説明

赤色表示灯用清掃ユニット

【課題】 トンネル側壁の赤色表示灯が壁面清掃車による機械清掃によって十分に清掃されないといった問題があった。
【解決手段】 トンネル側壁に取り付けられる赤色表示灯の清掃ユニットであって、前記赤色表示灯の頂上部と基部に取り付けられユニットを保持する固定部と、前記固定部の間に前記赤色表示灯に対し回転可能な状態で差し渡しされ、その下部に前記赤色表示灯の外周を清掃する清掃材を設けると共に、その外周部に壁面清掃車の清掃用ブラシに当接して回転力を与えるための突起を備えた複数の回転部とを具備した赤色表示灯用清掃ユニットである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内において消防用設備の位置を知らせるための赤色表示灯を清掃する赤色表示灯用清掃ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル側壁には、事故や火災を通報する押釦発信機などの消防用設備の位置を知らせるための赤色表示灯が用いられている。この赤色表示灯は、トンネル内を走行するドライバーから見易くするために、卵形の半球がトンネル側壁から突出した状態で取り付けられている。そのために、トンネル側壁を清掃する壁面清掃車による機械清掃を行っても清掃車の進行方向の反対側の赤色表示灯の半面が清掃用ブラシによって洗浄されないといった問題があり、トンネル設備の保守作業員が洗浄後に清掃を行っていた。
【0003】
一方、赤色表示灯が清掃されない問題を解決する提案としては、例えば、特開2001−351403号公報に開示された発明がある。この発明は、前記した卵形半球形状の赤色表示灯の上部をカットし、円錐台形の形状としトンネル側壁からの突出を抑えると共に、内部に車両の進行方向に対する集光を目的とするプリズムを配置したものである。
【特許文献1】特開2001−351403号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記した円錐台形の構造により赤色表示灯が清掃されない不備を解決しようとする提案にあっても、壁面清掃車のドラム状の清掃用ブラシが前記した進行方向の反対の面に当たらない点については解決されず、上部をカットしたことによる視認低下と相まってより一層赤色表示灯に対する視認性を低下させるといった問題が発生する。
【0005】
本発明は、前記した問題点を解決せんとするもので、現状の突起した赤色表示灯による視認の優位性を損なうことなく、現状の壁面清掃車の機械清掃によって清掃されなかった進行方向の反対の面を清掃可能な補助具としての赤色表示灯用清掃ユニットを提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の赤色表示灯用清掃ユニットは前記した目的を達成せんとするもので、請求項1の手段は、トンネル側壁に取り付けられる赤色表示灯の清掃ユニットであって、前記赤色表示灯の頂上部と基部に取り付けられユニットを保持する固定部と、前記固定部の間に前記赤色表示灯に対し回転可能な状態で差し渡しされ、その下部に前記赤色表示灯の外周を清掃する清掃材を設けると共に、その外周部に壁面清掃車の清掃用ブラシに当接して回転力を与えるための突起を備えた複数の回転部とから構成したことを特徴とする。
【0007】
請求項2の手段は、前記した請求項1において、前記赤色表示灯の基部側に取り付けられた固定部には、前記回転部の一方向のみの回転を可能とする回転方向規制構造を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項3の手段は、前記した請求項1において、前記固定部の何れかには前記回転部の特定角度に対する回転を可能とする回転角度規制構造を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の赤色表示灯用清掃ユニットは前記したように、壁面清掃車の清掃用ブラシによる洗浄中に回転するブラシが回転部外周に備えた突起に当たり回転部を回転させることで、回転部に設けた清掃材により赤色表示灯の全周が拭き取られるため、従来清掃ができなかった赤色表示灯の進行方向反対面の清掃を確実に実施することができる効果を有するものである。また、本発明の赤色表示灯用清掃ユニットは、赤色表示灯に対して2つの固定部を接着して取り付ける構造であるため、トンネル内に既設の赤色表示灯に対して後付けができる効果を有する。
【0010】
また、回転部の一方向のみの回転を可能とする回転方向規制構造を備えたことにより、ブラシが回転部外周に備えた突起に対して加えた力が常に一方向に対する安定した回転力に変えられるため清掃材によって赤色表示灯の外周面を効率良く拭き取ることができるといった効果を有する。
【0011】
また、回転部の特定角度に対する回転を可能とすると共に元の位置に復帰する回転角度規制構造を備えたことにより、清掃用ブラシによる洗浄後には回転部が常に同じ位置を保持するため、清掃ユニットが赤色表示灯の視認の妨げになることがないといった効果を有する。
【本発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、赤色表示灯の頂上部と基部に取り付けられる固定部に複数の回転部を共架することにより回転部を堅固に支持すると共に、回転部の外周に設けた突起により洗浄中のブラシの回転力を最初に受け止めて回転部の回転力に変換させ、赤色表示灯に当接させた回転部の清掃材により赤色表示灯の外周を清掃する構造とする。
【実施例1】
【0013】
以下、本発明に係る赤色表示灯用清掃ユニットの一実施例を図面と共に説明する。
図1は、赤色表示灯20が複数の消火器を収容した消防用設備としての消火器ボックス100に取り付けられた例を表している。
ただし、赤色表示灯20は図1の設備に使用されるものに限定されないことは言うまでもなく、トンネル壁面から突出して取り付けられる赤色表示灯に対しては本発明の赤色表示灯用清掃ユニットが全て適用可能である。
【0014】
10は本発明の赤色表示灯用清掃ユニットで、30と40はそれぞれ火災を通報する押釦発信機と消火器の収容部を表している。
図2は赤色表示灯用清掃ユニットの正面図で、図3は赤色表示灯20と赤色表示灯用清掃ユニット10を垂直に見た場合の一部側断面を表している。
【0015】
