説明

貯湯式給湯装置における循環制御方法および貯湯式給湯装置における循環制御装置

【課題】貯湯式給湯装置において、貯湯タンク内における高温域と中温域、あるいは中温域と低温域の温度が逆転した階層化を、短時間に正常な階層構造にするとともに、消費電力の低減を行なう。
【解決手段】貯湯タンク11内の湯の温度は、熱交換器12により熱が奪われ、中温域14に蓄積されている湯の温度が高温域13の湯の温度より高い場合が発生する。このような場合に、中温域14に存在する高温の湯は、高温域13に供給される。また、貯湯タンク11の中温域14に蓄積されている低温の湯は、低温域15に供給される。貯湯タンク内の湯温が所定の階層化ができていない場合に、湯を効率よく循環させるとともに、常に高い湯が使用できるようにしている。貯湯タンク11の湯の温度が高温域13、中温域14、低温域15の順に低下している場合、低温域15からの湯は、加熱装置17により加熱される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯式給湯装置において、貯湯タンク内における高温域と中温域、あるいは中温域と低温域の温度が逆転した階層化をできるだけ、短時間に正常な階層構造にするとともに、消費電力の低減を行なうことができる貯湯式給湯装置における循環制御方法および貯湯式給湯装置における循環制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の貯湯式給湯装置は、たとえば、深夜電力を使用して、加熱装置により水道水を加熱して貯湯タンクに蓄積する。すなわち、前記水道水は、前記貯湯タンクを介して、加熱装置により加熱された後、前記貯湯タンクの上部に供給される。その結果、前記貯湯タンク内は、上部から下部に向かって、高温域、中温域、低温域の階層化構造になる。
【0003】
図7は従来例における貯湯式給湯装置を説明するための概略構成図である。図7において、貯湯タンク71は、湯の密度によって、上部から下部に向かって高温域73、中温域74、低温域75が形成される。前記高温域73、中温域74、低温域75には、センサs1、センサs2、センサs3がそれぞれ設けられて湯温を検出する。また、貯湯タンク71における上部の高温域73には、熱交換器72が設けられ、たとえば、風呂桶の追い焚き部(図示されていない)に接続されている。
【0004】
前記貯湯タンク71の低温域75の湯または水道水76は、ヒートポンプ77によって加熱された後、前記貯湯タンク71の高温域73に供給される。前記貯湯タンク71における高温域73の湯は、出湯78から風呂場または洗面所、台所等に供給される。前記図7に示された貯湯式給湯装置は、制御装置、弁、ポンプ等が省略されている。
【0005】
また、前記貯湯式給湯装置は、前記貯湯タンクにおける最上部の高温な湯と、給水とを混合弁により混合して、設定された温度の湯を出力している。また、特開2003−148809号公報、および特開2003−56908号公報には、貯湯タンク内の湯と給水を混合させて、所望の温度の出湯を得る貯湯式給湯装置が示されている。
【特許文献1】特開2003−148809号公報
【特許文献2】特開2003−56908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図7に記載されている前記貯湯式給湯装置は、高温域から高温の湯を出力した場合、貯湯タンク71における低温域75に、前記出湯78の分だけ、水道水76が供給される。前記水道水76の供給は、低温域75または中温域74の湯が高温域73に押し上げられる。しかし、熱交換器72が上部の高温域73に設けられた貯湯タンク71は、前記高温域73における熱量の循環が少なくなるため、前記熱交換器72によって使用した熱量だけ、前記高温域73の湯温が低下する。前記低下した前記高温域73は、ヒートポンプ77により再加熱されて前記高温域73へ供給された湯とするか、出湯78の分、低温域75の湯を高温域73へ底上げした湯とするか、あるいは、温度特性による比重の差で押し上がる湯とするかのいずれかである。
【0007】
しかし、前記貯湯式給湯装置は、熱交換器72による熱量の消費、および比重による熱循環が行なわれ難いという問題があり、前記貯湯タンク71内の高温域73の熱量が前記熱交換器72により奪われた場合、中温域74または低温域75の湯の温度が高くなるという逆転現象が起こる場合がある。前記貯湯式給湯装置は、貯湯タンク71の低温域75から供給された低温の湯をヒートポンプ77により加熱している。前記のような貯湯タンク71内の逆転現象が発生した場合、前記低温域75における高温の湯は、前記ヒートポンプ77により、再加熱される。
