説明

貯湯式熱源装置

【課題】電力供給側の都合によりピークカット電源からの電力供給が停止しても、貯湯部に貯えられた温水を熱源として利用することにより暖房運転や給湯運転を継続できる貯湯式熱源装置を提供する。
【解決手段】電力供給側の都合により電力供給を停止することがあるピークカット電源10からの電力により水を加熱する加熱部11を有する沸き上げ部1と、沸き上げ部1により加熱された温水を貯える貯湯部2と、ピークカット電源10とは別の商用電源30から電力が供給され、貯湯部2に貯えられた温水を熱源として、室内側の暖房と給湯に利用する暖房給湯部33とを備える。上記ピークカット電源10からの電力供給が停止して沸き上げ部1が停止しても、暖房給湯部3は、商用電源30からの電力により動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、貯湯式熱源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯湯式熱源装置としては、貯湯タンクと、上記貯湯タンクの水を加熱するヒートポンプとを備え、貯湯タンク内の温水を放熱器を介して循環させて暖房したり、貯湯タンク内の温水を給湯に用いたりする貯湯式暖房給湯機がある(例えば、特開2006−329581号公報(特許文献1)参照)。
【0003】
ところで、ヨーロッパでは、電力負荷低減や電力料金低減の観点から、このような貯湯式暖房給湯機にピークカット電源から電力が供給される場合がある。このピークカット電源は、電力会社側の都合により電力供給を停止するもので、ピークカット電源からの電力供給が停止したとき、システム全体が停止するため、暖房や給湯ができないという問題がある。
【0004】
このような問題を解決するため、別にバッファタンクを備えて温水を貯えることにより、暖房や給湯を継続可能にしたものがあるが、構造が複雑になって大型化するため、設置場所が制約されたり、コストが高くなったりする。
【特許文献1】特開2006−329581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明の課題は、電力供給側の都合によりピークカット電源からの電力供給が停止しても、簡単な構成で貯湯部に貯えられた温水を熱源として利用することにより暖房運転や給湯運転を継続できる貯湯式熱源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明の貯湯式熱源装置は、
電力供給側の都合により電力供給を停止することがあるピークカット電源からの電力により水を加熱する加熱部を有する沸き上げ部と、
上記沸き上げ部により加熱された温水を貯える貯湯部と、
上記ピークカット電源とは別の商用電源から電力が供給され、上記貯湯部に貯えられた上記温水を熱源として、室内側の暖房または給湯の少なくとも一方に利用する室内側利用部と
を備え、
上記ピークカット電源からの電力供給が停止して上記沸き上げ部が停止しても、上記室内側利用部は、上記商用電源からの電力により動作することを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、電力供給側の都合によりピークカット電源からの電力供給が停止して沸き上げ部が停止しても、室内側利用部が商用電源からの電力により動作することによって、貯湯部に貯えられた温水を熱源として室内側の暖房または給湯の少なくとも一方に利用する運転を継続できる。これにより、電力供給側の事情に左右されることなく、少なくとも貯湯部に貯えられた熱源を最大限に利用することにより暖房運転や給湯運転が可能となり、快適性が向上する。
【0008】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置では、上記室内側利用部は、暖房器に温水を供給するための暖房用アクチュエータまたは給湯機に温水を供給するための給湯用アクチュエータの少なくとも一方を有する。
【0009】
上記実施形態によれば、上記室内側利用部に備えた暖房用アクチュエータ(例えば暖房用循環ポンプや暖房器に供給される温水の温度を制御する混合弁)を制御して、貯湯部の熱源を利用した暖房動作を容易に制御できる。または、上記室内側利用部に備えた給湯用アクチュエータ(例えば給湯温度を制御する混合弁)を制御して、貯湯部の熱源を利用した給湯動作を容易に制御できる。
【0010】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置では、上記沸き上げ部の上記加熱部は、ヒートポンプユニットを有する。
【0011】
上記実施形態によれば、上記沸き上げ部の上記加熱部に効率のよいヒートポンプユニットを用いることによって、消費電力を低減できる。
【0012】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置では、上記沸き上げ部の上記加熱部は、電熱ヒータを有する。
【0013】
上記実施形態によれば、加熱部に電熱ヒータを用いることによって、投入電力により加熱能力を的確に制御できる。また、例えばヒートポンプユニットと電熱ヒータを併用して、電熱ヒータを補助として用いることによって、外気が低温のためにヒートポンプユニットの能力が十分に発揮できないときに加熱能力を上げたり、加熱部による沸き上げ温度を高くしたりできる。
【0014】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置では、上記沸き上げ部の上記加熱部とは別に、上記商用電源により駆動され、上記貯湯部内の水を加熱する電熱ヒータを備えた。
【0015】
上記実施形態によれば、上記沸き上げ部の加熱部とは別に備えられた電熱ヒータを、商用電源により駆動して水を加熱することにより、電力供給側の都合によりピークカット電源からの電力供給が停止しても、暖房運転や給湯運転をより長く継続できる。
【0016】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置では、上記室内側利用部は、上記ピークカット電源からの電力供給が停止したときに上記電熱ヒータによる加熱を行うか否かを設定する電熱ヒータ設定部を有する。
【0017】
上記実施形態によれば、ピークカット電源からの電力供給が停止したしたときに電熱ヒータ設定部の設定に基づいて電熱ヒータの加熱制御を行う。これにより、ユーザーの選択肢が増えて、使い勝手がよくなる。
【0018】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置では、
上記沸き上げ部は、上記加熱部を制御する沸き上げ制御部を有し、
上記室内側利用部は、上記沸き上げ部の上記沸き上げ制御部と互いに通信すると共に、上記室内側利用部の動作を制御する室内側制御部と、上記沸き上げ制御部と上記室内側制御部との間の通信異常を検出する通信異常検出部を有し、
上記通信異常検出部が上記沸き上げ制御部と上記室内側制御部との間の通信異常を検出したとき、上記室内側制御部は、上記沸き上げ部が停止状態であるものとして上記室内側利用部の運転を継続する。
【0019】
