説明

貯湯式給湯装置

【課題】浴槽の温水の熱量を増大させる際の貯湯タンクの温水の熱量の変動を小さく抑えることが可能な貯湯式給湯装置を提供する。
【解決手段】
ヒートポンプユニット1によって加熱して得られる温水を貯湯タンク35に貯留しつつ浴槽に供給する貯湯式給湯装置100であって、追焚き熱交換器5、貯湯回路30、追焚き回路40、沸き上げポンプ34、追焚き循環ポンプ44、および、コントローラ10を備えている。コントローラ10は、追焚き加熱および沸き上げ加熱が同時に行われる場合に、追焚き回路40の流量よりも貯湯回路30の流量の方が大きくなるように沸き上げポンプ34と追焚き循環ポンプ44とを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯式給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水道水を沸き上げて貯湯タンク内に保持しつつ必要な時にお湯を用いるタイプの貯湯式給湯装置においては、例えば、特許文献1(特開2009−52760号公報)に記載の貯湯式給湯機のように、貯湯タンク内の水の熱を用いて浴槽の水温を上昇させる風呂用熱交換器を備えたものが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した特許文献1(特開2009−52760号公報)に記載の貯湯式給湯機では、風呂用熱交換器を用いて浴槽の水温を上昇させる場合には、貯湯タンク内の水が有している熱量が変動してしまう。このような追焚き熱交換器を用いた追焚き動作においては、必要となる熱量はユーザ次第であるため、予想が困難である。したがって、追焚き熱交換器を用いた追焚きでは、貯湯タンク内の温水の熱量を大きく変動させてしまうおそれがある。
【0004】
本発明は上述した点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、浴槽の温水の熱量を増大させる際の貯湯タンクの温水の熱量の変動を小さく抑えることが可能な貯湯式給湯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明の貯湯式給湯装置は、ヒートポンプユニットによって加熱して得られる温水を貯湯タンクに貯留しつつ浴槽に供給する貯湯式給湯装置であって、追焚き熱交換部、沸き上げ回路、追焚き回路、流量調節機構、および、制御部を備えている。追焚き熱交換部は、浴槽の温水を貯湯タンクの温水と熱交換させて追焚き加熱する。沸き上げ回路は、貯湯タンクの下端近傍からヒートポンプユニットまで延びている沸き上げ往き路と、ヒートポンプユニットから貯湯タンクの上端近傍まで延びている沸き上げ戻り路と、を有しており、貯湯タンクとヒートポンプユニットとの間を循環させて貯湯タンクの温水を沸き上げ加熱する。追焚き回路は、貯湯タンクの上端近傍から追焚き熱交換部まで延びている追焚き往き路と、追焚き熱交換部から貯湯タンクの下端近傍まで延びている追焚き戻り路と、を有しており、貯湯タンクと追焚き熱交換部との間を循環させる。流量調節機構は、沸き上げ回路および追焚き回路に温水の流れを生じさせる機能と、沸き上げ回路および追焚き回路の少なくともいずれか一方における温水の流量を変化させる機能と、を有している。制御部は、追焚き加熱および沸き上げ加熱が同時に行われる場合に、追焚き回路の流量よりも沸き上げ回路の流量の方が大きくなるように流量調節機構を制御する。
【0006】
この貯湯式給湯装置は、追焚き回路の流量よりも沸き上げ回路の流量の方が大きくなるように流量調節機構を制御することで、追焚き熱交換部を用いて浴槽の温水の温度を上げる場合であっても、追焚き戻り路を介して貯湯タンクに戻ってくる温水のほとんどを沸き上げ往き路に向かわせることができる。これにより、貯湯タンクの下方における熱量の変動を小さく抑えることができる。一方で、貯湯タンクの上端近傍では、追焚き往き路を介して貯湯タンクから流出する温水の流量よりも、沸き上げ戻り路を介して貯湯タンクに流入してくる温水の流量の方が大きいため、貯湯タンクの上端近傍においても熱量の減少を抑制させることができている。これにより、浴槽の温水の熱量を増大させる際の貯湯タンク内の温水の熱量の変動を小さく抑えることが可能になる。
【0007】
第2発明の貯湯式給湯装置は、第1発明の貯湯式給湯装置において、流量調節機構は、沸き上げ回路を流れる水の流量を調節可能な沸き上げポンプと、追焚き回路を流れる水の流量を調節可能な追焚き循環ポンプと、を有している。制御部は、追焚き加熱および沸き上げ加熱が同時に行われる場合に、追焚き回路の流量よりも沸き上げ回路の流量の方が大きくなるように沸き上げポンプと追焚き循環ポンプとを制御する。
【0008】
この貯湯式給湯装置では、追焚き回路の流量よりも沸き上げ回路の流量の方が大きくなるように沸き上げポンプと追焚き循環ポンプとを制御することで、追焚き熱交換部を用いて浴槽の温水の温度を上げる場合であっても、追焚き戻り路を介して貯湯タンクに戻ってくる温水のほとんどを沸き上げ往き路に向かわせることができる。このため、貯湯タンクの下方における熱量の変動を小さく抑えることができる。一方で、貯湯タンクの上端近傍では、追焚き往き路を介して貯湯タンクから流出する温水の流量よりも、沸き上げ戻り路を介して貯湯タンクに流入してくる温水の流量の方が大きいため、貯湯タンクの上端近傍においても熱量の減少を抑制させることができている。これにより、浴槽の温水の熱量を増大させる際の貯湯タンク内の温水の熱量の変動を小さく抑えることが可能になる。
【0009】
第3発明の貯湯式給湯装置は、第2発明の貯湯式給湯装置において、浴槽の温水の温度を検出する浴槽水温検出部と、浴槽の設定温度を受け付ける浴槽設定温度受付部と、をさらに備えている。制御部は、浴槽水温検出部の検出温度が設定温度よりも所定判定温度値以上小さい場合に、追焚き循環ポンプを駆動させて追焚き加熱を開始する。
【0010】
一般に、浴槽の温水の温度と設定温度との乖離度合いが大きい場合に浴槽の温水の温度を昇温させようとすると、貯湯タンク内の温水の熱量が大きく減少してしまう。これに対して、この貯湯式給湯装置では、追焚き循環ポンプを駆動させつつヒートポンプの出力によって浴槽の温水の温度を上げることで、貯湯タンクに蓄熱されている熱量の使用を控えて、貯湯タンクの温水の熱量の変動を小さく抑えることが可能になる。
【0011】
第4発明の貯湯式給湯装置は、第1発明から第3発明のいずれかの貯湯式給湯装置において、浴槽から追焚き熱交換部まで延びている風呂往き路と、追焚き熱交換部から浴槽まで延びている風呂戻り路と、を有しており、浴槽と追焚き熱交換部との間を循環させる風呂循環回路をさらに備えている。
【0012】
この貯湯式給湯装置では、貯湯タンク内の温水の熱量の変動を抑えることが、既設の風呂に対して風呂循環回路を後付けする場合においても可能になる。
【0013】
第5発明の貯湯式給湯装置は、第1発明から第4発明のいずれかの貯湯式給湯装置において、制御部は、追焚き加熱が行われている状況で所定の条件を満たした場合に、同時に沸き上げ加熱を開始する。
【0014】
この貯湯式給湯装置は、追焚き加熱が行われている状況下において貯湯タンクの温水の熱量が減少してきた場合等において追焚き加熱と同時に行われる沸き上げ加熱を自動的に開始させることが可能になる。
【0015】
第6発明の貯湯式給湯装置は、第2発明または第3発明の貯湯式給湯装置において、制御部は、追焚き循環ポンプが駆動して追焚き加熱を開始するのに伴って沸き上げポンプを駆動して沸き上げ加熱を開始させる。
【0016】
この貯湯式給湯装置は、貯湯タンクに加わる外乱をより確実に低減させることができる。
【0017】
第7発明の貯湯式給湯装置は、第2発明または第3発明の貯湯式給湯装置において、制御部は、追焚き循環ポンプの調節流量が、沸き上げポンプの調節流量の90%以上となるように追従制御する。
【0018】
この貯湯式給湯装置は、追焚き循環ポンプの調節流量が、沸き上げポンプの調節流量の90%以上になるように追従制御されることで、負荷変動が生じた場合であっても、追焚き熱交換部における浴槽の温水の加熱負荷のほとんどをヒートポンプの出力によって対応することができる。このため、負荷変動が生じた場合であっても、貯湯タンクへの外乱を小さく抑えることが可能になる。
