説明

貫流ボイラ

【課題】高い増加率によりボイラの燃焼量を増加させることができると共に、高い減少率によりボイラの燃焼量を減少させることができる貫流ボイラを提供すること。
【解決手段】本発明の貫流ボイラ1は、上部管寄せ8と下部管寄せ6との間に複数の液管3を接続してなる缶体10と、液管3を可変の燃焼量で加熱するバーナ24と、バーナ24における燃焼量を制御する燃焼量制御手段25と、上部管寄せ8と下部管寄せ6との間に接続されて連通する気液分離器2と、気液分離器2における液位である分離器液位を制御する分離器液位制御手段12と、を備える。分離器液位制御手段12は、燃焼量制御手段25により燃焼量を増加させる場合に前記分離器液位を増加させ、燃焼量制御手段25により燃焼量を減少させる場合に前記分離器液位を減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫流ボイラに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気を生成するボイラとして、上部管寄せと下部管寄せとの間に複数の液管を接続してなる缶体を備える貫流ボイラが、一般的に使用されている。貫流ボイラにおいては、液管を加熱することにより生成した蒸気は、上部管寄せから取り出され、負荷側へ送られる。上部管寄せから取り出された蒸気には、缶水が混ざっており、缶水が混ざった蒸気は、水分が多く湿った品質の悪い蒸気となる。
【0003】
そのため、一般的に、貫流ボイラは、上部管寄せから取り出された蒸気から液体分(主として水分)を分離する気液分離器を備えている。この気液分離器における液位(以下「分離器液位」ともいう)が高すぎると、生成された蒸気に缶水が同伴されやすく、蒸気の乾き度が低下してしまう事態が生じる。一方、分離器液位が低すぎると、気液分離器の能力が十分発揮され、乾いた品質の良い蒸気が得られるが、液管内の液位が低いということも想定される。
液管内の液位が低いと、液管内で発生した泡の位置が低くなる。液管の上部に泡による水膜が形成されないと、液管の上部が火炎により過熱されて溶ける事態が生じる。
【0004】
そのため、生成された蒸気に混ざる缶水の増大を規制し且つ液管のヘッダ部分に水膜が形成される程度に液管内の液位を制御するために、気液分離器における液位を一定のレベルに制御するといったことが行われている。
【0005】
気液分離器における液位を一定のレベルに制御する手段として、気液分離器における液位(分離器液位)を検出し、この検出した液位により液管内に缶水を供給する給液ポンプをオン・オフする制御方法が知られている。このような分離器液位の制御方法は、気液分離器の液位に上限液位及び下限液位を設定し、上限液位を検出したときに給液ポンプをオフとし、下限液位を検出したときに給液ポンプをオンとする方法であり、気液分離器の液位を上限液位と下限液位との間に常に保つようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、気液分離器における液位が高すぎると、気液分離器に溜まっている水が蒸気に同伴されてしまい、水分を含んだ蒸気、即ち乾き度が低い蒸気となってしまう。そのため、上限液位は、気液分離器に溜まっている水が蒸気に同伴されない程度の高さの液位(この液位を「乾き度限界液位」ともいう)よりも若干低く設定される。
このように、貫流ボイラにおいては、気液分離器における液位を一定のレベルに制御することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−294204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、貫流ボイラにおいては、バーナの燃焼量に応じて缶体の液管における液位(以下「缶内液位」ともいう)の高さを制御する必要がある。例えば、バーナの燃焼量を増加させて、蒸気速度を増加させる場合には、缶内液位を低くする。一方、バーナの燃焼量を減少させて、蒸気速度を低下させる場合には、缶内液位を高くする。
【0009】
しかし、ボイラの燃焼量、すなわち蒸発速度に応じて分離器液位を一定に制御する技術には、例えば、以下の問題点がある。
分離器液位は、前述の通り、上限液位よりも若干低く設定されている。仮に、バーナの燃焼量を急速に増加させると、分離器液位が上限液位よりも高くなり、その結果、蒸気の乾き度を確保できなくなる。そのため、分離器液位が上限液位によりも高くならない程度に燃焼量の増加率(「燃焼移行速度」等とも呼ばれる)を抑えながら、ボイラを燃焼させる必要がある。
【0010】
従って、ボイラの燃焼量を増加させる場合に、高い増加率によりボイラの燃焼量を増加させることは困難である。そのため、高い増加率によりボイラの燃焼量を増加させることが望まれていた。
【0011】
一方、例えば、気液分離器における液位を蒸気速度が速い状態に合わせると、気液分離器における上限液位を低く設定することになり、この結果、蒸気速度が遅くなったときに、すなわちボイラの燃焼量を減少させる場合に、気液分離器における液位が上限液位にあっても、火炎により液管の上部が破損する事態が生じるおそれがある。
【0012】