上記実施形態によれば、上記通信異常検出部が沸き上げ制御部と室内側制御部との間の通信異常を検出したとき、室内側制御部は、沸き上げ部が停止状態であるものとして室内側利用部の運転を継続する。そうして、上記沸き上げ制御部と室内側制御部との間の通信異常が回復するまでは、ピークカット電源からの電力供給が停止しているものと判断して、沸き上げ部が停止状態で貯湯部の温水を沸き上げることなしに、貯湯部に貯えられた温水を熱源として暖房運転や給湯運転を行う。このように、上記通信異常検出部による沸き上げ制御部と室内側制御部との間の通信異常検出を、ピークカット電源からの電力供給の停止検出に利用することにより、ピークカット電源の供給停止を検出する手段を別に設ける必要がなく、コストを低減できる。
【0020】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置では、
上記ピークカット電源からの電力供給が停止したか否かを検出するピークカット電源供給検出部を備え、
上記室内側制御部は、上記ピークカット電源供給検出部が上記ピークカット電源からの電力供給が停止したことを検出したとき、上記沸き上げ部が停止状態であるものとして上記室内側利用部の運転を継続する。
【0021】
上記実施形態によれば、上記ピークカット電源供給検出部がピークカット電源からの電力供給が停止したことを検出したとき、上記室内側制御部は、沸き上げ部が停止状態であるものとして室内側利用部の運転を継続することによって、ピークカット電源の供給停止を確実に検出して、室内側利用部のみの運転モードに移行することができる。
【0022】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置では、
上記室内側利用部が上記商用電源から電力が供給されて動作を開始したとき、上記ピークカット電源供給検出部が上記ピークカット電源からの電力供給が停止していることを検出すると、上記室内側制御部は、上記室内側利用部の運転を行い、
次に上記室内側利用部の運転中に、上記ピークカット電源供給検出部が上記ピークカット電源からの電力が供給中になったことを検出したとき、上記室内側制御部は、上記沸き上げ制御部と通信を行って上記沸き上げ制御部と協調して上記室内側利用部の運転を行う。
【0023】
上記実施形態によれば、上記室内側利用部が商用電源から電力が供給されて動作を開始したとき、ピークカット電源供給検出部がピークカット電源からの電力供給が停止していることを検出すると、室内側制御部は、沸き上げ部との協調なしに室内側利用部の運転を行う。次に室内側利用部の運転中に、ピークカット電源供給検出部がピークカット電源からの電力が供給中になったことを検出したとき、室内側制御部は、沸き上げ制御部と通信を行って沸き上げ制御部と協調して室内側利用部の運転を行う。これにより、上記室内側利用部の電源投入時にピークカット電源からの電力供給が停止しているとき、室内側制御部は、室内側利用部の運転を開始して、その後にピークカット電源からの電力が供給されたら、室内側利用部は、沸き上げ制御部と通信を行って、沸き上げ制御部側の状態に応じた運転を行うことができる。
【0024】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置では、上記室内側制御部は、上記ピークカット電源供給検出部が上記ピークカット電源からの電力が供給中であることを検出し、かつ、上記通信異常検出部が上記沸き上げ制御部と上記室内側制御部との間の通信異常を検出したとき、通信異常と判断する。
【0025】
上記実施形態によれば、上記ピークカット電源供給検出部がピークカット電源からの電力が供給中であることを検出し、かつ、通信異常検出部が沸き上げ制御部と室内側制御部との間の通信異常を検出したとき、室内側制御部が通信異常と判断することによって、ピークカット電源からの電力供給が停止しているときは通信異常と判断しないので、通信異常の判断を確実に行うことができる。
【0026】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置では、
上記室内側利用部は、
上記沸き上げ制御部と上記室内側制御部との間が通信異常であることを表示する通信異常表示部と、
上記ピークカット電源供給検出部により検出された上記ピークカット電源からの電力供給の状況を表示するピークカット電源状況表示部と
を有し、
上記ピークカット電源供給検出部が上記ピークカット電源からの電力供給が停止したことを検出し、かつ、上記通信異常検出部が上記沸き上げ制御部と上記室内側制御部との間の通信異常を検出したとき、上記通信異常表示部は、上記通信異常表示部に通信異常を表示しない。
【0027】
上記実施形態によれば、上記ピークカット電源状況表示部により、ピークカット電源供給検出部により検出されたピークカット電源からの電力供給の状況を表示することによって、ユーザーは、ピークカット電源からの電力供給の状況を容易に把握できる。また、上記ピークカット電源供給検出部がピークカット電源からの電力供給が停止したことを検出し、かつ、通信異常検出部が沸き上げ制御部と室内側制御部との間の通信異常を検出したときは、通信異常表示部に通信異常を表示しない。これにより、ピークカット電源からの電力供給が停止しているときに、ユーザーが誤って通信異常と認識することがない。
【0028】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置では、
上記ピークカット電源からの電力供給が停止したとき、上記ピークカット電源から電力供給線にピークカット中であることを表す信号が出力され、
上記ピークカット電源供給検出部は、上記ピークカット電源から電力供給線に出力されたピークカット中であることを表す信号を受けて、上記ピークカット電源からの電力供給が停止したことを検出する。
【0029】
上記実施形態によれば、上記ピークカット電源から電力供給線に出力されたピークカット中であることを表す信号を受けて、ピークカット電源供給検出部がピークカット電源からの電力供給が停止したことを検出することによって、ピークカット電源からの電圧を監視する回路を別に設ける必要がなく、簡単な構成でピークカット電源の供給停止を検出できる。
【0030】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置では、
上記貯湯部に貯えられた上記温水を上記沸き上げ部を介して循環させる循環ポンプを備え、
上記室内側制御部は、上記ピークカット電源供給検出部により上記ピークカット電源からの電力供給が停止したことが検出されたピークカット中に、上記商用電源からの電力により上記循環ポンプを駆動させて、上記貯湯部に貯えられた上記温水を上記沸き上げ部を介して循環させる。
【0031】
上記実施形態によれば、上記ピークカット電源供給検出部によりピークカット電源からの電力供給が停止したことが検出されたピークカット中に、室内側制御部は、商用電源からの電力により循環ポンプを駆動させて、貯湯部に貯えられた温水を沸き上げ部を介して循環させることによって、外気温度が氷点下であっても、貯湯部と沸き上げ部との間の循環経路の凍結を防止できる。
【0032】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置では、
上記室内側制御部は、上記ピークカット電源供給検出部により上記ピークカット電源からの電力供給が停止したことが検出されたピークカット中に、上記循環ポンプを断続的に運転する。