【0008】
前記ヒートポンプ77による高温の湯を再加熱するということは、前記高温となった湯を再加熱する際の蒸気および熱によりヒートポンプ77を損傷するという問題がある。また、前記高温となった湯を再加熱するということは、前記貯湯タンク71内に高温の湯があるにも関わらず、ヒートポンプ77を駆動するための電力が無駄であるという問題があった。
【0009】
以上の課題を解決するために、本発明は、貯湯タンク内における高温域と中温域または低温域を結ぶ配管を設けることにより、熱交換器が使用により熱量が低下した高温域の湯を低温域または中温域に供給、あるいは温度の高い中温域または低温域の湯を高温域の上部に供給して熱量を効率良く循環させる貯湯式給湯装置における循環制御方法および貯湯式給湯装置における循環制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、貯湯タンクの低温域における高温の湯が加熱装置に供給されることを防止する貯湯式給湯装置における循環制御方法および貯湯式給湯装置における循環制御装置を提供することを目的とする。さらに、本発明は、第1貯湯タンクと第2貯湯タンクを配管により接続することにより、前記貯湯式給湯装置における熱量を効率良く循環させ、あるいはヒートポンプの損傷を防止するための貯湯式給湯装置における循環制御方法および貯湯式給湯装置における循環制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(第1発明)
第1発明の貯湯式給湯装置における循環制御方法は、貯湯タンク内に熱交換器を備え、加熱装置により貯湯を加熱するものであり、前記貯湯タンクの中温域に蓄積されている湯が高温域の湯より高い温度の場合、前記高温の湯を高温域に供給し、前記貯湯タンクの中温域に蓄積されている湯が低温域の湯より低い温度の場合、前記貯湯タンクにおける中温域に蓄積されている低温の湯を低温域に供給するとともに、前記低温域の湯を前記加熱装置により加熱するように循環制御し、前記貯湯タンクの湯の温度が高温域、中温域、低温域の順に低下している場合、前記低温域からの湯を加熱装置により加熱し、前記高温域、中温域、低温域の温度が同じ場合、加熱装置の動作を停止することを特徴とする。
【0012】
(第2発明)
第2発明の貯湯式給湯装置における循環制御方法は、内部に熱交換器を備えた第1貯湯タンクと、前記第1貯湯タンクに接続された第2貯湯タンクと、前記第2貯湯タンクの湯を加熱する加熱装置とから少なくとも構成されており、前記第1貯湯タンクにおける中温域の湯の温度が前記第1貯湯タンクにおける低温域に蓄積されている湯の温度より低い場合、前記第1貯湯タンクにおける中温域の湯を第1貯湯タンクの低温域に供給するとともに、前記第1貯湯タンクにおける低温域の湯を第2貯湯タンクの低温域を介して、前記加熱装置により加熱し、前記加熱装置により加熱された湯を第1貯湯タンクにおける高温域に供給するとともに、第2貯湯タンクの高温域の湯を第1貯湯タンクの低温域に供給するように循環制御することを特徴とする。
【0013】
(第3発明)
第3発明の貯湯式給湯装置における循環制御方法は、低温域の湯が高温の場合、第2発明における第1貯湯タンクまたは第2貯湯タンクの湯を前記加熱装置へ供給しないようにすることを特徴とする。
【0014】
(第4発明)
第4発明の貯湯式給湯装置における循環制御方法は、第1発明または第2発明の貯湯タンクにおける中温域の湯の温度が前記貯湯タンクにおける高温域の温度より高い場合、前記貯湯タンクにおける中温域の湯を前記貯湯タンクにおける高温域に供給することを特徴とする。
【0015】
(第5発明)
第5発明の貯湯式給湯装置における循環制御装置は、内部に熱交換器を備えた貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯を加熱する加熱装置と、前記貯湯タンクおよび加熱装置内の湯を循環させる制御装置とから少なくとも構成されており、前記貯湯タンク内の湯の温度を検出し、中温域に蓄積されている湯の温度が高温域に蓄積されている湯の温度より高い場合、前記中温域に蓄積されている湯を高温域に供給する第1配管と、前記貯湯タンク内の湯の温度を検出し、中温域に蓄積されている湯の温度が低温域に蓄積されている湯の温度より低い場合、前記中温域に蓄積されている湯を低温域に供給する第2配管と、前記貯湯タンクの中温域の温度により前記第1配管または第2配管を介して貯湯タンク内の湯が循環するように制御する制御装置とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0016】
(第6発明)
