貯湯式電気温水器
【課題】例えばキッチンやトイレルームの洗面器カウンタの下面などに設置できる設置性に優れ、かつ湯の押出し性やタンク内の水の排水性に優れた貯湯式電気温水器を提供する。
【解決手段】貯湯タンク10を備えた貯湯式電気温水器において、貯湯タンクは、入水部11と、出湯部12と、入水部と出湯部との間に形成された貯湯部6と、貯湯部内に水又は湯の蛇行流路を形成するための仕切り壁部4,5を有し、貯湯式電気温水器の設置状態において蛇行流路が略水平な面に沿って形成されるように仕切り壁部が貯湯部内に備わり、かつ重力の作用方向で見て貯湯タンクの下面又は側面下方に水抜き部25が設けられている。
【解決手段】貯湯タンク10を備えた貯湯式電気温水器において、貯湯タンクは、入水部11と、出湯部12と、入水部と出湯部との間に形成された貯湯部6と、貯湯部内に水又は湯の蛇行流路を形成するための仕切り壁部4,5を有し、貯湯式電気温水器の設置状態において蛇行流路が略水平な面に沿って形成されるように仕切り壁部が貯湯部内に備わり、かつ重力の作用方向で見て貯湯タンクの下面又は側面下方に水抜き部25が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばキッチンやトイレルームの手洗い器カウンタの下面などに設置できる設置性に優れ、かつ湯の押出し性やタンク内の水の排水性に優れた貯湯式電気温水器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から建物の壁などに縦長の状態で設置され、貯湯タンクの下部から水を入れて上部から沸き上がった湯を出す貯湯式電気温水器が広く用いられてきた。設置状態で貯湯タンクがこのように縦長となった理由は、貯湯タンクの下部から入った水が温められると湯と水の密度差により湯が自然に上昇する作用を利用して湯の押出し性、即ち高温の湯を安定して押し出す性能を高めているためである。そして、近年、例えばトイレルーム内などの手洗い用の蛇口に温水を供給するために、トイレルーム内に電気温水器が直接設置されることが多くなっている。
【0003】
トイレルームへの貯湯式電気温水器の設置に際して、トイレルーム内のインテリア性としての美観や統一感を損なわないために、貯湯式電気温水器自体を従来のように壁面に縦長の状態で直接設置する代わりに、例えば洗面器カウンタやキャビネットの裏面でトイレルーム内から目に付かない場所に貯湯タンクを寝かせた状態で設置されることが望まれている。
【0004】
なお、このような貯湯タンクを寝かせた状態で設置する態様は、例えばキッチンカウンタの下面やキッチンキャビネットのケコミ部などに貯湯式電気温水器を設置する場合にも適用でき、これによってキッチンルームの壁面に貯湯式電気温水器を設置しなくて済み、キッチンルームの美観やインテリア性を向上できるので、このような設置形態は広く望まれている。
【0005】
そして、このような寝かせた状態で設置される貯湯式電気温水器の場合、これをカウンタ下面などの狭いスペースに設置するためには貯湯タンクの形状をかなり扁平した薄型にする必要がある。しかしながら、上下方向の高さを低くして扁平にした横長の貯湯タンクを有する貯湯式電気温水器の場合、設置状態で貯湯タンクが水平方向に広くなるため、湯と水が接する面が広くなり、湯と水が混合し易い。そこで、このような薄型の貯湯タンクを備えた寝かせ置き式の貯湯式電気温水器の押し出し性を改善した特別な構成も考えられている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。かかる特許文献1及び特許文献2に記載の貯湯式電気温水器は、流路の断面積を小さくすることで水と湯の混合を抑制し湯の押出し性を向上させるために、貯湯式電気温水器の設置状態で略鉛直面に沿って水や湯が蛇行する流路を形成する仕切り壁部を貯湯部内に備えている。
【特許文献1】特開2002−89961号公報(図2)
【特許文献2】特開平7−12405号公報(図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、貯湯式電気温水器の設置状態で略鉛直面に沿って水や湯が蛇行する流路を形成する仕切り壁部を貯湯部内に設けた構成では、流路が高さ方向に上下しながら繋がっているので、上から下に向かって流れる流路において水と湯の間の密度差に起因して湯が上に浮き易くかつ水が下に落ち易くなり、このような下り流路において水が湯を先に追い越してしまう。
【0007】
このように各下り流路において水が湯を追い越してしまうと、給湯器の出湯部から湯のみが押し出されずに水と湯が混合した状態で押し出されてしまい、
湯の押出し性が悪くなる。
【0008】
また、カウンタ下面などの狭いスペースに設置するために、上下方向の高さを低くして、水平方向の代表長さ(水平方向断面が長方形状の場合の辺長や楕円形状の場合の径長など)に比べて高さが低いような扁平にした横長の貯湯タンクを有した貯湯式電気温水器を設置する場合において貯湯式電気温水器の設置状態で略鉛直面に沿って流路を形成するような仕切り壁部を設けた構成では、上記の不具合に加えて、水と湯の混合を防止する観点から流路の断面積を小さくする必要上、全体的な流水方向に対して垂直な方向のみの仕切り壁部では流路が仕切り壁部に沿った方向に幅広くなり、十分に流路の断面積を小さくできない。この場合、全体的な流水方向に対して平行な方向の仕切り壁部を更に設けることで流路の断面積を小さくすることが考えられるが、貯湯タンクの構造が複雑になると共に組み付け性が低下するのでコストアップになり、現実的ではない。
【0009】
また、貯湯式電気温水器をカウンタ等の裏面に設置して入水部と出湯部に配管を一旦接続すると、電気温水器を配管から外して傾けたりすることができなくなる。そのため、このような略鉛直面に沿って流路を形成する仕切り壁部を多数備えた貯湯タンクを有する貯湯式電気温水器の場合、各仕切り壁部によって形成される上から下の流路と下から上への流路毎に水抜き部を設けなければ貯湯タンク内の水抜きを完全に行うことができない。そして、このように多数の水抜き部を設けた場合、水抜き後に水抜き部を一箇所でもうっかり閉じ忘れると、貯湯式電気温水器の再作動時にこの水抜き部から水や湯が大量に漏れ出してしまい、大変な事態を招く虞れがある。
【0010】
本発明の目的は、例えばキッチンやトイレルームの手洗い器カウンタの下面などに設置できる設置性に優れ、かつ湯の押出し性やタンク内の水の排水性に優れた貯湯式電気温水器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明にかかる貯湯式電気温水器は、
貯湯タンクを備えた貯湯式電気温水器において、
前記貯湯タンクは、入水部と、出湯部と、前記入水部と出湯部との間に形成された貯湯部と、前記貯湯部内に水又は湯の蛇行流路を形成するための仕切り壁部を有し、
前記貯湯式電気温水器の設置状態において前記蛇行流路が略水平な面に沿って形成されるように前記仕切り壁部が前記貯湯部内に備わり、かつ重力の作用方向で見て貯湯タンクの下面又は側面下方に水抜き部が設けられたことを特徴としている。
【0012】
仕切り壁部により貯湯タンク内に連続した狭い流路を形成し、かつこの流路が貯湯式電気温水器の設置状態で略水平面に沿って蛇行するようになっているので、設置状態で流路が略鉛直面に沿って蛇行する従来型の貯湯式電気温水器のように上から下に向かう流路において湯水の密度差によって水が湯より早くこの流路を降下するようなことが生じず、これにより湯に水が混合することが抑えられ、湯の押し出し性が向上する。
【0013】
また、カウンタ下面などの狭いスペースに設置するために、上下方向の高さを低くして水平方向の代表長さ(水平方向断面が長方形状の場合の辺長や楕円形状の場合の径長など)に比べて高さが低くいような扁平にした横長の貯湯タンクを有した貯湯式電気温水器を設置する場合、全体的な流水方向に対して垂直な方向のみに仕切り壁部を設置したものより更に十分に流路の断面積を小さくでき、貯湯タンクの構造を極端に複雑化させずに済み、貯湯式電気温水器自体のコストを抑えかつ組み付け性を向上させることができる。
【0014】
また、貯湯タンク内の流路が略鉛直面に沿って蛇行せず略水平面に沿って蛇行するようになっているので、貯湯タンクの下面又は側面下方に水抜き部を設けることで、貯湯式電気温水器を設置したままの姿勢で水抜き部を開放するだけで貯湯タンクの入水部と出湯部に連結された配管を外すことなく貯湯タンク内の水を全て排水でき、メンテナンス性が向上する。
【0015】
具体的には、貯湯式電気温水器は長期間使用しているとタンク内が水垢などで汚れることがあるので、貯湯タンクの水を定期的に抜き、水がきれいになるまで給水と排水を繰り返して清掃する必要がある。貯湯タンク内が凍結する畏れがあるときもタンク内の水を抜く場合がある。
【0016】
そして、水抜きによる貯湯タンク内の水垢の水抜きによる掃除は三ヶ月に一回程度行う必要があり、凍結による水抜きは凍結の畏れがあるときに随時行う必要がある。そのため、設置状態で流路が略鉛直面に沿って形成される従来型の貯湯式電気温水器では、下り流路や昇り流路毎に設けた多数の水抜き栓を上述した水抜き作業毎に全て開放しなければならず、水抜き作業が極めてやり難くなる。しかしながら、本発明による貯湯式電気温水器は、設置状態で流路が略水平面に沿うようになっているので、水抜き栓を貯湯タンクの下面又は側面下方の一箇所だけ設ければ良くなり、水抜き作業を簡単に行うことができ、貯湯式電気温水器の使い勝手を格段に向上させることができる。
【0017】
また、本発明の請求項2に記載の貯湯式電気温水器は、請求項1に記載の貯湯式電気温水器において、
前記貯湯タンクの内部にヒータを備えるか、又は外側にヒータを直接接するように備えたことを特徴としている。
【0018】
ヒータを貯湯タンクの外に離して備えると、循環用の特別なポンプを介して貯湯タンク内の湯を循環させなければならず、余分なポンプの設置が必要となり、貯湯式電気温水器自体の構造も複雑化して全体が大型化する。しかしながら、本発明ではヒータを貯湯タンクの内部に備えるか、又は外側に直接接するように備えているので、このような問題が生じない。
【0019】
また、本発明の請求項3に記載の貯湯式電気温水器は、請求項1に記載の貯湯式電気温水器において、
前記貯湯タンクの内部にヒータを備え、かつ前記ヒータが前記仕切り壁部を兼ねていることを特徴としている。
【0020】
ヒータが仕切り壁部を兼ねているので貯湯タンクを小型化でき、ひいては電気温水器全体の大きさを小型化できる。
【0021】
また、ヒータが仕切り壁部を兼ねているので、水に直接接するヒータの面積を十分にとることができ、沸き上げ性、即ち均一に沸き上がる効率が向上する。
【0022】
また、本発明の請求項4に記載の貯湯式電気温水器は、請求項2に記載の貯湯式電気温水器において、
前記ヒータが前記貯湯式電気温水器の設置状態で重力の作用方向で見て前記貯湯タンクの少なくとも1/2より下側の面に備わったことを特徴としている。
【0023】
貯湯タンク内においてヒータより更に下側に空間が存在すると、入水部から入った水のうち一部の水がその空間に滞留して沸き上げ効率が低下するが、少なくとも1/2より下側の面にヒータを備えることで、このようないわゆる死に水の溜まる空間を小さくする。その結果、湯と水の密度差により重力で下がった水がヒータに十分接するようになり、入水部から入水された水のうち死に水の量をより少なくでき、貯湯タンク内でより多くの湯を沸かすことができる。
【0024】
また、本発明の請求項5に記載の貯湯式電気温水器は、請求項2乃至請求項4の何れかに記載の貯湯式電気温水器において、
前記ヒータが前記入水部の近傍に備わったことを特徴としている。
【0025】
入水部の近傍では入水した水が殆ど温度上昇していないので、この部分における水をヒータを介して効率良く温めることができる。
【0026】
また、本発明の請求項6に記載の貯湯式電気温水器は、請求項2乃至請求項4の何れかに記載の貯湯式電気温水器において、
前記ヒータが複数のヒータからなり、各ヒータが前記入水部と出湯部とを結ぶ方向に分散配置されたことを特徴としている。
