説明

質問推薦装置及び方法及びプログラム

【課題】 インターネット上のQAサービスにおいて、ユーザが興味を明示したり回答したりしなくても、ユーザが一度でも質問もしくは回答したことのあるユーザであれば、ユーザの知識及び興味に応じて回答を促すための質問を推薦する。
【解決手段】 本発明は、ユーザが投稿した質問の本文中の各単語の統計量からユーザの興味を算出し、ユーザが回答した質問の本文中の各単語の統計量からユーザの知識を算出しておく。ユーザが質問も回答もしたことがある場合は、興味と知識の両方を用いて、ユーザが質問はしたこともあるが回答したことはない場合は興味を用いて、ユーザが質問はしたことがないが回答したことはある場合は知識を用いて、推薦する質問を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は質問推薦装置及び方法及びプログラムに係り、特に、インターネット上のQA (Question/Answer)サービスで提供されるユーザ間の質問回答における、質問推薦装置及び方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報推薦の手法はいくつも提案されている。例えば、ニュース記事を推薦するために、各ニュース記事についてユーザに5段階の評価をつけさせ、過去の評価履歴を見てユーザ間の嗜好の類似度を測り、嗜好が似たユーザの好むニュース記事を推薦する手法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
また、上記の手法と同様に、各情報に対してユーザに評価をつけさせ、過去の評価履歴でユーザが評価している情報に含まれるテキストに着目する。そのテキストがユーザの興味を反映していると考え、そのテキストと同じような単語が出現している情報を推薦する手法が提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0004】
また、利用者に興味を持つ部分のテキストを指定させ、そこに含まれる単語の出現頻度に基づいてユーザの興味を推定し、ユーザの興味を表す単語に基づいてコミュニティ内の情報を検索し、ユーザの興味のある箇所のみの情報を提示する手法がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-338869号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Resnick, P. et al., "GroupLens: An open architecture for collaborative filtering of netnews". CSCW '94: Proceedings of the 1994 ACM conference on Computersupported cooperative work, ACM Press New York, 1994.
【非特許文献2】Mooney R.J. et al, `` Content-Based Book Recommending Using Learning for Text Categorization'', Proceedings of the 5th ACM Conference on Digital Libraries, ACM Press New York, 2000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
インターネット上のQAサービスにおいては、あるユーザの質問に対して別のユーザが回答することにより情報の共有が成り立っている。しかしながら、多くの質問に回答がついておらず、情報共有の場として成立していないことが多い。そこで、1質問あたりの回答を増やすために、ユーザに回答する可能性の高い質問を推薦し回答を促す。
【0008】
特許文献1に記載の手法を用いて質問を推薦する場合、ユーザが質問の中で興味のある情報を指定しなければ、回答する可能性の高い質問を検索するための単語を抽出することができず、ユーザに質問を推薦することができない。
【0009】
非特許文献2、3に記載の手法の場合、ユーザ毎の質問に対する回答を評価とみなせば、ユーザの回答履歴を用いてユーザに新規メッセージを推薦することができる。ただし、一度も回答したことのないユーザに質問の推薦を実現することができないという問題が生じる。このことは、QAサービスにおける回答したことがない多くのユーザに適用できない問が存在する。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、インターネット上のQAサービスにおいて、ユーザが興味を明示したり回答したりしなくても、ユーザが一度でも質問もしくは回答したことのあるユーザであれば、ユーザの知識及び興味に応じて回答を促すための質問の推薦が実現可能な質問推薦装置及び方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
図1は、本発明の原理構成図である。
【0012】
本発明(請求項1)は、インターネット上のQAサービスにおいて、利用者の質問履歴、回答履歴を利用する質問推薦装置であって、
インターネット上のQAサービスにおける質問と回答を取得し、回答締切前か否かの情報と共に質問回答記憶手段81に格納する質問回答取得手段11と、
各質問から単語を抽出する単語抽出手段12と、
各質問における各単語の統計量を算出し、統計量記憶手段87に格納する統計量算出手段15と、
取得した回答からユーザと、回答の対象である質問の各単語の統計量から、該ユーザの該単語に対する知識量を算出し、ユーザの識別子と、単語と共に知識量記憶手段82に格納する知識量算出手段20と、
各質問から該質問を投稿したユーザと、該質問内の各単語の統計量から、該ユーザの該単語に対する興味量を算出し、ユーザの識別子と、単語と共に興味量記憶手段83に格納する興味量算出手段30と、
知識量記憶手段82に格納されている各ユーザの各単語に対する統計量と、質問回答記憶手段81に格納されている質問のうち、回答締切前のもののみの各単語の統計量から、該ユーザの該質問に対する知識合致度を算出し、該ユーザの識別子と、該質問の識別子と共に知識合致度記憶手段84に格納する知識合致度算出手段40と、
興味量記憶手段83に格納されている各ユーザの各単語に対する統計量と、質問回答記憶手段81に格納されている質問のうち、回答締切前のもののみの各単語の統計量から、該ユーザの該質問に対する興味合致度を算出し、該ユーザの識別子と、該質問の識別子と共に興味合致度記憶手段85に格納する興味合致度算出手段50と、
知識合致度記憶手段84に格納されている知識合致度と、興味合致度記憶手段85に格納されている興味合致度とを用いて、ユーザと質問の組合せごとに使用する重みパラメータのタイプを決定する重みタイプ判別手段71と、
