説明

貯蔵タンクコンテナ、トレーラ、車両、液体搬送用車両及び液体搬送方法

【課題】 1つの貯蔵タンクで異なる種類の液体を容易に搬送することができる液体搬送にかかる技術を提供する。
【解決手段】 貯蔵タンク8を搭載したトレーラ6を車両3により牽引して所定搬送場所に移送し、貯蔵タンク8内の液体をトレーラ6に設けられた圧送手段9により収容箇所に圧送して収容し、液体を搬出した後に貯蔵タンク8及びユニオン継ぎ手で接続されたトレーラ側配管10、貯蔵タンクコンテナ側配管11を容易に分解して洗浄することで異なる種類の液体が貯蔵タンク8内に搬入可能とされ、一つの貯蔵タンク8で異なる種類の液体を搬送し、トレーラ6に設けられた圧送手段9を用いて所定搬送場所で収容箇所に圧送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の輸送に適用される貯蔵タンクコンテナ、トレーラ、車両、液体搬送用車両及び液体搬送方法に関し、特に異なる種類の化学溶剤を搬送する業務に適用して好適である。
【背景技術】
【0002】
液体の輸送業務にかかる技術としては、例えば、液化ガスを包含する液体を輸送するためのタンクローリー車が提案されている(特許文献1参照)。一方で、従来から、液体(例えば、飲料水や化学溶剤)などの搬送業務では、コンテナの貯蔵タンクに液体を収容し、コンテナを車両により牽引して搬送することで所定の搬送先に液体を搬送することが主流となっている。なかでも、化学溶剤を搬送する際には、1種類の溶剤を貯蔵するための専用のタンクを設けたコンテナを使用していた。
【0003】
車両やコンテナの稼働率を高めて輸送の効率化を図るために、コンテナの貯蔵タンクで異種の液体を搬送することが望まれてきている。例えば、牽引してきたコンテナ(トレーラ)を搬送先で取り外し、同種又は異種の液体が予め貯蔵タンクに貯蔵されているコンテナ(トレーラ)を取り付けることで、車両を効率よく運行させることができる。又は、トレーラを取り外した車両だけを異種の液体が予め貯蔵タンクに貯蔵されている別のコンテナ(トレーラ)の場所に走行させ、走行先でトレーラを牽引して所定の場所に牽引する運行を行うことで、少ない車両で様々な液体を効率よく輸送することができる。
【0004】
しかし、化学溶剤を輸送した後に別の液体を輸送する場合には、貯蔵タンクや配管の内部を念入りに洗浄する必要があった。すなわち、化学溶剤の搬送対象物には、危険物とされる半導体溶剤なども含まれているため、異なる種類の化学溶剤などを搬送する際には、異なる液体同士の混合や不純物などの混入などを防止するために細心の注意が必要とされていた。従って、化学溶剤が残留しない状態に貯蔵タンクや配管の内部を念入りに洗浄する必要があった。
【0005】
しかしながら、従来の搬送業務で用いられている貯蔵タンク、配管、ポンプなどの液体の流通路を構成する部品や機器などは、専用の液体を搬送することが前提となっているため、液体と接触する面は比較的粗雑となっていた。また、配管の接続も漏れの防止を前提としているため、確実な結合状態(搬送時に発生する振動や振動による液体漏れが生じにくい状態)を得る構成(例えば、フランジ結合)が採用されていた。このため、配管内や接続部で液体の液溜まりが生じ易く、分解作業も大掛かりとなり、洗浄を行っても不純物を除去しにくい構造となっており、そのような液体の流通路を確実且つ容易に洗浄することは困難であった。
【0006】
従って、1つの貯蔵タンクで異なる種類の液体を容易に搬送する技術は確立されていないのが現状であった。
【0007】
【特許文献1】特開2000−238573号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はこのような事情に鑑み、1つの貯蔵タンクで異なる種類の液体を容易に搬送することができる貯蔵タンクコンテナ、トレーラ、車両、液体搬送用車両及び液体搬送方法を提供することを課題とする。