【0027】
ヒータをこのように分散配置することで、貯湯式電気温水器の使い方に応じて貯湯タンク内に入水した水の部分の滞留位置が変化しても、対応するヒータを加熱することにより、水の部分を中心に沸き上げることが可能となり、貯湯タンク内の湯全体を冷ますことなく、効率良く沸き上げて出湯部からそのまま流出させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、例えばキッチンやトイレルームの手洗い器カウンタの下面などに設置できる設置性に優れ、かつ湯の押出し性やタンク内の水の排水性に優れた貯湯式電気温水器を提供できる。
【0029】
具体的には、仕切り壁部により貯湯タンク内に連続した狭い流路を形成し、かつこの流路が貯湯式電気温水器の設置状態で略水平面に沿って蛇行するようになっているので、設置状態で流路が略鉛直面に沿って蛇行する従来型の貯湯式電気温水器のように上から下に向かう流路において湯水の密度差によって水が湯より早くこの流路を降下するようなことが生じず、これにより湯に水が混合することが抑えられ、湯の押し出し性が向上する。
【0030】
また、貯湯タンク内の流路が略鉛直面に沿って蛇行せず略水平面に沿って蛇行するようになっているので、貯湯タンクの下面又は側面下方に水抜き部を設けることで、貯湯式電気温水器を設置したままの姿勢で水抜き部を開放するだけで貯湯タンクの入水部と出湯部に連結された配管を外すことなく貯湯タンク内の水を全て排水でき、メンテナンス性が向上する。
【0031】
具体的には、貯湯式電気温水器は長期間使用しているとタンク内が水垢などで汚れることがあるので、貯湯タンクの水を定期的に抜き、水がきれいになるまで給水と排水を繰り返して清掃する必要がある。貯湯タンク内が凍結する畏れがあるときもタンク内の水を抜く場合がある。
【0032】
そして、水抜きによる貯湯タンク内の水垢の水抜きによる掃除は三ヶ月に一回程度行う必要があり、凍結による水抜きは凍結の畏れがあるときに随時行う必要がある。そのため、設置状態で流路が略鉛直面に沿って形成される従来型の貯湯式電気温水器では、下り流路や昇り流路毎に設けた多数の水抜き栓を上述した水抜き作業毎に全て開放しなければならず、水抜き作業が極めてやり難くなる。しかしながら、本発明による貯湯式電気温水器は、設置状態で流路が略水平面に沿うようになっているので、水抜き栓を貯湯タンクの下面又は側面下方の一箇所だけ設ければ良くなり、水抜き作業を簡単に行うことができ、貯湯式電気温水器の使い勝手を格段に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の一実施形態にかかる貯湯式電気温水器について図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる貯湯式電気温水器に備わった貯湯タンク10の概略斜視図である。また、図2は、貯湯タンク10の内部を模式的に示す平面図である。また、図3は貯湯タンク10の組み立て前の状態を示す分解斜視図である。なお、図1乃至図3の貯湯タンク10の外形寸法や貯湯タンク10に備わった各仕切り壁部4,5の数は互いに厳密には一致させていない。
【0034】
貯湯式電気温水器は、ヒータhを備えた貯湯タンク10と、ここでは詳細には図示しないリモコン又は操作パネルと、リモコン又は操作パネルで貯湯タンク10のヒータhを作動させる制御部を備えている。そして、貯湯タンク10は、図1に示すように、6つの平面部10a〜10fを有する直方体状の扁平箱形をなしている。そして、貯湯タンク10の内部には複数の仕切り壁部4,5で仕切られた貯湯部6が形成されている。
【0035】
貯湯タンク10の長手方向両端に形成された2つの平面部10c,10dのうち、一端側の平面部10cには、貯湯部6と貯湯タンク10の外部に設けられる入水流路を連通接続させる入水部11が設けられている。また、他端側の平面部10dには、貯湯部6と貯湯タンク10の外部に設けられる出湯流路とを連通接続させる出湯部12が設けられている。
【0036】
貯湯部6は、複数の仕切り壁部4,5によって入水部11と出湯部12との間に形成された細長い蛇行流路をなしている。この蛇行流路を形成する各仕切り壁部4,5は、貯湯タンク10の最も広い平面部である平面部10e,10fに対して略垂直に貯湯タンク10の厚さ方向に延在する矩形板状をなしている。
【0037】
仕切り壁部4の4つの縁部のうち3つの縁部はそれぞれ、平面部10a,10e,10fに接している。また、仕切り壁部4は平面部10bには接しておらず、仕切り壁部4と平面部10bとの間には隙間が生じている。即ち、仕切り壁部4は、貯湯タンク10の長手方向で見た場合に仕切り壁部4の両側の空間を仕切っているが、仕切り壁部4の両側の空間は、仕切り壁部4と平面部10bとの間の隙間を介して連通されている。
【0038】
一方、仕切り壁部5の4つの縁部のうち3つの縁部はそれぞれ、平面部10b,10e,10fに接している。また、仕切り壁部5は平面部10aには接しておらず、仕切り壁部5と平面部10aとの間には隙間が生じている。即ち、仕切り壁部5は、貯湯タンク10の長手方向で見た場合に仕切り壁部5の両側の空間を挟むように仕切っているが、仕切り壁部5の両側の空間は、仕切り壁部5と平面部10aとの間の隙間を介して連通されている。
【0039】
かかる仕切り壁部4及び仕切り壁部5は、貯湯タンク10の長手方向に所定間隔隔てて幅方向互いに反対側に偏倚しながら交互に設けられている。これによって、貯湯部6の内部には、図2に示すように、貯湯部6の厚さ方向に対して略垂直な方向に蛇行する蛇行流路が形成される。ここで、貯湯部6の厚さ方向とは、貯湯タンク10の最も広い平面部をなす平面部10e,10fに対して垂直な方向である。
【0040】
そして、この貯湯式電気温水器は、平面部10e,10fが鉛直方向上下面をそれぞれなすように寝かせた状態で図示しないブラケット等の取付け具やねじ等の締結具を介して例えばキッチンやトイレルームの洗面器カウンタ裏面に取り付けられるようになっている。そして、貯湯式電気温水器の取付け状態で各仕切り壁部4,5によって形成される貯湯タンク10の蛇行流路が略水平面に沿って形成されるようになっている。
【0041】
貯湯タンク10の長手方向の略中央における貯湯部内には、図1に示すように、仕切り壁部5の代わりに仕切り壁部4,5に対して略平行に設けられた矩形板状のヒータhが設けられている。ヒータhとしては、例えば、セラミックヒータ、又は、真鍮、鉄、アルミニウムなどにシーズヒータを鋳込み板状に加工した鋳込みヒータなどを用いている。
【0042】
ヒータhは、例えば貯湯タンク10の長手方向略中央部において他の仕切り壁部5に対応する位置に仕切り壁部5の代わりに設けられている。ヒータhは、貯湯タンク10の長手方向で見てヒータhを挟む両側の空間を仕切っているが、ヒータhを挟む両側の空間は、ヒータhと平面部10aとの間の隙間を介して連通されている。即ち、ヒータhは、貯湯部6内の水を加熱する機能を有し、かつ仕切り壁部4,5と共に蛇行流路の壁部としての機能も有している。
【0043】
また、図1に示すように、貯湯部6の蛇行流路の第1レーン即ち入水部11からの水が最初に入水される流路であって貯湯式電気温水器を設置した状態で重力の作用方向で見て下面となる平面部10fに水抜き部25が設けられている。そして、水抜き部25には水抜き栓23によって開閉される水抜き管24が接続されている。なお、本実施形態では蛇行する流路のこの一箇所だけ水抜き部25が設けられている。
【0044】
図3は、貯湯タンク10の分解斜視図である。また、図4(a)は、仕切り壁部4を図1における貯湯タンク10の長手方向入水部側から見た模式図であり、図4(b)は、仕切り壁部5を図1における貯湯タンク10の長手方向入水部側から見た模式図である。
【0045】
貯湯タンク10は、図3から明らかなように、例えば厚さ方向の半分の位置で分割した2つの分割体10u,10sを組み合わせて扁平箱形に構成される。仕切り壁部5及びヒータhは、図4(b)に示すように、図1に示す平面部10b側に偏倚した状態で下側分割体10dに立設され、仕切り壁部5と平面部10aとの間には隙間が形成されている。また、仕切り壁部4は、図4(a)に示すように、図1に示す平面部10a側に偏倚した状態で上側分割体10uに垂設され、仕切り壁部4と平面部10bとの間には隙間が形成されている。
【0046】
なお、上側分割体10uと下側分割体10sは互いに開口縁部を合わせて溶接して扁平の箱体をなす貯湯タンク10を構成している。
【0047】
続いて、以上の構成を有する貯湯式電気温水器の作用について説明する。まず、上述した構成を有する貯湯式電気温水器を例えばトイレルーム内の洗面器カウンタ裏面等に設置する。この場合、貯湯タンク内の流路が略水平面に沿いかつ水抜き部25の備わった平面10fが重力の作用方向で見て下面を向くように貯湯式電気温水器を設置する。このように貯湯式タンク10を寝かせた状態で取り付けることで、トイレルームの洗面器カウンタの裏面等、トイレルーム内から見て目立たない所に貯湯式電気温水器を設置でき、トイレルーム内の美観やインテリア性を損なうことがない。なお、貯湯式電気温水器をトイレルームの洗面器カウンタ下部空間の底面に寝かせ置きしても良い。また、貯湯式電気温水器をキッチンカウンタの下面やキッチンキャビネットのケコミ部等に設置しても良い。この場合、上述したように寝かせた状態で設置できるので、カウンタ下面の調理用備品や食材等の収容スペースを十分確保したまま設置できる。また、キッチンの壁面に貯湯式電気温水器を直接設置させずに済むのでキッチン廻りをすっきりさせ、インテリア性を向上させることができる。
【0048】
また、貯湯式電気温水器の設置状態で水抜き部25が貯湯タンク10の下面に備わっているので、貯湯タンク内の流路が略水平面に沿うように仕切り壁部4,5が備わることと相まって水抜き部25を一箇所だけ設ければ、その水抜き部25から貯湯タンク内の全ての水を排水することができる。
【0049】
このような構成を有した貯湯式電気温水器を上述した所定の場所に設置し、入水部11に水道の配管を接続し、出湯部12に混合栓等に通じる配管を接続し、図示しないリモコン又は操作パネルを操作して貯湯式電気温水器を作動させる。これによって、入水部11を介して貯湯部内に入水していた水はヒータhによって例えば85℃程度に加熱され、貯湯部内に貯められる。そして、湯の使用時には図示しない蛇口を開くことで入水部11から水が入水されると共に貯湯部6の出湯部付近の湯が出湯部12から押し出され、図示しない配管及び混合栓を経由しつつ、かつ適宜、別途水道から分岐された図示しない配管を介して混合栓に供給される水と混合され、蛇口から使用者の元に出湯される。
【0050】
このとき、入水部11から貯湯部内に入水した水は、図2に示すように、仕切り壁部4,5及びヒータhによって形成された蛇行流路を進む。即ち、入水部11から入水した水は、仕切り壁部4,5、ヒータhにガイドされて、貯湯タンク10の短手方向に進みつつ、仕切り壁部4と平面部10bとの間の隙間、仕切り壁部5と平面部10aとの隙間、ヒータhと平面部10aとの隙間を介して隣のレーン(仕切り空間)に移り、貯湯タンク10内を略水平面に沿って蛇行しながら進む。
【0051】
なお、本発明の貯湯式電気温水器は、貯湯タンク10を寝かせた状態で設置していることで、貯湯タンク内の水が仕切り壁部4,5により形成される蛇行流路に沿って略水平面に沿って蛇行しながら貯湯タンク内を進むので、貯湯タンク10を流れる水の鉛直方向に沿った流れ成分が少なくなる。このため、流れ方向の断面積が小さいことにより、湯と水とが混ざり合うことを抑制する効果に加え、自然対流の影響を受けにくく、安定して湯を押し出すことができる。即ち、流路が鉛直面に沿って形成されるように仕切り壁を設けた従来型の貯湯式電気温水器のように、水が湯を追い越して出湯部において湯に水が混ざってしまうことがない。
【0052】
このように、入水部11から貯湯部内に入水した水が流路断面積の比較的小さい蛇行流路を蛇行しながら出湯部側に向かって進むため、入水部11から入水された比較的低温の水が出湯部近傍の湯と混ざり難くなり、出湯部12から出湯される湯の温度低下を防ぎ、出湯部12からの湯の押し出し効率を低下させずに済む。