第6発明の貯湯式給湯装置における循環制御装置は、内部に熱交換器を備えた第1貯湯タンクと、前記第1貯湯タンクに接続された第2貯湯タンクと、前記第2貯湯タンクの湯を加熱する加熱装置とから少なくとも構成されており、前記第1貯湯タンクの中温域に蓄積されている低温の湯を第2貯湯タンクの低温域に供給する第3配管と、前記第2貯湯タンクの低温域の湯を加熱して、第1貯湯タンクの高温域に供給する加熱装置と、前記第2貯湯タンクにおける高温域の湯を第1貯湯タンクの低温域に供給する第4配管と、第1貯湯タンクおよび第2貯湯タンク内の湯を循環させるように制御する制御装置とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0017】
(第7発明)
第7発明の貯湯式給湯装置における循環制御装置は、第1貯湯タンクにおける中温域の湯の温度が前記第1貯湯タンクにおける高温域の温度より高い場合、前記第1貯湯タンクにおける中温域の湯を前記第1貯湯タンクにおける高温域に供給する配管が設けられていることを特徴とする。
【0018】
(第8発明)
第8発明の貯湯式給湯装置における循環制御装置は、貯湯タンク内の高温域、中温域、低温域にそれぞれ温度センサが備えられ、前記温度センサによって検出された温度により、配管の弁、ポンプ等が駆動されることを特徴とする。
【0019】
(第9発明)
第9発明の貯湯式給湯装置における循環制御装置は、熱交換器が風呂の追い焚き用であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、貯湯タンク内の熱交換器による熱量の逆転現象が発生した場合、中温域における高温の湯を高温域に供給し、または、中温域の低温の湯を低温域に給することにより、効率的な熱量の使用を行なうようになる。
【0021】
本発明によれば、貯湯タンク内の熱交換器による熱量の逆転現象が発生した場合、低温域から高温に加熱された湯を加熱装置に供給するのを防止することができ、前記加熱装置を損傷させることがないようになった。
【0022】
本発明によれば、前記貯湯タンク内および前記加熱装置における無駄な加熱を行なう必要がなくなったため、貯湯式給湯装置としての消費電力を低下させることができた。
【0023】
本発明によれば、前記貯湯タンクを一つまたは二つ設けることにより、本発明のような配管を施すことにより、消費電力の少ない貯湯式給湯装置における循環制御方法および貯湯式給湯装置における循環制御装置を得ることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1発明)
第1発明の貯湯式給湯装置における循環制御方法は、貯湯タンク内に熱交換器を備え、加熱装置により貯湯タンク内の湯を加熱するものであり、中温域の湯が低温域の温度より下がった場合の湯の循環を効率良くすること、あるいは、低温域の湯の温度が高い場合に加熱装置に高温の湯を供給することによる加熱装置の損傷を防止するためのものである。なお、本明細書における、高温域、中温域、低温域は、湯の温度ではなく、貯湯タンクの上部、中部、下部を意味する。
【0025】
前記貯湯タンク内の高温域には、熱交換器が備えられているため、上部に位置する高温域の湯の温度が必ずしも常に高いとは限らない。すなわち、高温域の湯は、熱交換器により温度が奪われ、中温域における湯の温度の方が高い場合がある。その理由は、前記貯湯タンクの湯の温度特性が比重の差で、階層化を図っているため、上部から下部に従って温度が階層化されるために時間がかかるからである。
【0026】
前記貯湯タンク内の湯の温度は、熱交換器により熱が奪われ、中温域に蓄積されている湯の温度が高温域の湯の温度より高い場合が発生する。このような場合に、前記中温域に存在する高温の湯は、高温域に供給される。また、前記貯湯タンクの中温域に蓄積されている低温の湯は、低温域に供給されるとともに、前記加熱装置により加熱するように循環制御する。第1発明は、貯湯タンク内の湯温が所定の階層化ができていない場合に、前記湯を効率よく循環させるとともに、常に高い湯が使用できるようにしている。前記貯湯タンクの湯の温度が高温域、中温域、低温域の順に低下している場合、前記低温域からの湯は、加熱装置により加熱され、前記高温域、中温域、低温域の温度が同じ場合、加熱装置は、動作が停止される。
【0027】
(第2発明)
第2発明の貯湯式給湯装置における循環制御方法は、内部に熱交換器を備えた第1貯湯タンクと、前記第1貯湯タンクに接続された第2貯湯タンクとを備えている点で、第1発明と異なっている。そして、前記第1貯湯タンクの中温域に蓄積されている湯は、低温域の湯より低い温度になった場合、前記低温の湯を第2貯湯タンクの低温域を介して、前記加熱装置に供給して加熱される。また、前記加熱装置により加熱された湯は、第1貯湯タンクにおける高温域に供給されるとともに、第2貯湯タンクの高温域の湯が第1貯湯タンクの低温域に供給され、第1貯湯タンクおよび第2貯湯タンク内を循環するように制御される。