質問回答情報記憶手段81に格納されている質問のうち、回答締切済のものと、質問回答記憶手段81に格納されているユーザのうち、回答したことのあるものとの全ての組合せについて、知識合致度記憶手段84に格納されている知識合致度と、興味合致度記憶手段85に格納されている興味合致度と、重みタイプ判別手段71により判別された重みパラメータのタイプとを用いて、重みパラメータを算出し、重みパラメータ記憶手段86に格納する重みパラメータ算出手段と72、
ユーザの識別子が与えられると、該ユーザの質問回答情報記憶手段81に格納されている回答締切前の各質問に対して、知識合致度記憶手段84に格納されている知識合致度と、興味合致度記憶手段85に格納されている興味合致度と、重みタイプ判別手段71により判別された重みパラメータのタイプとを用いて、重みパラメータ記憶手段86に格納された重みパラメータとを用いて、該ユーザの各質問に対する推薦スコアを算出し、推薦スコアの上位N件の質問の識別子を推薦質問として選択する質問推薦手段と60、を有する。
【0013】
また、本発明(請求項2)は、統計量算出手段15において、
各単語の統計量を算出する際に、重要と見做される単語を抽出するためのTF値(単語の出現頻度)、TFIDF値(単語の出現頻度と逆出現頻度)を用いる。
【0014】
また、本発明(請求項3)は、重みパラメータ算出手段72において、
知識合致度記憶手段84に格納されている知識合致度と、興味合致度記憶手段85に格納されている興味合致度に基づいて、ロジスティック回帰分析によって重みパラメータを算出する手段を含む。
【0015】
また、本発明(請求項4)は、重みタイプ判別手段72と、重みパラメータ算出手段72と、質問推薦手段60において、
知識合致度記憶手段84に格納されている知識合致度と、興味合致度記憶手段85に格納されている興味合致度に基づいて、混合エキスパートモデルによって重みタイプを判別し、重みパラメータを算出し、質問を推薦する手段を含む。
【0016】
図2は、本発明の原理を説明するための図である。
【0017】
本発明(請求項5)は、インターネット上のQAサービスにおいて、利用者の質問履歴、回答履歴を利用する質問推薦方法であって、
質問と回答の情報と回答締切前か否かの情報を格納する質問回答記憶手段と、
各質問における各単語の統計量を格納する統計量記憶手段と、
ユーザの識別子、単語及び該単語に対する知識量を格納する知識量記憶手段と、
ユーザの識別子、単語及び該単語に対する興味量を格納する興味量記憶手段と、
ユーザ識別子、質問の識別子及び該質問に対する知識合致度を格納する知識合致度記憶手段と、
ユーザ識別子、質問の識別子及び該質問に対する興味合致度を格納する興味合致度記憶手段と、
重みパラメータを格納する重みパラメータ記憶手段と、
を有するコンピュータが、
インターネット上のQAサービスにおける質問と回答を取得し、回答締切前か否かの情報と共に質問回答記憶手段に格納する質問回答取得ステップ(ステップ1)と、
各質問から単語を抽出する単語抽出ステップ(ステップ2)と、
各質問における各単語の統計量を算出し、統計量記憶手段に格納する統計量算出ステップ(ステップ3)と、
取得した回答からユーザと、回答の対象である質問の各単語の統計量から、該ユーザの該単語に対する知識量を算出し、ユーザの識別子と、単語と共に知識量記憶手段に格納する知識量算出ステップ(ステップ4)と、
各質問から該質問を投稿したユーザと、該質問内の各単語の統計量から、該ユーザの該単語に対する興味量を算出し、ユーザの識別子と、単語と共に興味量記憶手段に格納する興味量算出ステップ(ステップ5)と、
知識量記憶手段に格納されている各ユーザの各単語に対する統計量と、質問回答記憶手段に格納されている質問のうち、回答締切前のもののみの各単語の統計量から、該ユーザの該質問に対する知識合致度を算出し、該ユーザの識別子と、該質問の識別子と共に知識合致度記憶手段に格納する知識合致度算出ステップ(ステップ6)と、
興味量記憶手段に格納されている各ユーザの各単語に対する統計量と、質問回答記憶手段に格納されている質問のうち、回答締切前のもののみの各単語の統計量から、該ユーザの該質問に対する興味合致度を算出し、該ユーザの識別子と、該質問の識別子と共に興味合致度記憶手段に格納する興味合致度算出ステップ(ステップ7)と、
知識合致度記憶手段に格納されている知識合致度と、興味合致度記憶手段に格納されている興味合致度とを用いて、ユーザと質問の組合せごとに使用する重みパラメータのタイプを決定する重みタイプ判別ステップ(ステップ8)と、
質問回答情報記憶手段に格納されている質問のうち、回答締切済のものと、質問回答記憶手段に格納されているユーザのうち、回答したことのあるものとの全ての組合せについて、知識合致度記憶手段に格納されている知識合致度と、興味合致度記憶手段に格納されている興味合致度と、重みタイプ判別ステップ(ステップ8)により判別された重みパラメータのタイプとを用いて、重みパラメータを算出し、重みパラメータ記憶手段に格納する重みパラメータ算出ステップ(ステップ9)と、
ユーザの識別子が与えられると、該ユーザの質問回答情報記憶手段に格納されている回答締切前の各質問に対して、知識合致度記憶手段に格納されている知識合致度と、興味合致度記憶手段に格納されている興味合致度と、重みタイプ判別ステップ(ステップ9)により判別された重みパラメータのタイプとを用いて、重みパラメータ記憶手段に格納された重みパラメータとを用いて、該ユーザの各質問に対する推薦スコアを算出し、推薦スコアの上位N件の質問の識別子を推薦質問として選択する質問推薦ステップ(ステップ10)と、を行う。
【0018】
また、本発明(請求項6)は、統計量算出ステップ(ステップ3)において、
各単語の統計量を算出する際に、重要と見做される単語を抽出するためのTF値(単語の出現頻度)、TFIDF値(単語の出現頻度と逆出現頻度)を用いる。
【0019】
また、本発明(請求項7)は、重みパラメータ算出ステップ(ステップ9)において、
知識合致度記憶手段に格納されている知識合致度と、興味合致度記憶手段に格納されている興味合致度に基づいて、ロジスティック回帰分析によって重みパラメータを算出するステップを含む。
【0020】
また、本発明(請求項8)は、重みタイプ判別ステップ(ステップ8)と、重みパラメータ算出ステップ(ステップ9)と、質問推薦ステップ(ステップ10)において、
知識合致度記憶手段に格納されている知識合致度と、興味合致度記憶手段に格納されている興味合致度に基づいて、混合エキスパートモデルによって重みタイプを判別し、重みパラメータを算出し、質問を推薦するステップを含む。
【0021】
また、本発明(請求項9)は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の質問推薦装置を構成する各手段としてコンピュータを機能させるための質問推薦プログラムである。
