説明

販売データ処理装置

【課題】表示器と本体との通信を、有線と無線とで切り替えることを可能とする。
【解決手段】販売データ処理装置1は、本体と着脱可能に接続する店員用表示器3、客用表示器4と、店員用表示器3、客用表示器4と本体との間の通信を有線又は無線で行う通信部37と、店員用表示器3、客用表示器4と本体との間の有線の接続の有無を検知する検知回路38と、検知された有線の接続の有無に応じて、有線又は無線による通信を切り替える切替回路36とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、販売データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レストラン、スーパーマーケット等の店舗では、会計処理を行う商品登録をPOS(Point Of Sale)端末などの販売データ処理装置で行っている。この販売データ処理装置には、登録した商品などの情報を表示する表示器を本体と分離して用いるものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の販売データ処理装置では、有線又は無線のいずれか一方で本体と表示器とが接続されているため、業務形態に応じて有線又は無線の特徴を生かした表示器の配置を行うことができなかった。例えば、有線で接続している場合には、帯域等の制約がないことから高精細な映像を表示できる。また、無線で接続している場合には、配線が不要となるためレイアウトが自在となる。したがって、高精細な映像を表示器で表示させたい場合には有線に切り替えて使用し、表示器のレイアウトを自在としたい場合には無線に切り替えて使用するなど、業務形態に応じて有線と無線とを切り替えて用いたいという要望があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、実施形態の販売データ処理装置は、本体と着脱可能に接続する表示器と、前記表示器と前記本体との間の通信を有線で行う有線通信手段と、前記表示器と前記本体との間の通信を無線で行う無線通信手段と、前記表示器と前記本体との間の有線の接続の有無を検知する接続検知手段と、検知された前記有線の接続の有無に応じて、前記有線通信手段又は前記無線通信手段による通信を切り替える切替手段と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、実施形態にかかる販売データ処理装置の概略を説明する概念図である。
【図2】図2は、実施形態にかかる販売データ処理装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる販売データ処理装置の詳細を説明する。
【0007】
図1は、実施形態にかかる販売データ処理装置1の概略を説明する概念図である。図1に示すように、販売データ処理装置1は、いわゆるPOS端末であり、現金等を収容するためのドロワ12の上に載置されており、このドロワ12の引出し12aの開閉を制御する。販売データ処理装置1の正面側には、登録、点検、精算、設定などの各種業務モードを選択するためのモードキー14が設けられている。また、販売データ処理装置1の正面に設けられたキーボード13には、オペレータ(店員)が、例えば預かり金額などを置数するための置数キーや、1商取引として販売登録が行われた商品の合計出力を指示する現計キーなど、各種操作入力を行うための操作キーが配置されている。また、キーボード13に近接する位置には、会員カードやクレジットカード等の磁気カード2に記憶された各種磁気情報を読み取るカードリーダ11が設けられている。
【0008】
販売データ処理装置1には、商品などに付与されたバーコードを読取るためのスキャナ19が接続されている。また、販売データ処理装置1には、正面側には店員に向けて情報を表示する店員用表示器3が、背面側には客に向けて情報を表示する客用表示器4が取り付けられている。店員用表示器3及び客用表示器4では、販売登録された商品の品名、価格や、販売登録の終了が宣言された1商取引の合計金額、釣銭額などの情報をLCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイ15、16に表示する。ディスプレイ15、16の表面にはタッチパネル25、26が設けられており、タッチ入力が可能となっている。
【0009】