図3において、11A1と11Bは赤色表示灯20に接着剤などによって固定された固定部。12は、アルミ材などから形成された回転部で、その外周に突起12a を有している。
なお、固定部11A1には、回転部12の一端を固定したリング14を摺動回転させるための溝が設けられている。また、固定部11Bは凹状の形状を有しており、回転部12の一端に付けられたローラ15が前記の凹状の溝内を回転する構造になっている。
【0016】
13は回転部12に固定された清掃材で、自動車のワイパーブレードのようなゴム材からなっている。16は、回転方向規制構造の一例を表しており、図4(a)(b)に示すように一方の傾斜が他方の傾斜に対して緩くなっており、ローラ15の右方向(時計方向)の回転に対する抵抗が少ない構造となっている。
なお、図4(a)は、固定部11Bを赤色表示灯20の頂上部から見た場合の断面図を表しており、図4(b)はその状態における左側断面図を表している。21は赤色の透明樹脂体を、22は赤色表示灯の内部に配置された発光ダイオードをそれぞれ表している。
【0017】
なお、前記清掃材は、耐久性と汚れの付着を考慮した場合にゴム材が望ましいが、ゴム材である必要は無く、赤色表示灯の外周面を拭き取ることができる素材であればよい。
また、回転方向規制構造は、一方向の回転が容易な構造であればよく、固定部11Bの凹状の内部底面に設ける必要はなく、凹状の内部背面(壁面側)に縦に配置してもよい。また、ラチエットのような一方向のみに滑らかに回転する構造を採用することも可能である。
【0018】
次に、前記の構成からなる赤色表示灯用清掃ユニットの動作を説明するに、壁面清掃車の清掃用ブラシが何れかの回転部12の突起12a に当たると回転力が働くが、図4に示した回転方向規制構造16によって反時計方向には大きな回転抵抗力が掛かるため、突起12a による時計方向の回転力が加わった状態で回転部12が回転を始め、前記壁面清掃車の回転ブラシが赤色表示灯を通過する間に回転部12による全周に対する回転が複数回繰り返される。
【0019】
このとき、回転部12の下に取り付けられた清掃材13は、アルミ材からなる回転部12の内側に働くバネ力によって赤色表示灯20の外周面に押し当てられた状態で回転し、洗浄剤の洗浄効果によって外周面がきれいに清掃される。
【実施例2】
【0020】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。
この実施形態は、本発明の清掃ユニットの回転部12が赤色表示灯20の視認の妨げになることを防止することを目的とするもので、回転部12が常に図2に示す位置に復帰することを特徴とする。
【0021】
なお、実施例2は、図3と図4に示した回転方向規制構造16を備えないことと、図2に示す固定部11A1の構造が図5に示す11A2の構造と異なること以外は全て実施例1の構成に同じである。
図5は回転角度規制構造の説明図で、図2と同様に固定部11A2の一部断面によって表わしている。そして、回転角度規制構造は支持体17と固定部本体18とコイルバネ19によって構成され、回転部12を取り付けた中空の支持体17には、一端が固定部本体18に固定されたコイルバネ19が係止されている。
この構成により、回転部12が時計方向に回転した場合にコイルバネ19が回転圧縮され、時計方向の回転力が無くなった場合に圧縮されたコイルバネ19の復元力によって反時計方向に回転し回転部12を図2で示した元の位置に復帰させる。
【0022】
なお、この場合に回転部12を元の位置を超えて回転しないための図示しないストッパを固定部11Bの内部背面に取り付けるようにしてもよい。
また、回転角度規制構造は、前記のように赤色表示灯の頂上部側の固定部11Aに限定されるものではなく、基部側の固定部11Bに設けてもよく、例えば、前記したストッパにより所定位置からの反時計方向の回転を規制すると共に固定部11Bと突起12aとを引張バネなどによって接続し、引張バネが前記凹状の内部底面に沿って時計方向に伸びた場合に反時計方向に復元する力が前記突起12aに働き図2に示す位置に回転部12を復帰させたり、下側に位置する回転部12を重くし自重を利用して元の位置に復帰させるなど、種々の構成を採用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】消火器ボックスの正面図である。
【図2】赤色表示灯に赤色表示灯用清掃ユニットを取り付けた状態の正面図である。
【図3】同上の一部断面図である。
【図4】回転方向規制構造を表す説明図である。
【図5】回転角度規制構造を表す説明図である。
【符号の説明】
【0024】
10 赤色表示灯用清掃ユニット
11A1 固定部
11A2 固定部
11B 固定部
12 回転部
12a 突起部
13 清掃材
20 赤色表示灯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル側壁に取り付けられる赤色表示灯の清掃ユニットであって、
前記赤色表示灯の頂上部と基部に取り付けられユニットを保持する固定部と、
前記固定部の間に前記赤色表示灯に対し回転可能な状態で差し渡しされ、その下部に前記赤色表示灯の外周を清掃する清掃材を設けると共に、その外周部に壁面清掃車の清掃用ブラシに当接して回転力を与えるための突起を備えた複数の回転部とを具備し、
前記回転部の回転により前記清掃材によって赤色表示灯の外周を清掃することを特徴とする赤色表示灯用清掃ユニット。
【請求項2】
前記赤色表示灯の基部側に取り付けられた固定部には、前記回転部の一方向のみの回転を可能とする回転方向規制構造を備えたことを特徴とする請求項1に記載の赤色表示灯用清掃ユニット。
【請求項3】
前記固定部の何れかには前記回転部の特定角度に対する回転を可能とする回転角度規制構造を備えたことを特徴とする請求項1に記載の赤色表示灯用清掃ユニット。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−227051(P2007−227051A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−44869(P2006−44869)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(000243881)名古屋電機工業株式会社 (107)
【Fターム(参考)】