説明

販売情報管理装置、販売情報管理システム及び販売情報管理方法

【課題】省電力通電モード等に変更した場合でも、装置全体の動作等が不安定になり難い販売情報管理装置等を提供すること。
【解決手段】商品等の販売関連情報を管理する販売情報管理装置の通常の動作電力を供給する通常電力モードと、当該販売情報管理装置の動作電力を低減させる電力低減モードと、これらのモードの切り替え条件である切替条件情報を記憶する切替条件記憶部26と、切替条件情報に基づいて、通常電力モード及び電力低減モードを切り替える切替部28と、を有し、電力低減モードでは、当該販売情報管理装置の基本的動作機能管理部の動作電力を低減モードにすることが含まれている販売情報管理装置10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、商品等を販売等する店舗等の販売情報管理装置、販売情報管理システム及び販売情報管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、商品等を販売等する店舗等の販売情報を管理するため、例えば、POS(Point of sale system)装置と呼ばれる、販売時点情報管理装置が各店舗等に設置され、各店舗等の売り上げ等のデータが管理されている。
このような、POS装置は、各店舗の売り上げ等を管理しているため、店舗等が営業等している間は必ず稼動等させる必要があり、どうしても使用する消費電力が増加する傾向にあった。
そこで、かかるPOS装置の消費電を減少させるために、POS装置が一定時間、不使用の場合に、通常の通電状態から自動的に省電力通電状態に切り換わる装置等が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006―252249公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、販売情報管理装置である例えば、POS装置を単純に省電力通電状態に変更し、消費電力を小さくすると、POS装置全体の動作が不安定となり、同装置が記憶している売上げ等データに問題が発生するおそれがあり、このおそれは売上げデータを処理しているPOS装置の性質上、看過できない問題となっていた。
【0005】
そこで、本発明は、省電力通電モード等に変更した場合でも、装置全体の動作等が不安定になり難い販売情報管理装置、販売情報管理システム及び販売情報管理方法を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的は、本発明にあっては、商品等の販売関連情報を管理する販売情報管理装置であって、当該販売情報管理装置の通常の動作電力を供給する通常電力モードと、当該販売情報管理装置の動作電力を低減させる電力低減モードと、これらのモードの切り替え条件である切替条件情報を記憶する切替条件記憶部と、前記切替条件情報に基づいて、前記通常電力モード及び電力低減モードを切り替える切替部と、を有し、前記電力低減モードでは、当該販売情報管理装置の基本的動作機能管理部の動作電力を低減モードにすることが含まれていることを特徴とする販売情報管理装置により達成される。
【0007】
前記構成によれば、電力低減モードでは、当該販売情報管理装置の基本的動作機能管理部の動作電力を低減モードにすることが含まれている。
したがって、電力低減モードでは、例えば、当該販売情報管理装置で使用される多くのアプリケーションソフトウエアが共通して利用する基本的機能を提供するOS(Operating System)等の基本的動作機能管理部への電力供給等も低減される。
従来は、販売情報管理装置を電力低減モードにする際に、OS等への電力供給は、そのままで、OS等に対してデータ等を提供するBIOS(Basic Input/Output System)等を介して電力制御をし、電力を低減していた。
これでは、十分に電力が供給されているOS等と電力が低減されている他の部分との間で動作に不具合等が発生し、販売情報管理装置全体の動作の不安定を招くおそれがあった。
そして、これは、販売情報管理装置が管理している販売データ等の販売関連情報に悪い影響を与え、データに問題を与えるおそれがあることを意味し、極めて重要な問題であった。そこで、従来は、かかる問題があるため、POS(Point of sale system)装置等の販売情報管理装置に電力低減モードを採用することに躊躇することが多かった。
【0008】