【0053】
また、入水部11から貯湯部内に入水した水の蛇行する方向が貯湯タンク10の厚さ方向に対して略垂直な方向となっている。即ち、貯湯式電気温水器の設置状態で流路が略水平面に沿っているので、略鉛直面に沿って蛇行する流路を備えた従来型の貯湯式電気温水器に比べて、より少ない仕切り壁部の数で流路断面積を小さくすることが可能となり、コストの低減や生産性の向上が図れる。
【0054】
また、平面部10fを下にして貯湯タンク10を寝かせた状態で設置することで、板状のヒータhが重力の作用方向で見て貯湯タンク10の下面から上方に延在する構成となるので、貯湯部内の水を貯湯タンク10の下面から加熱することができ、高温流体の自然対流により低温になりがちな平面部10f近傍領域の温度低下を抑制でき、ヒータhによる湯の沸き上げ効率が向上する。
【0055】
また、本実施形態の場合、貯湯タンク10を寝かせた状態で設置しているので、仕切り壁が自然対流を塞き止めることがなく、湯を均一に沸き上げることが可能となる。また、ヒータhが貯湯部内で蛇行流路の壁部の一部として設けられていることで、コンパクトかつ簡単な構造となる。
【0056】
また、仕切り壁部4,5は、薄型扁平状の貯湯タンク10の強度を高める補強リブとしても機能し、貯湯タンク10の耐水圧性も向上させる。即ち、図3に示すように厚さ方向に二分割された貯湯タンク10の半部を互いに合わせてこの合わせ部を溶接することにより、薄形扁平状の貯湯タンク10を構成した時に仕切り壁部4,5が補強用リブとしての役目を果たし、薄形扁平状の貯湯タンク10の広い平面部10e及び10fの水圧による変形を抑え、貯湯タンク10の十分な耐久性を確保できる。
【0057】
以上のように貯湯タンク内の水を基準温度まで沸き上げた後、入水部11から貯湯タンク内に水を流入させ、その水で沸き上がった湯を押し出すと共に流入した水によって温度が低下した貯湯タンク内の水を基準温度まで沸き上げるサイクルで貯湯式電気温水器を運転する。そして、貯湯式電気温水器の運転を定期的に停止して貯湯タンク内の湯や事前に冷ましておいた水を水抜き栓23を開放して水抜き部25から貯湯タンク内から排水する。
【0058】
貯湯式電気温水器は長期間使用しているとタンク内が水垢などで汚れることがあるので、貯湯タンク内の水を定期的に抜き、水がきれいになるまで給水と排水を繰り返して清掃する必要がある。貯湯タンク内が凍結する畏れがあるときも、凍結防止のために貯湯タンク内の水を抜く必要がある。
【0059】
なお、水抜きによる貯湯タンク内の水垢の掃除は三ヶ月に一回程度行う必要があり、凍結による水抜きは凍結の畏れがあるときに随時行う必要がある。そのため、設置状態で流路が略鉛直面に沿って形成される従来型の貯湯式電気温水器では、下り流路や昇り流路毎に設けた多数の水抜き栓を上述した水抜き作業毎に全て開かなければならず、水抜き作業が極めてやり難くなる。また、水抜き作業終了後に一箇所でも水抜き栓を締め忘れると、貯湯式電気温水器の再運転時に貯湯タンクから大量の水が漏れ出してしまう。しかしながら、本発明による貯湯式電気温水器は、設置状態で流路が略水平面に沿うようになっているので水抜き栓を貯湯タンクの下面又は側面下方の一箇所だけ設ければ貯湯タンク10の水を全て排水することができ、水抜き作業を簡単に行うことができ、従来型の貯湯式電気温水器に比べて貯湯式電気温水器の使い勝手を格段に向上させることができる。
【0060】
なお、貯湯タンク10及び仕切り壁部4,5は、樹脂であっても金属であっても良い。貯湯タンク10及び仕切り壁部4,5を樹脂で構成した場合、一体成型が可能で製造性が良い。なお、この場合にヒータhを嵌め込み保持する為のラッチ係合部を併せて成型するのが良い。貯湯タンク10及び仕切り壁部4,5に用いられる樹脂材料としては、例えば、PPS(polyphenylenesulfide)樹脂が挙げられる。
【0061】
一方、貯湯タンク10及び仕切り壁部4,5を金属で構成した場合、熱伝導率が高いため沸き上げ効率が向上する。また、この場合に金属製の仕切り壁部5に発熱体を内蔵することでヒータhを簡単に構成することができる。なお、貯湯タンク10及び仕切り壁部4,5に用いられる金属材料としては、ステンレス鋼や銅などが挙げられる。
【0062】
上述したようにヒータhの4つの縁部のうち3つの縁部は、それぞれ平面部10b,10e,10fに接している(図1参照)。そして、ヒータhは平面部10aには接しておらず、ヒータhと平面部10aとの間に隙間が生じている。このようにヒータhがその3つの縁部で金属製の貯湯タンク10と接触することで、良好な熱伝導性を介して湯を均一に沸き上げるいわゆる沸き上げ効率を向上させる。
【0063】
続いて、上述の実施形態の各変形例について説明する。なお、上述の実施形態と同等の構成については対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
【0064】
最初に、上述の実施形態の第1変形例について説明する。図5は、この第1変形例にかかる貯湯式電気温水器の貯湯タンク21を模式的に示す斜視図である。
【0065】
本変形例ではヒータhを入水部11の近傍に設けている。具体的には入水部11からの水が最初に入水される流路(第1レーン)の壁部に相当する位置にヒータhを設けている。
【0066】
入水部11の近傍にヒータhを設けることで、貯湯部6への入水後に入水部近傍に貯まった比較的低温の水を直接加熱することができ、沸き上げ効率を向上させる。
【0067】
続いて、上述の実施形態の第2変形例について説明する。図6はこの第2変形例にかかる貯湯式電気温水器における貯湯タンク31を模式的に示した斜視図である。
【0068】
本変形例では入水部11と出湯部12を結ぶ方向に複数のヒータhを分散配置している。具体的には3つのヒータhを入水部11の近傍、出湯部12の近傍、貯湯タンク31の長手方向(入水部11と出湯部12とを結ぶ方向)の略中央にそれぞれ設けている。
【0069】
入水部11の近傍に設けたヒータhは、例えば入水部11から数えて1番目のレーンの壁部に相当する位置に設けられている。一方、出湯部12の近傍及び貯湯タンク31の長手方向の略中央に設けたヒータhは、例えば出湯部12から数えて2番目のレーンと6番目のレーンの壁部に相当する位置にそれぞれ設けられている。
【0070】
複数のヒータhをこのように分散配置することで、貯湯部全体の水が均等に沸き上がり、沸き上げ効率の更なる向上を図ることができる。また、複数のヒータhを分散配置した場合、各ヒータhの発熱量も分散させることができる。即ち、例えば1つのヒータで貯湯部全体を所望の温度に加熱する場合のヒータの発熱量に対して、3つのヒータhの発熱量をそれぞれ例えば1/3にすることができる。これによって、貯湯部6の局所的な過度の昇温が抑えられ、貯湯タンク31の局所的な熱応力の発生を阻止する共に各部品の耐熱性に余裕を持たせることができ、貯湯式電気温水器の安全性や信頼性を確保する。
【0071】
また、複数のヒータhを分散配置した場合、貯湯部内における各ヒータhの近傍に各ヒータhの近傍の温度を測定する温度センサ(図示せず)を設け、各温度センサの温度測定結果から例えば所望の温度より低い測定温度であったセンサ近傍のヒータhのみを動作させるような制御を行えば、無駄な電力消費を抑えて効率の良い加熱や保温を行うことができる。
【0072】
続いて、上述の実施形態の第3変形例について説明する。図7は、この第3変形例にかかる貯湯タンク10の内部を模式的に示す平面図である。
【0073】
この変形例にかかる貯湯式電気温水器の仕切り壁部34,35及びヒータhは、図7に示すように、貯湯タンク10の長手向に沿って延在している。即ち、貯湯タンク10における長手方向の両端の平面部10c,10dの一方の平面部10cから仕切り壁部34が他方の平面部10dに向けて延在し、仕切り壁部34と他方の平面部10dとの間には隙間が生じている。また、仕切り壁部35は、仕切り壁部34が接する一方の平面部10cに対向する他方の平面部10dから一方の平面部10cに向けて延在し、仕切り壁部35とその一方の平面部10cとの間には隙間が生じている。そして、これら仕切り壁部34,35が貯湯タンク10の短手方向に交互に配設されている。
【0074】
ヒータhは貯湯タンク10の短手方向の略中央に配設され、例えば入水部11から数えて7番目のレーンの壁部に相当する位置に設けられている。貯湯タンク10がこのような構成であっても、上述した実施形態及びその各変形例と同様の作用効果を発揮する。
【0075】
続いて、本実施形態の第4変形例について説明する。図8はこの第4変形例にかかる貯湯タンク10の分解斜視図である。
【0076】
本変形例においては、ヒータhは、貯湯式電気温水器の設置状態で貯湯タンク10の外側に直接接するように設けられている。より具体的には、板状のヒータhは、貯湯部6の厚さ方向に対して垂直な側面、即ち貯湯式電気温水器の設置状態で重力の作用方向で見て下面となる貯湯タンク10の平面部10fに密着固定されている。この場合、例えばハンダや熱伝導性の良い接着剤などにより板状のヒータhを金属製の貯湯タンク10の平面部10fに接着することで、ヒータhの熱を貯湯タンク10に効率良く伝えることができる。そして、貯湯タンク内に設けられた仕切り壁部4が熱伝導フィンとしての役割を果たし、タンク内の水を高い効率で均一に沸き上げることができる。また、ヒータhが貯湯タンク10の下面に設置されているので、ヒータhから上方に向かう熱流を貯湯タンク10に効率的に伝えることができ、湯を効率良く沸き上げることができる。
【0077】
なお、この第4変形例のようにヒータhを貯湯タンク10の下面をなす平面部10fに全体的に密着固定する代わりに、ヒータhを例えば入水部11の近傍であって貯湯タンク10の側面に密着固定させたり、平面部10fの複数の部分に分けて密着固定させたりしても良い。
【0078】
続いて、本実施形態の第5変形例について説明する。図9は、この第5変形例を模式的に示す斜視図である。第5変形例では、貯湯タンク内の流路が略水平面に沿うように貯湯式電気温水器を設置した状態で、重力の作用方向で見て側面となる平面10bの下方に水抜き部25aが設けられている。この場合であっても貯湯タンク10の下面をなす平面10fに水抜き部25を設けた上述の実施形態及びその変形例と同様に一箇所の水抜き栓23を開くことで、貯湯タンク内の水を全て排水することができ、排水性に関する本発明の上述した作用効果を十分発揮し得る。なお、この水抜き部25を貯湯タンク10の側面をなす平面部10c,10dに設置する場合の設置位置は、貯湯式電気温水器の設置状態で重力の作用方向で見て平面部10c,10dの下縁部近傍である。このような配置構成によっても貯湯タンク内の水抜きを完全に行なうことができる。
【0079】
続いて、本実施形態の更なる変形例について説明する。以下に説明する第6変形例乃至第8変形例は上述の実施形態及びその各変形例に用いた板状のヒータhの代わりにいわゆる投げ込み式ヒータと呼ばれるパイプ状のヒータhを備えた変形例である。このヒータhは、各変形例に示すように、様々な形状に折り曲げられ、パイプ内にニクロム線等の発熱体を内蔵したタイプである。なお、ヒータh以外は上述した実施形態と同等の構成を有するので、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
【0080】
このような投げ込み式のヒータhを用いるメリットは少なくとも発熱部を貯湯タンク10の底面近傍(貯湯タンク10の高さの1/2より下)に配置できることにある。これにより、貯湯タンク10の底面側の方から加熱され、死に水がより少なくなり沸き上げ性が向上する。なお、仕切り壁兼用の板状ヒータの場合は貯湯タンク内に貯まった水を下から上まで幅広く加熱できるので、このような投げ込み式のヒータhよりは有利であるが、投げ込み式のヒータhの方がコスト的に安価でありかつ貯湯タンク内でのヒータ設置場所を容易に変更することができるので、その利用価値は大きい。
【0081】
