説明

貯湯式給湯装置

【課題】 水撃現象を防ぐ水撃防止器の適切な交換時期が報知可能な貯湯式給湯装置を提供する。
【解決手段】 給湯管12に設置された流量センサ13で配管内を流動する湯水の流量を検知し、流量比較手段20で検知された流量が設定されている所定流量以上であると判断されれば、流量記憶手段21でこれまでに所定流量以上を検知した回数にカウントして累計回数を算出し、回数比較手段22で算出した累計回数が所定回数以上と判断されれば、交換報知手段23で水撃防止器としてのアキュムレータ14の交換時期であることをリモコン16上のモニタ17に表示し、スピーカ18で音声で報知することで使用者に知らせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、加熱した湯水を貯湯する貯湯式給湯装置に関するものであり、特に水撃現象による機器の不具合を検知するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものにおいて、給湯圧力の高圧化によって発生する水撃現象に対処すべく、給湯流路の配管途中に水撃防止器としてのアキュムレータを設置し、配管の脈動や衝撃圧力を吸収できるようにすることで、水撃による配管の損傷等を防止していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−263394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、水撃による衝撃圧力を受け続けることでアキュムレータを構成する部品が経年劣化し、衝撃圧力を吸収することが困難な状態であっても、アキュムレータの状態を把握する手段が無かったため、配管内部で水撃が発生した際に衝撃圧力を吸収しきれず水撃による衝撃音が発生し、場合によっては配管が破損することもあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンクから出湯した湯が流通する湯流路と、水が流通する水流路と、前記湯流路からの湯と前記水流路からの水が混合されて流通する給湯流路と、前記給湯流路途中に設置され流路内を流れる湯水の流量を検知する流量センサと、前記給湯流路途中に設置され水撃を防止する水撃防止器とを備えた貯湯式給湯装置において、前記流量センサで検知された流量が所定値以上であった回数を記憶し、記憶した回数が所定回数以上になったら前記水撃防止器の交換を促すように報知するものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、水撃が発生するとされる大流量の湯水が給湯流路内を通過したことを流量センサで検知し、大流量が検知された回数が所定回数以上になったら、水撃防止器を構成する部品が消耗し交換時期に達したとして使用者に交換を促すことで、水撃の発生による衝撃音や配管の破損等を事前に防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】この発明の一実施形態を表す貯湯式給湯装置の概略構成図
【図2】この発明の一実施形態の流量制御を説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、この発明を適用した一実施形態を図1に基づいて説明する。
1は加熱手段としてのヒートポンプユニット2で加熱された湯水を貯湯する貯湯タンクであり、3は一定の圧力で給水管4内にある市水を貯湯タンク1内に供給する減圧弁である。
【0009】
5は貯湯タンク1下部とヒートポンプユニット2を配管で接続するヒーポン往き管であり、6はヒートポンプユニット2と貯湯タンク1上部を配管で接続するヒーポン戻り管であり、7はヒーポン往き管10途中にあり貯湯タンク1内の湯水をヒートポンプユニット2内に搬送するヒーポン循環ポンプである。
【0010】
8は貯湯タンク1上部に接続されている湯流路としての出湯管9と給水管4から分岐した水流路としての給水バイパス管10内を流通する湯水を混合して適当な温度にする混合弁であり、11は台所や洗面所等の各所に設けられ栓を開放することで湯水を出湯する給湯栓である。
【0011】
12は混合弁8で後述するリモコンで設定される給湯設定温度になるように混合させた湯水が給湯栓11まで流通するよう配管で接続された給湯流路としての給湯管であり、13は給湯管12内を流通している湯水の流量を検知する流量センサである。また、14は給湯管12内で水撃現象が発生し衝撃圧力が管内にかかった場合、衝撃を吸収する可能な水撃防止器としてのアキュムレータである。
【0012】
