説明

購入済確認用タグ

【課題】再利用を抑止することで再利用に伴う不正行為の抑制を図ることができる購入済確認用タグを提供する。
【解決手段】購入済確認用タグ10は帯状に形成されたシート材11よりなり、その裏面全域には粘着層が形成されている。シート材11の長手方向の両端部には複数の切り込み14が設けられている。切り込み14は、シート材11のシート面に沿って略U字状に設けられている。シート材11における切り込み14により囲まれた部分は小片部15となっている。シート材11の長手方向両端部が貼り合わせられシート材11がループ状をなすと、切り込み14がシート材11の貼り合わせ部分11aに位置し、小片部15が対向するシート材11の裏面に貼り付けられる。ここで、貼り合わせ部分11aが剥がされると小片部15が捲れ上がり、その状態で同部分11aの剥離が進行するため、切り込み14をきっかけとしてシート材11の破断が導かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケット等の店舗において、バッグやかご等の手提げに入った商品が購入済みであることの確認用として手提げに取り付けられる購入済確認用タグに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レジ袋の削減等のためにかごやバッグ等の手提げを買物客自身が持参し、これに買物済の商品を入れて持ち帰るケースが増えてきている。このような手提げは、従来の使い捨てのレジ袋とは異なり、繰り返しの使用が可能であるため、省資源や環境保護の面から好ましくその普及が望まれている。
【0003】
しかしながら、その一方で、かかる手提げを悪用した手口の万引きが近年増加している。例えば、未購入の商品を手提げに入れたまま店外に出たり、あるいは購入済の商品が入った手提げに未購入の商品を一部紛れ込ませたりする等の手口で万引きが行われている。この場合、手提げに入っている商品が購入済みのものか未購入のものかを判別するのが困難であるため、店舗側ではその対策に苦慮しているのが現状である。
【0004】
ところで、店舗における盗難対策として、商品にICタグを取り付けることで、手提げの中の商品が購入済みであるか否かを判断する技術が存在する(例えば、特許文献1)。ここで、ICタグを用いることで上記手口による盗難の抑制を図ることも考えられるが、ICタグを店舗内のすべての商品に対して取り付けるのは作業的な負荷が大きいし、特に生鮮食品等の入れ替えの激しい商品に対して取り付けるのは困難である。そのため、ICタグを用いた上記の対策は現実的な対策とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−157849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、上記手口による盗難対策として、例えば買物客がレジにて購入商品の代金を支払った(清算)後に、購入が済んだことの確認用として店員が買物客の手提げにタグを取り付けることが考えられる。かかるタグとしては、帯状の紙製シートの両端部を接着剤等により貼り合わせループ(輪)状にした状態で手提げに取り付け使用するものが想定される。これによれば、タグの有無に基づいて手提げに入った商品が購入済みであるのか未購入であるのかを容易に判別できるため、店舗側では作業負荷の著しい増大を伴うことなく上記の手口による盗難を抑止することができる。
【0007】
ここで、手提げに取り付けられた上記のタグは、買物客により店外において破られ手提げから取り外された後廃棄されることが考えられるが、その一方かかる使用済みのタグが手提げから取り外された後、不正目的で再利用されるケースも想定される。例えば、未購入の商品が入った手提げに使用済みのタグを取り付けて、手提げ内の商品をあたかも購入済みであるかのように見せかけ店外に持ち出すといった不正行為が想定される。この場合、店舗側では多大な損害を被るおそれがあるため改善の必要がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、再利用を抑止することで再利用に伴う不正行為の抑制を図ることができる購入済確認用タグを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、第1の発明の購入済確認用タグは帯状に形成された基材シートと、該基材シートの裏面において少なくとも長手方向の端部に形成された粘着層とを備え、前記基材シートの長手方向両端部における裏面同士を前記粘着層により貼り合わせループ状にすることで、購入商品を入れるための手提げに対して取り付けられる購入済確認用のタグであって、前記粘着層により貼り合わせられる貼り合わせ部分となる前記基材シートの長手方向の端部には、前記貼り合わせ部分の剥離に伴って前記基材シートを破断に導く切り込みが設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、基材シートの長手方向の両端部が粘着層により貼り合わせられ基材シートがループ状をなすと、基材シートの長手方向の端部に設けられた切り込みが貼り合わせ部分に位置する。この場合、基材シートの貼り合わせ部分が剥がされると、基材シートにおける切り込みの周辺部が対向する基材シートの裏面に貼り付けられたままそれ以外の部分の剥離が進行する等して、基材シートが切り込みをきっかけとして破断に導かれる。そのため、基材シートが不正目的で剥がされた場合でも基材シートが剥がされたことを痕跡として残すことができ、その結果タグの再利用に対して抑止力を発揮することができる。よって、タグの再利用に伴う不正行為の抑制を図ることができる。
【0011】
第2の発明の購入済確認用タグは、第1の発明において、前記切り込みが、シート面の正面視において当該切り込みの開放端が存在する形状に形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、開放端が存在する形状で切り込みが形成されていることから、その開放端を契機として基材シートを不規則に破断させることができる。これにより、破断部分を繋ぎ合せる等してタグを当初の状態に復元するのを困難とすることができるため、タグの再利用に対する抑止力を高めることができる。
