説明

赤血球の分離方法及びその利用

【課題】簡便性が向上した赤血球を比重に応じて分離する方法の提供
【解決手段】血液又は赤血球を含む血液由来物を洗浄して赤血球を含有する血球組成物を得ること、及び、前記血球組成物を遠心分離して赤血球を比重に応じて分布させることを含み、前記洗浄に用いる洗浄水は、赤血球の溶血を抑制できる液体組成物であり、前記遠心分離の遠心加速度が1900×g以上である、赤血球の分離方法。本発明の赤血球の分離方法によれは、好ましくは、簡便に、幼若赤血球(比重の軽い赤血球)を上層に、老化赤血球(比重の重い赤血球)を下層に分離できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤血球の分離方法及びその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
赤血球は、動物の血液に含まれる細胞成分の一つであって、常に体内を循環し、肺におけるガス交換、及び全身各組織への酸素運搬など生命の維持に不可欠な機能を担う。赤血球は、脊髄中の造血幹細胞から産出され、網状赤血球として末梢血に送り込まれ、その2〜3日後に中くぼみ円盤状の形態の成熟赤血球になることが知られている。また、ヒト赤血球の寿命は約120日であることが知られている。
【0003】
上述のとおり、血中の赤血球には若い赤血球から老いた赤血球まで様々な世代の赤血球が含まれる。これまで、赤血球を世代に応じて分離する試みはいくつかの方法で試みられている。なぜなら、赤血球に含まれる成分を測定する場合に、全世代を含む赤血球の平均値として前記成分を測定することの他、若い赤血球と老いた赤血球とを分離して測定することで新たな知見が得られることがあるからである(特許文献1及び2)。
【0004】
赤血球中のタンパク質成分であるヘモグロビン(Hb)は、ヘム構造を有し、酸素運搬に必須の酸素との結合能を有するが、血液中の糖と接触するとMaillard反応により糖化され、糖化ヘモグロビンとなる。糖化ヘモグロビンのうち糖尿病と関連性が高いHbA1cの量や比率(%HbA1c)などは、過去2〜4ヶ月間の血糖値を反映する重要な指標として糖尿病の治療などに利用されている。また、過去約2週間の平均血糖値を反映する指標として糖化アルブミンが臨床検査において利用されている。これは、アルブミンの血中での寿命が短いことを利用している。しかしながら、ヘモグロビンとアルブミンとでは糖化されやすさが異なるために、糖化ヘモグロビン(HbA1c)と糖化アルブミンの両者から得られるデータを単純に比較して血糖コントロールの履歴と見なすことには問題があった。そこで、より若い赤血球を分離してHbA1c量や%HbA1cを測定することで、より短い期間(例えば、1〜2ケ月又はそれ以内の期間)の血糖値を反映する指標として利用することが提案されている(特許文献1及び2)。
【0005】
赤血球を世代に応じて分離する方法としては、赤血球の比重又は密度が加齢とともに増大することや、赤血球のサイズが加齢とともに小さくなることを利用した分離方法が知られている。
【0006】
赤血球の比重又は密度に応じて赤血球を分離する方法としては、密度勾配遠心法が挙げられる。密度勾配遠心法としては、密度及び/又は比重が異なる遠心媒体を用いて形成された密度勾配を用いる方法(沈降速度法)が一般的である。その他の方法としては、ミクロヘマトクリット用のチューブを用いてヘパリン添加血液試料を14,000×gで遠心し、前記チューブ内で赤血球をその比重に応じて分布させる方法が開示されている(特許文献1)。
【0007】
一方、血球のサイズに応じた赤血球の分離方法としては、特殊なマイクロ流体装置を用い、毛細管力を上回る遠心力を血液試料に加えることでサイズに応じて分離することを含む、向流遠心分離法(エルトリエーション法)が開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2887151号公報
【特許文献2】WO2007/050619
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の密度勾配遠心法では、密度勾配を形成するための分離媒体が必要であり、また、遠心工程に長期間を要するため簡便性に欠けるという問題がある。ミクロヘマトクリット用チューブを使用する方法やエルトリエーション法であっても、ミクロヘマトクリット用チューブやエルトリエーション用チャンバー、専用遠心機等が必要であり、また、一度に分離処理できる検体量及び又は細胞数に制限があるため簡便性に欠けるという問題がある。
【0010】