従って、ボイラの燃焼量を減少させる場合に、高い減少率によりボイラの燃焼量を減少させることは困難である。そのため、高い減少率によりボイラの燃焼量を減少させることが望まれていた。
【0013】
本発明は、高い増加率によりボイラの燃焼量を増加させることができると共に、高い減少率によりボイラの燃焼量を減少させることができる貫流ボイラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上部管寄せと下部管寄せとの間に複数の液管を接続してなる缶体と、前記液管を可変の燃焼量で加熱するバーナと、該バーナにおける燃焼量を制御する燃焼量制御手段と、前記上部管寄せと前記下部管寄せとの間に接続されて連通する気液分離器と、該気液分離器における液位である分離器液位を制御する分離器液位制御手段と、を備え、前記分離器液位制御手段は、前記燃焼量制御手段により燃焼量を増加させる場合に前記分離器液位を増加させ、前記燃焼量制御手段により燃焼量を減少させる場合に前記分離器液位を減少させる貫流ボイラに関する。
【0015】
また、前記分離器液位制御手段は、前記燃焼量制御手段により燃焼量を増加させる場合に燃焼量の増加率の大小に応じて前記分離器液位の増加率を増減させ、前記燃焼量制御手段により燃焼量を減少させる場合に燃焼量の減少率の大小に応じて前記分離器液位の減少率を増減させることが好ましい。
【0016】
また、前記燃焼量制御手段は、燃焼量を増加させる場合に、燃焼量の増加に要する時間が、燃焼量の増加に伴って前記液管における液量が蒸発に要する時間よりも短くなるように、燃焼量を増加させることが好ましい。
【0017】
また、前記燃焼量制御手段は、燃焼量を増加させる場合に、燃焼量の増加に要する時間が、燃焼量の増加に伴って前記液管における液量が蒸発に要する時間よりも長くなるように、燃焼量を増加させることが好ましい。
【0018】
また、前記分離器液位の下限値と、該下限値に対応する前記バーナの燃焼量に対応する前記液管における液位とは略一致することが好ましい。
【0019】
また、前記気液分離器は、縦向き円筒状で、上部に蒸気出口管を有し且つ下部に分離液出口管を有する胴と、横向き円筒状で、前記胴の周側壁に対して接線方向に接続される蒸気入口管と、前記蒸気入口管から前記胴の内部へ導入される蒸気とこの蒸気が前記胴の内部で旋回されることで分離される液体とが衝突しないように、前記蒸気入口管から前記胴の内部へ蒸気が導入される蒸気導入部に設けられるガイド板と、前記蒸気入口管から導入される蒸気が前記胴に衝突した際に液体が跳ね上がらないように、前記ガイド板の上部に配置される蓋板と、を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、高い増加率によりボイラの燃焼量を増加させることができると共に、高い減少率によりボイラの燃焼量を減少させることができる貫流ボイラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態の貫流ボイラ1を示す概略構成図である。
【図2】貫流ボイラ1の分離器液位検出装置13における液位検出用電極棒20を示す一部断面正面図である。
【図3】気液分離器2を示す縦断面図である。
【図4】図3におけるA−A断面図である。
【図5】図3におけるB−B断面図である。
【図6】気液分離器2の内部構造を示す概略斜視図である。
【図7】高燃焼モードにおける気液分離器2及び缶体10それぞれにおける液位を模式的に示す図である。
【図8】低燃焼モードにおける気液分離器2及び缶体10それぞれにおける液位を模式的に示す図である。
【図9】高燃焼モード及び低燃焼モードにおける気液分離器2及び缶体10それぞれにおける液位の変化を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る貫流ボイラ1について説明する。図1は、本実施形態の貫流ボイラ1を示す概略構成図である。図2は、貫流ボイラ1の分離器液位検出装置13における液位検出用電極棒20を示す一部断面正面図である。
【0023】
図1に示すように、本実施形態の貫流ボイラ1は、上部管寄せ8と下部管寄せ6との間に複数の液管3を接続してなる缶体10と、液管3を可変の燃焼量で加熱するバーナ24と、バーナ24における燃焼量を制御する燃焼量制御手段としての燃焼量制御部25と、上部管寄せ8と下部管寄せ6との間に接続されて連通する気液分離器2と、気液分離器2における液位(「分離器液位」ともいう)を制御する分離器液位制御手段としての分離器液位制御部12と、を備える。
「液管」は、一般的に「水管」とも呼ばれる。「気液分離器」は、一般的に「気水分離器」とも呼ばれる。「液位」は、一般的に「水位」とも呼ばれる。
【0024】
缶体10は、円周方向へ所定の間隔で立設された複数の液管3と、この複数の液管3の下端に接続され、給液ポンプ4から給液管5を介して液体(主として、水)を導入し、複数の液管3へ供給する下部管寄せ6と、複数の液管3の上端に接続され、複数の液管3で生成された蒸気を集め、蒸気入口管7から負荷側へ送りだす上部管寄せ8と、複数の液管3により包囲されて形成される燃焼室9と、を主体として構成されている。
【0025】