【0009】
上記目的を達成するための本発明の第1の態様は、
洗浄後に異なる種類の液体を貯蔵するために内面の洗浄性を高めたサニタリー仕様の貯蔵タンクと、内面の洗浄性を高めたサニタリー仕様のコンテナ側配管とを備え、
コンテナ側配管が、内面の洗浄性を高めたサニタリー仕様のトレーラ側配管に、ナットの締め付けにより配管同士の接続を行うユニオン継ぎ手を介して接続されてトレーラに搭載されることを特徴とする貯蔵タンクコンテナにある。
【0010】
第1の態様では、洗浄性を高めて1つの貯蔵タンクで異なる種類の液体を容易に搬送することができる液体搬送用コンテナとすることができる。
【0011】
本発明の第2の態様は、
第1の態様において、貯蔵タンクに貯蔵される液体は化学溶剤であることを特徴とする貯蔵タンクコンテナにある。
【0012】
第2の態様では、1つの貯蔵タンクで化学溶剤の搬送が可能になる。
【0013】
本発明の第3の態様は、
第1または第2の態様において、ユニオン継ぎ手は、トレーラを所定時間移動させた際の振動状況に基づき締め付けが管理されていることを特徴とする貯蔵タンクコンテナにある。
【0014】
第3の態様では、ユニオン継ぎ手を用いても液体の漏れが生じることがない。
【0015】
上記目的を達成するための本発明の第4の態様は、
貯蔵タンクを備えた貯蔵タンクコンテナが搭載されて車両により輸送され、
内面の洗浄性を高めたサニタリー仕様のトレーラ側配管を備え、
トレーラ側配管は、ナットの締め付けにより配管同士の接続を行うユニオン継ぎ手を介して複数の配管が接続されて貯蔵タンク側と供給側とをつなぐ状態に配管され、
貯蔵タンク内の液体を供給側に圧送する圧送手段を備えたことを特徴とするトレーラにある。
【0016】
第4の態様では、洗浄性を高めて1つの貯蔵タンクで異なる種類の液体を容易に搬送することができる液体搬送用のトレーラとすることができる。
【0017】
本発明の第5の態様は、
第4の態様において、搭載される貯蔵タンクには液体として化学溶剤が貯蔵されることを特徴とするトレーラにある。
【0018】
第5の態様では、1つの貯蔵タンクで化学溶剤の搬送が可能になる。
【0019】
本発明の第6の態様は、
第4または第5の態様において、圧送手段は液体の流通路の洗浄性を高めたサニタリー仕様のロータリーポンプであることを特徴とするトレーラにある。
【0020】
第6の態様では、機械構造が簡素で洗浄が容易なロータリポンプにより液体を搬送することができる。
【0021】
本発明の第7の態様は、
第4〜第6の態様のいずれかにおいて、圧送手段の駆動手段は車両の走行用の内燃機関であることを特徴とするトレーラにある。
【0022】
第7の態様では、専用の駆動手段を用いることなく圧送手段を駆動させることができる。
【0023】
本発明の第8の態様は、
第4〜第7の態様のいずれかにおいて、ユニオン継ぎ手は、車両によりトレーラを所定時間輸送した際の振動状況に基づき締め付けが管理されていることを特徴とするトレーラにある。
【0024】
第8の態様では、ユニオン継ぎ手を用いても液体の漏れが生じることがない。
【0025】
上記目的を達成するための本発明の第9の態様は、
貯蔵タンクを備えた貯蔵タンクコンテナが搭載されるトレーラを牽引すると共に内燃機関により走行する車両であり
トレーラには、内面の洗浄性を高めたサニタリー仕様のトレーラ側配管が備えられ、
トレーラ側配管は、ナットの締め付けにより配管同士の接続を行うユニオン継ぎ手を介して複数の配管が接続されて貯蔵タンク側と供給側とをつなぐ状態に配管され、
貯蔵タンク内の液体を供給側に圧送するポンプを備え、
ポンプが内燃機関により駆動されることを特徴とする車両にある。