15は貯湯タンク1の側面高さ方向に複数設置されタンク内に貯湯されている湯水の温度を検知する貯湯温度検知器である。また、16はヒートポンプユニット2で湯水を沸き上げる各種モード等を選択可能な複数のスイッチを備えたリモコンであり、沸き上げモードや給湯設定温度、現在時刻等の各種情報を表示する表示部としてのモニタ17と、音声で給湯温度等の各種情報を使用者に報知する音声報知部としてのスピーカ18を備えている。
【0013】
19は流量センサ13で検知された給湯管12内を流通する湯水の流量情報に基づいて各種制御を行う流量制御部であり、流量センサ13で検知された湯水の流量と水撃が発生する可能性の高い所定流量(例えば20L/min)とを比較する流量比較手段20と、流量センサ13が所定流量以上を検知した累計回数をカウントして記憶する流量記憶手段21と、該流量記憶手段21で出された累計回数とアキュムレータ14を構成する部品が消耗し水撃防止器としての機能が維持できなくなると考えられる所定回数(例えば1万回)とを比較する回数比較手段22と、該回数比較手段22で出された結果が前記所定回数以上であった場合にアキュムレータ14の交換を促すようリモコン16上のモニタ17での表示やスピーカ18で使用者に報知する交換報知手段23とを備えている。
【0014】
次に、この一実施形態の動作を図2のフローチャートに基づいて説明する。
まず、給湯を開始しているか給湯管12内の流量センサ13が流量を検知しているかで判断し(S101)、流量が検知されていれば次のステップに進み、流量を検知していなければ給湯していないとして該S101の判断を繰り返す。
【0015】
S101で給湯を開始していると判断されると、流量センサ13で給湯管12内を流通している湯水の流量を検知して(S102)、検知された流量が予め設定されている所定流量以上であるか流量比較手段20が判断する(S103)。検知流量が所定流量以上であれば、流量記憶手段21でこれまでに流量センサ13が所定流量以上を検知した累計回数にカウントして記憶し(S104)、所定流量未満であれば、流量センサ13での検知結果から給湯を停止するか判断し(S105)、給湯を停止する場合は再びS101で給湯を開始するか判断し、給湯を継続する場合は再びS103で検知流量と所定流量が比較される。
【0016】
S104で流量記憶手段21が累計回数を記憶したら、該累計回数とアキュムレータ14が水撃防止器としての機能を維持できる範囲の所定回数とを回数比較手段22で比較し(S106)、累計回数が所定回数以上であれば、交換報知手段23によってリモコン16上のモニタ17での表示やスピーカ18による音声案内でアキュムレータ14の交換作業を報知し(S107)、累計回数が所定回数未満であれば、流量センサ13での検知結果から給湯を停止するか判断して(S108)、給湯を停止する場合は再びS101で給湯を開始するか判断し、給湯を継続する場合は該S108の判断を繰り返す。
【0017】
以上のように、流量センサ13で検知された流量が所定流量以上だった回数を記憶し、記憶された前記所定流量以上を検知した累計回数が所定回数以上となった場合、リモコン16上にあるモニタ17やスピーカ18によって使用者にアキュムレータ14の交換を促すことで、水撃防止器としてのアキュムレータ14の交換時期を簡単かつ低コストな構成で適切に判断でき、水撃による衝撃音や配管の破損等の不具合が発生することを防ぐ。
【符号の説明】
【0018】
1 貯湯タンク
9 出湯管
10 給水バイパス管
12 給湯管
13 流量センサ
14 アキュムレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンクから出湯した湯が流通する湯流路と、水が流通する水流路と、前記湯流路からの湯と前記水流路からの水が混合されて流通する給湯流路と、前記給湯流路途中に設置され流路内を流れる湯水の流量を検知する流量センサと、前記給湯流路途中に設置され水撃を防止する水撃防止器とを備えた貯湯式給湯装置において、前記流量センサで検知された流量が所定値以上であった回数を記憶し、記憶した回数が所定回数以上になったら前記水撃防止器の交換を促すように報知することを特徴とした貯湯式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−179735(P2011−179735A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43705(P2010−43705)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)