【0013】
第3の発明の購入済確認用タグは、第1又は第2の発明において、前記基材シートには、前記切り込みがシート面の正面視において凸状に設けられており、前記基材シートにおける前記切り込みにより囲まれた部分が前記貼り合わせ部分の剥離に伴い捲れ上がることで小片部が形成されることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、基材シートの貼り合わせ部分が剥がされると、基材シートにおける凸状の切り込みにより囲まれた部分が対向する基材シートの裏面に貼り付けられたまま捲れ上がり、その結果小片部が形成される。この場合、小片部が捲れ上がったままの状態で貼り合わせ部分の剥離が進行するため、切り込みをきっかけとした基材シートの破断が促進される。そのため、基材シートが不正目的で剥がされた場合には、その痕跡をより確実に残すことができる。
【0015】
第4の発明の購入済確認用タグは、第3の発明において、前記切り込みは、その凸部を前記基材シートの長手方向における中央側に向けて設けられている第一切り込みであることを特徴とする。
【0016】
基材シートの貼り合わせ部分が不正目的で剥がされる場合、剥がし易さの点からすると、基材シートのループ部分が引っ張られる等して貼り合わせ部分の基端側(換言するとループ側)から剥がされる可能性が高い。そこで、本発明では、その点に着目し、基材シートに、切り込み(つまり第一切り込み)をその凸部が基材シートの長手方向中央側を向くように設けることで、基材シートのループ形成時において第一切り込みの凸部が貼り合わせ部分の基端側(換言するとループ側)を向くようにしている。この場合、第一切り込みにより囲まれた部分は貼り合わせ部分の基端側からの剥離によって捲れ上がり易くなるため、貼り合わせ部分がその基端側から剥がされた場合において基材シートを破断させ易くすることができ、ひいてはその痕跡を残し易くすることができる。したがって、この場合、上記第1の発明の効果を効果的に得ることができる。
【0017】
第5の発明の購入済確認用タグは、第4の発明において、前記基材シートには、前記切り込みとして、前記第一切り込みに加え第二切り込みが設けられ、前記第二切り込みは、その凸部を前記基材シートの長手方向における中央側とは反対側に向けて設けられていることを特徴とする。
【0018】
上述したように基材シートの貼り合わせ部分が不正目的で剥がされる場合、貼り合わせ部分の基端側から剥がされる可能性が高いが、貼り合わせ部分の先端側から剥がし取られる場合も想定される。そこで、本発明では、基材シートに、上記第一切り込みに加え、凸部が基材シートの長手方向における中央側とは反対側を向くように第二切り込みを設けることとしている。この場合、基材シートのループ形成時には第二切り込みの凸部が貼り合わせ部分の先端側を向くため、第二切り込みにより囲まれた部分は貼り合わせ部分の先端側からの剥離によって捲れ上がり易くなる。そのため、貼り合わせ部分がその先端側から剥がされた場合に基材シートを破断させ易くすることができ、ひいてはその痕跡を残し易くすることができる。つまり、この場合、基材シートが貼り合わせ部分の基端側及び先端側のいずれから剥がされた場合でも、その痕跡を残し易くすることができるため、上記第1の発明の効果をより確実に得ることができる。
【0019】
第6の発明の購入済確認用タグは、第5の発明において、前記第一切り込みと前記第二切り込みとが前記基材シートの長手方向における同じ側の端部に設けられており、前記第一切り込みが、前記第二切り込みよりも前記基材シートの長手方向中央側に配置されていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、第一切り込みが第二切り込みよりも基材シートの長手方向中央側に配置されているため、基材シートのループ形成時においては、第一切り込みが第二切り込みよりも貼り合わせ部分の基端側に配置される。つまり、この場合、これら各切り込みの間の部位(以下、切り込み間部という)に対して、貼り合わせ部分の基端側に第一切り込みが配置され、貼り合わせ部分の先端側に第二切り込みが配置されるため、切り込み間部が貼り合わせ部分の基端側から剥がされた場合には第一切り込みにより囲まれた部分が捲れ上がり易く、切り込み間部が貼り合わせ部分の先端側から剥がされた場合には第二切り込みにより囲まれた部分が捲れ上がり易い。そのため、切り込み間部が貼り合わせ部分の基端側及び先端側のいずれから剥がされても、小片部の形成を促進することができ、ひいては基材シートの破断を促進することができる。したがって、基材シートが剥がされた場合にはその痕跡をより確実に残すことができるため、上記第1の発明の効果をより一層確実に得ることができる。
【0021】
第7の発明の購入済確認用タグは、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記切り込みが、前記基材シートの長手方向に沿って所定間隔で複数設けられていることを特徴とする。
【0022】
基材シートの貼り合わせ部分が不正目的で剥がされる場合、剥がし易さの点からすると、基材シートの幅方向に沿って剥がされるよりも基材シートの長手方向に沿って剥がされる可能性が高い。そこで、本発明では、その点に着目し、切り込みを基材シートの長手方向に沿って所定間隔で複数設けることで、基材シートの長手方向両端部が貼り合わせられた場合に貼り合わせ部分の基端側から先端側に向かって切り込みが所定間隔で複数配置されるようにしている。これにより、基材シートの貼り合わせ部分が基材シートの長手方向に沿って剥がされた場合には、複数の切り込みをきっかけとして基材シートを破断に導くことができるため、上記の効果をより確実に得ることが期待できる。
【0023】
第8の発明の購入済確認用タグは、第7の発明において、前記切り込みが、前記基材シートの幅方向に沿って所定間隔で複数設けられていることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、切り込みが基材シートの幅方向に沿って複数設けられているため、切り込みを基材シートの幅方向において所定範囲にわたり設ける場合には、切り込みを基材シートの幅方向に一つだけ設ける構成と比べ切り込みの大きさを小さくすることができる。そのため、切り込みをきっかけとして基材シートが破断しないように貼り合わせ部分を剥がすのを困難とすることができ、その結果基材シートを破断に導き易くすることができる。
