テラーカウンターの設置に有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−9605号公報
【特許文献2】国際公開第2008/047094号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載されている入出金機は、出金処理の際に識別不可のリジェクト紙幣が発生したときには、そのリジェクト紙幣を入金庫に収納する。
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載されている入出金機は入金庫を備えていないため、出金処理の際に発生したリジェクト紙幣は、例えば正常紙幣と共に、出金口に払い出さなければならない。リジェクト紙幣が発生したことは、エラーメッセージによってオペレータに知らされる。また、リジェクト紙幣が発生したことによって、出金処理後に、収納部に収納されている紙幣の在高が不確定になる可能性もある。
【0007】
このため、オペレータは、出金処理の際に、リジェクト紙幣が出金口に払い出されたときには、その出金口に払い出された紙幣について、手で、又は別の計数装置を用いて計数しなければならない。このことは、オペレータの作業を繁雑にする。また、リジェクト紙幣と正常紙幣との双方が出金口に払い出された場合は、紙幣の枚数が多くなるかもしれない。紙幣の枚数が多くなればなるほど、計数処理のためのオペレータの負担は大きくなる。そのため、リジェクト紙幣を出金口に払い出す構成においては、オペレータの負担を軽減しつつも、紙幣の管理を適切に行うことができる構成が望まれる。
【0008】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、出金処理の際にリジェクト貨幣が発生したときの、貨幣の管理を適切に行い得る貨幣処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここに開示する装置は、貨幣の出金処理と前記貨幣の計数処理とを少なくとも行う貨幣処理装置である。この貨幣処理装置は、前記貨幣を収納すると共に、収納している貨幣を繰り出すよう構成された収納部と、前記貨幣が正常貨幣であるかリジェクト貨幣であるかの識別を少なくとも行うよう構成された識別部と、前記貨幣を払い出すよう構成された出金部と、前記出金処理時には、前記収納部から必要数の貨幣を繰り出し、その各貨幣を前記識別部によって識別し、その識別後の貨幣を前記出金部に払い出すよう構成された制御部と、を備える。
【0010】
そして、前記制御部は、前記出金処理時に、前記識別部がリジェクト貨幣を識別したときには、少なくとも当該リジェクト貨幣を前記出金部に払い出すと共に、その後に、前記出金部に払い出された前記貨幣の計数を行うための前記計数処理に移行する。
【0011】
この構成によると、出金処理時には、収納部は、そこに収納されている貨幣を繰り出す。ここでいう貨幣は、紙幣及び硬貨を含む。識別部は、収納部から繰り出された貨幣が正常貨幣であるか、リジェクト貨幣であるかを識別する。識別された貨幣は、出金部に払い出される。
【0012】
例えば重なり合ってしまった紙幣のように、識別部が識別不可と判断したリジェクト貨幣は出金部に払い出される。リジェクト貨幣と正常貨幣との双方を、出金部に払い出してもよい。リジェクト貨幣を出金部に払い出す構成であるため、この貨幣処理装置は、リジェクト貨幣を収納するための特定の収納部(例えば、貨幣処理装置に着脱可能に取り付けられる回収カセット)を備えていない装置であってもよく、これは装置の小型化に有利である。
【0013】
一方で、この貨幣処理装置は、リジェクト貨幣を出金部に払い出す構成であるため、出金処理時にリジェクト貨幣が発生したときには、その出金部に実際に払い出された貨幣の金種や数を確定させるための計数処理が必要となる。そこで、この貨幣処理装置は、出金処理時にリジェクト貨幣が発生したときには、貨幣の払い出し後に、出金部に払い出された貨幣の計数を行うための計数処理に移行する。貨幣処理装置が計数処理を実行することによって、オペレータは手で計数処理を行う必要がなくなり、オペレータの負担が軽減される。また、装置が実行する計数処理は、高い精度が確保される。これらのことは、リジェクト貨幣と正常貨幣との双方を出金部に払い出すことによって、計数処理の対象となる貨幣の数が多いときに、特に有利である。
【0014】
また、出金処理を行った貨幣処理装置と同じ装置でかつ、計数処理を、出金処理に連続して行うことにより、オペレータの作業が簡略化し、オペレータの負担は、より一層軽減される。また、出金処理と計数処理との双方を同じ装置が行うことは、履歴の管理の上でも有利である。
【0015】
またそうして、出金処理後に計数処理を行うことにより、出金処理後の収納部の在高を確定させることが可能になる。その結果、出金処理時にリジェクト貨幣が発生した際の、貨幣の管理が適切になる。
【0016】
前述したように、出金処理時にリジェクト貨幣が発生したときには、リジェクト貨幣と正常貨幣との双方を出金部に払い出すようにしてもよい。また、リジェクト貨幣を一時的に特定の収納部(例えば一時保留部)に収納する一方で、正常貨幣のみを出金部に払い出すことにより、出金処理を正常に完了してもよい。この場合は、出金処理の完了後に、一時的に収納していたリジェクト貨幣を出金部に払い出して、計数処理へと移行してもよい。
【0017】
ここで、出金処理から計数処理への移行は、貨幣の払い出し後に自動的に行ってもよい。また、オペレータが手動で計数処理に移行してもよい。例えば出金部に払い出された貨幣の数が比較的少ないときには、手で計数してもオペレータの負担が軽くかつ、計数に要する時間も短いため、貨幣処理装置を用いて計数処理を行う必要性に乏しい。そこで、オペレータが計数処理への移行の要否を任意に選択することができるように、計数処理への移行を手動で行うようにしてもよい。
【0018】
また、計数処理への移行のタイミングは、出金処理が完了した後に設定してもよい。また、例えば出金処理時に払い出す貨幣の数が多い一方で、出金部の容量の制限から、貨幣の払い出しを複数回に分けて行う場合には、全ての貨幣の払い出しが完了した後に、計数処理に移行してもよい。これとは異なり、リジェクト貨幣が発生した貨幣の払い出しが終わったタイミングで出金処理を中断し、計数処理に移行してもよい。後者の場合は、計数処理が終了した後に、出金処理を再開すればよい。
【0019】
さらに、計数処理は、貨幣の数を数えると共に、貨幣の金種を識別することによって、金種毎の数を数えるようにすればよいが、例えば貨幣の数を数えるだけにしてもよい。
【0020】
前記制御部は、前記出金処理後の前記計数処理時には、前記出金部に払い出された貨幣の計数を前記識別部によって行った後に、その貨幣を前記出金部に払い出す、としてもよい。
【0021】
貨幣処理装置が、出金部とは別に貨幣を投入する投入口を備えている場合は、出金部に払い出された貨幣を投入口に投入し直して、その投入口から一つずつ繰り出すことにより貨幣の計数を行うようにすればよい。またこれとは異なり、出金部が貨幣を一つずつ繰り出し可能に構成されている場合、言い換えると貨幣の投入口及び出金口が同じであるときには、出金処理において出金部に払い出された貨幣をそのまま放置しておき、計数処理時には、その出金部から貨幣を一つずつ繰り出すことにより貨幣の計数を行うようにすればよい。また、計数処理時に出金部に払い出された貨幣は、別途管理してもよいし、その内の正常貨幣は、収納部に収納するようにしてもよい。
【0022】
また、これとは異なり、前記制御部は、前記出金処理後の前記計数処理時には、前記出金部に払い出された貨幣の計数を前記識別部によって行った後に、その貨幣を前記収納部に収納する、としてもよい。
【0023】
こうすることで、収納部に戻した貨幣を次の出金処理で払い出すことが可能になり、貨幣処理装置における貨幣の利用効率が高まる。但し、計数処理時に、識別部によって正常貨幣であると識別された貨幣のみを収納部に収納し、リジェクト貨幣であると識別された貨幣は出金部に払い出すことが望ましい。
【0024】
このように計数処理時に貨幣を収納部に収納する構成においては、前記貨幣処理装置は、前記計数処理時に発生したリジェクト貨幣に関する情報を記憶する記憶部をさらに備えている、としてもよい。このリジェクト貨幣に関する情報は、例えばオペレータが手動で貨幣処理装置に入力するようにしてもよい。
【0025】
つまり、出金処理時に一旦払い出した貨幣を、計数処理時に収納部に戻す構成において、その計数処理時にリジェクト貨幣であると識別されることによって収納部に収納することができない貨幣が発生したときには、そのリジェクト貨幣に関する情報を記憶部に記憶させる。このことによって、収納部の在高の管理が適正化する。
【0026】
前記制御部は、前記計数処理の計数結果に基づいて、前記出金処理後の前記収納部の在高を確定する、としてもよい。
【0027】
つまり、計数処理の計数結果を、出金処理時に払い出された貨幣の数を確定するためにオペレータが利用するだけでなく、貨幣処理装置が記憶する収納部の在高情報を確定させるために利用してもよい。
【0028】
前記制御部は、前記出金処理後の前記計数処理と共に、前記収納部の在高を確定させる精査処理を行いかつ、前記計数処理の計数結果と、前記精査処理の精査結果と、前記出金処理前の前記収納部の在高との照合を行う、としてもよい。
【0029】
こうすることによって、出金処理時にリジェクト貨幣が発生した後の、収納部の在高を、より一層、精度よく確定することが可能になる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、前記の貨幣処理装置は、出金処理の際にリジェクト貨幣が発生したときの貨幣の管理を、オペレータの負担を軽減しつつも適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】紙幣入出金機の外観を示す斜視図である。
【図2】紙幣入出金機の内部構造を示す図である。
【図3】紙幣入出金機の動作制御に係る構成を示すブロック図である。
【図4】入金処理時における紙幣の搬送経路を示す図である。
【図5】一時保留部を利用する場合の、入金処理時における紙幣の搬送経路を示す図である。
【図6】出金処理時における紙幣の搬送経路を示す図である。
【図7】収納モジュールへの紙幣の収納状態の一例と、その収納状態を利用した一部精査処理を説明する図である。
【図8】紙幣の記番号管理を伴う、収納モジュールへの紙幣の収納形態の例を説明する図である。
【図9】テープの番地管理を伴う、収納モジュールへの紙幣の収納形態の例を説明する図である。
【図10】紙幣入出金機の出金処理に係るフローチャートである。
【図11】計数処理時における紙幣の搬送経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、紙幣入出金機の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は例示である。図1は、紙幣入出金機(以下、単に入出金機という)1の外観を示している。この入出金機1は、例えば銀行のテラーカウンターに設置されかつ、この入出金機1を挟んだ左右二人のテラーによって共用で使用される。このため、この入出金機1は、基本的には左右対称に構成されている。
【0033】
この入出金機1は、詳しくは後述するが、投入口211に投入された紙幣を収納部3に収納する入金処理、及び、収納部3に収納している紙幣を出金口231に払い出す出金処理を少なくとも実行する。この入出金機1は、いわゆる循環式の入出金機であり、出金処理時に払い出す紙幣には、入金処理時に収納部3に収納した紙幣が含まれる。
【0034】
入出金機1は、図1及び2に示すように、上側の処理部11と、下側の金庫部13とに大別される。処理部11を構成する筐体111内には、投入口211を有する入金部21と、出金口231を有する出金部23と、紙幣の識別を行う識別部25と、入金部21、出金部23及び識別部25を相互に連結するループ搬送路411を含む処理部側搬送部41と、が配設されている。一方、金庫部13を構成する筐体131内には、複数の(図例では8個の)巻き取り方式の収納モジュール31を含んで構成された収納部3と、処理部側搬送部41のループ搬送路411と各収納モジュール31とを互いに接続する搬送路431を含む金庫部側搬送部43と、が配設されている。ここで、金庫部13を構成する筐体131は、処理部11を構成する筐体111とは異なり、その内部に格納している収納部3等を、所定以上のセキュリティレベルで防護するように構成された防護筐体131である。
【0035】
入金部21の投入口211は、前述したように、例えば入金処理の際に入金する紙幣を投入するための口である。投入口211は、処理部側筐体111の上面において上向きに開口していて、複数枚の紙幣を一度に受け入れ可能に構成されている。入金部21はまた、投入口211に投入された複数枚の紙幣を、一枚ずつ、ループ搬送路411に繰り出す繰り出し機構を備えている。
【0036】
出金部23の出金口231は、前述したように、例えば出金処理の際に紙幣を払い出すための口である。出金口231は、投入口211よりも装置手前側(図2の紙面右側)の、処理部側筐体111における上面から前面にかけての位置でかつ、斜め上方に向かって開口している。この出金口231も、投入口211と同様に、複数枚の紙幣を一度に保持可能に構成されている。
【0037】
識別部25は、ループ搬送路411上に配設されて、そのループ搬送路411に沿って搬送される紙幣の一枚一枚について、その真偽、金種及び正損を識別するように構成されている。
【0038】
処理部側搬送部41は、処理部側筐体111内においてエンドレスに設けられたループ搬送路411を備えている。紙幣は、このループ搬送路411に沿って図2における時計回り方向及び反時計回り方向に搬送される。このループ搬送路411は、図2に例示するように、多数のローラ、複数のベルト及び複数のガイドの組み合わせによって構成されている。ループ搬送路411は、その搬送路に沿って、紙幣と紙幣との間に所定間隔を隔てた状態で、紙幣を一枚ずつ短手搬送する。
【0039】
ループ搬送路411と投入口211との間は、投入路413によって互いに接続されており、投入口211に投入された紙幣は、この投入路413を通ってループ搬送路411まで搬送される。
【0040】
ループ搬送路411にはまた、払出路415が、紙幣の搬送方向を切り替える分岐機構417を介して接続されている。払出路415の先端は、出金口231に接続されている。分岐機構417は、ループ搬送路411を時計回り方向及び反時計回り方向に搬送されている紙幣を、そのままループ搬送路411上で搬送させるか、払出路415に引き込むかを切り替えるように動作する。この構成によって、ループ搬送路411上を時計回り方向又は反時計回りに搬送されている紙幣は、分岐機構417の動作制御によって選択的に、払出路415を通って出金口231に搬送される。
【0041】