【0026】
第9の態様では、洗浄性を高めて1つの貯蔵タンクで異なる種類の液体を容易に搬送することが可能になる。
【0027】
本発明の第10の態様は、
第9の態様において、牽引されるトレーラの貯蔵タンクには液体として化学溶剤が貯留されていることを特徴とする車両にある。
【0028】
第10の態様では、1つの貯蔵タンクで化学溶剤の搬送が可能になる。
【0029】
本発明の第11の態様は、
第9または第10の態様において、ユニオン継ぎ手は、トレーラを所定時間牽引した際の振動状況に基づき締め付けが管理されていることを特徴とする車両にある。
【0030】
上記目的を達成するための本発明の第12の態様は、
内燃機関により走行する車両と、
貯蔵タンクコンテナが搭載され、内面の洗浄性を高めたサニタリー仕様のトレーラ側配管を備え、トレーラ側配管は、ナットの締め付けにより配管同士の接続を行うユニオン継ぎ手を介して複数の配管が接続されて貯蔵タンクコンテナ側と供給側とをつなぐ状態に配管され、貯蔵タンクコンテナの液体を供給側に圧送するポンプを備え、ポンプが内燃機関により駆動され、車両と取り付け自在なトレーラとを備え、
貯蔵タンクコンテナは、液体が貯蔵される貯蔵タンク、内面の洗浄性を高めたサニタリー仕様のコンテナ側配管を備え、コンテナ側配管が、トレーラ側配管に、ナットの締め付けにより配管同士の接続を行うユニオン継ぎ手を介して接続されてトレーラに搭載される
ことを特徴とする液体搬送用車両にある。
【0031】
第12の態様では、洗浄性を高めて1つの貯蔵タンクで異なる種類の液体を容易に搬送することができる液体搬送用車両となる。
【0032】
本発明の第13の態様は、
第12の態様において、貯蔵タンクには液体として化学溶剤が貯蔵されていることを特徴とする液体搬送用車両にある。
【0033】
第13の態様では、1つの貯蔵タンクで化学溶剤の搬送が可能になる。
【0034】
本発明の第14の態様は、
第12または第13の態様において、ユニオン継ぎ手は、車両を走行させてトレーラを所定時間牽引した際の振動状況に基づき締め付けが管理されていることを特徴とする液体搬送用車両にある。
【0035】
第14の態様では、ユニオン継ぎ手を用いても液体の漏れが生じることがない。
【0036】
上記目的を達成するための本発明の第15の態様は、
液体貯蔵タンクを搭載したトレーラを車両により牽引して所定搬送場所に移送し、液体貯蔵タンク内の液体をトレーラに設けられた圧送手段により収容箇所に圧送して収容し、液体を搬出した後に液体貯蔵タンク及び配管を洗浄することで異なる種類の液体を液体貯蔵タンク内に搬入可能とし、異なる種類の液体を移送する際には液体貯蔵タンク及び配管を洗浄することで異なる種類の液体を搬入し、一つの液体貯蔵タンクで異なる種類の液体を搬送してトレーラに設けられた圧送手段を用いて所定搬送場所で収容箇所に圧送することを特徴とする液体搬送方法にある。
【0037】
第15の態様では、洗浄性を高めて1つの貯蔵タンクで異なる種類の液体を容易に搬送することができる液体搬送方法となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本実施形態の説明は例示であり、本発明は、車両や貯蔵タンクの形状、配管の状態等の構成は以下の説明に限定されない。本実施形態では、液体として化学溶剤を貯蔵して搬送することを想定している。
【0039】
図1は、本発明の実施形態に係る液体搬送用車両の概略構造を示す側面図であり、図2は、本発明の実施形態に係る液体搬送用のトレーラの概略構造を示す側面図であり、図3は、本発明の実施形態に係る液体搬送用コンテナの概略構造を示す側面図である。
【0040】