バーナ24は、液管3を可変の燃焼量で加熱する。本実施形態においては、バーナ24は、燃焼量を「高燃焼モード」(出力100%)、「低燃焼モード」(出力20%)及び「停止モード」(出力0%)の3段階に段階的に変化させて、液管3を加熱する。
【0026】
バーナ24は、上部管寄せ8の中央部に、下方へ向けて火炎を放射可能に設けられる。バーナ24には、燃料及び燃焼用空気が供給される。バーナ24を作動させることで、缶体10において燃料の燃焼が行われる。その燃焼ガスは、各液管3の内部の液体(主として、水)と熱交換し、排ガスとして煙道(図示せず)から排出される。この間、燃焼ガスは、各液管3の内部の液体と熱交換し、各液管3の内部の液体を加熱する。これにより、上部管寄せ8から蒸気を取り出すことができる。その蒸気は、気液分離器2へ送られ、乾き度を向上された後、蒸気使用設備(図示せず)などの負荷側へ送られる。
【0027】
気液分離器2は、缶体10から排出される蒸気に対して気液分離を行う。気液分離器2は、上部管寄せ8と下部管寄せ6との間に接続されて連通する。気液分離器2の詳細については後述する。
【0028】
蒸気入口管7には、気液分離器2が接続されている。蒸気入口管7は、気液分離器2を介して蒸気を負荷側へ送り出す管であり、上部管寄せ8に接続されている。
気液分離器2と下部管寄せ6とは、分離液出口管11により接続されている。これにより、気液分離器2において蒸気から分離した液体分(主として、水分)が、分離液出口管11を介して下部管寄せ6に戻されるようになっている。
【0029】
気液分離器2には、上部連通管27及び下部連通管28を介して、分離器液位検出装置13が接続されている。また、分離器液位検出装置13には、分離器液位検出装置13の液位検出部23を介して、分離器液位制御部12が電気的に接続されている。
【0030】
分離器液位検出装置13は、気液分離器2における液位を検出する。分離器液位検出装置13は、気液分離器2に接続された金属製の容器19と、容器19に取り付けられる液位検出用電極棒20と、液位検出部23と、を備えている。図1及び図2に示すように、分離器液位検出装置13は、気液分離器2に接続される金属製の容器19と、液位検出用電極棒20の液位検出電極部21(後述)との間を通電することにより、気液分離器2における液位(分離器液位)を検出するようになっている。
【0031】
容器19は、上部連通管27を介して気液分離器2と連通し、下部連通管28を介して分離液出口管11と連通している。
液位検出用電極棒20は、容器19に取り付けられる。液位検出用電極棒20は、液位検出電極部21の表面に、誘電体となる絶縁被膜22が形成されて構成される。
【0032】
液位検出部23は、液位検出電極部21と容器19との間を通電することにより、液位検出電極部21と容器19との間に発生する静電容量を測定し、測定した静電容量を液位に変換して、容器19の内部の液位を検出する。液位検出部23は、検出された液位を分離器液位制御部12へ送信する。
【0033】
液位検出用電極棒20は、容器19の内部の液位を検出するための電極棒である。液位検出用電極棒20は、一端側に外部電源接続端子部29を有し、他端側に液位検出電極部21を有している。液位検出用電極棒20は、筒状の絶縁体30を介して容器19に保持されている。外部電源接続端子部29は、絶縁体30を介して、容器19の上側へ突出するように容器19に取り付けられている。また、液位検出電極部21は、絶縁体30を介して、容器19の内側へ突出するように容器19に取り付けられている。
【0034】
液位検出電極部21は、ステンレス合金から形成される。絶縁被膜22は、液位検出電極部21の表面に形成され、誘電体となる。絶縁被膜22は、耐熱性、耐高圧性及び耐薬品性の高いエンジニアリングプラスチックにより形成されている。
【0035】
エンジニアリングプラスチックとしては、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリアリルエーテルケトン等のケトン系合成樹脂材料が使用され、特に、耐熱性の高いポリエーテルエーテルケトンが好ましい。
【0036】
液位検出部23は、電源34と、測定回路部35と、液位検出回路部36とを主体として構成されている。液位検出部23は、電源34の一方を液位検出用電極棒20の外部電源接続端子部29に接続し且つ電源34の他方を容器19に接続した電源回路に、測定回路部35及び液位検出回路部36を接続した構成となっている。
【0037】
電源34は、交流電源から構成される。
測定回路部35は、通電により、液位検出電極部21の表面に形成された絶縁被膜22を誘電体として、液位検出電極部21と容器19との間の静電容量を測定する。
液位検出回路部36は、予め設定した静電容量と容器19の内部の液位との変換関係が記憶されるメモリを備えると共に、この変換関係に基づいて、測定回路部35において測定された静電容量を容器19の内部の液位に変換するプログラムを備えている。
【0038】
気液分離器2に対しては、液体の供給(給液)は直接行われず、缶体10の液管3の内部の液体が蒸発し、液体が湿り蒸気の状態で、気液分離器2に導入され、気液分離器2において気液分離が行われることで、分離された液体(主として、水)が供給されることになる。
【0039】
