説明

赤外線通信タグ

【課題】赤外線受信センサを取付対象物を考慮した取付角度にすることにより、取付対象物に影響されない通信範囲を確保することができる赤外線通信タグを提供すること。
【解決手段】人等の移動体が装着し、管理システムのコントローラ側と赤外線で通信するのに使用される赤外線通信タグにおいて、タグの左右の上部に2個の赤外線受信センサ4を配設するとともに、各赤外線受信センサ4を、タグの前側と左右の外側とにそれぞれセンサのほぼ半値角の角度で傾斜するように設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線通信用タグに関し、特に、赤外線受信センサを取付対象物を考慮した取付角度にすることにより、取付対象物に影響されない通信範囲を確保することができる赤外線通信タグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
赤外線通信タグは、人等の移動体が装着し、管理システムのコントローラ側と赤外線で通信することにより、例えば、移動体の入退場を管理するのに使用されている。
従来、赤外線通信用タグには、1個の赤外線受信センサ使用されているが、この赤外線受信センサは、通信先である赤外線発信器に向ける必要がある。
赤外線発信器は天井等に取り付けられているため、赤外線受信センサは、その正面が鉛直上方、すなわちタグの上方に向くように配設されている。
【0003】
ところで、赤外線通信の赤外線受信センサとして、フォトダイオードやフォトトランジスタなどがあるが、これらの受光特性は角度に対し直線的ではなく、図3に示すような特性となっている。
【0004】
しかしながら、赤外線通信タグは人等の移動体に取り付ける必要があり、従来の赤外線通信タグを人に取り付けた場合は、図5に示すように、頭部や体によって赤外線信号が遮られ、通信範囲が狭くなるという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の赤外線通信タグが有する問題点に鑑み、赤外線受信センサを取付対象物を考慮した取付角度にすることにより、取付対象物に影響されない通信範囲を確保することができる赤外線通信タグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本第1発明の赤外線通信タグは、人等の移動体が装着し、管理システムのコントローラ側と赤外線で通信するようにした赤外線通信タグにおいて、タグの左右の上部に少なくとも2個の赤外線受信センサを配設するとともに、該赤外線受信センサをタグの前側と左右の外側とにそれぞれセンサのほぼ半値角の角度で傾斜して設けたことを特徴とする。
【0007】
また、同じ目的を達成するため、本第2発明の赤外線通信タグは、人等の移動体が装着し、管理システムのコントローラ側と赤外線で通信するようにした赤外線通信タグにおいて、タグの上部に少なくとも1個の赤外線受信センサを配設するとともに、該赤外線受信センサをタグの前側にセンサのほぼ半値角の角度で傾斜して設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本第1発明の赤外線通信タグによれば、人等の移動体が装着し、管理システムのコントローラ側と赤外線で通信するようにした赤外線通信タグにおいて、タグの左右の上部に少なくとも2個の赤外線受信センサを配設するとともに、該赤外線受信センサをタグの前側と左右の外側とにそれぞれセンサのほぼ半値角の角度で傾斜して設けることから、取付対象物が人であったり、また、取付が不安定であっても、頭部や体で遮られることなく赤外線信号を受信することができ、取付対象物に影響されない通信範囲を確保することができる。
【0009】
また、本第2発明の赤外線通信タグによれば、人等の移動体が装着し、管理システムのコントローラ側と赤外線で通信するようにした赤外線通信タグにおいて、タグの上部に少なくとも1個の赤外線受信センサを配設するとともに、該赤外線受信センサをタグの前側にセンサのほぼ半値角の角度で傾斜して設けることから、取付対象物の影響を少なくし、赤外線受信センサの受信角度を有効に利用して通信範囲を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の赤外線通信タグの実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1〜図2に、本発明の赤外線通信タグの第1実施例を示す。
この赤外線通信タグは、人等の移動体が装着し、管理システムのコントローラ(図示省略)側と赤外線で通信するのに使用される。コントローラは、天井面等の固定側に設置され、赤外線通信を行うための赤外線通信用発光器(図示省略)を備えている。
そして、この赤外線通信タグは、タグの左右の上部に2個の赤外線受信センサ4を配設するとともに、各赤外線受信センサ4を、タグの前側と左右の外側とにそれぞれセンサのほぼ半値角の角度で傾斜するように設けている。
【0012】