【0033】
上記実施形態によれば、上記ピークカット電源供給検出部によりピークカット電源からの電力供給が停止したことが検出されたピークカット中に、室内側制御部により循環ポンプを断続的に運転することによって、貯湯部と沸き上げ部との間の循環経路の凍結を防止しつつ、温水が低温の外気温度によって冷却されるのを極力防止することができ、かつ、電力消費も少なくすることができる。
【0034】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置では、
上記室内側利用部は、
上記貯湯部に貯えられた上記温水を熱源として、室内側の暖房および給湯に利用し、
上記室内側の暖房と上記室内側の給湯に対して優先順位を設定する優先順位設定部を有し、
上記ピークカット電源からの電力供給が停止することにより上記沸き上げ部が停止して、上記室内側利用部が上記商用電源からの電力により動作するときに、上記優先順位設定部により設定された上記優先順位に基づいて、上記室内側の暖房または上記室内側の給湯の一方の運転を優先して行う。
【0035】
上記実施形態によれば、上記ピークカット電源からの電力供給が停止することにより沸き上げ部が停止して、室内側利用部が商用電源からの電力により動作するときに、優先順位設定部により設定された優先順位に基づいて、室内側の暖房または室内側の給湯の一方の運転を優先して行う。これにより、ユーザーが希望する運転を優先して行うことができ、利便性が向上する。
【発明の効果】
【0036】
以上より明らかなように、この発明の貯湯式熱源装置によれば、電力供給側の都合によりピークカット電源からの電力供給が停止しても、簡単な構成で貯湯部に貯えられた温水を熱源として利用することにより暖房運転や給湯運転を継続できる貯湯式熱源装置を実現することができる。
【0037】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置によれば、室内側利用部に暖房用アクチュエータ(例えば暖房用循環ポンプや暖房器に供給される温水の温度を制御する混合弁)を備えることによって、貯湯部の熱源を利用した暖房動作を容易に制御できる。または、上記室内側利用部に給湯用アクチュエータ(例えば給湯温度を制御する混合弁)を備えることによって、貯湯部の熱源を利用した給湯動作を容易に制御できる。
【0038】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置によれば、沸き上げ部の加熱部に効率のよいヒートポンプユニットを用いることによって、低消費電力化が図れる。
【0039】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置によれば、加熱部に電熱ヒータを用いることによって、投入電力により加熱能力を的確に制御できると共に、例えばヒートポンプユニットと電熱ヒータを併用して、電熱ヒータを補助として用いることによって、外気が低温のためにヒートポンプユニットの能力が十分に発揮できないときに加熱能力を上げたり、加熱部による沸き上げ温度を高くしたりできる。
【0040】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置によれば、沸き上げ部の加熱部とは別に電熱ヒータを備えて、その電熱ヒータを商用電源により駆動して水を加熱することにより、電力供給側の都合によりピークカット電源からの電力供給が停止しても、暖房運転や給湯運転をより長く継続することができる。
【0041】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置によれば、通信異常検出部による沸き上げ制御部と室内側制御部との間の通信異常検出を、ピークカット電源からの電力供給の停止検出に利用することにより、ピークカット電源の供給停止を検出する手段を別に設ける必要がなく、コストを低減することができる。
【0042】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置によれば、ピークカット電源供給検出部がピークカット電源からの電力供給が停止したことを検出したとき、室内側制御部は、沸き上げ部が停止状態であるものとして室内側利用部の運転を継続することによって、ピークカット電源の供給停止を確実に検出して、室内側利用部のみの運転モードに移行することができる。
【0043】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置によれば、室内側利用部の電源投入時にピークカット電源からの電力供給が停止しているとき、室内側制御部は、室内側利用部のみの運転を開始して、その後にピークカット電源からの電力が供給されたら、室内側利用部は、沸き上げ制御部と通信を行って、沸き上げ部と協調して運転を行うことができる。
【0044】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置によれば、ピークカット電源供給検出部がピークカット電源から電力が供給中であることを検出し、かつ、通信異常検出部が沸き上げ制御部と室内側制御部との間の通信異常を検出したとき、室内側制御部が通信異常と判断することによって、ピークカット電源からの電力供給が停止しているときは通信異常と判断しないので、通信異常の判断を確実に行うことができる。
【0045】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置によれば、ピークカット電源状況表示部により、ピークカット電源供給検出部により検出されたピークカット電源からの電力供給の状況を表示することによって、ユーザーは、ピークカット電源からの電力供給の状況を容易に把握できる。また、上記ピークカット電源供給検出部がピークカット電源からの電力供給が停止したことを検出し、かつ、通信異常検出部が沸き上げ制御部と室内側制御部との間の通信異常を検出したときは、通信異常表示部により通信異常を表示しないので、ピークカット電源からの電力供給が停止しているときに、ユーザーが誤って通信異常と認識することがない。
【0046】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置によれば、ピークカット電源から電力供給線に出力されたピークカット中であることを表す信号を受けて、ピークカット電源供給検出部がピークカット電源からの電力供給が停止したことを検出することによって、ピークカット電源からの電圧を監視する回路を別に設ける必要がなく、簡単な構成でピークカット電源の供給停止を検出することができる。
【0047】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置によれば、ピークカット電源供給検出部がピークカット電源からの電力供給が停止したことを検出したとき、室内側制御部は、商用電源からの電力により循環ポンプを駆動させて、貯湯部に貯えられた温水を沸き上げ部を介して循環させることによって、外気温度が氷点下であっても、貯湯部と沸き上げ部との間の循環経路の凍結を防止することができる。
