説明

走査型プリンタのフレーム構造

【課題】簡単な構造を有するにもかかわらず、高い印刷品質を可能とするプリンタを提供する。
【解決手段】フレーム10が、支持構造12と、2個の板状機能ブロック20とから構成され、板状機能ブロック20が、軸方向Yに垂直なそれぞれの平面X−Z内に延びるように、フィードローラ24の両端で支持構造12に支持され、かつガイドレール28およびシート支持プレート26を支持する、プリンタであって、フィードローラが、それぞれベアリングケース46を有する2個のベアリング22で回転可能に支持され、各ベアリングケース46が、支持構造12の部材18で支持され、機能ブロック20のそれぞれが、ベアリングケース46の一方の周表面上でちょうど2点で支持された、下方に開いたV字ノッチを画定し、ガイドレール28が、機能ブロック20のV字上面に載っており、それによって軸方向Yに垂直な両方向X、Zに正確に位置決めされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームと、記録媒体を前進させるためにフレーム内で回転可能に支持されたフィードローラと、前記記録媒体を支持するシート支持プレートと、フィードローラの軸方向と平行に延びるガイドレールと、ガイドレールでガイドされ、かつシート支持プレート上の記録媒体と対向するプリントヘッドを担持するキャリッジとを備えるプリンタであって、フレームが、支持構造と、2個の板状機能ブロックとから構成され、板状機能ブロックが、前記軸方向に垂直なそれぞれの平面内に延びるように、フィードローラの両端で前記支持構造に支持され、かつガイドレールおよびシート支持プレートを支持する、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなプリンタは、米国特許第4502796号に開示されている。
【0003】
この種のプリンタの典型的な例は、記録媒体が、副走査方向にシート支持プレート上を前進される間に、キャリッジが、ガイドレールに沿って移動して主走査方向に記録媒体を走査する際に、記録媒体上に液体インクの液滴を吐出するように構成された、1個または複数のプリントヘッドを有するインクジェットプリンタである。プリントヘッドのノズルが通電されるタイミングは、記録媒体に対するキャリッジの移動と正確に同期されなくてはならない。このために、キャリッジは、ルーラー上のマークを読み取るための検出器を備えることができる。しかしながら、高い印刷品質を達成するためには、記録媒体の位置を決定するフィードローラおよびシート支持プレート、ならびにキャリッジ用のガイドレールが、互いに対して安定にかつ正確に位置決めされることが不可欠である。このような理由から、従来のプリンタは、比較的高額なフレーム構造を有し、このフレーム構造は、高精度で製造され、かつ、特にキャリッジの往復走査移動により生じる反力を考慮して十分な剛性を提供する。
【特許文献1】米国特許第4502796号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、簡単な構造を有するにもかかわらず、高い印刷品質を可能とするプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この目的は、上述のタイプのプリンタにより達成され、フィードローラが、それぞれベアリングケースを有する2個のベアリングで回転可能に支持され、各ベアリングケースが、支持構造の部材で支持され、機能ブロックそれぞれが、ベアリングケースの一方の周表面でちょうど2点で支持された、下方に開いたV字ノッチを画定し、ガイドレールが、機能ブロックのV字上面に載っており、かつそれによって、軸方向に垂直な両方向に正確に位置決めされることを特徴とする。
【0006】
ガイドレールおよびシート支持プレートが、いずれもフィードローラの近傍に位置しているため、ガイドレールおよびシート支持プレートの両方の鋭角な支持部として機能する2個の板状機能ブロックが、比較的小さい寸法を有することができ、結果として比較的低コストで非常に鋭角に機械加工されることができる。さらに、これらの機能ブロックは、特にフィードローラの軸方向である主走査方向(Y)に垂直な2方向(XおよびZ)において、非常に高い剛性を提供することができる。フィードローラ、ガイドレール、およびシート支持プレートが、互いに対して正確に位置決めされることを確実にするのは、2個の機能ブロックだけであるから、残りのフレーム構造、すなわち支持構造に対する剛性および精度要件を緩めることができる。これに対して、機能ブロック、フィードローラ、ガイドレール、およびシート支持プレートにより形成される剛性ユニットと比較して、支持構造がいくらかの可撓性を有している場合には、それが利点ともなるだろう。結果として、フレーム構造全体のコストを、大幅に削減することができるにもかかわらず、精度が重要なそれらの部分において、高い精度が安定して確保される。