図10に示す第6変形例は、貯湯タンク10の長手方向略中央部よりも若干入水部側に配置された仕切り壁部4を跨いだ状態でヒータhが配置された変形例である。
【0082】
また、図11に示す第7変形例は、多数の仕切り壁部4,5を貫通した状態で貯湯タンク10の長手方向一方の端部から他方の端部近傍までヒータhが延在すると共にこの他方の端部近郊でヒータhが折り返して再び長手方向一方の端部まで仕切り壁部4,5を貫通した変形例である。
【0083】
また、図12に示す第8変形例は、入水部側の平面部10cとこれに隣接する仕切り壁部4との間の空間にヒータhを配置した変形例である。
【0084】
これらの何れの変形例の構成であっても、本発明の作用の一つである湯の沸き上げ効率の向上を達成することが可能である。
【0085】
なお、図12に示す第8変形例においては、入水部側の平面部10cとこれに隣接する仕切り壁部4との間にヒータhを配置したが、この代わりに出湯部側の平面部10dとこれに隣接する仕切り壁部4との間にヒータhを配置しても良い。この場合、出湯直前に湯を加熱するので、加熱後に出湯するまでの間に湯がさめることなく湯の沸き上げ性を低下させることもない。
【0086】
なお、図10乃至図12でヒータhの様々な設置箇所等の説明をしたが、基本的には貯湯タンクの入水部側から冷水が溜まる場合が多いので、入水部側にヒータhを配置したほうが冷水を効率的に加熱でき、好ましいと言える。しかしながら、本実施形態のような仕切り板が特別な配置構造で備わった貯湯タンクの場合、蛇行流路によって貯湯タンク内は繋がっており、自然対流を塞き止めることがないので、ヒータhの設置場所は入水側近傍以外の場所に設置しても貯湯タンク内の湯を均一に沸き上げることができる。
【0087】
また、図13乃至図16にそれぞれ示す第9変形例乃至第12変形例は、上述の実施形態及びその変形例の水抜きの形態を更に工夫した構成を有している。なお、その他の構成については上述した実施形態と同等のため、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
【0088】
図13に示す第9変形例は、平面部10fの上面に流路底面10xを備えている。そして、流路底面10xは、貯湯式電気温水器の設置状態で水抜き部25に向かって重力の作用方向で見て徐々に下側に向かうテーパ面をその底面全体がなしている。これによって、水抜き時に水抜き部25から貯湯タンク内の湯や水を効率良く排水することができる。
【0089】
また、図14に示す第10変形例は、図13に示す第9変形例とは異なり、平面部10fの上面に貯湯式電気温水器の設置状態で貯湯タンク10の長手方向略中央部に備わった水抜き部25に向かってそれぞれ下向きに傾斜する一組のテーパ面状の流路底面10yを備えている。このような構成であっても、図13に示す第9変形例と同様に、水抜き時に水抜き部25から貯湯タンク内の湯や水を効率良く排水することができる。
【0090】
このように貯湯タンク内に傾斜した流路底面を備えることで貯湯式電気温水器の設置状態で重力の作用方向で見て低い側(下側)の底面に湯や水が溜まり易いことを利用して水抜き部25の排水性を向上させる種々の変形例が考えられる。
【0091】
一方、図15に示す第11変形例は、貯湯タンク10の長手方向略中央部において幅方向全体に亘って水抜き溝10zを備え、この水抜き溝10zの幅方向一側に偏倚した位置に水抜き部25を備えている。このような構成によっても、貯湯タンク内の湯や水を水抜き溝内に一旦溜め込み、この水抜き溝10z及び水抜き部25を介して貯湯タンク内の湯や水を効率良く排水することができる。なお、この場合の水抜き溝10zの貯湯タンク長手方向における形成位置や水抜き部25の貯湯タンク幅方向における形成位置はこの変形例に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0092】
また、図16に示す第12変形例は、パイプ状をなす入水部11の底部に水抜き部25を直接配置した構成を有している。入水部11は、貯湯式電気温水器の設置状態で重力の作用方向で見て一般的に貯湯タンク10の平面部10cの下側に備わっているので、このような位置に水抜き部25を有していても、貯湯タンク内の湯や水を効率良く排水することができる。また、このような構成を有することで、入水部11と水抜き部25を一体化(兼用)できるので、部品点数を削減し、組み付け性の容易化やコストの低減に貢献することができる。
【実施例】
【0093】
続いて、本実施形態及びその第1、第2、第4、第5変形例にかかる貯湯式電気温水器(以下、「本実施例」とする)と貯湯タンク内に仕切り壁部を有さない貯湯式電気温水器(以下、「比較例」とする)を用いて湯の押し出し性能の比較評価試験を行ったので、この比較評価試験の結果について説明する。
【0094】
図17は、本実施例と比較例を厚さ60mm、長手方向長さ250mm、短手方向長さ200mmの扁平直方体状を有する貯湯タンク内の3リットルの水を85℃まで沸き上げた後、入水部から1.43リットル/分で給水したときの出湯部から出湯された湯の出湯温度の時間変化を表すグラフ図である。なお、図17において横軸は時間(秒)を表わし、縦軸は出湯部からの出湯温度(℃)を表している。
【0095】
この図17の評価試験結果から明らかなように、貯湯式電気温水器の設置状態で貯湯タンク内の流路が略水平面に沿って形成されるように貯湯タンク内に仕切り壁部を設けた本実施例の場合、約90秒間に亘って85℃の出湯温度を保つことが分かった。これに対して貯湯タンク内に仕切り壁部を設けなかった比較例の場合、30〜35秒程度しか85℃の出湯時間が続かず、本実施例よりも85℃の湯の出湯時間が極端に短いことが分かった。
【0096】
この評価試験により、本実施例のように貯湯式電気温水器の設置状態で貯湯タンク内の流路が略水平方向に沿うような仕切り壁部を設けた貯湯式電気温水器の優位性をこのような仕切り壁部を有さない電気温水器に対して十分に確認できた。
【0097】
以上説明したように、本発明にかかる貯湯式電気温水器は、仕切り壁部により貯湯タンク内に連続した狭い流路を形成し、かつこの流路が貯湯式電気温水器の設置状態で略水平面に沿って蛇行するようになっているので、設置状態で流路が略鉛直面に沿って蛇行する従来型の貯湯式電気温水器のように上から下に向かう流路において湯水の密度差によって水が湯より早くこの流路を降下するようなことが生じず、これにより湯に水が混合することが抑えられ、湯の押し出し性が向上する。
【0098】
また、上下方向の高さを低くして、水平方向の代表長さ(水平方向断面が長方形状の場合の辺長や楕円形状の場合の径長など)に比べて高さが低いような扁平にした横長の貯湯タンクを有した貯湯式電気温水器を設置する場合、流路が鉛直面に沿って蛇行する従来型の電気温水器のように全体的な流水方向に対して垂直な方向のみの仕切り壁部を設けたものより十分に流路の断面積を小さくでき、貯湯タンクの構造を極端に複雑化させずに済み、貯湯式電気温水器自体のコストを抑えかつ組付け性を向上させることができる。
【0099】
また、貯湯タンク内の流路が略鉛直面に沿って蛇行せず略水平面に沿って蛇行するようになっているので、貯湯タンクの下面又は側面下方に水抜き部を配置することで、貯湯式電気温水器を設置したままの姿勢で水抜き部を開放するだけで貯湯タンクの入水部と出湯部に連結された配管を外すことなく貯湯タンク内の水を全て排水でき、メンテナンス性が向上する。
【0100】
具体的には、貯湯式電気温水器は長期間使用しているとタンク内が水垢などで汚れることがあるので、貯湯タンクの水を定期的に抜き、水がきれいになるまで給水と排水を繰り返して清掃する必要がある。貯湯タンク内が凍結する畏れがあるときもタンク内の水を抜く場合がある。
【0101】
そして、水抜きによる貯湯タンク内の水垢の水抜きによる掃除は三ヶ月に一回程度行う必要があり、凍結による水抜きは凍結の畏れがあるときに随時行う必要がある。そのため、設置状態で流路が略鉛直面に沿って形成される従来型の貯湯式電気温水器では、下り流路や昇り流路毎に設けた多数の水抜き栓を上述した水抜き作業毎に全て開放しなければならず、水抜き作業が極めてやり難くなる。しかしながら、本発明による貯湯式電気温水器は、設置状態で流路が略水平面に沿うようになっているので、水抜き栓を貯湯タンクの下面又は側面下方の一箇所だけ設ければ良くなり、水抜き作業を簡単に行うことができ、貯湯式電気温水器の使い勝手を格段に向上させることができる。
【0102】
なお、水抜きは手動で行なっても、自動で行なっても良い。自動で行なう場合は、本実施形態及びその各種変形例に記載された水抜きの場所において重力を利用して水抜きができるため、排水路に直結した構造とするだけで水抜き作業を手軽にでき、閉め忘れの水抜きバルブの閉め忘れ防止が可能となり信頼性が増す。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の一実施形態にかかる貯湯式電気温水器の貯湯タンクを模式的に示す斜視図である。
【図2】図1に示した貯湯タンクの内部を模式的に示す平面図である。
【図3】図1に示した貯湯タンクの分解斜視図である。
【図4】図1に示した一方の仕切り壁部を貯湯タンクの長手方向の入水部側から見た模式図(図4(a))と、図1に示した他方の仕切り壁部を貯湯タンクの長手方向入水部側から見た模式図(図4(b))である。
【図5】図1に示した貯湯式電気温水器の第1変形例を模式的に示す斜視図である。
【図6】図1に示した貯湯式電気温水器の第2変形例を模式的に示す斜視図である。
【図7】図1に示した貯湯式電気温水器の第3変形例を模式的に示す斜視図である。
【図8】図1に示した貯湯式電気温水器の第4変形例を分解した状態で示す斜視図である。
【図9】図1に示した貯湯式電気温水器の第5変形例を模式的に示す斜視図である。
【図10】図1に示した貯湯式電気温水器の第6変形例を模式的に示した斜視図である。
【図11】図1に示した貯湯式電気温水器の第7変形例を模式的に示した斜視図である。
【図12】図1に示した貯湯式電気温水器の第8変形例を模式的に示した斜視図である。
【図13】図1に示した貯湯式電気温水器の第9変形例を模式的に示した斜視図である。
【図14】図1に示した貯湯式電気温水器の第10変形例を模式的に示した斜視図である。
【図15】図1に示した貯湯式電気温水器の第11変形例を模式的に示した斜視図である。
【図16】図1に示した貯湯式電気温水器の第12変形例を模式的に示した斜視図である。
【図17】本発明に関する評価試験において本実施例と比較例を評価した試験結果を示すグラフ図である。
【符号の説明】
【0104】
4,5 仕切り壁部
6 貯湯部
10 貯湯タンク
10a〜10f 平面部
10u (上側)分割体
10s (下側)分割体
10x,10y 流路底面
10z 水抜き溝
11 入水部
12 出湯部
21 貯湯タンク
23 水抜き栓
24 水抜き管
25,25a 水抜き部
31 貯湯タンク
34,35 仕切り壁部
h ヒータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばキッチンやトイレルームの手洗い器カウンタの下面などに設置できる設置性に優れ、かつ湯の押出し性やタンク内の水の排水性に優れた貯湯式電気温水器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から建物の壁などに縦長の状態で設置され、貯湯タンクの下部から水を入れて上部から沸き上がった湯を出す貯湯式電気温水器が広く用いられてきた。設置状態で貯湯タンクがこのように縦長となった理由は、貯湯タンクの下部から入った水が温められると湯と水の密度差により湯が自然に上昇する作用を利用して湯の押出し性、即ち高温の湯を安定して押し出す性能を高めているためである。そして、近年、例えばトイレルーム内などの手洗い用の蛇口に温水を供給するために、トイレルーム内に電気温水器が直接設置されることが多くなっている。
【0003】
トイレルームへの貯湯式電気温水器の設置に際して、トイレルーム内のインテリア性としての美観や統一感を損なわないために、貯湯式電気温水器自体を従来のように壁面に縦長の状態で直接設置する代わりに、例えば洗面器カウンタやキャビネットの裏面でトイレルーム内から目に付かない場所に貯湯タンクを寝かせた状態で設置されることが望まれている。