しかし、本発明では、電力低減モードで、OS等も同様に電力が低減されるので、販売情報管理装置全体の動作の不安定を招くことなく、同装置が記憶している売上げ等データに問題が発生するおそれがない。このため、店舗等にとって極めて重要な機器であるPOS装置等の販売情報管理装置に対しても電力低減モードを導入し易い構成となっている。
【0009】
好ましくは、前記販売関連情報には、領収金額に関する明細情報である領収金額明細情報を含み、前記領収金額明細情報を印字する領収金額明細印刷装置と、操作者による入力情報が入力される入力装置と、を有し、前記切替条件情報が、少なくとも、前記領収金額明細印刷装置の動作終了情報の時刻情報である領収金額明細印刷装置動作終了時刻情報及び/又は前記入力装置から入力された入力情報に基づく当該販売情報管理装置の他の動作が終了したときの時刻情報である他の動作終了時刻情報から一定期間経過したときに適用される経過時間情報であって、前記切替部は、当該販売情報管理装置が前記領収金額明細印刷装置動作終了時刻情報又は前記他の動作終了時刻情報、及び前記経過時間情報に基づいて前記通常電力モードを前記電力低減モードに変更するか否かを判断すると共に、前記電力低減モードで当該販売情報管理装置が動作を開始した動作開始情報に基づいて、前記電力低減モードを前記通常電力モードに変更し、当該販売情報管理装置は、前記動作開始情報の時刻情報である動作開始時刻情報を取得し、前記領収金額明細印刷装置動作終了時刻情報又は前記他の動作終了時刻情報と前記動作開始時刻情報に基づき、経過時間の候補情報である経過時間候補情報を生成し、前記経過時間情報と前記経過時間候補情報に基づいて、新たな経過時間情報である新経過時間情報を生成し、前記経過時間情報を前記新経過時間情報に更新し、前記切替部が、前記新経過時間情報に基づいて、前記通常電力モードを前記電力低減モードに変更するか否かを判断することを特徴とする。
【0010】
前記構成によれば、切替条件情報が、少なくとも、領収金額明細印刷装置の動作終了情報の時刻情報である領収金額明細印刷装置動作終了時刻情報及び/又は入力装置から入力された入力情報に基づく当該販売情報管理装置の他の動作が終了したときの時刻情報である他の動作終了時刻情報から一定期間経過したときに適用される経過時間情報となっている。
すなわち、前記構成では、例えば、レシートプリンタの動作終了時刻である領収金額明細印刷装置動作終了時刻情報を基準として、一定時間経過したか否かを判断する。
これは、POS装置等の販売情報管理装置、特有の動作終了イベントであり、POS装置等の場合、このイベントにより、明確且つ容易に、その動作が終了したことを把握できる。
したがって、かかるイベントを基準とすることで、簡易且つ的確に、その動作の終了を把握することができる。
【0011】
前記構成では、経過時間情報と経過時間候補情報に基づいて、新たな経過時間情報である新経過時間情報を生成し、経過時間情報を新経過時間情報に更新し、切替部が、新経過時間情報に基づいて、通常電力モードを電力低減モードに変更するか否かを判断する。
したがって、例えば、POS装置等の販売情報管理装置の領収金額明細印刷装置等の動作が停止してから、動作開始情報を取得して電力低減モードに変更するまでの時間である経過時間情報を実際の動作停止時間に基づいて修正することができる。
したがって、POS装置等の販売情報管理装置を配置している各店舗等の事情に応じた的確な経過時間に近づけるべく、経過時間は新経過時間で常に更新されることになる。
【0012】
好ましくは、前記基本的動作機能管理部が、当該販売情報管理装置で使用される多くのアプリケーションソフトウエアが共通して利用する基本的機能を提供するOS(operation system)であり、前記電力低減モードでは、すなわち、表示部及びCPU(Central Processing Unit)を含む前記OSの動作を省電力モードとし、前記領収金額明細印刷装置、ハードディスク及びドロワーへの動作は省電力モードとしないことを特徴とする。
【0013】
前記構成によれば、電力低減モードでは、すなわち、表示部及びCPU(Central Processing Unit)を含むOSの動作を省電力モードとし、領収金額明細印刷装置、ハードディスク及びドロワーへの動作は省電力モードとしない構成となっている。
したがって、POS装置等の販売情報管理装置の動作のうち省電力可能な部分については、省電力モードとし、省電力が困難な部分を省電力モードに含めないこととすることで、販売情報管理装置の基本的な機能の動作に障害が生じない状態で、省電力を図ることができる。
【0014】
好ましくは、前記新経過時間情報が、前記経過時間情報と前記経過時間候補情報に基づく、平均値情報及びその標準偏差情報を含むことを特徴とする。
