説明

貼り合わせ装置及び該貼り合わせ装置を用いた貼り合わせ位置調整方法

【課題】第1部材と第2部材を貼り合わせた貼り合わせ体における第1部材と第2部材との位置ずれがなく、高品質の貼り合わせ体が得られる貼り合わせ装置を提供する。
【解決手段】
【請求項1】ウエハW1を上面に載置して保持する下部チャック11と、その上部に対向配置されウエハW2を保持する上部チャック12と、下部チャック11に保持されたウエハW1と、上部チャック12に保持されたウエハW2との貼り合わせ位置を調整する位置調整機構20とを有し、位置調整機構20は、円形板状の上部チャック12の外周面に沿って等間隔に配置された4つの位置調整用のカム部材21によって上部チャック12を水平方向に移動させると共に、角度調整用のカム部材23によって上部チャック12の外周面に設けられた回転補助部材22を押圧して上部チャック12を水平面上で回動させてウエハW1の位置に対するウエハW2の位置を合わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状の第1部材と第2部材を貼り合わせる貼り合わせ装置及び該貼り合わせ装置を用いた貼り合わせ位置調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体ウエハの大口径化及び薄肉化の要求に伴い、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)を補強する目的で、当該ウエハに補強用基板であるガラス基板又は別のウエハを貼り合わせる貼り合わせ装置が開発されている。
【0003】
このような貼り合わせ装置として、薄板状の第1部材を載置する載置テーブルと、該載置テーブルの上部に対向配置され薄板状の第2部材を保持する保持板と、該保持板の外周に設けられた真空チャンバーリングとを有する貼り合わせ装置が提案されている。この貼り合わせ装置では、先ず、保持板と真空チャンバーリングを載置テーブル側に下降させ、真空チャンバーリングとテーブルとをシールリングを介して当接させ、その後、保持板と、真空チャンバーリングと載置テーブルとで真空チャンバーを形成し、真空チャンバーリングの側面に形成された開口部から真空チャンバー内の雰囲気ガスを吸気して、当該真空チャンバー内を真空雰囲気にし、次いで、保持板を載置テーブル側にさらに下降させることによって、薄板状の第1部材と第2部材の貼り合わせが行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、このような貼り合わせ装置を用いて薄板状の第1部材と第2部材とを貼り合わせる際、両部材の貼り合わせ面に空気が閉じ込められてボイドが発生するという問題があり、第1部材と第2部材とを貼り合わせた貼り合わせ体の品質又は歩留まりを低下させる要因となっている。従って、このような問題を解消させるために、載置テーブルに対向配置された保持板を可撓性材料で構成し、第1部材と第2部材との間に存在する気体(空気)を逃がしつつ両者を貼り合わせる貼り合わせ装置が開発されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2004/026531
【特許文献2】国際公開WO2010/055730
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記貼り合わせ装置は貼り合わせ体におけるボイドの発生を抑制できるものの、第1の保持部及び第2の保持部にそれぞれ第1部材及び第2部材を保持した後、貼り合わせ操作を開始する前に、第1部材に対する第2部材の位置を可変、調整することができず、第1部材と第2部材との間に位置ずれが生じて貼り合わせ体における品質又は歩留まり率が低下するという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、第1部材と第2部材を貼り合わせた貼り合わせ体における第1部材と第2部材との位置ずれがなく、高品質の貼り合わせ体が得られる貼り合わせ装置及び該貼り合わせ装置を用いた貼り合わせ位置調整方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1記載の貼り合わせ装置は、板状の第1部材と第2部材を貼り合わせる貼り合わせ装置であって、前記第1部材を上面に載置して保持する第1の保持部と、該第1の保持部の上部に対向配置され前記第2部材を保持する第2の保持部と、前記第1の保持部に保持された前記第1部材と、前記第2の保持部に保持された前記第2部材との貼り合わせ位置を調整する位置調整機構と、を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の貼り合わせ装置は、請求項1記載の貼り合わせ装置において、前記第2の保持部は円形板状部であり、前記位置調整機構は、前記第2の保持部の外周面に沿って等間隔に配置された4つの位置調整用カム部材を備え、前記第2の保持部を水平方向に移動させることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の貼り合わせ装置は、請求項2記載の貼り合わせ装置において、前記位置調整用カム部材は、隣接する任意の2つを1セットとして前記第2の保持部に当接し、又は離間して前記第2の保持部の水平位置を調整することを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