【0004】
なお、このような貯湯タンクを寝かせた状態で設置する態様は、例えばキッチンカウンタの下面やキッチンキャビネットのケコミ部などに貯湯式電気温水器を設置する場合にも適用でき、これによってキッチンルームの壁面に貯湯式電気温水器を設置しなくて済み、キッチンルームの美観やインテリア性を向上できるので、このような設置形態は広く望まれている。
【0005】
そして、このような寝かせた状態で設置される貯湯式電気温水器の場合、これをカウンタ下面などの狭いスペースに設置するためには貯湯タンクの形状をかなり扁平した薄型にする必要がある。しかしながら、上下方向の高さを低くして扁平にした横長の貯湯タンクを有する貯湯式電気温水器の場合、設置状態で貯湯タンクが水平方向に広くなるため、湯と水が接する面が広くなり、湯と水が混合し易い。そこで、このような薄型の貯湯タンクを備えた寝かせ置き式の貯湯式電気温水器の押し出し性を改善した特別な構成も考えられている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。かかる特許文献1及び特許文献2に記載の貯湯式電気温水器は、流路の断面積を小さくすることで水と湯の混合を抑制し湯の押出し性を向上させるために、貯湯式電気温水器の設置状態で略鉛直面に沿って水や湯が蛇行する流路を形成する仕切り壁部を貯湯部内に備えている。
【特許文献1】特開2002−89961号公報(図2)
【特許文献2】特開平7−12405号公報(図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、貯湯式電気温水器の設置状態で略鉛直面に沿って水や湯が蛇行する流路を形成する仕切り壁部を貯湯部内に設けた構成では、流路が高さ方向に上下しながら繋がっているので、上から下に向かって流れる流路において水と湯の間の密度差に起因して湯が上に浮き易くかつ水が下に落ち易くなり、このような下り流路において水が湯を先に追い越してしまう。
【0007】
このように各下り流路において水が湯を追い越してしまうと、給湯器の出湯部から湯のみが押し出されずに水と湯が混合した状態で押し出されてしまい、
湯の押出し性が悪くなる。
【0008】
また、カウンタ下面などの狭いスペースに設置するために、上下方向の高さを低くして、水平方向の代表長さ(水平方向断面が長方形状の場合の辺長や楕円形状の場合の径長など)に比べて高さが低いような扁平にした横長の貯湯タンクを有した貯湯式電気温水器を設置する場合において貯湯式電気温水器の設置状態で略鉛直面に沿って流路を形成するような仕切り壁部を設けた構成では、上記の不具合に加えて、水と湯の混合を防止する観点から流路の断面積を小さくする必要上、全体的な流水方向に対して垂直な方向のみの仕切り壁部では流路が仕切り壁部に沿った方向に幅広くなり、十分に流路の断面積を小さくできない。この場合、全体的な流水方向に対して平行な方向の仕切り壁部を更に設けることで流路の断面積を小さくすることが考えられるが、貯湯タンクの構造が複雑になると共に組み付け性が低下するのでコストアップになり、現実的ではない。
【0009】
また、貯湯式電気温水器をカウンタ等の裏面に設置して入水部と出湯部に配管を一旦接続すると、電気温水器を配管から外して傾けたりすることができなくなる。そのため、このような略鉛直面に沿って流路を形成する仕切り壁部を多数備えた貯湯タンクを有する貯湯式電気温水器の場合、各仕切り壁部によって形成される上から下の流路と下から上への流路毎に水抜き部を設けなければ貯湯タンク内の水抜きを完全に行うことができない。そして、このように多数の水抜き部を設けた場合、水抜き後に水抜き部を一箇所でもうっかり閉じ忘れると、貯湯式電気温水器の再作動時にこの水抜き部から水や湯が大量に漏れ出してしまい、大変な事態を招く虞れがある。
【0010】
本発明の目的は、例えばキッチンやトイレルームの手洗い器カウンタの下面などに設置できる設置性に優れ、かつ湯の押出し性やタンク内の水の排水性に優れた貯湯式電気温水器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明にかかる貯湯式電気温水器は、
貯湯タンクを備えた貯湯式電気温水器において、
前記貯湯タンクは、入水部と、出湯部と、前記入水部と出湯部との間に形成された貯湯部と、前記貯湯部内に水又は湯の蛇行流路を形成するための仕切り壁部を有し、
前記貯湯式電気温水器の設置状態において前記蛇行流路が略水平な面に沿って形成されるように前記仕切り壁部が前記貯湯部内に備わり、かつ重力の作用方向で見て貯湯タンクの下面又は側面下方に水抜き部が設けられたことを特徴としている。
【0012】
仕切り壁部により貯湯タンク内に連続した狭い流路を形成し、かつこの流路が貯湯式電気温水器の設置状態で略水平面に沿って蛇行するようになっているので、設置状態で流路が略鉛直面に沿って蛇行する従来型の貯湯式電気温水器のように上から下に向かう流路において湯水の密度差によって水が湯より早くこの流路を降下するようなことが生じず、これにより湯に水が混合することが抑えられ、湯の押し出し性が向上する。
【0013】
また、カウンタ下面などの狭いスペースに設置するために、上下方向の高さを低くして水平方向の代表長さ(水平方向断面が長方形状の場合の辺長や楕円形状の場合の径長など)に比べて高さが低くいような扁平にした横長の貯湯タンクを有した貯湯式電気温水器を設置する場合、全体的な流水方向に対して垂直な方向のみに仕切り壁部を設置したものより更に十分に流路の断面積を小さくでき、貯湯タンクの構造を極端に複雑化させずに済み、貯湯式電気温水器自体のコストを抑えかつ組み付け性を向上させることができる。
【0014】
また、貯湯タンク内の流路が略鉛直面に沿って蛇行せず略水平面に沿って蛇行するようになっているので、貯湯タンクの下面又は側面下方に水抜き部を設けることで、貯湯式電気温水器を設置したままの姿勢で水抜き部を開放するだけで貯湯タンクの入水部と出湯部に連結された配管を外すことなく貯湯タンク内の水を全て排水でき、メンテナンス性が向上する。
【0015】
具体的には、貯湯式電気温水器は長期間使用しているとタンク内が水垢などで汚れることがあるので、貯湯タンクの水を定期的に抜き、水がきれいになるまで給水と排水を繰り返して清掃する必要がある。貯湯タンク内が凍結する畏れがあるときもタンク内の水を抜く場合がある。
【0016】
そして、水抜きによる貯湯タンク内の水垢の水抜きによる掃除は三ヶ月に一回程度行う必要があり、凍結による水抜きは凍結の畏れがあるときに随時行う必要がある。そのため、設置状態で流路が略鉛直面に沿って形成される従来型の貯湯式電気温水器では、下り流路や昇り流路毎に設けた多数の水抜き栓を上述した水抜き作業毎に全て開放しなければならず、水抜き作業が極めてやり難くなる。しかしながら、本発明による貯湯式電気温水器は、設置状態で流路が略水平面に沿うようになっているので、水抜き栓を貯湯タンクの下面又は側面下方の一箇所だけ設ければ良くなり、水抜き作業を簡単に行うことができ、貯湯式電気温水器の使い勝手を格段に向上させることができる。
【0017】
また、本発明の請求項2に記載の貯湯式電気温水器は、請求項1に記載の貯湯式電気温水器において、
前記貯湯タンクの内部にヒータを備えるか、又は外側にヒータを直接接するように備えたことを特徴としている。
【0018】
ヒータを貯湯タンクの外に離して備えると、循環用の特別なポンプを介して貯湯タンク内の湯を循環させなければならず、余分なポンプの設置が必要となり、貯湯式電気温水器自体の構造も複雑化して全体が大型化する。しかしながら、本発明ではヒータを貯湯タンクの内部に備えるか、又は外側に直接接するように備えているので、このような問題が生じない。
【0019】
また、本発明の請求項3に記載の貯湯式電気温水器は、請求項1に記載の貯湯式電気温水器において、
前記貯湯タンクの内部にヒータを備え、かつ前記ヒータが前記仕切り壁部を兼ねていることを特徴としている。
【0020】
ヒータが仕切り壁部を兼ねているので貯湯タンクを小型化でき、ひいては電気温水器全体の大きさを小型化できる。
【0021】
また、ヒータが仕切り壁部を兼ねているので、水に直接接するヒータの面積を十分にとることができ、沸き上げ性、即ち均一に沸き上がる効率が向上する。
【0022】
また、本発明の請求項4に記載の貯湯式電気温水器は、請求項2に記載の貯湯式電気温水器において、
前記ヒータが前記貯湯式電気温水器の設置状態で重力の作用方向で見て前記貯湯タンクの少なくとも1/2より下側の面に備わったことを特徴としている。
【0023】
貯湯タンク内においてヒータより更に下側に空間が存在すると、入水部から入った水のうち一部の水がその空間に滞留して沸き上げ効率が低下するが、少なくとも1/2より下側の面にヒータを備えることで、このようないわゆる死に水の溜まる空間を小さくする。その結果、湯と水の密度差により重力で下がった水がヒータに十分接するようになり、入水部から入水された水のうち死に水の量をより少なくでき、貯湯タンク内でより多くの湯を沸かすことができる。
【0024】
また、本発明の請求項5に記載の貯湯式電気温水器は、請求項2乃至請求項4の何れかに記載の貯湯式電気温水器において、
前記ヒータが前記入水部の近傍に備わったことを特徴としている。
【0025】
入水部の近傍では入水した水が殆ど温度上昇していないので、この部分における水をヒータを介して効率良く温めることができる。
【0026】
また、本発明の請求項6に記載の貯湯式電気温水器は、請求項2乃至請求項4の何れかに記載の貯湯式電気温水器において、
前記ヒータが複数のヒータからなり、各ヒータが前記入水部と出湯部とを結ぶ方向に分散配置されたことを特徴としている。
【0027】
ヒータをこのように分散配置することで、貯湯式電気温水器の使い方に応じて貯湯タンク内に入水した水の部分の滞留位置が変化しても、対応するヒータを加熱することにより、水の部分を中心に沸き上げることが可能となり、貯湯タンク内の湯全体を冷ますことなく、効率良く沸き上げて出湯部からそのまま流出させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、例えばキッチンやトイレルームの手洗い器カウンタの下面などに設置できる設置性に優れ、かつ湯の押出し性やタンク内の水の排水性に優れた貯湯式電気温水器を提供できる。
【0029】
具体的には、仕切り壁部により貯湯タンク内に連続した狭い流路を形成し、かつこの流路が貯湯式電気温水器の設置状態で略水平面に沿って蛇行するようになっているので、設置状態で流路が略鉛直面に沿って蛇行する従来型の貯湯式電気温水器のように上から下に向かう流路において湯水の密度差によって水が湯より早くこの流路を降下するようなことが生じず、これにより湯に水が混合することが抑えられ、湯の押し出し性が向上する。
【0030】
また、貯湯タンク内の流路が略鉛直面に沿って蛇行せず略水平面に沿って蛇行するようになっているので、貯湯タンクの下面又は側面下方に水抜き部を設けることで、貯湯式電気温水器を設置したままの姿勢で水抜き部を開放するだけで貯湯タンクの入水部と出湯部に連結された配管を外すことなく貯湯タンク内の水を全て排水でき、メンテナンス性が向上する。
【0031】
具体的には、貯湯式電気温水器は長期間使用しているとタンク内が水垢などで汚れることがあるので、貯湯タンクの水を定期的に抜き、水がきれいになるまで給水と排水を繰り返して清掃する必要がある。貯湯タンク内が凍結する畏れがあるときもタンク内の水を抜く場合がある。
【0032】