【0019】
第8発明の貯湯式給湯装置は、第1発明から第7発明のいずれかの貯湯式給湯装置において、沸き上げ往き路と追焚き戻り路とは、合流した状態で貯湯タンクの下端近傍に接続されている。
【0020】
この貯湯式給湯装置は、沸き上げ往き路と追焚き戻り路とが、貯湯タンクの下端近傍に接続される前に合流ししているため、追焚き戻り路を流れる温水について、貯湯タンク内に流れ込む程度を抑えて、沸き上げ往き路へと送り出しやすくなる。これにより、貯湯タンクへの外乱をより効果的に低減させることができる。
【0021】
第9発明の貯湯式給湯装置は、第8発明の貯湯式給湯装置において、沸き上げ往き路と追焚き戻り路との合流部分と、貯湯タンクの下端近傍の接続部分との間には、接続部分から合流部分に向かう流れのみを許容する逆止機構が設けられている。
【0022】
この貯湯式給湯装置は、追焚き戻り路を通過した温水の、貯湯タンクの下端近傍からの流入を、より効果的に抑制させることが可能になる。
【0023】
第10発明の貯湯式給湯装置は、第1発明の貯湯式給湯装置において、沸き上げ往き路と追焚き戻り路とは、合流部分と、合流部分と貯湯タンクの下端近傍とを接続する接続管と、をさらに有している。流量調節機構は、沸き上げ回路を流れる水の流量を調節可能な沸き上げポンプと、追焚き回路の途中に設けられ、通過する温水の流量を調節可能な追焚き流量調節機構と、接続管の途中に設けられ、通過する温水の流量を調節可能な接続管流量調節機構と、を有している。
【0024】
この貯湯式給湯装置では、追焚き回路の流量よりも沸き上げ回路の流量の方が大きくなるように沸き上げポンプを駆動させて接続管流量調節機構を閉じ気味にしつつ、追焚き回路の通過抵抗が増大するように追焚き流量調節機構を制御することで、追焚き熱交換部を用いて浴槽の温水の温度を上げる場合であっても、追焚き戻り路を介して貯湯タンクに戻ってくる温水のほとんどを沸き上げ往き路に向かわせることができる。このため、貯湯タンクの下方における熱量の変動を小さく抑えることができる。一方で、貯湯タンクの上端近傍では、追焚き往き路を介して貯湯タンクから流出する温水の流量よりも、沸き上げ戻り路を介して貯湯タンクに流入してくる温水の流量の方が大きいため、貯湯タンクの上端近傍においても熱量の減少を抑制させることができている。これにより、浴槽の温水の熱量を増大させる際の貯湯タンク内の温水の熱量の変動を小さく抑えることが可能になる。
【0025】
第11発明の貯湯式給湯装置は、第1発明から第10発明のいずれかの貯湯式給湯装置において、貯湯タンクの横断面積は、1300cm2以下である。貯湯タンクの内容積は、100リットル以上200リットル以下である。
【0026】
この貯湯式給湯装置は、横断面積が1300cm2以下で、内容積が100リットル以上200リットル以下の貯湯タンクでは、その高さ幅が十分に設けられているため、上層部分の高温層と下層部分の低温層との温度が混ざりにくい。このため、ヒートポンプユニットに供給する水温を低く抑えやすくなり、成績係数を良好に維持することが可能になる。また、従来の貯湯タンクよりも小さな内容積が100リットル以上200リットル以下の貯湯タンクでは蓄熱できる熱量は少ない場合でも、貯湯タンクへの外乱の影響を抑えて熱量を保持させることで、将来に生じうる大きな負荷に備えることが可能になる。
【0027】
第12発明の貯湯式給湯装置は、第1発明から第11発明のいずれかの貯湯式給湯装置において、ヒートポンプユニットの作動冷媒が二酸化炭素冷媒である。
【0028】
この貯湯式給湯装置は、二酸化炭素冷媒を用いた冷凍サイクルにおいて、エンタルピの変動幅を従来よりも大きく取ることができるため、成績係数を良好にすることが可能になる。
【発明の効果】
【0029】
第1発明の貯湯式給湯装置では、浴槽の温水の熱量を増大させる際の貯湯タンク内の温水の熱量の変動を小さく抑えることが可能になる。
【0030】
第2発明の貯湯式給湯装置では、浴槽の温水の熱量を増大させる際の貯湯タンク内の温水の熱量の変動を小さく抑えることが可能になる。
【0031】
第3発明の貯湯式給湯装置では、貯湯タンクに蓄熱されている熱量の使用を控えて、貯湯タンクの温水の熱量の変動を小さく抑えることが可能になる。
【0032】
第4発明の貯湯式給湯装置では、貯湯タンク内の温水の熱量の変動を抑えることが、既設の風呂に対して風呂循環回路を後付けする場合においても可能になる。
【0033】
第5発明の貯湯式給湯装置では、追焚き加熱と同時に行われる沸き上げ加熱を自動的に開始させることが可能になる。
【0034】
第6発明の貯湯式給湯装置では、貯湯タンクに加わる外乱をより確実に低減させることができる。
【0035】
第7発明の貯湯式給湯装置では、負荷変動が生じた場合であっても、貯湯タンクへの外乱を小さく抑えることが可能になる。
【0036】
第8発明の貯湯式給湯装置では、貯湯タンクへの外乱をより効果的に低減させることができる。
【0037】
第9発明の貯湯式給湯装置では、貯湯タンクの下端近傍からの流入をより効果的に抑制させることが可能になる。
【0038】
第10発明の貯湯式給湯装置では、浴槽の温水の熱量を増大させる際の貯湯タンク内の温水の熱量の変動を小さく抑えることが可能になる。
【0039】
第11発明の貯湯式給湯装置では、蓄熱できる熱量は少ない場合でも、貯湯タンクへの外乱の影響を抑えて熱量を保持させることで、将来に生じうる大きな負荷に備えることが可能になる。
【0040】
第12発明の貯湯式給湯装置では、成績係数を良好にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係る貯湯式給湯装置の概略外観図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る貯湯式給湯装置の概略構成図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る風呂自動制御のフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る追焚き時沸き上げ制御のフローチャートである。
【図5】変形例(A)に係る貯湯式給湯装置の概略構成図である。
【図6】変形例(I)に係る貯湯式給湯装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の一実施形態に係る貯湯式給湯装置100について、図面を用いて説明する。
【0043】
<貯湯式給湯装置100の構成>
図1に、本発明の一実施形態に係る貯湯式給湯装置100の外観概略図を示す。図2に貯湯式給湯装置100の概略構成図を示す。
【0044】
貯湯式給湯装置100は、使用される前に予めお湯を溜めておいたり浴槽70の温水を加熱したりするための給湯装置であって、ヒートポンプユニット1と貯湯ユニット3と、これらの管理や制御を行うコントローラ10等を備えている。
【0045】
<ヒートポンプユニット1>
ヒートポンプユニット1は、お湯を作り出すための熱源装置として電力を得て機能することができ、二酸化炭素冷媒が循環する冷媒回路20と、水熱交換器22と、空気熱交ファン24Fと、各種センサ等を備えている。なお、このヒートポンプユニット1は、瞬間最大加熱能力は、4.5kW以上のものであって、本実施形態では瞬間最大加熱能力が10kWとなっている。
【0046】
この冷媒回路20は、圧縮機21、内部熱交換器26、膨張弁23、空気熱交換器24、水熱交換器22内の冷媒管22rおよび、冷媒配管25を有している。
【0047】
内部熱交換器26は、高圧側管26hと、低圧側管26lとを有している。内部熱交換器26は、高圧側管26hを流れる冷媒と、低圧側管26lを流れる冷媒と、の間で熱交換を行わせる。内部熱交換器26においては、高圧側管26hを流れる冷媒流れ方向と、低圧側管26lを流れる冷媒流れ方向とが、互いに対向流の関係となるように設けられている。
【0048】