【0015】
前記構成によれば、新経過時間情報が、経過時間情報と経過時間候補情報に基づく、平均値情報及びその標準偏差値情報を含んでいる。
このため、標準偏差値情報の設定を変更することで、新経過時間情報を容易且つ的確に調整することができるので、容易に各店舗等の実情に合致した新経過時間情報とすることができる。
【0016】
好ましくは、前記電力低減モードでは、前記表示部の電源を切断状態又は、前記表示部の輝度が低下する状態すると共に、前記CPUの動作を停止する命令情報の基底値を上げ、実行され易い状態とすることを特徴とする。
【0017】
好ましくは、前記販売情報管理装置の前記販売関連情報を取得し、管理する販売関連情報管理装置を有する販売情報管理システムであって、前記動作開始時刻情報は、前記入力装置の前記入力情報が入力されたときの時刻情報及び前記販売情報管理装置が、前記販売関連情報を前記販売関連情報管理装置に送信したときの時刻情報を含むことを特徴とする。
【0018】
前記構成によれば、前記動作開始時刻情報は、前記入力装置の前記入力情報が入力されたときの時刻情報及び前記販売情報管理装置が、前記販売関連情報を前記販売関連情報管理装置に送信したときの時刻情報を含む。
このため、操作者が入力装置を用いてデータ等を入力した場合だけでなく、例えば、自動的に販売情報管理装置の販売関連情報が販売関連情報管理装置に送信される場合も、電力低減モードから通常電力モードに変更される。
このため、例えば、操作者の操作でなく、自動的に販売関連情報が販売関連情報管理装置に送信される場合でも、通常電力モードに変更されるので、売上げ等の重要な販売関連情報の送信に支障等が生じることを未然に防止することができる。
【0019】
前記目的は、本発明によれば、商品等の販売関連情報を管理する販売情報管理方法であって、当該販売情報管理装置の通常の動作電力を供給する通常電力モードと、当該販売情報管理装置の動作電力を低減させる電力低減モードと、を有し、これらのモードの切り替え条件である切替条件情報に基づいて、前記通常電力モード及び電力低減モードを切り替え、前記電力低減モードでは、当該販売情報管理装置の基本的動作機能管理部の動作電力を低減モードにすることが含まれていることを特徴とする販売情報管理方法により達成される。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、省電力通電モード等に変更した場合でも、装置全体の動作等が不安定になり難い販売情報管理装置、販売情報管理システム及び販売情報管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の販売情報管理システムである例えば、POSシステムを示す概略図である。
【図2】POS装置の主なハードウエア構成等を示す概略図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかるPOSシステムの主な動作等を示す概略フローチャートである。
【図4】平均値と標準偏差値との関係を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0023】
図1は、本発明の販売情報管理システムである例えば、POS(Point of sale system)システム1を示す概略図である。
図1に示すように、POSシステム1は、販売情報管理装置である例えば、POS装置(販売時点情報管理装置)10と販売関連情報管理装置である例えば、POS管理サーバ2を有し、これら相互に通信可能な構成となっている。
すなわち、POS装置10は、商品等の販売等を行う店舗等に設置され、この店舗のPOS装置10に入力された販売関連情報である例えば、販売データ等は、通信によりPOS管理サーバ2へ送信される。すなわち、POS管理サーバ2は、各店舗のPOS装置10から取得した販売データ等を管理することができる構成となっている。
【0024】
図2は、POS装置10の主なハードウエア構成等を示す概略図である。また、POS管理サーバ2もコンピュータ等を有するが、ここでは、図2のPOS装置10を例に、その構成を説明する。
図2に示すように、POS装置10は、コンピュータを有し、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、ROM(Read Only Memory)13やハードディスク14等を有し、バス15を介して接続されている。
【0025】