図示するように、液体搬送用車両1は、内燃機関としてのエンジン2で走行する車両3を備え、車両3の牽引部4には連結部材5を介して液体搬送用のトレーラ(液体搬送用トレーラ)6が接続されている。牽引部4には異なる種類の液体搬送用トレーラ6が接続可能となっている。
液体搬送用トレーラ6には、貯蔵タンクコンテナ31が載置固定され、貯蔵タンクコンテナ31はコンテナ本体7に貯蔵タンク8を備えた構成となっている。液体搬送用トレーラ6には、圧送手段としてのロータリーポンプ9が搭載されており、ロータリーポンプ9には流入側と吐出側のトレーラ側配管10が設けられている。
【0041】
ロータリーポンプ9は車両3のエンジン2によって駆動されるようになっている。このため、専用の駆動手段を設けることなくロータリーポンプ9を駆動することが可能となる。なお、ロータリーポンプ9の駆動を専用の駆動手段により駆動させることも可能である。この場合、ロータリーポンプ9の仕様に応じた最適な駆動手段を用いることが可能である。
【0042】
貯蔵タンクコンテナ6の貯蔵タンク8には貯蔵タンクコンテナ側配管11が設けられ、流入側のトレーラ側配管10が貯蔵タンクコンテナ側配管11に接続される。つまり、ロータリーポンプ9の駆動により貯蔵タンク8内の液体(化学溶剤)がトレーラ側配管10を介して所定の場所に圧送される。
【0043】
このような構成により、液体搬送用車両1により液体搬送用トレーラ6が供給場所へ牽引された際に、ロータリーポンプ9をエンジン2により駆動することで、貯蔵タンク8に貯蔵されている化学溶剤が貯蔵タンクコンテナ側配管11からトレーラ側配管10を経てロータリーポンプ9を介して供給側へ圧送される。
【0044】
また、貯蔵タンク8、貯蔵タンクコンテナ側配管11、トレーラ側配管10、及びロータリーポンプ9は、内面の洗浄性を高めたサニタリー仕様で構成されており、貯蔵タンク8から供給側に至るまでの液体の流通路が滑らかな壁面で構成されている。具体的には、配管や機器の内面がコーティングや研摩などの手法により処理されている。これにより、液体との接触面に摩擦損失が発生し難く、供給される液体の液溜まりや不純物の付着を防止することができる。
【0045】
ここで、貯蔵タンク8に貯蔵されて搬送される液体としては、例えば、飲料水、工業製品などの様々な液体を挙げることができる。
【0046】
本実施形態では、化学溶剤を想定しているので、液体の流通路を上述のようなサニタリー仕様で構成することにより、搬送後の配管や機器の洗浄作業が容易となると共に、残留している液体や不純物を簡単に取り除くことができる。このため、同じ貯蔵タンク8に異なる化学溶剤や異なる種類の液体を貯蔵させることが可能となる。
【0047】
次に、貯蔵タンクコンテナ側配管11とトレーラ側配管10を含む液体搬送用トレーラ6の配管状態について詳しく説明する。図4は、本発明の実施形態に係る貯蔵タンクコンテナ側配管11からトレーラ側配管10までの状態を示す上面図であり、図5は、本発明の実施形態に係る貯蔵タンクコンテナ側配管11からトレーラ側配管10までの状態を示す側面図であり、図6は、本発明の実施形態に係る液体搬送用トレーラ6の後方視図である。
【0048】
図示するように、ロータリーポンプ9の流入側及び吐出側に設けられているトレーラ側配管10は、後述するユニオン継ぎ手15を介して複数の配管が接続されることで構成されており、ロータリーポンプ9の吐出側のトレーラ側配管10と貯蔵タンクコンテナ側配管11間も同様にしてユニオン継ぎ手15を介して接続されている。
【0049】
具体的には、貯蔵タンクコンテナ側配管11からロータリーポンプ9に至るまでの流入側の経路を構成する配管16は、フレキシブル管、直管、エルボ管など種々の形状や長さの異なる複数の配管の組み合わせにより、それらの配管同士がそれぞれユニオン継ぎ手15を介して接続される。つまり、限られたスペースに最適な経路が構築されている。
【0050】