の貼り合わせ装置は、請求項2又は3記載の貼り合わせ装置において、前記位置調整機構は、さらに、前記第2の保持部の外周面に設けられた突出部を押圧して前記第2の保持部を、当該第2の保持部の円形の中心を回転の中心として水平面上で回動させる角度調整用カム部材を有することを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の貼り合わせ装置は、請求項1記載の貼り合わせ装置において、前記第1の保持部は円形板状部であり、前記位置調整機構は、前記第1の保持部の外周面に沿って等間隔に配置された4つの位置調整用カム部材を備え、前記第1の保持部を水平方向に移動させることを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の貼り合わせ装置は、請求項5記載の貼り合わせ装置において、前記位置調整用カム部材は、隣接する任意の2つを1セットとして前記第1の保持部に当接し、又は離間して前記第1の保持部の水平位置を調整することを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の貼り合わせ装置は、請求項5又は6記載の貼り合わせ装置において、前記位置調整機構は、さらに、前記第1の保持部の外周面に設けられた突出部を押圧して前記第1の保持部を、当該第1の保持部の円形の中心を回転の中心として水平面上で回動させる角度調整用カム部材を有することを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の貼り合わせ装置は、請求項1記載の貼り合わせ装置において、前記第2の保持部は円形板状体に支持されており、前記位置調整機構は、前記円形板状体の外周面に沿って等間隔に配置された4つの位置調整用カム部材を備え、前記円形板状体を水平方向に移動させることによって前記第2の保持部を移動させることを特徴とする。
【0016】
請求項9記載の貼り合わせ装置は、請求項8記載の貼り合わせ装置において、下部チャンバーと、該下部チャンバーに当接する上部チャンバーとを備えた貼り合わせチャンバーをさらに有しており、前記第1の保持部及び前記第2の保持部は、それぞれ前記下部チャンバー内及び前記上部チャンバー内に設けられており、前記円形板状体は、前記上部チャンバーの天板であることを特徴とする。
【0017】
請求項10記載の貼り合わせ装置は、請求項8又は9記載の貼り合わせ装置において、前記位置調整用カム部材は、隣接する任意の2つを1セットとして前記円形板状体に当接し、又は離間して前記円形板状体の水平位置を調整することを特徴とする。
【0018】
請求項11記載の貼り合わせ装置は、請求項8乃至10のいずれか1項に記載の貼り合わせ装置において、前記位置調整機構は、さらに、前記円形板状体の外周面に設けられた突出部を押圧して前記円形板状体を、当該円形板状体の円形の中心を回転の中心として水平面上で回動させる角度調整用カム部材を有することを特徴とする。
【0019】
請求項12記載の貼り合わせ装置は、請求項2乃至11のいずれか1項に記載の貼り合わせ装置において、前記位置調整用カム部材及び前記角度調整用カム部材は、円筒状の外周リングと、該外周リングにベアリングを介して内装された円柱状の偏心カムと、該偏心カムを駆動する駆動軸とを有することを特徴とする。
【0020】
請求項13記載の貼り合わせ装置は、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の貼り合わせ装置において、前記第1の保持部に保持された前記第1部材と前記第2の保持部に保持された前記第2部材との貼り合わせ位置のずれ量を測定するずれ量測定機構を有することを特徴とする。
【0021】
上記課題を解決するために、請求項14記載の貼り合わせ位置調整方法は、貼り合わせ装置を用いて板状の第1部材と第2部材を貼り合わせる際の前記第1部材と第2部材との貼り合わせ位置を調整する貼り合わせ位置調整方法であって、前記貼り合わせ装置は、前記第1部材を上面に載置して保持する第1の保持部と、該第1の保持部の上部に対向配置され前記第2部材を保持する第2の保持部と、前記第1の保持部に保持された前記第1部材と、前記第2の保持部に保持された前記第2部材との貼り合わせ位置を調整する位置調整機構と、を有し、前記第2の保持部は円形板状部であり、前記位置調整機構は、前記第
2の保持部の外周面に沿って等間隔に配置された4つの位置調整用カム部材、及び前記第2の保持部の外周面に設けられた突出部を押圧して前記第2の保持部を、当該第2の保持部の円形の中心を回転の中心として水平面上で回動させる角度調整用カム部材を備えており、前記貼り合わせ位置調整方法は、前記第1の保持部及び前記第2の保持部にそれぞれ第1部材及び第2部材を保持させる部材保持工程と、前記第1部材の位置に対する前記第2部材の位置のずれ量を測定するずれ量測定工程と、前記測定したずれ量に基づいて、前記4つの位置調整用カム部材における前記第2部材を移動させるべき側に係る2つの隣接する位置調整用カム部材を駆動して当該2つの位置調整用カム部材を前記第2の保持部の外周面から離間させるカム離間工程と、前記離間した位置調整用カム部材と対向する別の2つの隣接する位置調整用カム部材を駆動して前記第2の保持部を該第2の保持部に保持された第2部材ごと前記第2部材を移動させるべき側に押圧して移動させ、水平ずれを補正して前記第1部材に対する前記第2部材の位置合わせを行う位置合わせ工程と、を有することを特徴とする。