冷媒配管25は、圧縮機21の吐出側、水熱交換器22内の冷媒管22r、内部熱交換器26内の高圧側管26h、膨張弁23、空気熱交換器24、内部熱交換器26内の低圧側管26l、圧縮機21の吸入側、の順に各機器を接続しており、内部に冷媒を循環させている。
【0049】
水熱交換器22は、冷媒管22rと、水管32wとを有している。水熱交換器22は、ヒートポンプユニット1の圧縮機21によって吐出された後に冷媒管22rを流れる高温の冷媒と、後述する貯湯ユニット3を循環する際に水管32wを流れる水と、の間で熱交換を行わせる。この水熱交換器22における熱交換によって、冷媒管22rを通過する冷媒が冷却されると同時に、水管32wを通過する水が加熱され、お湯を作り出すことができる。
【0050】
空気熱交ファン24Fは、コントローラ10によって、空気熱交換器24に供給される空気の風量が調節される。これにより、空気熱交換器24における冷媒の蒸発能力が調節される。
【0051】
各種センサとしては、冷媒に関する温度や圧力を検知するセンサ等があり、例えば、吸入圧力センサ20P、吸入温度センサ20T、吐出圧力センサ21P、吐出温度センサ21T、水熱交後冷媒温度センサ22T、外気温度センサ23Tおよび空気熱交後冷媒温度センサ24T等が、コントローラ10が検知値を把握可能なように設けられている。吸入圧力センサ20Pは、圧縮機21の吸入側を通過する冷媒圧力を検知する。吸入温度センサ20Tは、圧縮機21の吸入側を通過する冷媒温度を検知する。吐出圧力センサ21Pは、圧縮機21の吐出側を通過する冷媒圧力を検知する。吐出温度センサ21Tは、圧縮機21の吐出側を通過する冷媒温度を検知する。水熱交後冷媒温度センサ22Tは、水熱交換器22を通過することで冷却された冷媒の温度を検知する。空気熱交後冷媒温度センサ24Tは、空気熱交換器24において加熱された後の冷媒の温度を検知する。
【0052】
<貯湯ユニット3>
貯湯ユニット3は、市水等の外部からの外部給水路81およびタンク用給水路82を介して供給される水をヒートポンプユニット1から得られる熱によって加熱し、蓄えつつ、混合用給水路83を介して混合された温水を浴槽70等に供給するための装置である。この貯湯ユニット3は、貯湯タンク35、貯湯回路30、追焚き熱交換器5、追焚き回路40、風呂回路60および給水給湯回路50等を備えている。ここでは、図示していないが、貯湯タンク35は、発泡スチロールもしくは発泡ポリエチレン等によって形成された断熱材によって周囲が覆われており、貯湯タンク35内の熱が逃げ出しにくいように構成されている。なお、貯湯ユニット3でつくられたお湯は、浴槽70以外において用いられるようにしても良いが、ここでは説明を簡潔にするために他の用途のための回路を省略している。
【0053】
(貯湯タンク35)
貯湯タンク35は、ヒートポンプユニット1から得られる熱によって得られるお湯を予め蓄えておくタンクである。この貯湯タンク35は、内容積は約180リットルであり、横断面積が1100cm2程度であり、鉛直方向の長さが165cm程度である。
【0054】
貯湯タンク35内は水および/またはお湯によって常に満たされており、お湯の量をコントローラ10に把握させるための、湯量温度検知センサ36が設けられている。この湯量温度検知センサ36は、第1湯量検知温度センサT1〜第6湯量検知温度センサT6を有している。これらの第1湯量検知温度センサT1〜第6湯量検知温度センサT6は、貯湯タンク35の下方から上方に向けて順に所定間隔で配置されている。
【0055】
(貯湯回路30)
貯湯回路30は、貯湯タンク35内の水もしくはお湯に対してヒートポンプユニット1で得られる熱を伝えるための回路であり、沸き上げ往き管31、水熱交換器22内の水管32w、沸き上げ戻り管33、および、沸き上げポンプ34を有している。
【0056】
沸き上げ往き管31は、貯湯タンク35の下端部近傍と水熱交換器22内の水管32wの上流側端部とを接続しており、追焚き回路40においても用いられているタンク下端接続管39を含んでいる。このタンク下端接続管39は、貯湯タンク35の下端から、沸き上げ往き管31と追焚き戻り管43との分岐部分38まで延びている。沸き上げ往き管31には、通過する水もしくはお湯の温度を検知するための貯湯往き温度センサ31Tが設けられている。
【0057】
沸き上げ戻り管33は、水熱交換器22内の水管32wの下流側端部と貯湯タンク35の上端近傍とを接続している。この沸き上げ戻り管33には、通過する水もしくはお湯の温度を検知するための貯湯戻り温度センサ33Tが設けられている。
【0058】
沸き上げポンプ34は、沸き上げ往き管31の途中に設けられている。貯湯回路30では、沸き上げポンプ34がコントローラ10からの指令を受けて駆動することにより、貯湯タンク35内の水もしくはお湯のうち下方に存在している温度の低い水を、沸き上げ往き管31に流出させ、水熱交換器22内の水管32wを通過させることで温度上昇させ、沸き上げ戻り管33を介して貯湯タンク35の上端近傍に戻している。
【0059】
これにより、貯湯タンク35内のお湯と水との境界が上から下に向けて移動していくことになり、貯湯タンク35内のお湯の量が増えていく。
【0060】
(追焚き熱交換器5)
追焚き熱交換器5は、貯湯タンク35内のお湯が循環する被冷却管42wと、浴槽70の温水が循環する被加熱管63wと、を有している。
【0061】
追焚き熱交換器5では、被冷却管42wを流れるお湯と、被加熱管63wを流れる温水と、の間で熱交換を行わせることで、被加熱管63wを流れるお湯の温度を上げることができる。
【0062】
(追焚き回路40)
追焚き回路40は、貯湯タンク35に蓄えられているお湯が有している熱を利用して、浴槽70の温水の温度をさらに上げるための熱供給側の回路であって、追焚き往き管41、追焚き熱交換器5内の被冷却管42w、追焚き戻り管43、および、追焚き循環ポンプ44を有している。
【0063】
追焚き往き管41は、貯湯タンク35の上端部近傍と追焚き熱交換器5内の被冷却管42wの上流側端部とを接続している。
【0064】
追焚き戻り管43は、追焚き熱交換器5内の被冷却管42wの下流側端部と貯湯タンク35の下端近傍とを接続しており、貯湯回路30においても用いられているタンク下端接続管39を含んでいる。このタンク下端接続管39は、上述のように、貯湯タンク35の下端から、沸き上げ往き管31と追焚き戻り管43との分岐部分38まで延びている。
【0065】
追焚き循環ポンプ44は、追焚き戻り管43の途中に設けられている。
【0066】
追焚き回路40では、追焚き循環ポンプ44がコントローラ10からの指令を受けて駆動することにより、貯湯タンク35内の水もしくはお湯のうち上方に存在している温度の高いお湯を、追焚き往き管41に流出させ、追焚き熱交換器5内の被冷却管42wを通過させることで温度低下させつつ、追焚き戻り管43を介して貯湯タンク35の下端近傍に戻している。
【0067】
(風呂回路60)
風呂回路60は、追焚き回路40を介して貯湯タンク35に蓄えられているお湯の熱を得るための回路であって、風呂往き管61、追焚き熱交換器5内の被加熱管63w、風呂戻り管64、給水給湯回路50においても用いられている風呂接続管56、および、風呂循環ポンプ62を有している。
【0068】
風呂往き管61は、浴槽70のアダプタ71と、追焚き熱交換器5内の被加熱管63wの上流側端部と、を接続している。この風呂往き管61には、通過する水もしくはお湯の温度を浴槽70の湯温として検知する風呂温度センサ61T、および、通過する水圧を検出することで浴槽70の水位を把握する風呂水位センサ61Pが設けられている。
【0069】
風呂循環ポンプ62は、風呂往き管61の途中に設けられている。なお、風呂水位センサ61Pは常時検出可能であるが、風呂温度センサ61Tによる検出は風呂循環ポンプ62が駆動して浴槽70の温水を風呂温度センサ61Tの近傍に通過させることで検出が行われる。
【0070】
風呂戻り管64は、追焚き熱交換器5内の被加熱管63wの下流側端部と、風呂接続管56の浴槽70側とは反対側の端部と、を接続している。
【0071】
風呂接続管56は、風呂戻り管64の下流側端部と、浴槽70のアダプタ71と、を接続している。
【0072】