一方、ロータリーポンプ9から供給側に至るまでの吐出側の路を構成する配管17も同様にして、種々の形状や長さの異なる複数の配管の組み合わせにより、それらの配管同士がそれぞれユニオン継ぎ手15を介して接続されている。即ち、吐出側の路を構成する配管17は車幅方向に延びる出口配管18が備えられ、出口配管18の両端にはそれぞれ手動の開閉バルブ19が設けられている。つまり、液体搬送用車両1の向きに拘わらずどちらの側からも液体を搬出することが可能になっている。
【0051】
このような配管構成により、液体搬送用トレーラ6の配管は、貯蔵タンクコンテナ側配管11と供給側とをつなぐ状態に接続され、液体の流通路を構成している。
【0052】
なお、配管の流路状態は図示例に限定されるものではなく、液体搬送用トレーラ6の大きさや形状、液体の搬出状況などにより、様々な流路を構築することができる。
【0053】
ここで、ユニオン継ぎ手15の構造について詳しく説明する。図7は、本発明の実施形態に係るユニオン継ぎ手の構成部品の配置状態の斜視図であり、図8は、管同士が接続されていない状態のユニオン継ぎ手の分解斜視図であり、図9は、本発明の実施形態に係るユニオン継ぎ手の断面図である。なお、図7乃至図9は、貯蔵タンクコンテナ側配管11とトレーラ側配管10間の接続部分のユニオン継ぎ手15を例示している。
【0054】
図7に示すように、ユニオン継ぎ手15は、トレーラ側配管10の端部に溶接により固定されるねじ部材22と、貯蔵タンクコンテナ側配管11の端部に溶接により固定されるスリーブ21と、ねじ部材22とスリーブ21の間に介在されるパッキン23と、スリーブ21に貯蔵タンクコンテナ側配管11側から係止すると共に、ねじ部材22にねじ込まれることでスリーブ21をトレーラ側配管10側に押し付けるナット24とから構成されている。
【0055】
即ち、図7乃至図9に示すように、スリーブ21の外周には係止リング27が設けられている。ナット24の内周には貯蔵タンクコンテナ側配管11側から係止リング27に係止する内側リング28が設けられ、ナット24は貯蔵タンクコンテナ側配管11側からスリーブ21の外周に配置され、内側リング28が係止リング27に係止することでスリーブ21からの抜け外れが阻止された状態になっている。
【0056】
一方、ねじ部材22の外周にはねじ部25が形成され、ナット24の内周における内側リング28の反対側(トレーラ側配管10側)には、ねじ部材22のねじ部25に螺合する内周ねじ部26が形成されている。
【0057】
図8の状態はナット24がスリーブ21の外周に抜け外れが阻止された状態であるが、この状態からナット24の内周ねじ部26をねじ部材22のねじ部25にねじ込むことにより、内側リング28がスリーブ21の係止リング27に係止した状態で、即ち、貯蔵タンクコンテナ側配管11側に固定されたスリーブ21を伴って、図中右側にナット24が移動する。これにより、スリーブ21がパッキン23を挟んでねじ部材22側に押し付けられ、トレーラ側配管10側と貯蔵タンクコンテナ側配管11とが接続された状態になる。ナット24の締め付けトルクを調整することにより、所定の接合状態が得られる。
【0058】
例えば、配管を接続した状態で所定の圧力を加え、液体搬送用車両1を所定時間走行させた場合の圧力損失を確認したところ、許容値の損失に収まっていることが試験により確認されている。つまり、フランジ接続を用いずに、ユニオン継ぎ手15を用いた場合であっても、十分な接合状態が得られることが実証されている。この試験の結果は、危険物を搬送する場合の法令基準をクリアしていることが確認されている。
【0059】