ループ搬送路411上にはまた、第1−第3の分岐機構419,4111,4113が設けられている。第1−第3の分岐機構419−4113はそれぞれ、互いに異なる3方向に延びる搬送路の集合位置において、所定方向から搬送されてくる紙幣を、それとは別の2方向それぞれに選択的に搬送させるように動作する。分岐機構の具体的な構成は、国際公開第2009/034758号に例示されている。
【0042】
より具体的に、第1の分岐機構419は、ループ搬送路411と金庫部側搬送部43の搬送路431との接続位置に設けられている。第1の分岐機構419は、ループ搬送路411上を時計回り方向又は反時計回りに搬送されている紙幣を、選択的に、金庫部側搬送部43の搬送路431に送って、収納部3に収納させるか、又は、収納部3から繰り出されかつ、金庫部側搬送部43の搬送路431に沿って搬送されてきた紙幣を、ループ搬送路411上で時計回り方向に搬送させるか、若しくは、反時計回り方向に搬送させるかの切り替えを行う。
【0043】
また、第2の分岐機構4111は、ループ搬送路411と接続路4115との接続位置に設けられている。接続路4115は、詳しくは後述するが、図2においては仮想的に示す一時保留部51と、ループ搬送路411とを互いに連結する。第2の分岐機構4111は、ループ搬送路411上を時計回り方向又は反時計回りに搬送されている紙幣を、接続路4115に送って一時保留部51に収納させるか、又は、一時保留部51から繰り出した紙幣を、ループ搬送路411上で時計回り方向に搬送させるか、若しくは、反時計回り方向に搬送させるかの切り替えを行う。
【0044】
さらに、第3の分岐機構4113は、ループ搬送路411とカセット接続路4117との接続位置に設けられている。カセット接続路4117は、詳しくは後述するが、図2において仮想的に示す回収カセット53と、ループ搬送路411とを互いに連結する。第3の分岐機構4113は、ループ搬送路411上を時計回り方向又は反時計回りに搬送されている紙幣を、選択的にカセット接続路4117に送り、それを回収カセット53に収納するように動作する。
【0045】
収納部3は、前述したように、図例では第1−第8の巻き取り方式(言い換えると、テープ式)の収納モジュール31−1−31−8を含んで構成されている。ここで、以下の説明において、各々の収納モジュールを総称する場合には、符号「31」を付し、第1、第2、第3…の、各々の収納モジュールを区別する場合には、符号「31−1、31−2、31−3…」を付す。尚、収納モジュール31の数は特に限定されず、1個以上で、適宜の数を設定すればよい。8個の収納モジュール31は、この例では、装置の奥行き方向(図2の紙面左右方向)に4個並んで1列を構成すると共に、その列が上下方向に2列を構成するように積み重ねられている。
【0046】
この巻き取り方式の収納モジュール31は、特開2000−123219号公報に例示されるように、概略矩形箱状の筐体内に、紙幣をガイドする一枚のテープ、ガイド部材、及び、紙幣と共にテープを巻き取るリールを備えて構成されるか、又は、本件出願人が先に出願したPCT/JP2009/066729に例示されるように、筐体内に、紙幣を挟む2枚のテープ、及び、紙幣を挟み込んだ2枚のテープを巻き取るリールを備えて構成される。いずれの構成においても、巻き取り方式の収納モジュール31は、紙幣を一枚ずつ巻き取って収納すると共に、その収納した順番とは逆順で、紙幣を一枚ずつ繰り出す、いわゆる先入れ後出しとなるように紙幣を収納する。各収納モジュール31は、この例では図2に示すように、それぞれテープが巻き付けられたテープリール313を2つ備え、テープリール313から引き出された2枚のテープによって紙幣を挟むように構成されており、紙幣は、互いに所定間隔を隔てながらリール311に巻き取られる。各収納モジュール31にはまた、筐体の内外を連通するように形成された出入口の近傍に、紙幣の通過を検知する検知センサが設けられている。
【0047】
金庫部側搬送部43の搬送路431は、処理部側搬送部41のループ搬送路411と同様に、ローラ、ベルト及びガイドの組み合わせによって構成されており、この搬送路431もまた、紙幣を一枚ずつ短手搬送する。搬送路431は、ループ搬送路411上の第1の分岐機構419から、鉛直下向きに延びると共に、その下端部において、奥行き方向の手前側(図2の紙面右側)及び奥側(図2の紙面左側)のそれぞれに分岐している。装置1の奥側に向かって延びる分岐路は、上下に積み重ねられた2列の収納モジュール31の間に配設されている。各収納モジュール31は、この分岐路上に設けられた振分機構433−1−433−8を介して分岐路に接続されている。各振分機構433−1−433−8は、後述する制御部513によって駆動制御され、そのことにより、紙幣が、識別部25によって識別された金種及び/又は正損等に応じて複数の収納モジュール31に振り分けられて収納されることになる。
【0048】
この入出金機1では、紙幣を一時的に保留する一時保留部51、及び、金庫部13の防護筐体131内に着脱可能に取り付けられる回収カセット53が、オプションで装着されるように構成されている。
【0049】
一時保留部51は、図2に一点鎖線で示すように、処理部側筐体111内における、奥行き方向の手前側に設けられた空きスペース内に装着される。一時保留部51は、前述したように、接続路4115を介して、第2の分岐機構4111に接続される。一時保留部51は、この例では、前述した収納モジュール31と同様に、2枚のテープを利用した巻き取り方式であり、紙幣の順番を入れ替えることなく、先入れ後出しとなるように紙幣を収納する。
【0050】
回収カセット53は、図2に一点鎖線で示すように、防護筐体131内における、奥行き方向の手前側に設けられた空きスペース内に、着脱可能に装着される。回収カセット53は、前述したように、カセット接続路4117を介して、ループ搬送路411上の第3の分岐機構4113に接続されている。回収カセット53は、巻き取り式の収納モジュール31や一時保留部51とは異なり、その内部に昇降する集積台を備えかつ、この集積台上に紙幣を重ねて収納するように構成されている。これにより、回収カセット53に収納された紙幣は、そこから繰り出すことはできない。回収カセット53には、例えば入金処理時に投入口211に投入された紙幣の内、収納部3に収納しきれなかったオーバーフロー紙幣が収納される。また、出金処理時等に識別不可であったリジェクト紙幣が、この回収カセット53に収納される場合がある。従って、回収カセット53が未装着のときには、オーバーフロー紙幣やリジェクト紙幣は、出金口231に払い出される。
【0051】
尚、図示は省略するが、防護筐体131内の空きスペースには、回収カセット53が配設される代わりに、巻き取り式の収納モジュール31が、さらに追加して装着される場合がある。追加の収納モジュール31は、例えば2個のモジュールが上下に積み重ねられて配設される場合があり、これら2個の収納モジュール31はそれぞれ、搬送路431の下端から奥行き方向の手前側に延びる分岐路に対し、前述した振分機構を介して接続される。
【0052】
図3は、入出金機1の動作制御に係る構成を示している。入出金機1は、例えば周知のマイクロコンピュータをベースとした制御部513を備えている。制御部513には、前述した入金部21、出金部23、第1−第nの収納モジュール31を含む収納部3、処理部側搬送部41、及び金庫部側搬送部43が、信号の送受信可能に接続されている。これらの各部21,23,3,41,43は、図示は省略するが、例えば搬送路を搬送されている紙幣を検知するといった機能を有する各種のセンサを含んでおり、各種センサの検知信号は制御部513に入力される。制御部513は、入力された検知信号等に基づいて制御信号を出力し、各部21,23,3,41,43は、その制御信号に従って動作をする。
【0053】
制御部513にはまた、識別部25が接続されており、識別部25は、識別結果を制御部513に提供する。さらに、図1等では図示を省略するが、テラー等の、この入出金機1を操作するオペレータに対するヒューマンインターフェース部分としての操作部55、入出金機1が、例えばLANやシリアルバスを通じて、図示を省略する上位端末及びその他の機器との間で信号の送受信を行うための通信部57、及び、各種の情報を記憶するための、例えばハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の汎用のストレージデバイスにより構成される記憶部59がそれぞれ、入出金機1に接続されている。
【0054】
記憶部59は、入出金機1が収納している紙幣の金種別枚数又は金額である在高を少なくとも記憶する。また、記憶部59は、収納モジュール31毎の在高も記憶する。
【0055】
前述したように、オプション機器である一時保留部51や回収カセット53が、この入出金機1に装着されるときには、それらの機器51,53もまた、制御部513に接続されることにより、制御部513が出力する制御信号に従って動作をする。また、入出金機1には、各種の情報を表示するための、例えばフラットパネルディスプレイからなる表示部511がオプション機器として装着可能に構成されており、この表示部511もまた、制御部513に接続される。
【0056】
制御部513は、通信部57を通じて受けた上位端末からの指令、及び/又は、操作部55を通じて受けた各種の指令に応じて、各部21,23,25,3,41,43,51,53,55,57,59,511の動作を制御する。このことにより、入出金機1は、以下に説明する入金処理及び出金処理を含む、各種処理を行う。入出金機1において実行した各種の処理の履歴は、記憶部59にログとして記憶される。
【0057】
(入金処理)
入金処理は、入出金機1に紙幣を入金(収納)する処理であり、投入口211に投入された紙幣は、識別部25による識別結果と、予め設定された収納割当とに従って、いずれかの収納モジュール31に収納される。より詳細に、入出金機1は、入金処理の際には、次のように動作する。すなわち、入金する紙幣を投入口211に投入した状態で、例えば上位端末及び/又は操作部55の操作によって入金処理の開始コマンドを、入出金機1に入力する。図4に矢印で示すように、入金部21の繰り出し機構は、投入口211の紙幣を一枚ずつ繰り出し、処理部側搬送部41は、各紙幣を識別部25に搬送する。識別部25は、その紙幣の識別を行うと共に、計数を行う。処理部側搬送部41はまた、識別部25によって正常に識別された紙幣(この紙幣を、リジェクト紙幣の対の名称として正常紙幣と呼ぶ)を、図4に実線の矢印で示すように、ループ搬送路411から、第1の分岐機構419を通って金庫部側搬送部43の搬送路431へと搬送する。金庫部側搬送部43は、識別部25による識別結果、及び、予め設定された収納割当に従って、各紙幣を所定の収納モジュール31に収納する。すなわち、各紙幣は、金種別や正損別に応じて、いずれかの収納モジュール31に収納される。
【0058】
一方、処理部側搬送部41は、識別部25において真偽の識別ができない紙幣等、入出金機1がそのまま受け入れることができないリジェクト紙幣を、図4に一点鎖線の矢印で示すように、ループ搬送路411から分岐機構417を通って払出路415へと搬送する。そうして、リジェクト紙幣は、出金口231に払い出される。尚、入金処理時に発生したリジェクト紙幣は、投入口211に再度投入され、識別部25による識別が、もう一度行われることになる。
【0059】
また、入金処理時に、収納モジュール31が満杯になることに起因して収納できなくなった紙幣(つまり、オーバーフロー紙幣)も、出金口231に払い出される。尚、図示は省略するが、入出金機1に回収カセット53が装着されているときには、オーバーフロー紙幣は、回収カセット53に収納される。
【0060】
入金処理の終了後には、記憶部59に記憶している在高を更新する。
【0061】
(一時保留部がある場合の入金処理の例)
図4は、入出金機1に一時保留部51が装着されていない場合の入金処理の動作例を示している。これに対し、図5は、一時保留部51が入出金機1に装着されている場合の入金処理の動作例を示している。この動作例においても、入金部21の繰り出し機構は、図4と同様に、投入口211に投入された紙幣を一枚ずつ繰り出し、処理部側搬送部41は、各紙幣を識別部25に搬送する。処理部側搬送部41は、識別部25によって正常に識別された正常紙幣を、図5に実線の矢印で示すように、ループ搬送路411から、第2の分岐機構4111を通って一時保留部51に搬送し、そこに収納する。尚、リジェクト紙幣は、出金口231に払い出される。
【0062】
そうして、投入口211に投入された紙幣が全て繰り出されることによって、入金される紙幣の計数が全て完了したときには、上位端末、及び/又は、オプションの表示部511に計数結果が表示される。オペレータは、その計数結果を確認した上で、上位端末及び/又は操作部55において所定の収納操作を行う。このことによって、図5に破線の矢印で示すように、一時保留部51は、そこに収納している紙幣を一枚ずつ繰り出し、処理部側搬送部41は、各紙幣を、ループ搬送路411から第1の分岐機構419を通って、金庫部側の搬送路431へと搬送する。そうして、金庫部側搬送部43は、識別部25による識別結果、及び、予め設定された収納割当に従って、各紙幣を、金種別や正損別に応じて収納モジュール31に収納する。尚、オペレータが、収納操作ではなく、所定のキャンセル操作を行ったときには、一時保留部51に収納されている紙幣は、出金口231に払い出される。
【0063】
(出金処理)
出金処理は、入出金機1に収納されている紙幣を払い出す処理である。具体的には、上位端末及び/又は操作部55において、少なくとも金種と枚数とを指定する所定の出金操作を行うことによって、出金処理は開始する。収納部3は、図6に実線の矢印で示すように、指定された金種の紙幣を、それが収納されている収納モジュール31から、指定された枚数だけ繰り出す。金庫部側搬送部43は、繰り出された紙幣を、搬送路431を介して、処理部側搬送部41のループ搬送路411へと搬送する。処理部側搬送部41は、各紙幣を識別部25に搬送し、識別部25が識別を行った後に、ループ搬送路411から分岐機構417を通って払出路415へと搬送する。そうして、出金口231に各紙幣が払い出される。出金処理の終了後には、記憶部59に記憶している在高を更新する。
【0064】
出金される紙幣の枚数が出金口231の容量よりも多いときには、出金する紙幣を、複数回に分けて払い出す分割出金処理を行う。すなわち、分割出金処理では、出金口231の容量以下の枚数の紙幣を出金口231に払い出した時点で処理が中断し、出金口231から紙幣が取り除かれた後、出金処理が再開する。こうした処理の中断と再開とが、出金される紙幣の枚数に応じて繰り返される。
【0065】
ここで、図6に示すように、一時保留部51や回収カセット53が装着されていない入出金機1においては、出金処理時に、識別部25による識別が不可であったリジェクト紙幣が発生したときに、そのリジェクト紙幣は、正常紙幣と共に、出金口231に払い出すことになる。このように出金処理時にリジェクト紙幣が発生したときには、入出金機1及び/又は表示部511に、その旨(エラーメッセージ)が表示され、それによって、オペレータは、出金口231に払い出された紙幣に、リジェクト紙幣が含まれていることを認識することができる。