【0048】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置によれば、ピークカット電源供給検出部によりピークカット電源からの電力供給が停止したことが検出されたピークカット中に、室内側制御部により循環ポンプを断続的に運転することによって、貯湯部と沸き上げ部との間の循環経路の凍結を防止しつつ、温水が低温の外気温度によって冷却されるのを極力防止することができ、かつ、電力消費も少なくすることができる。
【0049】
また、一実施形態の貯湯式熱源装置によれば、ピークカット電源からの電力供給が停止することにより沸き上げ部が停止して、室内側利用部が商用電源からの電力により動作するときに、優先順位設定部により設定された優先順位に基づいて、室内側の暖房または室内側の給湯の一方の運転を優先して行うことにより、ユーザーが希望する運転を優先して行うことができ、利便性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下、この発明の貯湯式熱源装置を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0051】
〔第1実施形態〕
図1はこの発明の第1実施形態の貯湯式熱源装置の一例としての貯湯式暖房給湯機の構成図を示している。この貯湯式暖房給湯機は、図1に示すように、沸き上げ部1と、貯湯部2と、暖房器4と給湯器5に温水を供給する室内側利用部の一例としての暖房給湯部3とを備えている。図1において、点線で囲まれる部分は、水回路を示している。
【0052】
上記沸き上げ部1は、ピークカット電源10から電力が供給される加熱部11と、上記加熱部11を制御する沸き上げ制御部12と、上記ピークカット電源10からの三相交流電圧を受けて、上記沸き上げ制御部12に供給する制御用電源電圧を生成する制御電源生成部13と、各種の温度を検出する温度センサ14(図2に示すT1〜T5)とを有している。上記沸き上げ制御部12は、マイクロコンピュータと入出力回路などからなる。上記ピークカット電源10からの電力供給は、電力負荷低減などを目的として電力供給側の都合により停止する。
【0053】
また、上記暖房給湯部3は、商用電源30から電力が供給される暖房用アクチュエータ31と、商用電源30から電力が供給される給湯用アクチュエータ32と、上記暖房用アクチュエータ31と給湯用アクチュエータ32を制御する室内側制御部の一例としての暖房給湯制御部33と、上記商用電源30からの単相交流電圧を受けて、暖房給湯制御部33に供給する制御用電源電圧を生成する制御電源生成部34と、上記暖房給湯制御部33と沸き上げ制御部12(沸き上げ部1側)との間の通信異常を検出する通信異常検出部35とを有している。上記商用電源30は、ピークカット電源10とは異なり、ピークカット電源10からの電力供給が停止していても、通常は暖房給湯部3に電力供給が継続されるものである。上記暖房給湯制御部33は、マイクロコンピュータや入出力回路などからなり、暖房運転と給湯運転に対して優先順位を設定する優先順位設定部33aと、ピークカット電源10からの電力供給が停止したときに電熱ヒータ203(図2に示す)による加熱を行うか否かを設定する電熱ヒータ設定部33bとを有している。
【0054】
上記通信異常検出部35は、暖房給湯制御部33と沸き上げ制御部12との間に接続された通信線38の信号を監視して、通信異常時に暖房給湯制御部33に通信異常を表す信号を出力する。
【0055】
また、この貯湯式暖房給湯機は、暖房給湯制御部33により制御される通信異常表示部およびピークカット電源状況表示部の一例としての表示部36を備えている。この表示部36は、ユーザーが視認しやすい室内に設置しているが、暖房給湯部3側に配置してもよい。
【0056】
次に、図2は上記貯湯式暖房給湯機の具体的構成を示す回路図を示している。図2に示すように、沸き上げ部1は、加熱部11の一例としてのヒートポンプユニットを有している。このヒートポンプユニットには、地球温暖化係数が小さくオゾンを破壊しないCO冷媒を用いている。これにより、ヒートポンプユニットによる出湯温度を高くできる(例えば90℃)。
【0057】
上記ヒートポンプユニットは、圧縮機101と、上記圧縮機101の吐出側に一端(一次側)が接続された凝縮器102と、上記凝縮器102の他端(一次側)に一端が接続された膨張弁103と、上記膨張弁103の他端に一端が接続され、他端が圧縮機101の吸込側に接続された蒸発器104と、上記蒸発器104に外気を供給する送風ファン105とを有している。上記圧縮機101と凝縮器102と膨張弁103および蒸発器104で冷媒回路を構成している。
【0058】
また、上記圧縮機101の吐出側に、吐出温度を検出する吐出温度センサT1を配置すると共に、吐出圧力を検出する圧力センサ(HPS)106を配置している。また、上記蒸発器104に蒸発器温度を検出する蒸発器温度センサT2を配置し、蒸発器104近傍に、外気温度を検出する外気温度センサT3を配置している。そして、上記吐出温度センサT1と蒸発器温度センサT2と外気温度センサT3および圧力センサ(HPS)106の検出信号に基づいて、沸き上げ制御部12は、圧縮機101,膨張弁103, 送風ファン105などを制御する。
【0059】
また、上記貯湯タンク201の下部に設けられた沸き上げ往き接続口に配管L11の一端を接続し、その配管L11の他端を凝縮器102の一端(二次側)に接続している。上記配管L11に、貯湯タンク201下部から凝縮器102側に向かって水を送出する沸き上げ用循環ポンプ204を配設している。上記沸き上げ部1の凝縮器102の他端(二次側)に配管L12の一端を接続し、その配管L12の他端を沸き上げ用三方弁205の入力側に接続している。上記沸き上げ用三方弁205の一方の出力側に配管L24の一端を接続し、その配管L24の他端を暖房用三方弁302の一方の入力側に接続している。さらに、上記暖房用三方弁302の一方の入力側を配管L35を介して貯湯タンク201の上部に設けられた第2暖房往き接続口(沸き上げ戻り接続口を兼ねる)に接続している。一方、沸き上げ用三方弁205の他方の出力側に配管L23の一端を接続し、その配管L23の他端を貯湯タンク201の下側に接続している。
【0060】
上記凝縮器102の二次側上流の配管L11に、入水温度を検出する入水温度センサT4を配置し、凝縮器102の二次側下流の配管L12に、出湯温度を検出する出湯温度センサT5を配置している。
【0061】
また、上記貯湯タンク201は、断熱材(図示せず)で囲まれた略円筒形状をしている。上記貯湯タンク201内に、コイル状のパイプからなる給湯用熱交換器202を配置している。この給湯用熱交換器202は、所定の間隔をあけて接続された下側コイル部202aと上側コイル部202bとを有している。上記貯湯タンク201の上部を貫通した給水配管L21の下端を、下側コイル部202aの下端に接続し、貯湯タンク201の上部を貫通した給湯配管L22の下端を、上側コイル部202bの上端と接続している。上記給水配管L21と給湯配管L22は、貯湯タンク201の外側で、給湯用アクチュエータ32(図1に示す)の一例としての給湯用混合弁301により接続されている。
【0062】
上記給水配管L21を介して外部から供給された水は、下側コイル部202aの下端側から上側コイル部202bの上端側に向かって流れて、給湯配管L22を介して給湯器5(図1に示す)に供給される。