赤外線通信タグはカード形状をなし、その前面が略鉛直になるように人の胸等に装着される。裏ケース1と表ケース2からなる本体には、制御回路であるプリント基板3と、その電源供給のための電池5とが収容されている。
赤外線受信センサ4は、プリント基板3に接続され、裏ケース1の左右の上部にそれぞれ取り付けられている。
なお、表ケース2の前には名札等の表示シート6と、該表示シート6のカバーフィルム7とが配設されている。
【0013】
プリント基板3には、図3に示すように、赤外線受信センサ4単体での受信感度角度が±40度を超える特性をもった2個の赤外線受信センサ4を取り付けられている。
この場合、各赤外線受信センサ4は、裏ケース1に設けた凹部の形状により、受信感度が最大となる正面が、タグ上方向より前側及び左右の外側にそれぞれ約40度傾斜するように固定されており、これにより、赤外線受信センサ4の受信角度を有効に利用し、タグ取付による影響が少い赤外線通信タグとしている。
なお、赤外線受信センサ4単体での半値角45度に対し、約40度の傾斜としているのは、赤外線受信センサ4単体のバラツキや、製造時の誤差を吸収するためである。
【0014】
かくして、本第1実施例の赤外線通信タグは、人等の移動体が装着し、管理システムのコントローラ側と赤外線で通信するようにした赤外線通信タグにおいて、タグの左右の上部に少なくとも2個の赤外線受信センサ4を配設するとともに、該赤外線受信センサ4をタグの前側と左右の外側とにそれぞれセンサのほぼ半値角の角度で傾斜して設けることから、図4に示すように、取付対象物が人であったり、また、取付が不安定であっても、頭部や体で遮られることなく赤外線信号を受信することができ、取付対象物に影響されない通信範囲を確保することができる。
【0015】
一方、図示省略するが、赤外線通信タグは、タグの上部に少なくとも1個の赤外線受信センサ4を配設するとともに、該赤外線受信センサ4をタグの前側にセンサのほぼ半値角の角度で傾斜して設けることもできる。
赤外線受信センサ4は、受信感度が最大となる正面が、タグ上方向より前側に約40度傾斜するように固定され、これにより、取付対象物の影響を少なくし、赤外線受信センサ4の受信角度を有効に利用して通信範囲を確保することができる。
【0016】
以上、本発明の赤外線通信タグについて、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、各実施例に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
また、この赤外線通信タグは、作業者等の人以外に、特定位置を通過する車両等に装着することができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明の赤外線通信タグは、取付対象物に赤外線が遮蔽されるのを防止し、取付対象物に影響されない通信範囲を確保するという特性を有していることから、例えば、人や車両の入退場の管理の用途に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の赤外線通信タグの第1実施例を示す分解斜視図である。
【図2】同実施例の赤外線通信タグを示し、(A)はその正面図、(B)は(A)のA−A線断面図である。
【図3】赤外線受信センサの角度と受信特性を示すグラフである。
【図4】同実施例の赤外線通信タグを人に装着したときの赤外線受信範囲を示し、(A)はその正面図、(B)はその側面図である。
【図5】従来の赤外線通信タグを人に装着したときの赤外線受信範囲を示し、(A)はその正面図、(B)はその側面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 裏ケース
2 表ケース
3 プリント基板
4 赤外線受信センサ
5 電池
6 表示シート
7 カバーフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人等の移動体が装着し、管理システムのコントローラ側と赤外線で通信するようにした赤外線通信タグにおいて、タグの左右の上部に少なくとも2個の赤外線受信センサを配設するとともに、該赤外線受信センサをタグの前側と左右の外側とにそれぞれセンサのほぼ半値角の角度で傾斜して設けたことを特徴とする赤外線通信タグ。
【請求項2】
人等の移動体が装着し、管理システムのコントローラ側と赤外線で通信するようにした赤外線通信タグにおいて、タグの上部に少なくとも1個の赤外線受信センサを配設するとともに、該赤外線受信センサをタグの前側にセンサのほぼ半値角の角度で傾斜して設けたことを特徴とする赤外線通信タグ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−303866(P2006−303866A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−122152(P2005−122152)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(000233206)日立機電工業株式会社 (64)
【Fターム(参考)】