そこで本発明は、赤血球を比重に応じて分離する方法であって、簡便性が向上した分離方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、血液又は赤血球を含む血液由来物を洗浄して赤血球を含有する血球組成物を得ること、及び、前記血球組成物を遠心分離し、赤血球を比重に応じて分布させることを含み、前記洗浄に用いる洗浄水は、赤血球の溶血を抑制できる液体組成物であり、前記遠心分離の遠心加速度が1900×g以上である赤血球の分離方法に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明であれば、例えば、簡便に精度よく赤血球をその比重の差に応じて分離できるという効果を奏する。さらに、本発明は、好ましくは、簡便に精度よく赤血球を世代に応じて分離できるという効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、赤血球の比重に応じた分布における、遠心条件(遠心力及び遠心時間)と分離精度との関係を示すグラフの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明において、「赤血球の比重」とは、1つ赤血球について、その質量と、その赤血球と同体積の基準となる物質(例えば、水)の質量との比をいう。なお、若い世代の赤血球(幼若赤血球)の比重が軽く、老いた世代の赤血球(老化赤血球)の比重が重くなることは、当該技術分野において周知の事項である(D. Damon, and Y. Marikovsky, J. Lab. & Clin. Med., vol.64, (1964) 668-674、特許文献1、及び特許文献2等参照)。したがって、全血に含まれるような、全世代の赤血球が含まれる集団を赤血球の比重に応じて分離できれば、赤血球の世代に応じた分離ができたこととなる。なお、赤血球の比重は、例えば、硫酸銅法によって測定できるが、本発明において赤血球の比重は必ずしも測定しなくてもよい。
【0015】
本発明において赤血球が「比重に応じて分布する」とは、赤血球が、比重が軽いものから重いものへ又は重いものから低いものへ連続して空間又は領域内に局在する状態となることを含む。なお、異なる比重の赤血球群同士は必ずしも空間的に離れている必要はなく、例えば、異なっていても同程度の比重の赤血球群であれば互いに隣接していてもよい。本発明において「赤血球の分離」とは、赤血球を比重に応じて分布させることを含む。本発明において、「比重に応じた分布の精度がよい」とは、分布がより理想的な比重に応じた分布近づくことをいう。赤血球の比重に応じた分布の精度の評価は、例えば、形成された分布の上端(表部)と下端(底部)における赤血球の比重の差や、上端(表部)と下端(底部)における赤血球の糖化ヘモグロビン量又はHbA1c量の差、好ましくは、上端(表部)と下端(底部)におけるHbA1c値の差を指標にすることができる。すなわち、前記差がより拡大すれば、より精度が向上したと評価できる。なお、本明細書においてHbA1c値とは、好ましくは、サンプルのHbA1c濃度をヘモグロビン(Hb)濃度で割った値であり、一般に「HbA1c%」又は「HbA1c濃度/Hb濃度」(単位:mmol/ml/mol/ml)又は「HbA1cミリモル数/Hbモル数」(単位:mmol/mol)という値で表記される値を指す。
【0016】
本発明は、血液及び又は血球分画を洗浄して得られる血球組成物(赤血球を含む)を1900×g程度(好ましくは、1900×g〜10000×g程度)の比較的弱い遠心条件で遠心すると、幼若赤血球(比重の軽い赤血球)を上層に、老化赤血球(比重の重い赤血球)を下層に分離できる、という知見に基づく。
【0017】
すなわち、本発明の一態様は、赤血球の分離方法(以下、「本発明の分離方法」ともいう。)であって、血液又は赤血球を含む血液由来物を洗浄して赤血球を含有する血球組成物を得ること、及び、前記血球組成物を遠心分離し、赤血球を比重に応じて分布させることを含み、前記洗浄に用いる洗浄水は、赤血球の溶血を抑制できる液体組成物であり、前記遠心分離の遠心加速度が1900×g以上である赤血球の分離方法に関する。
【0018】
上述の比較的弱い遠心条件であっても比重に応じた赤血球の分離ができるメカニズムは、詳細には明らかではないが、次のように推定される。すなわち、洗浄することにより血漿成分が除去されて粘性が低下することと、洗浄水の影響により血球膜の柔軟な幼若赤血球はより体積膨張をする一方で血球膜の硬い老化赤血球の体積変動は小さく、その結果、幼若赤血球と老化赤血球との比重の差が増大し、比較的弱い遠心条件でも両者の分離が可能になると考えられる。但し、本発明はこれらのメカニズムに限定されない。
【0019】