このようなユニオン継ぎ手15は、液体搬送用トレーラ6を所定時間移動させた際の振動状況に基づいてその締め付けが管理されており、ナット24の締め付けや取り外しの際に、例えば、液体搬送用トレーラ6の移動により発生する振動数に耐えうる所定のトルク力で締め付けが行われているか否かなどが管理されている。これにより、例えば、洗浄して組立作業を行った液体搬送用トレーラ6による液体の搬送時に、不完全な配管接続により生じる液体漏れなどを確実に防ぐことが可能となっている。
【0060】
上述のようなユニオン継ぎ手15を用いることにより、図4に示されているような種々の形状からなるトレーラ側配管10を自由に接続することが可能となり、又、トレーラ側配管10の組立作業や分解作業を容易にすることが可能となる。
【0061】
また、本実施形態の液体搬送用車両1では、貯蔵タンク8を搭載した液体搬送用トレーラ6を車両3により牽引して所定搬送場所に移送し、貯蔵タンク8内の液体を液体搬送用トレーラ6に設けられたロータリーポンプ9により所定の収容箇所に圧送して収容し、液体を搬出した後に貯蔵タンク8及び配管10、11を洗浄することで異なる種類の液体を貯蔵タンク8内に搬入することが可能となる。そして、異なる種類の液体を移送する際には貯蔵タンク8及び配管10、11を洗浄することで異なる種類の液体を搬入し、一つの貯蔵タンク8で異なる種類の液体を搬送し、液体搬送用トレーラ6に設けられたロータリーポンプ9を用いて所定の搬送場所で収容箇所に圧送することもできる。
【0062】
一般的に、化学溶剤(危険物)の搬送業務に際しては、搬送用の車両等を含めて設備に対して所定の法令基準をクリアすることで得られる消防局からの設置許可が必要である。このため、例えば、本実施形態のように、従来から採用している配管同士の接合状態と異なる形態(本実施形態では、ユニオン継ぎ手15)を採用する場合には、その場合の懸念事項を確認して安全性を実証した上で、消防局から新たに設置許可を得る必要があった。ここで、本実施形態における主な懸念事項としては、例えば、走行時に振動によるユニオン継ぎ手15の緩みが発生するか否か、配管やポンプを洗浄した後の組立復旧時における気密性が確保できるか否かなどが挙げられる。
【0063】
そこで、本実施形態では、化学溶剤(危険物)の搬送業務において、ユニオン継ぎ手15を配管同士の接合に採用するために、ユニオン継ぎ手15のテスト器を液体搬送用車両1に取り付けて次のような走行試験を実施した。テスト器は、ユニオン継ぎ手15で接続し圧力計を取り付けた円筒状の容器からなり、貯蔵タンク8に取り付けた。このとき、ユニオン継ぎ手15は、専用のモンキースパナを用いて締め付けトルク1000kg・cmまで締め上げ、容器内には空気圧で2.00kg/cm2の圧力を掛けた。
【0064】
また、テスト器の取り付け位置は、液体搬送用車両1に対して縦方向に取り付けた場合と、横方向に取り付けた場合の試験をそれぞれ実施した。
【0065】
上述のような状態で、10〜26日間の期間に800km〜1300kmの距離を走行させ、走行後の圧力の降下状況及び締め付けトルクの緩みを測定した。即ち、走行時の車両の振動により、取り付けたユニオン継ぎ手15が緩んでいるか否かを実際に測定して確認した。
【0066】
このような試験の結果、走行時の振動によりユニオン継ぎ手15が緩まないこと及び充分な機密性が確保されていることが確認され、従来から採用している配管同士の接合状態(例えば、フランジ継ぎ手)と同等の安全性が実証された。これにより、化学溶剤(危険物)の搬送業務に際して、液体搬送用車両1にユニオン継ぎ手15を採用できることが実証されたと共に、消防局からの設置許可を得ることができた。
【0067】