【0066】
(精査処理)
前述した入金処理時に、識別部25において識別及び計数をした後、各収納モジュール31に紙幣を収納するまでの搬送中に、搬送異常が発生する場合がある。搬送異常としては、搬送路411,431に沿って紙幣を搬送している際に紙幣が斜めに搬送される場合(斜行)、複数の紙幣が所定の間隔を隔てないで搬送される場合(連鎖)、及び、複数の紙幣が重なって搬送される場合(重送)を例示することができる。こうした搬送異常は、例えば識別部25の識別結果と各収納モジュール31に取り付けられた紙幣の検知センサの検知結果とを照合することによって検出することが可能である。
【0067】
入金処理時に、前述した連鎖や重送が発生したときには、搬送されている紙幣の順番がずれてしまって、紙幣が所望の収納モジュール31に収納されなくなってしまう場合がある。その場合は、各収納モジュール31に収納されている紙幣の金種や枚数が不確定になってしまう。そのため、入金処理時に搬送異常が発生したときには、各収納モジュール31に収納されている紙幣の金種と枚数とを確定させる処理が必要になる。この処理は、精査処理と呼ばれ、精査処理は、具体的には、第1の収納部である各収納モジュール31に収納されている紙幣を全て、一旦、繰り出して、識別部25によって識別及び計数をし、その後、その紙幣を再び、収納モジュール31に戻すことを行う。尚、収納モジュール31から繰り出した紙幣は、識別の前又は後に、第2の収納部である収納モジュール31に、一旦、収納される。一時保留部51を備えた入出金機1では、第2の収納部として、一時保留部51を用いるのがよい。
【0068】
ここで、入金処理時に搬送異常が発生したことは、前述したように、識別部25の識別結果と各収納モジュール31の検知センサの検知結果との照合によって検出することになるため、その検出タイミングは、全ての紙幣が収納モジュール31に収納された後になる。また、精査処理は、入金処理の際に、紙幣が一枚でも収納された収納モジュール31の全てに対して行う必要があると共に、該当する収納モジュール31に収納されている紙幣を全て繰り出さなければならない。そのため、精査処理に要する時間は長くなりやすい。また、収納モジュール31に収納されている紙幣の枚数が多いほど、精査に要する時間も長くなる。
【0069】
また、前述した出金処理時に、連鎖や重送といった搬送異常やリジェクト紙幣が生じたときにも、収納モジュール31から繰り出した紙幣の枚数が不確定になるため、その出金処理後の収納モジュール31の在高(つまり、収納モジュール31の収納枚数)が未確定になる。そのため、紙幣を一枚でも繰り出した収納モジュール31の全てに対して、精査処理を行うことによって、各収納モジュール31の在高を確定させる必要がある。
【0070】
しかしながら、入金処理後及び出金処理後の如何にかかわらず、精査処理の最中は入出金機1を使用することができないため、窓口業務に遅れが生じてしまうという不都合がある。
【0071】
そこで、この入出金機1では、精査処理に要する時間を短縮させるために、各収納モジュール31への紙幣の収納を工夫している。この工夫によって、精査処理時に収納モジュール31に収納されている紙幣の全てを繰り出すのではなく、少なくとも一部の紙幣を繰り出すことだけで、収納モジュール31についての精査処理が可能になり、精査処理に要する時間が短くなる。尚、以下において、収納モジュール31に収納されている一部の紙幣のみを繰り出して行う精査処理を、一部精査処理と呼ぶ場合がある。
【0072】
(収納モジュールへの紙幣の収納例)
図7は、収納モジュール31への紙幣の収納形態の一例を示している。同図における紙面左右方向の中央には、巻き取り式の収納モジュール31のリール311に巻き取られた紙幣の状態を、平面に展開して示している。図7の紙面上側は、リール311の径方向内方側に相当し、紙面下側は、リール311の径方向内方側に相当する。従って、図7の紙面上側の紙幣は、収納モジュール31に先に収納された紙幣であり、紙面下側の紙幣は、収納モジュール31に後から収納された紙幣であり、収納モジュール31から紙幣を繰り出すときには、紙面下側の紙幣から順に、繰り出されることになる。
【0073】
前述したように、入金処理時には、紙幣は、互いに所定間隔dを隔てながらリール311に巻き取られる。そして、図7に示す収納例では、入金処理毎(言い換えると、1取引毎に)、所定間隔dよりも広い区切りを設ける。
【0074】
また、記憶部59には、図6の左図に例示するように、収納モジュール31毎に、通し番号と、金種と、ブロック番号とを互いに紐付けした収納情報を記憶しておく。通し番号は、当該収納モジュール31に収納されている紙幣についての通し番号であり、この通し番号によって、当該収納モジュール31に収納されている紙幣の枚数を特定することが可能である。また、ここでいう「ブロック番号」は、収納モジュール31内での、区切りと区切りとの間の紙幣のまとまりを意味し、これは「取引番号」と置き換えることが可能である。従って、通し番号とブロック番号とを紐づけすることによって、通し番号、言い換えると収納モジュール31の在高情報と、ブロック番号、言い換えると区切りとが対応づけられることになる。図例では、一点鎖線の矢印で示すように、リール311に巻き取られた紙幣と収納情報とが対応づけられているとする。記憶部59に記憶されている、この収納情報は、入金処理を行う毎に更新される。
【0075】
このような状態で、入金処理時に搬送異常が発生した場合を考える。この搬送異常が発生した入金処理を、ここでは、図6に示すように「取引3」とする。また、この例では、取引3よりも以前に行われた入金処理として「取引1」及び「取引2」があり、これら取引1及び取引2では、搬送異常が発生せず、取引1の完了時点、及び、取引2の完了時点の収納モジュール31の在高は、記憶部59に記憶されている収納情報によって確定しているとする。
【0076】
取引3の最中に搬送異常が発生したため、その取引3の終了後には、該当する収納モジュール31に対する精査処理が必要になる。このときに収納モジュール31から繰り出す紙幣は、リール311に巻き取られた紙幣の内の、最初の区切りまでの紙幣とする。つまり、取引3において収納モジュール31に収納した紙幣のみを、収納モジュール31から繰り出して精査処理を実行する。少なくとも取引2の完了時点の収納モジュール31の在高は確定していることから、取引2までの在高情報と今回の精査結果とに基づいて、当該収納モジュール31の在高を確定させることが可能である。このように、紙幣の収納に際し、収納モジュール31の在高情報に対応づけられた目印(つまり、この例では区切りに相当する。)を設けることによって、収納モジュール31に収納されている紙幣を全て繰り出さなくても、一部の紙幣のみを繰り出すことによって精査処理を行うことが可能になる。これは、精査処理に要する時間を短縮する。ここで、紙幣の繰り出しは、前述の通り、取引3だけに限定すればよいが、例えば搬送異常が発生した入金処理(この例では、取引3)と、その一つ前の入金処理(この例では、取引2)とを含めるようにしてもよい。尚、紙幣の繰り出しは任意に設定することが可能である。
【0077】
ここで、区切りの検知は、例えば図7の右図に示すように、収納モジュール31の出入口近傍に配置された検知センサの信号に基づいて検知すればよい。つまり、紙幣を繰り出している最中に、紙幣同士の通常の間隔dよりも広い間隔を検出したときには、区切りに到達したと検知することが可能であり、そのタイミングで、収納モジュール31からの紙幣の繰り出しを停止すればよい。尚、区切りの間隔は、搬送中の紙幣の詰まりを検出するためのジャムタイマの計時時間T1に相当する間隔よりも短く設定することが望ましい。こうすることによって、紙幣の詰まりの誤検出が回避される。
【0078】
一方、出金処理時に精査処理が必要な状況になったときには、その精査処理時には、収納モジュール31から、紙幣を任意の区切りまで繰り出せばよい。例えば最初の区切りまで紙幣を繰り出すことにすれば、繰り出し枚数を最も少なくすることができ、精査処理の時間の短縮に有利になる。そうして、前述した入金処理後の精査処理と同様に、出金処理後においても、一部精査処理が可能になる。
【0079】
ここで、取引毎に区切りを設けていたのでは、区切りの数が多くなりすぎて、収納モジュール31の収納容量が少なくなる可能性がある。そこで、取引と取引との間に区切りを設ける代わりに、収納モジュール31に収納した枚数が所定の枚数を超える毎に、区切りを設けるようにしてもよい。こうすることで、取引毎に区切りを設ける場合と比較して区切りの数が減るため、区切りが多くなることに起因して収納モジュール31の収納容量が少なくなることが回避される。一方で、前述の通り、精査処理の際に、収納モジュール31に収納されている紙幣の全てを繰り出す必要がないため、精査処理に要する時間が短縮する。このことは特に、収納容量の確保と精査時間の短縮とを、バランスよく両立させる上で有利である。
【0080】
一部精査処理は、収納モジュール31内に、その在高情報と関連づけた目印を設けていることによって可能になるから、前述した、紙幣同士の区切り以外の目印を利用することも可能である。以下、区切り以外の目印の例として、紙幣の記番号を利用する例と、収納モジュール31において紙幣を巻き取るためのテープの位置(テープの番地)を利用する例とについて説明する。すなわち、一部精査処理の目印としては、紙幣同士の区切りやテープの位置等、形態や物理量といった物理的な目印や、記番号等、データとして記憶される論理的な目印を用いることができる。これらの目印は、それぞれ単独で用いてもよいが、複数の目印を同時に用いることによって、目印の信頼性を高めることができる。
【0081】
(記番号を利用した紙幣の収納例)
図8は、記番号を利用する例における収納モジュール31への紙幣の収納形態の一例を示している。この例では、紙幣同士の区切りは不要であるため、同図に示すように、紙幣は、所定間隔dを隔ててリール311に巻き取られている。
【0082】
記番号を利用する場合は、収納モジュール31に紙幣を収納する際に、紙幣の記番号を読み取り、それを記憶しておく必要がある。記番号の読み取りは、例えば識別部25が行うようにしてもよい。その場合、識別部25は、紙幣の真偽、金種及び正損の識別の他に、紙幣に印字されている記番号を光学的に読み取る機能を有するように構成すればよい。尚、記番号の読み取りは識別部25ではなく、識別部25とは別の読取部を、例えばループ搬送路411上に配置してもよい。そうして読み取った記番号の情報は、図8の左図に例示するように、収納モジュール31毎に、通し番号と金種とに紐付けした収納情報として、記憶部59に記憶しておく。こうして、在高情報(つまり、通し番号)と目印(つまり、記番号)とが対応づけられる。図例では、一点鎖線の矢印で示すように、リール311に巻き取られた紙幣と、収納情報とが対応づけられているとする。記憶部59に記憶されている収納情報が入金処理を行う毎に更新される点は、前記と同様である。
【0083】
この構成では、例えば入金処理時に搬送異常が発生することによって、精査処理が必要な状況になれば、[当該入金処理において収納モジュール31に収納した枚数の紙幣]+[少なくとも一枚の紙幣]を収納モジュール31から繰り出す。そうして、繰り出した紙幣の識別及び計数を行うと共に、少なくとも最後に繰り出した紙幣については、その記番号を読み取る。読み取った記番号は、記憶部59に記憶している収納情報の記番号と照合する。読み取った記番号が収納情報に含まれているときには、その紙幣よりも前に収納している紙幣の金種及び枚数は、記憶部59に記憶されている収納情報によって確定している。そこで、収納モジュール31からの紙幣の繰り出しを終了して、精査処理を終了する。読み取った記番号が収納情報に含まれていないときには、収納情報に含まれている記番号の紙幣が繰り出されるまで、収納モジュール31からの紙幣の繰り出しを継続する。
【0084】
一方、出金処理時に精査処理が必要な状況になったときには、その精査処理時には、収納情報に含まれている記番号の紙幣が繰り出されるまで、収納モジュール31から紙幣を繰り出す。
【0085】
この例では、紙幣の記番号を目印として利用し、収納モジュール31に収納されている紙幣の少なくとも一部を繰り出すことだけで精査処理を可能にしているため、前述した区切りを利用する例と同様に、精査処理に要する時間を短縮することが可能である。また、この例では、リール311に巻き取る紙幣と紙幣との間に、相対的に広い間隔の区切りを設けないため、収納モジュール31の収納容量が減らないという利点がある。
【0086】
尚、紙幣の記番号の読み取り及び記憶を、全ての紙幣について行うのではなく、例えば所定枚数毎に記番号の読み取り及び記憶を行ってもよいし、各取引における最後の紙幣について、記番号の読み取り及び記憶を行ってもよい。また、それらを組み合わせてもよい。これらは、記憶部59の記憶容量の節約に有利である。尚、記番号の照合に際して、記番号の全ての一致を条件としてもよいし、少なくとも一部の一致を条件としてもよい。これは精査処理に要する時間の短縮に有利になる。また、少なくとも一部の一致が、複数枚の紙幣について成立することを条件としてもよい。
【0087】
(テープの番地を利用した紙幣の収納例)
図9は、テープの番地を利用する例を示している。前述したように、巻き取り式の収納モジュール31は、この例では、2枚のテープで紙幣を挟み込みながら、そのテープをリール311に巻き付けることによって紙幣を巻き取る。このため、図9に示すように、テープ315の長さ方向の位置と、リール311に巻き取られた各紙幣とが1対1に対応づけられる。そこで、この例では、テープ315の長さ方向の位置を、「テープの番地」と呼び、これを目印として利用する。テープ315の長さ方向の位置(つまり、テープの番地)は、収納モジュール31内に取り付けられかつ、テープ315の繰り出し及び巻き戻しの状態を検知するエンコーダの出力(パルス数)から取得することが可能である。例えば入出金機1の立ち上げ時(設置初期時)に、テープ315の繰り出し及び巻き戻しを行うことによってエンコーダの出力とテープの番地とを対応づけるキャリブレーションを行えばよい。
【0088】
この例では、入金処理時に、収納モジュール31に収納される紙幣が所定の枚数となる毎に、その紙幣の巻き取り位置に対応するテープの番地が、エンコーダの出力によって特定される。そして、テープの番地情報が、通し番号と金種とに紐付けされた収納情報とし、記憶部59に記憶される。これによって、在高情報(つまり、通し番号)と目印(つまり、テープの番地)とが対応づけられる。尚、所定の枚数毎にではなく、紙幣の一枚一枚について、テープ315の番地を記憶するようにしてもよい。また、取引を基準に、例えば取引の最初に収納された紙幣についてのテープ番地や、取引の最後に収納された紙幣についてのテープ番地を記憶するようにしてもよい。さらに、紙幣の枚数と取引とを組み合わせてもよい。図例では、一点鎖線の矢印で示すように、リール311に巻き取られた紙幣と、収納情報とが対応づけられているとする。記憶部59に記憶されている収納情報が入金処理を行う毎に更新される点は、前記と同様である。