【0025】
また、本構成では、切り込みが基材シートの長手方向に沿っても複数設けられているため、切り込みを基材シートの長手方向の端部全域にわたって配置することが可能となる。そのため、切り込みをきっかけとして基材シートを破断に導く可能性を高めることができる。
【0026】
さらに、本構成によれば、基材シートの長手方向両端部を貼り合わせた際に、一方の端部が他方の端部に対し基材シートの長手方向または幅方向にはみ出した場合でも、複数の各切り込みのうち少なくとも一部の切り込みを貼り合わせ部分に位置させることが可能となる。そのため、基材シートの貼り合わせの精度に依存することなく上記第1の発明の効果を得ることができる利点もある。
【0027】
第9の発明の購入済確認用タグは、第1乃至第8のいずれかの発明において、前記基材シートの長手方向における中間部には、前記基材シートを幅方向に沿って破断するための易破断部が設けられていることを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、基材シートの長手方向における中間部に易破断部が設けられているため、基材シートのループ形成時には易破断部が基材シートのループした部分(つまり貼り合わせ部分とは異なる部分)に位置する。したがって、基材シートを易破断部において破ることによりタグを手提げから容易に取り外すことができる。また、基材シートを破る場合には、基材シートにおける易破断部を挟んだ両側部分を持って破ることが考えられる。そこで、その点に着目すれば、易破断部は基材シートの長手方向における略中央部に設けられているのが望ましい。この場合、基材シートにおける易破断部を挟んだ両側部分を比較的広く確保できるため、基材シートを破るに際して利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】購入済確認用タグを示す平面図。
【図2】購入済確認用タグの表面に表示された表示内容を示す平面図。
【図3】購入済確認用タグを示す断面図。
【図4】タグロールを示す斜視図。
【図5】購入済確認用タグをかごに取り付けた状態を示す斜視図。
【図6】購入済確認用タグの貼り合わせ部分周辺を示す図。
【図7】購入済確認用タグが剥がされる場合の作用を説明するための説明図。
【図8】別例における購入済確認用タグを示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。本実施の形態では、購入商品を入れるために買物客自らが持参する手提げに対して取り付けられる購入済確認用タグについて具体化している。なお、図1は、本実施形態における購入済確認用タグを示す平面図、図2は購入済確認用タグの表面に表示された表示内容を示す平面図、図3は購入済確認用タグを示す断面図である。但し、図3では説明の便宜上、厚み寸法を実際の厚み寸法よりも大きく示している。
【0031】
図1に示すように、購入済確認用タグ10(以下、略してタグという)は、帯状に形成されたシート材11(基材シートに相当)よりなる。シート材11は、白色の紙(例えば上質紙)により形成されており、本実施形態ではその大きさが長さ203mm、幅30mmに設定されている。シート材11の表面は赤色に着色されている。したがって、シート材11の表面と裏面とは異なった色となっている。また、図2に示すように、シート材11の表面には、赤地の一部が白抜きされることで文字や図柄等が表示されている。具体的には、「マイバッグのご利用ありがとうございます」の文字とタグの取り付け方を示す図柄とが表示されている。本実施形態では、タグの取り付け方を示す図柄がシート材11の長手方向両端部に表示されており、後述する切り込み14と重なるようにして配置されている。
【0032】
図3に示すように、シート材11の裏面には粘着層13が形成されている。粘着層13は、シート材11の裏面全域にわたって形成されている。粘着層13は、接着剤が塗布されることにより形成されており、本実施形態では、特に接着剤同士でのみ粘着力が発生する特殊な接着剤(例えばエマルジョン接着剤)が塗布されている。そのため、本シート材11は、この粘着層13により裏面同士でのみ貼り合わせが可能となっており、裏面と表面とが貼り合わせられないようになっている。また、この特殊な接着剤を用いることで、シート材11は、他の物品に対しても貼り付くことがないようになっている。
【0033】
シート材11の長手方向の両端部にはそれぞれ切り込み14が複数設けられている。本実施形態のタグ10は、シート材11にこの切り込み14が設けられている点に特徴を有しており、以下その詳細について説明する。
【0034】
切り込み14は、シート材11の長手方向の両端部においてそれぞれ、同方向に沿って所定間隔で複数列(図1では3列)設けられており、かつ、これら各列においてそれぞれシート材11の幅方向に所定間隔で複数ずつ設けられている。詳細には、上記複数列のうち、シート材11の長手方向の中央側に配置された内側列17a(図1における破線枠内の列)と、内側列17aの隣の中央列17b(図1における一点鎖線枠内の列)とには、切り込み14がそれぞれ3つずつ設けられており、シート材11の長手方向の端部側に配置された外側列17c(図1における二点鎖線枠内の列)には、切り込み14が2つ設けられている。内側列17a及び中央列17bの各切り込み14は、それぞれシート材11の長手方向に沿って横並びに配置されており、外側列17cの各切り込み14はシート材11の幅方向において中央列17bの各切り込み14の中間位置に配置されている。
【0035】
切り込み14は、シート材11のシート面の正面視において略U字状に設けられており、シート材11を厚み方向に貫通している。より詳しくは、切り込み14はU字状に沿って連続的に設けられている。また、本実施形態では、切り込み14として、その円弧部19(凸部に相当)がシート材11の長手方向中央側を向くように設けられた第一切り込み14aと、その円弧部19がシート材11の長手方向中央側とは反対側を向くように設けられた第二切り込み14bとを有している。ここで、第一切り込み14aが内側列17a及び外側列17cに配置され、第二切り込み14bが中央列17bに配置されている。