そして、水抜きによる貯湯タンク内の水垢の水抜きによる掃除は三ヶ月に一回程度行う必要があり、凍結による水抜きは凍結の畏れがあるときに随時行う必要がある。そのため、設置状態で流路が略鉛直面に沿って形成される従来型の貯湯式電気温水器では、下り流路や昇り流路毎に設けた多数の水抜き栓を上述した水抜き作業毎に全て開放しなければならず、水抜き作業が極めてやり難くなる。しかしながら、本発明による貯湯式電気温水器は、設置状態で流路が略水平面に沿うようになっているので、水抜き栓を貯湯タンクの下面又は側面下方の一箇所だけ設ければ良くなり、水抜き作業を簡単に行うことができ、貯湯式電気温水器の使い勝手を格段に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の一実施形態にかかる貯湯式電気温水器について図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる貯湯式電気温水器に備わった貯湯タンク10の概略斜視図である。また、図2は、貯湯タンク10の内部を模式的に示す平面図である。また、図3は貯湯タンク10の組み立て前の状態を示す分解斜視図である。なお、図1乃至図3の貯湯タンク10の外形寸法や貯湯タンク10に備わった各仕切り壁部4,5の数は互いに厳密には一致させていない。
【0034】
貯湯式電気温水器は、ヒータhを備えた貯湯タンク10と、ここでは詳細には図示しないリモコン又は操作パネルと、リモコン又は操作パネルで貯湯タンク10のヒータhを作動させる制御部を備えている。そして、貯湯タンク10は、図1に示すように、6つの平面部10a〜10fを有する直方体状の扁平箱形をなしている。そして、貯湯タンク10の内部には複数の仕切り壁部4,5で仕切られた貯湯部6が形成されている。
【0035】
貯湯タンク10の長手方向両端に形成された2つの平面部10c,10dのうち、一端側の平面部10cには、貯湯部6と貯湯タンク10の外部に設けられる入水流路を連通接続させる入水部11が設けられている。また、他端側の平面部10dには、貯湯部6と貯湯タンク10の外部に設けられる出湯流路とを連通接続させる出湯部12が設けられている。
【0036】
貯湯部6は、複数の仕切り壁部4,5によって入水部11と出湯部12との間に形成された細長い蛇行流路をなしている。この蛇行流路を形成する各仕切り壁部4,5は、貯湯タンク10の最も広い平面部である平面部10e,10fに対して略垂直に貯湯タンク10の厚さ方向に延在する矩形板状をなしている。
【0037】
仕切り壁部4の4つの縁部のうち3つの縁部はそれぞれ、平面部10a,10e,10fに接している。また、仕切り壁部4は平面部10bには接しておらず、仕切り壁部4と平面部10bとの間には隙間が生じている。即ち、仕切り壁部4は、貯湯タンク10の長手方向で見た場合に仕切り壁部4の両側の空間を仕切っているが、仕切り壁部4の両側の空間は、仕切り壁部4と平面部10bとの間の隙間を介して連通されている。
【0038】
一方、仕切り壁部5の4つの縁部のうち3つの縁部はそれぞれ、平面部10b,10e,10fに接している。また、仕切り壁部5は平面部10aには接しておらず、仕切り壁部5と平面部10aとの間には隙間が生じている。即ち、仕切り壁部5は、貯湯タンク10の長手方向で見た場合に仕切り壁部5の両側の空間を挟むように仕切っているが、仕切り壁部5の両側の空間は、仕切り壁部5と平面部10aとの間の隙間を介して連通されている。
【0039】
かかる仕切り壁部4及び仕切り壁部5は、貯湯タンク10の長手方向に所定間隔隔てて幅方向互いに反対側に偏倚しながら交互に設けられている。これによって、貯湯部6の内部には、図2に示すように、貯湯部6の厚さ方向に対して略垂直な方向に蛇行する蛇行流路が形成される。ここで、貯湯部6の厚さ方向とは、貯湯タンク10の最も広い平面部をなす平面部10e,10fに対して垂直な方向である。
【0040】
そして、この貯湯式電気温水器は、平面部10e,10fが鉛直方向上下面をそれぞれなすように寝かせた状態で図示しないブラケット等の取付け具やねじ等の締結具を介して例えばキッチンやトイレルームの洗面器カウンタ裏面に取り付けられるようになっている。そして、貯湯式電気温水器の取付け状態で各仕切り壁部4,5によって形成される貯湯タンク10の蛇行流路が略水平面に沿って形成されるようになっている。
【0041】
貯湯タンク10の長手方向の略中央における貯湯部内には、図1に示すように、仕切り壁部5の代わりに仕切り壁部4,5に対して略平行に設けられた矩形板状のヒータhが設けられている。ヒータhとしては、例えば、セラミックヒータ、又は、真鍮、鉄、アルミニウムなどにシーズヒータを鋳込み板状に加工した鋳込みヒータなどを用いている。
【0042】
ヒータhは、例えば貯湯タンク10の長手方向略中央部において他の仕切り壁部5に対応する位置に仕切り壁部5の代わりに設けられている。ヒータhは、貯湯タンク10の長手方向で見てヒータhを挟む両側の空間を仕切っているが、ヒータhを挟む両側の空間は、ヒータhと平面部10aとの間の隙間を介して連通されている。即ち、ヒータhは、貯湯部6内の水を加熱する機能を有し、かつ仕切り壁部4,5と共に蛇行流路の壁部としての機能も有している。
【0043】
また、図1に示すように、貯湯部6の蛇行流路の第1レーン即ち入水部11からの水が最初に入水される流路であって貯湯式電気温水器を設置した状態で重力の作用方向で見て下面となる平面部10fに水抜き部25が設けられている。そして、水抜き部25には水抜き栓23によって開閉される水抜き管24が接続されている。なお、本実施形態では蛇行する流路のこの一箇所だけ水抜き部25が設けられている。
【0044】
図3は、貯湯タンク10の分解斜視図である。また、図4(a)は、仕切り壁部4を図1における貯湯タンク10の長手方向入水部側から見た模式図であり、図4(b)は、仕切り壁部5を図1における貯湯タンク10の長手方向入水部側から見た模式図である。
【0045】
貯湯タンク10は、図3から明らかなように、例えば厚さ方向の半分の位置で分割した2つの分割体10u,10sを組み合わせて扁平箱形に構成される。仕切り壁部5及びヒータhは、図4(b)に示すように、図1に示す平面部10b側に偏倚した状態で下側分割体10dに立設され、仕切り壁部5と平面部10aとの間には隙間が形成されている。また、仕切り壁部4は、図4(a)に示すように、図1に示す平面部10a側に偏倚した状態で上側分割体10uに垂設され、仕切り壁部4と平面部10bとの間には隙間が形成されている。
【0046】
なお、上側分割体10uと下側分割体10sは互いに開口縁部を合わせて溶接して扁平の箱体をなす貯湯タンク10を構成している。
【0047】
続いて、以上の構成を有する貯湯式電気温水器の作用について説明する。まず、上述した構成を有する貯湯式電気温水器を例えばトイレルーム内の洗面器カウンタ裏面等に設置する。この場合、貯湯タンク内の流路が略水平面に沿いかつ水抜き部25の備わった平面10fが重力の作用方向で見て下面を向くように貯湯式電気温水器を設置する。このように貯湯式タンク10を寝かせた状態で取り付けることで、トイレルームの洗面器カウンタの裏面等、トイレルーム内から見て目立たない所に貯湯式電気温水器を設置でき、トイレルーム内の美観やインテリア性を損なうことがない。なお、貯湯式電気温水器をトイレルームの洗面器カウンタ下部空間の底面に寝かせ置きしても良い。また、貯湯式電気温水器をキッチンカウンタの下面やキッチンキャビネットのケコミ部等に設置しても良い。この場合、上述したように寝かせた状態で設置できるので、カウンタ下面の調理用備品や食材等の収容スペースを十分確保したまま設置できる。また、キッチンの壁面に貯湯式電気温水器を直接設置させずに済むのでキッチン廻りをすっきりさせ、インテリア性を向上させることができる。
【0048】
また、貯湯式電気温水器の設置状態で水抜き部25が貯湯タンク10の下面に備わっているので、貯湯タンク内の流路が略水平面に沿うように仕切り壁部4,5が備わることと相まって水抜き部25を一箇所だけ設ければ、その水抜き部25から貯湯タンク内の全ての水を排水することができる。
【0049】
このような構成を有した貯湯式電気温水器を上述した所定の場所に設置し、入水部11に水道の配管を接続し、出湯部12に混合栓等に通じる配管を接続し、図示しないリモコン又は操作パネルを操作して貯湯式電気温水器を作動させる。これによって、入水部11を介して貯湯部内に入水していた水はヒータhによって例えば85℃程度に加熱され、貯湯部内に貯められる。そして、湯の使用時には図示しない蛇口を開くことで入水部11から水が入水されると共に貯湯部6の出湯部付近の湯が出湯部12から押し出され、図示しない配管及び混合栓を経由しつつ、かつ適宜、別途水道から分岐された図示しない配管を介して混合栓に供給される水と混合され、蛇口から使用者の元に出湯される。
【0050】
このとき、入水部11から貯湯部内に入水した水は、図2に示すように、仕切り壁部4,5及びヒータhによって形成された蛇行流路を進む。即ち、入水部11から入水した水は、仕切り壁部4,5、ヒータhにガイドされて、貯湯タンク10の短手方向に進みつつ、仕切り壁部4と平面部10bとの間の隙間、仕切り壁部5と平面部10aとの隙間、ヒータhと平面部10aとの隙間を介して隣のレーン(仕切り空間)に移り、貯湯タンク10内を略水平面に沿って蛇行しながら進む。
【0051】
なお、本発明の貯湯式電気温水器は、貯湯タンク10を寝かせた状態で設置していることで、貯湯タンク内の水が仕切り壁部4,5により形成される蛇行流路に沿って略水平面に沿って蛇行しながら貯湯タンク内を進むので、貯湯タンク10を流れる水の鉛直方向に沿った流れ成分が少なくなる。このため、流れ方向の断面積が小さいことにより、湯と水とが混ざり合うことを抑制する効果に加え、自然対流の影響を受けにくく、安定して湯を押し出すことができる。即ち、流路が鉛直面に沿って形成されるように仕切り壁を設けた従来型の貯湯式電気温水器のように、水が湯を追い越して出湯部において湯に水が混ざってしまうことがない。
【0052】
このように、入水部11から貯湯部内に入水した水が流路断面積の比較的小さい蛇行流路を蛇行しながら出湯部側に向かって進むため、入水部11から入水された比較的低温の水が出湯部近傍の湯と混ざり難くなり、出湯部12から出湯される湯の温度低下を防ぎ、出湯部12からの湯の押し出し効率を低下させずに済む。
【0053】
また、入水部11から貯湯部内に入水した水の蛇行する方向が貯湯タンク10の厚さ方向に対して略垂直な方向となっている。即ち、貯湯式電気温水器の設置状態で流路が略水平面に沿っているので、略鉛直面に沿って蛇行する流路を備えた従来型の貯湯式電気温水器に比べて、より少ない仕切り壁部の数で流路断面積を小さくすることが可能となり、コストの低減や生産性の向上が図れる。
【0054】
また、平面部10fを下にして貯湯タンク10を寝かせた状態で設置することで、板状のヒータhが重力の作用方向で見て貯湯タンク10の下面から上方に延在する構成となるので、貯湯部内の水を貯湯タンク10の下面から加熱することができ、高温流体の自然対流により低温になりがちな平面部10f近傍領域の温度低下を抑制でき、ヒータhによる湯の沸き上げ効率が向上する。
【0055】
また、本実施形態の場合、貯湯タンク10を寝かせた状態で設置しているので、仕切り壁が自然対流を塞き止めることがなく、湯を均一に沸き上げることが可能となる。また、ヒータhが貯湯部内で蛇行流路の壁部の一部として設けられていることで、コンパクトかつ簡単な構造となる。
【0056】
また、仕切り壁部4,5は、薄型扁平状の貯湯タンク10の強度を高める補強リブとしても機能し、貯湯タンク10の耐水圧性も向上させる。即ち、図3に示すように厚さ方向に二分割された貯湯タンク10の半部を互いに合わせてこの合わせ部を溶接することにより、薄形扁平状の貯湯タンク10を構成した時に仕切り壁部4,5が補強用リブとしての役目を果たし、薄形扁平状の貯湯タンク10の広い平面部10e及び10fの水圧による変形を抑え、貯湯タンク10の十分な耐久性を確保できる。
【0057】
以上のように貯湯タンク内の水を基準温度まで沸き上げた後、入水部11から貯湯タンク内に水を流入させ、その水で沸き上がった湯を押し出すと共に流入した水によって温度が低下した貯湯タンク内の水を基準温度まで沸き上げるサイクルで貯湯式電気温水器を運転する。そして、貯湯式電気温水器の運転を定期的に停止して貯湯タンク内の湯や事前に冷ましておいた水を水抜き栓23を開放して水抜き部25から貯湯タンク内から排水する。
【0058】