また、図2に示すように、各種データを表示する表示部である例えば、ディスプレイ16やPOS装置10の操作者が各種データを入力する入力装置17もバス15に接続されている。
この入力装置17は、具体的には、バーコードを読み込むスキャナ、キーボード等に配置されている操作ボタン、ディスプレイ16に接触することでデータの入力ができるタッチパネル及びカード等の磁気データ等を読み取るカードスキャナ等を含んでいる。
【0026】
さらに、領収金額書明細印刷装置である例えば、レシートプリンタ18もバス15に接続されている。
このレシートプリンタ18は、店舗に来訪した顧客が商品を購入した際、POS装置10の操作者が入金データを入力装置13で入力し、処理が終了すると領収金額等が印字等されるもので、入金後の一連の処理が終了した段階で動作等するという特徴を有している。
また、現金等を収納する引き出しであるドロワー19、時刻データを生成する時計等の計時装置20、図1のPOS管理サーバ2と通信するための通信装置21等もバス15に接続されている。
【0027】
図1に示すように、POS装置10は、制御部22を有し,制御部22は図2に示すレシートプリンタ18、入力装置17、計時装置20、ディスプレイ16、ドロワー19及び通信装置21等を制御している。
【0028】
また、図1に示すようにPOS装置10は、各種処理部(プログラム)や記憶部等も制御するが、これら各種処理部(プログラム)や記憶部等の内容については、後述する。
【0029】
図3は、本発明の実施の形態にかかるPOSシステム1の主な動作等を示す概略フローチャートである。以下、本実施の形態を図3のフローチャートに沿って説明すると共に、図1及び図2の構成等についても説明する。
【0030】
店舗等に配置されているPOS装置10を操作者が操作している状態では、POS装置10は、電力の低減等を行わず、通常の電力を消費する通常電力モードで動作している。
具体的には、店舗等の顧客が商品を購入しようとすると、操作者である店員が図1のPOS装置10の入力装置17から金額等のデータを入力する。これにより、当該データはPOS装置10に記憶され、その結果がレシートプリンタ18から印字されて出力されることになる。
【0031】
このような状態で、図3のST1へ進む。ST1では、図1のレシートプリンタ18の動作が終了したか否かと、入力装置17による入力と、その後の一連の動作が終了したか否かが判断される。すなわち、POS装置10の動作が終了したか否かが判断される。
特に、POS装置10にとっては、その処理は通常、レシートプリンタ18により印字されたレシートを顧客に渡して終わりにすることが多いため、このレシートプリンタ18の動作が終了したか否かを判断することで、容易且つ明確にPOS装置10の動作が終了したか否かを判断することができる。
また、ST1の判断は、具体的には、図1の動作停止判断処理部(プログラム)23が動作して判断する。
【0032】
ST1で、レシートプリンタ18の動作が終了し、且つ入力装置17によるデータの入力と、その後の一連のPOS装置10の動作が終了したと判断された場合は、ST2へ進む。
ST2では、図1の条件該当時刻入力処理部(プログラム)24が動作して、図1の計時装置20を参照し、レシートプリンタ18の動作が終了し、及び/又は入力装置17によるデータの入力と、その後の一連のPOS装置10の動作が終了した時点の時刻データ(領収金額明細印刷装置動作終了時刻情報及び他の動作終了時刻情報の一例)を条件該当時刻データとして、図1の条件該当時刻データ記憶部25に記憶する。
【0033】
次いで、ST3へ進む。ST3では、待機開始時間が経過したか否かが判断される。すなわち、POS装置10の動作が終了した場合でも、直ぐに顧客からの入金等があれば、POS装置10は、再び動作を開始することになる。このとき、POS装置10が電力低減モードである例えば、省電力モードへ移行していると、動作の開始に時間がかかり円滑な動作が困難となる場合がる。
そこで、本実施の形態では、POS装置10は、その動作の停止により、直ちに省電力モードへ移行せず、一定時間が経過し、直ぐに動作を再開する可能性が低い場合のみ、省電力モードへ移行するように経過時間情報(切替条件情報)である例えば「待機開始時間」が経過したか否かを判断する構成となっている。
【0034】
本実施の形態の「待機開始時間」は、後述のように、POS装置10を配置している各店舗の事情(顧客が多く、混雑する傾向があり、頻繁にPOS装置10を操作するため「待機開始時間」を長く設定しておいた方が良い事情等)に応じて自動的に変更可能な構成となっている。