【0063】
また、上記貯湯タンク201は、側面に4つの温度センサT6〜T9を上側から下側に向かって順に配置している。上記温度センサT6により貯湯タンク201内の上側部分の水温を検出し、温度センサT7により貯湯タンク201内の中間部分の水温を検出する。上記温度センサT9により貯湯タンク201内の下側近傍の水温を検出し、温度センサT7と温度センサT9の中間で温度センサT8により貯湯タンク201内の水温を検出する。
【0064】
また、上記貯湯タンク201内かつ下側コイル部202aと上側コイル部202bとの間に電熱ヒータ203を配置している。
【0065】
上記貯湯タンク201と給湯用熱交換器202と電熱ヒータ203と沸き上げ用循環ポンプ204と沸き上げ用三方弁205および温度センサT6〜T9で貯湯部2(図1に示す)を構成している。
【0066】
次に、上記暖房用三方弁302の他方の入力側に配管L31の一端を接続し、その配管L31の他端を貯湯タンク201の第1暖房往き接続口(上側コイル部202bと電熱ヒータ203との間の位置)に接続している。そして、上記暖房用三方弁302の出力側を暖房用混合弁303の一方の入力側に接続し、その暖房用混合弁303の出力側に配管L32の一端を接続している。上記配管L32に、暖房用混合弁303側から順に暖房往き温度センサT11と暖房用循環ポンプ304を配設している。上記配管L32の暖房用循環ポンプ304よりも下流側に、ラジエータ401,402,…の一端を夫々接続している。また、上記貯湯タンク201の下部に設けられた暖房戻り接続口に配管L33の一端を接続し、その配管L33の他端側にラジエータ401,402,…の他端を夫々接続している。上記配管L33に暖房戻り温度センサT12を配置している。また、上記配管L33の暖房戻り温度センサT12よりも貯湯タンク201側と、暖房用混合弁303の他方の入力側とを配管L34により接続している。
【0067】
上記暖房給湯制御部33は、温度センサT6〜T9と暖房往き温度センサT11および暖房戻り温度センサT12からの検出信号に基づいて、沸き上げ用三方弁205と暖房用三方弁302と沸き上げ用循環ポンプ204と暖房用循環ポンプ304を制御する。
【0068】
上記暖房往き温度センサT11と暖房戻り温度センサT12と給湯用混合弁301と暖房用三方弁302と暖房用循環ポンプ304および暖房給湯制御部33が、商用電源30により駆動される暖房給湯部3(図1に示す)に含まれる。
【0069】
上記構成の貯湯式暖房給湯機において、ピークカット電源10と商用電源30の両方から電力が供給されている状態で、貯湯タンク201の下部の給水口(図示せず)から給水して貯湯タンク201内に水を溜める。次に、貯湯部2の沸き上げ用三方弁205の出力側を配管L24側に切り換え、沸き上げ部1の圧縮機101を駆動すると共に送風ファン105の運転を開始する。さらに、貯湯部2の沸き上げ用循環ポンプ204を駆動する。そうすると、圧縮機101から吐出された高圧ガス冷媒は、凝縮器102で放熱して凝縮することにより液冷媒となった後、膨張弁103で減圧された低圧冷媒は、蒸発器104で外気から熱を吸収して蒸発する。そうして、蒸発器104で蒸発した低圧ガス冷媒は、圧縮機101の吸込側に戻る。このとき、沸き上げ用循環ポンプ204により貯湯タンク201の下部から配管L11を介して凝縮器102の二次側に流入した水は、凝縮器102で加熱されて90℃近い温水となり、配管L12,沸き上げ用三方弁205,配管L24,配管L35を介して貯湯タンク201内に戻る。こうして、貯湯タンク201内の水を沸き上げ用循環ポンプ204と凝縮器102を介して循環させることにより、貯湯タンク201内の水を沸き上げる。
【0070】
次に、暖房運転を行う場合、暖房給湯部3の暖房用三方弁302を、配管L31側と暖房用混合弁303側が接続されるように切り換えて、暖房用循環ポンプ304を駆動する。そうすると、貯湯タンク201の中間部の温水が配管L31,暖房用三方弁302,暖房用混合弁303,暖房用循環ポンプ304を介してラジエータ401,402,…に夫々流入する。そして、上記ラジエータ401,402,…から出た戻り温水は、配管L33を介して貯湯タンク201の下部から貯湯タンク201内に戻る。
【0071】
ここで、暖房給湯制御部33は、暖房往き温度センサT11により検出された暖房往き温度および暖房戻り温度センサT12により検出された暖房戻り温度に基づいて、暖房用三方弁302,暖房用混合弁303および暖房用循環ポンプ304を制御する。また、ヒートポンプユニットによる沸き上げと暖房運転を同時に行ってもよい。
【0072】
次に、給湯運転を行う場合、給湯器5の給湯用蛇口を開くと、外部からの給水圧力により供給された水は、給水配管L21,給湯用熱交換器202,給湯配管L22を介して給湯器5に流れて、給湯用熱交換器202で加熱された温水が給湯器5に供給される。ここで、暖房給湯制御部33は、給湯用混合弁301を制御して、給湯器5に供給される温水の温度を所望の温度に調節する。なお、上記暖房運転またはヒートポンプユニットによる沸き上げの少なくとも一方と給湯運転を同時に行ってもよい。
【0073】
次に、図3に示すフローチャートに従って暖房給湯制御部33の動作を説明する。
【0074】
まず、処理がスタートすると、ステップS1で暖房/給湯の要求があるか否かを判断して、暖房/給湯の要求があるときは、ステップS2に進む。ここで、「暖房/給湯の要求」とは暖房または給湯のいずれか一方でもよいし、暖房と給湯の両方が要求されていてもよい。
【0075】
次に、ステップS2で通信異常検出部35からの信号に基づいて通信異常か否かを判断する。そして、ステップS2で通信異常であると判断すると、ステップS3に進む一方、通信異常でないと判断すると、ステップS3,S4をスキップしてステップS5に進む。
【0076】
次に、ステップS3で通信異常が確定し、ステップS4に進んで、表示部36に「通信異常」を表示する。ここで、「通信異常」の表示は、文字表示だけに限らず、通信異常であることが分かる記号や絵文字などでもよい。
【0077】
次に、ステップS5に進み、暖房/給湯動作を実行して、この処理を終了する。
【0078】
一方、ステップS1で一方、暖房/給湯の要求がないときは、ステップS6に進み、暖房/給湯動作を実行して、この処理を終了する。ここで、「暖房/給湯動作を実行」とは、要求された暖房または給湯のうちの一方でもよいし、両方でもよい。
【0079】
このように、上記構成の貯湯式暖房給湯機によれば、電力供給側の都合によりピークカット電源10からの電力供給が停止しても、簡単な構成で貯湯タンク201に貯えられた温水を熱源として利用することにより暖房運転や給湯運転を継続することができる。
【0080】
また、上記暖房給湯部3に暖房用アクチュエータ31を備えることによって、貯湯タンク201の熱源を利用した暖房動作を容易に制御できると共に、暖房給湯部3に給湯用アクチュエータ32を備えることによって、貯湯タンク201の熱源を利用した給湯動作を容易に制御できる。
【0081】
また、上記沸き上げ部1の加熱部11に効率のよいヒートポンプユニットを用いることによって、消費電力を低減することができる。
【0082】