【0022】
請求項15記載の貼り合わせ位置調整方法は、請求項14記載の貼り合わせ位置調整方法において、前記位置合わせ工程後、前記角度調整用カム部材を用いて前記第2の保持部を、該第2の保持部の円形の中心を回転の中心として水平面上で回動させて前記第1部材に対する前記第2部材の角度ずれを補正する角度調整工程を有することを特徴とする。
【0023】
請求項16記載の貼り合わせ位置調整方法は、請求項14又は15記載の貼り合わせ位置調整方法において、前記部材保持工程の前段に、前記位置調整用カム部材を用いて前記第1の保持部に対する前記第2の保持部の位置合わせを行うセンタリング工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、第1部材と第2部材を貼り合わせた貼り合わせ体における第1部材と第2部材との位置ずれがなく、高品質の貼り合わせ体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る貼り合わせ装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図2】図1における位置調整機構の概略構成を示す平面図である。
【図3】図1における位置調整機構におけるカム部材の構成を示す平面図である。
【図4】図2におけるカム部材の機能を示す図である。
【図5】図2のカム部材における偏心カムの偏心量と当接部材の移動量との関係を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る貼り合わせ位置調整方法の工程を示す図である。
【図7】図6の各工程におけるカム部材の動きを示す平面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る貼り合わせ装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る貼り合わせ装置の概略構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る貼り合わせ装置の概略構成を示す縦断面図である。
【0028】
図1において、貼り合わせ装置10は、第1部材であるウエハW1を上面で保持する第1の保持部としての下部チャック11と、第2部材であるウエハW2を下面で保持する第2の保持部としての上部チャック12を備えており、上部チャック12は、下部チャック11の上方に間隔を隔てて当該下部チャック11と対向するように配置されている。
【0029】
ウエハW1及びウエハW2は共に円形薄板状を呈しており、これらを保持する下部チャック11及び上部チャック12は円形板状の部材である。
【0030】
下部チャック11の内部には、ウエハW1を吸着保持するための吸引管が設けられている(図示省略)。下部チャック11は、ウエハW1とウエハW2を貼り合わせる際の荷重によっても変形しない強度を有する材料、例えば、炭化ケイ素セラミック、窒化アルミセラミックなどのセラミックで構成されている。
【0031】
下部チャック11の下面側には、該下部チャック11を鉛直方向に移動させる移動機構(図示省略)が設けられている。移動機構は、ウエハW1とウエハW2を貼り合わせる際、下部チャック11を上昇させて当該下部チャック11を上部チャック12に接近させることによって貼り合わせ空間(図示省略)を形成する。貼り合わせ空間は、下部チャック11と、上部チャック12と、上部チャック12の下面外周部に周方向に沿って設けられたOリング(図示省略)に囲まれた空間をいう。
【0032】
上部チャック12は、つり下げ機構としての吊りワイヤ15によって、その上方に配置された支持板16に釣支されている。吊りワイヤ15は上部チャック12の周方向に沿って等間隔に複数個、例えば3つ配置されており、各吊りワイヤ15は、それぞればね部材15aによって鉛直方向に伸縮自在に構成されている。
【0033】
つり下げ機構として吊りワイヤ15を用いたことにより、上部チャック12の位置は固定されず、水平方向に微動可能及び上部チャック12の円形の中心を回転の中心として所定角度、例えば、0.4°回転可能に支持される。上部チャック12の内部には、ウエハW2を吸着、保持するための吸引管が設けられている。また、上部チャック12には、貼り合わせ空間内を減圧するための減圧機構(図示省略)が設けられている。
【0034】
上部チャック12は、ある程度の可撓性を有する材料、例えばジュラルミンで構成されている。これによって、ウエハW1とウエハW2を貼り合わせる際、先ず、ウエハW2の一部である、例えば中心部をウエハW1に当接させ、その後、順次中心部以外の部分をウエハW1に当接させることができるので、ウエハW1とウエハW2との貼り合わせ面における空気の残留を阻止してボイドの発生を抑制することができる。
【0035】
貼り合わせ空間が形成される前の下部チャック11及び上部チャック12の間の空間S内には、下部チャック11に保持されたウエハW1の位置と上部チャック12に保持されたウエハW2の位置とのずれ量を測定するずれ量測定機構としての監視カメラ17が設けられている。監視カメラ17としては公知のものが適用される。
【0036】