貯湯式電気温水器は長期間使用しているとタンク内が水垢などで汚れることがあるので、貯湯タンク内の水を定期的に抜き、水がきれいになるまで給水と排水を繰り返して清掃する必要がある。貯湯タンク内が凍結する畏れがあるときも、凍結防止のために貯湯タンク内の水を抜く必要がある。
【0059】
なお、水抜きによる貯湯タンク内の水垢の掃除は三ヶ月に一回程度行う必要があり、凍結による水抜きは凍結の畏れがあるときに随時行う必要がある。そのため、設置状態で流路が略鉛直面に沿って形成される従来型の貯湯式電気温水器では、下り流路や昇り流路毎に設けた多数の水抜き栓を上述した水抜き作業毎に全て開かなければならず、水抜き作業が極めてやり難くなる。また、水抜き作業終了後に一箇所でも水抜き栓を締め忘れると、貯湯式電気温水器の再運転時に貯湯タンクから大量の水が漏れ出してしまう。しかしながら、本発明による貯湯式電気温水器は、設置状態で流路が略水平面に沿うようになっているので水抜き栓を貯湯タンクの下面又は側面下方の一箇所だけ設ければ貯湯タンク10の水を全て排水することができ、水抜き作業を簡単に行うことができ、従来型の貯湯式電気温水器に比べて貯湯式電気温水器の使い勝手を格段に向上させることができる。
【0060】
なお、貯湯タンク10及び仕切り壁部4,5は、樹脂であっても金属であっても良い。貯湯タンク10及び仕切り壁部4,5を樹脂で構成した場合、一体成型が可能で製造性が良い。なお、この場合にヒータhを嵌め込み保持する為のラッチ係合部を併せて成型するのが良い。貯湯タンク10及び仕切り壁部4,5に用いられる樹脂材料としては、例えば、PPS(polyphenylenesulfide)樹脂が挙げられる。
【0061】
一方、貯湯タンク10及び仕切り壁部4,5を金属で構成した場合、熱伝導率が高いため沸き上げ効率が向上する。また、この場合に金属製の仕切り壁部5に発熱体を内蔵することでヒータhを簡単に構成することができる。なお、貯湯タンク10及び仕切り壁部4,5に用いられる金属材料としては、ステンレス鋼や銅などが挙げられる。
【0062】
上述したようにヒータhの4つの縁部のうち3つの縁部は、それぞれ平面部10b,10e,10fに接している(図1参照)。そして、ヒータhは平面部10aには接しておらず、ヒータhと平面部10aとの間に隙間が生じている。このようにヒータhがその3つの縁部で金属製の貯湯タンク10と接触することで、良好な熱伝導性を介して湯を均一に沸き上げるいわゆる沸き上げ効率を向上させる。
【0063】
続いて、上述の実施形態の各変形例について説明する。なお、上述の実施形態と同等の構成については対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
【0064】
最初に、上述の実施形態の第1変形例について説明する。図5は、この第1変形例にかかる貯湯式電気温水器の貯湯タンク21を模式的に示す斜視図である。
【0065】
本変形例ではヒータhを入水部11の近傍に設けている。具体的には入水部11からの水が最初に入水される流路(第1レーン)の壁部に相当する位置にヒータhを設けている。
【0066】
入水部11の近傍にヒータhを設けることで、貯湯部6への入水後に入水部近傍に貯まった比較的低温の水を直接加熱することができ、沸き上げ効率を向上させる。
【0067】
続いて、上述の実施形態の第2変形例について説明する。図6はこの第2変形例にかかる貯湯式電気温水器における貯湯タンク31を模式的に示した斜視図である。
【0068】
本変形例では入水部11と出湯部12を結ぶ方向に複数のヒータhを分散配置している。具体的には3つのヒータhを入水部11の近傍、出湯部12の近傍、貯湯タンク31の長手方向(入水部11と出湯部12とを結ぶ方向)の略中央にそれぞれ設けている。
【0069】
入水部11の近傍に設けたヒータhは、例えば入水部11から数えて1番目のレーンの壁部に相当する位置に設けられている。一方、出湯部12の近傍及び貯湯タンク31の長手方向の略中央に設けたヒータhは、例えば出湯部12から数えて2番目のレーンと6番目のレーンの壁部に相当する位置にそれぞれ設けられている。
【0070】
複数のヒータhをこのように分散配置することで、貯湯部全体の水が均等に沸き上がり、沸き上げ効率の更なる向上を図ることができる。また、複数のヒータhを分散配置した場合、各ヒータhの発熱量も分散させることができる。即ち、例えば1つのヒータで貯湯部全体を所望の温度に加熱する場合のヒータの発熱量に対して、3つのヒータhの発熱量をそれぞれ例えば1/3にすることができる。これによって、貯湯部6の局所的な過度の昇温が抑えられ、貯湯タンク31の局所的な熱応力の発生を阻止する共に各部品の耐熱性に余裕を持たせることができ、貯湯式電気温水器の安全性や信頼性を確保する。
【0071】
また、複数のヒータhを分散配置した場合、貯湯部内における各ヒータhの近傍に各ヒータhの近傍の温度を測定する温度センサ(図示せず)を設け、各温度センサの温度測定結果から例えば所望の温度より低い測定温度であったセンサ近傍のヒータhのみを動作させるような制御を行えば、無駄な電力消費を抑えて効率の良い加熱や保温を行うことができる。
【0072】
続いて、上述の実施形態の第3変形例について説明する。図7は、この第3変形例にかかる貯湯タンク10の内部を模式的に示す平面図である。
【0073】
この変形例にかかる貯湯式電気温水器の仕切り壁部34,35及びヒータhは、図7に示すように、貯湯タンク10の長手向に沿って延在している。即ち、貯湯タンク10における長手方向の両端の平面部10c,10dの一方の平面部10cから仕切り壁部34が他方の平面部10dに向けて延在し、仕切り壁部34と他方の平面部10dとの間には隙間が生じている。また、仕切り壁部35は、仕切り壁部34が接する一方の平面部10cに対向する他方の平面部10dから一方の平面部10cに向けて延在し、仕切り壁部35とその一方の平面部10cとの間には隙間が生じている。そして、これら仕切り壁部34,35が貯湯タンク10の短手方向に交互に配設されている。
【0074】
ヒータhは貯湯タンク10の短手方向の略中央に配設され、例えば入水部11から数えて7番目のレーンの壁部に相当する位置に設けられている。貯湯タンク10がこのような構成であっても、上述した実施形態及びその各変形例と同様の作用効果を発揮する。
【0075】
続いて、本実施形態の第4変形例について説明する。図8はこの第4変形例にかかる貯湯タンク10の分解斜視図である。
【0076】
本変形例においては、ヒータhは、貯湯式電気温水器の設置状態で貯湯タンク10の外側に直接接するように設けられている。より具体的には、板状のヒータhは、貯湯部6の厚さ方向に対して垂直な側面、即ち貯湯式電気温水器の設置状態で重力の作用方向で見て下面となる貯湯タンク10の平面部10fに密着固定されている。この場合、例えばハンダや熱伝導性の良い接着剤などにより板状のヒータhを金属製の貯湯タンク10の平面部10fに接着することで、ヒータhの熱を貯湯タンク10に効率良く伝えることができる。そして、貯湯タンク内に設けられた仕切り壁部4が熱伝導フィンとしての役割を果たし、タンク内の水を高い効率で均一に沸き上げることができる。また、ヒータhが貯湯タンク10の下面に設置されているので、ヒータhから上方に向かう熱流を貯湯タンク10に効率的に伝えることができ、湯を効率良く沸き上げることができる。
【0077】
なお、この第4変形例のようにヒータhを貯湯タンク10の下面をなす平面部10fに全体的に密着固定する代わりに、ヒータhを例えば入水部11の近傍であって貯湯タンク10の側面に密着固定させたり、平面部10fの複数の部分に分けて密着固定させたりしても良い。
【0078】
続いて、本実施形態の第5変形例について説明する。図9は、この第5変形例を模式的に示す斜視図である。第5変形例では、貯湯タンク内の流路が略水平面に沿うように貯湯式電気温水器を設置した状態で、重力の作用方向で見て側面となる平面10bの下方に水抜き部25aが設けられている。この場合であっても貯湯タンク10の下面をなす平面10fに水抜き部25を設けた上述の実施形態及びその変形例と同様に一箇所の水抜き栓23を開くことで、貯湯タンク内の水を全て排水することができ、排水性に関する本発明の上述した作用効果を十分発揮し得る。なお、この水抜き部25を貯湯タンク10の側面をなす平面部10c,10dに設置する場合の設置位置は、貯湯式電気温水器の設置状態で重力の作用方向で見て平面部10c,10dの下縁部近傍である。このような配置構成によっても貯湯タンク内の水抜きを完全に行なうことができる。
【0079】
続いて、本実施形態の更なる変形例について説明する。以下に説明する第6変形例乃至第8変形例は上述の実施形態及びその各変形例に用いた板状のヒータhの代わりにいわゆる投げ込み式ヒータと呼ばれるパイプ状のヒータhを備えた変形例である。このヒータhは、各変形例に示すように、様々な形状に折り曲げられ、パイプ内にニクロム線等の発熱体を内蔵したタイプである。なお、ヒータh以外は上述した実施形態と同等の構成を有するので、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
【0080】
このような投げ込み式のヒータhを用いるメリットは少なくとも発熱部を貯湯タンク10の底面近傍(貯湯タンク10の高さの1/2より下)に配置できることにある。これにより、貯湯タンク10の底面側の方から加熱され、死に水がより少なくなり沸き上げ性が向上する。なお、仕切り壁兼用の板状ヒータの場合は貯湯タンク内に貯まった水を下から上まで幅広く加熱できるので、このような投げ込み式のヒータhよりは有利であるが、投げ込み式のヒータhの方がコスト的に安価でありかつ貯湯タンク内でのヒータ設置場所を容易に変更することができるので、その利用価値は大きい。
【0081】
図10に示す第6変形例は、貯湯タンク10の長手方向略中央部よりも若干入水部側に配置された仕切り壁部4を跨いだ状態でヒータhが配置された変形例である。
【0082】
また、図11に示す第7変形例は、多数の仕切り壁部4,5を貫通した状態で貯湯タンク10の長手方向一方の端部から他方の端部近傍までヒータhが延在すると共にこの他方の端部近郊でヒータhが折り返して再び長手方向一方の端部まで仕切り壁部4,5を貫通した変形例である。
【0083】
また、図12に示す第8変形例は、入水部側の平面部10cとこれに隣接する仕切り壁部4との間の空間にヒータhを配置した変形例である。
【0084】
これらの何れの変形例の構成であっても、本発明の作用の一つである湯の沸き上げ効率の向上を達成することが可能である。
【0085】
なお、図12に示す第8変形例においては、入水部側の平面部10cとこれに隣接する仕切り壁部4との間にヒータhを配置したが、この代わりに出湯部側の平面部10dとこれに隣接する仕切り壁部4との間にヒータhを配置しても良い。この場合、出湯直前に湯を加熱するので、加熱後に出湯するまでの間に湯がさめることなく湯の沸き上げ性を低下させることもない。
【0086】
なお、図10乃至図12でヒータhの様々な設置箇所等の説明をしたが、基本的には貯湯タンクの入水部側から冷水が溜まる場合が多いので、入水部側にヒータhを配置したほうが冷水を効率的に加熱でき、好ましいと言える。しかしながら、本実施形態のような仕切り板が特別な配置構造で備わった貯湯タンクの場合、蛇行流路によって貯湯タンク内は繋がっており、自然対流を塞き止めることがないので、ヒータhの設置場所は入水側近傍以外の場所に設置しても貯湯タンク内の湯を均一に沸き上げることができる。
【0087】
また、図13乃至図16にそれぞれ示す第9変形例乃至第12変形例は、上述の実施形態及びその変形例の水抜きの形態を更に工夫した構成を有している。なお、その他の構成については上述した実施形態と同等のため、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
【0088】
図13に示す第9変形例は、平面部10fの上面に流路底面10xを備えている。そして、流路底面10xは、貯湯式電気温水器の設置状態で水抜き部25に向かって重力の作用方向で見て徐々に下側に向かうテーパ面をその底面全体がなしている。これによって、水抜き時に水抜き部25から貯湯タンク内の湯や水を効率良く排水することができる。