本発明は、例えば、簡便に精度よく赤血球をその比重の差に応じて分離できるという効果が奏し得る。さらに、本発明は、簡便に精度よく赤血球を世代に応じて分離できるという効果を好ましくは奏し得る。
【0020】
具体的には、本発明の分離方法は、遠心分離処理に際し、密度勾配が形成された分離媒体を必ずしも必要とせず、簡便性が向上し得る。そして、本発明の分離方法は、密度勾配遠心分離法よりも短い遠心時間で分離でき、簡便性がより向上し得る。
【0021】
また、本発明の分離方法は、ミクロヘマトクリット用チューブ及びエルトリエーション用チャンバーなどの専用容器を必ずしも必要とせず汎用性の高い従来の遠心チューブで行うことができ、加えて、専用の遠心機を必ずしも必要とせず汎用性の高い従来の遠心機で行える。例えば、本発明の分離方法は、遠心加速度が2000×g程度の卓上遠心機でも行うことが可能であり、利便性を著しく向上させることができる。また、特定のラボに限られず多くの医療現場で行うことができるという観点の簡便性も向上し得る。
【0022】
さらに、本発明の分離方法は、マイクロリットルオーダーのこれはミクロヘマトクリット用チューブを使用する方法やエルトリエーション法で可能な検体量(赤血球数)よりも分離処理できる検体量(赤血球数)を著しく増加でき、例えば、それより分離回収がより容易となり、回収量の増量が可能となるなど、簡便性が向上し得る。
【0023】
なお、本発明において遠心分離条件における「遠心加速度」とは、遠心分離処理される検体が受ける最も高い遠心加速度、すなわち、遠心チューブの最大回転半径から算出される遠心加速度をいう。また、本明細書において遠心加速度は、重力加速度を単位として用い、「×g」と表し、以下、単に「遠心力」ともいう。
【0024】
[血液又は赤血球を含む血液由来物]
本発明の分離方法の適用対象としては、赤血球を含む生体試料が挙げられ、前記生体試料には、血液、及び、赤血球を含む血液由来物が含まれる。本発明において血液とは、生体から採取された血液であって、赤血球の分離能の点から、好ましくは動物の血液であって、より好ましくは哺乳類の血液であって、さらにより好ましくはヒトの血液である。本発明において「赤血球を含む血液由来物」とは、血液から分離又は調製されたものであって赤血球を含むものをいい、例えば、血漿が除かれた血球画分や、血球濃縮物、血液又は血球の凍結乾燥物などを含む。
【0025】
[洗浄]
本発明の分離方法は、血液又は赤血球を含む血液由来物を洗浄水で洗浄し、赤血球を含有する血球組成物を得ることを含む。前記洗浄の方法としては、特に限定されないが、例えば、洗浄水と血液又は血液由来物に含まれる赤血球とを接触させること、好ましくは、洗浄水と血液又は赤血球を含む血液由来物とを混合することが挙げられる。本発明における洗浄方法において、簡便性及び比重に応じた分布の精度向上の点から好ましい実施形態の1つとして、血液又は赤血球を含む血液由来物に洗浄水を添加して混合し、その後、遠心分離処理して赤血球を含む血球部を沈殿させる方法が挙げられる。洗浄水の添加後の混合は、比重に応じた分布の精度向上の点から、血球が均一となるまで混合することが好ましい。
【0026】
洗浄方法の上記実施形態において、混合する洗浄水の量は、特に制限されないが、簡便性及び比重に応じた分布の精度向上の点から、添加される血液又は前記血液由来物の元の血液の量の1〜50倍の量であることが好ましく、2〜30倍がより好ましく、3〜20倍がさらに好ましい。
【0027】
洗浄における遠心分離条件としては、赤血球の溶血を抑制でき、かつ、血球部を沈殿させることができる条件が好ましく、簡便性及び比重に応じた分布の精度向上の点からは、50〜2500×g1〜25分が好ましく、当業者であればこの範囲で適宜選択できる。具体的には、45〜200×g4〜25分、200〜2500×g1〜10分、500〜2000×g1〜5分などの遠心条件が挙げられる。
【0028】
洗浄水の添加混合とその後の遠心分離処理を洗浄の一工程とした場合、洗浄の回数(前記洗浄工程の繰り返し回数)は、特に制限されないが、簡便性及び比重に応じた分布の精度向上の点から、1〜5回が好ましく、1〜3回がより好ましく、1又は2回がさらに好ましい。
【0029】
[洗浄水]