しかし、当該店舗等に設置された当初は「待機開始時間」例えば、2分間に設定されている。
具体的には、かかる「待機開始時間」データは、切替条件記憶部である例えば、図1の待機開始時間データ記憶部26に記憶され、待機開始時間判断処理部(プログラム)27が判断する。
【0035】
ST3で、待機開始時間が経過したか否かが判断され、待機開始時間が経過していないと判断された場合、例えば、2分間経過していない等と判断された場合は、ST4へ進む。
ST4では、レシートプリンタ18及び入力装置17が動作しているか否かが判断され、動作していないと判断された場合は、待機開始時間の経過を待ち、動作していると判断された場合は、ST1へ戻る。
【0036】
ST3で、待機開始時間、例えば、2分経過したと判断された場合は、ST5へ進む。ST5では、POS装置10を通常電力モードである例えば、通常モードから省電力モードへ切り替える。
具体的には、切替部である例えば、図1の待機開始処理鵜(プログラム)28が動作し、ディスプレイ16の電源をOFF状態又は輝度を低下させた状態にする。また、POS装置10の基本的機能動作管理部である例えば、POS装置10で使用される多くのアプリケーションソフトウエアが共通して利用するOS(Operating system)への電力供給等も低減される。
具体的には、POS装置10のCPU11の動作を停止する命令である例えば、Haltサイクルの基底値を上げ、クロック数や電圧を低下させた状態とする。
【0037】
従来、省電力モードでは、OSに対しての電力供給を低減せず、OS等に対してデータ等を提供するBIOS(Basic input/Output System)等を介して電力制御し、省電力をしていた。
これでは、十分に電力が供給されているOS等と電力が低減されている他の部分との間で動作に不具合等が発生し、POS装置10全体の動作の不安定を招くおそれがあった。
そして、これは、POS装置10が管理している販売データ等の販売関連情報に悪い影響を与え、データに問題を与えるおそれがあることを意味し、これは極めて重要な問題であった。そこで、従来は、かかる問題があるため、POS装置10に省電力モードを採用することに躊躇することが多かった。
【0038】
この点、本実施の形態では、省電力モードでは、OS等も同様に電力が低減されるので、POS装置10全体の動作の不安定を招くことなく、POS装置10が記憶している売上げ等データに問題が発生するおそれがない。このため、店舗等にとって極めて重要な機器であるPOS装置10に対しても省電力モードを導入し易い構成となっている。
【0039】
また、本実施の形態では、ST5の省電力モードでは、POS装置10のうち、図2のハードディスク14、レシートプリンタ18及びドロワー19は、省電力モードの対象外となっている。
すなわち、POS装置10の動作のうち省電力可能な部分については、省電力モードとし、省電力が困難な部分であるハードディスク14等を省電力モードに含めないこととすることで、POS装置10の基本的な機能の動作に障害が生じない状態で、省電力を図ることができる構成となっている。
【0040】
このように、POS装置10が省電力モードとなると、次いで、POS装置10が、再び動作を開始したか否かを判断する。
具体的にはST6で、POS装置10の図1の入力装置17に操作者が入力を行い、動作を開始したか否か又は、POS装置10が、図1のPOS管理サーバ2へ売上げデータ等の送信動作を開始したか否かを判断する。
これは、図1の動作開始処理判断部(プログラム)29が動作して判断する。
【0041】
ST6で、入力装置17に操作者が入力を行い、動作を開始し、又は、POS装置10が、POS管理サーバ2へ売上げデータ等の送信動作を開始したと判断した場合は、ST7へ進む。
ST7では、図1の動作開始時刻データ入力処理部(プログラム)30が動作し、図1の計時装置20を参照して、動作開始時刻情報である例えば、ST5の入力装置17に操作者が入力を行い、動作を開始した時刻データ、又は、POS装置10が、POS管理サーバ2へ売上げデータ等の送信動作を開始した時刻データを取得して、これらを動作開始時刻データとして、図1の動作開始時刻データ記憶部31に記憶する。
【0042】
次いで、ST8へ進む。ST8では、切替部である例えば、図1の待機解除処理部(プログラム)32が動作して、POS装置10の省電力モードを通常モードに切り替える。
すなわち、ディスプレイ16の電源をON状態又は輝度を通常に戻し、OSへの電力供給等も通常状態に復帰する。