【発明の効果】
【0022】
上記のように本発明によれば、ユーザの回答について、質問者からのフィードバックを利用することにより、従来の技術では不可能であった、回答の質を考慮した(良回答に選択されそうな回答ができそうな)質問を推薦することが可能になる。これはQAシステムにおける良質な回答の増加につながり、従来の推薦技術では不可能であったQAサービスの活性化につながる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の原理構成図である。
【図2】本発明の原理を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施の形態における質問推薦装置の構成図である。
【図4】本発明の一実施の形態における質問回答情報テーブルの例である。
【図5】本発明の一実施の形態における知識情報テーブルの例である。
【図6】本発明の一実施の形態における興味情報テーブルの例である。
【図7】本発明の一実施の形態における知識合致度テーブルの例である。
【図8】本発明の一実施の形態における興味合致度テーブルの例である。
【図9】本発明の一実施の形態におけるメッセージ投稿時の処理のフローチャートである。
【図10】本発明の一実施の形態における図9のステップ120の詳細な処理のフローチャートである。
【図11】本発明の一実施の形態における図9のステップ130の詳細な処理のフローチャートである。
【図12】本発明の一実施の形態における図9のステップ140の詳細な処理のフローチャートである。
【図13】本発明の一実施の形態における図9のステップ150の詳細な処理のフローチャートである。
【図14】本発明の一実施の形態における図9のステップ160の詳細な処理のフローチャートである。
【図15】本発明の一実施の形態における図9のステップ170の詳細な処理のフローチャートである。
【図16】本発明の一実施の形態における質問推薦部の構成図である。
【図17】本発明の一実施の形態におけるユーザログオン時の処理のフローチャートである。
【図18】本発明の一実施の形態における図17のステップ240の詳細な処理のフローチャートである。
【図19】本発明の一実施の形態における重みパラメータ更新時の処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、ユーザが投稿した質問の本文中の各単語の統計量からユーザの興味を算出し、ユーザが回答した質問の本文中の各単語の統計量からユーザの知識を算出しておく。ユーザが質問も回答もしたことがある場合は、興味と知識の両方を用いて、ユーザが質問はしたこともあるが回答したことはない場合は興味を用いて、ユーザが質問はしたことがないが回答したことはある場合は知識を用いて、推薦する質問を決定する。質問の経験と回答の経験の有無でユーザを分類することにより、高精度な推薦が可能になる。
【0025】
以下、図面と共に本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
図3は、本発明の一実施の形態における質問推薦装置の構成を示す。
【0027】
同図に示す質問推薦装置1は、質問回答情報テーブル更新部10、知識情報テーブル更新部20、興味情報テーブル更新部30、知識合致度テーブル更新部40、興味合致度テーブル更新部50、質問推薦部60、重みパラメータ更新部70、記憶部80、通信部90、入出力部95から構成され、通信部90はネットワーク3に接続されており、入出力部95は、入力装置や表示装置等の外部装置4に接続されている。
【0028】
記憶部80は、質問回答情報テーブル81、知識情報テーブル82、興味情報テーブル83、知識合致度テーブル84、興味合致度テーブル85、重みパラメータ記録部86から構成される。以下に各テーブルについて説明する。
【0029】
<質問回答情報テーブル>
質問回答情報テーブル81には、図4に示すように、質問IDフィールド、メッセージIDフィールド、ユーザIDフィールド、本文フィールド、メッセージ種別フィールド、回答締切フィールドが含まれる。
【0030】
質問IDフィールドは、質問ならばその質問を特定する識別子で、回答ならば対象となる質問を特定する識別子であり、質問回答情報テーブル更新部10により設定される。新たなメッセージmが投稿された場合、質問IDフィールドはメッセージmが質問であった場合は他の質問と識別するため新たなIDが、メッセージmが回答であった場合はどの質問に対する回答かを識別するためのIDが、質問回答情報テーブル更新部10により設定される。
【0031】
メッセージIDフィールドは、個々のメッセージmを特定する識別子が、質問回答情報テーブル更新部10により設定される。
【0032】
ユーザIDフィールドは、メッセージmを投稿したユーザを特定する識別子が、質問回答情報テーブル更新部10により設定される。
【0033】
本文フィールドは、メッセージmの本文が、質問回答情報テーブル更新部10により設定される。
【0034】
メッセージ種別フィールドは、メッセージmが質問か、回答かが判定され、質問回答情報テーブル更新部10により設定される。
【0035】
回答締切フィールドは、メッセージmが質問の場合、回答がすでに締め切られているか否かの情報が、質問回答テーブル更新部10により設定される。本実施の形態では、締め切られている場合は「1」を、締め切られていない場合は「0」を設定するものとする。
【0036】
<知識情報テーブル>
知識情報テーブル82には、図5に示すように、ユーザIDフィールドと、単語フィールドと、特徴量フィールドとが含まれる。
【0037】
ユーザIDフィールドは、ユーザIDが、知識情報テーブル更新部20により設定される。
【0038】
単語フィールドは、単語wが、知識情報テーブル更新部20により設定される。
【0039】
特徴量フィールドは、ユーザuの回答中に出現する単語wの統計量knowledge(u,w)であり、知識情報テーブル更新部20により設定される。
【0040】
<興味情報テーブル>
興味情報テーブル83には、図6に示すように、ユーザIDフィールドと、単語フィールドと、特徴量フィールドとが含まれる。
【0041】
ユーザIDフィールドは、ユーザIDが、興味情報テーブル更新部30により設定される。
【0042】
単語フィールドは、単語wが、興味情報テーブル更新部30により設定される。
【0043】
特徴量フィールドは、ユーザuの質問中に出現する単語wの統計量 interest(u,w)であり、興味情報テーブル更新部30により設定される。
【0044】
<知識合致度テーブル>
知識合致度テーブル84には、図7に示すように、ユーザIDフィールドと、質問IDフィールドと、知識合致度フィールドとが含まれる。
【0045】