【0089】
この構成では、例えば入金処理時に搬送異常が発生することによって、精査処理が必要な状況になれば、当該入金処理よりも以前に収納モジュール31に収納した紙幣であって、テープ315の番地が記憶されている紙幣まで、収納モジュール31から紙幣を繰り出して、精査処理を行う。つまり、テープ315の番地が記憶されている紙幣よりも前に収納している紙幣の金種及び枚数は、記憶部59が記憶している収納情報によって確定しているためである。
【0090】
一方、出金処理時に精査処理が必要な状況になったときも同様に、その精査処理時には、収納モジュール31から、テープ315の番地が記憶されている紙幣まで繰り出す。
【0091】
この例では、テープの番地を目印として利用し、収納モジュール31に収納されている紙幣の少なくとも一部を繰り出すことだけで精査処理を可能にしているため、前述した区切りを利用する例と同様に、精査処理に要する時間を短縮することが可能である。また、この例でも、リール311に巻き取る紙幣と紙幣との間に、相対的に広い間隔の区切りを設けないため、収納モジュール31の収納容量が減らないという利点がある。尚、紙幣とテープの番地とを対応付けることと同様に、紙幣と紙幣との間隔の部分とテープの番地とを対応付けても、同様の精査処理が可能である。
【0092】
(出金処理から計数処理への移行)
前述したように、この入出金機1は、回収カセット53が装着されていないときには、出金処理時に発生したリジェクト紙幣を、正常紙幣と共に、出金口231に払い出すように構成している(図6参照)。このため、リジェクト紙幣が発生したときには、出金口231に払い出された紙幣の特定及びその枚数の確定のために、計数処理が必要である。また、出金口231に払い出された紙幣の計数をしなければ、収納部3の在高が不確定になる場合もある。このように、この入出金機1ではリジェクト紙幣を出金口231に払い出すように構成していることから、出金処理の際にリジェクト紙幣が発生したときには、その後に、計数処理を必ず行わなければならない。計数処理は、オペレータが手で、又は、別の計数装置(例えば、紙幣計数機)を用いて行うことが一般的である。これに対し、この入出金機1では、オペレータの負担軽減を主目的として、出金処理時にリジェクト紙幣が発生したときには、計数処理に移行するように構成されている。
【0093】
図10は、入出金機1の出金処理に係るフローチャートを示している。先ず、スタート後のステップSA1では、オペレータの操作によって、出金処理の実行が指定されたか否かを判定する。出金処理の実行が指定されていないとき(NOのとき)には、ステップSA1を繰り返す。つまり、出金処理の実行が指定されるまで待機する。出金処理の実行が指定されたとき(YESのとき)には、ステップSA2に移行する。ステップSA2では、前述の通りに、出金処理を実行する。
【0094】
続くステップSA3においては、出金処理時にリジェクト紙幣が発生したか否かを判定する。リジェクト紙幣が発生しなかったとき(NOのとき)には、フローはそのまま終了する。一方、リジェクト紙幣が発生したとき(YESのとき)には、ステップSA4に移行する。このとき、記憶部59は、リジェクト紙幣が発生した出金処理のログを、計数処理が必要な出金処理のログとして、出金処理前の在高の情報と共に、記憶する。
【0095】
ステップSA4では、オペレータが計数処理の実行を指定したか否かを判定する。つまり、この入出金機1では、出金処理後の計数処理の実行の要否が、オペレータによって任意に選択することができるように構成されている。例えば引き続き次の出金処理を行って、窓口業務を停滞無く進める必要があるときは、次の出金処理を先に行い、その後に、計数処理を行う方がよい場合がある。そこで、この入出金機1では、出金処理後の計数処理の実行の要否を、オペレータが任意に選択する。このことは、入出金機1の使い勝手を高める。
【0096】
ステップSA4において、計数処理の実行が指定されなかったとき(NOのとき)には、ステップSA6に移行する。ステップSA6では、出金処理が、リジェクト紙幣が発生せずに正常に終了したか否かを判定し、正常に終了したとき(YESのとき)には、フローを終了する。一方、正常に終了しなかったとき(NOのとき)には、出金処理を再度行うべく、ステップSA2に戻る。
【0097】
また、ステップSA4において、計数処理の実行が指定されたとき(YESのとき)には、ステップSA5に移行し、計数処理を実行する。
【0098】
(出金処理後の計数処理)
出金処理後の計数処理は、出金口231に払い出された紙幣を全て(つまり、リジェクト紙幣と正常紙幣との双方を含んでいる)投入口211に投入し、その状態でオペレータが所定の開始操作を行うことによって開始される。図11に示すように、入金部21の繰り出し機構は、投入口211の紙幣を一枚ずつ繰り出し、処理部側搬送部41は、各紙幣を識別部25に搬送する。識別部25は、各紙幣の識別と計数とを行う。処理部側搬送部41はまた、識別部25を通過した後の紙幣を、図11に実線の矢印で示すように、ループ搬送路411から分岐機構417を通って払出路415へと搬送する。そうして、全ての紙幣は、出金口231に、再び払い出される。このようにして行われた計数処理の結果は、上位端末及び/又は表示部511に表示され、このことによりオペレータは、計数結果を認識することが可能になる。
【0099】
出金処理後に、入出金機1が計数処理を行うことによって、オペレータは手で計数処理を行う必要がなくなり、オペレータの負担が軽減される。また、出金処理を行った入出金機1と同じ装置で、しかも、出金処理に連続して計数処理を行うことにより、オペレータの作業は簡略化するため、オペレータの負担は、より一層軽減される。また、入出金機1が出金処理と計数処理との双方を行うことは、履歴の管理、及び、ログの追跡に有利になる。
【0100】
計数処理の計数結果は、前述したように上位端末や表示部511に表示することによって、オペレータが、出金処理時に払い出された紙幣の枚数の確認に利用することが可能である。このことにより、オペレータが、手動で、出金処理後の収納部3の在高を確定させることも可能になる。一方、計数結果を利用して、入出金機1の収納部3の在高を自動で確定させてもよい。すなわち、この計数結果は、計数処理が必要な出金処理において払い出された紙幣の金種別枚数であるから、その出金処理を行う前の在高から、計数結果を減算することによって、出金処理後の在高を確定することが可能である。
【0101】
尚、計数処理時にリジェクト紙幣が発生した場合は、それに関するリジェクト情報(金種及び枚数)を、例えばオペレータが手動で入力し、記憶部59はそれを記憶する。そうして、計数処理の結果と、記憶部59に記憶しているリジェクト情報とに基づいて、入出金機1の在高を確定させればよい。
【0102】
出金処理時にリジェクト紙幣が発生したときには、計数処理の実行と共に、精査処理を実行することによって、計数結果、精査結果及び出金処理前の収納部3の在高を、照合するようにしてもよい。こうした運用は、例えば出金処理から計数処理への移行に際し、出金口231から投入口211に紙幣を入れ替えたときに、紙幣の一部の投入漏れが生じてしまったような場合でも、そのことが明らかになる。つまり、出金処理時にリジェクト紙幣が発生したときの紙幣の管理を、より一層適切に行うことが可能になる。
【0103】
ここで、精査処理としては、収納モジュール31に収納されている紙幣の全てを繰り出して行う、通常の精査処理としてもよいし、前述した一部精査処理としてもよい。
【0104】
尚、出金処理時にリジェクト紙幣が発生したときには、計数処理に移行する前に、出金処理の実行を別途指定して、出金処理を正常に完了させることによって、窓口業務を速やかに完了させるようにしてもよい。計数処理は、正常な出金処理の完了後に、実行すればよい。この場合は、リジェクト紙幣が発生したときに出金口231に払い出された紙幣(リジェクト紙幣及び正常紙幣を含む)は、計数処理を開始するまで、別途、管理しておけばよい。
【0105】
また、オペレータが計数処理を行った場合には、その計数結果を、手動で入力することにより、記憶部59が記憶している、計数処理が必要な出金処理のログと、計数結果とを関連づけることが可能になり、出金処理後の在高が確定する。オペレータが計数処理を行った場合、入出金機1は計数処理を行う必要がないため、手動で計数結果が入力されたときには、計数処理への移行を解除すればよい。尚、計数処理が必要な出金処理のログが、記憶部59に複数、記憶されているときには、オペレータは計数結果を入力する際に、その計数結果を関連づける出金処理のログを、手動で選択すればよい。
【0106】
また、出金処理後の計数処理においては、図11に一点鎖線の矢印で示すように、収納部3に収納可能な正券は収納モジュール31に収納するようにしてもよい。こうした運用は、入出金機1の紙幣の利用効率を高める上で有利になる。
【0107】
尚、前記の構成では、出金処理の終了後に、オペレータが計数処理への移行を手動で行うようにしているが(図10のステップSA4)、出金処理から計数処理への移行を、自動的に行うようにしてもよい。
【0108】
また、分割出金処理を行うときには、全ての紙幣の払い出しが終了した後に、計数処理に移行してもよいし、リジェクト紙幣が発生した回の紙幣の払い出しが終了した時点で出金処理を中断し、計数処理に移行してもよい。この場合は、計数処理の終了後に、出金処理を再開すればよい。
【0109】
また、出金処理後の計数処理(尚、この明細書において「出金処理後」には、前述した出金処理を中断することが含まれる場合がある)としては、紙幣の識別及び計数を行うこと以外にも、紙幣の計数のみを行うようにしてもよい。入出金機1が払い出した紙幣の枚数と、計数結果(紙幣の枚数)とが一致すれば、出金処理の際の出金内容に基づいて、在高を確定することが可能である。
【0110】
また、図5に示すように、入出金機1に一時保留部51が装着されているときには、出金処理の際に発生したリジェクト紙幣を一時保留部51に収納するようにしてもよい。この構成では、正常紙幣のみを出金口231に払い出すことによって、出金処理を正常にかつ早期に終了させ、その後に、一時保留部51に収納したリジェクト紙幣の計数処理を行うようにしてもよい。一時保留部51に収納していたリジェクト紙幣は、出金処理において払い出された紙幣が出金口231から取り除かれた後で、出金口231に払い出し、計数処理の際に、その紙幣を投入口211に投入するようにしてもよい。また、リジェクト紙幣のみついての計数処理の結果に基づいて、収納モジュール31の在高を、手動で又は自動で、更新してもよい。特にリジェクト紙幣が、再度、識別不可と識別されたようなときには、オペレータが手動で、収納モジュール31の在高を更新してもよい。
【0111】
ここに開示する技術が適用される入出金機は、テラーカウンター用の入出金機には限定されない。例えば店舗等において、売上金を入金するための入出金機に、本技術を適用してもよい。
【0112】
また、ここに開示する技術は、紙幣の入金及び出金を行う入出金機ではなく、収容している紙幣の払い出しを行う出金機に適用してもよい。また、紙幣に限定されず、硬貨の入出金機若しくは出金機、又は、紙幣及び硬貨の入出金機若しくは出金機に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0113】
以上説明したように、ここに開示した貨幣処理装置は、貨幣の管理を適切に行い得る点で、紙幣や硬貨の入出金機及び出金機に適用することができる。
【符号の説明】
【0114】
1 入出金機(貨幣処理装置)
23 出金部
25 識別部
3 収納部
31 収納モジュール
513 制御部
59 記憶部
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、貨幣の出金処理と前記貨幣の計数処理とを少なくとも行う貨幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、現金自動取引装置に実装される紙幣入出金機を開示している。この入出金機は、それぞれ紙幣を収納する複数の収納部を備えている。この入出金機は、出金処理において、収納部に収納している紙幣を繰り出すと共に、繰り出した紙幣の識別を識別部によって行い、その識別後に、紙幣を出金口に払い出す。この入出金機はまた、出金処理時に払い出す紙幣を収納する収納部(リサイクル庫)とは別に、出金しない紙幣を収納する収納部(入金庫)を備えている。このようにリサイクル庫と入金庫との2種類の収納部を備えた装置構成は、装置を大型化させる。又は、装置筐体の大きさが同じであれば、入金庫の分だけリサイクル庫の容量は少なくなる。
【0003】
これに対し、特許文献2は、例えば銀行等の金融機関におけるテラーカウンターに設置され、窓口業務を行うテラーが操作する紙幣入出金機を開示している。この入出金機は、リサイクル庫を備えている一方で、入金庫を備えていない。この入出金機は小型であるため、テラーカウンターの設置に有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−9605号公報
【特許文献2】国際公開第2008/047094号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載されている入出金機は、出金処理の際に識別不可のリジェクト紙幣が発生したときには、そのリジェクト紙幣を入金庫に収納する。
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載されている入出金機は入金庫を備えていないため、出金処理の際に発生したリジェクト紙幣は、例えば正常紙幣と共に、出金口に払い出さなければならない。リジェクト紙幣が発生したことは、エラーメッセージによってオペレータに知らされる。また、リジェクト紙幣が発生したことによって、出金処理後に、収納部に収納されている紙幣の在高が不確定になる可能性もある。
【0007】
このため、オペレータは、出金処理の際に、リジェクト紙幣が出金口に払い出されたときには、その出金口に払い出された紙幣について、手で、又は別の計数装置を用いて計数しなければならない。このことは、オペレータの作業を繁雑にする。また、リジェクト紙幣と正常紙幣との双方が出金口に払い出された場合は、紙幣の枚数が多くなるかもしれない。紙幣の枚数が多くなればなるほど、計数処理のためのオペレータの負担は大きくなる。そのため、リジェクト紙幣を出金口に払い出す構成においては、オペレータの負担を軽減しつつも、紙幣の管理を適切に行うことができる構成が望まれる。