これにより、POS装置10は、通常の全ての機能が通常通りに実行可能となる。したがって、本実施の形態では、必要な場合には、POS装置10の機能を通常状態で使用可能であると共に、必要性が低い場合は、自動的に省電力モードとし、電力の消費を抑えることができる。
【0043】
また、操作者が入力装置17を用いて売上げデータ等を入力した場合だけでなく、例えば、自動的にPOS装置10の売上げデータ等がPOS管理サーバ2に送信される場合も、省電力モードから通常モードに変更される。
このため、例えば、操作者の操作でなく、自動的に売上げデータ等がPOS管理サーバ2に送信される場合でも、通常モードに変更されるので、売上げ等の重要な販売関連情報の送信に支障等が生じることを未然に防止することができる。
【0044】
次いで、ST9へ進む。ST9では、図1の待機開始時刻データ更新処理部(プログラム)33が動作し、図1の動作開始時刻データ記憶部31の動作開始時刻データ(POS装置10が所定の動作を再開した時刻等)と、図1の条件該当時刻データ記憶部25の最新の条件該当時刻データ(POS装置10が所定の動作を休止した時刻等)から経過時間候補情報である例えば、動作休止時間データ(実際にPOS装置10が所定の動作を休止した時間等)を生成する。
そして、この動作休止時間データと図1の待機開始時間データ記憶部26の待機開始時間データを合算し、その平均値を求めると共に、標準偏差値を算出する。
【0045】
図4は、平均値と標準偏差値との関係を示す概略説明図である。図4には、平均値と標準偏差の広がりが示されている。
このように、本実施の形態では、この標準偏差値の値を適宜定めることで、平均値を含む一定の広がりを、その範囲とすることができる。
【0046】
そして、この標準偏差値の広がりに基づいて、新経過時間情報である例えば、新たな待機開始時間データを生成し、図1の待機開始時間データ記憶部26の待機開始時間データを更新する。
例えば、初期段階で、待機開始時間データが例えば、2分の場合で、上述の平均値が4分の場合、標準偏差値の値を適宜定めることで、例えば、3分30秒から4分30秒の間の範囲の数値を得ることができる。
【0047】
そこで、本実施の形態では、例えば、4分30秒を新たな待機開始時間データとし、待機開始時間データを更新することで、次回からは、POS装置10が所定の休止状態になっても、4分30秒経過しなければ、省電力モードへ移行しない構成とすることができる。
このため、当該店舗で、POS装置10の所定の休止状態から4分後に顧客が購入に来る場合でも、その直前にPOS装置10を省電力モードへ移行してしまうという不都合を未然に回避することができる。
また、本実施の形態では、この新たな待機開始時間データは、当該店舗の実際のPOS装置10の所定の動作の休止時間に基づいて定められ、待機開始時間データは、更新されるので、本実施の形態のシステム1を利用すればするほど、当該店舗におけるより的確な「待機開始時間データ」を生成することができる構成となっている。
【0048】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。
【符号の説明】
【0049】
1・・・POSシステム、2・・・POS管理サーバ、10・・・POS装置、11・・・CPU、12・・・RAM、13・・・ROM、14・・・ハードディスク、15・・・バス、16・・・ディスプレイ、17・・・入力装置、18・・・レシートプリンタ、19・・・ドロワー、20・・・計時装置、21・・・通信装置、22・・・制御部、23・・・動作停止判断処理部(プログラム)、24・・・条件該当時刻入力処理部(プログラム)、25・・・条件該当時刻データ記憶部、26・・・待機開始時間データ記憶部、27・・・待機開始時間判断処理部(プログラム)、28・・・待機開始処理鵜(プログラム)、29・・・動作開始処理判断部(プログラム)、30・・・動作開始時刻データ入力処理部(プログラム)、31・・・動作開始時刻データ記憶部、32・・・待機解除処理部(プログラム)、33・・・待機開始時刻データ更新処理部(プログラム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品等の販売関連情報を管理する販売情報管理装置であって、
当該販売情報管理装置の通常の動作電力を供給する通常電力モードと、
当該販売情報管理装置の動作電力を低減させる電力低減モードと、
これらのモードの切り替え条件である切替条件情報を記憶する切替条件記憶部と
前記切替条件情報に基づいて、前記通常電力モード及び電力低減モードを切り替える切替部と、を有し、
