説明

赤外線スイッチ装置

【課題】消費電力を低減した赤外線スイッチ装置を実現する。
【解決手段】 操作パネル上に複数設けられた所定位置に反射物が触れたか否かを判別する赤外線スイッチ装置において、
赤外線を照射する発光素子と、
この発光素子の赤外線を分配して導光し前記所定位置に照射する光分配器と、
前記所定位置ごとに設けられ、前記所定位置に反射物が触れたことにより反射される赤外線を受光する受光素子と、
この受光素子の受光量の多寡に基づいて前記所定位置に反射物が触れたか否かを判別する演算部と、
を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作パネル上に複数設けられた所定位置に反射物が触れたか否かを判別する赤外線スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
赤外線スイッチ装置は、ガラスの所定位置に赤外線を照射し、その所定位置に反射物が触れたことにより反射した赤外線を受光し、受光した赤外線の光量の多寡によってその所定位置に反射物が触れたか否かを判別するものである。
一般に、防爆仕様対応の測定機器では、機器の外部にエネルギーが排出されるおそれのある構造は採用できない。そのため、スイッチに関しては、押しボタン式スイッチは採用できず、赤外線の送受を利用した赤外線スイッチ装置が利用されている。
【0003】
図3は従来の赤外線スイッチ装置を用いた操作パネルの構成例を示す図であり、121a〜121cは赤外線を照射する発光素子、120a〜120cはこれらの発光素子をそれぞれ駆動する駆動回路、122a〜122cは赤外線を受光する受光素子、123a〜123cは受光素子122a〜122cの出力を赤外線の受光量に応じた電気信号に変換する受信回路、103は各種演算を行うCPU、104は操作パネルに設けられたLCD、105はLCD104のバックライトである。
【0004】
発光素子121a〜121cと受光素子122a〜122cはそれぞれ対になっており、また、操作パネルのガラス上の所定位置にそれぞれ対応している。駆動回路120a〜120cは発光素子121a〜121cを常時発光させ、それぞれ対応する所定位置に対して赤外線を照射させる。所定位置にユーザの指が触れると、その指が反射物となり、赤外線が反射され、受光素子122a〜122cがその反射光を受光する。受光素子の出力は受信回路123a〜123cにて赤外線の光量に変換され、CPU103に出力される。CPU103は、受信回路123a〜123cの出力に基づいて所定位置に反射物が触れたか否かを判別する。
【0005】
下記特許文献には、ガラスの所定位置に反射物が置かれたか否かを反射光量の多寡によって判別する赤外線スイッチ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−144577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
機器の防爆仕様対応の観点からは、爆発の危険性を低減するため、機器の発熱量は少なければ少ないほどよい。そのため、赤外線スイッチ装置の消費電力も、より低減することが求められる。
【0008】
しかしながら、上記のような構成では、発光素子121a〜121cを常時駆動するため、消費電力が大きいという問題があった。
【0009】
本発明は、従来の問題をなくし、消費電力を低減した赤外線スイッチ装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
操作パネル上に複数設けられた所定位置に反射物が触れたか否かを判別する赤外線スイッチ装置において、
赤外線を照射する発光素子と、
この発光素子の赤外線を分配して導光し前記所定位置に照射する光分配器と、
前記所定位置ごとに設けられ、前記所定位置に反射物が触れたことにより反射される赤外線を受光する受光素子と、
この受光素子の受光量の多寡に基づいて前記所定位置に反射物が触れたか否かを判別する演算部と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の赤外線スイッチにおいて、
前記導光部は、光ファイバまたは導光板で構成されたことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、
請求項1または2に記載の赤外線スイッチ装置において、
前記発光素子を間欠動作させる駆動回路を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、
赤外線を照射する発光素子と、この発光素子の赤外線を分配して導光し前記所定位置に照射する光分配器と、前記所定位置ごとに設けられ、前記所定位置に反射物が触れたことにより反射される赤外線を受光する受光素子と、この受光素子の受光量の多寡に基づいて前記所定位置に反射物が触れたか否かを判別する演算部とを備えているため、
消費電力を低減した赤外線スイッチ装置を実現できる。
【0014】
光分配器は、請求項2の発明のように、光ファイバまたは導光板で構成されていてもよい。
【0015】
請求項3の発明によれば、
発光素子を間欠動作させる駆動回路を有するため、発光素子を常時駆動する場合と比較してさらに消費電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の赤外線スイッチ装置を用いた操作パネルの構成例を示す図である。
【図2】図1のスイッチ装置の機能ブロック図である。
【図3】従来の赤外線スイッチ装置を用いた操作パネルの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明の赤外線スイッチ装置を用いた操作パネルの構成例であり、図1の(a)は操作パネル1の正面図、図1の(b)は操作パネル1の部分断面図である。
【0018】