風呂回路60では、風呂循環ポンプ62がコントローラ10からの指令を受けて駆動することにより、浴槽70のお湯を、風呂往き管61に流出させ、追焚き熱交換器5内の被加熱管63wを通過させることで温度上昇させつつ、風呂戻り管64および風呂接続管56を介して浴槽70に戻している。
【0073】
これにより、外部の浴槽70のお湯の温度を上げることができ、追焚きを実行することができている。
【0074】
(給水給湯回路50)
給水給湯回路50は、外部から供給される水と、貯湯タンク35内のお湯と、を混合して得られる適度な温度の温水を、浴槽70に供給するための回路である。この給水給湯回路50は、外部給水路81、タンク用給水路82、出湯管51、風呂給湯管52、風呂回路60においても用いられている風呂接続管56、混合用給水路83および給湯混合弁84を有している。
【0075】
外部給水路81およびタンク用給水路82は、外部の市水等から供給される常温の水を貯湯タンク35の下端近傍から貯湯タンク35内に導く。このタンク用給水路82は、市水によって供給される水の温度を検知するための給水温度センサ82Tが設けられている。
【0076】
出湯管51は、貯湯タンク35に蓄えられている水もしくはお湯のうち、上端近傍に存在している比較的温度の高いお湯を、給湯混合弁84まで導く管である。この出湯管51には、通過する水もしくはお湯の温度を検知するための出湯温度センサ51Tが設けられている。
【0077】
混合用給水路83は、貯湯タンク35の上端近傍から出湯管51を通じて流れるより高温のお湯に、常温の市水を混合させることにより、浴槽70に供給する温水の温度を調節するための管である。この混合用給水路83は、外部給水路81とタンク用給水路82との接続部分と、給湯混合弁84と、を接続している。
【0078】
給湯混合弁84は、出湯管51と混合用給水路83との混合部分に設けられている。この給湯混合弁84は、コントローラ10からの指令を受けて貯湯タンク35の上端近傍から浴槽70まで導こうとするお湯の量、および、混合用給水路83を通過させる水の量との混合比率を調節することができる。
【0079】
風呂給湯管52は、貯湯タンク35内のお湯と混合用給水路83とが給湯混合弁84によって混合されつつ温度調節された温水を、風呂接続管56を介して浴槽70に供給するための管である。
【0080】
風呂接続管56は、その上流側端部が風呂給湯管52の下流側端部および風呂戻り管64の下流側端部と接続されており、その下流側端部が浴槽70のアダプタ71に接続されている。
【0081】
(コントローラ10)
コントローラ10は、設定温度受付部10T、設定水位受付部10P、メモリ11、タイマ12、高温追加指示受付部13、給水判定水位設定受付部17、風呂自動運転受付部15、および、追焚き指示受付部16を備えている。
【0082】
設定温度受付部10Tは、ユーザからの浴槽70の設定温度の入力を受け付ける。
【0083】
設定水位受付部10Pは、ユーザからの浴槽70の設定水位の入力を受け付ける。
【0084】
メモリ11には、予め、浴槽70が溢れ始める水位のデータ、一日のうちの時間帯毎の電力料金設定に関する情報が格納されている。また、メモリ11には、貯湯式給湯装置100の運転が行われるに伴い、各種運転履歴データ、状態データの格納が行われる。
【0085】
タイマ12は、所定の運転が行われている時間や、所定の運転を続ける時間のカウントを行ったり、ユーザからの保温期間の設定入力を受け付けたりする。
【0086】
高温追加指示受付部13は、ユーザによって押されることで所定の指示を受け付けるためのボタンであり、ユーザによって一度押された時に、給湯混合弁84で調節された設定温度よりも高温のお湯(ここでは60℃に設定されている)を所定量(ここでは20リットル)だけ、給水給湯回路50によって浴槽70に供給する制御が開始される。
【0087】
給水判定水位設定受付部17は、浴槽70への給水給湯回路50による自動的な温水の供給を開始する基準となる浴槽70の水位である給水判定水位を、予めユーザによる入力で設定することができる。この給水判定水位設定受付部17が受け付けた給水判定水位は、後述するように、外気温度センサ23Tが検知する温度に応じてコントローラ10によって補正された値として用いられる。
【0088】
追焚き指示受付部16は、ユーザによって押されることで所定の指示を受け付けるためのボタンであり、ユーザによって押された時に追焚き熱交換器5を用いた浴槽70の昇温動作が開始される。
【0089】
風呂自動運転受付部15は、ユーザによって押されることで所定の指示を受け付けるためのボタンであり、浴槽70が設定温度で設定水位となるようにお湯をはり、設定された時間(保温期間)の間だけ自動的に所定温度および所定水位が維持されるような保温制御を続ける。なお、この保温制御中においても、ユーザが高温追加指示受付部13のボタンを押したり、ユーザが追焚き指示受付部16のボタンを押したりすると、これらの制御が優先されて即時開始され、保温制御中であっても、ユーザの望むタイミングで浴槽70を所望の状態にすることができるようになっている。
【0090】
コントローラ10は、第1湯量検知温度センサT1〜第6湯量検知温度センサT6が検知する値から貯湯タンク35内のお湯の量を把握しており、貯湯タンク35内のお湯の量が所定量よりも少なくなった時点で、ヒートポンプユニット1と沸き上げポンプ34を駆動させることで貯湯タンク35内の水の熱量を増大させる制御を行う。
【0091】
<風呂自動制御>
風呂自動制御は、図3のフローチャートに示すように、浴槽70に高温のお湯を供給することによる浴槽70の昇温を、追焚き熱交換器5を用いた浴槽70の昇温よりも、できるだけ多く利用できるように、浴槽70へのお湯の供給を開始させる水位をできるだけ低く抑える制御である。
【0092】
なお、コントローラ10は、給水判定水位設定受付部17を介して予めユーザから給水判定水位を受け付け、メモリ11等に格納させている。また、コントローラ10のメモリ11には、タイマ12を介してユーザから入力された保温期間のデータを格納させている。
【0093】
この風呂自動制御は、ユーザによって、風呂自動運転受付部15のボタンが押されることで開始される。
【0094】
ステップS11では、コントローラ10は、設定温度受付部10Tを介して受け付けている設定温度となるように給湯混合弁84によって調節した温水を、給水給湯回路50を介して浴槽70へ供給し始め、ステップS12に移行する。
【0095】
ステップS12では、コントローラ10は、設定水位受付部10Pを介して受け付けている設定水位に達したか否かを判断する。ここで設定水位に達していない場合は、ステップS11に戻って繰り返す。設定水位に達していた場合は、タイマ12によって保温期間のカウントを開始しつつ、ステップS13に移行する。
【0096】
ステップS13では、コントローラ10は、給水判定水位設定受付部17を介して予めユーザから受け付けていた給水判定水位(設定水位よりも低い水位)を、外気温度センサ23Tが検知する温度に基づいて補正し、補正後の給水判定水位を新たに給水判定水位として特定し、ステップS14に移行する。
【0097】
ここでの補正による給水判定水位の特定は、外気温度センサ23Tの検知値が小さいほど(外気温が低いほど)浴槽70の温水の熱が多く放熱されることを考慮して、放熱しにくい状況よりも放熱しやすい状況の方が低い値(低い水位)になるように補正された値として特定される。
【0098】
ステップS14では、コントローラ10は、タイマ12に基づいて保温期間のカウントが終了していないかどうか判断する。ここで保温期間が経過している場合には、風呂自動制御を終了する。保温期間が経過していない場合は、ステップS15に移行する。
【0099】
ステップS15では、コントローラ10は、風呂水位センサ61Pによって浴槽70の水位を把握し、ステップS16に移行する。
【0100】
ステップS16では、コントローラ10は、風呂水位センサ61Pが検知する浴槽70の水位が、設定水位受付部10Pを介して受け付けている設定水位以下であるかどうかを判断する。ここで、設定水位以下でない場合には、ステップS17に移行する。設定水位以下である場合には、ステップS20に移行する。
