説明

貸出用オムツの洗濯管理システム

【課題】貸し出すオムツを各入居者の専用オムツとし、使用されたオムツを回収し、洗濯した後に、各入居者の専用オムツ毎を判定し、貸し出し可能かどうかを客観的に判定することのできる貸出用オムツの洗濯管理システムを提供する。
【解決手段】貸出したオムツ1を使用後に回収し、洗濯した後に、再度貸し出す貸出用オムツの洗濯管理システムであって、少なくとも固有の識別情報を含んだ識別コード10が付されたオムツ1と、このオムツ1を洗濯した後、識別コード10を読取るコードリーダ2と、このコードリーダ2から識別情報を読取る毎に、そのオムツ1の洗濯回数を計数して、計数値が、予め固有の識別情報毎に設定した基準値に到達すれば、識別情報を読取ったオムツ1の再貸し出しを禁止する制御手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貸出用オムツの洗濯管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、高齢化社会の到来により老人介護施設などで貸出用オムツを使用している。
【0003】
このような貸出用オムツはサービス提供者によって使用者に貸し出され、定期的に回収、洗濯されて再貸し出しされるようになっている(例えば下記特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−360621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の貸出用オムツは、洗濯された後は、不特定者に貸し出されるため、使用者としては、必ずしも気持ちのよいものではなかった。
【0005】
また、貸出用オムツは消耗品であるため、貸し出しを繰り返していると傷みが増し、使用に限度があるが、オムツの廃棄は、サービス提供者側の恣意に委ねられ、管理面、衛生面でも問題があった。
【0006】
そのため、貸出用オムツを同じ使用者に専属的に循環して使用でき、かつ、使用限度を判別できる技術の開発が望まれているが、上記特許文献1に示すような技術が存在するに過ぎなかった。
【0007】
そこで、本発明では、貸し出すオムツが同じ使用者に専属的に循環して使用できるようにするとともに、消耗品であるオムツの使用限度を容易にかつ客観的に所定の基準で判別でき、衛生的で貸し出し効率を向上させることのできる貸出用オムツの洗濯管理システムを提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の貸出用オムツの洗濯管理システムでは、貸し出したオムツを使用後に回収し、洗濯した後に、再度貸し出す貸出用オムツの洗濯管理システムであって、少なくとも固有の識別情報を含んだ識別コードが付されたオムツと、このオムツを洗濯した後、識別コードを読取るコードリーダと、このコードリーダから識別情報を読取る毎に、そのオムツの洗濯回数を計数して、計数値が、予め固有の識別情報毎に設定した基準値に到達すれば、識別情報を読取ったオムツの再貸し出しを禁止する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の貸出用オムツの洗濯管理システムでは、計数値が、予め固有の識別情報毎に設定した基準値に到達すれば、制御手段の制御によって警報を報知するアラーム手段を更に備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の貸出用オムツの洗濯管理システムでは、基準値となる洗濯回数は、100〜200回として設定していることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の貸出用オムツの洗濯管理システムでは、識別コードには、オムツの使用者を特定する文字、絵、シンボルなどの人が判読可能な固有情報が更に記されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の貸出用オムツの洗濯管理システムでは、マーキング手段を更に備え、アラーム手段が警報を報知したときに、識別コードには、貸し出し禁止のマーキングを記すようにしていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1によれば、オムツには固有の識別情報を含んだ識別コードを付しているので、回収して来たオムツを洗濯した後に、各オムツの識別コードを読み取ることにより、オムツ使用者の使用状況が把握できる。
【0014】