以上説明したように、本実施形態では、液体の流通路となる貯蔵タンク8、貯蔵タンクコンテナ側配管11、トレーラ側配管10、及びロータリーポンプ9を内面の洗浄性を高めたサニタリー仕様で構成することで、搬送後の洗浄作業を容易にすることができると共に、液体搬送用トレーラ6のトレーラ側配管10、貯蔵タンクコンテナ側配管11の接続にユニオン継ぎ手15を採用することで、液体の流通路を洗浄する際のトレーラ側配管10、貯蔵タンクコンテナ側配管11の組立や分解作業を容易にすることができるため、危険物などが含まれる化学溶剤を搬送する場合であっても、1つの貯蔵タンク8を用いて異なる種類の化学溶剤を容易に搬送することが可能となる。
【0068】
上述した実施形態では、ロータリーポンプ9の駆動源として車両の走行用のエンジン2を例示しているが、これに限定されず、例えば、油圧や液体圧などで駆動するその他の動力を用いてロータリーポンプ9を駆動させるようにしてもよい。
【0069】
また、上述した実施形態では、圧送手段としてロータリーポンプ9を例示しているが、これに限定されず、例えば、圧力により液体を供給側へ送ることができるその他の機器や装置を適用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施形態に係る液体搬送用車両の概略構造を示す側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る液体搬送用トレーラの概略構造を示す側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る液体搬送用コンテナの概略構造を示す側面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る貯蔵タンクコンテナ側配管11からトレーラ側配管10までの状態を示す上面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る貯蔵タンクコンテナ側配管11からトレーラ側配管10までの状態を示す側面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る液体搬送用トレーラ6の後方視図である。
【図7】本発明の実施形態に係るユニオン継ぎ手の構成部品の配置状態の斜視図である。
【図8】管同士が接続されていない状態のユニオン継ぎ手の分解斜視図である。
【図9】本発明の実施形態に係るユニオン継ぎ手の断面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 液体搬送用車両
2 エンジン
3 車両
4 牽引部
5 連結部材
6 液体搬送用トレーラ
7 コンテナ本体
8 貯蔵タンク
9 ロータリーポンプ
10 トレーラ側配管
11 貯蔵タンクコンテナ側配管
15 ユニオン継ぎ手
16、17 配管
21 スリーブ
22 ねじ部材
23 パッキン
24 ナット
25 ねじ部
26 内周ねじ部
27 係止リング
28 内側リング
31 貯蔵タンクコンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄後に異なる種類の液体を貯蔵するために内面の洗浄性を高めたサニタリー仕様の貯蔵タンクと、内面の洗浄性を高めたサニタリー仕様のコンテナ側配管とを備え、
コンテナ側配管が、内面の洗浄性を高めたサニタリー仕様のトレーラ側配管に、ナットの締め付けにより配管同士の接続を行うユニオン継ぎ手を介して接続されてトレーラに搭載されることを特徴とする貯蔵タンクコンテナ。
【請求項2】
請求項1において、貯蔵タンクに貯蔵される液体は化学溶剤であることを特徴とする貯蔵タンクコンテナ。
【請求項3】
請求項1または2において、ユニオン継ぎ手は、トレーラを所定時間移動させた際の振動状況に基づき締め付けが管理されていることを特徴とする貯蔵タンクコンテナ。
【請求項4】
貯蔵タンクを備えた貯蔵タンクコンテナが搭載されて車両により輸送され、
内面の洗浄性を高めたサニタリー仕様のトレーラ側配管を備え、