【0036】
シート材11における切り込み14により囲まれた部分は、小片部15となっている。以下の説明では、小片部15のうち、第一切り込み14aにより囲まれた小片部15を第一小片部15aといい、第二切り込み14bにより囲まれた小片部15を第二小片部15bという。
【0037】
以上のように、本実施形態ではシート材11の長手方向の両端部にそれぞれ同じ数かつ同じ並びで複数の切り込み14が設けられており、詳細にはそれらシート材11の各端部に設けられた切り込み14群がシート材11の長手方向における中央位置に対して略対称に配置されている。
【0038】
シート材11の長手方向における略中央部には、ミシン目18が形成されている。ミシン目18は、シート材11の幅方向に沿って同方向全域にわたって形成されている。
【0039】
次に、上記のタグ10が複数連接されることにより構成されるタグロール20について説明する。図4には、そのタグロール20の斜視図を示す。タグロール20は、図4に示すように、複数のタグ10が切り取り線21(例えばミシン目よりなる)を介して直列に連接されることにより構成された長尺状のタグ集合体であり、軸芯22に対してロール状に巻き付けられている。本タグ10は、このタグロール20の状態で工場にて製造され、各店舗に納品される。そして、店舗ではタグロール20からタグ10が切り取り線21に沿って切り取られ使用される。
【0040】
なお、本実施形態では、上述したように特殊な接着剤によりタグ10の粘着層13が形成され、シート材11の表面と裏面とが接着しないようになっているため、タグロール20の状態において重なり合うタグ10同士が接着することがないようになっている。
【0041】
次に、本タグ10の作用について説明する。
【0042】
まず、本タグ10が、買物用の手提げとして買物客自らが持参するかごに取り付けられる場合の作用について図5を参照しつつ説明する。なお、図5は、タグ10をかごに取り付けた状態を示す斜視図である。
【0043】
図5に示すように、かご30は、一対の取っ手30aを有する樹脂製の手提げかごであり、買物客は購入商品をこのかご30の中に入れてレジまで持ち運ぶ。店舗では、レジにおいて購入商品の清算が済んだ後等に、店員により本タグ10がかご30の取っ手30aに取り付けられる。この場合、タグ10は、長手方向両端部の裏面同士が粘着層13により貼り合わせられループ状とされた状態で取っ手30aに取り付けられる。より詳細には、タグ10は、一対の取っ手30aを囲むようにして取り付けられる。これにより、店舗側ではかご30に入った商品が購入済みであることを容易に把握することができる。
【0044】
そして、かご30に取り付けられた上記タグ10は、かご30が店外に持ち出された後(例えば自宅に着いた後)、かご30から取り外される。この場合、タグ10は、例えばミシン目18に沿って破れられる等することでかご30から取り外される。
【0045】
続いて、かご30に取り付けられたタグ10がその貼り合わせ部分において剥がされる場合の作用について図6及び図7を参照しつつ説明する。図6は、(a)がタグ10の貼り合わせ部分周辺を示す断面図であり、(b)がタグ10の貼り合わせ部分のシート面を示す図である。図7は、タグ10が剥がされる場合の作用を説明するための説明図であり、(a)及び(c)がタグ10全体を示す模式図、(b)及び(d)が小片部15が捲れ上がった状態を示す断面図である。なお、図6及び図7では便宜上、粘着層13の図示を省略している。また、図6(a)は、図6(b)のA−A線断面図である。
【0046】
図6(a)に示すように、シート材11の長手方向の両端部が貼り合わせられタグ10がループ状をなしている場合には、シート材11の長手方向両端部に設けられた各切り込み14(及び各小片部15)がシート材11の貼り合わせ部分11aに位置する。そのため、この場合には、各小片部15がそれぞれ対向するシート材11の裏面に貼り付けられた状態となっている。
【0047】
具体的には、図6(b)に示すように、各切り込み14のうち、内側列17aの第一切り込み14aが貼り合わせ部分11aの基端側に位置し、中央列17bの第二切り込み14bが貼り合わせ部分11aの中間部(基端側と先端側との間)に位置し、外側列17cの第一切り込み14aが貼り合わせ部分11aの基端側に位置している。そして、第一切り込み14aの円弧部19がシート材11の貼り合わせ部分11aの基端側(ループ側)を向いており、第二切り込み14bの円弧部19が当該貼り合わせ部分11aの先端側を向いている。したがって、シート材11のループ形成時には、第一小片部15aが当該貼り合わせ部分11aの基端側から捲り上げ易くなっている一方、第二小片部15bが当該貼り合わせ部分11aの先端側から捲り上げ易くなっている。
【0048】
ここで、タグ10の貼り合わせ部分11aを剥がす場合には、例えば図7(a)に示すように、タグ10のループした部分11bを引っ張る等することで貼り合わせ部分11aをその基端側(ループ側)から先端側に向かって剥がすことが考えられる。この場合、図7(b)に示すように、貼り合わせ部分11aの基端側では、内側列17aの第一小片部15aが対向するシート材11の裏面に貼り付けられたまま捲れ上がり、その捲れ上がった状態で貼り合わせ部分11aの剥離が進行する。そのため、内側列17aの第一切り込み14aをきっかけとしてシート材11の破断が促進され、その結果その破断された部分がシート材11が剥がされたことの痕跡として同シート材11に残される。
【0049】
なお、仮にシート材11が内側列17aの第一切り込み14aにおいて破断されなかったとしても、貼り合わせ部分11aの先端側には外側列17cの第一切り込み14aが設けられているため、外側列17cの第一切り込み14a(及び第一小片部15a)において上記同様の作用が働く。したがって、貼り合わせ部分11aがその基端側から剥がされた場合には、その痕跡がより確実に残されるようになっている。
【0050】