【0007】
本発明の好ましい実施形態が、従属請求項に示されている。
【0008】
過度の制約を避けるために、各ベアリングケースが、2点だけで支持構造に支持されることが好ましい。
【0009】
ガイドレールが、主走査方向Yにおいて2個の機能ブロックに剛性的に連結されることができ、ガイドレールと機能ブロックが、剛性ユニットを形成する。
【0010】
しかしながら代替として、ガイドレールが、Y方向においてフレームの支持構造で直接に剛性的に支持されている場合に、ガイドレールが、Y方向において機能ブロックにスライドしてまたは可撓的に支持されることが可能である。しかしながら、後者の場合、ガイドレールに沿ったキャリッジのY位置は、ガイドレールの位置よりもむしろ、フィードローラまたは記録媒体の位置に直接関連して測定されるべきである。
【0011】
2個の機能ブロックが、共にシート支持プレートを3点だけで、すなわち過度の制約なしに支持するのが好ましい。さらに、シート支持プレートを、機能ブロックの一方だけに剛性的に連結すべきであるが、他方の機能ブロックに対してY方向にスライド可能とされる。このことは、例えば、ホットメルトインクジェットプリンタにおける場合のように、シート支持プレートが熱膨張および収縮を受ける場合に、特に有利である。このようなプリンタでは、プリントヘッドで用いるインクが、室温で固体であり、例えば、液体になるために100℃以上まで加熱されなければならない。そして、記録媒体上に付着されているインクの冷却および固体レートを制御するように、シート支持プレートが、加熱可能でありかつ温度制御されることが好ましい。
【0012】
以下に、本発明の好ましい実施形態が図面とともに説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1に示されたプリンタは、フレーム10を備え、このフレーム10は、2本の直立材14、2本のクロスバー16、およびクロスバー16から立ち上がる2枚の取り付けプレート18により形成された下部支持構造12を有する。板状機能ブロック20が、それぞれの取り付けプレート18に取り付けられ、かつそれぞれの取り付けプレート18と平行に延びている。
【0014】
2個のベアリング22が、フィードローラ24を2枚の取り付けプレート18間で回転可能に支持している。
【0015】
シート支持プレート26は、2個の機能ブロック20で水平方向に支持され、かつ、フィードローラ24によって(図1の図面の平面に垂直な)X方向に前進される記録媒体(図示せず)のシートを支持する役目を果たす。簡単にするために、フィードローラ24用の駆動機構体は、ここでは示されていない。
【0016】
ガイドレール28は、機能ブロック20の上端に載っており、かつフィードローラ24の軸方向Yと平行に延びている。キャリッジ30は、ガイドレール28をガイドされ、かつ例えばベルト型駆動機構体32によって、ガイドレールに沿って往復移動するように駆動される。キャリッジ30は、シート支持プレート26上に延びる部分を有し、プリントヘッド34が、シート支持プレート26上を前進されるシートに対向するように、このキャリッジ部分の底側に取り付けられている。プリントヘッド34は、例えばホットメルトインクジェットプリントヘッドであってもよい。
【0017】
従来の構成を有することができ、ここに示されていない検出および制御システムが、キャリッジ30のY位置を検出し、かつキャリッジが記録媒体を横切って移動する間に、プリントヘッド34のプリントユニットまたはノズルが通電されるタイミングを決定する。
【0018】
図2に示されたように、ガイドレール28は、2本の円筒ロッド36を支持するプロファイル部材により形成され、キャリッジ30が、円筒ロッド36に支持されてローラベアリングでガイドされる。ガイドレール28は、機能ブロック20のV字上面に載っており、それによって正確にX方向、すなわち記録媒体が前進する方向、およびZ方向に位置決めされている。示される例には、ガイドレール28が、2個のブラケット38によって、機能ブロック20のそれぞれに剛性的にY方向にも連結される。