従って、分離器液位制御部12は、主として、給液量制御部18(後述)により缶体10の液管3に供給する給液量を制御すると共に、燃焼量制御部25によりバーナ24における燃焼量を制御することで、気液分離器2における液位(の増減)を制御する。
分離器液位制御部12には、給液量制御部18及び燃焼量制御部25が電気的に接続されている。また、分離器液位制御部12には、液位検出部23の液位検出回路部36、缶内液位検出部26、燃焼量検出部16及び蒸気圧力検出部17が電気的に接続されている。
【0040】
給液量制御部18は、分離器液位制御部12からの指示信号に基づいて、給液管5を介して缶体10の下部管寄せ6へ給液を行うように、給液ポンプ4を制御する。
燃焼量制御部25は、分離器液位制御部12からの指示信号に基づいて、燃焼量の増減を行うように、バーナ24を制御する。
分離器液位制御部12は、燃焼量制御部25により燃焼量を増加させる場合に分離器液位を増加させ、また、燃焼量制御部25により燃焼量を減少させる場合に分離器液位を減少させる。
【0041】
また、分離器液位制御部12は、燃焼量制御部25により燃焼量を増加させる場合に、燃焼量の増加率の大小に応じて分離器液位の増加率を増減させる。また、分離器液位制御部12は、燃焼量制御部25により燃焼量を減少させる場合に、燃焼量の減少率の大小に応じて分離器液位の減少率を増減させる。
【0042】
例えば、分離器液位制御部12は、停止モード(出力0%)から低燃焼モード(出力20%)へ移行する場合(停止→低燃焼移行時)の燃焼量の増加率よりも、低燃焼モード(出力20%)から高燃焼モード(出力100%)へ移行する場合(低燃焼→高燃焼移行時)の燃焼量の増加率の方が大きいときには、燃焼量の増加率が小さい「停止→低燃焼移行時」(20%−0%=20%)における分離器液位の増加率よりも、燃焼量の増加率が大きい「低燃焼→高燃焼移行時」(100%−20%=80%)における分離器液位の増加率の方を大きくする。
【0043】
同様に、分離器液位制御部12は、低燃焼モード(出力20%)から停止モード(出力0%)へ移行する場合(低燃焼→停止移行時)の燃焼量の減少率よりも、高燃焼モード(出力100%)から低燃焼モード(出力20%)へ移行する場合(高燃焼→低燃焼移行時)の燃焼量の減少率の方が大きいときには、燃焼量の減少率が小さい「低燃焼→停止移行時」(20%−0%=20%)における分離器液位の減少率よりも、燃焼量の減少率が大きい「高燃焼→低燃焼移行時」(100%−20%=80%)における分離器液位の減少率の方を大きくする。
【0044】
また、燃焼量制御部25は、燃焼量を増加させる場合に、燃焼量の増加に要する時間が、燃焼量の増加に伴って液管3における液量が蒸発に要する時間よりも長くなるように、燃焼量を増加させる。例えば、燃焼量制御部25は、低燃焼モードから高燃焼モードへ移行する場合(低燃焼→高燃焼移行時)に、燃焼量の増加に要する時間、つまり低燃焼モードから高燃焼モードへの移行に要する時間(例えば30秒)が、燃焼量の増加に伴って液管3における液量が蒸発に要する時間(例えば、25秒)よりも長くなるように、燃焼量を増加させる。
【0045】
また、燃焼量制御部25は、燃焼量を増加させる場合に、燃焼量の増加に要する時間が、燃焼量の増加に伴って液管3における液量が蒸発に要する時間よりも短くなるように、燃焼量を増加させる。例えば、燃焼量制御部25は、低燃焼モードから高燃焼モードへ移行する場合(低燃焼→高燃焼移行時)に、燃焼量の増加に要する時間、つまり低燃焼モードから高燃焼モードへの移行に要する時間(例えば25秒)が、燃焼量の増加に伴って液管3における液量が蒸発に要する時間(例えば、30秒)よりも短くなるように、燃焼量を増加させる。
【0046】
缶内液位検出部26は、上部管寄せ8と下部管寄せ6とに連通して設けられている。缶内液位検出部26は、導電性材料により形成された中空容器を有し、上部において上部管寄せ8に接続され、下部において下部管寄せ6に接続されている。缶内液位検出部26の上壁には、長さの異なる複数の電極棒(図示せず)の上部が、それぞれ絶縁性材料のガイシ(図示省略)を介して保持される。このようにして、缶内液位検出部26には、複数の電極棒が、その下端部の高さ位置を互いに異ならせて、挿入されて保持される。缶内液位検出部26と複数の電極棒とにより、電極式液位検出器が構成される。
【0047】
各電極棒は分離器液位制御部12に接続され、缶内液位検出部26はアースされている。従って、各電極棒は、その下端部が水に浸かれば、缶内液位検出部26との間で電気的な導通が確保される。これにより、分離器液位制御部12は、各電極棒に流れる電流の有無によって、各電極棒の下端部に液位があるか否かを検出する。そして、分離器液位制御部12は、各電極棒による缶内液位の検出の有無に基づき、貫流ボイラ1を制御する。
【0048】
燃焼量検出部16は、バーナ24の燃焼量を検出し、その検出信号を分離器液位制御部12へ送信する。なお、燃焼量検出部16による燃焼量の検出においては、「燃焼量」は、燃焼装置へ供給する燃料量に置き換えることが可能である。従って、燃料量を燃焼量として検出するようにしてもよい。
蒸気圧力検出部17は、缶体10で生成される蒸気圧力を検出し、その検出信号を分離器液位制御部12へ送信する。
【0049】