また、タグ10の貼り合わせ部分11aを剥がす場合には、図7(c)に示すように、貼り合わせ部分11aをその先端側から基端側に向かって剥がすことも考えられる。この場合、図7(d)に示すように、貼り合わせ部分11aの中間部において、中央列17bの第二小片部15bが対向するシート材11の裏面に貼り付けられたまま捲れ上がり、その捲れ上がった状態で貼り合わせ部分11aの剥離が進行する。そのため、(中央列17bの)第二切り込み14bをきっかけとしてシート材11の破断が促進され、その結果その破断された部分がシート材11が剥がされたことの痕跡として同シート材11に残される。
【0051】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0052】
シート材11の長手方向の両端部には、シート面の正面視においてU字状に切り込み14を設けることにより小片部15を形成した。この場合、シート材11のループ形成時においては、小片部15がシート材11の貼り合わせ部分11aに位置し、対向するシート材11の裏面に貼り付けられる。ここで、シート材11の貼り合わせ部分11aが剥がされると、例えば小片部15が対向するシート材11の裏面に貼り付けられたまま捲れ上がり、その捲れ上がったままの状態で貼り合わせ部分11aの剥離が進行するため、切り込み14をきっかけとして切り込み14の端部からシート材11の破断が促進される。したがって、シート材11が不正目的で剥がされた場合でも、シート材11が剥がされたことを痕跡として残すことができるため、タグ10の再利用に対して抑止力を発揮することができる。これにより、タグ10の再利用に伴う不正行為の抑制を図ることができる。
【0053】
シート材11の貼り合わせ部分11aが不正目的で剥がされる場合、剥がし易さの点からすると、貼り合わせ部分11aの基端側(ループ側)から剥がされる可能性が高い。そこで、上記構成では、この点に着目し、シート材11に、切り込み14(つまり第一切り込み14a)をその円弧部19がシート材11の長手方向中央側を向くよう設けることで、シート材11のループ形成時において第一切り込み14aの円弧部19が貼り合わせ部分11aの基端側を向くようにしている。この場合、第一切り込み14aにより囲まれた第一小片部15aは貼り合わせ部分11aの基端側からの剥離によって捲れ上がり易くなるため、貼り合わせ部分11aがその基端側から剥がされた場合においてシート材11を破断させ易くすることができ、ひいてはその痕跡を残し易くすることができる。したがって、この場合、上記の効果を得るために効果的であると言える。
【0054】
また、シート材11には、上記第一切り込み14aに加え、円弧部19がシート材11の長手方向中央側とは反対側を向くように第二切り込み14bを設けた。この場合、シート材11のループ形成時において第二切り込み14bの円弧部19が貼り合わせ部分11aの先端側を向くため、第二切り込み14bにより囲まれた第二小片部15bは貼り合わせ部分11aの先端側からの剥離によって捲れ上がり易くなる。そのため、貼り合わせ部分11aがその先端側から剥がされた場合においてシート材11を破断させ易くすることができ、ひいてはその痕跡を残し易くすることができる。つまり、この場合、シート材11が貼り合わせ部分11aの基端側及び先端側のいずれから剥がされた場合でも、その痕跡を残し易くすることができるため、上記の効果をより一層確実に得ることができる。
【0055】
シート材11の長手方向に隣り合う内側列17aの第一小片部15aと中央列17bの第二小片部15bとを、互いの円弧部が反対側を向くように設けた。ここで、シート材11の貼り合わせ部分11aのうちこれら小片部15a,15b同士の間の部位をシート材11の長手方向に沿って剥がし取る場合には、各小片部15a,15bのうちのいずれかが対向するシート材11の裏面に貼り付けられた状態で捲り上げられることとなる。したがって、この場合、より一層確実に上記の効果を得ることができる。
【0056】
第一切り込み14aを第二切り込み14bよりもシート材11の長手方向中央側に配置したため、シート材11のループ形成時には、第一切り込み14aが第二切り込み14bよりも貼り合わせ部分11aの基端側に配置される。つまり、この場合、これら各切り込み14a,14bの間の部位(以下、切り込み間部という)に対して、その貼り合わせ部分11aの基端側に第一切り込みが14a配置され、貼り合わせ部分11aの先端側に第二切り込み14bが配置されるため、切り込み間部が貼り合わせ部分11aの基端側から剥がされた場合には第一小片部15aが捲れ上がり易く、切り込み間部が貼り合わせ部分の先端側から剥がされた場合には第二小片部15bが捲れ上がり易い。そのため、切り込み間部が貼り合わせ部分11aの基端側及び先端側のいずれから剥がされてもシート材11の破断を促進することができ、その結果シート材11が剥がされた場合にその痕跡をより確実に残すことができる。よって、上記の効果をより一層確実に得ることができる。
【0057】
シート材11の貼り合わせ部分11aが不正目的で剥がされる場合、剥がし易さの点からすると、シート材11の幅方向に沿って剥がされるよりもシート材11の長手方向に沿って剥がされる可能性が高い。そこで、上記構成では、その点に着目し、切り込み14をシート材11の長手方向に沿って所定間隔で複数設けることで、シート材11の長手方向両端部が貼り合わせられた場合に貼り合わせ部分11aの基端側から先端側に向かって切り込み14が所定間隔で複数配置されるようにしている。これにより、シート材11の貼り合わせ部分11aがシート材11の長手方向に沿って剥がされた場合には、複数の切り込み14をきっかけとしてシート材11を破断に導くことができるため、上記の効果をより確実に得ることが期待できる。
【0058】
切り込み14をシート材11の幅方向に沿って複数設けたため、切り込み14をシート材11の幅方向において所定範囲にわたり設ける場合には、切り込み14をシート材11の幅方向に一つだけ設ける構成と比べ切り込み14の大きさを小さくすることができる。そのため、切り込み14をきっかけとしてシート材11が破断しないように貼り合わせ部分11aを剥がすのを困難とすることができ、その結果シート材11を破断に導き易くすることができる。
【0059】