本発明の分離方法は、洗浄に用いる洗浄水として、赤血球の溶血を抑制できる液体組成物を使用する。赤血球の溶血を抑制できる液体組成物としては、赤血球の溶血を実質的に引き起こすことのない液体組成物が好ましい。本発明において「赤血球の溶血を実質的に引き起こすことのない液体組成物」とは、赤血球を混合した場合に、好ましくは全体の90%以上、より好ましくは全体の95%以上、さらに好ましくは全体の99%以上、さらにより好ましくは100%の赤血球の溶血が抑制できるものをいう。前記洗浄に用いられる赤血球の溶血を抑制できる液体組成物としては、例えば、赤血球の等張液であって、溶血抑制、簡便性及び比重に応じた分布の精度向上の点から、生理食塩水、PBS、120〜180mmol/L NaCl水溶液、120〜180mmol/L KCl水溶液などが好ましい。生理食塩水及びNaCl水溶液のNaCl濃度としては、同様の点から、120〜160mmol/Lが好ましく、130〜155mmol/Lがより好ましく、137〜145mmol/Lがさらに好ましい。洗浄水のpHとしては、溶血抑制及び比重に応じた分布の精度向上の点から、5〜10が好ましく、6〜9がより好ましい。さらに、洗浄水は、洗浄の最後に遠心分離した血球部を後述する血球組成物として比重に応じた分布のための遠心分離に用いる場合、比重に応じた分布の精度向上の点から、粘度は低いことが好ましく、0.1〜1.3cPがより好ましく、0.2〜0.7cPがさらに好ましい。
【0030】
[赤血球を含有する血球組成物]
本発明の分離方法では、赤血球を含有する血球組成物を遠心分離して、赤血球を比重に応じて分布させる。赤血球を含有する血球組成物として、簡便性及び比重に応じた分布の精度向上の点から、上述した洗浄工程における洗浄水との混合後の遠心分離処理において沈殿させた血球部であって血球部以外の上層部を取り除いたものを使用することが好ましい。赤血球を含有する血球組成物の他の実施形態として、洗浄工程で沈殿させた血球部であって、血球部以外の上層部を取り除いたものに、さらに、遠心分離媒体を添加混合したものが挙げられる。添加する遠心分離媒体は、簡便性及び比重に応じた分布の精度向上の点から、上述した洗浄水を使用できる。
【0031】
[比重に応じた分布のための遠心分離処理]
本発明の分離方法では、赤血球を含有する血球組成物を1900×g以上で遠心分離して、赤血球を比重に応じて分布させる。比重に応じた分布のための遠心分離の遠心加速度としては、簡便性及び比重に応じた分布の精度向上の点から、1900×g以上が好ましく、2500×g以上がより好ましい。また、5000×g以上とすることもできる。なお、遠心加速度の上限は特に制限されないが、簡便性及び比重に応じた分布の精度向上の点から、10000×g以下が好ましく、9000×g以下がより好ましく、8000×g以下がさらに好ましく、7000×g以下がさらにより好ましい。具体的には、比重に応じた分布のための遠心分離の遠心加速度としては、簡便性及び比重に応じた分布の精度向上の点から、1900〜10000×gが好ましく、1900〜9000×gがより好ましく、1900〜8000×gがさらに好ましく、2500〜7000×gがさらにより好ましい。遠心時間としては、簡便性及び比重に応じた分布の精度向上の点から、120分以下が好ましく、30分以下がより好ましく、20分以下がさらに好ましく、10分以下がさらにより好ましい。また、比重に応じた分布の精度向上の点から、1分以上が好ましく、2分以上がより好ましく、5分以上がさらにより好ましい。よって、具体的には、簡便性及び比重に応じた分布の精度向上の点から、遠心時間としては、1〜120分が好ましく、2〜30分がより好ましく、5〜20分がさらに好ましく、5〜10分がさらにより好ましい。
【0032】
比重に応じた分布のための遠心分離処理に用いる遠心チューブとしては、従来公知の丸底又はV底の遠心チューブが使用できる。比重に応じて分布された赤血球から所望の世代の赤血球を回収し易いように、遠心チューブには目盛が付してあることが好ましい。
【0033】
比重に応じた分布のための遠心分離処理に適用する赤血球を含有する血球組成物の量としては、遠心チューブの大きさにも依存するが、例えば、0.3mL以上、0.5mL以上、1mL以上、又は10mL以上の血液に相当する量、赤血球数にして、9億個以上、15億個以上、30億個以上、又は300億個以上とすることができる。処理量の上限としては、特に制限されず、例えば、血液にして1000mL以下、赤血球にして300兆個以下とすることができる。
【0034】
遠心チューブ内に形成された比重に応じた赤血球の分布は、下から上に向かう方向(遠心回転の外から中心に向かう方向)で比重が軽くなる分布を示す。すなわち、遠心チューブの下部にはより世代の高い赤血球が分布し、上部に向かうにつれより若い世代の赤血球が分布することとなる。したがって、赤血球の分布を、遠心チューブの円柱軸又は円錐軸方向に2分割、好ましくは3分割、より好ましくは4分割、さらに好ましくは5分割又はそれ以上に分割して回収することで、相対的に比重及び世代が異なる赤血球を得ることができる。前記分割は軸方向に等分であってもよく、体積基準の等分であってもよい。
【0035】