【0089】
また、図14に示す第10変形例は、図13に示す第9変形例とは異なり、平面部10fの上面に貯湯式電気温水器の設置状態で貯湯タンク10の長手方向略中央部に備わった水抜き部25に向かってそれぞれ下向きに傾斜する一組のテーパ面状の流路底面10yを備えている。このような構成であっても、図13に示す第9変形例と同様に、水抜き時に水抜き部25から貯湯タンク内の湯や水を効率良く排水することができる。
【0090】
このように貯湯タンク内に傾斜した流路底面を備えることで貯湯式電気温水器の設置状態で重力の作用方向で見て低い側(下側)の底面に湯や水が溜まり易いことを利用して水抜き部25の排水性を向上させる種々の変形例が考えられる。
【0091】
一方、図15に示す第11変形例は、貯湯タンク10の長手方向略中央部において幅方向全体に亘って水抜き溝10zを備え、この水抜き溝10zの幅方向一側に偏倚した位置に水抜き部25を備えている。このような構成によっても、貯湯タンク内の湯や水を水抜き溝内に一旦溜め込み、この水抜き溝10z及び水抜き部25を介して貯湯タンク内の湯や水を効率良く排水することができる。なお、この場合の水抜き溝10zの貯湯タンク長手方向における形成位置や水抜き部25の貯湯タンク幅方向における形成位置はこの変形例に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0092】
また、図16に示す第12変形例は、パイプ状をなす入水部11の底部に水抜き部25を直接配置した構成を有している。入水部11は、貯湯式電気温水器の設置状態で重力の作用方向で見て一般的に貯湯タンク10の平面部10cの下側に備わっているので、このような位置に水抜き部25を有していても、貯湯タンク内の湯や水を効率良く排水することができる。また、このような構成を有することで、入水部11と水抜き部25を一体化(兼用)できるので、部品点数を削減し、組み付け性の容易化やコストの低減に貢献することができる。
【実施例】
【0093】
続いて、本実施形態及びその第1、第2、第4、第5変形例にかかる貯湯式電気温水器(以下、「本実施例」とする)と貯湯タンク内に仕切り壁部を有さない貯湯式電気温水器(以下、「比較例」とする)を用いて湯の押し出し性能の比較評価試験を行ったので、この比較評価試験の結果について説明する。
【0094】
図17は、本実施例と比較例を厚さ60mm、長手方向長さ250mm、短手方向長さ200mmの扁平直方体状を有する貯湯タンク内の3リットルの水を85℃まで沸き上げた後、入水部から1.43リットル/分で給水したときの出湯部から出湯された湯の出湯温度の時間変化を表すグラフ図である。なお、図17において横軸は時間(秒)を表わし、縦軸は出湯部からの出湯温度(℃)を表している。
【0095】
この図17の評価試験結果から明らかなように、貯湯式電気温水器の設置状態で貯湯タンク内の流路が略水平面に沿って形成されるように貯湯タンク内に仕切り壁部を設けた本実施例の場合、約90秒間に亘って85℃の出湯温度を保つことが分かった。これに対して貯湯タンク内に仕切り壁部を設けなかった比較例の場合、30〜35秒程度しか85℃の出湯時間が続かず、本実施例よりも85℃の湯の出湯時間が極端に短いことが分かった。
【0096】
この評価試験により、本実施例のように貯湯式電気温水器の設置状態で貯湯タンク内の流路が略水平方向に沿うような仕切り壁部を設けた貯湯式電気温水器の優位性をこのような仕切り壁部を有さない電気温水器に対して十分に確認できた。
【0097】
以上説明したように、本発明にかかる貯湯式電気温水器は、仕切り壁部により貯湯タンク内に連続した狭い流路を形成し、かつこの流路が貯湯式電気温水器の設置状態で略水平面に沿って蛇行するようになっているので、設置状態で流路が略鉛直面に沿って蛇行する従来型の貯湯式電気温水器のように上から下に向かう流路において湯水の密度差によって水が湯より早くこの流路を降下するようなことが生じず、これにより湯に水が混合することが抑えられ、湯の押し出し性が向上する。
【0098】
また、上下方向の高さを低くして、水平方向の代表長さ(水平方向断面が長方形状の場合の辺長や楕円形状の場合の径長など)に比べて高さが低いような扁平にした横長の貯湯タンクを有した貯湯式電気温水器を設置する場合、流路が鉛直面に沿って蛇行する従来型の電気温水器のように全体的な流水方向に対して垂直な方向のみの仕切り壁部を設けたものより十分に流路の断面積を小さくでき、貯湯タンクの構造を極端に複雑化させずに済み、貯湯式電気温水器自体のコストを抑えかつ組付け性を向上させることができる。
【0099】
また、貯湯タンク内の流路が略鉛直面に沿って蛇行せず略水平面に沿って蛇行するようになっているので、貯湯タンクの下面又は側面下方に水抜き部を配置することで、貯湯式電気温水器を設置したままの姿勢で水抜き部を開放するだけで貯湯タンクの入水部と出湯部に連結された配管を外すことなく貯湯タンク内の水を全て排水でき、メンテナンス性が向上する。
【0100】
具体的には、貯湯式電気温水器は長期間使用しているとタンク内が水垢などで汚れることがあるので、貯湯タンクの水を定期的に抜き、水がきれいになるまで給水と排水を繰り返して清掃する必要がある。貯湯タンク内が凍結する畏れがあるときもタンク内の水を抜く場合がある。
【0101】
そして、水抜きによる貯湯タンク内の水垢の水抜きによる掃除は三ヶ月に一回程度行う必要があり、凍結による水抜きは凍結の畏れがあるときに随時行う必要がある。そのため、設置状態で流路が略鉛直面に沿って形成される従来型の貯湯式電気温水器では、下り流路や昇り流路毎に設けた多数の水抜き栓を上述した水抜き作業毎に全て開放しなければならず、水抜き作業が極めてやり難くなる。しかしながら、本発明による貯湯式電気温水器は、設置状態で流路が略水平面に沿うようになっているので、水抜き栓を貯湯タンクの下面又は側面下方の一箇所だけ設ければ良くなり、水抜き作業を簡単に行うことができ、貯湯式電気温水器の使い勝手を格段に向上させることができる。
【0102】
なお、水抜きは手動で行なっても、自動で行なっても良い。自動で行なう場合は、本実施形態及びその各種変形例に記載された水抜きの場所において重力を利用して水抜きができるため、排水路に直結した構造とするだけで水抜き作業を手軽にでき、閉め忘れの水抜きバルブの閉め忘れ防止が可能となり信頼性が増す。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の一実施形態にかかる貯湯式電気温水器の貯湯タンクを模式的に示す斜視図である。
【図2】図1に示した貯湯タンクの内部を模式的に示す平面図である。
【図3】図1に示した貯湯タンクの分解斜視図である。
【図4】図1に示した一方の仕切り壁部を貯湯タンクの長手方向の入水部側から見た模式図(図4(a))と、図1に示した他方の仕切り壁部を貯湯タンクの長手方向入水部側から見た模式図(図4(b))である。
【図5】図1に示した貯湯式電気温水器の第1変形例を模式的に示す斜視図である。
【図6】図1に示した貯湯式電気温水器の第2変形例を模式的に示す斜視図である。
【図7】図1に示した貯湯式電気温水器の第3変形例を模式的に示す斜視図である。
【図8】図1に示した貯湯式電気温水器の第4変形例を分解した状態で示す斜視図である。
【図9】図1に示した貯湯式電気温水器の第5変形例を模式的に示す斜視図である。
【図10】図1に示した貯湯式電気温水器の第6変形例を模式的に示した斜視図である。
【図11】図1に示した貯湯式電気温水器の第7変形例を模式的に示した斜視図である。
【図12】図1に示した貯湯式電気温水器の第8変形例を模式的に示した斜視図である。
【図13】図1に示した貯湯式電気温水器の第9変形例を模式的に示した斜視図である。
【図14】図1に示した貯湯式電気温水器の第10変形例を模式的に示した斜視図である。
【図15】図1に示した貯湯式電気温水器の第11変形例を模式的に示した斜視図である。
【図16】図1に示した貯湯式電気温水器の第12変形例を模式的に示した斜視図である。
【図17】本発明に関する評価試験において本実施例と比較例を評価した試験結果を示すグラフ図である。
【符号の説明】
【0104】
4,5 仕切り壁部
6 貯湯部
10 貯湯タンク
10a〜10f 平面部
10u (上側)分割体
10s (下側)分割体
10x,10y 流路底面
10z 水抜き溝
11 入水部
12 出湯部
21 貯湯タンク
23 水抜き栓
24 水抜き管
25,25a 水抜き部
31 貯湯タンク
34,35 仕切り壁部
h ヒータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクを備えた貯湯式電気温水器において、
前記貯湯タンクは、入水部と、出湯部と、前記入水部と出湯部との間に形成された貯湯部と、前記貯湯部内に水又は湯の蛇行流路を形成するための仕切り壁部を有し、
前記貯湯式電気温水器の設置状態において前記蛇行流路が略水平な面に沿って形成されるように前記仕切り壁部が前記貯湯部内に備わり、かつ重力の作用方向で見て貯湯タンクの下面又は側面下方に水抜き部が設けられたことを特徴とする貯湯式電気温水器。
【請求項2】
前記貯湯タンクの内部にヒータを備えるか、又は外側にヒータを直接接するように備えたことを特徴とする、請求項1に記載の貯湯式電気温水器。
【請求項3】
前記貯湯タンクの内部にヒータを備え、かつ前記ヒータが前記仕切り壁部を兼ねていることを特徴とする、請求項1に記載の貯湯式電気温水器。
【請求項4】
前記ヒータが前記貯湯式電気温水器の設置状態で重力の作用方向で見て前記貯湯タンクの少なくとも1/2より下側の面に備わったことを特徴とする、請求項2に記載の貯湯式電気温水器。
【請求項5】
前記ヒータが前記入水部の近傍に備わったことを特徴とする、請求項2乃至請求項4の何れかに記載の貯湯式電気温水器。
【請求項6】
前記ヒータが複数のヒータからなり、各ヒータが前記入水部と出湯部とを結ぶ方向に分散配置されたことを特徴とする、請求項2乃至請求項4の何れかに記載の貯湯式電気温水器。
【請求項1】
貯湯タンクを備えた貯湯式電気温水器において、
前記貯湯タンクは、入水部と、出湯部と、前記入水部と出湯部との間に形成された貯湯部と、前記貯湯部内に水又は湯の蛇行流路を形成するための仕切り壁部を有し、
前記貯湯式電気温水器の設置状態において前記蛇行流路が略水平な面に沿って形成されるように前記仕切り壁部が前記貯湯部内に備わり、かつ重力の作用方向で見て貯湯タンクの下面又は側面下方に水抜き部が設けられたことを特徴とする貯湯式電気温水器。
【請求項2】
前記貯湯タンクの内部にヒータを備えるか、又は外側にヒータを直接接するように備えたことを特徴とする、請求項1に記載の貯湯式電気温水器。
【請求項3】
前記貯湯タンクの内部にヒータを備え、かつ前記ヒータが前記仕切り壁部を兼ねていることを特徴とする、請求項1に記載の貯湯式電気温水器。
【請求項4】
前記ヒータが前記貯湯式電気温水器の設置状態で重力の作用方向で見て前記貯湯タンクの少なくとも1/2より下側の面に備わったことを特徴とする、請求項2に記載の貯湯式電気温水器。
【請求項5】
前記ヒータが前記入水部の近傍に備わったことを特徴とする、請求項2乃至請求項4の何れかに記載の貯湯式電気温水器。
【請求項6】
前記ヒータが複数のヒータからなり、各ヒータが前記入水部と出湯部とを結ぶ方向に分散配置されたことを特徴とする、請求項2乃至請求項4の何れかに記載の貯湯式電気温水器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−57898(P2008−57898A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−237024(P2006−237024)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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