【0028】
(第3発明)
第3発明の貯湯式給湯装置における循環制御方法は、低温域の湯が高温の場合、第1貯湯タンクまたは第2貯湯タンクの湯を前記加熱装置へ供給して、加熱しないようにしている。高温の湯は、加熱装置により加熱された場合、熱い湯が再加熱され、高温になり過ぎて加熱装置を損傷させたり、または、不要な沸き上げによる電力消費を防止する。
【0029】
(第4発明)
第4発明の貯湯式給湯装置における循環制御方法は、高温域の湯の温度が熱交換器により奪われた場合、中温域の湯の温度より低くなる場合がある。前記のような場合、たとえば、前記第1貯湯タンクにおける中温域の湯は、前記第1貯湯タンクにおける高温域に供給されるように制御される。前記第1貯湯タンク内における中温域の湯は、高温域または低温域の湯の温度と比較され、いずれか一方に供給させるようにして、効率良く制御される。前記中温域における湯は、上部および下部に異なったセンサを設けることにより、温度によって、高温域または低温域のいずれかに供給される。また、第1発明における貯湯タンクにおいても、同様にすることができる。
【0030】
(第5発明)
第5発明の貯湯式給湯装置における循環制御装置は、内部に熱交換器を備えた貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯を加熱する加熱装置と、前記貯湯タンクおよび加熱装置内の湯を循環させる装置とから少なくとも構成されており、効率良く湯を加熱する。前記貯湯タンク内のセンサにより、中温域に蓄積されている湯の温度より高温域に蓄積されている湯の温度が低く検出された場合、前記中温域と高温域を接続する第1配管は、弁およびポンプの動作により、前記中温域に蓄積されている高温の湯を高温域に供給する。
【0031】
前記貯湯タンク内の湯の温度を検出し、中温域に蓄積されている湯の温度が低温域に蓄積されている湯の温度より低い場合、前記中温域と低温域を接続する第2配管は、弁およびポンプの動作により、前記中温域に蓄積されている低温の湯を低温域に供給する。前記低温域に供給された低温の湯は、温度の高い低温域の湯を押し上げることにより、湯の階層化を速める。
【0032】
(第6発明)
第6発明の貯湯式給湯装置における循環制御装置は、内部に熱交換器を備えた第1貯湯タンクと、前記第1貯湯タンクに接続された第2貯湯タンクとを備え、前記各貯湯タンク内の湯が階層化されない場合によっても、第3配管および第4配管を上手に接続することで、消費電力の少ない効率の良いものとすることができる。第3配管は、前記第1貯湯タンクの中温域に蓄積された低温の湯を第2貯湯タンクの低温域に供給する。
【0033】
前記低温の湯は、第2貯湯タンクの低温域および加熱装置を介して第1貯湯タンクの高温域に供給される。第2貯湯タンクの高温域に蓄積された高温の湯は、第4配管を介して、第1貯湯タンクの低温に供給される。制御装置は、前記第1貯湯タンクおよび第2貯湯タンク、第3配管および第4配管の接続により、湯の高温域、中温域、低温域の湯を効率よく移動させることができ、電力の消耗を少なくすることができる。
【0034】
(第7発明)
第7発明の貯湯式給湯装置における循環制御装置は、センサの温度検出により、前記第1貯湯タンクにおける中温域の湯の温度が前記第1貯湯タンクにおける高温域の温度より高いと判断した場合、前記第1貯湯タンクにおける中温域の湯を前記第1貯湯タンクにおける高温域に供給する配管を接続するように制御する。
【0035】
(第8発明)
第8発明の貯湯式給湯装置における循環制御装置は、前記貯湯タンク内の高温域、中温域、低温域にそれぞれ温度センサが備えられている。また、前記温度センサによって検出された温度は、制御装置により、配管の弁、ポンプ等の駆動を行い、効率よく、無駄な消費電力を無くすことができる。
【0036】
(第9発明)
第9発明の貯湯式給湯装置における循環制御装置は、風呂の追い焚きに貯湯タンク内に備えられた熱交換器を使用している。前記貯湯タンク内の熱交換器は、高温域の熱循環を少なくしているため、配管を設けることで、効率を良くしている。
【実施例1】
【0037】