監視カメラ17は支持台18によって空間Sに対して進出及び退出自在に配設されており、下部チャック11にウエハW1が保持され、上部チャック12にウエハW2が保持された後、空間S内に進出してウエハW1とウエハW2とのずれ量を測定し、その後、退出する。測定したずれ量に基づいて、後述するように、上部チャック12を該上部チャック12に保持されたウエハW2ごと、所定方向に所定幅だけ移動させることによって位置ずれが補正される。
【0037】
上部チャック12に隣接するように位置調整機構20が設けられている。位置調整機構20は、複数のカム部材21を有し、該カム部材21はそれぞれ支持板16の上部に配置された駆動源としてのモータ29によって駆動される。
【0038】
上部チャック12と支持板16との間には伸縮容器14aを有する加圧機構14が設けられている。加圧機構14は、ウエハW2をウエハW1に貼り合わせる際に使用され、伸縮容器14aに加圧流体を導入することによって下方に伸長して上部チャック12を下部チャック11に向かって押圧する。
【0039】
図2は、図1における位置調整機構20の概略構成を示す平面図である。
【0040】
図2において、位置調整機構20は、円形板状の上部チャック12の外周面に沿って等間隔、すなわち90°間隔に配置された4つの位置調整用カム部材21を備えている。位置調整用カム部材21は上部チャック12を水平方向に移動させる。位置調整機構20は、また上部チャック12の外周面に設けられた突出部としての回転補助部材22の側面に当接し、該回転補助部材22を所定方向に押圧することによって、上部チャック12をその円形の中心を回転の中心として回動させる角度調整用カム部材23を備えている。角度調整用カム部材23は、上部チャック12の外周面から離間して駆動する。
【0041】
回転補助部材22には、角度調整用カム部材23による押圧力が作用しなくなった場合に、該回転補助部材22を所定の基準位置まで押し戻す付勢機構(図示省略)が設けられている。付勢機構は、例えば、ばね部材等の弾性体で構成されている。
【0042】
位置調整用カム部材21及び角度調整用カム部材23(以下、単にそれぞれ「カム部材21」及び「カム部材23」という。)は、上部チャック12に対する配置位置及び機能は異なるが、同様の構造を有している。
【0043】
図3は、図1における位置調整機構20におけるカム部材21及びカム部材23の構成を示す平面図である。
【0044】
図3において、カム部材21及びカム部材23は、円筒状の外周リング25と、該外周リング25にベアリング26を介して内装された円柱状の偏心カム27と、該偏心カム27を駆動する駆動軸28とから主として構成されている。駆動軸28は、モータ29(図1参照)によって駆動される。
【0045】
図4は、図2におけるカム部材の機能を示す図である。
【0046】
図4(A)において、カム部材21は上部チャック12の外周面から離間している。この状態で、駆動軸28を矢印a方向に回転させると、該駆動軸28の回転に伴って偏心カム27が同じ方向に回転する。このとき、偏心カム27が偏心しているので、図4(B)に示すように、外周リング25の位置が変位し、該外周リング25の外周面が上部チャック12の外周面に当接し、該上部チャック12を矢印b方向に押圧して所定幅dだけ移動させる。
【0047】
図5は、図2のカム部材における偏心カムの偏心量と当接部材の移動量との関係を示す図である。
【0048】
図5において、偏心カム27における駆動軸28の偏心量をe、偏心カム27の回転角度をθとすると、カム部材23の押し込み量、すなわち当接部材22の移動量rは、下記(1)式によって求められる。
【0049】
r = e × sinθ ・・・・・・(1)
式(1)から、カム部材23の偏心カム27の径に関わらず、駆動軸28の偏心量に比例した押し込み量が得られ、駆動軸28の偏心量を大きくするほど、押し込み量が大きくなることが分かる。
【0050】
カム部材21及びカム部材23は、上部チャック12又は回転補助部材22に対して当接及び離間を繰り返して上部チャック12を任意の方向に押圧して移動させ、又は上部チャック12をその円形の中心を回転の中心として所定角度だけ回動させる。カム部材21による上部チャック12の移動幅は、例えば−1〜+1mm、移動精度は、例えば±30μmであり、カム部材23による上部チャック12の回転角度幅は、例えば−0.2〜+0.2°、回転精度は、例えば±0.02°である。
【0051】
このような構成の貼り合わせ装置10において、第1部材であるウエハW1と第2部材であるウエハW2とを貼り合わせる際、貼り合わせ位置の調整が行われる。
【0052】
図6は、本発明の実施の形態に係る貼り合わせ位置調整方法の工程を示す図、図7は、図6の各工程におけるカム部材の動きを示す平面図である。
【0053】
以下、図6及び図7を用いて本発明の実施の形態に係る貼り合わせ位置調整方法について説明する。本貼り合わせ位置調整方法は、回路の付いたSiウエハ(以下、「ウエハW2」という。)をSiのサポートウエハ((以下、「ウエハW1」という。)に貼りあわせる際の貼り合わせ位置調整方法である。
【0054】
貼り合わせ位置を調整する際、下部チャック11と上部チャック12とを所定の間隔を隔てて対向配置させ、且つ位置調整機構20の4つのカム部材21が上部チャック12の外周面から離間した状態を初期状態とする(図6(A))。このとき、上部チャック12は、例えばウエハW1とウエハW2とを貼り合わせる際の接着材の硬化温度まで加熱されている。従って、貼り合わせ位置調整方法を実行する前の初期状態では、上部チャック12とカム部材21とを離間させて、カム部材21が間接的に加熱されることによる悪影響を回避している。