また、洗濯された各オムツから識別コードを読み取る毎に洗濯回数を計数し、基準値に到達したときには再貸し出しを禁止するので、使用回数が所定値を越えたオムツが再貸し出しされることがなく、使用限度が客観的基準で判断され、オムツの貸し出しを効率的に管理することができる。
【0015】
請求項2によれば、基準値に到達したときには警報を報知するので、貸し出し禁止であることが容易に確認できる。
【0016】
請求項3によれば、貸し出し禁止とする目安となる基準値を、100〜200回としているので、オムツの耐洗度の限界が到来すれば、そのオムツを貸し出し禁止として的確に処分できる。
【0017】
請求項4によれば、各オムツの識別コードには、使用者が判読可能な固有情報が記されているので、オムツ使用者には自分の専用品として自覚させることで、顧客に対してカスタマイズのされたサービスを提供していることを認識させて満足度を充たすことが出来る。
【0018】
請求項5によれば、警報を報知したときには貸し出し禁止のマーキングを記すので、人が容易に確認でき、使用期限が過ぎたオムツを誤って貸し出すことが未然に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。なお、ここでは、アラーム手段として通信端末装置3を例示しているが、これには限られず、コードリーダ2から送られてきた識別コード10より識別情報を判定し、その判定結果によって警報を報知できるものであればよい。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の貸出用オムツの洗濯管理システムの概略構成の一例を示す図である。
【0021】
この洗濯管理システムSは、貸し出したオムツ1を使用後に回収し、洗濯した後に、再度貸し出す貸出用オムツの洗濯管理システムであって、少なくとも固有の識別情報を含んだ識別コード10が付されたオムツ1と、このオムツ1を洗濯した後、上記識別コード10を読取るコードリーダ2と、このコードリーダ2から識別情報を読取る毎に、そのオムツ1の洗濯回数を計数して、計数値が、予め固有の識別情報毎に設定した基準値に到達すれば、識別情報を読み取ったオムツ1の再貸し出しを禁止する制御手段の制御によって、警報を報知するアラーム手段を備えた通信端末装置3を組み合わせている。
【0022】
また、通信端末装置3の制御によって駆動され、回収した使用済みの貸出用オムツ1を洗濯するためのオムツ洗濯処理手段7を更に備えている。
【0023】
この洗濯管理システムSは、使用者から回収した使用済みの貸出用オムツ1を所定の工程で洗濯し、洗濯したオムツ1の洗濯回数が所定の基準値に到達していなければ、当該オムツ1を再貸し出し対象とする一方、所定の基準値に到達していれば、当該オムツ1の再貸し出しを禁止する基本動作をなす。
【0024】
オムツ1に付される識別コード10は、2次元コード、バーコードなどで構成されており、固有の識別情報として、オムツ1の番号、利用施設名、利用者名、性別、年齢などの個人情報を含み、オムツ1に縫着され、あるいは熱圧着されたラベル11に印刷されている。
【0025】
識別コード10の印刷に使用するインク、ラベル11は耐洗力に優れたものが望ましく、薄地のものが望ましい。
【0026】
コードリーダ2は、識別コード10を画像データとして読み取って通信端末装置3に送出し、通信端末装置3では、予め準備された後述する基準テーブル33Aを参照して、読み取った識別情報に基づいて、オムツ1の洗濯回数が基準値に到達しているか否かを判定する。
【0027】
サーバ4は、インターネット、WANなどの通信回線Lを通じて、通信端末装置3や外部のサーバと接続されており、本発明の管理システムのために予め準備生成された、顧客マスタデータ、基準テーブルなどのデータを送受する。
【0028】
なお、コードリーダ2と通信端末装置3とは一体的に構成されてもよく、コードリーダ2で読み取った識別情報は、サーバ4側で洗濯回数が基準値と比較され、その結果に基づいてコードリーダ2や通信端末装置3からアラームを出力させる構成にしてもよい。
【0029】
また、7は、オムツ1を洗濯するオムツ洗濯処理手段を示している。
【0030】
図2は、図1に示すオムツ洗濯処理手段7によるオムツ1の洗濯処理手順の一例を説明するための図である。なお、オムツ1の洗濯処理はここでは、図1に示す通信端末装置3の制御により行われるようにしているが、人手により行うようにしてもよい。
【0031】