また、切り込み14をシート材11の長手方向に沿って複数設けるとともにシート材11の幅方向に沿って複数設けたため、切り込み14をシート材11の長手方向の端部全域にわたって配置することができる。この場合、切り込み14をきっかけとしてシート材11を破断に導く可能性を高めることができる。さらに、かかる構成によれば、シート材11の長手方向両端部を貼り合わせた際に、一方の端部が他方の端部に対しシート材11の長手方向または幅方向にはみ出したとしても、複数の各切り込み14のうち少なくとも一部の切り込み14を貼り合わせ部分11aに位置させることが可能となる。そのため、シート材11の貼り合わせの精度に依存することなく上記の効果を得ることができる利点もある。
【0060】
切り込み14は、切り込み端(開放端)を有する形状に形成されているため、切り込み端を契機としてシート材11を不規則に破断させることが可能である。これにより、破断箇所を目立たせることができるとともにシート材11を当初の状態に復元するのを困難にすることができるため、タグ10の再利用に対する抑止力を高めることができる。
【0061】
切り込み14をシート材11の端縁部に達しないように設けたため、例えばシート材11を不意に引っ張る等してシート材11がその端部の切り込み14から意に反して破断するといった不都合を抑制することができる。
【0062】
接着剤同士でのみ粘着力が発生する特殊な接着剤を用いて粘着層13を形成したため、本タグ10はかご30等の他の物品に付着することがなく、その取り扱いに際して便利である。また、他の物品に付着したタグ10を剥がし取る際に、意に反して小片部15が捲れ上がるといった不都合を回避することもできる。
【0063】
シート材11の長手方向における略中央部には、同シート材11の幅方向に沿ってミシン目18を形成した。この場合、シート材11のループ形成時においてミシン目18がシート材11のループ部分11bに位置するため、シート材11をミシン目18に沿って破ることによりタグ10をかご30から容易に取り外すことができる。また、ミシン目18がシート材11の長手方向における略中央部に形成されているため、シート材11のループ形成時にはシート材11のミシン目18を挟んだ両側部分を比較的広く確保できる。そのため、シート材11を破るに際して利便性を高めることができる。
【0064】
シート材11を紙により形成したため、ミシン目18以外の部分においてもシート材11を破ることができる。これにより、タグ10をかご30から取り外す際の自由度を高めることができる。
【0065】
シート材11の表面を赤色に着色することでシート材11の表面と裏面との色を異ならせたため、シート材11が不正目的で剥がされ再利用された場合でも、シート材11の破断部分を通して露出されるシート材11の裏面部分を目立たせることができる。これにより、タグ10の再利用に対する抑止力を高めることができる。
【0066】
シート材11の表面には、切り込み14に重なるようにしてタグの取り付け方を示す図柄を表示したため、シート材11が不正目的で剥がされ再利用された場合でも、図柄のずれにより破断部分を目立たせることができる。これにより、タグ10の再利用に対する抑止力を高めることができる。なお、タグの取り付け方を示す図柄に代えて、他の図柄を表示してもよいし、また文字を表示してもよい。要は、視認可能な識別表示が切り込み14に重なるように表示されていればよい。
【0067】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0068】
(1)上記実施形態では、シート材11にU字状の切り込み14を設けることで小片部15を形成したが、切り込み14の形状はU字形状に限定されることはなく、その他の凸形状であってもよい。例えば、図8(a)に示すようにシート材11にコ字状の切り込み31を設けることで小片部32を形成してもよいし、図8(b)に示すように頂点のある山形の切り込み33を設けることで小片部34を形成してもよい。
【0069】
(2)上記実施形態では、切り込み14として、円弧部19がシート材11の長手方向の中央側を向く第一切り込み14aと、円弧部19が同方向の端部側を向く第二切り込み14bとを設けたが、これに代えて又は加えて、円弧部19がシート材11の長手方向以外を向くように切り込みを設けてもよい。例えば、図8(c)に示すように、円弧部19がシート材11の幅方向を向くように切り込み14c,14dを設けることが考えられる。この場合、切り込み14c,14dにより囲まれた小片部15c,15dをシート材11の幅方向に沿って剥離することにより捲れ上がり易くすることができるため、シート材11が幅方向に沿って剥がされた場合にその痕跡をより確実に残すことができる。
【0070】
また、シート材11の隅部11cにおいて、円弧部19が当該隅部11cの先端側(詳細にはシート材11の隣り合う二辺の頂点)を向くように切り込み14e,14fを設けてもよい。例えば、シート材11を貼り合わせ部分11aの先端側から剥がす場合には、剥がし易さの点からするとまず隅部11cの先端側から剥がし始めることが考えられるが、この場合、隅部11c先端側からの剥離によって切り込み14e,14fにより囲まれた小片部15e,15fを捲れ上がり易くすることができる。そのため、貼り合わせ部分11aが隅部11cの先端側から剥がされた場合に、その痕跡を残し易くすることができる。
【0071】
さらに、シート材11には、円弧部19の向きが異なる各切り込み14a〜14fを混在させて設けてもよいし、円弧部19が特定の方向を向く切り込み14だけ(例えば切り込み14aだけ)を設けるようにしてもよい。
【0072】
(3)上記実施形態では、切り込み14をシート材11の長手方向に沿って3列設けたが、切り込み14の列数は任意としてよい。例えば、図8(d)に示すように、切り込み14の列を一列にしてもよい。この場合、切り込み14の列を削減した分シート材11の大きさを小さくすることができるため、コスト的に有利である。また、切り込み14の列を一列とした場合には、当該列に第一切り込み14aと第二切り込み14bとを混在させるのが望ましい。そうすれば、シート材11が貼り合わせ部分11aの基端側から剥がされた場合には第一切り込み14aを、当該部分11aの先端側から剥がされた場合には第二切り込み14bを捲れ上がり易くすることができるため、基端側及び先端側のいずれから剥がされた場合にもシート材11を破断させ易くすることができる。したがって、かかる一列の構成においても、シート材11が剥がされたことの痕跡をより確実に残すことができる。