トレーラ側配管は、ナットの締め付けにより配管同士の接続を行うユニオン継ぎ手を介して複数の配管が接続されて貯蔵タンク側と供給側とをつなぐ状態に配管され、
貯蔵タンク内の液体を供給側に圧送する圧送手段を備えたことを特徴とするトレーラ。
【請求項5】
請求項4において、搭載される貯蔵タンクには液体として化学溶剤が貯蔵されることを特徴とするトレーラ。
【請求項6】
請求項4または5において、圧送手段は液体の流通路の洗浄性を高めたサニタリー仕様のロータリーポンプであることを特徴とするトレーラ。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれかにおいて、圧送手段の駆動手段は車両の走行用の内燃機関であることを特徴とするトレーラ。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれかにおいて、ユニオン継ぎ手は、車両によりトレーラを所定時間輸送した際の振動状況に基づき締め付けが管理されていることを特徴とするトレーラ。
【請求項9】
貯蔵タンクを備えた貯蔵タンクコンテナが搭載されるトレーラを牽引すると共に内燃機関により走行する車両であり
トレーラには、内面の洗浄性を高めたサニタリー仕様のトレーラ側配管が備えられ、
トレーラ側配管は、ナットの締め付けにより配管同士の接続を行うユニオン継ぎ手を介して複数の配管が接続されて貯蔵タンク側と供給側とをつなぐ状態に配管され、
貯蔵タンク内の液体を供給側に圧送するポンプを備え、
ポンプが内燃機関により駆動されることを特徴とする車両。
【請求項10】
請求項9において、牽引されるトレーラの貯蔵タンクには液体として化学溶剤が貯留されていることを特徴とする車両。
【請求項11】
請求項9または10において、ユニオン継ぎ手は、トレーラを所定時間牽引した際の振動状況に基づき締め付けが管理されていることを特徴とする車両。
【請求項12】
内燃機関により走行する車両と、
貯蔵タンクコンテナが搭載され、内面の洗浄性を高めたサニタリー仕様のトレーラ側配管を備え、トレーラ側配管は、ナットの締め付けにより配管同士の接続を行うユニオン継ぎ手を介して複数の配管が接続されて貯蔵タンクコンテナ側と供給側とをつなぐ状態に配管され、貯蔵タンクコンテナの液体を供給側に圧送するポンプを備え、ポンプが内燃機関により駆動され、車両と取り付け自在なトレーラとを備え、
貯蔵タンクコンテナは、液体が貯蔵される貯蔵タンク、内面の洗浄性を高めたサニタリー仕様のコンテナ側配管を備え、コンテナ側配管が、トレーラ側配管に、ナットの締め付けにより配管同士の接続を行うユニオン継ぎ手を介して接続されてトレーラに搭載される
ことを特徴とする液体搬送用車両。
【請求項13】
請求項12において、貯蔵タンクには液体として化学溶剤が貯蔵されていることを特徴とする液体搬送用車両。
【請求項14】
請求項12または13において、ユニオン継ぎ手は、車両を走行させてトレーラを所定時間牽引した際の振動状況に基づき締め付けが管理されていることを特徴とする液体搬送用車両。
【請求項15】
液体貯蔵タンクを搭載したトレーラを車両により牽引して所定搬送場所に移送し、液体貯蔵タンク内の液体をトレーラに設けられた圧送手段により収容箇所に圧送して収容し、液体を搬出した後に液体貯蔵タンク及び配管を洗浄することで異なる種類の液体を液体貯蔵タンク内に搬入可能とし、異なる種類の液体を移送する際には液体貯蔵タンク及び配管を洗浄することで異なる種類の液体を搬入し、一つの液体貯蔵タンクで異なる種類の液体を搬送してトレーラに設けられた圧送手段を用いて所定搬送場所で収容箇所に圧送することを特徴とする液体搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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