[赤血球試料の調製方法]
本発明のその他の態様は、赤血球試料の調製方法であって、血液又は赤血球を含む血液由来物の赤血球を本発明の分離方法で分離すること、及び、より比重の軽い部分に分布する赤血球をより世代の若い赤血球として回収すること、及び又は、より比重の重い部分に分布する赤血球をより世代の古い赤血球として回収することを含む赤血球試料の調製方法に関する。
【0036】
本発明の赤血球試料の調製方法の一実施形態としては、比重に応じて形成された分布を遠心チューブの円柱軸又は円錐軸方向に2分割、好ましくは3分割、より好ましくは4分割、さらに好ましくは5分割又はそれ以上に分割した場合の最も比重の軽い画分、すなわち最上部(以下、表部ともいう)の赤血球を回収して幼若赤血球の試料として調製することを含みうる。本発明の赤血球試料の調製方法のその他の実施形態としては、比重に応じて形成された分布を遠心チューブの円柱軸又は円錐軸方向に2分割、好ましくは3分割、より好ましくは4分割、さらに好ましくは5分割又はそれ以上に分割した場合に最も比重の重い画分、すなわち最下部(以下、底部ともいう)の赤血球を回収して老化赤血球の試料として調製することを含みうる。本発明の赤血球試料の調製方法のさらにその他の実施形態としては、比重に応じて形成された分布を遠心チューブの円柱軸又は円錐軸方向に2分割、好ましくは3分割、より好ましくは4分割、さらに好ましくは5分割又はそれ以上に分割した場合の中央部(以下、中部ともいう)の赤血球を中間赤血球の試料として調製することを含みうる。本発明の赤血球試料の調製方法のさらにその他の実施形態としては、比重に応じて形成された分布を遠心チューブの円柱軸又は円錐軸方向に2分割、好ましくは3分割、より好ましくは4分割、さらに好ましくは5分割又はそれ以上に分割した場合にそれぞれの画分を回収し、2個、3個、4個、又は5個若しくはそれ以上の比重及び世代の異なる赤血球試料として調製することを含みうる。前記分割は軸方向に等分であってもよく、体積基準の等分であってもよい。
【0037】
本発明の分離方法により形成された比重に応じた分布から赤血球を回収する方法は、特に制限されず、ピペットや針付きシリンジなどを適宜利用して行える。
【0038】
[赤血球成分の測定方法]
本発明のさらにその他の態様は、赤血球成分の測定方法であって、血液又は赤血球を含む血液由来物の赤血球を本発明の分離方法で赤血球を比重に応じて分布させること、及び、前記分布の一部に含まれる赤血球の成分を測定することを含む測定方法に関する。測定対象の赤血球成分としては、ヘモグロビン、糖化ヘモグロビン、ヘモグロビンA1c、メトヘモグロビン、カルバミル化ヘモグロビンやアセチル化ヘモグロビンなどの修飾ヘモグロビンなどが挙げられる。赤血球成分の測定方法は、従来公知の測定方法を用いることができ、特に制限されない。
【0039】
本発明の赤血球成分の測定方法の一実施形態としては、比重に応じて形成された分布を2分割、好ましくは3分割、より好ましくは4分割、さらに好ましくは5分割又はそれ以上に分割した場合に少なくとも1つの画分を回収して該画分に含まれる赤血球の成分を測定することを含みうる。測定対象の赤血球は、上述の赤血球試料の調製方法と同様にして調製することができる。
【0040】
[糖化ヘモグロビン/HbA1cの測定方法]
本発明のさらにその他の態様は、糖化ヘモグロビン及び又はヘモグロビンA1c(HbA1c)の測定方法(以下、本発明の糖化Hb/HbA1cの測定方法ともいう。)であって、血液又は赤血球を含む血液由来物の赤血球を本発明の分離方法で赤血球を比重に応じて分布させること、及び、前記分布の一部に含まれる赤血球の糖化ヘモグロビン及び又はHbA1cを測定することを含む測定方法に関する。
【0041】
本発明の糖化Hb/HbA1cの測定方法において、糖化Hb及びHbA1cを測定する方法は、従来公知の方法を適用でき、例えば、糖化アミノ酸酸化還元酵素(FAOD)を用いた酵素法、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法、ミニカラム法、免疫法等が挙げられる。前記酵素法としては、糖化Hb及び又はHbA1cの糖化部分をFAODで酸化して過酸化酸素を生じさせ、この過酸化酸素の量をペルオキシダーゼ及びこのペルオキシダーゼによる酸化作用により発色する基質を用いて測定する方法が好ましい。
【0042】
本発明の糖化Hb/HbA1cの測定方法の一実施形態としては、比重に応じて形成された分布を2分割、好ましくは3分割、より好ましくは4分割、さらに好ましくは5分割又はそれ以上に分割した場合に少なくとも1つの画分を回収して該画分に含まれる赤血球の糖化Hb/HbA1cを測定することを含みうる。測定対象の赤血球は、上述の赤血球試料の調製方法と同様にして調製することができる。