また、店員用表示器3及び客用表示器4は、有線による通信や電源供給を行う接続端子等を有するドック(いずれも図示しない)に載置することで、販売データ処理装置1の本体と着脱可能に接続している。具体的には、ドックに載置された場合、販売データ処理装置1の本体にある接続端子等である有線接続部371(図2参照)と、店員用表示器3及び客用表示器4の接続端子等である有線接続部401(図2参照)とが接続することで、表示やタッチ操作にかかる通信や、本体側からの電源供給などが有線で行われる。
【0010】
また、店員用表示器3及び客用表示器4は、販売データ処理装置1の本体から取り外した際には、台座5に載置して使用される。この場合、店員用表示器3及び客用表示器4は、内蔵している電源部44(図2参照)からの電源供給で駆動する。具体的には、店員用表示器3及び客用表示器4は、本体側からの電源供給等で充電される二次電池(図示しない)や、ACアダプタ6を介して接続する商用電源7からの電力を電源部44が各部に分配して駆動する。
【0011】
また、販売データ処理装置1は、レシート、ジャーナルやクーポン券等を印字するプリンタ17を内蔵している。プリンタ17によって印字されたレシートやジャーナルは販売データ処理装置1の正面側に形成されたレシート発行口18から発行される。
【0012】
図2は、実施形態にかかる販売データ処理装置1の構成を示すブロック図である。図2に示すように、販売データ処理装置1は、図1に例示した構成の他、制御部30、ドロワ制御回路31、プリンタ制御回路32、スキャナ制御回路33、カードリーダ制御回路34、キーボード制御回路35、切替回路36、通信部37、検知回路38、電源部39を備える。なお、以下の説明では、店員用表示器3及び客用表示器4を一つ構成で示しているが、店員用表示器3及び客用表示器4は互いに独立した構成である。すなわち、販売データ処理装置1の本体側と、店員用表示器3及び客用表示器4との間における通信は互いに独立して行われている。
【0013】
制御部30は、CPU301(Central Processing Unit)、ROM302(Read Only Memory)、RAM303(Random Access Memory)を備え、販売データ処理装置1の動作を中央制御する。具体的には、CPU301がROM302に記憶されたプログラムをRAM303の作業領域に展開して順次実行することで、各部を制御する制御信号を出力する。
【0014】
ドロワ制御回路31は、制御部30の制御の下、ドロワ12における引出し12aの開閉を制御する。プリンタ制御回路32は、制御部30の制御の下、プリンタ17におけるレシート、ジャーナルやクーポン券等の印字を制御する。スキャナ制御回路33は、スキャナ19の読み取りを制御し、スキャナ19で読み取ったバーコードを制御部30へ出力する。カードリーダ制御回路34は、カードリーダ11の読み取りを制御し、カードリーダ11により磁気カード2から読み取った磁気情報を制御部30へ出力する。キーボード制御回路35は、キーボード13で受け付けたユーザの操作を制御部30へ出力する。
【0015】
切替回路36は、制御部30の制御の下で駆動する切替スイッチなどであり、通信部37における有線での通信と、無線での通信とを切り替える。通信部37は、制御部30の制御の下、店員用表示器3や客用表示器4との間のデータ通信を行う。具体的には、通信部37は、店員用表示器3や客用表示器4との間の通信を有線で行う有線接続部371と、店員用表示器3や客用表示器4との間の通信を無線で行う無線通信部372とを備える。
【0016】
有線接続部371は、店員用表示器3や客用表示器4が前述したドックに設置された際に接続する接続端子、及びその接続端子と制御部30とを導通する信号線等であり、制御部30からのデータや電源部39から供給される電源を有線で伝送する。無線通信部372は、制御部30の制御の下、所定の通信プロトコルに従って所定の周波数で通信部40の無線通信部402との間の無線通信を行う。例えば、店員用表示器3や客用表示器4で表示を行う表示データについては、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)等の規格で通信が行われる。また、店員用表示器3や客用表示器4でのタッチ操作についてはUSB(Universal Serial Bus)等の規格で通信が行われる。なお、無線通信部372、402との間の無線通信については、表示データは無線HDMI等の規格で、タッチ操作は無線USB等の規格で通信が行われる。
【0017】