また、上記沸き上げ部1の加熱部11にヒートポンプユニットと併用する電熱ヒータを補助として用いることによって、外気が低温のためにヒートポンプユニットの能力が十分に発揮できないときに加熱能力を上げたり、加熱部11による沸き上げ温度を高くしたりできる。
【0083】
また、上記沸き上げ部1の加熱部11とは別に電熱ヒータ203を備え、その電熱ヒータ203を商用電源30により駆動して水を加熱することにより、電力供給側の都合によりピークカット電源10からの電力供給が停止しても、暖房運転や給湯運転をより長く継続することができる。この第1実施形態では、貯湯タンク21内に電熱ヒータ203を配置したが、電熱ヒータ203は沸き上げ部1側に配置してもよい。
【0084】
また、上記ピークカット電源10からの電力供給が停止したときに、電熱ヒータ設定部33bの設定に基づいて電熱ヒータ203の加熱制御を行うことにより、ユーザーの選択肢が増えて、使い勝手が向上する。
【0085】
また、上記通信異常検出部35による沸き上げ制御部12と暖房給湯制御部33との間の通信異常検出を、ピークカット電源10からの電力供給の停止検出に利用することにより、ピークカット電源10の供給停止を検出する手段を別に設ける必要がなく、コストを低減することができる。
【0086】
また、上記ピークカット電源10からの電力供給が停止することにより沸き上げ部1が停止して、暖房給湯制御部33が商用電源30からの電力により動作するときに、優先順位設定部33aにより設定された優先順位に基づいて、室内側の暖房または室内側の給湯の一方の運転を優先して行うことにより、ユーザーが希望する運転を優先して行うことができ、利便性が向上する。
【0087】
上記第1実施形態では、沸き上げ部1の加熱部11にヒートポンプユニットを用いたが、沸き上げ部の加熱部に電熱ヒータを用いてもよい。この場合、電熱ヒータへの投入電力により加熱能力を的確に制御することができる。
【0088】
また、上記第1実施形態の温度センサT1〜T9,T11,T12は、サーミスタで構成したが、熱電対等の他の素子を用いてもよい。
【0089】
また、上記第1実施形態では、ピークカット電源を三相交流電源とし、商用電源を単相交流電源としたが、ピークカット電源は単相交流電源であってもよく、また、商用電源は三相交流電源であってもよい。
【0090】
〔第2実施形態〕
図4はこの発明の第2実施形態の貯湯式熱源装置の一例として貯湯式暖房給湯機の暖房給湯制御部の動作を説明するフローチャートを示している。この第2実施形態の貯湯式暖房給湯機は、ピークカット電源供給検出部と暖房給湯制御部の動作を除いて第1実施形態の貯湯式暖房給湯機と同一の構成をしており、図1,図2を援用する。
【0091】
この第2実施形態の貯湯式暖房給湯機は、図1に示すように、ピークカット電源10からの電力供給が停止したことを検出するピークカット電源供給検出部37を備えている。
【0092】
次に、図4に示すフローチャートに従って暖房給湯制御部33の動作を説明する。
【0093】
まず、処理がスタートすると、ステップS11で暖房/給湯の要求があると判断すると、ステップS12に進む。
【0094】
次に、ステップS12でピークカット電源供給検出部37からの信号に基づいてピークカット電源供給中であるか否かを判断する。そして、ステップS12でピークカット電源供給中であると判断すると、ステップS13に進む一方、ピークカット電源10が停止中であると判断すると、ステップS16に進む。
【0095】
次に、ステップS13で通信異常検出部35からの信号に基づいて通信異常か否かを判断する。そして、ステップS13で通信異常であると判断すると、ステップS14に進む一方、通信異常でないと判断すると、ステップS17に進む。
【0096】
次に、ステップS14で通信異常が確定し、ステップS15に進んで、表示部36に「通信異常」を表示して、この処理を終了する。ここで、「通信異常」の表示は、文字表示だけに限らず、通信異常であることが分かる記号や絵文字などでもよい。
【0097】
一方、ステップS16では、表示部36に「ピークカット中」を表示した後、ステップS17に進み、暖房/給湯動作を実行して、この処理を終了する。ここで、「ピークカット中」の表示は、文字表示だけに限らず、ピークカット中であることが分かる記号や絵文字などでもよい。
【0098】
また、ステップS11で暖房/給湯の要求がないと判断すると、ステップS18に進み、暖房/給湯動作を停止して、この処理を終了する。
【0099】
さらに、図5は上記暖房給湯制御部の通信異常を含む異常検出処理の動作を説明するフローチャートを示している。
【0100】
この異常検出処理がスタートすると、ステップS21でピークカット電源供給検出部37からの信号に基づいてピークカット電源供給中であるか否かを判断する。そして、ステップS21でピークカット電源供給中であると判断すると、ステップS22に進む一方、ピークカット電源10が停止中であると判断すると、ステップS22をスキップしてステップS23に進む。
【0101】
次に、ステップS22では、通信異常検出部35からの信号に基づく通信異常検出処理を実行する。
【0102】
次に、ステップS23に進み、他の異常検出処理を実行して、この処理を終了する。
【0103】
上記第2実施形態の貯湯式暖房給湯器は、通信異常検出の処理を除いて第1実施形態の貯湯式暖房給湯器と同様の効果を有する。
【0104】
また、上記ピークカット電源供給検出部37がピークカット電源10からの電力供給が停止したことを検出したとき、暖房給湯制御部33は、沸き上げ部1が停止状態であるものとして暖房給湯部3の運転を継続することによって、ピークカット電源10の供給停止を確実に検出して、暖房給湯部3のみの運転モードに移行することができる。
【0105】
また、上記ピークカット電源供給検出部37がピークカット電源10から電力が供給中であることを検出し、かつ、通信異常検出部35が沸き上げ制御部12と暖房給湯制御部33との間の通信異常を検出したとき、暖房給湯制御部33が通信異常と判断することによって、ピークカット電源10からの電力供給が停止しているときは通信異常と判断しないので、暖房給湯制御部33が通信異常の判断をより確実に行うことができる。
【0106】
また、上記表示部36により、ピークカット電源供給検出部37により検出されたピークカット電源10からの電力供給の状況を表示することによって、ユーザーは、ピークカット電源10からの電力供給の状況を容易に把握できる。また、上記ピークカット電源供給検出部37がピークカット電源10からの電力供給が停止したことを検出し、かつ、通信異常検出部35が沸き上げ制御部12と暖房給湯制御部33との間の通信異常を検出したときは、表示部36により通信異常を表示しないので、ピークカット電源10からの電力供給が停止しているときに、ユーザーが誤って通信異常と認識することがない。
【0107】
また、上記ピークカット電源10から電力供給線に出力されたピークカット中であることを表す信号を受けて、ピークカット電源供給検出部37がピークカット電源10からの電力供給が停止したことを検出することによって、ピークカット電源10からの電圧を監視する回路を別に設ける必要がなく、簡単な構成でピークカット電源10の供給停止を検出することができる。