【0043】
また、本発明の糖化Hb/HbA1cの測定方法は、ヘモグロビン(Hb)濃度の測定をさらに含むことをさらに含んでもよく、なおさらに、HbA1c濃度をHb濃度で割った値であるHbA1c値を求めることを含んでもよい。
【0044】
[測定キット]
本発明のさらにその他の態様は、糖化ヘモグロビン及び又はヘモグロビンA1c(HbA1c)の測定キットであって、血液又は赤血球を含む血液由来物の赤血球を本発明の分離方法で分離して得られる試料について糖化ヘモグロビン及び又はヘモグロビンA1cを測定することが記載された説明書を含む測定キットに関する。本発明の測定キットにおいて、糖化Hb及びHbA1cを測定する方法は、上述のとおり、従来公知の方法を適用でき、例えば、FAODを用いた酵素法、HPLC法、ミニカラム法、免疫法等が挙げられる。本発明の測定キットには、さらに、糖化ヘモグロビン及び又はヘモグロビンA1cを測定するための試薬が含まれていてもよい。なお、本発明の測定キットは、説明書が本発明の測定キットの同梱されることなくウェブ上で提供される場合も含みうる。説明書には、本発明の分離方法、本発明の赤血球試料の調製方法、及び、本発明の糖化Hb/HbA1cの測定方法の少なくとも1つが記載されていることが好ましい。
【0045】
[血糖値の履歴の検査方法]
本発明のさらにその他の態様は、血糖値の履歴を検査する方法であって、血液又は赤血球を含む血液由来物の赤血球を本発明の分離方法で赤血球を比重に応じて分布させること、及び、前記分布から回収した試料の赤血球成分を測定することを含む血糖値の履歴の検査方法に関する。本発明の血糖値の履歴の検査方法において、測定対象の赤血球成分は、血糖値履歴の評価の信頼性の点から、糖化ヘモグロビン又はヘモグロビンA1cを含むことが好ましい。また、測定する試料は、前記分布の所定の部分、例えば、前述した表部、中部、底部のいずれか1部分、又はこれらの組合せのみとすることができる。
【0046】
本発明において、「血糖値の履歴」とは、ある所定の期間内における血糖値の変化の指標であって、例えば、上述の幼若赤血球を被検試料とすれば、検査前1〜2ヶ月程度の血糖値を反映した値を得ることができる。あるいは、上述の老化赤血球を被検試料とすれば、検査前3〜4ヶ月程度の血糖値を反映した値を得ることができる。幼若赤血球及び老化赤血球の両方を被検試料としてもよい。血糖値をコントロールする場合には、食事規制や生活習慣改善の効果が履歴に反映される期間がより短く、血糖値コントロールがし易い点から、幼若赤血球を用いた血糖値の履歴を使用することが好ましい。したがって、本発明のさらにその他の態様は、血糖値のコントロール方法及び又は糖尿病の治療方法であって、本発明の分離方法により得られる幼若赤血球の血糖値の履歴を使用して血糖値コントロールを評価することを含む方法に関する。
【実施例】
【0047】
洗浄水を用いて血液試料を洗浄し、さらに下記の条件で遠心分離することで、マイクロチューブ内に赤血球を比重に応じて分布させた。前記赤血球分布の表部と中部と底部から赤血球試料を回収し、それらのヘモグロビンA1c(HbA1c)の濃度を測定し、前記赤血球分布を評価した。
【0048】
[血液試料]
健常人から抗凝固剤としてEDTA−2Kの入った採血管を用いて採血した血液を転倒混和して完全に均一状態にした後、0.8mLを10mL容量のガラス試験管に分注した。前記血液を含むガラス試験管を1900×g2分の条件で遠心して血球部と血漿部に分離し、前記血漿部をできるだけ取り除いた血球部を血液試料として使用した。
【0049】
[洗浄水]
洗浄に用いる洗浄水として、0.85w/v%(145mmol/L)NaCl水溶液、又は0.80w/v%(137mmol/L)NaCl水溶液を用いた。
【0050】
[洗浄工程]
前記血液試料の洗浄は以下のように行った。上述の血液試料(血球部)を含む前記10mL容量のガラス試験管に前記血液試料の元の血液量の10倍量に相当する8mLの前記洗浄水を加え、転倒混和し均一な状態とした。これを50×g20分、170×g5分、170×g20分、750×g2分、又は1900×g5分の条件で遠心し、血球部(下層に沈降)とそれ以外(上層部)に分離し、前記上層部をほぼ取り除いた。本明細書において、洗浄工程における前記遠心を「前処理遠心」ともいう。
【0051】
[赤血球を比重に応じて分布する工程]
洗浄後の前記血球部を0.5mL容量のマイクロチューブに移し替え、1900×g5分又は7000×g20分の条件で遠心することで、前記マイクロチューブ内にいて、前記血球部に含まれる赤血球をそれらの比重に応じて分布させた。本明細書において、赤血球を比重に応じて分布する工程における前記遠心を「分布遠心」ともいう。