検知回路38は、販売データ処理装置1の本体と、店員用表示器3や客用表示器4との間の有線の接続の有無を検知する。具体的には、有線接続部371と有線接続部401とが接続することで形成される回路の断線を検知することで、有線の導通の有無を検知する。電源部39は、制御部30の制御の下、販売データ処理装置1の各部への電源供給を行う電源回路である。
【0018】
なお、電源部39は、本体と、店員用表示器3や客用表示器4との間の有線の接続が無いことが検知回路38により検知された場合、有線接続部371への電源供給を停止する。また、電源部39は、本体と、店員用表示器3や客用表示器4との間の有線の接続が有ることが検知回路38により検知された場合、有線接続部371への電源供給を開始する。これにより、販売データ処理装置1では、店員用表示器3や客用表示器4が有線で接続されている場合にのみ、有線接続部371への電源供給が行われることとなる。
【0019】
店員用表示器3及び客用表示器4は、図1に例示した構成の他、通信部40、ディスプレイ表示回路41、タッチパネル制御回路42、検知回路43、電源部44を備える。
【0020】
通信部40は、本体側との間で表示やタッチ操作にかかるデータ通信を行う。具体的には、通信部40は、販売データ処理装置1の本体側との通信を有線で行う有線接続部401と、本体側との通信を無線で行う無線通信部402とを備える。有線接続部401は、有線接続部371と同様、ドックに設置された際に接続する接続端子等であり、販売データ処理装置1の本体側から有線で伝送されるデータや電源を受け付ける。無線通信部402は、無線通信部372と同様、所定の通信プロトコルに従って所定の周波数で、販売データ処理装置1の本体との間の無線通信を行う。
【0021】
ディスプレイ表示回路41は、通信部40により販売データ処理装置1の本体側より伝送された表示データをもとに、ディスプレイ15、16の表示を行う。タッチパネル制御回路42は、タッチパネル25、26のタッチ操作に応じた操作信号を通信部40へ出力する。通信部40に出力された操作信号は有線又は無線により販売データ処理装置1の本体側へ伝送される。
【0022】
検知回路43は、有線接続部371、401を介して販売データ処理装置1の本体から供給される電源の有無を検知する。電源部44は、店員用表示器3及び客用表示器4の各部への電源供給を行う電源回路である。電源部44は、有線接続部401より本体側から供給される電源を各部へ分配する回路の他、本体側から供給される電源が無くなった場合に独立して電源を供給するための二次電池や、ACアダプタ6と接続する電源端子などを備える。電源部44は、検知回路43の検知結果をもとに、販売データ処理装置1の本体から電源の供給が無くなった場合は、二次電池や電源端子に接続するACアダプタ6から供給される電源を各部へ分配する。これにより、店員用表示器3及び客用表示器4は、販売データ処理装置1の本体側との有線による接続が切れる場合であっても、独立して駆動することが可能である。
【0023】
制御部30は、検知回路38の検知結果に応じて、販売データ処理装置1の本体と、店員用表示器3や客用表示器4との間の有線の接続が有る場合、販売データ処理装置1の本体と、店員用表示器3や客用表示器4との間の通信を、切替回路36により有線接続部371を介して有線で行うように切り替える。また、制御部30は、検知回路38の検知結果に応じて、販売データ処理装置1の本体と、店員用表示器3や客用表示器4との間の有線の接続が無い場合、販売データ処理装置1の本体と、店員用表示器3や客用表示器4との間の通信を、切替回路36により無線通信部372を介して無線で行うように切り替える。したがって、販売データ処理装置1では、本体側と店員用表示器3や客用表示器4との通信を有線又は無線で切り替えて行うことが可能であり、業務形態に応じて有線と無線とを切り替えて用いることができる。例えば客用表示器4を本体から外して運用する場合には、本体と客用表示器4との間の通信が無線に切り替えられることから、そのレイアウトが自在となる。
【0024】
また、制御部30は、検知回路38の検知結果に応じて、販売データ処理装置1の本体と、店員用表示器3や客用表示器4との間の有線の接続の有無で店員用表示器3や客用表示器4における表示を切り替えてもよい。具体的には、販売データ処理装置1の本体と、店員用表示器3や客用表示器4との間の有線の接続が有る場合は、店員用表示器3や客用表示器4には販売登録された商品の品名、価格や、販売登録の終了が宣言された1商取引の合計金額、釣銭額などの会計処理に関する情報を表示する。そして、販売データ処理装置1の本体と、店員用表示器3や客用表示器4との間の有線の接続が無い場合は、ROM302などに予め設定されたコマーシャル画面等の販売促進にかかる情報を有線で接続されていない側の表示器に表示する。このように、販売データ処理装置1の本体と、店員用表示器3や客用表示器4との間の有線の接続の有無で店員用表示器3や客用表示器4における表示を切り替えることで、例えば客用表示器4を本体から分離して客の目につきやすい位置に設置する場合には、販売促進にかかる情報を客に提供するなどの運用を行うことができる。