【0108】
また、従来の沸き上げ部は、屋外などの居住空間外に設置されることが多いため、外気温度や入水温度などを検出し、所定温度よりも低い場合には、沸き上げ用循環ポンプ204を駆動させて、循環経路の凍結を防止している。これに対して本実施形態では、ピークカット電源供給検出部37がピークカット電源10からの電力供給が停止したことを検出したとき、暖房給湯制御部33は、商用電源からの電力により沸き上げ用循環ポンプ204を駆動させて、貯湯タンク201に貯えられた温水を沸き上げ部1を介して循環させることによって、沸き上げ部1への電力供給が停止した状態で外気温度が氷点下であっても、貯湯タンク201と沸き上げ部1との間の循環経路の凍結を防止することができる。このとき、貯湯タンク201内の温水が低温の外気温度によって冷却されるのを極力防止するため、例えば、凍結しない程度の所定時間毎に沸き上げ用循環ポンプ204を駆動させて断続的に循環される方法や、少ない流量を連続的に循環させる方法が有効である。これらの方法は同時に、ポンプ駆動に起因する電力消費量を極力少なくすることができる。
【0109】
〔第3実施形態〕
図6はこの発明の第3実施形態の貯湯式熱源装置の一例として貯湯式暖房給湯機の暖房給湯制御部の動作を説明するフローチャートを示している。この第3実施形態の貯湯式暖房給湯機は、暖房給湯制御部の動作を除いて第1実施形態の貯湯式暖房給湯機と同一の構成をしており、図1,図2を援用する。
【0110】
この第3実施形態の貯湯式暖房給湯機は、図1に示すように、ピークカット電源10からの電力供給が停止したことを検出するピークカット電源供給検出部37を備えている。
【0111】
次に、図6に示すフローチャートに従って暖房給湯制御部の動作を説明する。
【0112】
まず、処理がスタートすると、ステップS31で暖房/給湯の要求があると判断すると、ステップS32に進む。
【0113】
次に、ステップS32でピークカット電源供給検出部37からの信号に基づいてピークカット電源供給中であるか否かを判断する。そして、ステップS32でピークカット電源供給中であると判断すると、ステップS33に進む。
【0114】
次に、ステップS33で暖房給湯部3が電源投入後の初回動作であると判断すると、ステップS34に進む。
【0115】
そして、ステップS34では、暖房給湯制御部33と沸き上げ制御部12との間で通信を開始する。
【0116】
次に、ステップS35で通信可能であると判断すると、ステップS42に進む一方、通信不可と判断すると、ステップS36に進む。
【0117】
そして、ステップS36で組合せ異常が確定し、ステップS37に進んで、表示部36に「組合せ異常」を表示して、この処理を終了する。ここで、「組合せ異常」とは、暖房給湯制御部33と沸き上げ制御部12との間で通信ができず、沸き上げ部1と暖房給湯部3の協調運転ができないことを言う。なお、「組合せ異常」の表示は、通信ができないことが分かればよいので、この表現に限定する必要はなく、例えば「通信開始不良」などの表示でもよく、通信ができないことが分かる記号や絵文字などでもよい。
【0118】
一方、ステップS32でピークカット電源10が停止中であると判断すると、ステップS51に進み、表示部36に「ピークカット中」を表示する。
【0119】
次に、ステップS52に進み、暖房給湯部3が電源投入後の初回動作であると判断すると、ステップS54に進み、初期化動作を行った後、ステップS53に進む。
【0120】
一方、ステップS52で暖房給湯部3が電源投入後の初回動作でないと判断すると、ステップS53に進み、暖房/給湯動作を実行して、この処理を終了する。
【0121】
また、ステップS33で、暖房給湯部3が電源投入後の初回動作でないと判断すると、ステップS41に進み、通信異常検出部35からの信号に基づいて通信異常か否かを判断する。
【0122】
そして、ステップS41で通信異常であると判断すると、ステップS43に進んで、通信異常が確定し、ステップS44に進む。ステップS44で表示部36に「ピークカット中」を表示して、この処理を終了する。
【0123】
一方、ステップS41で通信異常でないと判断すると、ステップS53に進む。
【0124】
なお、ステップS31で暖房/給湯の要求がないと判断すると、ステップS55に進み、暖房/給湯動作を停止して、この処理を終了する。
【0125】
このように、上記暖房給湯部3の電源投入時にピークカット電源10からの電力供給が停止しているとき、暖房給湯制御部33は、暖房給湯部3の運転を開始して、その後にピークカット電源10からの電力が供給されたら、暖房給湯部3は、沸き上げ制御部12と通信を行って、沸き上げ部1側の状態に応じた運転を行うことができる。
【0126】
また、上記第3実施形態の貯湯式暖房給湯器は、第2実施形態の貯湯式暖房給湯器と同様の効果を有する。
【0127】
上記第1〜第3実施形態では、貯湯式熱源装置としての貯湯式暖房給湯機について説明したが、貯湯式の暖房機または給湯器にこの発明の貯湯式熱源装置を適用してもよい。
【0128】
なお、上記第2,第3実施形態において、ピークカット電源10から電力供給線に出力されたピークカット中であることを表す信号は、実際にピークカットが行なわれる時間よりもいくらか長い信号となっていてもよい。すなわち、ピークカット電源の電力供給が停止する場合には、ピークカット電源からの電力が遮断される前からピークカット中であることを表す信号がピークカット電源から出力され、ピークカット電源からの電力が復帰した後でピークカット中であることを表す信号が出力されなくなってもよい。これにより、ピークカット電源からの電力が遮断される前から沸き上げ部を停止状態とみなすことができる。また、ピークカット電源からの電力が確実に復帰して沸き上げ制御部が動作した状態から通信を開始することができるため、通信異常が検出される可能性が全くなくなり、信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態の貯湯式熱源装置の一例として貯湯式暖房給湯機の構成図である。
【図2】図2は上記貯湯式暖房給湯機の具体的構成を示す回路図である。
【図3】図3は上記貯湯式暖房給湯機の暖房給湯制御部の動作を説明するフローチャートである。
【図4】図4はこの発明の第2実施形態の貯湯式熱源装置の一例として貯湯式暖房給湯機の暖房給湯制御部の動作を説明するフローチャートである。
【図5】図5は上記暖房給湯制御部の動作を説明するフローチャートである。
【図6】図6はこの発明の第3実施形態の貯湯式熱源装置の一例として貯湯式暖房給湯機の暖房給湯制御部の動作を説明するフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給側の都合により電力供給を停止することがあるピークカット電源からの電力により水を加熱する加熱部(11)を有する沸き上げ部(1)と、
上記沸き上げ部(1)により加熱された温水を貯える貯湯部(2)と、
上記ピークカット電源とは別の商用電源から電力が供給され、上記貯湯部(2)に貯えられた上記温水を熱源として、室内側の暖房または給湯の少なくとも一方に利用する室内側利用部(3)と
を備え、