知識合致度フィールドは、当該行のユーザuの過去に回答した質問と、当該行の質問 qとの内容の類似度score0(q,u)が知識合致度テーブル更新部40により設定される。
【0046】
<興味合致度テーブル>
興味合致度テーブル85には、図8に示すように、ユーザIDフィールドと、質問IDフィールドと、興味合致度フィールドとが含まれる。
【0047】
興味合致度フィールドは、当該行のユーザuの過去に質問した質問と、当該行の質問qとの内容の類似度score1(q,u)が興味合致度テーブル更新部50により設定される。
【0048】
<重みパラメータ記録部>
重みパラメータ記録部86には、質問推薦部60がユーザuに質問qを推薦するための推薦スコアscore(q,u)を算出するための重み λ0、λ1 が格納されている。重みλ0、λ1は、重みパラメータ更新部70によって設定される。
【0049】
図9は、本発明の一実施の形態におけるメッセージ投稿時の処理のフローチャートである。
【0050】
ステップ110) 質問回答情報テーブル更新部10が、質問回答情報テーブル81に、投稿したユーザ、投稿されたメッセージの本文、投稿されたメッセージが質問か回答かの情報に応じて質問IDフィールド、メッセージIDフィールド、ユーザIDフィールド、本文フィールド、メッセージ種別フィールドを設定する。また、回答締切フィールドの値を「0」と設定する。そのような行mを質問回答情報テーブル81に挿入する。今、投稿されたメッセージmのユーザIDフィールドの値がuであったとする。
【0051】
メッセージmが回答であった場合、
ステップ120) 知識情報テーブル更新部20が、上記行mの情報を元にユーザuの知識情報テーブル82を更新する。
【0052】
ステップ130) 知識合致度テーブル更新部40が、上記行mの情報を元にユーザuの知識合致度テーブル84を更新する。
【0053】
メッセージmが質問であった場合、
ステップ140) 興味情報テーブル更新部30が、上記行mの情報を元にユーザuの興味情報テーブル83を更新する。
【0054】
ステップ150) 興味合致度テーブル更新部50が、上記行mの情報を元にユーザuの興味合致度テーブル85を更新する。
【0055】
ステップ160) 知識合致度テーブル更新部40が、上記行mの情報を元にuを除く他のユーザの知識合致度テーブル84を更新する。
【0056】
ステップ170) 興味合致度テーブル更新部50が、上記行mの情報を元にuを除く他のユーザの興味合致度テーブル85を更新する。
【0057】
次に、上記の図9のステップ120の処理を詳細に説明する。
【0058】
図10は、本発明の一実施の形態における図7のステップ120の詳細な処理のフローチャートである。今、メッセージmの対象となっている質問(質問回答情報テーブル81にて、行mと質問IDを同じくし、かつメッセージ種別が「質問」である行)がqであるとする。
【0059】
ステップ121) 知識情報テーブル更新部20が、形態素解析器の分かち書き機能を用いて質問qの本文に含まれる単語集合wを取得する。
【0060】
ステップ122) 知識情報テーブル更新部20が、上記単語集合wに含まれる個々の単語wに対して、質問qの本文における統計量、例えば、単語の出現頻度(文献3(Manning, C.D. et al., "Introduction to information retrieval", 2008)記載の「TF値」)tf(q,w)を算出し、統計量メモリ(図示せず)に格納する。単語wの質問qの本文における重みを算出するにあたって、出現頻度だけでなく、別の尺度(文献3記載の「TFIDF値」等)を用いても構わない。
【0061】
ステップ123) 知識情報テーブル更新部20が、知識情報テーブル82を参照し、ユーザIDフィールドの値がu、単語フィールドの値がwの行の特徴量フィールドの値 knowledge(u,w)を取得する。但し、ユーザIDフィールドの値がu、単語フィールドの値がwの行が存在しない場合はknowledge(u,w)の値は「0」とする。
【0062】
ステップ124) 知識情報テーブル更新部20が、知識情報テーブル82に、ユーザIDフィールドの値u、単語フィールドの値がwの行の特徴量フィールドの値を knowledge(u,w)+ tf(m,w)とするように更新または挿入する。
【0063】
次に、上記の図9のステップ130の処理を詳細に説明する。
【0064】
図11は、本発明の一実施の形態における図9のステップ130の詳細な処理のフローチャートである。
【0065】
ステップ131) 知識合致度テーブル更新部40が、知識情報テーブル82を参照し、ユーザIDがuの行に出現する単語フィールドの値の集合をwとする。
【0066】
ステップ132) 知識合致度テーブル更新部40が、上記単語集合wに含まれる個々の単語wに対して、知識情報テーブル82を参照し、ユーザIDがuで単語がwの行の特徴量フィールドの値 knowledge(u,w)を取得する。
【0067】
ステップ133) 知識合致度テーブル更新部40が、質問回答情報テーブル81を参照し、回答締切フィールドの値が「0」である質問集合qを取得する。
【0068】
ステップ134) 知識合致度テーブル更新部40が、前記質問集合q中の各質問qの本文フィールドにおける、前記単語集合w内の各単語wの統計量(例えば、文献3記載の「TF値」)tf(q,w)を算出する。もし質問qの本文フィールドに単語wが含まれない場合は、tf(q,w)=0とする。
【0069】
ステップ135) 知識合致度テーブル更新部40が、前記質問qのユーザuに対する知識合致度score0(q,u)を以下の式を用いて算出する。
【0070】
【数1】

式(1)におけるtf(q,w)は、統計量メモリ(図示せず)から取得した質問qにおける単語wの重みを意味し、知識情報テーブル82の特徴量 knowledge(u,w)はユーザuの単語wに対する知識量を表す。分子は、両者の内積であるが、内積は質問qに含まれる語数が多ければ多いほど大きくなる傾向を考慮し、分母により正規化する。これは、文献3(Manning, C.D. et al., "Introduction to information retrieval", 2008)記載のコサイン類似度と呼ばれる尺度であり、この尺度によりユーザuの知識と質問qの関連の強さが求まる。
【0071】
ステップ136) 知識合致度テーブル更新部40が、知識合致度テーブル84を、ユーザIDがuで、質問IDがqの行の知識合致度フィールドの値が前記知識合致度score0(q,u)となるように更新する。
【0072】
次に、上記の図9のステップ140の処理を詳細に説明する。
【0073】
図12は、本発明の一実施の形態における図9のステップ140の詳細な処理のフローチャートである。
【0074】