オムツ1の洗濯処理手順は、予洗工程A、本洗工程B、すすぎ工程C、脱水工程Dの順に実行され、予洗工程A及び本洗工程B並びに最初のすすぎ工程C1において生成された汚水は、そのまま下水等に排水処理され、2回目以降のすすぎ工程C2,C3,C4において生成されたすすぎ水及び脱水工程Dにおいて生成された除去水は、浄化・除菌処理可能な処理槽を備えた貯水・処理槽Eに一旦貯水されると共に、この浄化・除菌された後の浄化水を、ポンプFを介して予洗工程A及び本洗工程B並びに最初のすすぎ工程C1に給水して再利用するようにしている。
【0032】
なお、本洗工程B及び少なくとも最初のすすぎ工程C1では、貯水・処理槽Eからの浄化水の他、給水ポンプHを通じて、塩素系滅菌液Gを別途給水するようにしており、本洗工程B及び最初のすすぎ工程C1で使用される塩素系滅菌液の濃度を高めることができる。
【0033】
更に、本洗工程B及び少なくとも1回目のすすぎ工程C1及び2回目のすすぎ工程C2に給水される浄化水及び上水を加温することも可能にしている。
【0034】
ここでの加温手段としては、本洗工程B、1回目のすすぎ工程C1及び2回目のすすぎ工程C2のときに給水された前記浄化水及び上水に、高温のスチームIを噴出させて加温するようにしている。
【0035】
図3は、通信端末装置3の要部構成の一例を示す図である。
【0036】
この通信端末装置3は、サーバ1、コードリーダ2、オムツ洗濯処理手段7を制御するためのCPU30、警報を報知するためのアラーム31、サーバ1、コードリーダ2、オムツ洗濯処理手段7を接続するためのインタフェース32、この通信端末装置3が動作するのに必要な各種データを記憶したRAM33やROM34を備えている。
【0037】
ROM34には少なくとも、コードリーダ2から識別コードを読み取った後に、CPU30が後述の図4に示す基準テーブル33Aを参照して、そのオムツ1に対応して、予め設定された使用限度を示す基準値と比較し、基準値に到達していればアラーム31を報知するためのプログラムや、前述の図1に示すオムツ洗濯処理手段7が動作するのに必要なプログラムを記憶している。
【0038】
図4は、基準テーブル33Aの構成の一例を示す図である。
【0039】
基準テーブル33Aは、オムツ1の固有の識別情報(ここではオムツ1の番号1〜X)に、それぞれの実洗濯回数と、それぞれの基準値となる洗濯回数とを対応させて記憶保存している。実洗濯回数は、オムツ1の識別コード10を読み取ってオムツ1を特定する毎に、1インクリメントされて記憶保存される。
【0040】
基準値となる洗濯回数は、100〜200回として設定されていることが考えられ、望ましくは150回程度に設定するのがよい。
【0041】
図5は、識別コード10を付したラベル11の構成の一例を示す図である。
【0042】
このラベル11には、識別コード10の他、オムツ1の使用者を特定する文字、絵、シンボルなど人が判読可能な固有情報が付されている。
【0043】
図5では、固有情報として、利用者名12、利用者の介護施設名13、利用者の性別14、貸しオムツの業者のサービスマーク15、品番16、サイズ17が付されている。このような固有情報によって、使用者が自分の専用品として認識できるので、使用者の満足感を充たし、衛生上も安心感を与えることができる。
【0044】
図6は、本発明の貸出用オムツの洗濯管理システムの基本動作の一例を示すフローチャート(100〜104)である。
【0045】
通信端末装置3は、前述した洗濯工程によって、使用者から回収したオムツ1を洗濯した後、オムツ1に付されている識別コード10をコードリーダ2で読み取ったときには、通信端末装置3は、読み取られた識別コード10の識別情報を抽出し、オムツ1を判別して、そのオムツ1の実洗濯回数をインクリメントする。
【0046】
CPU30は、インクリメントされた実洗濯回数を計数し、それが基準値に到達しているときにはアラーム31を報知させる一方、基準値に到達していないときには再貸し出し対象としてアラーム31を報知させずに、次の読み取りに備える。
【0047】
なお、オムツ1の実洗濯回数は基準テーブル33Aに登録保存されるようにしているが、書き込み手段を別途備えて実洗濯回数を識別コード10に書き込みできるようにしてもよい。
【0048】
通信端末装置3は、アラーム31を報知させたときには、そのオムツ1の再貸し出しを禁止するが、そのため後述するように、貸し出し禁止マーキング18を、オムツ1や識別コード10を記したラベル11に記したり、ベルトコンベア6上から排除する。
【0049】