【0052】
[赤血球分布の評価]
赤血球の比重に応じた分布の評価は、分布遠心を行った後の前記血球部の表部(血球部の体積を遠心チューブの円柱軸又は円錐軸方向に5分割した最上部)と中部(前記5分割の中央部)と底部(前記5分割の最下部)から試料を採取し、それらのヘモグロビンA1c(HbA1c)値を測定することで行った。健常人の血液の赤血球を用いた場合に、HbA1c値が相対的に高い試料の部位には比重が相対的に高い赤血球が分布していると評価でき、かつ、HbA1c値が相対的に低い試料の部位には比重が相対的に低い赤血球が分布していると評価できることは、当業者であれば当該技術分野の技術常識に基づき理解できる。なお、HbA1c値とは、HbA1c濃度をHb(ヘモグロビン)濃度で割った値であり、一般に「HbA1c%」又は「HbA1c濃度/Hb濃度」(単位:mmol/ml/mol/ml)又は「HbA1cミリモル数/Hbモル数」(単位:mmol/mol)という値で表記される値である。
【0053】
具体的には、分布遠心を行った後の前記血球部の表部と中部と底部から0.005mLの試料を採取し、HbA1c値の測定キット(商品名:サンクHbA1c、アークレイ社製)を使用してこれらの試料のHbA1c値を測定した。
【0054】
[実施例1]
実施例1では、洗浄水として0.85w/v%NaCl水溶液を用い、50×g20分の条件で前処理遠心処理をして前記血球試料を洗浄し、1900×g5分の条件で分布遠心を行い、赤血球を比重に応じて分布させた。前記分布の表部、中部、及び底部からそれぞれ試料を回収し、HbA1c値の測定キット(商品名:サンクHbA1c、アークレイ社製)を使用してこれらの試料のHbA1c値を測定した。それぞれの試料のHbA1c値、並びに、表部試料HbA1c値と中部試料HbA1c値との差(表部−中部)、底部試料HbA1c値と中部試料HbA1c値との差(底部−中部)、及び、底部試料HbA1c値と表部試料HbA1c値との差(底部−表部)の結果を下記表1に示す。
【0055】
[実施例2〜実施例5]
実施例2〜実施例5では、前処理遠心条件を、それぞれ、170×g5分、170×g20分、750×g2分、及び1900×g5分とした以外は実施例1と同様にして赤血球を比重に応じて分布させ、表部、中部、及び底部の試料のHbA1c値を測定した。その結果を下記表1に示す。
【0056】
[実施例6〜実施例7]
実施例6〜実施例7では、前処理遠心条件を750×g2分とし、分布遠心条件をそれぞれ1900×g5分、7000×g20分とした以外は実施例1と同様にして赤血球を比重に応じて分布させ、表部、中部、及び底部の試料のHbA1c値を測定した。その結果を下記表1に示す。
【0057】
[実施例8〜実施例9]
実施例8〜実施例9では、洗浄水を0.80w/v%NaCl水溶液とした以外はそれぞれ実施例6及び実施例7と同様にして赤血球を比重に応じて分布させ、表部、中部、及び底部の試料のHbA1c値を測定した。その結果を下記表1に示す。
【0058】
[実施例10]
実施例10では、750×g2分の前処理遠心条件で行う洗浄を3回行った以外は実施例1と同様にして赤血球を比重に応じて分布させ、表部、中部、及び底部の試料のHbA1c値を測定した。その結果を下記表1に示す。
【0059】
[比較例1]
比較例1では、洗浄工程を行わないこと以外は実施例1と同様の作業を行い、表部、中部、及び底部の試料のHbA1c値を測定した。その結果を下記表1に示す。
【0060】
[比較例2]
比較例2では、洗浄工程を行わないこと、及び、分布遠心の条件を7000×g20分とした以外は実施例1と同様の作業を行い、表部、中部、及び底部の試料のHbA1c値を測定した。その結果を下記表1に示す。
【0061】
[比較例3〜比較例5]
比較例3〜比較例5では、洗浄工程において洗浄水を添加することなく前処理遠心を、それぞれ、170×g5分、750×g2分、及び1900×g5分とした以外は実施例1と同様の作業を行い、表部、中部、及び底部の試料のHbA1c値を測定した。その結果を下記表1に示す。
【0062】
[比較例6]
比較例6では、洗浄工程を行わないこと、及び、分布遠心の条件を1900×g20分とした以外は実施例1と同様の作業を行い、表部、中部、及び底部の試料のHbA1c値を測定した。その結果を下記表1に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