ステップ141) 興味情報テーブル更新部30が、形態素解析器の分かち書き機能を用いて質問mの本文に含まれる単語集合wを取得する。
【0075】
ステップ142) 興味情報テーブル更新部30が、上記単語集合wに含まれる個々の単語wに対して、質問mの本文における統計量、例えば、単語出現頻度(文献3記載の「TF値」)tf(m,w)を算出し、統計量メモリ(図示せず)に格納する。単語wの質問mの本文における重みを算出するにあたって、出現頻度だけでなく、別の尺度(文献3記載の「TFIDF値」等)を用いても構わない。
【0076】
ステップ143) 興味情報テーブル更新部30が、興味情報テーブル83を参照し、ユーザIDフィールドの値が u、単語フィールドの値がwの行の特徴量フィールドの値 interest(u,w)を取得する。但し、ユーザIDフィールドの値がu、単語フィールドの値がwの行が存在しない場合はinterest(u,w)の値は「0」とする。
【0077】
ステップ144) 興味情報テーブル更新部30が、興味情報テーブル83に、ユーザIDフィールドの値がu、単語フィールドの値がwの行の特徴量フィールドの値を interest(u,w)+ tf(m,w)とするように更新または挿入する。
【0078】
次に、上記の図9のステップ150の処理を詳細に説明する。
【0079】
図13は、本発明の一実施の形態における図9のステップ150の詳細な処理のフローチャートである。
【0080】
ステップ151) 興味合致度テーブル更新部50が、興味情報テーブル83を参照し、ユーザIDがuの行に出現する単語フィールドの値の集合をwとする。
【0081】
ステップ152) 興味合致度テーブル更新部50が、上記単語集合wに含まれる個々の単語wに対して、興味情報テーブル83を参照し、ユーザIDがuで単語がwの行の特徴量フィールドの値interest(u,w)を取得する。
【0082】
ステップ153) 興味合致度テーブル更新部50が、質問回答情報テーブル81を参照し、回答締切フィールドの値が「0」である質問集合qを取得する。
【0083】
ステップ154) 興味合致度テーブル更新部50が、前記質問集合q中の各質問qの本文フィールドにおける、前記単語集合w内の各単語wの統計量(例えば、文献3記載の「TF値」)tf(q,w)を算出し、統計量メモリ(図示せず)に格納する。もし質問qの本文フィールドに単語wが含まれない場合は、tf(q,w)=0とする。
【0084】
ステップ155) 興味合致度テーブル更新部50が、前記質問qのユーザuに対する興味合致度score1(q,u)を以下の式を用いて算出する。
【0085】
【数2】

式(2)の意味も、式(1)と同様である。すなわち、tf(q,w)は統計量メモリ(図示せず)から取得した質問qにおける単語wの重みであり、知識情報テーブル82の特徴量 interest(u,w)はユーザuの単語wに対する興味量である。その両者の、文献3(Manning, C.D. et al., "Introduction to information retrieval", 2008)記載のコサイン類似度によって、ユーザuの興味と質問qの関連の強さを求める。
【0086】
ステップ156) 興味合致度テーブル更新部50が、興味合致度テーブル85を、ユーザIDがuで、質問IDがqの行の興味合致度フィールドの値が前記興味合致度score1(q,u)となるように更新する。
【0087】
次に、上記の図9のステップ160の処理を詳細に説明する。
【0088】
図14は、本発明の一実施の形態における図9のステップ160の詳細な処理のフローチャートである。
【0089】
ステップ161)知識合致度テーブル更新部40が、形態素解析器の分かち書き機能を用いて質問mの本文に含まれる単語集合wを取得する。
【0090】
ステップ162)知識合致度テーブル更新部40が、上記単語集合wに含まれる個々の単語wに対して、質問mの本文における統計量(例えば、文献3記載の「TF値」) tf(m,w)を算出し、統計量メモリ(図示せず)に格納する。
【0091】
ステップ163) 知識合致度テーブル更新部40が、知識情報テーブル82に出現するユーザ集合uを取得する。
【0092】
ステップ164) 知識合致度テーブル更新部40が、知識情報テーブル82を参照し、前記ユーザ集合u内のユーザv毎に、前記単語集合w中の各単語wについて、ユーザIDフィールドの値がv、単語フィールドの値がwの行の特徴量フィールドの値 knowledge(v,w)を取得する。但し、ユーザIDフィールドの値がv、単語フィールドの値がwの行が存在しない場合はknowledge(v,w)の値は「0」とする。
【0093】
ステップ165) 知識合致度テーブル更新部40が、前記質問qのユーザvに対する知識合致度score0(q,v)を式(1)を用いて算出する。
【0094】
ステップ166) 知識合致度テーブル更新部40が、知識合致度テーブル84に、ユーザIDがv、質問IDがq、知識合致度がscore0(q,v)となる行を挿入する。
【0095】
次に、上記の図9のステップ170の処理を詳細に説明する。
【0096】
図15は、本発明の一実施の形態における図9のステップ170の詳細な処理のフローチャートである。
【0097】
ステップ171) 興味合致度テーブル更新部50が、形態素解析器の分かち書き機能を用いて質問mの本文に含まれる単語集合wを取得する。
【0098】
ステップ172) 興味合致度テーブル更新部50が、上記単語集合wに含まれる個々の単語wに対して、質問qの本文における統計量(例えば、文献3記載の「TF値」) tf(m,w)を算出し、統計量メモリ(図示せず)に格納する。
【0099】
ステップ173) 興味合致度テーブル更新部50が、興味情報テーブル83に出現するユーザ集合uを取得する。
【0100】
ステップ174) 興味合致度テーブル更新部50が、興味情報テーブル83を参照し、前記ユーザ集合u中のユーザv毎に、前記単語集合w中の各単語wについて、ユーザIDフィールドの値がv、単語フィールドの値がwの行の特徴量フィールドの値interest(v,w)を取得する。但し、ユーザIDフィールドの値がv、単語フィールドの値がwの行が存在しない場合はinterest(v,w)の値は「0」とする。
【0101】
ステップ175) 興味合致度テーブル更新部50が、前記質問qのユーザvに対する興味合致度score1(q,v)を、前述の式(2)を用いて算出する。
【0102】
ステップ176) 興味合致度テーブル更新部50が、興味合致度テーブル85に、ユーザIDがv、質問IDがq、良知識合致度がscore1(q,v)となる行を挿入する。
【0103】
図16は、本発明の一実施の形態における質問推薦部の構成を示す。
【0104】
同図に示す質問推薦部60は、質問取得部61、知識合致度取得部62、興味合致度取得部63、重みタイプ判別部64、重みパラメータ取得部65、推薦スコア算出部66、推薦質問決定部67から構成される。