【0008】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、出金処理の際にリジェクト貨幣が発生したときの、貨幣の管理を適切に行い得る貨幣処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここに開示する装置は、貨幣の出金処理と前記貨幣の計数処理とを少なくとも行う貨幣処理装置である。この貨幣処理装置は、前記貨幣を収納すると共に、収納している貨幣を繰り出すよう構成された収納部と、前記貨幣が正常貨幣であるかリジェクト貨幣であるかの識別を少なくとも行うよう構成された識別部と、前記貨幣を払い出すよう構成された出金部と、前記出金処理時には、前記収納部から必要数の貨幣を繰り出し、その各貨幣を前記識別部によって識別し、その識別後の貨幣を前記出金部に払い出すよう構成された制御部と、を備える。
【0010】
そして、前記制御部は、前記出金処理時に、前記識別部がリジェクト貨幣を識別したときには、少なくとも当該リジェクト貨幣を前記出金部に払い出すと共に、その後に、前記出金部に払い出された前記貨幣の計数を行うための前記計数処理に移行する。
【0011】
この構成によると、出金処理時には、収納部は、そこに収納されている貨幣を繰り出す。ここでいう貨幣は、紙幣及び硬貨を含む。識別部は、収納部から繰り出された貨幣が正常貨幣であるか、リジェクト貨幣であるかを識別する。識別された貨幣は、出金部に払い出される。
【0012】
例えば重なり合ってしまった紙幣のように、識別部が識別不可と判断したリジェクト貨幣は出金部に払い出される。リジェクト貨幣と正常貨幣との双方を、出金部に払い出してもよい。リジェクト貨幣を出金部に払い出す構成であるため、この貨幣処理装置は、リジェクト貨幣を収納するための特定の収納部(例えば、貨幣処理装置に着脱可能に取り付けられる回収カセット)を備えていない装置であってもよく、これは装置の小型化に有利である。
【0013】
一方で、この貨幣処理装置は、リジェクト貨幣を出金部に払い出す構成であるため、出金処理時にリジェクト貨幣が発生したときには、その出金部に実際に払い出された貨幣の金種や数を確定させるための計数処理が必要となる。そこで、この貨幣処理装置は、出金処理時にリジェクト貨幣が発生したときには、貨幣の払い出し後に、出金部に払い出された貨幣の計数を行うための計数処理に移行する。貨幣処理装置が計数処理を実行することによって、オペレータは手で計数処理を行う必要がなくなり、オペレータの負担が軽減される。また、装置が実行する計数処理は、高い精度が確保される。これらのことは、リジェクト貨幣と正常貨幣との双方を出金部に払い出すことによって、計数処理の対象となる貨幣の数が多いときに、特に有利である。
【0014】
また、出金処理を行った貨幣処理装置と同じ装置でかつ、計数処理を、出金処理に連続して行うことにより、オペレータの作業が簡略化し、オペレータの負担は、より一層軽減される。また、出金処理と計数処理との双方を同じ装置が行うことは、履歴の管理の上でも有利である。
【0015】
またそうして、出金処理後に計数処理を行うことにより、出金処理後の収納部の在高を確定させることが可能になる。その結果、出金処理時にリジェクト貨幣が発生した際の、貨幣の管理が適切になる。
【0016】
前述したように、出金処理時にリジェクト貨幣が発生したときには、リジェクト貨幣と正常貨幣との双方を出金部に払い出すようにしてもよい。また、リジェクト貨幣を一時的に特定の収納部(例えば一時保留部)に収納する一方で、正常貨幣のみを出金部に払い出すことにより、出金処理を正常に完了してもよい。この場合は、出金処理の完了後に、一時的に収納していたリジェクト貨幣を出金部に払い出して、計数処理へと移行してもよい。
【0017】
ここで、出金処理から計数処理への移行は、貨幣の払い出し後に自動的に行ってもよい。また、オペレータが手動で計数処理に移行してもよい。例えば出金部に払い出された貨幣の数が比較的少ないときには、手で計数してもオペレータの負担が軽くかつ、計数に要する時間も短いため、貨幣処理装置を用いて計数処理を行う必要性に乏しい。そこで、オペレータが計数処理への移行の要否を任意に選択することができるように、計数処理への移行を手動で行うようにしてもよい。
【0018】
また、計数処理への移行のタイミングは、出金処理が完了した後に設定してもよい。また、例えば出金処理時に払い出す貨幣の数が多い一方で、出金部の容量の制限から、貨幣の払い出しを複数回に分けて行う場合には、全ての貨幣の払い出しが完了した後に、計数処理に移行してもよい。これとは異なり、リジェクト貨幣が発生した貨幣の払い出しが終わったタイミングで出金処理を中断し、計数処理に移行してもよい。後者の場合は、計数処理が終了した後に、出金処理を再開すればよい。
【0019】
さらに、計数処理は、貨幣の数を数えると共に、貨幣の金種を識別することによって、金種毎の数を数えるようにすればよいが、例えば貨幣の数を数えるだけにしてもよい。
【0020】
前記制御部は、前記出金処理後の前記計数処理時には、前記出金部に払い出された貨幣の計数を前記識別部によって行った後に、その貨幣を前記出金部に払い出す、としてもよい。
【0021】
貨幣処理装置が、出金部とは別に貨幣を投入する投入口を備えている場合は、出金部に払い出された貨幣を投入口に投入し直して、その投入口から一つずつ繰り出すことにより貨幣の計数を行うようにすればよい。またこれとは異なり、出金部が貨幣を一つずつ繰り出し可能に構成されている場合、言い換えると貨幣の投入口及び出金口が同じであるときには、出金処理において出金部に払い出された貨幣をそのまま放置しておき、計数処理時には、その出金部から貨幣を一つずつ繰り出すことにより貨幣の計数を行うようにすればよい。また、計数処理時に出金部に払い出された貨幣は、別途管理してもよいし、その内の正常貨幣は、収納部に収納するようにしてもよい。
【0022】
また、これとは異なり、前記制御部は、前記出金処理後の前記計数処理時には、前記出金部に払い出された貨幣の計数を前記識別部によって行った後に、その貨幣を前記収納部に収納する、としてもよい。
【0023】
こうすることで、収納部に戻した貨幣を次の出金処理で払い出すことが可能になり、貨幣処理装置における貨幣の利用効率が高まる。但し、計数処理時に、識別部によって正常貨幣であると識別された貨幣のみを収納部に収納し、リジェクト貨幣であると識別された貨幣は出金部に払い出すことが望ましい。
【0024】
このように計数処理時に貨幣を収納部に収納する構成においては、前記貨幣処理装置は、前記計数処理時に発生したリジェクト貨幣に関する情報を記憶する記憶部をさらに備えている、としてもよい。このリジェクト貨幣に関する情報は、例えばオペレータが手動で貨幣処理装置に入力するようにしてもよい。
【0025】
つまり、出金処理時に一旦払い出した貨幣を、計数処理時に収納部に戻す構成において、その計数処理時にリジェクト貨幣であると識別されることによって収納部に収納することができない貨幣が発生したときには、そのリジェクト貨幣に関する情報を記憶部に記憶させる。このことによって、収納部の在高の管理が適正化する。
【0026】
前記制御部は、前記計数処理の計数結果に基づいて、前記出金処理後の前記収納部の在高を確定する、としてもよい。
【0027】
つまり、計数処理の計数結果を、出金処理時に払い出された貨幣の数を確定するためにオペレータが利用するだけでなく、貨幣処理装置が記憶する収納部の在高情報を確定させるために利用してもよい。
【0028】
前記制御部は、前記出金処理後の前記計数処理と共に、前記収納部の在高を確定させる精査処理を行いかつ、前記計数処理の計数結果と、前記精査処理の精査結果と、前記出金処理前の前記収納部の在高との照合を行う、としてもよい。
【0029】
こうすることによって、出金処理時にリジェクト貨幣が発生した後の、収納部の在高を、より一層、精度よく確定することが可能になる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、前記の貨幣処理装置は、出金処理の際にリジェクト貨幣が発生したときの貨幣の管理を、オペレータの負担を軽減しつつも適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】紙幣入出金機の外観を示す斜視図である。
【図2】紙幣入出金機の内部構造を示す図である。
【図3】紙幣入出金機の動作制御に係る構成を示すブロック図である。
【図4】入金処理時における紙幣の搬送経路を示す図である。
【図5】一時保留部を利用する場合の、入金処理時における紙幣の搬送経路を示す図である。
【図6】出金処理時における紙幣の搬送経路を示す図である。
【図7】収納モジュールへの紙幣の収納状態の一例と、その収納状態を利用した一部精査処理を説明する図である。
【図8】紙幣の記番号管理を伴う、収納モジュールへの紙幣の収納形態の例を説明する図である。
【図9】テープの番地管理を伴う、収納モジュールへの紙幣の収納形態の例を説明する図である。
【図10】紙幣入出金機の出金処理に係るフローチャートである。
【図11】計数処理時における紙幣の搬送経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、紙幣入出金機の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は例示である。図1は、紙幣入出金機(以下、単に入出金機という)1の外観を示している。この入出金機1は、例えば銀行のテラーカウンターに設置されかつ、この入出金機1を挟んだ左右二人のテラーによって共用で使用される。このため、この入出金機1は、基本的には左右対称に構成されている。
【0033】
この入出金機1は、詳しくは後述するが、投入口211に投入された紙幣を収納部3に収納する入金処理、及び、収納部3に収納している紙幣を出金口231に払い出す出金処理を少なくとも実行する。この入出金機1は、いわゆる循環式の入出金機であり、出金処理時に払い出す紙幣には、入金処理時に収納部3に収納した紙幣が含まれる。
【0034】
入出金機1は、図1及び2に示すように、上側の処理部11と、下側の金庫部13とに大別される。処理部11を構成する筐体111内には、投入口211を有する入金部21と、出金口231を有する出金部23と、紙幣の識別を行う識別部25と、入金部21、出金部23及び識別部25を相互に連結するループ搬送路411を含む処理部側搬送部41と、が配設されている。一方、金庫部13を構成する筐体131内には、複数の(図例では8個の)巻き取り方式の収納モジュール31を含んで構成された収納部3と、処理部側搬送部41のループ搬送路411と各収納モジュール31とを互いに接続する搬送路431を含む金庫部側搬送部43と、が配設されている。ここで、金庫部13を構成する筐体131は、処理部11を構成する筐体111とは異なり、その内部に格納している収納部3等を、所定以上のセキュリティレベルで防護するように構成された防護筐体131である。
【0035】
入金部21の投入口211は、前述したように、例えば入金処理の際に入金する紙幣を投入するための口である。投入口211は、処理部側筐体111の上面において上向きに開口していて、複数枚の紙幣を一度に受け入れ可能に構成されている。入金部21はまた、投入口211に投入された複数枚の紙幣を、一枚ずつ、ループ搬送路411に繰り出す繰り出し機構を備えている。
【0036】
出金部23の出金口231は、前述したように、例えば出金処理の際に紙幣を払い出すための口である。出金口231は、投入口211よりも装置手前側(図2の紙面右側)の、処理部側筐体111における上面から前面にかけての位置でかつ、斜め上方に向かって開口している。この出金口231も、投入口211と同様に、複数枚の紙幣を一度に保持可能に構成されている。
【0037】
識別部25は、ループ搬送路411上に配設されて、そのループ搬送路411に沿って搬送される紙幣の一枚一枚について、その真偽、金種及び正損を識別するように構成されている。
【0038】
処理部側搬送部41は、処理部側筐体111内においてエンドレスに設けられたループ搬送路411を備えている。紙幣は、このループ搬送路411に沿って図2における時計回り方向及び反時計回り方向に搬送される。このループ搬送路411は、図2に例示するように、多数のローラ、複数のベルト及び複数のガイドの組み合わせによって構成されている。ループ搬送路411は、その搬送路に沿って、紙幣と紙幣との間に所定間隔を隔てた状態で、紙幣を一枚ずつ短手搬送する。
【0039】
ループ搬送路411と投入口211との間は、投入路413によって互いに接続されており、投入口211に投入された紙幣は、この投入路413を通ってループ搬送路411まで搬送される。
【0040】
ループ搬送路411にはまた、払出路415が、紙幣の搬送方向を切り替える分岐機構417を介して接続されている。払出路415の先端は、出金口231に接続されている。分岐機構417は、ループ搬送路411を時計回り方向及び反時計回り方向に搬送されている紙幣を、そのままループ搬送路411上で搬送させるか、払出路415に引き込むかを切り替えるように動作する。この構成によって、ループ搬送路411上を時計回り方向又は反時計回りに搬送されている紙幣は、分岐機構417の動作制御によって選択的に、払出路415を通って出金口231に搬送される。
【0041】
ループ搬送路411上にはまた、第1−第3の分岐機構419,4111,4113が設けられている。第1−第3の分岐機構419−4113はそれぞれ、互いに異なる3方向に延びる搬送路の集合位置において、所定方向から搬送されてくる紙幣を、それとは別の2方向それぞれに選択的に搬送させるように動作する。分岐機構の具体的な構成は、国際公開第2009/034758号に例示されている。
【0042】
より具体的に、第1の分岐機構419は、ループ搬送路411と金庫部側搬送部43の搬送路431との接続位置に設けられている。第1の分岐機構419は、ループ搬送路411上を時計回り方向又は反時計回りに搬送されている紙幣を、選択的に、金庫部側搬送部43の搬送路431に送って、収納部3に収納させるか、又は、収納部3から繰り出されかつ、金庫部側搬送部43の搬送路431に沿って搬送されてきた紙幣を、ループ搬送路411上で時計回り方向に搬送させるか、若しくは、反時計回り方向に搬送させるかの切り替えを行う。
【0043】
また、第2の分岐機構4111は、ループ搬送路411と接続路4115との接続位置に設けられている。接続路4115は、詳しくは後述するが、図2においては仮想的に示す一時保留部51と、ループ搬送路411とを互いに連結する。第2の分岐機構4111は、ループ搬送路411上を時計回り方向又は反時計回りに搬送されている紙幣を、接続路4115に送って一時保留部51に収納させるか、又は、一時保留部51から繰り出した紙幣を、ループ搬送路411上で時計回り方向に搬送させるか、若しくは、反時計回り方向に搬送させるかの切り替えを行う。
【0044】
さらに、第3の分岐機構4113は、ループ搬送路411とカセット接続路4117との接続位置に設けられている。カセット接続路4117は、詳しくは後述するが、図2において仮想的に示す回収カセット53と、ループ搬送路411とを互いに連結する。第3の分岐機構4113は、ループ搬送路411上を時計回り方向又は反時計回りに搬送されている紙幣を、選択的にカセット接続路4117に送り、それを回収カセット53に収納するように動作する。