上記表1に示すとおり、実施例1〜実施例10では、比較例1〜比較例6に比べて底部のHbA1c値と表部のHbA1c値との差が拡大しており、赤血球をより精度よく比重に応じて分布させること、すなわち、若い血球を表部に古い血球を底部により精度よく分布させることができた。また、実施例1〜実施例5では、比較例(例えば、比較例1、3〜5)と比較して、有意に表部のHbA1c値が低下しており、前記洗浄工程における前処理遠心の条件に関わらず、若い血球が表部に、古い血球が底部に分布していることが示された。さらに、実施例10では前処理遠心が複数回行われても実施例4と同等の結果となり、赤血球の比重に応じた分布は前処理の回数に依存しないことが示された。
【0065】
[実施例11]
次に、分布遠心における遠心条件(遠心力及び遠心時間)と分離精度の関係を調べた。具体的には、洗浄水として0.9w/v%NaCl水溶液を用い、50×g20分の条件で前処理遠心処理をして前記血球試料を洗浄し、下記の遠心条件で分布遠心を行い、分布後の底部赤血球試料と表部赤血球試料とのHbA1c値の差(底部−表部)を測定した。底部及び表部の定義、並びに、HbA1c値の測定方法は、上述のとおりである。その結果を図1に示す。
【0066】
〔遠心条件〕
分布遠心の遠心条件は、遠心力1500×g、1900×g、2500×g、5000×g、7000×g、9000×g、及び12000×gと、遠心時間2分、5分、10分、15分、20分、25分、及び30分とを組み合わせたものとした。
【0067】
図1に示すとおり、赤血球を比重に応じた分布における分離精度は、分布遠心の遠心力1900×g以上で飛躍的に向上することが示された。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、例えば、医療分野、臨床検査の分野、糖尿病の治療/予防分野等に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液又は赤血球を含む血液由来物を洗浄して赤血球を含有する血球組成物を得ること、及び、
前記血球組成物を遠心分離し、赤血球を比重に応じて分布させることを含み、
前記洗浄に用いる洗浄水は、赤血球の溶血を抑制できる液体組成物であり、
前記遠心分離の遠心加速度が1900×g以上である、赤血球の分離方法。
【請求項2】
前記洗浄が、血液又は赤血球を含む血液由来物と前記洗浄水とを混合すること、及び、前記混合物を遠心分離して前記血球組成物を形成させることを含む、請求項1記載の赤血球の分離方法。
【請求項3】
前記血球組成物の遠心分離における遠心加速度が1900×g〜10000×gである、請求項1記載の赤血球の分離方法。
【請求項4】
前記血球組成物の遠心分離における遠心時間が20分以下である、請求項1又は2に記載の赤血球の分離方法。
【請求項5】
血液又は赤血球を含む血液由来物の赤血球を請求項1から4のいずれかに記載の分離方法で赤血球を比重に応じて分布させること、並びに、
より比重の軽い部分に分布する赤血球をより世代の若い赤血球として回収すること、及び又は、より比重の重い部分に分布する赤血球をより世代の古い赤血球として回収することを含む、赤血球試料の調製方法。
【請求項6】
赤血球の成分を測定する測定方法であって、
血液又は赤血球を含む血液由来物の赤血球を請求項1から4のいずれかに記載の分離方法で赤血球を比重に応じて分布させること、及び、
前記分布の一部に含まれる赤血球の成分を測定することを含む、赤血球成分の測定方法。
【請求項7】
糖化ヘモグロビン及び又はヘモグロビンA1cの測定方法であって、
血液又は赤血球を含む血液由来物の赤血球を請求項1から4のいずれかに記載の分離方法で赤血球を比重に応じて分布させること、及び、
前記分布の一部に含まれる赤血球の糖化ヘモグロビン及び又はヘモグロビンA1cを測定することを含む、糖化ヘモグロビン及び又はヘモグロビンA1cの測定方法。
【請求項8】
糖化ヘモグロビン及び又はヘモグロビンA1cの測定キットであって、血液又は赤血球を含む血液由来物の赤血球を請求項1から4のいずれかに記載の分離方法で分離して得られる試料について糖化ヘモグロビン及び又はヘモグロビンA1cを測定することが記載された説明書を含む、測定キット。
【請求項9】
血糖値の履歴を検査する方法であって、
請求項1から4のいずれかに記載の赤血球の分離方法により、検査対象血液の赤血球を比重に応じて分布させること、及び、
前記分布から回収した試料の赤血球成分を測定することを含む、血糖値の履歴の検査方法。
【請求項10】
前記赤血球の成分が糖化ヘモグロビン又はヘモグロビンA1cである、請求項9記載の血糖値の履歴の検査方法。
【請求項11】
前記分布の所定の部分のみを回収し、前記部分の赤血球成分を測定することを含む、請求項9又は10に記載の血糖値の履歴の検査方法。

【図1】
image rotate