【0101】
ステップS17では、コントローラ10は、風呂循環ポンプ62を駆動させて、風呂温度センサ61Tによる浴槽70温度の検知を行った後、風呂循環ポンプ62を停止させる。その後、ステップS18に移行する。
【0102】
ステップS18では、コントローラ10は、風呂温度センサ61Tが検知する浴槽70の温度が、設定温度受付部10Tを介して受け付けている設定温度未満であるかどうかを判断する。ここで、設定温度未満でない場合には、ステップS14に戻り繰り返す。設定温度未満である場合には、ステップS19に移行する。
【0103】
ステップS19では、コントローラ10は、追焚き循環ポンプ44および風呂循環ポンプ62の両方を同時に駆動させた状態にして、追炊き熱交換器5における熱交換を行わせ、浴槽70に戻る温水の温度を上昇させる追焚き熱交換制御を行う。そして、ステップS17に戻り、浴槽70の温度が設定温度に達するまでこの追焚き熱交換制御を続ける。
【0104】
ステップS20では、コントローラ10は、風呂水位センサ61Pが検知する浴槽70の水位が、ステップS13で特定した給水判定水位以下であるかどうかを判断する。ここで、給水判定水位以下でない場合には、ステップS14に戻り繰り返す。給水判定水位以下である場合には、ステップS21に移行する。
【0105】
ステップS21では、コントローラ10は、風呂循環ポンプ62を駆動させて、風呂温度センサ61Tによる浴槽70温度の検知を行った後、風呂循環ポンプ62を停止させる。その後、ステップS22に移行する。
【0106】
ステップS22では、コントローラ10は、風呂温度センサ61Tが検知する浴槽70の温度が、設定温度受付部10Tを介して受け付けている設定温度未満であるかどうかを判断する。ここで、設定温度未満でない場合には、ステップS28に移行する。設定温度未満である場合には、ステップS23に移行する。
【0107】
ステップS23では、コントローラ10は、高温足し湯制御を行う。ここでは、この高温足し湯制御では、設定温度受付部10Tがユーザから受け付けている設定温度よりも5℃以上高温の温水を、給湯混合弁84と給水給湯回路50を用いて、浴槽70に供給する。具体的には、本実施形態では、一回の高温足し湯制御によって、60℃のお湯を20リットルだけ浴槽70に供給する。その後、ステップS24に移行する。
【0108】
ステップS24では、コントローラ10は、風呂水位センサ61Pが検知する浴槽70の水位が、設定水位受付部10Pを介して受け付けている設定水位以下であるかどうかを判断する。ここで、設定水位以下でない場合には、ステップS25に移行する。設定水位以下である場合には、ステップS21に戻って、高温足し湯制御を設定水位もしくは設定温度に至まで繰り返す。
【0109】
ステップS25では、コントローラ10は、追焚き循環ポンプ44および風呂循環ポンプ62の両方を同時に駆動させた状態にして、追炊き熱交換器5における熱交換を行わせ、浴槽70に戻る温水の温度を上昇させる追焚き熱交換制御を行う。そして、ステップS26に移行する。
【0110】
ステップS26では、コントローラ10は、風呂循環ポンプ62を駆動させて、風呂温度センサ61Tによる浴槽70温度の検知を行った後、風呂循環ポンプ62を停止させる。その後、ステップS27に移行する。
【0111】
ステップS27では、コントローラ10は、風呂温度センサ61Tが検知する浴槽70の温度が、設定温度受付部10Tを介して受け付けている設定温度未満であるかどうかを判断する。ここで、設定温度未満でない場合には、ステップS14に戻り繰り返す。設定温度未満である場合には、ステップS25に移行して繰り返す。
【0112】
ステップS28では、コントローラ10は、風呂水位センサ61Pによって浴槽70の水位を把握し、ステップS29移行する。
【0113】
ステップS29では、コントローラ10は、風呂水位センサ61Pが検知する浴槽70の水位が、設定水位受付部10Pを介して受け付けている設定水位以下であるかどうかを判断する。ここで、設定水位以下でない場合には、ステップS14に戻って繰り返す。設定水位以下である場合には、ステップS30に移行する。
【0114】
ステップS30では、コントローラ10は、設定温度受付部10Tを介して受け付けている設定温度となるように給湯混合弁84および給水給湯回路50を用いて、一度に設定温度のお湯を20リットルだけ浴槽70に供給する足し湯制御を行い、ステップS28に戻って繰り返す。
【0115】
<追焚き時沸き上げ制御>
追焚き時沸き上げ制御は、図4のフローチャートに示すように、浴槽70の温水の温度を上昇させるために追焚き熱交換器5を用いた追焚き熱交換制御を行う場合(例えば、上記ステップS19、ステップS25等)や、追焚き指示受付部16のボタンがユーザによって押されることで追焚き熱交換器5を用いた浴槽70の昇温動作が開始される場合に、貯湯タンク35への外乱等の影響を小さく抑えるために、ヒートポンプユニット1と貯湯回路30の利用を同時に行う制御である。この追焚き時沸き上げ制御は、コントローラ10によって、上述の風呂自動制御等と同時に進行され、貯湯式給湯装置100の運転が行われている間、常時進行している。
【0116】
この追焚き時沸き上げ制御では、追焚き回路40の循環量よりも貯湯回路30の循環量の方が大きくなるように、コントローラ10が追焚き循環ポンプ44の流量と沸き上げポンプ34の流量とを調節する。具体的には、コントローラ10は、追焚き循環ポンプ44の調節流量が、沸き上げポンプ34の調節流量の90%以上100%未満となるように調節し、例えば、追焚き循環ポンプ44の調節流量が0.9リットル/min、沸き上げポンプ34の調節流量が1リットル/min程度となるように調節する。以下、各処理を順に説明する。
【0117】
ステップS41では、コントローラ10は、貯湯タンク35の湯量を把握する。具体的には、第1湯量検知温度センサT1〜第6湯量検知温度センサT6が検知している温度に基づいて、貯湯タンク35の湯量を把握する。その後、ステップS42に移行する。
【0118】
ステップS42では、コントローラ10は、貯湯タンク35の湯量が十分であるか否か判断する。具体的には、コントローラ10は、第1湯量検知温度センサT1〜第6湯量検知温度センサT6の各センサのうちの予め定められたセンサの検知値が所定温度以下の値であるか否かを判断する。貯湯タンク35の湯量が十分である場合には、ステップS45に移行する。貯湯タンク35の湯量が十分でない場合には、ステップS43に移行する。
【0119】
ステップS43では、コントローラ10は、ヒートポンプユニット1と貯湯回路30を動作させて沸き上げを開始する。ここでは、沸き上げポンプ34、圧縮機21および空気熱交ファン24F等の駆動を開始させる。この沸き上げ動作を所定時間もしくは貯湯タンク35への熱供給量が所定量となるまで行った後に、ステップS44に移行する。
【0120】
ステップS44では、コントローラ10は、ヒートポンプユニット1と貯湯回路30を停止させて沸き上げを終了し、ステップS41に戻って繰り返す。
【0121】
ステップS45では、コントローラ10は、追焚き熱交換制御が開始されているか否かを把握する。具体的には、コントローラ10は、上述した風呂自動制御中における追焚き熱交換制御(例えば、上述のステップS19、ステップS25等)が行われているか否か、ユーザによって追焚き指示受付部16のボタンが押されたか否か、等によって、追焚き熱交換制御が開始されているか否かを判断する。ここで、追焚き熱交換制御が行われていないと判断した場合には、ステップS41に戻って繰り返す。追焚き熱交換制御が行われていると判断した場合には、ステップS46に移行する。
【0122】
ステップS46では、コントローラ10は、追焚き熱交換制御によって駆動する追焚き循環ポンプ44の流量を把握し、ステップS47に移行する。
【0123】
ステップS47では、コントローラ10は、沸き上げポンプ34の流量を、ステップS46で把握した追焚き循環ポンプ44の流量に基づいて決定する。ここでは、コントローラ10は、沸き上げポンプ34の流量が、ステップS46で把握した追焚き循環ポンプ44の流量の90%となるように決定する。その後、ステップS48に移行する。