図1は本発明の第1実施例を説明するための概略構成図である。図1において、貯湯式給湯装置は、貯湯タンク11と、ヒートポンプ17と、図示されていない制御装置と、風呂桶の追い焚き部、その他の湯を使用する蛇口、循環ポンプ、弁等から構成されている。前記貯湯タンク11は、湯の密度によって、上部から下部に向かって高温域13、中温域14、低温域15が形成される。前記高温域13、中温域14、低温域15には、センサs1、センサs2、センサs3がそれぞれ設けられて湯温を検出する。また、貯湯タンク11における上部の高温域13には、熱交換器12が設けられ、たとえば、風呂桶の追い焚き部(図示されていない)に接続されている。
【0038】
前記貯湯タンク11の低温域15の湯または水道水16は、加熱装置、たとえば、ヒートポンプ17によって加熱された後、前記貯湯タンク11の高温域13に供給される。前記貯湯タンク11における高温域13の湯は、水道水16を入れて所定の温度にする混合弁(図示されていない)を介して出湯18から図示されていない風呂場または洗面所、台所等に供給される。前記図1に示された貯湯式給湯装置は、制御装置、弁、ポンプ等が省略されている。前記貯湯タンク11における高温域13と、中温域14の上部とは、第1配管111により接続されている。また、前記貯湯タンク11における低温域15と、中温域14の下部とは、第2配管112により接続されている。なお、前記中温域14における第1配管111および第2配管112の位置は、図1に限定されることなく、他の位置にすることもできる。
【実施例2】
【0039】
図2は本発明の第2実施例を説明するための概略構成図である。図2において、貯湯式給湯装置は、第1貯湯タンク11と、第2貯湯タンク21と、前記第1貯湯タンク11の中温域14と前記第2貯湯タンク21の低温域15を接続する第3配管113と、前記第2貯湯タンク21の高温域13と前記第1貯湯タンク11の低温域15を接続する第4配管114と、ヒートポンプ17と、図示されていない制御装置と、風呂桶の追い焚き部、弁、ポンプ、その他の湯を使用する蛇口等から構成されている。また、前記第1貯湯タンク11の高温域13には、熱交換器12が設けられ、たとえば、風呂桶の追い焚き部に接続されている。さらに、前記第2貯湯タンク21は、低温域15の湯または水が加熱装置、たとえば、ヒートポンプ17により加熱された後、第1貯湯タンク11の高温域13に供給されるように接続されている。
【0040】
前記第1貯湯タンク11は、湯の密度によって、上部から下部に向かって高温域13、中温域14、低温域15が形成される。前記高温域13、中温域14、低温域15には、センサs1、センサs2、センサs3がそれぞれ設けられて湯温を検出して、図示されていない制御装置に送られる。また、同様に、前記第2貯湯タンク21は、湯の密度によって、上部から下部に向かって高温域13、中温域14、低温域15が形成される。前記第2貯湯タンク21における高温域13、中温域14、低温域15には、センサs4、センサs5、センサs6がそれぞれ設けられて湯温を検出して、図示されていない制御装置に送られる。
【0041】
第2貯湯タンク21における下部の低温域15の湯または水は、加熱装置、たとえば、ヒートポンプ17により加熱された後、前記第1貯湯タンク11における高温域13に供給される。第4配管114は、第2貯湯タンク21における高温域13と、第1貯湯タンク11における低温域15を接続するように設けられている。また、必要に応じて、第1貯湯タンク11における中温域14と高温域13を接続する配管が設けられている。
【0042】
前記第2貯湯タンク21の低温域15の湯または水道水16は、加熱装置、たとえば、ヒートポンプ17により加熱された後、前記第1貯湯タンク11の高温域13に供給される。前記貯湯タンク11における高温域13の湯は、出湯18から図示されていない風呂場または洗面所、台所等に供給される。前記図2に示された貯湯式給湯装置は、制御装置、弁、ポンプ等が省略されている。前記第1貯湯タンク11における中温域14と、第2貯湯タンク21における低温域15とは、第3配管113により接続されている。また、前記第2貯湯タンク21における高温域13と、第1貯湯タンク11における低温域15とは、第4配管114によりそれぞれ接続されている。
【0043】
図3は本発明の第1実施例を制御するためのブロック構成図である。図3において、貯湯タンク11を制御する制御装置は、たとえば、貯湯タンク内温度検出器311と、貯湯タンク内温度検出器312と、貯湯タンク内温度検出器313と、設定温度記憶手段314と、温度比較器315と、配管選択装置316と、弁駆動装置317と、ポンプ駆動装置318とから構成されている。前記貯湯タンク内温度検出器311から313は、貯湯タンク11内の高温域13における温度を検出するセンサs1、同じく中温域14の温度を検出するセンサs2、低温域15の温度を検出するセンサs3から構成されている。