【0045】
収納部3は、前述したように、図例では第1−第8の巻き取り方式(言い換えると、テープ式)の収納モジュール31−1−31−8を含んで構成されている。ここで、以下の説明において、各々の収納モジュールを総称する場合には、符号「31」を付し、第1、第2、第3…の、各々の収納モジュールを区別する場合には、符号「31−1、31−2、31−3…」を付す。尚、収納モジュール31の数は特に限定されず、1個以上で、適宜の数を設定すればよい。8個の収納モジュール31は、この例では、装置の奥行き方向(図2の紙面左右方向)に4個並んで1列を構成すると共に、その列が上下方向に2列を構成するように積み重ねられている。
【0046】
この巻き取り方式の収納モジュール31は、特開2000−123219号公報に例示されるように、概略矩形箱状の筐体内に、紙幣をガイドする一枚のテープ、ガイド部材、及び、紙幣と共にテープを巻き取るリールを備えて構成されるか、又は、本件出願人が先に出願したPCT/JP2009/066729に例示されるように、筐体内に、紙幣を挟む2枚のテープ、及び、紙幣を挟み込んだ2枚のテープを巻き取るリールを備えて構成される。いずれの構成においても、巻き取り方式の収納モジュール31は、紙幣を一枚ずつ巻き取って収納すると共に、その収納した順番とは逆順で、紙幣を一枚ずつ繰り出す、いわゆる先入れ後出しとなるように紙幣を収納する。各収納モジュール31は、この例では図2に示すように、それぞれテープが巻き付けられたテープリール313を2つ備え、テープリール313から引き出された2枚のテープによって紙幣を挟むように構成されており、紙幣は、互いに所定間隔を隔てながらリール311に巻き取られる。各収納モジュール31にはまた、筐体の内外を連通するように形成された出入口の近傍に、紙幣の通過を検知する検知センサが設けられている。
【0047】
金庫部側搬送部43の搬送路431は、処理部側搬送部41のループ搬送路411と同様に、ローラ、ベルト及びガイドの組み合わせによって構成されており、この搬送路431もまた、紙幣を一枚ずつ短手搬送する。搬送路431は、ループ搬送路411上の第1の分岐機構419から、鉛直下向きに延びると共に、その下端部において、奥行き方向の手前側(図2の紙面右側)及び奥側(図2の紙面左側)のそれぞれに分岐している。装置1の奥側に向かって延びる分岐路は、上下に積み重ねられた2列の収納モジュール31の間に配設されている。各収納モジュール31は、この分岐路上に設けられた振分機構433−1−433−8を介して分岐路に接続されている。各振分機構433−1−433−8は、後述する制御部513によって駆動制御され、そのことにより、紙幣が、識別部25によって識別された金種及び/又は正損等に応じて複数の収納モジュール31に振り分けられて収納されることになる。
【0048】
この入出金機1では、紙幣を一時的に保留する一時保留部51、及び、金庫部13の防護筐体131内に着脱可能に取り付けられる回収カセット53が、オプションで装着されるように構成されている。
【0049】
一時保留部51は、図2に一点鎖線で示すように、処理部側筐体111内における、奥行き方向の手前側に設けられた空きスペース内に装着される。一時保留部51は、前述したように、接続路4115を介して、第2の分岐機構4111に接続される。一時保留部51は、この例では、前述した収納モジュール31と同様に、2枚のテープを利用した巻き取り方式であり、紙幣の順番を入れ替えることなく、先入れ後出しとなるように紙幣を収納する。
【0050】
回収カセット53は、図2に一点鎖線で示すように、防護筐体131内における、奥行き方向の手前側に設けられた空きスペース内に、着脱可能に装着される。回収カセット53は、前述したように、カセット接続路4117を介して、ループ搬送路411上の第3の分岐機構4113に接続されている。回収カセット53は、巻き取り式の収納モジュール31や一時保留部51とは異なり、その内部に昇降する集積台を備えかつ、この集積台上に紙幣を重ねて収納するように構成されている。これにより、回収カセット53に収納された紙幣は、そこから繰り出すことはできない。回収カセット53には、例えば入金処理時に投入口211に投入された紙幣の内、収納部3に収納しきれなかったオーバーフロー紙幣が収納される。また、出金処理時等に識別不可であったリジェクト紙幣が、この回収カセット53に収納される場合がある。従って、回収カセット53が未装着のときには、オーバーフロー紙幣やリジェクト紙幣は、出金口231に払い出される。
【0051】
尚、図示は省略するが、防護筐体131内の空きスペースには、回収カセット53が配設される代わりに、巻き取り式の収納モジュール31が、さらに追加して装着される場合がある。追加の収納モジュール31は、例えば2個のモジュールが上下に積み重ねられて配設される場合があり、これら2個の収納モジュール31はそれぞれ、搬送路431の下端から奥行き方向の手前側に延びる分岐路に対し、前述した振分機構を介して接続される。
【0052】
図3は、入出金機1の動作制御に係る構成を示している。入出金機1は、例えば周知のマイクロコンピュータをベースとした制御部513を備えている。制御部513には、前述した入金部21、出金部23、第1−第nの収納モジュール31を含む収納部3、処理部側搬送部41、及び金庫部側搬送部43が、信号の送受信可能に接続されている。これらの各部21,23,3,41,43は、図示は省略するが、例えば搬送路を搬送されている紙幣を検知するといった機能を有する各種のセンサを含んでおり、各種センサの検知信号は制御部513に入力される。制御部513は、入力された検知信号等に基づいて制御信号を出力し、各部21,23,3,41,43は、その制御信号に従って動作をする。
【0053】
制御部513にはまた、識別部25が接続されており、識別部25は、識別結果を制御部513に提供する。さらに、図1等では図示を省略するが、テラー等の、この入出金機1を操作するオペレータに対するヒューマンインターフェース部分としての操作部55、入出金機1が、例えばLANやシリアルバスを通じて、図示を省略する上位端末及びその他の機器との間で信号の送受信を行うための通信部57、及び、各種の情報を記憶するための、例えばハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の汎用のストレージデバイスにより構成される記憶部59がそれぞれ、入出金機1に接続されている。
【0054】
記憶部59は、入出金機1が収納している紙幣の金種別枚数又は金額である在高を少なくとも記憶する。また、記憶部59は、収納モジュール31毎の在高も記憶する。
【0055】
前述したように、オプション機器である一時保留部51や回収カセット53が、この入出金機1に装着されるときには、それらの機器51,53もまた、制御部513に接続されることにより、制御部513が出力する制御信号に従って動作をする。また、入出金機1には、各種の情報を表示するための、例えばフラットパネルディスプレイからなる表示部511がオプション機器として装着可能に構成されており、この表示部511もまた、制御部513に接続される。
【0056】
制御部513は、通信部57を通じて受けた上位端末からの指令、及び/又は、操作部55を通じて受けた各種の指令に応じて、各部21,23,25,3,41,43,51,53,55,57,59,511の動作を制御する。このことにより、入出金機1は、以下に説明する入金処理及び出金処理を含む、各種処理を行う。入出金機1において実行した各種の処理の履歴は、記憶部59にログとして記憶される。
【0057】
(入金処理)
入金処理は、入出金機1に紙幣を入金(収納)する処理であり、投入口211に投入された紙幣は、識別部25による識別結果と、予め設定された収納割当とに従って、いずれかの収納モジュール31に収納される。より詳細に、入出金機1は、入金処理の際には、次のように動作する。すなわち、入金する紙幣を投入口211に投入した状態で、例えば上位端末及び/又は操作部55の操作によって入金処理の開始コマンドを、入出金機1に入力する。図4に矢印で示すように、入金部21の繰り出し機構は、投入口211の紙幣を一枚ずつ繰り出し、処理部側搬送部41は、各紙幣を識別部25に搬送する。識別部25は、その紙幣の識別を行うと共に、計数を行う。処理部側搬送部41はまた、識別部25によって正常に識別された紙幣(この紙幣を、リジェクト紙幣の対の名称として正常紙幣と呼ぶ)を、図4に実線の矢印で示すように、ループ搬送路411から、第1の分岐機構419を通って金庫部側搬送部43の搬送路431へと搬送する。金庫部側搬送部43は、識別部25による識別結果、及び、予め設定された収納割当に従って、各紙幣を所定の収納モジュール31に収納する。すなわち、各紙幣は、金種別や正損別に応じて、いずれかの収納モジュール31に収納される。
【0058】
一方、処理部側搬送部41は、識別部25において真偽の識別ができない紙幣等、入出金機1がそのまま受け入れることができないリジェクト紙幣を、図4に一点鎖線の矢印で示すように、ループ搬送路411から分岐機構417を通って払出路415へと搬送する。そうして、リジェクト紙幣は、出金口231に払い出される。尚、入金処理時に発生したリジェクト紙幣は、投入口211に再度投入され、識別部25による識別が、もう一度行われることになる。
【0059】
また、入金処理時に、収納モジュール31が満杯になることに起因して収納できなくなった紙幣(つまり、オーバーフロー紙幣)も、出金口231に払い出される。尚、図示は省略するが、入出金機1に回収カセット53が装着されているときには、オーバーフロー紙幣は、回収カセット53に収納される。
【0060】
入金処理の終了後には、記憶部59に記憶している在高を更新する。
【0061】
(一時保留部がある場合の入金処理の例)
図4は、入出金機1に一時保留部51が装着されていない場合の入金処理の動作例を示している。これに対し、図5は、一時保留部51が入出金機1に装着されている場合の入金処理の動作例を示している。この動作例においても、入金部21の繰り出し機構は、図4と同様に、投入口211に投入された紙幣を一枚ずつ繰り出し、処理部側搬送部41は、各紙幣を識別部25に搬送する。処理部側搬送部41は、識別部25によって正常に識別された正常紙幣を、図5に実線の矢印で示すように、ループ搬送路411から、第2の分岐機構4111を通って一時保留部51に搬送し、そこに収納する。尚、リジェクト紙幣は、出金口231に払い出される。
【0062】
そうして、投入口211に投入された紙幣が全て繰り出されることによって、入金される紙幣の計数が全て完了したときには、上位端末、及び/又は、オプションの表示部511に計数結果が表示される。オペレータは、その計数結果を確認した上で、上位端末及び/又は操作部55において所定の収納操作を行う。このことによって、図5に破線の矢印で示すように、一時保留部51は、そこに収納している紙幣を一枚ずつ繰り出し、処理部側搬送部41は、各紙幣を、ループ搬送路411から第1の分岐機構419を通って、金庫部側の搬送路431へと搬送する。そうして、金庫部側搬送部43は、識別部25による識別結果、及び、予め設定された収納割当に従って、各紙幣を、金種別や正損別に応じて収納モジュール31に収納する。尚、オペレータが、収納操作ではなく、所定のキャンセル操作を行ったときには、一時保留部51に収納されている紙幣は、出金口231に払い出される。
【0063】
(出金処理)
出金処理は、入出金機1に収納されている紙幣を払い出す処理である。具体的には、上位端末及び/又は操作部55において、少なくとも金種と枚数とを指定する所定の出金操作を行うことによって、出金処理は開始する。収納部3は、図6に実線の矢印で示すように、指定された金種の紙幣を、それが収納されている収納モジュール31から、指定された枚数だけ繰り出す。金庫部側搬送部43は、繰り出された紙幣を、搬送路431を介して、処理部側搬送部41のループ搬送路411へと搬送する。処理部側搬送部41は、各紙幣を識別部25に搬送し、識別部25が識別を行った後に、ループ搬送路411から分岐機構417を通って払出路415へと搬送する。そうして、出金口231に各紙幣が払い出される。出金処理の終了後には、記憶部59に記憶している在高を更新する。
【0064】
出金される紙幣の枚数が出金口231の容量よりも多いときには、出金する紙幣を、複数回に分けて払い出す分割出金処理を行う。すなわち、分割出金処理では、出金口231の容量以下の枚数の紙幣を出金口231に払い出した時点で処理が中断し、出金口231から紙幣が取り除かれた後、出金処理が再開する。こうした処理の中断と再開とが、出金される紙幣の枚数に応じて繰り返される。
【0065】
ここで、図6に示すように、一時保留部51や回収カセット53が装着されていない入出金機1においては、出金処理時に、識別部25による識別が不可であったリジェクト紙幣が発生したときに、そのリジェクト紙幣は、正常紙幣と共に、出金口231に払い出すことになる。このように出金処理時にリジェクト紙幣が発生したときには、入出金機1及び/又は表示部511に、その旨(エラーメッセージ)が表示され、それによって、オペレータは、出金口231に払い出された紙幣に、リジェクト紙幣が含まれていることを認識することができる。
【0066】
(精査処理)
前述した入金処理時に、識別部25において識別及び計数をした後、各収納モジュール31に紙幣を収納するまでの搬送中に、搬送異常が発生する場合がある。搬送異常としては、搬送路411,431に沿って紙幣を搬送している際に紙幣が斜めに搬送される場合(斜行)、複数の紙幣が所定の間隔を隔てないで搬送される場合(連鎖)、及び、複数の紙幣が重なって搬送される場合(重送)を例示することができる。こうした搬送異常は、例えば識別部25の識別結果と各収納モジュール31に取り付けられた紙幣の検知センサの検知結果とを照合することによって検出することが可能である。
【0067】
入金処理時に、前述した連鎖や重送が発生したときには、搬送されている紙幣の順番がずれてしまって、紙幣が所望の収納モジュール31に収納されなくなってしまう場合がある。その場合は、各収納モジュール31に収納されている紙幣の金種や枚数が不確定になってしまう。そのため、入金処理時に搬送異常が発生したときには、各収納モジュール31に収納されている紙幣の金種と枚数とを確定させる処理が必要になる。この処理は、精査処理と呼ばれ、精査処理は、具体的には、第1の収納部である各収納モジュール31に収納されている紙幣を全て、一旦、繰り出して、識別部25によって識別及び計数をし、その後、その紙幣を再び、収納モジュール31に戻すことを行う。尚、収納モジュール31から繰り出した紙幣は、識別の前又は後に、第2の収納部である収納モジュール31に、一旦、収納される。一時保留部51を備えた入出金機1では、第2の収納部として、一時保留部51を用いるのがよい。
【0068】