【0105】
質問取得部61は、質問回答情報テーブル81から、当該ユーザu以外の質問を読み込み、質問集合qをメモリ(図示せず)に格納する。
【0106】
知識合致度取得部62は、当該ユーザuの、メモリ(図示せず)に格納された質問集合qの各質問qに関する知識合致度score0(q,u)をメモリ(図示せず)に格納する。
【0107】
興味合致度取得部63は、当該ユーザuの、メモリ(図示せず)に格納された質問集合qの各質問qに関する興味合致度score1(q,u)をメモリ(図示せず)に格納する。
【0108】
重みタイプ判別部64は、メモリ(図示せず)に格納されている質問集合qの各質問qに関する知識合致度score0(q,u)と、メモリ(図示せず)に格納されている質問集合qの各質問qに関する興味合致度score1(q,u)から重みタイプtを決定し、メモリ(図示せず)に格納する。
【0109】
重みパラメータ取得部65は、メモリ(図示せず)に格納されている重みタイプtに基づき、重みパラメータを取得し、メモリ(図示せず)に格納する。
【0110】
推薦スコア算出部66は、メモリ(図示せず)に格納されている質問集合qの各質問qに関する知識合致度score0(q,u)と、質問集合qの各質問qに関する興味合致度score1(q,u)と、重みタイプtと、重みパラメータから推薦スコアscore(q,u)を算出し、メモリ(図示せず)に格納する。
【0111】
推薦質問決定部67は、メモリ(図示せず)に格納されている該ユーザuの質問集合qの各質問qに関する推薦スコアscore(q,u)から推薦する質問を決定し、出力する。
【0112】
図17は、本発明の一実施の形態におけるユーザログオン時の処理のフローチャートである。
【0113】
ユーザuがログオンすると、
ステップ210) 知識合致度取得部62が、知識合致度テーブル84を参照し、ユーザIDフィールドがuの行Kuを取得する。
【0114】
ステップ220) 興味合致度取得部63が、興味合致度テーブル85を参照し、ユーザIDフィールドがuの行Iuを取得する。
【0115】
ステップ230) 質問取得部61が、質問回答情報テーブルから回答締切フィールドの値が「0」でメッセージ種別が質問である行集合qを取得する。
【0116】
ステップ240) 質問推薦部60が、前記知識合致度テーブル84に記載されているユーザIDフィールドがuの行Kuと、前記興味合致度テーブル85に記載されているユーザIDフィールドがuの行 Iu とを用いて、前記質問集合qの各質問qについて、該ユーザuへの推薦スコアscore(q,u)を算出する。
【0117】
ステップ250) 質問推薦部60が、前記質問集合q内の各質問qのユーザuに対する推薦スコアscore(q,u)の値を用いてユーザuに推薦すべき質問を決定する。その際、推薦スコアフィールドの値が大きいものから順に予め設定した任意の件数N(N=1,2,3,…)件を推薦すべき質問としてもよいし、推薦スコアに対し、ある閾値を設けて、推薦スコアがその値を超えるものを推薦すべき質問としてもよい。
【0118】
次に、上記の図17のステップ240の処理を詳細に説明する。
【0119】
図18は、本発明の一実施の形態における図17のステップ240の詳細な処理のフローチャートである。
【0120】
ステップ241) 質問推薦部60が、前記知識合致度テーブル84のユーザIDフィールドがuの行Kuから、質問qのユーザuへの知識合致度score0(q,u)を取得する。
【0121】
ステップ242) 質問推薦部60が、前記興味合致度テーブル85のユーザIDフィールドがuの行Iuから、質問qのユーザuへの興味合致度score1(q,u)を取得する。
【0122】
ステップ243) 重みタイプ判別部64が、前記質問qのユーザuへの知識合致度score0(q,u)と、前記質問qのユーザuへの興味合致度score1(q,u)から、使用する重みパラメータを決定する。例えば、後記のように人手にてルールを設定しておく。
【0123】
・score0(q,u)≠0かつscore1(q,u)≠0の場合、α=λ0、β=λ1
【0124】
・score0(q,u)=0かつscore1(q,u)≠0の場合、α=1、β=0。
【0125】
・score0(q,u)≠0かつscore1(q,u)=0の場合、α=0、β=1。
【0126】
・score0(q,u)=0かつscore1(q,u)=0の場合、α=0、β=0。
使用するパラメータの決定は、例えば文献4(Jacobs, R.A. et al., "Adaptive mixtures of local experts", 1991)記載の混合エキスパートモデル等の手法を用いて自動化してもよい。
【0127】
ステップ244) 推薦スコア算出部66が、前記質問qのユーザuへの知識合致度score0(q,u)と、前記質問qのユーザuへの興味合致度score1(q,u)と、前記αと、前記βから、前記質問qのユーザu への推薦スコアscore(q,u)を算出する。
【0128】
【数3】

式(3)で得られるscore(q,u)は、質問qをユーザuに推薦すべきかどうかを決定する尺度であり、質問qとユーザuの知識との関連の強さscore0(q,u)と、質問qとユーザuの興味との関連の強さscore1(q,u)の重み付き和で得る。
【0129】
図19は、本発明の一実施の形態における重みパラメータ更新時の処理のフローチャートである。
【0130】
重みパラメータは本実施の形態のように、文献5(Hosmer, D.W. et al., "Applied logistic regression", 2000)記載のロジスティック回帰モデルを用いて自動で算出してもよいし、文献6(Cristianini, N. et al., "An introduction tosupport Vector Machines: and other kernel-based learning methods", 2000)記載のサポートベクトルマシン等を用いて自動で算出してもよいし、人手にて適当な重みパラメータを設定してもよい。重みパラメータの更新は、システムの管理者の明示的な入力で開始するようにしてもよいし、定期的にバッチ処理するようにしてもよい。
【0131】
ステップ310) 重みパラメータ更新部70は、知識合致度テーブル84のユーザIDフィールドに出現するユーザ集合uを取得する。
【0132】
ステップ320) 重みパラメータ更新部70は、質問回答情報テーブル81を参照し回答締切フィールドの値が「1」(締切後)でメッセージ種別フィールドの値が「質問」である行集合(すなわち、締切済みの質問集合)qを取得する。
【0133】