【0025】
なお、本実施形態では店員用表示器3及び客用表示器4が取り外し可能な構成を例示したが、店員用表示器3及び客用表示器4の少なくとも一方が取り外し可能であればよく、取り外し可能なレイアウトは実施形態に限定しない。
【符号の説明】
【0026】
1…販売データ処理装置、2…磁気カード、3…店員用表示器、4…客用表示器、5…台座、6…ACアダプタ、7…商用電源、11…カードリーダ、12…ドロワ、12a…引出し、13…キーボード、14…モードキー、15…ディスプレイ、16…ディスプレイ、17…プリンタ、18…レシート発行口、19…スキャナ、25…タッチパネル、26…タッチパネル、30…制御部、31…ドロワ制御回路、32…プリンタ制御回路、33…スキャナ制御回路、34…カードリーダ制御回路、35…キーボード制御回路、36…切替回路、37…通信部、38…検知回路、39…電源部、40…通信部、41…ディスプレイ表示回路、42…タッチパネル制御回路、43…検知回路、44…電源部、301…CPU、302…ROM、303…RAM、371…有線接続部、372…無線通信部、401…有線接続部、402…無線通信部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特開2004−310246公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と着脱可能に接続する表示器と、
前記表示器と前記本体との間の通信を有線で行う有線通信手段と、
前記表示器と前記本体との間の通信を無線で行う無線通信手段と、
前記表示器と前記本体との間の有線の接続の有無を検知する接続検知手段と、
検知された前記有線の接続の有無に応じて、前記有線通信手段又は前記無線通信手段による通信を切り替える切替手段と、
を備えることを特徴とする販売データ処理装置。
【請求項2】
前記切替手段は、前記接続検知手段により前記有線の接続があることが検知された場合には前記有線通信手段による通信に切り替え、前記接続検知手段により前記有線の接続が無くなったことが検知された場合には前記無線通信手段による通信に切り替えること、
を特徴とする請求項1に記載の販売データ処理装置。
【請求項3】
前記表示器は、ユーザの操作を受け付けるタッチパネルを更に備え、
前記有線通信手段及び前記無線通信手段は、前記表示器において表示する情報にかかる通信と、前記タッチパネルにより受け付けられた操作にかかる通信とを行うこと、
を特徴とする請求項1又は2に記載の販売データ処理装置。
【請求項4】
前記切替手段による通信の切り替えに応じて、前記表示器への表示の切り替えを行う制御手段を更に備えること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の販売データ処理装置。
【請求項5】
前記表示器は、店員への情報を表示する店員用表示器及び客への情報を表示する客用表示器の少なくとも一方であること、
を特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の販売データ処理装置。
【請求項6】
前記表示器は、
前記本体から供給される電源の有無を検知する電源検知手段と、
前記電源検知手段により前記本体から供給される電源が無くなったことが検知された場合に、前記本体から独立して電源供給を行う電源手段とを更に備えること、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の販売データ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−137979(P2012−137979A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290570(P2010−290570)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】