【0044】
前記設定温度記憶手段314は、前記貯湯タンク11内における高温域から低温域15における温度がどのような関係にある時、後述する配管を選択したり、弁およびポンプを駆動させるべきかの温度の関係が設定されて記憶されている。温度比較器315は、前記貯湯タンク11内の各部における温度、前記設定温度記憶手段314に記憶されている温度とを比較した結果、配管選択装置316によりどの配管を選択すべきか、弁駆動装置317により、どの弁を駆動すべきか、また、ポンプ駆動装置318によりどの配管に設けられたどのポンプを駆動すべきかを決める。
【0045】
図4は本発明における第1実施例を実施するためのフローチャートである。図4において、まず、制御装置は、貯湯タンク11内の温度を貯湯タンク内温度検出器311、312、313によって検出する(ステップ411)。前記制御装置は、前記貯湯タンク内温度検出器311、312、313によって検出された温度を温度比較器315により、s1=s2=s3という条件が成立しているか否かを調べる(ステップ412)。前記制御装置は、前記条件が成立していると判断した場合、前記設定温度記憶手段314に記憶されている内容に基づいてヒートポンプ17の運転を停止する(ステップ413)。
【0046】
次に、前記制御装置は、ステップ412により、s1=s2=s3という条件が成立しないと判断した場合、前記貯湯タンク内温度検出器311、312、313によって検出された温度を温度比較器315に基づいて、s1<s2という条件が成立するか否かを調べる(ステップ414)。前記制御装置は、前記条件が成立していると判断した場合、前記設定温度記憶手段314に記憶されている内容に基づいて、中温域14における温度の高い湯を高温域13に供給する(ステップ415)。
【0047】
前記制御装置は、前記ステップ414において、前記s1<s2という条件が成立しないと判断した場合、前記貯湯タンク内温度検出器311、312、313によって検出された温度がs2<s3という条件が成立するか否かを調べる(ステップ416)。前記制御装置は、前記条件が成立していると判断した場合、前記設定温度記憶手段314に記憶されている内容に基づいて、中温域14における湯を低温域15に供給する(ステップ417)。前記制御装置は、前記条件が成立していないと判断した場合、前記設定温度記憶手段314に記憶されている内容に基づいて、ヒートポンプ17の運転を継続する(ステップ418)。
【0048】
図5は本発明の第2実施例を制御するためのブロック構成図である。図5において、第1貯湯タンク11を制御する制御装置は、たとえば、第1貯湯タンク内温度検出器511と、第1貯湯タンク内温度検出器512と、第1貯湯タンク内温度検出器513と、第2貯湯タンク内温度検出器514と、第2貯湯タンク内温度検出器515と、第2貯湯タンク内温度検出器516と、設定温度記憶手段517と、温度比較器518と、第3配管選択装置519と、第3配管用弁駆動装置520と、第3配管用ポンプ駆動装置521と、第4配管選択装置522と、第4配管用弁駆動装置523と、第4配管用ポンプ駆動装置524とから構成されている。
【0049】
前記第1貯湯タンク内温度検出器511から516は、第1貯湯タンク11内における高温域13の温度を検出するセンサs1、第1貯湯タンク11内における中温域14の温度を検出するセンサs2、第1貯湯タンク11内における低温域15の温度を検出するセンサs3、第2貯湯タンク21内における高温域13の温度を検出するセンサs4、第2貯湯タンク21内における中温域14の温度を検出するセンサs5、第2貯湯タンク21内における低温域15の温度を検出するセンサs6から構成されている。
【0050】
前記設定温度記憶手段517は、前記第1貯湯タンク11内における高温域13から低温域15、および前記第2貯湯タンク21内における高温域13から低温域15の温度がどのような関係にあるとき、後述する配管を選択したり、弁およびポンプを駆動させるべきかの温度設定が記憶されている。温度比較器518は、前記第1貯湯タンク11および第2貯湯タンク21内の各部における温度、前記設定温度記憶手段517に記憶されている温度の関係とを比較した結果、第3配管選択装置519および第4配管選択装置522によりどの配管を選択すべきか、第3配管用弁駆動装置520および第4配管用弁駆動装置523により、どの弁を駆動すべきか、また、第3配管用ポンプ駆動装置521および第4配管用ポンプ駆動装置524によりどの配管に設けられたどのポンプを駆動すべきかを決める。
【0051】