【0055】
このような初期状態において、まず、2つのカム部材21を駆動して上部チャック12を所定方向に所定幅だけ水平移動させ、これによって、下部チャック11に対して上部チャック12の位置合わせを行う(センタリング工程)(図6(B))。なお、上部チャック12の移動は、後述する位置合わせ工程に準じて行う。
【0056】
次いで、ウエハW1を搬入して下部チャック11の上面に載置すると共に、ウエハW2を搬入して上部チャック12の下面に吸着管によって吸着保持し(部材保持工程)、その後、監視カメラ17によってウエハW1の位置に対するウエハW2の位置のずれ量を測定する(ずれ量測定工程)(図6(C))。なお、「ずれ」には、水平方向のずれ(以下、「水平ずれ」という。)と、回転方向のずれ(以下、「角度ずれ」という。)とがある。
【0057】
次いで、監視カメラ17によって求めたずれ量に基づいて上部チャック12を該上部チャック12に保持したウエハW2ごと所定方向に移動してウエハW1に対して位置合わせを行う(図6(D))。
【0058】
すなわち、上部チャック12の外周面に当接した4つのカム部材21(図7(A)参照)のうち、ウエハW2を移動させるべき側の2つの隣接するカム部材21を駆動させて(図7(B)参照)、当該2つのカム部材21の外周面を上部チャック12の外周面から離間させる(カム離間工程)((図7(C)参照)。
【0059】
次いで、離間させた2つのカム部材21に対向する別の2つの隣接するカム部材21を駆動させ、当該別の2つカム部材21の外周面によって上部チャック12の外周面を押圧し(図7(D)参照)、これによって上部チャック12を、該上部チャック12で保持したウエハW2ごと押し込んで、ウエハW2を移動させるべき側に所定幅ΔYだけ移動させ(図7(E)参照)、上部チャック12に保持されたウエハW2の位置を下部チャック11で保持されたウエハW1の位置に位置合わせする(位置合わせ工程)。
【0060】
次いで、必要に応じて角度調整を行う。すなわち、上部チャック12に保持されたウエハW2の水平方向の位置(外形)が下部チャック11に保持されたウエハW1の位置(外形)に一致したとしても、例えば、ウエハW2に形成されたノッチとウエハW1に形成されたノッチの位置(共に図示省略)がずれている場合がある。かかる場合は、角度調整用のカム部材23を駆動させて、該カム部材23の外周面によって上部チャック12の外周面に設けられた回転補助部材22の側面を所定方向に押圧し(図7(F)参照)、これによって、上部チャック12をその円形の中心を回転の中心として所定角度だけ回転させてウエハW1に対するウエハW2の角度を調整してノッチの位置を整合させる(角度調整工程)(図6(E))。
【0061】
角度調整工程は、4つのカム部材21の外周面がそれぞれ上部チャック12の外周面に当接した状態で行われる。これによって、上部チャック12の円形の中心と回転の中心とのずれを防止して上部チャック12を正確に回動させてウエハW2のノッチをウエハW1のノッチに位置合わせすることができる。
【0062】
次いで、監視カメラ17を空間S内に進出させてウエハW1とウエハW2との水平ずれ及び角度ずれを再度測定する(図6(F))。測定の結果、ウエハW1とウエハW2との水平ずれ及び角度ずれが修正されている場合は、加圧機構14(図1参照)を使用して上部チャック12を下部チャック11に向かって押圧し、これによってウエハW2とウエハW1とを貼り合わせて貼り合わせ体30を得る(図6(G))。
【0063】
一方、ずれ量測定の結果、ウエハW2とウエハW1との水平ずれ又は角度ずれが修正されていない場合は、再度貼り合わせ位置を調整してウエハW1の位置に対するウエハW2の位置を位置合わせした後、貼り合わせ工程を実行する。
【0064】
本実施の形態によれば、ウエハW1及びウエハW2をそれぞれ下部チャック11及び上部チャック12に保持させた後であっても、位置調整機構20によって、下部チャック11に保持されたウエハW1と上部チャック12に保持されたウエハW2との位置合わせを行うことができるので、貼り合わせ体30におけるウエハW1とウエハW2との位置ずれをなくして、高品質の貼り合わせ体30を得ることができる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、位置調整機構20が、上部チャック12の外周面に沿って等間隔に配置された4つの位置調整用のカム部材21を有することにより、上部チャック12を移動させるべき側の2つの隣接するカム部材21を上部チャック12から離間させ、この状態で別の2つのカム部材21を駆動して上部チャック12を、当該上部チャック12を移動させたい方向に押圧して移動させることができる。従って、隣接する2つのカム部材21に押圧される上部チャック12の移動可能方向が、例えば270°の方向に亘り、これによって、位置調整機構20の制御性を著しく向上させることができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、位置調整機構20が角度調整用のカム部材23を有するので、該カム部材23によって上部チャック12に設けられた回転補助部材22を所定方向に押し込むことによって容易に角度ずれを補正して、ウエハW2をウエハW1に位置合わせすることができる。