前記電力低減モードでは、当該販売情報管理装置の基本的動作機能管理部の動作電力を低減モードにすることが含まれていることを特徴とする販売情報管理装置。
【請求項2】
前記販売関連情報には、領収金額に関する明細情報である領収金額明細情報を含み、前記領収金額明細情報を印字する領収金額明細印刷装置と、
操作者による入力情報が入力される入力装置と、を有し、
前記切替条件情報が、少なくとも、前記領収金額明細印刷装置の動作終了情報の時刻情報である領収金額明細印刷装置動作終了時刻情報及び/又は前記入力装置から入力された入力情報に基づく当該販売情報管理装置の他の動作が終了したときの時刻情報である他の動作終了時刻情報から一定期間経過したときに適用される経過時間情報であって、
前記切替部は、当該販売情報管理装置が前記領収金額明細印刷装置動作終了時刻情報又は前記他の動作終了時刻情報、及び前記経過時間情報に基づいて前記通常電力モードを前記電力低減モードに変更するか否かを判断すると共に、
前記電力低減モードで当該販売情報管理装置が動作を開始した動作開始情報に基づいて、前記電力低減モードを前記通常電力モードに変更し、
当該販売情報管理装置は、前記動作開始情報の時刻情報である動作開始時刻情報を取得し、前記領収金額明細印刷装置動作終了時刻情報又は前記他の動作終了時刻情報と前記動作開始時刻情報に基づき、経過時間の候補情報である経過時間候補情報を生成し、
前記経過時間情報と前記経過時間候補情報に基づいて、新たな経過時間情報である新経過時間情報を生成し、前記経過時間情報を前記新経過時間情報に更新し、前記切替部が、前記新経過時間情報に基づいて、前記通常電力モードを前記電力低減モードに変更するか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の販売情報管理装置。
【請求項3】
前記基本的動作機能管理部が、当該販売情報管理装置で使用される多くのアプリケーションソフトウエアが共通して利用する基本的機能を提供するOS(operation system)であり、
前記電力低減モードでは、すなわち、表示部及びCPU(Central Processing Unit)を含む前記OSの動作を省電力モードとし、前記領収金額明細印刷装置、ハードディスク及びドロワーへの動作は省電力モードとしないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の販売情報管理装置。
【請求項4】
前記新経過時間情報が、前記経過時間情報と前記経過時間候補情報に基づく、平均値情報及びその標準偏差情報を含むことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の販売情報管理装置。
【請求項5】
前記電力低減モードでは、前記表示部の電源を切断状態又は、前記表示部の輝度が低下する状態すると共に、前記CPUの動作を停止する命令情報の基底値を上げ、実行され易い状態とすることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の販売情報管理装置。
【請求項6】
前記販売情報管理装置の前記販売関連情報を取得し、管理する販売関連情報管理装置を有する販売情報管理システムであって、
前記動作開始時刻情報は、前記入力装置の前記入力情報が入力されたときの時刻情報及び前記販売情報管理装置が、前記販売関連情報を前記販売関連情報管理装置に送信したときの時刻情報を含むことを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の販売情報管理システム。
【請求項7】
商品等の販売関連情報を管理する販売情報管理方法であって、
当該販売情報管理装置の通常の動作電力を供給する通常電力モードと、
当該販売情報管理装置の動作電力を低減させる電力低減モードと、を有し、
これらのモードの切り替え条件である切替条件情報に基づいて、前記通常電力モード及び電力低減モードを切り替え、
前記電力低減モードでは、当該販売情報管理装置の基本的動作機能管理部の動作電力を低減モードにすることが含まれていることを特徴とする販売情報管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−25712(P2013−25712A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162474(P2011−162474)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(595033942)株式会社ソリマチ技研 (3)
【Fターム(参考)】