次に、気液分離器2の構成の詳細について、図面を参照しながら説明する。図3は、気液分離器2を示す縦断面図である。図4は、図3におけるA−A断面図である。図5は、図3におけるB−B断面図である。図6は、気液分離器2の内部構造を示す概略斜視図である。
【0050】
気液分離器2は、遠心式の分離器であり、図3から図6に示すように、縦向き円筒状の胴115と、この胴115の周側壁に設けられる蒸気入口管7と、胴115の上部に設けられる蒸気出口管117と、胴115の下部に設けられる分離液出口管11と、蒸気入口管7から胴115の内部への蒸気導入部に設けられるガイド板119と、このガイド板119の上部に設けられる蓋板120と、胴115の内部の下部に設けられるバッフル板121と、を備える。
【0051】
胴115は、上下の開口部に、鏡板122,123が設けられた円筒状である。胴115は、その軸線を上下方向へ沿って配置される。上側の鏡板122は、上方へ膨出した緩やかな球面状に形成されている。
蒸気出口管117は、円管状で、上側の鏡板122の中央部に上方へ延出して設けられる。下側の鏡板123は、下方へ膨出した緩やかな球面状に形成されている。下側の鏡板123の中央部には、円管状の分離液出口管11が下方へ延出して設けられる。
【0052】
蒸気入口管7は、胴115よりも小径の円筒状で、その軸線を左右方向へ沿って配置される。蒸気入口管7は、胴115の上下方向中央部において、胴115の周側壁に接続される。蒸気入口管7は、その軸方向一端部を胴115の内部に突入して、胴115の周側壁に接続される。
【0053】
蒸気入口管7の軸方向一端部は、図4に示すように、斜めに切り落とされた形状である。具体的には、蒸気入口管7の軸方向一端部は、軸方向一端側へ行くに従って、後方へ傾斜した形状である。
【0054】
蒸気入口管7は、このように傾斜した軸方向一端部が胴115の内部に差し込まれて、胴115の周側壁に接続される。蒸気入口管7の軸方向一端部において、その周側壁後端部は、胴115の周側壁後端部に配置される。具体的には、蒸気入口管7においては、前記傾斜の先端部(前記傾斜により軸方向一端側へ最も延出する部分)125の外面は、胴115の左右方向中央部の後方内周面に当接されて配置される。そして、その状態では、蒸気入口管7の軸方向一端部において、周側壁前端部は、胴115の周側壁の前後方向中央部に配置される。具体的には、蒸気入口管7における前記傾斜の基端部126は、胴115の周側壁の前後方向中央部に配置される。
【0055】
缶体10からの蒸気は、蒸気入口管7を介して、胴115の内部に接線方向で導入される。
蒸気出口管117は、胴115よりも小径の円管状で、その軸線を上下方向へ沿って配置される。蒸気出口管117の下端部は、胴115の上側の鏡板122の中央部に接続される。
分離液出口管11は、胴115よりも小径の細長い円管状で、その軸線を上下方向へ沿って配置される。分離液出口管11の上端部は、胴115の下側の鏡板123の中央部に接続される。
【0056】
ガイド板119は、略長方形状の板材で、その板面を前後へ向けて配置される。ガイド板119は、図4に示すように、後方へ膨出するよう湾曲されている。ガイド板119における上下方向の高さは、図3に示すように、蒸気入口管7の外径と同一寸法とされている。そして、ガイド板119は、蒸気入口管7と対応した高さに設置される。
【0057】
ガイド板119は、前述したように、平面視において、後方へ膨出するよう湾曲されている。この湾曲形状は、適宜に設定されるが、本実施形態では、図4に示すように、「へ」の字状とされている。具体的には、ガイド板119は、蒸気入口管7の軸方向の一端部に形成された傾斜した基端部(蒸気入口管7の周側壁前端部と胴115の周側壁との接続部)126から、胴115の内方へ行くに従って後方へ延出した後、胴115の左右方向中央部よりも前方へ回り込むように、円弧状に湾曲されている。図4に示す平面視において、ガイド板119の延出側の端部は、分離液出口管11の後方から回り込むのと対応した形状とされている。
【0058】
蓋板120は、略半円形状の板材で、その板面を上下へ向けて、ガイド板119の上端縁に水平に配置される。具体的には、蓋板120は、図4及び図6に示すように、平面視において、胴115の後方半周部に設けられると共に、ガイド板119の上端縁から後方へ延出して設けられる。このようにして、蓋板120は、図3に示すように、蒸気入口管7の周側壁上端部と対応した高さにおいて、ガイド板119の上端部と胴115の周側壁後部との隙間を閉塞するように、胴115の後方半周部に設けられる。
【0059】
バッフル板121は、略円板状の板材で、その板面を上下へ向けて、胴115の内部の下部に水平に配置される。具体的には、バッフル板121は、胴115の内径よりも若干小径の円板状である。バッフル板121の外周部には周方向等間隔に、円弧状の切欠き134が形成されている。本実施形態においては、外周部に四つの切欠き134が形成されている。このバッフル板121の底面には、十字状に板材が立てられて、脚部135が設けられている。この脚部135の下端部は、下側の鏡板123の円弧と対応した形状となっている。
【0060】