【0124】
ステップS48では、コントローラ10は、沸き上げポンプ34を駆動させて、実際に沸き上げ運転を開始させる。ここでは、上記ステップS43と同様に、沸き上げポンプ34、圧縮機21および空気熱交ファン24F等の駆動を開始させる。ここで、沸き上げポンプ34の流量は、追焚き循環ポンプ44の流量の90%としてステップS47で決定した流量となるように、コントローラ10が制御を行う。この沸き上げ運転を継続させた状態で、ステップS49に移行する。
【0125】
ステップS49では、コントローラ10は、追焚き熱交換制御が停止しているか否かを判断する。具体的には、浴槽70において設定温度の温水が設定水位分だけ確保された状態になっている場合等には、追焚き熱交換制御が停止されることになる。ここで、追焚き熱交換制御が停止していない場合には、ステップS46に戻って、同時に行われている沸き上げ運転を続行し、この処理を繰り返す。追焚き熱交換制御が停止されている場合には、ステップS50に移行する。
【0126】
ステップS50では、コントローラ10は、沸き上げ運転を停止させて、ステップS41に戻り、上述の処理を繰り返す。具体的には、沸き上げポンプ34、圧縮機21および空気熱交ファン24F等の駆動を停止させる。
【0127】
<本実施形態の特徴>
(1)
本実施形態の貯湯式給湯装置100では、追焚き時沸き上げ制御が行われることで、追焚き熱交換器5を用いた追焚き熱交換制御が行われている場合には、ヒートポンプユニット1および貯湯回路30を用いた沸き上げ運転が行われることになっている。
【0128】
ここで、追焚き戻り管43と、沸き上げ往き管31とは、貯湯タンク35の外部に配置されている分岐部分38において互いに接続されているため、追焚き戻り管43を流れている浴槽70の温水を加熱した後の温水は、中間温度となっており、貯湯タンク35に戻ってしまうと、貯湯タンク35の温水の熱量を低下させてしまったり、貯湯タンク35の温水の熱量を安定に保つことができなくなってしまう。
【0129】
これに対して、上述の追焚き時沸き上げ制御では、沸き上げポンプ34の流量が、追焚き循環ポンプ44の流量よりも多くなるように、コントローラ10によって制御されている。このため、追焚き戻り管43を分岐部分38まで流れてきた中間温度の温水は、タンク下端接続管39を介して貯湯タンク35側に向かいにくく、積極的に沸き上げ往き管31側に導くことができる。これにより、追焚き熱交換制御を行う時であっても、貯湯タンク35に生じる外乱をできるだけ小さく抑えることができるようになっている。
【0130】
(2)
また、上述の追焚き時沸き上げ制御によって、貯湯タンク35への外乱をできるだけ小さく抑えることができているため、貯湯タンク35の温水が有している熱量をできるだけ多く保つことも可能になる。
【0131】
例えば、電気料金が一日の内の時間帯で異なり、夜が昼間よりも電気料金が安いシステムにおいて、毎朝、貯湯タンク35の温水の熱量が最大になるように制御しようとする場合において、比較的電気料金が安い時間帯の終わりに近づいた頃に、追焚き熱交換制御が行われてしまうと、その後の比較的電気料金が高い時間帯に、沸き上げ運転を行うことになってしまう。これに対して、上述の追焚き時沸き上げ制御では、このように比較的電気料金が安い時間帯の終わりに近づいた頃に追焚き熱交換制御が行われても、その際に浴槽70の温水の温度を上げるためのエネルギは、貯湯タンク35の温水の熱ではなく、主として、ヒートポンプユニット1から直接得られる熱を用いることができる。これにより、貯湯タンク35の温水の熱量を所望の状態に維持したままで、浴槽70の温水の温度を上げる要求に応じることが可能になる。
【0132】
(3)
なお、本実施形態の貯湯タンク35は、内容積は約180リットル、横断面積が1100cm2程度、鉛直方向の長さが165cm程度であり、その高さが十分に設けられているため、上層部分の高温層と下層部分の低温層との温度が混ざりにくい。このため、ヒートポンプユニット1に供給する水温を低く抑えやすくなるため、ヒートポンプユニット1の成績係数を良好に維持することができる。また、内容積が370リットル程度の従来の貯湯タンクよりも内容積が180リットル程度で小さな貯湯タンク35では、ヒートポンプユニット1の作動が従来よりも頻繁に行われがちになるが、このような場合であっても、浴槽70の保温動作において、貯湯タンク35の中間温度層が増大しにくいために、成績係数を良好に保つことができる。
【0133】
<上記実施形態の変形例>
(A)
上記実施形態では、このタンク下端接続管39が、貯湯タンク35の下端から沸き上げ往き管31と追焚き戻り管43との分岐部分38を接続している場合を例に挙げて説明した。
【0134】
しかし、上記実施形態のタンク下端接続管39について、例えば、図5に示すように、貯湯タンク35の下端近傍から分岐部分38に向かう流れのみを許容する逆止弁237を設けた貯湯式給湯装置200としてもよい。
【0135】
この場合には、追焚き熱交換制御時に追焚き戻り管43を介して分岐部分38まで流れてくる中間温度の温水が、貯湯タンク35側に流れ込まないようにすることができ、貯湯タンク35への外乱をより効果的に低減させることができる。
【0136】
(B)
上記実施形態では、追焚き熱交換制御が開始された場合に沸き上げ運転を開始させる場合を挙げて説明した。
【0137】
しかし、例えば、追焚き熱交換制御が行われている場合に常に沸き上げ運転を行うのではなく、例えば、追焚き熱交換制御が行われている状態において、追焚き循環ポンプ44の流量が所定流量を超えるほど大きくなった場合にのみ、ヒートポンプユニット1と貯湯回路30を駆動させるようにしてもよい。この場合には、浴槽70において比較的少ない熱量が必要とされている追焚き時には、貯湯タンク35への外乱の影響も比較的小さく抑えられており、かつ、ヒートポンプユニット1を駆動させないことにより省エネを実現させることができる。
【0138】
(C)
上記実施形態では、風呂自動制御のステップS18、S19において、設定温度未満である場合に追焚き熱交換制御を開始させる制御を例に挙げて説明した。
【0139】
しかし、例えば、上述のステップS18における追焚き熱交換制御を開始させるための条件を、設定温度よりも所定温度低い判定温度以下であること、としてもよい。
【0140】
このように、浴槽70の温度と設定温度との乖離度合いがより大きな場合に、追焚き熱交換制御を行わせて、これに伴う追焚き時沸き上げ制御を開始させるようにすることができる。
【0141】
仮に、浴槽70の温度と設定温度との乖離度合いがより大きな場合に、追焚き時沸き上げ制御を行うことなく、追焚き熱交換制御のみを行ってしまうと、貯湯タンク35の中間温度層がより顕著に増大してしまう。
【0142】
これに対して、ここでは、追焚き熱交換制御のみが行われることがなく、追焚き時沸き上げ制御が追従して行われるために、貯湯タンク35の中間温度層が顕著に増大してしまうような事態を回避することができる。
【0143】
(D)
上記実施形態では、浴槽70の温度が設定温度になることに着目しえ追焚き熱交換制御を行う場合を例に挙げて説明した。
【0144】
しかし、例えば、追焚き熱交換制御では、追焚き戻り管43の追炊き熱交換器5の出口側の温水温度をセンサ等で把握しつつ、この温度が目標温度となるように追焚き循環ポンプ44の流量を調節しつつ、これに追従して沸き上げポンプ34の流量を調節するようにしてもよい。
【0145】
これにより、追焚き戻り管43の追炊き熱交換器5の出口を通過する温水の温度をできるだけ低くすることができる場合には、追焚き時沸き上げ制御におけるヒートポンプユニット1の成績係数を良好にすることが可能になる。
【0146】
(E)
上記実施形態では、追焚き時沸き上げ制御においては、ヒートポンプユニット1の出力変動が任意である場合を例に挙げて説明した。
【0147】
しかし、例えば、追炊き熱交換器5および水熱交換器22の全体において、冷媒、貯湯回路30および追焚き回路40を循環する温水、および、風呂回路60を循環する温水との間の熱伝達効率および熱交能力を考慮して、ヒートポンプユニット1の出力を調節することで、浴槽70の温度を設定温度となるようにしてもよい。