ここで、入金処理時に搬送異常が発生したことは、前述したように、識別部25の識別結果と各収納モジュール31の検知センサの検知結果との照合によって検出することになるため、その検出タイミングは、全ての紙幣が収納モジュール31に収納された後になる。また、精査処理は、入金処理の際に、紙幣が一枚でも収納された収納モジュール31の全てに対して行う必要があると共に、該当する収納モジュール31に収納されている紙幣を全て繰り出さなければならない。そのため、精査処理に要する時間は長くなりやすい。また、収納モジュール31に収納されている紙幣の枚数が多いほど、精査に要する時間も長くなる。
【0069】
また、前述した出金処理時に、連鎖や重送といった搬送異常やリジェクト紙幣が生じたときにも、収納モジュール31から繰り出した紙幣の枚数が不確定になるため、その出金処理後の収納モジュール31の在高(つまり、収納モジュール31の収納枚数)が未確定になる。そのため、紙幣を一枚でも繰り出した収納モジュール31の全てに対して、精査処理を行うことによって、各収納モジュール31の在高を確定させる必要がある。
【0070】
しかしながら、入金処理後及び出金処理後の如何にかかわらず、精査処理の最中は入出金機1を使用することができないため、窓口業務に遅れが生じてしまうという不都合がある。
【0071】
そこで、この入出金機1では、精査処理に要する時間を短縮させるために、各収納モジュール31への紙幣の収納を工夫している。この工夫によって、精査処理時に収納モジュール31に収納されている紙幣の全てを繰り出すのではなく、少なくとも一部の紙幣を繰り出すことだけで、収納モジュール31についての精査処理が可能になり、精査処理に要する時間が短くなる。尚、以下において、収納モジュール31に収納されている一部の紙幣のみを繰り出して行う精査処理を、一部精査処理と呼ぶ場合がある。
【0072】
(収納モジュールへの紙幣の収納例)
図7は、収納モジュール31への紙幣の収納形態の一例を示している。同図における紙面左右方向の中央には、巻き取り式の収納モジュール31のリール311に巻き取られた紙幣の状態を、平面に展開して示している。図7の紙面上側は、リール311の径方向内方側に相当し、紙面下側は、リール311の径方向内方側に相当する。従って、図7の紙面上側の紙幣は、収納モジュール31に先に収納された紙幣であり、紙面下側の紙幣は、収納モジュール31に後から収納された紙幣であり、収納モジュール31から紙幣を繰り出すときには、紙面下側の紙幣から順に、繰り出されることになる。
【0073】
前述したように、入金処理時には、紙幣は、互いに所定間隔dを隔てながらリール311に巻き取られる。そして、図7に示す収納例では、入金処理毎(言い換えると、1取引毎に)、所定間隔dよりも広い区切りを設ける。
【0074】
また、記憶部59には、図6の左図に例示するように、収納モジュール31毎に、通し番号と、金種と、ブロック番号とを互いに紐付けした収納情報を記憶しておく。通し番号は、当該収納モジュール31に収納されている紙幣についての通し番号であり、この通し番号によって、当該収納モジュール31に収納されている紙幣の枚数を特定することが可能である。また、ここでいう「ブロック番号」は、収納モジュール31内での、区切りと区切りとの間の紙幣のまとまりを意味し、これは「取引番号」と置き換えることが可能である。従って、通し番号とブロック番号とを紐づけすることによって、通し番号、言い換えると収納モジュール31の在高情報と、ブロック番号、言い換えると区切りとが対応づけられることになる。図例では、一点鎖線の矢印で示すように、リール311に巻き取られた紙幣と収納情報とが対応づけられているとする。記憶部59に記憶されている、この収納情報は、入金処理を行う毎に更新される。
【0075】
このような状態で、入金処理時に搬送異常が発生した場合を考える。この搬送異常が発生した入金処理を、ここでは、図6に示すように「取引3」とする。また、この例では、取引3よりも以前に行われた入金処理として「取引1」及び「取引2」があり、これら取引1及び取引2では、搬送異常が発生せず、取引1の完了時点、及び、取引2の完了時点の収納モジュール31の在高は、記憶部59に記憶されている収納情報によって確定しているとする。
【0076】
取引3の最中に搬送異常が発生したため、その取引3の終了後には、該当する収納モジュール31に対する精査処理が必要になる。このときに収納モジュール31から繰り出す紙幣は、リール311に巻き取られた紙幣の内の、最初の区切りまでの紙幣とする。つまり、取引3において収納モジュール31に収納した紙幣のみを、収納モジュール31から繰り出して精査処理を実行する。少なくとも取引2の完了時点の収納モジュール31の在高は確定していることから、取引2までの在高情報と今回の精査結果とに基づいて、当該収納モジュール31の在高を確定させることが可能である。このように、紙幣の収納に際し、収納モジュール31の在高情報に対応づけられた目印(つまり、この例では区切りに相当する。)を設けることによって、収納モジュール31に収納されている紙幣を全て繰り出さなくても、一部の紙幣のみを繰り出すことによって精査処理を行うことが可能になる。これは、精査処理に要する時間を短縮する。ここで、紙幣の繰り出しは、前述の通り、取引3だけに限定すればよいが、例えば搬送異常が発生した入金処理(この例では、取引3)と、その一つ前の入金処理(この例では、取引2)とを含めるようにしてもよい。尚、紙幣の繰り出しは任意に設定することが可能である。
【0077】
ここで、区切りの検知は、例えば図7の右図に示すように、収納モジュール31の出入口近傍に配置された検知センサの信号に基づいて検知すればよい。つまり、紙幣を繰り出している最中に、紙幣同士の通常の間隔dよりも広い間隔を検出したときには、区切りに到達したと検知することが可能であり、そのタイミングで、収納モジュール31からの紙幣の繰り出しを停止すればよい。尚、区切りの間隔は、搬送中の紙幣の詰まりを検出するためのジャムタイマの計時時間T1に相当する間隔よりも短く設定することが望ましい。こうすることによって、紙幣の詰まりの誤検出が回避される。
【0078】
一方、出金処理時に精査処理が必要な状況になったときには、その精査処理時には、収納モジュール31から、紙幣を任意の区切りまで繰り出せばよい。例えば最初の区切りまで紙幣を繰り出すことにすれば、繰り出し枚数を最も少なくすることができ、精査処理の時間の短縮に有利になる。そうして、前述した入金処理後の精査処理と同様に、出金処理後においても、一部精査処理が可能になる。
【0079】
ここで、取引毎に区切りを設けていたのでは、区切りの数が多くなりすぎて、収納モジュール31の収納容量が少なくなる可能性がある。そこで、取引と取引との間に区切りを設ける代わりに、収納モジュール31に収納した枚数が所定の枚数を超える毎に、区切りを設けるようにしてもよい。こうすることで、取引毎に区切りを設ける場合と比較して区切りの数が減るため、区切りが多くなることに起因して収納モジュール31の収納容量が少なくなることが回避される。一方で、前述の通り、精査処理の際に、収納モジュール31に収納されている紙幣の全てを繰り出す必要がないため、精査処理に要する時間が短縮する。このことは特に、収納容量の確保と精査時間の短縮とを、バランスよく両立させる上で有利である。
【0080】
一部精査処理は、収納モジュール31内に、その在高情報と関連づけた目印を設けていることによって可能になるから、前述した、紙幣同士の区切り以外の目印を利用することも可能である。以下、区切り以外の目印の例として、紙幣の記番号を利用する例と、収納モジュール31において紙幣を巻き取るためのテープの位置(テープの番地)を利用する例とについて説明する。すなわち、一部精査処理の目印としては、紙幣同士の区切りやテープの位置等、形態や物理量といった物理的な目印や、記番号等、データとして記憶される論理的な目印を用いることができる。これらの目印は、それぞれ単独で用いてもよいが、複数の目印を同時に用いることによって、目印の信頼性を高めることができる。
【0081】
(記番号を利用した紙幣の収納例)
図8は、記番号を利用する例における収納モジュール31への紙幣の収納形態の一例を示している。この例では、紙幣同士の区切りは不要であるため、同図に示すように、紙幣は、所定間隔dを隔ててリール311に巻き取られている。
【0082】
記番号を利用する場合は、収納モジュール31に紙幣を収納する際に、紙幣の記番号を読み取り、それを記憶しておく必要がある。記番号の読み取りは、例えば識別部25が行うようにしてもよい。その場合、識別部25は、紙幣の真偽、金種及び正損の識別の他に、紙幣に印字されている記番号を光学的に読み取る機能を有するように構成すればよい。尚、記番号の読み取りは識別部25ではなく、識別部25とは別の読取部を、例えばループ搬送路411上に配置してもよい。そうして読み取った記番号の情報は、図8の左図に例示するように、収納モジュール31毎に、通し番号と金種とに紐付けした収納情報として、記憶部59に記憶しておく。こうして、在高情報(つまり、通し番号)と目印(つまり、記番号)とが対応づけられる。図例では、一点鎖線の矢印で示すように、リール311に巻き取られた紙幣と、収納情報とが対応づけられているとする。記憶部59に記憶されている収納情報が入金処理を行う毎に更新される点は、前記と同様である。
【0083】
この構成では、例えば入金処理時に搬送異常が発生することによって、精査処理が必要な状況になれば、[当該入金処理において収納モジュール31に収納した枚数の紙幣]+[少なくとも一枚の紙幣]を収納モジュール31から繰り出す。そうして、繰り出した紙幣の識別及び計数を行うと共に、少なくとも最後に繰り出した紙幣については、その記番号を読み取る。読み取った記番号は、記憶部59に記憶している収納情報の記番号と照合する。読み取った記番号が収納情報に含まれているときには、その紙幣よりも前に収納している紙幣の金種及び枚数は、記憶部59に記憶されている収納情報によって確定している。そこで、収納モジュール31からの紙幣の繰り出しを終了して、精査処理を終了する。読み取った記番号が収納情報に含まれていないときには、収納情報に含まれている記番号の紙幣が繰り出されるまで、収納モジュール31からの紙幣の繰り出しを継続する。
【0084】
一方、出金処理時に精査処理が必要な状況になったときには、その精査処理時には、収納情報に含まれている記番号の紙幣が繰り出されるまで、収納モジュール31から紙幣を繰り出す。
【0085】
この例では、紙幣の記番号を目印として利用し、収納モジュール31に収納されている紙幣の少なくとも一部を繰り出すことだけで精査処理を可能にしているため、前述した区切りを利用する例と同様に、精査処理に要する時間を短縮することが可能である。また、この例では、リール311に巻き取る紙幣と紙幣との間に、相対的に広い間隔の区切りを設けないため、収納モジュール31の収納容量が減らないという利点がある。
【0086】
尚、紙幣の記番号の読み取り及び記憶を、全ての紙幣について行うのではなく、例えば所定枚数毎に記番号の読み取り及び記憶を行ってもよいし、各取引における最後の紙幣について、記番号の読み取り及び記憶を行ってもよい。また、それらを組み合わせてもよい。これらは、記憶部59の記憶容量の節約に有利である。尚、記番号の照合に際して、記番号の全ての一致を条件としてもよいし、少なくとも一部の一致を条件としてもよい。これは精査処理に要する時間の短縮に有利になる。また、少なくとも一部の一致が、複数枚の紙幣について成立することを条件としてもよい。
【0087】
(テープの番地を利用した紙幣の収納例)
図9は、テープの番地を利用する例を示している。前述したように、巻き取り式の収納モジュール31は、この例では、2枚のテープで紙幣を挟み込みながら、そのテープをリール311に巻き付けることによって紙幣を巻き取る。このため、図9に示すように、テープ315の長さ方向の位置と、リール311に巻き取られた各紙幣とが1対1に対応づけられる。そこで、この例では、テープ315の長さ方向の位置を、「テープの番地」と呼び、これを目印として利用する。テープ315の長さ方向の位置(つまり、テープの番地)は、収納モジュール31内に取り付けられかつ、テープ315の繰り出し及び巻き戻しの状態を検知するエンコーダの出力(パルス数)から取得することが可能である。例えば入出金機1の立ち上げ時(設置初期時)に、テープ315の繰り出し及び巻き戻しを行うことによってエンコーダの出力とテープの番地とを対応づけるキャリブレーションを行えばよい。
【0088】
この例では、入金処理時に、収納モジュール31に収納される紙幣が所定の枚数となる毎に、その紙幣の巻き取り位置に対応するテープの番地が、エンコーダの出力によって特定される。そして、テープの番地情報が、通し番号と金種とに紐付けされた収納情報とし、記憶部59に記憶される。これによって、在高情報(つまり、通し番号)と目印(つまり、テープの番地)とが対応づけられる。尚、所定の枚数毎にではなく、紙幣の一枚一枚について、テープ315の番地を記憶するようにしてもよい。また、取引を基準に、例えば取引の最初に収納された紙幣についてのテープ番地や、取引の最後に収納された紙幣についてのテープ番地を記憶するようにしてもよい。さらに、紙幣の枚数と取引とを組み合わせてもよい。図例では、一点鎖線の矢印で示すように、リール311に巻き取られた紙幣と、収納情報とが対応づけられているとする。記憶部59に記憶されている収納情報が入金処理を行う毎に更新される点は、前記と同様である。
【0089】
この構成では、例えば入金処理時に搬送異常が発生することによって、精査処理が必要な状況になれば、当該入金処理よりも以前に収納モジュール31に収納した紙幣であって、テープ315の番地が記憶されている紙幣まで、収納モジュール31から紙幣を繰り出して、精査処理を行う。つまり、テープ315の番地が記憶されている紙幣よりも前に収納している紙幣の金種及び枚数は、記憶部59が記憶している収納情報によって確定しているためである。
【0090】
一方、出金処理時に精査処理が必要な状況になったときも同様に、その精査処理時には、収納モジュール31から、テープ315の番地が記憶されている紙幣まで繰り出す。
【0091】
この例では、テープの番地を目印として利用し、収納モジュール31に収納されている紙幣の少なくとも一部を繰り出すことだけで精査処理を可能にしているため、前述した区切りを利用する例と同様に、精査処理に要する時間を短縮することが可能である。また、この例でも、リール311に巻き取る紙幣と紙幣との間に、相対的に広い間隔の区切りを設けないため、収納モジュール31の収納容量が減らないという利点がある。尚、紙幣とテープの番地とを対応付けることと同様に、紙幣と紙幣との間隔の部分とテープの番地とを対応付けても、同様の精査処理が可能である。
【0092】
(出金処理から計数処理への移行)