図6は本発明における第2実施例を実施するためのフローチャートである。図6において、まず、制御装置(図示されていない)は、第1貯湯タンク11内の温度を第1貯湯タンク内温度検出器511、512、513および第2貯湯タンク内温度検出器514、515、516によって検出する(ステップ611)。前記制御装置は、前記第1貯湯タンク内温度検出器511、512、513および第2貯湯タンク内温度検出器514、515、516によって検出された温度を温度比較器518により、s1=s2=s3=s4=s5=s6という条件が成立しているか否かを調べる(ステップ612)。前記制御装置は、前記条件が成立していると判断した場合、前記設定温度記憶手段517に記憶されている内容に基づいてヒートポンプ17の運転を停止する(ステップ613)。
【0052】
次に、前記制御装置は、ステップ612により、s1=s2=s3=s4=s5=s6という条件が成立しないと判断した場合、前記第1貯湯タンク内温度検出器511、512、513および第2貯湯タンク内温度検出器514、515、516によって検出された温度を温度比較器518に基づいて、s2<s3という条件が成立するか否かを調べる(ステップ614)。前記制御装置は、前記条件が成立していると判断した場合、前記温度比較器518に基づいて、s6<s4という条件が成立するか否かを調べる(ステップ615)。
【0053】
前記制御装置は、ステップ614およびステップ615の条件が成立していると判断した場合、前記設定温度記憶手段517に記憶されている内容に基づいて、第1貯湯タンク11の中温域14における温度の低い湯を第2貯湯タンク21の低温域15に供給するように第3配管113および第4配管114を図示のように接続すると同時に、弁およびポンプを駆動させる(ステップ616)。前記制御装置は、同時に、第2貯湯タンク21における高温域13の湯を第1貯湯タンク11の低温域115に供給する(ステップ617)。
【0054】
前記制御装置は、前記ステップ614において、前記s2<s3という条件が成立しないと判断した場合、第1貯湯タンク11における中温域14と高温域13の温度がs1<s2という条件が成立するか否かを調べる(ステップ618)。前記制御装置は、前記条件が成立すると判断した場合、第1貯湯タンク11の中温域14の湯を第1貯湯タンク11の高温域13に供給するために、配管の接続、弁およびポンプを駆動させる(ステップ619)。前記制御装置は、前記ステップ618において、前記関係が成立しないと判断した場合、前記第1貯湯タンク11において、上から高温域13、中温域14、低温域15となっており、第1貯湯タンク11が正常に動作していると判断する(ステップ620)。
【0055】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記本実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。たとえば、図3および図5におけるブロック構成図は、公知または周知の技術を使用して容易に構成できる。また、貯湯式給湯装置は、貯湯タンクの配管、弁、ポンプ、制御装置を公知または周知のものを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1実施例を説明するための概略構成図である。(実施例1)
【図2】本発明の第2実施例を説明するための概略構成図である。(実施例2)
【図3】本発明の第1実施例を制御するためのブロック構成図である。
【図4】本発明における第1実施例を実施するためのフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施例を制御するためのブロック構成図である。
【図6】本発明における第2実施例を実施するためのフローチャートである。
【図7】従来例における貯湯式給湯装置を説明するための概略構成図である。
【符号の説明】
【0057】
11・・・貯湯タンク(第1貯湯タンク)
12・・・熱交換器
13・・・高温域
14・・・中温域
15・・・低温域
16・・・水道水
17・・・ヒートポンプ(加熱装置)
18・・・出湯
111・・・第1配管
112・・・第2配管
113・・・第3配管
114・・・第4配管
21・・・第2貯湯タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンク内に熱交換器を備え、加熱装置により貯湯を加熱する貯湯式給湯装置における循環制御方法において、
前記貯湯タンクの中温域に蓄積されている湯が高温域の湯より高い温度の場合、前記高温の湯を高温域に供給し、
前記貯湯タンクの中温域に蓄積されている湯が低温域の湯より低い温度の場合、前記貯湯タンクにおける中温域に蓄積されている低温の湯を低温域に供給するとともに、前記低温域の湯を前記加熱装置により加熱するように循環制御し、