気液分離器2は、このような構成を有するため、下側の鏡板123の上部において、脚部135により安定してバッフル板121を水平に保持することができる。このようにして、分離液出口管11の上部開口を塞ぐことなく、その上部開口よりも少し上方に離隔した位置に、バッフル板121が設けられる。また、バッフル板121の外周部に形成された切欠き134により、バッフル板121の上下は連通される。
【0061】
本実施形態の貫流ボイラ1は、例えば、以下のように気液分離器2における液位(分離器液位)を制御(増減)する。図7は、高燃焼モードにおける気液分離器2及び缶体10それぞれにおける液位を模式的に示す図である。図8は、低燃焼モードにおける気液分離器2及び缶体10それぞれにおける液位を模式的に示す図である。図9は、高燃焼モード及び低燃焼モードにおける気液分離器2及び缶体10それぞれにおける液位の変化を模式的に示す図である。
【0062】
貫流ボイラ1の運転時、バーナ24により加熱された液管3の内部の缶水は蒸発する。これにより生成された蒸気は、上部管寄せ8から取り出され、蒸気入口管7を介して気液分離器2に導入され、気液分離器2において蒸気内の水分(液体分)が分離される。分離された水分は、気液分離器2の内部に溜まりながら、分離液出口管11を介して下部管寄せ6に順次戻される。
【0063】
本実施形態においては、分離器液位検出装置13の液位検出部23は、気液分離器2における液位を検出し、缶内液位検出部26は、缶体10の液管3の内部の液位を検出し、燃焼量検出部16は、バーナ24における燃焼量を検出し、蒸気圧力検出部17は、缶体10において生成される蒸気圧力を検出する。液位検出部23、缶内液位検出部26、燃焼量検出部16及び蒸気圧力検出部17それぞれにより検出された各種情報信号は、分離器液位制御部12へ送信される。
【0064】
分離器液位検出装置13による気液分離器2における液位の検出は、以下のようにして行われる。液位検出用電極棒20の外部電源接続端子部29と容器19との間を通電すると、液位検出電極部21と水が接触しているときに、液位検出電極部21の表面に形成された絶縁被膜22は誘電体となり、また、容器19内で水と接触する液位検出電極部21の接触部分はコンデンサとなる。そして、液位検出用電極棒20の外部電源接続端子部29と容器19との間を通電することにより、液位検出電極部21と容器19との間の静電容量が測定回路部35で測定され、この測定された静電容量が液位検出回路部36で液位に変換されて検出され、静電容量の変化による液位の変化がアナログ的に検出される。
【0065】
分離器液位制御部12は、燃焼量制御部25により燃焼量を増加させる場合に、分離器液位を増加させ、また、燃焼量制御部25により燃焼量を減少させる場合に、分離器液位を減少させる。
詳細には、分離器液位制御部12は、燃焼量制御部25により燃焼量を増加させる場合に、分離器液位を増加させるように、給液量制御部18及び燃焼量制御部25へ、指示信号を送信する。また、分離器液位制御部12は、燃焼量制御部25により燃焼量を減少させる場合に、分離器液位を減少させるように、給液量制御部18及び燃焼量制御部25へ、指示信号を送信する。
【0066】
前述の通り、分離器液位検出装置13によれば気液分離器2における液位の変化をアナログ的に検出することができる。そのため、分離器液位制御部12は、液位を無段階で調整することができ、そのため、蒸気の乾き度を無段階で制御することができ、従って、ドレン水を抑制ことができる。
【0067】
給液量制御部18は、分離器液位制御部12からの指示信号に基づいて、給液ポンプ4による給液量を制御する。また、燃焼量制御部25は、分離器液位制御部12からの指示信号に基づいて、バーナ24における燃焼量を制御する。
【0068】
分離器液位を増加させる場合には、給液ポンプ4による缶体10への給液量を増加させると共に、バーナ24における燃焼量を増加させる。これにより、缶体10の液管3の内部の液体(図7において右下がりハッチングで模式的に示す)が蒸発し、湿り蒸気の状態で気液分離器2に導入される液体(図7において右下がりハッチングで模式的に示す)が増加し、その結果、気液分離器2における液位(分離器液位)は、乾き度限界液位H23よりも若干低く設定された液位H22に増加する。
液位H22と液位H11との差h1(=H22−H11)は、缶体10の内部の圧力P0と気液分離器2の内部の圧力P1との差(P0−P1)に相当する。
【0069】
一方、分離器液位を減少させる場合には、給液ポンプ4による缶体10への給液量を減少させると共に、バーナ24における燃焼量を減少させる。これにより、缶体10の液管3の内部の液体(図8において右下がりハッチングで模式的に示す)が蒸発し、湿り蒸気の状態で気液分離器2に導入される液体(図8において右下がりハッチングで模式的に示す)が減少し、その結果、気液分離器2における液位(分離器液位)は、バーナ24による火炎により液管の上部が破損しない程度の下限値H21(<H22)に減少する。
【0070】
このとき、図8に示すように、分離器液位の下限値H21と、この下限値H21に対応するバーナ24の燃焼量に対応する液管3における液位(缶内液位)H12とは略一致する。ここで、「略一致する」とは、分離器液位の下限値H21と液管3における液位(缶内液位)H12との差が、100mm以内であること、好ましくは50mm以内であることをいう。