上記ピークカット電源からの電力供給が停止して上記沸き上げ部(1)が停止しても、上記室内側利用部(3)は、上記商用電源からの電力により動作することを特徴とする貯湯式熱源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の貯湯式熱源装置において、
上記室内側利用部(3)は、暖房器に温水を供給するための暖房用アクチュエータ(31)または給湯機に温水を供給するための給湯用アクチュエータ(32)の少なくとも一方を有することを特徴とする貯湯式熱源装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の貯湯式熱源装置において、
上記沸き上げ部(1)の上記加熱部(11)は、ヒートポンプユニットを有することを特徴とする貯湯式熱源装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1つに記載の貯湯式熱源装置において、
上記沸き上げ部(1)の上記加熱部(11)は、電熱ヒータを有することを特徴とする貯湯式熱源装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1つに記載の貯湯式熱源装置において、
上記沸き上げ部(1)の上記加熱部(11)とは別に、上記商用電源により駆動され、上記貯湯部(2)内の水を加熱する電熱ヒータ(203)を備えたことを特徴とする貯湯式熱源装置。
【請求項6】
請求項5に記載の貯湯式熱源装置において、
上記室内側利用部(3)は、上記ピークカット電源からの電力供給が停止したときに上記電熱ヒータ(203)による加熱を行うか否かを設定する電熱ヒータ設定部(33b)を有することを特徴とする貯湯式熱源装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1つに記載の貯湯式熱源装置において、
上記沸き上げ部(1)は、上記加熱部(11)を制御する沸き上げ制御部(12)を有し、
上記室内側利用部(3)は、上記沸き上げ部(1)の上記沸き上げ制御部(12)と互いに通信すると共に、上記室内側利用部(3)の動作を制御する室内側制御部(33)と、上記沸き上げ制御部(12)と上記室内側制御部(33)との間の通信異常を検出する通信異常検出部(35)を有し、
上記通信異常検出部(35)が上記沸き上げ制御部(12)と上記室内側制御部(33)との間の通信異常を検出したとき、上記室内側制御部(33)は、上記沸き上げ部(1)が停止状態であるものとして上記室内側利用部(3)の運転を継続することを特徴とする貯湯式熱源装置。
【請求項8】
請求項7に記載の貯湯式熱源装置において、
上記ピークカット電源からの電力供給が停止したか否かを検出するピークカット電源供給検出部(37)を備え、
上記室内側制御部(33)は、上記ピークカット電源供給検出部(37)が上記ピークカット電源からの電力供給が停止したことを検出したとき、上記沸き上げ部(1)が停止状態であるものとして上記室内側利用部(3)の運転を継続することを特徴とする貯湯式熱源装置。
【請求項9】
請求項8に記載の貯湯式熱源装置において、
上記室内側利用部(3)が上記商用電源から電力が供給されて動作を開始したとき、上記ピークカット電源供給検出部(37)が上記ピークカット電源からの電力供給が停止していることを検出すると、上記室内側制御部(33)は、上記室内側利用部(3)の運転を行い、
次に上記室内側利用部(3)の運転中に、上記ピークカット電源供給検出部(37)が上記ピークカット電源からの電力が供給中になったことを検出したとき、上記室内側制御部(33)は、上記沸き上げ制御部(12)と通信を行って上記沸き上げ制御部(12)と協調して上記室内側利用部(3)の運転を行うことを特徴とする貯湯式熱源装置。
【請求項10】
請求項8に記載の貯湯式熱源装置において、
上記室内側制御部(33)は、上記ピークカット電源供給検出部(37)が上記ピークカット電源からの電力が供給中であることを検出し、かつ、上記通信異常検出部(35)が上記沸き上げ制御部(12)と上記室内側制御部(33)との間の通信異常を検出したとき、通信異常と判断することを特徴とする貯湯式熱源装置。
【請求項11】
請求項8から10までのいずれか1つに記載の貯湯式熱源装置において、
上記室内側利用部(3)は、
上記沸き上げ制御部(12)と上記室内側制御部(33)との間が通信異常であることを表示する通信異常表示部(36)と、
上記ピークカット電源供給検出部(37)により検出された上記ピークカット電源からの電力供給の状況を表示するピークカット電源状況表示部(36)と
を有し、
上記ピークカット電源供給検出部(37)が上記ピークカット電源からの電力供給が停止したことを検出し、かつ、上記通信異常検出部(35)が上記沸き上げ制御部(12)と上記室内側制御部(33)との間の通信異常を検出したとき、上記通信異常表示部(36)は、上記通信異常表示部(36)に通信異常を表示しないことを特徴とする貯湯式熱源装置。
【請求項12】
請求項8から11のいずれか1つに記載の貯湯式熱源装置において、
上記ピークカット電源からの電力供給が停止したとき、上記ピークカット電源から電力供給線にピークカット中であることを表す信号が出力され、
上記ピークカット電源供給検出部(37)は、上記ピークカット電源から電力供給線に出力されたピークカット中であることを表す信号を受けて、上記ピークカット電源からの電力供給が停止したことを検出することを特徴とする貯湯式熱源装置。
【請求項13】
請求項8から12までのいずれか1つに記載の貯湯式熱源装置において、
上記貯湯部(2)に貯えられた上記温水を上記沸き上げ部(1)を介して循環させる循環ポンプ(204)を備え、
上記室内側制御部(33)は、上記ピークカット電源供給検出部(37)により上記ピークカット電源からの電力供給が停止したことが検出されたピークカット中に、上記商用電源からの電力により上記循環ポンプ(204)を駆動させて、上記貯湯部(2)に貯えられた上記温水を上記沸き上げ部(1)を介して循環させることを特徴とする貯湯式熱源装置。
【請求項14】
請求項13に記載の貯湯式熱源装置において、
上記室内側制御部(33)は、上記ピークカット電源供給検出部(37)により上記ピークカット電源からの電力供給が停止したことが検出されたピークカット中に、上記循環ポンプ(204)を断続的に運転することを特徴とする貯湯式熱源装置。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1つに記載の貯湯式熱源装置において、
上記室内側利用部(3)は、
上記貯湯部(2)に貯えられた上記温水を熱源として、室内側の暖房および給湯に利用し、
上記室内側の暖房と上記室内側の給湯に対して優先順位を設定する優先順位設定部(33a)を有し、
上記ピークカット電源からの電力供給が停止することにより上記沸き上げ部(1)が停止して、上記室内側利用部(3)が上記商用電源からの電力により動作するときに、上記優先順位設定部(33a)により設定された上記優先順位に基づいて、上記室内側の暖房または上記室内側の給湯の一方の運転を優先して行うことを特徴とする貯湯式熱源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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