前述したように、この入出金機1は、回収カセット53が装着されていないときには、出金処理時に発生したリジェクト紙幣を、正常紙幣と共に、出金口231に払い出すように構成している(図6参照)。このため、リジェクト紙幣が発生したときには、出金口231に払い出された紙幣の特定及びその枚数の確定のために、計数処理が必要である。また、出金口231に払い出された紙幣の計数をしなければ、収納部3の在高が不確定になる場合もある。このように、この入出金機1ではリジェクト紙幣を出金口231に払い出すように構成していることから、出金処理の際にリジェクト紙幣が発生したときには、その後に、計数処理を必ず行わなければならない。計数処理は、オペレータが手で、又は、別の計数装置(例えば、紙幣計数機)を用いて行うことが一般的である。これに対し、この入出金機1では、オペレータの負担軽減を主目的として、出金処理時にリジェクト紙幣が発生したときには、計数処理に移行するように構成されている。
【0093】
図10は、入出金機1の出金処理に係るフローチャートを示している。先ず、スタート後のステップSA1では、オペレータの操作によって、出金処理の実行が指定されたか否かを判定する。出金処理の実行が指定されていないとき(NOのとき)には、ステップSA1を繰り返す。つまり、出金処理の実行が指定されるまで待機する。出金処理の実行が指定されたとき(YESのとき)には、ステップSA2に移行する。ステップSA2では、前述の通りに、出金処理を実行する。
【0094】
続くステップSA3においては、出金処理時にリジェクト紙幣が発生したか否かを判定する。リジェクト紙幣が発生しなかったとき(NOのとき)には、フローはそのまま終了する。一方、リジェクト紙幣が発生したとき(YESのとき)には、ステップSA4に移行する。このとき、記憶部59は、リジェクト紙幣が発生した出金処理のログを、計数処理が必要な出金処理のログとして、出金処理前の在高の情報と共に、記憶する。
【0095】
ステップSA4では、オペレータが計数処理の実行を指定したか否かを判定する。つまり、この入出金機1では、出金処理後の計数処理の実行の要否が、オペレータによって任意に選択することができるように構成されている。例えば引き続き次の出金処理を行って、窓口業務を停滞無く進める必要があるときは、次の出金処理を先に行い、その後に、計数処理を行う方がよい場合がある。そこで、この入出金機1では、出金処理後の計数処理の実行の要否を、オペレータが任意に選択する。このことは、入出金機1の使い勝手を高める。
【0096】
ステップSA4において、計数処理の実行が指定されなかったとき(NOのとき)には、ステップSA6に移行する。ステップSA6では、出金処理が、リジェクト紙幣が発生せずに正常に終了したか否かを判定し、正常に終了したとき(YESのとき)には、フローを終了する。一方、正常に終了しなかったとき(NOのとき)には、出金処理を再度行うべく、ステップSA2に戻る。
【0097】
また、ステップSA4において、計数処理の実行が指定されたとき(YESのとき)には、ステップSA5に移行し、計数処理を実行する。
【0098】
(出金処理後の計数処理)
出金処理後の計数処理は、出金口231に払い出された紙幣を全て(つまり、リジェクト紙幣と正常紙幣との双方を含んでいる)投入口211に投入し、その状態でオペレータが所定の開始操作を行うことによって開始される。図11に示すように、入金部21の繰り出し機構は、投入口211の紙幣を一枚ずつ繰り出し、処理部側搬送部41は、各紙幣を識別部25に搬送する。識別部25は、各紙幣の識別と計数とを行う。処理部側搬送部41はまた、識別部25を通過した後の紙幣を、図11に実線の矢印で示すように、ループ搬送路411から分岐機構417を通って払出路415へと搬送する。そうして、全ての紙幣は、出金口231に、再び払い出される。このようにして行われた計数処理の結果は、上位端末及び/又は表示部511に表示され、このことによりオペレータは、計数結果を認識することが可能になる。
【0099】
出金処理後に、入出金機1が計数処理を行うことによって、オペレータは手で計数処理を行う必要がなくなり、オペレータの負担が軽減される。また、出金処理を行った入出金機1と同じ装置で、しかも、出金処理に連続して計数処理を行うことにより、オペレータの作業は簡略化するため、オペレータの負担は、より一層軽減される。また、入出金機1が出金処理と計数処理との双方を行うことは、履歴の管理、及び、ログの追跡に有利になる。
【0100】
計数処理の計数結果は、前述したように上位端末や表示部511に表示することによって、オペレータが、出金処理時に払い出された紙幣の枚数の確認に利用することが可能である。このことにより、オペレータが、手動で、出金処理後の収納部3の在高を確定させることも可能になる。一方、計数結果を利用して、入出金機1の収納部3の在高を自動で確定させてもよい。すなわち、この計数結果は、計数処理が必要な出金処理において払い出された紙幣の金種別枚数であるから、その出金処理を行う前の在高から、計数結果を減算することによって、出金処理後の在高を確定することが可能である。
【0101】
尚、計数処理時にリジェクト紙幣が発生した場合は、それに関するリジェクト情報(金種及び枚数)を、例えばオペレータが手動で入力し、記憶部59はそれを記憶する。そうして、計数処理の結果と、記憶部59に記憶しているリジェクト情報とに基づいて、入出金機1の在高を確定させればよい。
【0102】
出金処理時にリジェクト紙幣が発生したときには、計数処理の実行と共に、精査処理を実行することによって、計数結果、精査結果及び出金処理前の収納部3の在高を、照合するようにしてもよい。こうした運用は、例えば出金処理から計数処理への移行に際し、出金口231から投入口211に紙幣を入れ替えたときに、紙幣の一部の投入漏れが生じてしまったような場合でも、そのことが明らかになる。つまり、出金処理時にリジェクト紙幣が発生したときの紙幣の管理を、より一層適切に行うことが可能になる。
【0103】
ここで、精査処理としては、収納モジュール31に収納されている紙幣の全てを繰り出して行う、通常の精査処理としてもよいし、前述した一部精査処理としてもよい。
【0104】
尚、出金処理時にリジェクト紙幣が発生したときには、計数処理に移行する前に、出金処理の実行を別途指定して、出金処理を正常に完了させることによって、窓口業務を速やかに完了させるようにしてもよい。計数処理は、正常な出金処理の完了後に、実行すればよい。この場合は、リジェクト紙幣が発生したときに出金口231に払い出された紙幣(リジェクト紙幣及び正常紙幣を含む)は、計数処理を開始するまで、別途、管理しておけばよい。
【0105】
また、オペレータが計数処理を行った場合には、その計数結果を、手動で入力することにより、記憶部59が記憶している、計数処理が必要な出金処理のログと、計数結果とを関連づけることが可能になり、出金処理後の在高が確定する。オペレータが計数処理を行った場合、入出金機1は計数処理を行う必要がないため、手動で計数結果が入力されたときには、計数処理への移行を解除すればよい。尚、計数処理が必要な出金処理のログが、記憶部59に複数、記憶されているときには、オペレータは計数結果を入力する際に、その計数結果を関連づける出金処理のログを、手動で選択すればよい。
【0106】
また、出金処理後の計数処理においては、図11に一点鎖線の矢印で示すように、収納部3に収納可能な正券は収納モジュール31に収納するようにしてもよい。こうした運用は、入出金機1の紙幣の利用効率を高める上で有利になる。
【0107】
尚、前記の構成では、出金処理の終了後に、オペレータが計数処理への移行を手動で行うようにしているが(図10のステップSA4)、出金処理から計数処理への移行を、自動的に行うようにしてもよい。
【0108】
また、分割出金処理を行うときには、全ての紙幣の払い出しが終了した後に、計数処理に移行してもよいし、リジェクト紙幣が発生した回の紙幣の払い出しが終了した時点で出金処理を中断し、計数処理に移行してもよい。この場合は、計数処理の終了後に、出金処理を再開すればよい。
【0109】
また、出金処理後の計数処理(尚、この明細書において「出金処理後」には、前述した出金処理を中断することが含まれる場合がある)としては、紙幣の識別及び計数を行うこと以外にも、紙幣の計数のみを行うようにしてもよい。入出金機1が払い出した紙幣の枚数と、計数結果(紙幣の枚数)とが一致すれば、出金処理の際の出金内容に基づいて、在高を確定することが可能である。
【0110】
また、図5に示すように、入出金機1に一時保留部51が装着されているときには、出金処理の際に発生したリジェクト紙幣を一時保留部51に収納するようにしてもよい。この構成では、正常紙幣のみを出金口231に払い出すことによって、出金処理を正常にかつ早期に終了させ、その後に、一時保留部51に収納したリジェクト紙幣の計数処理を行うようにしてもよい。一時保留部51に収納していたリジェクト紙幣は、出金処理において払い出された紙幣が出金口231から取り除かれた後で、出金口231に払い出し、計数処理の際に、その紙幣を投入口211に投入するようにしてもよい。また、リジェクト紙幣のみついての計数処理の結果に基づいて、収納モジュール31の在高を、手動で又は自動で、更新してもよい。特にリジェクト紙幣が、再度、識別不可と識別されたようなときには、オペレータが手動で、収納モジュール31の在高を更新してもよい。
【0111】
ここに開示する技術が適用される入出金機は、テラーカウンター用の入出金機には限定されない。例えば店舗等において、売上金を入金するための入出金機に、本技術を適用してもよい。
【0112】
また、ここに開示する技術は、紙幣の入金及び出金を行う入出金機ではなく、収容している紙幣の払い出しを行う出金機に適用してもよい。また、紙幣に限定されず、硬貨の入出金機若しくは出金機、又は、紙幣及び硬貨の入出金機若しくは出金機に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0113】
以上説明したように、ここに開示した貨幣処理装置は、貨幣の管理を適切に行い得る点で、紙幣や硬貨の入出金機及び出金機に適用することができる。
【符号の説明】
【0114】
1 入出金機(貨幣処理装置)
23 出金部
25 識別部
3 収納部
31 収納モジュール
513 制御部
59 記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣の出金処理と前記貨幣の計数処理とを少なくとも行う貨幣処理装置であって、
前記貨幣を収納すると共に、収納している貨幣を繰り出すよう構成された収納部と、
前記貨幣が正常貨幣であるかリジェクト貨幣であるかの識別を少なくとも行うよう構成された識別部と、
前記貨幣を払い出すよう構成された出金部と、
前記出金処理時には、前記収納部から必要数の貨幣を繰り出し、その各貨幣を前記識別部によって識別し、その識別後の貨幣を前記出金部に払い出すよう構成された制御部と、を備え、
前記制御部は、前記出金処理時に、前記識別部がリジェクト貨幣を識別したときには、少なくとも当該リジェクト貨幣を前記出金部に払い出すと共に、その後に、前記出金部に払い出された前記貨幣の計数を行うための前記計数処理に移行する貨幣処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記出金処理後の前記計数処理時には、前記出金部に払い出された貨幣の計数を前記識別部によって行った後に、その貨幣を前記出金部に払い出す請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記出金処理後の前記計数処理時には、前記出金部に払い出された貨幣の計数を前記識別部によって行った後に、その貨幣を前記収納部に収納する請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
前記計数処理時に発生したリジェクト貨幣に関する情報を記憶する記憶部をさらに備えている請求項3に記載の貨幣処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記計数処理の計数結果に基づいて、前記出金処理後の前記収納部の在高を確定する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の貨幣処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記出金処理後の前記計数処理と共に、前記収納部の在高を確定させる精査処理を行いかつ、前記計数処理の計数結果と、前記精査処理の精査結果と、前記出金処理前の前記収納部の在高との照合を行う請求項1乃至4のいずれか1項に記載の貨幣処理装置。
【請求項1】
貨幣の出金処理と前記貨幣の計数処理とを少なくとも行う貨幣処理装置であって、
前記貨幣を収納すると共に、収納している貨幣を繰り出すよう構成された収納部と、
前記貨幣が正常貨幣であるかリジェクト貨幣であるかの識別を少なくとも行うよう構成された識別部と、
前記貨幣を払い出すよう構成された出金部と、
前記出金処理時には、前記収納部から必要数の貨幣を繰り出し、その各貨幣を前記識別部によって識別し、その識別後の貨幣を前記出金部に払い出すよう構成された制御部と、を備え、
前記制御部は、前記出金処理時に、前記識別部がリジェクト貨幣を識別したときには、少なくとも当該リジェクト貨幣を前記出金部に払い出すと共に、その後に、前記出金部に払い出された前記貨幣の計数を行うための前記計数処理に移行する貨幣処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記出金処理後の前記計数処理時には、前記出金部に払い出された貨幣の計数を前記識別部によって行った後に、その貨幣を前記出金部に払い出す請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記出金処理後の前記計数処理時には、前記出金部に払い出された貨幣の計数を前記識別部によって行った後に、その貨幣を前記収納部に収納する請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
前記計数処理時に発生したリジェクト貨幣に関する情報を記憶する記憶部をさらに備えている請求項3に記載の貨幣処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記計数処理の計数結果に基づいて、前記出金処理後の前記収納部の在高を確定する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の貨幣処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記出金処理後の前記計数処理と共に、前記収納部の在高を確定させる精査処理を行いかつ、前記計数処理の計数結果と、前記精査処理の精査結果と、前記出金処理前の前記収納部の在高との照合を行う請求項1乃至4のいずれか1項に記載の貨幣処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−198764(P2012−198764A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62501(P2011−62501)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】
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