前記貯湯タンクの湯の温度が高温域、中温域、低温域の順に低下している場合、前記低温域からの湯を加熱装置により加熱し、前記高温域、中温域、低温域の温度が同じ場合、加熱装置の動作を停止することを特徴とする貯湯式給湯装置における循環制御方法。
【請求項2】
内部に熱交換器を備えた第1貯湯タンクと、前記第1貯湯タンクに接続された第2貯湯タンクと、前記第2貯湯タンクの湯を加熱する加熱装置とから少なくとも構成されている貯湯式給湯装置における循環制御方法において、
前記第1貯湯タンクにおける中温域の湯の温度が前記第1貯湯タンクにおける低温域に蓄積されている湯の温度より低い場合、前記第1貯湯タンクにおける中温域の湯を第1貯湯タンクの低温域に供給するとともに、前記第1貯湯タンクにおける低温域の湯を第2貯湯タンクの低温域を介して、前記加熱装置により加熱し、
前記加熱装置により加熱された湯を第1貯湯タンクにおける高温域に供給するとともに、第2貯湯タンクの高温域の湯を第1貯湯タンクの低温域に供給するように循環制御することを特徴とする貯湯式給湯装置における循環制御方法。
【請求項3】
低温域の湯が高温の場合、第1貯湯タンクまたは第2貯湯タンクの湯を前記加熱装置へ供給しないようにすることを特徴とする請求項2に記載された貯湯式給湯装置における循環制御方法。
【請求項4】
前記貯湯タンクにおける中温域の湯の温度が前記貯湯タンクにおける高温域の温度より高い場合、前記貯湯タンクにおける中温域の湯を前記貯湯タンクにおける高温域に供給することを特徴とする請求項1または請求項2に記載された貯湯式給湯装置における循環制御方法。
【請求項5】
内部に熱交換器を備えた貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯を加熱する加熱装置と、前記貯湯タンクおよび加熱装置内の湯を循環させる制御装置とから少なくとも構成されている貯湯式給湯装置における循環制御装置において、
前記貯湯タンク内の湯の温度を検出し、中温域に蓄積されている湯の温度が高温域に蓄積されている湯の温度より高い場合、前記中温域に蓄積されている湯を高温域に供給する第1配管と、
前記貯湯タンク内の湯の温度を検出し、中温域に蓄積されている湯の温度が低温域に蓄積されている湯の温度より低い場合、前記中温域に蓄積されている湯を低温域に供給する第2配管と、
前記貯湯タンクの中温域の温度により前記第1配管または第2配管を介して貯湯タンク内の湯が循環するように制御する制御装置と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする貯湯式給湯装置における循環制御装置。
【請求項6】
内部に熱交換器を備えた第1貯湯タンクと、前記第1貯湯タンクに接続された第2貯湯タンクと、前記第2貯湯タンクの湯を加熱する加熱装置とから少なくとも構成されている貯湯式給湯装置における循環制御装置において、
前記第1貯湯タンクの中温域に蓄積されている低温の湯を第2貯湯タンクの低温域に供給する第3配管と、
前記第2貯湯タンクの低温域の湯を加熱して、第1貯湯タンクの高温域に供給する加熱装置と、
前記第2貯湯タンクにおける高温域の湯を第1貯湯タンクの低温域に供給する第4配管と、
第1貯湯タンクおよび第2貯湯タンク内の湯を循環させるように制御する制御装置と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする貯湯式給湯装置における循環制御装置。
【請求項7】
前記第1貯湯タンクにおける中温域の湯の温度が前記第1貯湯タンクにおける高温域の温度より高い場合、前記第1貯湯タンクにおける中温域の湯を前記第1貯湯タンクにおける高温域に供給する配管が設けられていることを特徴とする請求項2に記載された貯湯式給湯装置における循環制御装置。
【請求項8】
前記貯湯タンク内には、高温域、中温域、低温域にそれぞれ温度センサが備えられ、前記温度センサによって検出された温度により、配管の弁、ポンプ等が駆動されることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載された貯湯式給湯装置における循環制御装置。
【請求項9】
前記熱交換器は、風呂の追い焚き用であることを特徴とする請求項5から請求項8のいずれか1項に記載された貯湯式給湯装置における循環制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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