【0148】
(F)
上記実施形態では、追焚き熱交換制御が行われる場合に追焚き時沸き上げ制御が行われる場合を例に挙げて説明した。
【0149】
しかし、例えば、追焚き時沸き上げ制御は、追焚き熱交換制御が開始された後に所定条件を満たすまでの間だけ行うようにしてもよい。この条件としては、例えば、追焚き熱交換制御の開始から所定時間が経過するまでの間や、追焚き戻り管43を流れる温水の温度を把握するためのセンサ等を設けた場合に検知温度が所定温度を超えた場合や、風呂温度センサ61Tの検知温度が所定温度を超えた場合等とすることができる。
【0150】
ここで、貯湯タンク35のお湯の熱を用いて、追焚き熱交換器5によって浴槽70の温水の温度を上昇させる場合には、追焚き時沸き上げ制御を行うことなく沸き上げポンプ34を停止していると、追焚き熱交換器5の被冷却管42wを通過した温水は、温度が低下した状態で追焚き戻り管43を通過して、貯湯タンク35の下方から貯湯タンク35に戻される。この際、追焚き熱交換器5の被冷却管42wを通過することで冷却される温水は、熱交換の原理に従うため、浴槽70の温水の温度(浴槽70から風呂往き管61を介して追焚き熱交換器5に流入する温水の温度)よりも低い温度に冷やされることはない。このため、追焚き戻り管43を介して貯湯タンク35の下方へ戻される温水の温度は、貯湯タンク35の上端近傍に存在する高温の温水と、貯湯タンク35の下端近傍に供給される市水の温度と、の間である中間温度となっている。このようにして、追焚き熱交換器5を用いた追焚き熱交換制御を行った場合には、貯湯タンク35の中間温度層が増大してしまう。ここで、一般に、ヒートポンプユニット1の成績係数は、沸き上げ往き管31を介して水熱交換器22に供給される水の温度が低いほど良好な値になる。しかし、上述のように追焚き時沸き上げ制御を行うことなく追焚き熱交換制御を行った場合には、貯湯タンク35に中間温度層が増大するため、沸き上げ往き管31を介して水熱交換器22に供給される水の温度を低く維持することができなくなり、ヒートポンプユニット1の成績係数の低下を引き起こしてしまう。以上をふまえると、以下の制御が有効である。
【0151】
例えば、追焚き熱交換制御が開始された状態では、浴槽70の温水の温度は低くなっていることが多いため、風呂往き管61を追焚き熱交換器5に向けて流れる温水の温度も低く、追焚き回路40を流れて追焚き熱交換器5において浴槽70からの温水を加熱した後の温水は、比較的低温になりやすい。このように、追焚き戻り管43から分岐部分38を介して沸き上げ往き管31に向かう温水の温度が比較的低温である場合には、追焚き時沸き上げ制御を行うことで、上述のヒートポンプユニット1における成績係数の低下の程度を小さく抑えることができる。
【0152】
これに対して、追焚き熱交換制御が開始された後しばらくした状態では、浴槽70の温水の温度は少しずつ上昇しており、風呂往き管61を追焚き熱交換器5に向けて流れる温水の温度も高くなり、追焚き回路40を流れて追焚き熱交換器5において浴槽70からの温水を加熱した後の温水は、比較的温度が下がりにくく、高温を維持しやすい。このため、追焚き戻り管43から分岐部分38を介して沸き上げ往き管31に向かう温水の温度が比較的高温である場合には、追焚き時沸き上げ制御を行うと、上述のヒートポンプユニット1における成績係数を大きく下げてしまいやすい。このため、追焚き熱交換制御が開始された後しばらくした状態では、追焚き時沸き上げ制御を停止して、ヒートポンプユニット1や貯湯回路30の可動を停止させ、追焚き戻り管43から分岐部分38に向けて流れてきた温水をタンク下端接続管39を介して貯湯タンク35に戻すようにしてもよい。このように追焚き熱交換制御が開始された後しばらくした状態では、追焚き戻り管43を流れる温水の温度は、追焚き往き管41を流れる温水の温度から大きくは低下していないため、貯湯タンク35への外乱の影響を、追焚き熱交換制御の開始時と比較すると小さく抑えることができる。
【0153】
このような運転によると、ヒートポンプユニット1における成績係数をある程度良好に保ちながら、貯湯タンク35への外乱の影響もある程度良好に保つことが可能になる。
【0154】
(G)
上記実施形態では、一日のうちの時間帯に応じて特にヒートポンプユニット1の出力を変動させない場合を例に挙げて説明した。
【0155】
しかし、例えば、電気料金が一日の時間帯によって異なるシステムにおいては、時間帯に応じてヒートポンプユニット1の出力を変更させるようにしてもよい。
【0156】
例えば、毎朝、深夜電力料金の時間帯が終了する頃に貯湯タンク35をお湯で満たすように、ヒートポンプユニット1を制御することがある。ここで、例えば、ヒートポンプユニット1の出力が大きいまま(例えば、6キロワット程度)では、比較的短時間で沸き上げを終えて貯湯タンク35をお湯で満たすことが可能になる。特に、上記実施形態で想定しているような180リットル程度の従来よりも小型の貯湯タンク35を用いる場合には、従来と同様のヒートポンプユニット1の出力を用いた場合には、従来よりも沸き上げを終えるまでに要する時間が短くなる。
【0157】
これに対して、例えば、夜間等の比較的電気料金が安い時間帯であって、ユーザが貯湯タンク35のお湯の使用を予定していないような時間帯がある場合においては、そのような時間帯において、ヒートポンプユニット1の出力を小さく抑えて(例えば、4.5キロワット程度)、時間を深夜電力料金の時間帯が終わる直前までに貯湯タンク35の沸き上げが終了するように、時間をかけて沸き上げるようにしてもよい。これにより、従来よりも効率を上げることが可能になる。また、ヒートポンプユニット1の出力だけではなく、例えば、貯湯タンク35の沸き上げ目標温度についても時間帯に応じて変更するようにしてもよい。なお、昼間の給湯負荷が集中しやすい時間帯は、ヒートポンプユニット1の出力を、深夜電力料金の時間終了直前時の出力よりも増大させるようにしてもよい。
【0158】
また、例えば、集合住宅等の人口密集地において、比較的電気料金が安い夜間にヒートポンプユニット1の運転が同時に集中的に行われることがないように、初期設定や、相互通信処理等によって、沸き上げ動作に時間差を設けるようにしてもよい。また、この場合、運転音が小さくなるような周波数帯でヒートポンプユニット1を運転するようにしてもよい。
【0159】
(H)
上記実施形態では、コントローラ10が、追焚き循環ポンプ44の流量を把握して、沸き上げポンプ34の流量を特定する場合を例に挙げて説明した。
【0160】
しかし、例えば、コントローラ10は、一旦追焚き循環ポンプ44と沸き上げポンプ34の両方の運転を開始させた状態で所定時間が経過した後に、沸き上げポンプ34の流量を把握して、追焚き循環ポンプ44の流量がこの把握した沸き上げポンプ34の流量よりも多くなるように調節してもよい。
【0161】
(I)
上記実施形態では、沸き上げポンプ34および追焚き循環ポンプ44の2つのポンプを用いて流量調節する場合を例に挙げて説明した。
【0162】
しかし、例えば、図6に示すように、上記実施形態における追焚き循環ポンプ44の代わりに、接続管流量調節弁344aおよび追焚き流量調節弁344bを備えた貯湯式給湯装置300であってもよい。この接続管流量調節弁344aは、タンク下端接続管39の途中に設けられており、通過する温水の流量を弁開度を調節することで変更できる。追焚き流量調節弁344bは、追焚き回路40の追焚き戻り管43の途中に設けられており、通過する温水の流量を弁開度を調節することで変更できる。
【0163】
この貯湯式給湯装置300では、接続管流量調節弁344aを開いて追焚き流量調節弁344bを閉じた状態にして、沸き上げポンプ34を駆動させることで、追焚き熱交換器5を利用することなく、沸き上げ運転のみを行うことができる。また、貯湯式給湯装置300では、接続管流量調節弁344aを閉じるもしくは開度を狭めつつ、追焚き流量調節弁344bの開度を調節することで通過する流量抵抗を調節させた状態にして、沸き上げポンプ34を駆動させることで、追焚き回路40の循環量よりも貯湯回路30の循環量の方が多くなるようにすることができる。これにより、貯湯タンク35への外乱を小さく抑えつつ、追焚き熱交換制御を行うことができ、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0164】