ステップ330) 重みパラメータ更新部70は、知識合致度テーブル84、良知識合致度テーブル85を参照し、前記質問集合qの各質問と、前記ユーザ集合uの各ユーザとの各質問との組合せ (q,u)について、知識合致度score0(q,u)と、良知識合致度score1(q,u)を取得し、score0(q,u)≠0かつscore1(q,u)≠0の場合のみステップ340以下を行う。
ステップ340) 重みパラメータ更新部70は、知識合致度テーブル84、良知識合致度テーブル85を参照し、前記質問集合qの各質問と、前記ユーザ集合uの各ユーザとの各質問との組合せ(q,u)について、知識合致度score0(q,u)と、良知識合致度score1(q,u)を取得し、以下の式を用いて p(q,u)を算出する。
【0134】
【数4】

式(4)は、Σiλiscorei(q,u)の値を確率化したもので、Σiλiscorei(q,u)の値が高ければ高いほど値が1に近づき、Σiλiscorei(q,u)の値が低ければ低いほど0に近づく。
【0135】
ステップ350) 重みパラメータ更新部70は、前記質問集合q内の各質問qと、前記ユーザ集合u内の各ユーザuについて、質問回答情報テーブル81に、ユーザIDがuで、質問IDがqで、メッセージ種別フィールドの値が「回答」の行が存在する場合は b(q,u)=1とし、ユーザIDがuで、質問IDがqで、メッセージ種別フィールドの値が「回答」の行が存在しない場合はb(q,u)=0とする。このとき、L(λ01)を以下の式(5)を用いて算出する。
【0136】
【数5】

式(5)は、λ0とλ1の尤度と呼ばれる尺度で、過去の質問回答情報に回答したか否か b(q,u)と、各質問のユーザ毎の式(4)で表わされる p(q,u)から、設定したλ0とλ1がどれだけ過去の質問回答情報とマッチしているかを表す尺度である。従って、式(5)を最大にするようなλ0、λ1が最も適切な重みパラメータであると考えられる。
【0137】
ステップ360) 重みパラメータ更新部70が、文献6(Liu, D.C. et al., "On the limited memory BFGS method for largescale optimization", 1989)記載の準ニュートン法等による最適化手法により、式(4)で表わされるL(λ01)を最大にするλ0、λ1を算出する。
【0138】
ステップ370) 重みパラメータ更新部70が、重みパラメータ記録部86にさきほど算出した重みパラメータλ0、λ1を記録する。
【0139】
上記のように、ユーザが投稿した質問の本文中の各単語の統計量からユーザの興味を算出し興味合致度テーブル85に格納しておき、ユーザが回答した質問の本文中の各単語の統計量からユーザの知識を算出して知識合致度テーブル84に格納しておく。ユーザが質問も回答もしたことがある場合は、興味合致度テーブルの興味合致度と知識合致度テーブルの知識合致度の両方を用いて、ユーザが質問はしたこともあるが回答したことはない場合は興味合致度を用いて、ユーザが質問はしたことがないが回答したことはある場合は知識合致度を用いて、推薦する質問を決定する。質問の経験と回答の経験の有無でユーザを分類することにより、高精度な推薦が可能になる。
【0140】
なお、上記の図3、図16に示す質問推薦装置の各構成要素の動作をプログラムとして構築し、質問推薦装置として利用されるコンピュータにインストールして実行させる、または、ネットワークを介して流通させることが可能である。
【0141】
また、構築されたプログラムをハードディスクや、フレキシブルディスク・CD−ROM等の可搬記憶媒体に格納し、コンピュータにインストールする、または、配布することが可能である。
【0142】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において種々変更・応用が可能である。
【符号の説明】
【0143】
1 質問推薦装置
2 外部端末
3 ネットワーク
4 外部装置
10 質問回答情報テーブル更新部
11 質問回答取得手段
12 単語抽出手段
15 統計量算出手段
20 知識量算出手段、知識情報テーブル更新部
30 興味量算出手段、興味情報テーブル更新部
40 知識合致度算出手段、知識合致度テーブル更新部
50 興味合致度算出手段、興味合致度テーブル更新部
60 質問推薦手段、質問推薦部
61 質問取得部
62 知識合致度取得部
63 興味合致度取得部
64 重みタイプ判別部
65 重みパラメータ取得部
66 推薦スコア算出部
67 推薦質問決定部
70 重みパラメータ更新部
71 重みタイプ判別手段
72 重みパラメータ算出手段
80 記憶部
81 質問回答記憶手段
82 知識量記憶手段
83 興味量記憶手段
84 知識合致度記憶手段
85 興味合致度記憶手段
86 重みパラメータ記憶手段
90 通信部
95 入出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネット上のQA(Question/Answer)サービスにおいて、利用者の質問履歴、回答履歴を利用する質問推薦装置であって、
前記インターネット上のQAサービスにおける質問と回答を取得し、回答締切前か否かの情報と共に質問回答記憶手段に格納する質問回答取得手段と、
各質問から単語を抽出する単語抽出手段と、
各質問における各単語の統計量を算出し、統計量記憶手段に格納する統計量算出手段と、
取得した前記回答からユーザと、前記回答の対象である質問の前記各単語の統計量から、該ユーザの該単語に対する知識量を算出し、前記ユーザの識別子と、前記単語と共に知識量記憶手段に格納する知識量算出手段と、
各質問から該質問を投稿したユーザと、該質問内の各単語の統計量から、該ユーザの該単語に対する興味量を算出し、前記ユーザの識別子と、前記単語と共に興味量記憶手段に格納する興味量算出手段と、
前記知識量記憶手段に格納されている各ユーザの各単語に対する統計量と、前記質問回答記憶手段に格納されている質問のうち、回答締切前のもののみの前記各単語の統計量から、該ユーザの該質問に対する知識合致度を算出し、該ユーザの識別子と、該質問の識別子と共に知識合致度記憶手段に格納する知識合致度算出手段と、
前記興味量記憶手段に格納されている各ユーザの各単語に対する統計量と、前記質問回答記憶手段に格納されている質問のうち、回答締切前のもののみの前記各単語の統計量から、該ユーザの該質問に対する興味合致度を算出し、該ユーザの識別子と、該質問の識別子と共に興味合致度記憶手段に格納する興味合致度算出手段と、
前記知識合致度記憶手段に格納されている知識合致度と、前記興味合致度記憶手段に格納されている興味合致度とを用いて、ユーザと質問の組合せごとに使用する重みパラメータのタイプを決定する重みタイプ判別手段と、