図7は、本発明の貸出用オムツ洗濯管理システムの概略構成の他例を示す図である。
【0050】
この貸出用オムツ洗濯管理システムS1では、回収され、洗濯されたオムツ1はベルトコンベア6によって、再貸し出しに送り出されており、ベルトコンベア6の搬送路には、コードリーダ2、マーキング手段5とを設け、これらは通信端末装置3に接続されている。
【0051】
ベルトコンベア6には、洗濯後のオムツ1が並べられて順次通信端末装置3を通過するようにしており、通信端末装置3は、洗濯後、ベルトコンベア6に載せられているオムツ1の識別コード10を読み取って実洗濯回数を判定し、基準値に到達していればマーキング手段5により貸し出し禁止マーキング18をそのオムツ1に付しているが、ベルトコンベア6に、基準値に到達したオムツ1を選択してベルトコンベア6より排除する排除手段を設けてもよい。
【0052】
なお、基準値に到達していないオムツ1については再貸し出し対象とするので、貸し出し禁止マーキング18を付したりベルトコンベア6から排除したりはしない。
【0053】
図7は、貸し出し禁止マーキング18が記されたラベル11の構成の一例を示す図であり、このマーキング18を目視して、貸し出し禁止であることを認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の貸出用オムツ洗濯管理システムの概略基本構成の一例を示す図
【図2】オムツ洗濯処理手順の一例を示す図
【図3】通信端末装置の要部構成の一例を示す図
【図4】基準テーブルの構成の一例を示す図
【図5】識別コードが付されたラベルの構成の一例を示す図
【図6】本発明の貸出用オムツ洗濯管理システムの基本動作の一例を示すフローチャート
【図7】本発明の貸出用オムツ洗濯管理システムの概略基本構成の他例を示す図
【図8】貸し出し禁止マーキングが記されたラベルの構成の一例を示す図
【符号の説明】
【0055】
S、S1 貸出用オムツの洗濯管理システム
1 オムツ
2 コードリーダ
3 通信端末装置
5 マーキング手段
10 識別コード
12〜17 固有情報
18 貸し出し禁止マーキング
31 アラーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貸し出したオムツを使用後に回収し、洗濯した後に、再度貸し出す貸出用オムツの洗濯管理システムであって、
少なくとも固有の識別情報を含んだ識別コードが付されたオムツと、
このオムツを洗濯した後、上記識別コードを読取るコードリーダと、
このコードリーダから識別情報を読取る毎に、そのオムツの洗濯回数を計数して、計数値が、予め固有の識別情報毎に設定した基準値に到達すれば、識別情報を読取ったオムツの再貸し出しを禁止する制御手段を備えたことを特徴とする、貸出用オムツの洗濯管理システム。
【請求項2】
請求項1において、
計数値が、予め固有の識別情報毎に設定した基準値に到達すれば、制御手段の制御によって警報を報知するアラーム手段を更に備えていることを特徴とする、貸出用オムツの洗濯管理システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
基準値となる洗濯回数は、100〜200回として設定していることを特徴とする、貸出用オムツの洗濯管理システム。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかにおいて、
識別コードには、オムツの使用者を特定する文字、絵、シンボルなどの人が判読可能な固有情報が更に記されていることを特徴とする、貸出用オムツの洗濯管理システム。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかにおいて、
マーキング手段を更に備え、
アラーム手段が警報を報知したときに、識別コードには、貸し出し禁止のマーキングを記すようにしていることを特徴とする、貸出用オムツの洗濯管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−241611(P2007−241611A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−62465(P2006−62465)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【出願人】(593178409)株式会社オーティス (224)
【出願人】(505311478)ラクーパシステム株式会社 (4)
【Fターム(参考)】