【0073】
また、上記実施形態では、切り込み14をシート材11の幅方向に沿って2個(外側列17c)あるいは3個(内側列17a,中央列17b)設けたが、その数は任意としてよい。例えば、シート材11の幅方向に1個だけ切り込み14を設ける構成としてもよい。この場合、シート材11の幅方向に複数の切り込み14を設ける構成と比べ、切り込み14を設けることによるシート材11の引っ張り強度等の低減を抑制することができる。
【0074】
さらに、切り込み14は必ずしもシート材11の長手方向又は幅方向に沿って並べる必要はなく、その並べ方は任意である。例えば、切り込み14を千鳥状に配置したり、シート材11の長手方向に対して斜め方向に並べたりする等その他の並びで配置してもよい。
【0075】
(4)切り込み14の個数については必ずしも上記実施形態と同様である必要はなく、任意である。なお、切り込み14の個数は1つでもよい。また、切り込み14の大きさについても任意であり、各切り込みの大きさを同じにしてもよいし異ならせてもよい。
【0076】
(5)上記実施形態では、シート材11の長手方向の両端部に設けた複数の切り込み14をシート材11の長手方向における中央位置に対して略対称に配置したが、これを変更して、非対称に配置してもよい。また、シート材11の長手方向の両端部においてそれぞれ切り込み14の設け方(並び、数、形状など)を異ならせてもよい。例えばシート材11の長手方向の一端部には図8(c)に示すように切り込み14を設ける一方、シート材11の長手方向の他端部には図8(d)に示すように切り込み14を設けることが考えられる。
【0077】
(6)上記実施形態では、切り込み14をシート材11の長手方向の両端部に形成したが、シート材11の長手方向の一端部にのみ形成してもよい。また、切り込み14をシート材11の長手方向の端部に加え、シート材11の長手方向における中間部に設けるようにしてもよい。
【0078】
(7)上記実施形態では、シート材11に切り込み14をU字状に連続的に設けることにより小片部15を形成したが、これを変更してもよい。例えば、図8(e)に示すように、切り込み36をU字状に断続的(例えばミシン目状)に設けることで、シート材11の貼り合わせ部分11aが剥離される際に、切り込み36により囲まれた部分(以下、囲み部分37という)が対向するシート材11の裏面に貼り付けられた状態で捲れ上がり小片部が形成されるようにしてもよい。この場合においても、上記実施形態と同様、囲み部分37が捲れ上がったままの状態で(つまり小片部が形成された状態で)貼り合わせ部分11aの剥離が進行するため、シート材11の破断を促進させることができる。また、意に反して囲み部分37が捲れ上がるのを抑制する効果も得ることができる。
【0079】
さらに、この場合においては、図8(e)に示すように、切り込み36をシート材11の長手方向に沿って長尺状に設けるのが望ましい。そうすれば、上記囲み部分37の面積を大きくすることができるため、囲み部分37が対向するシート材11の裏面に貼り付けられる貼り付け面積を大きくすることができる。したがって、囲み部分37を対向するシート材11の裏面に対してより確実に貼り付けることができ、その結果貼り合わせ部分11aの剥離に伴い囲み部分37を捲れ上がり易くすることができる。これにより、囲み部分37の捲れ上げに伴うシート材11の破断をより確実に導くことができる。
【0080】
(8)上記実施形態では、複数の各切り込み14をそれぞれ他の切り込み14と連続させないように設けたが、これを変更して、複数の切り込み14を連続させるように設けてもよい。例えば、図8(f)に示すように、第一切り込み14aと第二切り込み14bとを連続させることにより全体として略S字状の切り込み38を設けることが考えられる。この場合においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0081】
(9)上記実施形態では、シート材11を厚み方向に貫通するように切り込み14を設けたが、これを変更して、シート材11を厚み方向に貫通しないように切り込みを設けてもよい。要は、貼り合わせ部分11aの剥離に伴い、切り込みにより囲まれた部分(以下、囲み部分という)が捲れ上がるようにすればよい。そうすれば、囲み部分の捲れ上げに伴うシート材11の破断を導くことができる。また、この場合、囲み部分が意に反して捲れ上がるのを抑制する効果も得られる。
【0082】
(10)上記実施形態では、切り込み14を凸状(詳細にはU字状)に設けたが、切り込みは必ずしも凸状に設ける必要はなく、その他の形状でもよい。例えば、図8(g)に示すように、切り込み39,40を直線状に設けることが考えられる。図8(g)では、切り込み39,40として、シート材11の幅方向に沿って設けられた切り込み39と、シート材11の長手方向に対して斜め方向に設けられた切り込み40とが設けられている。この場合、シート材11が長手方向に沿って剥がされると、例えば切り込み39をきっかけとしてシート材11を破断に導くことができるため、シート材11が剥がされたことを痕跡として残すことができる。また、シート材11の端縁部に達するようにして切り込み39aを設けてもよい。
【0083】
さらには、切り込み41を十字形状に設けてもよい。この場合、シート材11が長手方向及び幅方向のいずれに沿って剥がされても、切り込み41をきっかけとしてシート材11を破断に導くことができ、その結果シート材11が剥がされたことを痕跡として残すことができる。
【0084】