本実施の形態において、ウエハW1に対するウエハW2の角度ずれとは、ウエハW2に形成されたノッチと、ウエハW1に形成されたノッチの周方向位置のずれをいい、このノッチの位置ずれをなくしてウエハW2に形成されたノッチ位置と、ウエハW1に形成されたノッチ位置とを整合させるために角度調整が必要となる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、カム部材21及びカム部材23における外周リング25と偏心カム27との間にベアリング26を設けたことにより、偏心カム27の回転運動は、外周リング25に伝達されないので、外周リング25と、当接部材である、例えば上部チャック12及び回転補助部材22との当接面に摺動面が形成されることはない。従って、カム部材の外周リング25の外周面だけでなく、上部チャック12の外周面及び回転補助部材22の側面の摩耗を防止することができる。
【0068】
本実施の形態において、ウエハW1にウエハW2を貼り合わせる場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ガラス基板GにウエハWを貼り合わせることもでき、貼り合わせ体30を得るための貼り合わせ部材は、特に限定されない。
【0069】
また、本実施の形態において、カム部材21及びカム部材23として、ベアリング26を備え、外周リング25と、該外周リング25が当接する当接部材との当接面が摺動しない構造のカム部材を用いたが、本発明において、カム部材21及びカム部材23として、当接部材との当接面に摺動面を形成する公知のカム部材を用いることもできる。
【0070】
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る貼り合わせ装置の概略構成を示す縦断面図である。
【0071】
図8において、この貼り合わせ装置50が図1の貼り合わせ装置10と異なるところは、下部チャック11を支持部材13によって水平方向にスライド自在に支持し、位置調整機構20を下部チャック11に隣接して設け、これによって、上部チャック12又は上部チャック12に保持されたウエハW2に対して下部チャック11又は下部チャック11に保持されたウエハW1を位置合わせするようにした点である。それ以外の構成は、上述した実施の形態(図1参照)と同様であり、同様に作用する。
【0072】
本実施の形態によれば、下部チャック11に隣接して位置調整機構20を設けたことにより、下部チャック11を移動させるべき側に押圧してその位置を補正することができる。従って、上部チャック12に保持されたウエハW2に対して下部チャック11に保持されたウエハW1を位置合わせすることができ、これによって、水平ずれ及び角度ずれのない高品質の貼り合わせ体30を得ることができる。
【0073】
図9は、本発明の第3の実施の形態に係る貼り合わせ装置の概略構成を示す縦断面図である。この貼り合わせ装置は、上部チャンバーと下部チャンバーとを備える貼り合わせチャンバーを有する点以外の基本的な構成は上述した第1の実施の形態と同様であるので、同様の部材については同一符号を付して説明を省略し、第1の実施の形態に係る貼り合わせ装置との相違点を中心に説明する。
【0074】
図9において、貼り合わせ装置60は、下部支持板61と、該下部支持板61に対向する上部支持板62と、下部支持板61及び上部支持板62の間に設けられ、下部チャンバー63と該下部チャンバー63に当接する上部チャンバー64とを備えた貼り合わせチャンバーと、下部チャンバー63内に配置された下部チャック11と、上部チャンバー64内に配置された上部チャック12とから主として構成されている。
【0075】
下部チャンバー63は、下部支持板61と、該下部支持板61の上面に配置された、例えば円筒状の側壁65とから主として構成され、下部チャック11は、下部支持板61と側壁65とで囲まれた空間内に配置されている。また、上部チャンバー64は、上部支持板62に吊りワイヤ15によって釣支された円板状部材としての天板66と、該天板66の下面の外周部を囲む、例えば円筒状の側壁67とから主として構成されており、上部チャック12は、天板66と側壁67とで囲まれた空間内に、側壁67の内周面に沿って、等間隔に複数、例えば3つ配置され、上端部が天板66に支持された鈎状部材68によってその下面が支持されており、これによって、上部チャック12が、天板66に対して位置決めされている。
【0076】
吊りワイヤ15は天板66の周方向に沿って等間隔に複数個、例えば3つ配置されており、各吊りワイヤ15は、それぞればね部材15aによって鉛直方向に伸縮自在に構成されている。天板66のつり下げ機構として吊りワイヤ15を用いたことにより、天板66の上部支持板62に対する位置は固定されず、水平方向に微動可能及び天板66の円形の中心を回転の中心として所定角度、例えば、0.4°程度回転可能に支持される。
【0077】
上部チャック12と天板66との間には、円筒状の伸縮容器14aを有する加圧機構14が設けられている。加圧機構14は、上部チャック12に保持されたウエハW2を下部チャック11に保持されたウエハW1に貼り合わせる際に使用され、伸縮容器14aに加圧流体を導入することによって下方に伸長して上部チャック12を下部チャック11に向かって押圧する。