【0071】
ここで、図9を参照して、缶体10の液管3と気液分離器2との間における液体(水)の移動について模式的に説明する。
ここで、低燃焼モード(出力20%)のときには、缶体10の液位(缶内液位)がH12で、気液分離器2の液位(分離器液位)がH21であるものとする。
【0072】
低燃焼モードから高燃焼モード(出力100%)へ移行すると(低燃焼→高燃焼移行時)、缶体10へ供給される液体の量以上に、液管3の内部の液体の蒸発が進行し、缶体10の液位(缶内液位)は、H12からH11へ減少する。また、液管3の内部の液体は、蒸発し、湿り蒸気の状態で、気液分離器2に移動する。これにより、気液分離器2の液位(分離器液位)がH21から、乾き度限界液位H23の近傍のH22へ増加する。
【0073】
つまり、本実施形態の貫流ボイラ1によれば、低燃焼モードから高燃焼モードへ移行した場合に、気液分離器2の液位(分離器液位)の差(H22−H21)に対応する空間(容積)をバッファー空間として利用して、分離器液位を増加させ(H21→H22)、蒸気の乾き度を維持することができる。従って、本実施形態の貫流ボイラ1によれば、高い増加率によりバーナ24の燃焼量を増加させることができる。
【0074】
一方、高燃焼モード(出力100%)のときには、缶体10の液位(缶内液位)がH11で、気液分離器2の液位(分離器液位)がH22であるものとする。
高燃焼モードから低燃焼モード(出力20%)へ移行すると(高燃焼→低燃焼移行時)、液管3の内部の液体における蒸発の進行の低下による缶体10の液位(缶内液位)の低下以上に、缶体10へ液体が供給され、缶内液位は、H11からH12へ増加する。また、液管3の内部の液体が気液分離器2に移動する液体の量が減少し、これにより、気液分離器2の液位(分離器液位)は、乾き度限界液位H23の近傍のH22から下限値H21へ減少する。
【0075】
つまり、本実施形態の貫流ボイラ1によれば、高燃焼モードから低燃焼モードへ移行した場合に、気液分離器2の液位(分離器液位)の差(H22−H21)に対応する量の液体を缶体10に戻すことができる。これにより、缶体10の液位(缶内液位)を速やかに増加させることができる。そのため、本実施形態の貫流ボイラ1によれば、火炎により液管3の上部が破損する事態が生じることを抑制することができ、従って、高い減少率によりバーナ24の燃焼量を減少させることができる。
【0076】
本実施形態の貫流ボイラ1によれば、例えば、次の効果が奏される。
本実施形態の貫流ボイラ1においては、分離器液位制御部12は、燃焼量制御部25により燃焼量を増加させる場合に分離器液位を増加させ、燃焼量制御部25により燃焼量を減少させる場合に分離器液位を減少させる。
このように、本実施形態によれば、分離器液位の増減を制御することにより、蒸気の乾き度を維持することができ、ドレン水を抑制することができると共に、高い増加率によりバーナ24の燃焼量を増加させることができる。また、本実施形態によれば、火炎により液管3の上部が破損する事態が生じることを抑制することができ、従って、高い減少率によりバーナ24の燃焼量を減少させることができる。
【0077】
また、本実施形態においては、分離器液位制御部12は、燃焼量制御部25により燃焼量を増加させる場合に、燃焼量の増加率の大小に応じて分離器液位の増加率を増減させ、分離器液位制御部12は、燃焼量制御部25により燃焼量を減少させる場合に、燃焼量の減少率の大小に応じて分離器液位の減少率を増減させる。
そのため、本実施形態によれば、前述の「高い増加率によりバーナ24の燃焼量を増加させることができる。」及び「高い減少率によりバーナ24の燃焼量を減少させることができる。」という効果を一層向上することができる。
【0078】
また、本実施形態においては、燃焼量制御部25は、燃焼量を増加させる場合に、燃焼量の増加に要する時間が、燃焼量の増加に伴って液管3における液量が蒸発に要する時間よりも長くなるように、燃焼量を増加させる。
そのため、本実施形態によれば、気液分離器2に溜まっている液体が蒸気に同伴されて、蒸気の乾き度が低下する不具合の可能性を一層確実に抑制することができる。
【0079】
図8に示すように、本実施形態においては、分離器液位の下限値H21と、この下限値H21に対応するバーナ24の燃焼量に対応する液管3における液位(缶内液位)H12とは略一致する。
そのため、本実施形態によれば、気液分離器2の液位(分離器液位)の差(H22−H21)に対応する空間(容積)を最大限確保することができ、従って、前述の分離器液位の差(H22−H21)を利用した効果を最大限発揮することができる。
【0080】
また、本実施形態においては、気液分離器2は、縦向き円筒状で、上部に蒸気出口管117を有し且つ下部に分離液出口管11を有する胴115と、横向き円筒状で、胴115の周側壁に対して接線方向に接続される蒸気入口管7と、蒸気入口管7から胴115の内部へ導入される蒸気とこの蒸気が胴115の内部で旋回されることで分離される液体とが衝突しないように、蒸気入口管7から胴115の内部へ蒸気が導入される蒸気導入部に設けられるガイド板119と、蒸気入口管7から導入される蒸気が胴115に衝突した際に液体が跳ね上がらないように、ガイド板119の上部に配置される蓋板120と、を有する。