(11)上記実施形態では、接着剤同士でのみ粘着力が発生する特殊な接着剤を用いて粘着層13を形成したが、粘着層13を形成するためには必ずしもかかる特殊な接着剤を用いる必要はなく、アクリル水溶性接着剤,溶剤系接着剤,ホットメルト接着剤等一般的な接着剤を用いてもよい。また、一般的な接着剤により粘着層13を形成する場合には、シート材11の裏面における長手方向の一端部にのみ粘着層13を形成してもよい。この場合でも、シート材11の長手方向の両端部を貼り合わせてタグ10をループ状に形成することができる。さらに、上記実施形態では、シート材11の裏面全域に粘着層13を形成したが、これを変更して、シート材11の裏面における長手方向の両端部にのみ粘着層13を形成してもよい。そうすれば、接着剤の使用量を削減できるためコスト的に有利である。
【0085】
(12)上記実施形態では、シート材11にミシン目18を形成したが、これを変更して、シート材11に切り欠きを形成してもよい。具体的には、図8(h)に示すように、シート材11の長手方向の略中央部における幅方向の端部に切り欠き43を形成する。この場合、シート材11のループ形成時には切り欠き43がシート材11のループ部分11bに位置するため、切り欠き43をきっかけとしてシート材11を破ることによりタグ10をかご30から容易に取り外すことができる。
【0086】
また、シート材11にミシン目18を形成しない構成としてもよい。この場合においても、シート材11が紙により形成されているため、シート材11を破ってタグ10をかご30から取り外すことが可能である。さらに、シート材11をミシン目18ではない部分で破る場合には、ミシン目18に沿って破る場合とは異なり、シート材11の破れ目が不規則となるため、タグ10の破断部分を繋ぎ合せて再利用を図る不正行為を抑制する効果もある。
【0087】
(13)上記実施形態では、シート材11を紙により形成したが、合成樹脂等その他の材料により形成してもよい。但し、シート材11を破断に導くことによりシート材11が剥がされたことの痕跡を残し、これによりタグ10の再利用の抑制を図るという本発明の性質上、シート材11は破れ易い材料により形成するのが好ましい。
【0088】
(14)上記実施形態では、手提げとしてのかご30にタグ10を取り付ける場合を例に説明したが、タグ10はかご以外の手提げに取り付けてもよく、例えばバッグや袋に取り付けてもよい。また、上記実施形態では、タグ10をかご30の取っ手30aに取り付けたが、取っ手30a以外の部分に取り付けてもよい。例えば、かご30の本体部(つまり購入商品が入れられる部分)に複数設けられた孔部(図4参照)を利用してタグ10を取り付けることが考えられる。さらに、上記実施形態では、タグ10を一対の取っ手30aを囲むようにして取り付けたが、片方の取っ手30aにのみ取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0089】
10…購入済確認用タグ、11…基材シートとしてのシート材、13…粘着層、14…切り込み、14a…第一切り込み、14b…第二切り込み、15…小片部、15a…第一小片部、15b…第二小片部、18…易破断部としてのミシン目、19…凸部としての円弧部、30…手提げとしてのかご、43…易破断部としての切り欠き。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状に形成された基材シートと、該基材シートの裏面において少なくとも長手方向の端部に形成された粘着層とを備え、前記基材シートの長手方向両端部における裏面同士を前記粘着層により貼り合わせループ状にすることで、購入商品を入れるための手提げに対して取り付けられる購入済確認用のタグであって、
前記粘着層により貼り合わせられる貼り合わせ部分となる前記基材シートの長手方向の端部には、前記貼り合わせ部分の剥離に伴って前記基材シートを破断に導く切り込みが設けられていることを特徴とする購入済確認用タグ。
【請求項2】
前記切り込みが、シート面の正面視において当該切り込みの開放端が存在する形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の購入済確認用タグ。
【請求項3】
前記基材シートには、前記切り込みがシート面の正面視において凸状に設けられており、
前記基材シートにおける前記切り込みにより囲まれた部分が前記貼り合わせ部分の剥離に伴い捲れ上がることで小片部が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の購入済確認用タグ。
【請求項4】
前記切り込みは、その凸部を前記基材シートの長手方向における中央側に向けて設けられている第一切り込みであることを特徴とする請求項3に記載の購入済確認用タグ。
【請求項5】
前記基材シートには、前記切り込みとして、前記第一切り込みに加え第二切り込みが設けられ、
前記第二切り込みは、その凸部を前記基材シートの長手方向における中央側とは反対側に向けて設けられていることを特徴とする請求項4に記載の購入済確認用タグ。
【請求項6】
前記第一切り込みと前記第二切り込みとが前記基材シートの長手方向における同じ側の端部に設けられており、
前記第一切り込みが、前記第二切り込みよりも前記基材シートの長手方向中央側に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の購入済確認用タグ。
【請求項7】
前記切り込みが、前記基材シートの長手方向に沿って所定間隔で複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の購入済確認用タグ。
【請求項8】
前記切り込みが、前記基材シートの幅方向に沿って所定間隔で複数設けられていることを特徴とする請求項7に記載の購入済確認用タグ。
【請求項9】
前記基材シートの長手方向における中間部には、前記基材シートを幅方向に沿って破断するための易破断部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の購入済確認用タグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−39146(P2011−39146A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184284(P2009−184284)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000102278)エーアールシー株式会社 (11)