【0078】
天板66の外周面に隣接するように位置調整機構20が設けられている。位置調整機構20は、複数、例えば4つのカム部材21を有し、該カム部材21はそれぞれ上部支持板62の上部に配置された駆動源としてのモータ29によって駆動される。
【0079】
上部チャック12には、ウエハW1とウエハW2とを貼り合わせる際、下部チャック11と、上部チャック12と、該上部チャック12の下面外周部に沿って設けられたOリング(図示省略)に囲まれた貼り合わせ空間を減圧するための減圧機構(図示省略)が設けられている。減圧機構は、ウエハW1とウエハW2とを貼り合わせる際、貼り合わせ空間を減圧する。
【0080】
下部チャック11と上部チャック12との間の空間S内には、下部チャック11に保持されたウエハW1の位置と上部チャック12に保持されたウエハW2の位置のずれ量を測定するずれ量測定機構としての監視カメラ17が設けられている。監視カメラ17としては公知のものが適用される。
【0081】
監視カメラ17は支持台18によって空間Sに対して進出及び退出自在に設けられており、下部チャック11にウエハW1が保持され、上部チャック12にウエハW2が保持された後、空間S内に進出してウエハW1とウエハW2とのずれ量を測定し、その後、退出する。
【0082】
このような構成の貼り合わせ装置60において、ウエハW1と、ウエハW2を貼り合わせる際の貼り合わせ位置の調整は、以下のように行われる。
【0083】
すなわち、下部チャンバー63と上部チャンバー64とを離間させた初期状態で、第1の実施の形態と同様、下部チャック11に対する上部チャック12の位置合わせを行い、その後、ウエハW1を搬入して下部チャック11の上面に載置すると共に、ウエハW2を搬入して上部チャック12の下面に吸着保持し、その後、位置調整機構20を上述した第1の実施の形態と同様に操作して天板66を水平方向に移動させ、これによって、上部チャンバー64内に配置された上部チャック12を水平方向に移動させて該上部チャック12に保持されたウエハW2の下部チャンバー63内に配置された下部チャック11に保持されたウエハW1に対する位置合わせを行う。
【0084】
ウエハW1に対するウエハW2の位置合わせが完了した後(このとき、監視カメラ17は、空間Sから退出している)、図示省略した昇降機構によって、例えば、下部支持板61を上部支持板62に向かって移動させ、これによって下部チャンバー63を上部チャンバー64に当接させて貼り合わせチャンバーを形成し、次いで、別の昇降機構によって下部チャック11を上部チャック12に向かって移動させ、これによって貼り合わせ空間を形成する。その後、貼り合わせチャンバー内の圧力及び貼り合わせ空間の圧力を必要に応じて調整した後、伸縮容器14aに加圧流体として、例えば圧縮空気を導入することによって該伸縮容器14aを下方に伸長して上部チャック12を下部チャック11に向かって押圧し、これによって、ウエハW2をウエハW1に貼り合わせる。
【0085】
本実施の形態によれば、上部支持板62に支持された上部チャンバー64内に配置された上部チャック12に保持されたウエハW2を、位置調整機構20を用いて天板66と共に水平方向に移動させることによって下部チャンバー63内に配置された下部チャック61に保持されたウエハW1に対して位置合わせすることができ、これによって、ウエハW1とウエハW2とを貼り合わせた貼り合わせ体におけるウエハW1とウエハW2との位置ずれがなく、高品質の貼り合わせ体を得ることができる。
【0086】
以上、本発明を実施の形態を用いて詳細に説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0087】
10、50、60 貼り合わせ装置
11 下部チャック
12 上部チャック
15 吊りワイヤ
20 位置調整機構
21 位置調整用カム部材
22 回転補助部材
23 角度調整用カム部材
63 下部チャンバー
64 上部チャンバー
68 鈎状部材
W1 ウエハ
W2 ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の第1部材と第2部材を貼り合わせる貼り合わせ装置であって、
前記第1部材を上面に載置して保持する第1の保持部と、
該第1の保持部の上部に対向配置され前記第2部材を保持する第2の保持部と、
前記第1の保持部に保持された前記第1部材と、前記第2の保持部に保持された前記第2部材との貼り合わせ位置を調整する位置調整機構と、を有することを特徴とする貼り合わせ装置。
【請求項2】
前記第2の保持部は円形板状部であり、前記位置調整機構は、前記第2の保持部の外周面に沿って等間隔に配置された4つの位置調整用カム部材を備え、前記第2の保持部を水平方向に移動させることを特徴とする請求項1記載の貼り合わせ装置。
【請求項3】
前記位置調整用カム部材は、隣接する任意の2つを1セットとして前記第2の保持部に当接し、又は離間して前記第2の保持部の水平位置を調整することを特徴とする請求項2記載の貼り合わせ装置。
【請求項4】
前記位置調整機構は、さらに、前記第2の保持部の外周面に設けられた突出部を押圧して前記第2の保持部を、当該第2の保持部の円形の中心を回転の中心として水平面上で回動させる角度調整用カム部材を有することを特徴とする請求項2又は3記載の貼り合わせ装置。
【請求項5】