前記質問回答情報記憶手段に格納されている質問のうち、回答締切済のものと、前記質問回答記憶手段に格納されているユーザのうち、回答したことのあるものとの全ての組合せについて、前記知識合致度記憶手段に格納されている知識合致度と、前記興味合致度記憶手段に格納されている興味合致度と、前記重みタイプ判別手段により判別された前記重みパラメータのタイプとを用いて、重みパラメータを算出し、重みパラメータ記憶手段に格納する重みパラメータ算出手段と、
ユーザの識別子が与えられると、該ユーザの前記質問回答情報記憶手段に格納されている回答締切前の各質問に対して、前記知識合致度記憶手段に格納されている知識合致度と、前記興味合致度記憶手段に格納されている興味合致度と、前記重みタイプ判別手段により判別された前記重みパラメータのタイプとを用いて、前記重みパラメータ記憶手段に格納された重みパラメータとを用いて、該ユーザの各質問に対する推薦スコアを算出し、前記推薦スコアの上位N件の質問の識別子を推薦質問として選択する質問推薦手段と、
を有することを特徴とする質問推薦装置。
【請求項2】
前記統計量算出手段は、
前記各単語の統計量を算出する際に、重要と見做される単語を抽出するためのTF値(単語の出現頻度)、TFIDF値(単語の出現頻度と逆出現頻度)を用いる
請求項1記載の情報推薦装置。
【請求項3】
前記重みパラメータ算出手段は、
前記知識合致度記憶手段に格納されている知識合致度と、前記興味合致度記憶手段に格納されている興味合致度に基づいて、ロジスティック回帰分析によって重みパラメータを算出する手段を含む
請求項1記載の質問推薦装置。
【請求項4】
前記重みタイプ判別手段と、前記重みパラメータ算出手段と、前記質問推薦手段は、
前記知識合致度記憶手段に格納されている知識合致度と、前記興味合致度記憶手段に格納されている興味合致度に基づいて、混合エキスパートモデルによって重みタイプを判別し、重みパラメータを算出し、質問を推薦する手段を含む
請求項1記載の質問推薦装置。
【請求項5】
インターネット上のQA(Question/Answer)サービスにおいて、利用者の質問履歴、回答履歴を利用する質問推薦方法であって、
質問と回答の情報と回答締切前か否かの情報を格納する質問回答記憶手段と、
各質問における各単語の統計量を格納する統計量記憶手段と、
ユーザの識別子、単語及び該単語に対する知識量を格納する知識量記憶手段と、
ユーザの識別子、単語及び該単語に対する興味量を格納する興味量記憶手段と、
ユーザ識別子、質問の識別子及び該質問に対する知識合致度を格納する知識合致度記憶手段と、
ユーザ識別子、質問の識別子及び該質問に対する興味合致度を格納する興味合致度記憶手段と、
重みパラメータを格納する重みパラメータ記憶手段と、
を有するコンピュータが、
前記インターネット上のQAサービスにおける質問と回答を取得し、回答締切前か否かの情報と共に前記質問回答記憶手段に格納する質問回答取得ステップと、
各質問から単語を抽出する単語抽出ステップと、
各質問における各単語の統計量を算出し、前記統計量記憶手段に格納する統計量算出ステップと、
取得した前記回答からユーザと、前記回答の対象である質問の前記各単語の統計量から、該ユーザの該単語に対する知識量を算出し、前記ユーザの識別子と、前記単語と共に前記知識量記憶手段に格納する知識量算出ステップと、
各質問から該質問を投稿したユーザと、該質問内の各単語の統計量から、該ユーザの該単語に対する興味量を算出し、前記ユーザの識別子と、前記単語と共に前記興味量記憶手段に格納する興味量算出ステップと、
前記知識量記憶手段に格納されている各ユーザの各単語に対する統計量と、前記質問回答記憶手段に格納されている質問のうち、回答締切前のもののみの前記各単語の統計量から、該ユーザの該質問に対する知識合致度を算出し、該ユーザの識別子と、該質問の識別子と共に前記知識合致度記憶手段に格納する知識合致度算出ステップと、
前記興味量記憶手段に格納されている各ユーザの各単語に対する統計量と、前記質問回答記憶手段に格納されている質問のうち、回答締切前のもののみの前記各単語の統計量から、該ユーザの該質問に対する興味合致度を算出し、該ユーザの識別子と、該質問の識別子と共に前記興味合致度記憶手段に格納する興味合致度算出ステップと、
前記知識合致度記憶手段に格納されている知識合致度と、前記興味合致度記憶手段に格納されている興味合致度とを用いて、ユーザと質問の組合せごとに使用する重みパラメータのタイプを決定する重みタイプ判別ステップと、
前記質問回答情報記憶手段に格納されている質問のうち、回答締切済のものと、前記質問回答記憶手段に格納されているユーザのうち、回答したことのあるものとの全ての組合せについて、前記知識合致度記憶手段に格納されている知識合致度と、前記興味合致度記憶手段に格納されている興味合致度と、前記重みタイプ判別ステップにより判別された前記重みパラメータのタイプとを用いて、重みパラメータを算出し、重みパラメータ記憶手段に格納する重みパラメータ算出ステップと、
ユーザの識別子が与えられると、該ユーザの前記質問回答情報記憶手段に格納されている回答締切前の各質問に対して、前記知識合致度記憶手段に格納されている知識合致度と、前記興味合致度記憶手段に格納されている興味合致度と、前記重みタイプ判別ステップにより判別された前記重みパラメータのタイプとを用いて、前記重みパラメータ記憶手段に格納された重みパラメータとを用いて、該ユーザの各質問に対する推薦スコアを算出し、前記推薦スコアの上位N件の質問の識別子を推薦質問として選択する質問推薦ステップと、
を行うことを特徴とする質問推薦方法。
【請求項6】
前記統計量算出ステップにおいて、
前記各単語の統計量を算出する際に、重要と見做される単語を抽出するためのTF値(単語の出現頻度)、TFIDF値(単語の出現頻度と逆出現頻度)を用いる
請求項5記載の情報推薦方法。
【請求項7】
前記重みパラメータ算出ステップにおいて、
前記知識合致度記憶手段に格納されている知識合致度と、前記興味合致度記憶手段に格納されている興味合致度に基づいて、ロジスティック回帰分析によって重みパラメータを算出するステップを含む
請求項5記載の質問推薦方法。
【請求項8】
前記重みタイプ判別ステップと、前記重みパラメータ算出ステップと、前記質問推薦ステップにおいて、
前記知識合致度記憶手段に格納されている知識合致度と、前記興味合致度記憶手段に格納されている興味合致度に基づいて、混合エキスパートモデルによって重みタイプを判別し、重みパラメータを算出し、質問を推薦するステップを含む
請求項5記載の質問推薦方法。
【請求項9】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の質問推薦装置を構成する各手段としてコンピュータを機能させるための質問推薦プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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