操作パネル1は、基板10と、この基板10の全面を覆うガラス11で構成されている。操作パネル1は、検出器(センサ)からの信号をもとに流量、圧力、温度などを測定するためのフィールド機器本体(図示せず)に設けられている。基板10の手前にガラス11を設け、基板10をフィールド機器本体との間に密封することにより、防爆仕様に対応している。
【0019】
ガラス11には3つのタッチ位置が設けられている。ユーザがそれらのタッチ位置に指で触れることにより、それぞれがスイッチSWa,SWb,SWcとして機能する。
【0020】
基板10には、赤外線を照射する発光素子21(図示せず)、発光素子21を駆動する駆動回路20(図示せず)、発光素子21の赤外線を分配して導光する光分配器24、受光素子22a〜22cが設けられている。
【0021】
光分配器24は、発光素子21から照射された赤外線が導入される。光分配器24は、透明の樹脂製で、タッチ位置の数に合わせて3つの光出力端部24a〜24cを備えている。光分配器24は、導入された赤外線を分配し、分配した赤外線をそれぞれ光出力端部24a〜24cへと導光し、光出力端部24a〜24cからガラス11へ向けて照射する。
【0022】
光出力端部24a〜24cと受光素子22a〜22cはそれぞれ対になっており、また、操作パネルのガラス11上の各タッチ位置にそれぞれ対応するように配置されている。光出力端部24a〜24cと受光素子22a〜22cは、ガラス11の背面に密着するように配置されている。光出力端部24a〜24cから照射された赤外線は、タッチ位置に触れたユーザの指が反射物となり反射され、受光素子22a〜22cによってその反射光が受光される。
【0023】
4は操作パネルに設けられたLCDである。基板10には開口部が設けられており、この開口部を通して基板10の背後に配置されたLCD4がユーザに視認可能に構成されている。LCD4は図示しないバックライト5によって背面から光が照射されている。LCD4には、状況に応じてメニューコマンドや測定結果などが表示され、ユーザはLCD4の表示を参照しながらスイッチSWa,SWb,SWcの操作を行う。
【0024】
図2は図1のスイッチ装置の機能ブロック図である。
発光素子21は駆動回路20によって駆動され、常時発光する。発光素子21の赤外線は光分配器24に導入される。光分配器24は、導入された赤外線をタッチ位置の数に合わせて3つに分配し、光出力端部24a〜24cに導光し、ガラス11へ向けて照射する。
【0025】
光出力端部24a〜24cから照射された赤外線は、光出力端部24a〜24cがそれぞれ対応するタッチ位置にユーザの指が触れていると、その指が反射物となり反射される。反射光は受光素子22a〜22cによって受光される。受信回路23a〜23cは、受光素子22a〜22cの出力を受光量に応じた電気信号に変換し、各種演算を行うCPU3に出力する。
【0026】
CPU3は、受信回路23a〜23cから入力された各受光素子の受光量の多寡に基づいて、タッチ位置ごとに指が触れたか否かを判定する。具体的には、受光量が所定の閾値以上である場合には、タッチ位置に指が触れたと判定する。一方、受光量が所定の閾値よりも小さい場合には、タッチ位置には指が触れていないと判定する。
【0027】
CPU3は、タッチ位置に指が触れたと判定した場合には、ユーザによってそのタッチ位置に対応するスイッチが操作されたものと判断する。CPU3は、スイッチが操作されたか否かの判断結果に応じてLCD4に新たなメニューコマンドを展開させるなどして、LCD4の表示内容に反映させる。
【0028】
本実施例は以上のように構成され、
赤外線を照射する発光素子21と、発光素子21の赤外線を分配して導光しタッチ位置に照射する光分配器24と、タッチ位置ごとに設けられ、タッチ位置にユーザの指が触れたことにより反射される赤外線を受光する受光素子22a〜22cと、受光素子22a〜22cの受光量の多寡に基づいてタッチ位置に指が触れたか否かを判別するCPU3とを備えているため、スイッチSWa,SWb,SWc全体の消費電力を低減できる。
【0029】
なお、本実施例では、3つのスイッチを搭載した操作パネルを例にあげて説明したが、スイッチの数は3に限らず、複数存在すれば、従来例と比較して消費電力低減の効果が得られる。
【0030】
また、本実施例では、光分配器は、透明の樹脂製としたが、光ファイバまたは導光板で構成されていてもよい。
【0031】
また、本実施例では、駆動回路20は常時発光素子21を駆動するという前提で説明したが、駆動回路20で発光素子21を間欠動作させれば、常時駆動する場合と比較してさらに消費電力を低減できる。
【0032】
本実施例におけるタッチ位置は特許請求範囲における所定位置に相当し、ユーザの指は反射物に相当し、CPU3は演算部に相当する。
【符号の説明】
【0033】
1 操作パネル
21 発光素子
24 光分配器
24a〜24c 光出力端部
22a〜22c 受光素子
3 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作パネル上に複数設けられた所定位置に反射物が触れたか否かを判別する赤外線スイッチ装置において、
赤外線を照射する発光素子と、
この発光素子の赤外線を分配して導光し前記所定位置に照射する光分配器と、
前記所定位置ごとに設けられ、前記所定位置に反射物が触れたことにより反射される赤外線を受光する受光素子と、
この受光素子の受光量の多寡に基づいて前記所定位置に反射物が触れたか否かを判別する演算部と、
を備えたことを特徴とする赤外線スイッチ装置。
【請求項2】
前記光分配器は、光ファイバまたは導光板で構成されたことを特徴とする請求項1に記載の赤外線スイッチ装置。
【請求項3】
前記発光素子を間欠動作させる駆動回路を有することを特徴とする請求項1または2に記載の赤外線スイッチ装置。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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