前記第1の保持部は円形板状部であり、前記位置調整機構は、前記第1の保持部の外周面に沿って等間隔に配置された4つの位置調整用カム部材を備え、前記第1の保持部を水平方向に移動させることを特徴とする請求項1記載の貼り合わせ装置。
【請求項6】
前記位置調整用カム部材は、隣接する任意の2つを1セットとして前記第1の保持部に当接し、又は離間して前記第1の保持部の水平位置を調整することを特徴とする請求項5記載の貼り合わせ装置。
【請求項7】
前記位置調整機構は、さらに、前記第1の保持部の外周面に設けられた突出部を押圧して前記第1の保持部を、当該第1の保持部の円形の中心を回転の中心として水平面上で回動させる角度調整用カム部材を有することを特徴とする請求項5又は6記載の貼り合わせ装置。
【請求項8】
前記第2の保持部は円形板状体に支持されており、前記位置調整機構は、前記円形板状体の外周面に沿って等間隔に配置された4つの位置調整用カム部材を備え、前記円形板状体を水平方向に移動させることによって前記第2の保持部を移動させることを特徴とする請求項1記載の貼り合わせ装置。
【請求項9】
下部チャンバーと、該下部チャンバーに当接する上部チャンバーとを備えた貼り合わせチャンバーをさらに有しており、前記第1の保持部及び前記第2の保持部は、それぞれ前記下部チャンバー内及び前記上部チャンバー内に設けられており、前記円形板状体は、前記上部チャンバーの天板であることを特徴とする請求項8記載の貼り合わせ装置。
【請求項10】
前記位置調整用カム部材は、隣接する任意の2つを1セットとして前記円形板状体に当接し、又は離間して前記円形板状体の水平位置を調整することを特徴とする請求項8又は9記載の貼り合わせ装置。
【請求項11】
前記位置調整機構は、さらに、前記円形板状体の外周面に設けられた突出部を押圧して前記円形板状体を、当該円形板状体の円形の中心を回転の中心として水平面上で回動させる角度調整用カム部材を有することを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の貼り合わせ装置。
【請求項12】
前記位置調整用カム部材及び前記角度調整用カム部材は、円筒状の外周リングと、該外周リングにベアリングを介して内装された円柱状の偏心カムと、該偏心カムを駆動する駆動軸とを有することを特徴とする請求項2乃至11のいずれか1項に記載の貼り合わせ装置。
【請求項13】
前記第1の保持部に保持された前記第1部材と前記第2の保持部に保持された前記第2部材との貼り合わせ位置のずれ量を測定するずれ量測定機構を有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の貼り合わせ装置。
【請求項14】
貼り合わせ装置を用いて板状の第1部材と第2部材を貼り合わせる際の前記第1部材と第2部材との貼り合わせ位置を調整する貼り合わせ位置調整方法であって、
前記貼り合わせ装置は、
前記第1部材を上面に載置して保持する第1の保持部と、
該第1の保持部の上部に対向配置され前記第2部材を保持する第2の保持部と、
前記第1の保持部に保持された前記第1部材と、前記第2の保持部に保持された前記第2部材との貼り合わせ位置を調整する位置調整機構と、を有し、
前記第2の保持部は円形板状部であり、前記位置調整機構は、前記第2の保持部の外周面に沿って等間隔に配置された4つの位置調整用カム部材、及び前記第2の保持部の外周面に設けられた突出部を押圧して前記第2の保持部を、当該第2の保持部の円形の中心を回転の中心として水平面上で回動させる角度調整用カム部材を備えており、
前記貼り合わせ位置調整方法は、
前記第1の保持部及び前記第2の保持部にそれぞれ第1部材及び第2部材を保持させる部材保持工程と、
前記第1部材の位置に対する前記第2部材の位置のずれ量を測定するずれ量測定工程と、
前記測定したずれ量に基づいて、前記4つの位置調整用カム部材における前記第2部材を移動させるべき側に係る2つの隣接する位置調整用カム部材を駆動して当該2つの位置調整用カム部材を前記第2の保持部の外周面から離間させるカム離間工程と、
前記離間した位置調整用カム部材と対向する別の2つの隣接する位置調整用カム部材を駆動して前記第2の保持部を該第2の保持部に保持された第2部材ごと前記第2部材を移動させるべき側に押圧して移動させ、水平ずれを補正して前記第1部材に対する前記第2部材の位置合わせを行う位置合わせ工程と、
を有することを特徴とする貼り合わせ位置調整方法。
【請求項15】
前記位置合わせ工程後、前記角度調整用カム部材を用いて前記第2の保持部を、該第2の保持部の円形の中心を回転の中心として水平面上で回動させて前記第1部材に対する前記第2部材の角度ずれを補正する角度調整工程を有することを特徴とする請求項14記載の貼り合わせ位置調整方法。
【請求項16】
前記部材保持工程の前段に、前記位置調整用カム部材を用いて前記第1の保持部に対する前記第2の保持部の位置合わせを行うセンタリング工程を有することを特徴とする請求項14又は15記載の貼り合わせ位置調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−102117(P2013−102117A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−124522(P2012−124522)
【出願日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】