本発明は、浴槽の温水の熱量を増大させる際の貯湯タンクの温水の熱量の変動を小さく抑えることが可能になるため、特に、貯湯式給湯装置として用いた場合に有用である。
【符号の説明】
【0165】
1 ヒートポンプユニット
3 貯湯ユニット
5 追焚き熱交換器(追焚き熱交換部)
10 コントローラ(制御部)
10P 設定水位受付部
10T 設定温度受付部(浴槽設定温度受付部)
11 メモリ
12 タイマ
16T 給水温度センサ
23T 外気温度センサ
30 貯湯回路(沸き上げ回路)
31 沸き上げ往き路
32 沸き上げ戻り路
34 沸き上げポンプ(流量調節機構)
35 貯湯タンク
38 分岐部分(合流部分)
39 タンク下端接続管(接続管)
40 追焚き回路
41 追焚き往き路
43 追焚き戻り路
44 追焚き循環ポンプ(流量調節機構)
50 給水給湯回路
56 風呂接続管(風呂戻り路)
60 風呂回路(風呂循環回路)
61 風呂往き路
64 風呂戻り路
61P 風呂温度センサ
61T 風呂水位センサ(浴槽水温検出部)
70 浴槽
100 貯湯式給湯装置
200 貯湯式給湯装置
237 逆止弁(逆止機構)
300 貯湯式給湯装置
344a 接続管流量調節弁(流量調節機構、追焚き流量調節機構)
344b 追焚き流量調節弁(流量調節機構、接続管流量調節機構)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0166】
【特許文献1】特開2009−52760号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートポンプユニット(1)によって加熱して得られる温水を貯湯タンク(35)に貯留しつつ浴槽(70)に供給する貯湯式給湯装置(100)であって、
前記浴槽(70)の温水を前記貯湯タンク(35)の温水と熱交換させて追焚き加熱するための追焚き熱交換部(5)と、
前記貯湯タンク(35)の下端近傍から前記ヒートポンプユニット(1)まで延びている沸き上げ往き路(31)と、前記ヒートポンプユニット(1)から前記貯湯タンク(35)の上端近傍まで延びている沸き上げ戻り路(32)と、を有しており、前記貯湯タンク(35)と前記ヒートポンプユニット(1)との間を循環させて前記貯湯タンク(35)の温水を沸き上げ加熱する沸き上げ回路(30)と、
前記貯湯タンク(35)の上端近傍から前記追焚き熱交換部(5)まで延びている追焚き往き路(41)と、前記追焚き熱交換部(5)から前記貯湯タンク(35)の下端近傍まで延びている追焚き戻り路(43)と、を有しており、前記貯湯タンク(35)と前記追焚き熱交換部(5)との間を循環させる追焚き回路(40)と、
前記沸き上げ回路(30)および前記追焚き回路(40)に温水の流れを生じさせる機能と、前記沸き上げ回路(30)および前記追焚き回路(40)の少なくともいずれか一方における温水の流量を変化させる機能と、を有する流量調節機構(34、44、344a、344b)と、
前記追焚き加熱および沸き上げ加熱が同時に行われる場合に、前記追焚き回路(40)の流量よりも前記沸き上げ回路(30)の流量の方が大きくなるように前記流量調節機構(34、44、344a、344b)を制御する制御部(10)と、
を備えた貯湯式給湯装置(100、200、300)。
【請求項2】
前記流量調節機構(34、44、344a、344b)は、前記沸き上げ回路(30)を流れる水の流量を調節可能な沸き上げポンプ(34)と、前記追焚き回路(40)を流れる水の流量を調節可能な追焚き循環ポンプ(44)と、を有しており、
前記制御部(10)は、前記追焚き加熱および沸き上げ加熱が同時に行われる場合に、前記追焚き回路(40)の流量よりも前記沸き上げ回路(30)の流量の方が大きくなるように前記沸き上げポンプ(34)と前記追焚き循環ポンプ(44)とを制御する、
請求項1に記載の貯湯式給湯装置(100、200)。
【請求項3】
前記浴槽(70)の温水の温度を検出する浴槽水温検出部(61T)と、
前記浴槽(70)の設定温度を受け付ける浴槽設定温度受付部(10T)と、
をさらに備え、
前記制御部(10)は、前記浴槽水温検出部(61T)の検出温度が前記設定温度よりも所定判定温度値以上小さい場合に、前記追焚き循環ポンプ(44)を駆動させて前記追焚き加熱を開始する、
請求項2に記載の貯湯式給湯装置(100)。
【請求項4】
前記浴槽(70)から前記追焚き熱交換部(5)まで延びている風呂往き路(61)と、前記追焚き熱交換部(5)から前記浴槽(70)まで延びている風呂戻り路(64、56)と、を有しており、前記浴槽(70)と前記追焚き熱交換部(5)との間を循環させる風呂循環回路(60)をさらに備えた、
請求項1から3のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置(100、200)。
【請求項5】
前記制御部(10)は、前記追焚き加熱が行われている状況で所定の条件を満たした場合に、同時に前記沸き上げ加熱を開始する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置(100、200)。
【請求項6】
前記制御部(10)は、前記追焚き循環ポンプ(44)が駆動して前記追焚き加熱を開始するのに伴って前記沸き上げポンプ(34)を駆動して前記沸き上げ加熱を開始させる、
請求項2または3に記載の貯湯式給湯装置(100、200)。
【請求項7】
前記制御部(10)は、前記追焚き循環ポンプ(44)の調節流量が、前記沸き上げポンプ(34)の調節流量の90%以上となるように追従制御する、
請求項2または3に記載の貯湯式給湯装置(100、200)。
【請求項8】
前記沸き上げ往き路(31)と前記追焚き戻り路(43)とは、合流した状態で前記貯湯タンク(35)の下端近傍に接続されている、
請求項1から7のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置(100、200)。
【請求項9】
前記沸き上げ往き路(31)と前記追焚き戻り路(43)との合流部分と、前記貯湯タンク(35)の下端近傍の接続部分との間には、前記接続部分から前記合流部分に向かう流れのみを許容する逆止機構(237)が設けられている、
請求項8に記載の貯湯式給湯装置(200)。
【請求項10】
前記沸き上げ往き路(31)と前記追焚き戻り路(43)とは、合流部分(38)と、前記合流部分(38)と前記貯湯タンク(35)の下端近傍とを接続する接続管(39)と、をさらに有しており、
前記流量調節機構(34、344a、344b)は、
前記沸き上げ回路(30)を流れる水の流量を調節可能な沸き上げポンプ(34)と、
前記追焚き回路(40)の途中に設けられ、通過する温水の流量を調節可能な追焚き流量調節機構(344a)と、
前記接続管(39)の途中に設けられ、通過する温水の流量を調節可能な接続管流量調節機構(344b)と、
を有している、
請求項1に記載の貯湯式給湯装置(300)。
【請求項11】
前記貯湯タンク(35)の横断面積は、1300cm2以下であって、
前記貯湯タンク(35)の内容積は、100リットル以上200リットル以下である、
請求項1から10のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置(100、200、300)。
【請求項12】
前記ヒートポンプユニット(1)の作動冷媒が二酸化炭素冷媒である、
請求項1から11のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置(100、200、300)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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