【0081】
そのため、本実施形態によれば、上部管寄せ8からの蒸気は、蒸気入口管7を介して、胴115の内部に接線方向へ導入される。これにより、胴115の内部において蒸気の旋回流が生じ、気液分離が行われる。具体的には、上部管寄せ8からの蒸気は、気液混合体としての湿り飽和蒸気とされる。しかし、この蒸気は、胴115の内部で旋回されることで、遠心力により気液分離が行われる。すなわち、遠心力により液体分は、外方へ飛ばされて脱落し、分離液出口管11を介して下部管寄せ6へ送られる。一方、そのような遠心分離によって乾き度を向上された蒸気は、上方の蒸気出口管117から導出される。
【0082】
この気液分離器2においては、蒸気入口管7から胴115の内部への蒸気導入部に、曲線状のガイド板119が取り付けられているので、胴115の内部における蒸気の旋回が促進される。また、このガイド板119は、蒸気入口管7から胴115の内部へ導入される蒸気と、その蒸気が胴115の内部で旋回されることで分離される液体(分離液)との衝突を抑制する。さらに、胴115の内部における蒸気及び分離液の旋回は、ガイド板119により妨げられることはない。
【0083】
また、気液分離器2は、蒸気入口管7から胴115の内部への蒸気導入部において、ガイド板119の上部に蓋板120が取り付けられている。これにより、蒸気入口管7から導入される蒸気が胴115に衝突した際における液体の跳ね上げは抑制される。従って、旋回による気液分離後の蒸気に、前記跳ね上げによる液体が混入されることが抑制される。
【0084】
また、本実施形態においては、胴115の内部の下部に、バッフル板121が設けられている。これにより、胴115の内部の液体が分離液出口管11へ排出される際に渦が生じることが抑制される。従って、分離液出口管11への排液が円滑になされると共に、蒸気出口管117へ排出される蒸気に分離液が巻き込まれることが抑制される。
【0085】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、気液分離器は、前記実施形態における気液分離器2に制限されない。
【符号の説明】
【0086】
1 貫流ボイラ
2 気液分離器
3 液管
6 下部管寄せ
7 蒸気入口管
8 上部管寄せ
10 缶体
11 分離液出口管
12 分離器液位制御部(分離器液位制御手段)
13 分離器液位検出装置
18 給液量制御部
24 バーナ
25 燃焼量制御部(燃焼量制御手段)
115 胴
117 蒸気出口管
119 ガイド板
120 蓋板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部管寄せと下部管寄せとの間に複数の液管を接続してなる缶体と、前記液管を可変の燃焼量で加熱するバーナと、該バーナにおける燃焼量を制御する燃焼量制御手段と、前記上部管寄せと前記下部管寄せとの間に接続されて連通する気液分離器と、該気液分離器における液位である分離器液位を制御する分離器液位制御手段と、を備え、
前記分離器液位制御手段は、前記燃焼量制御手段により燃焼量を増加させる場合に前記分離器液位を増加させ、前記燃焼量制御手段により燃焼量を減少させる場合に前記分離器液位を減少させる
貫流ボイラ。
【請求項2】
前記分離器液位制御手段は、前記燃焼量制御手段により燃焼量を増加させる場合に燃焼量の増加率の大小に応じて前記分離器液位の増加率を増減させ、前記燃焼量制御手段により燃焼量を減少させる場合に燃焼量の減少率の大小に応じて前記分離器液位の減少率を増減させる
請求項1に記載の貫流ボイラ。
【請求項3】
前記燃焼量制御手段は、燃焼量を増加させる場合に、燃焼量の増加に要する時間が、燃焼量の増加に伴って前記液管における液量が蒸発に要する時間よりも長くなるように、燃焼量を増加させる
請求項2に記載の貫流ボイラ。
【請求項4】
前記燃焼量制御手段は、燃焼量を増加させる場合に、燃焼量の増加に要する時間が、燃焼量の増加に伴って前記液管における液量が蒸発に要する時間よりも短くなるように、燃焼量を増加させる
請求項2に記載の貫流ボイラ。
【請求項5】
前記分離器液位の下限値と、該下限値に対応する前記バーナの燃焼量に対応する前記液管における液位とは略一致する
請求項1から4のいずれかに記載の貫流ボイラ。
【請求項6】
前記気液分離器は、
縦向き円筒状で、上部に蒸気出口管を有し且つ下部に分離液出口管を有する胴と、
横向き円筒状で、前記胴の周側壁に対して接線方向に接続される蒸気入口管と、
前記蒸気入口管から前記胴の内部へ導入される蒸気とこの蒸気が前記胴の内部で旋回されることで分離される液体とが衝突しないように、前記蒸気入口管から前記胴の内部へ蒸気が導入される蒸気導入部に設けられるガイド板と、
前記蒸気入口管から導入される蒸気が前記胴に衝突した際に液体が跳ね上がらないように、前記ガイド板の上部に配置される蓋板と、を有する
請求項1から5のいずれかに記載の貫流ボイラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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