【0019】
任意で、図1の仮想線で示されているように、ガイドレールをクロスバー16に直接連結する機械的リンク40により、ガイドレール28が、Y方向に剛性的に支持されてもよい。機械的リンク40それぞれが、X方向に可撓性でY方向に剛性のリーフスプリング42を備えることができる。
【0020】
図2に示されたように、取り付けプレート18が、上方に開いたV字ノッチを画定する上方に延びる突起44を有し、この突起44が、フィードローラ24用のベアリング22のベアリングケース46の円筒周表面を、ちょうど2点で支持する。同様に、機能ブロック20が、ベアリングケース46の周表面にやはりちょうど2点で載る、下方に開いたV字ノッチを有する。このようにして、機能ブロック20は、フィードローラ24の中心軸に対して正確に位置決めされる。ガイドレール28およびシート支持プレート26が、フィードローラの軸の両側で機能ブロック20に支持されるので、構造全体は、原則的に重量バランスが取れている。加えて、比較的薄い金属薄板のストリップ48が、取り付けプレート18から突出し、かつ、フィードローラおよびベアリングケース46の軸周りの機能ブロックの角度位置を画定するように、機能ブロック20の一方の端部に固定される。
【0021】
図2の仮想線に示されているように、フィードローラ24用の駆動機構体(図示せず)を収容するブラケット50が、ベアリングケース46および/または機能ブロック20および取り付けプレート18の一部に、その近傍で取り付けられ、Y方向の機能ブロック20の位置を安定させる。
【0022】
シート支持プレート26が、2個の機能ブロック20の水平方向に突出するアーム52に合計3点で支持されている。より詳細には、図3および図4に示されているように、各機能ブロック20のアーム52が、3個の上方に突出するラグ54を有し、シート支持プレート26の一端(図3)が、ブラケット56によってこれらのラグの2個に固定して取り付けられ、一方、他端(図4)が、ガイド58によって第3の(中央の)ラグ54にY方向にスライドしてガイドされる。よって、シート支持プレート26は、温度変化を受けると、機能ブロック20に安定して支持されるが、その長さ方向には自由に膨張および収縮する。ホットメルトインクジェットプリンタにおいて、プリンタが動作する間、シート支持プレート26は、加熱され、インクの温度に適切に適合した温度に保たれるのが好ましい。シート支持プレート26の加熱および冷却により生じる膨張および収縮は、機能ブロック20を変形させることはない。
【0023】
走査型インクジェットプリンタにおいて、プリントヘッド34とシート支持プレート26の表面との間の距離、すなわちインク液滴の飛翔距離は、印刷画像の品質に重要であり、したがって安定かつ均一にされるべきである。インク液滴の飛翔距離を調整するように、シート支持プレート26を高さ調整可能にすることもできる。しかしながら、本発明では、機能ブロック20が、精密に機械加工されて、シート支持プレート26の高さに適切な基準を提供するので、ブラケット56とガイド58が、機能ブロック20とシート支持プレート26との間の一定の距離を画定するように適合されるのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るプリンタの正面図である。
【図2】図1の矢印II−IIの方向のプリンタの立面図である。
【図3】シート支持プレートの両端の拡大端面図である。
【図4】シート支持プレートの両端の拡大端面図である。
【符号の説明】
【0025】
10 フレーム
12 支持構造
18 部材
20 機能ブロック
22 ベアリング
24 フィードローラ
26 シート支持プレート
28 ガイドレール
30 キャリッジ
34 プリントヘッド
46 ベアリングケース
48 ストリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム(10)と、
記録媒体を前進させるためにフレーム(10)で回転可能に支持されたフィードローラ(24)と、
前記記録媒体を支持するシート支持プレート(26)と、
フィードローラ(24)の軸方向(Y)と平行に延びるガイドレール(28)と、
ガイドレール(28)でガイドされ、かつシート支持プレート上の記録媒体と対向するプリントヘッド(34)を担持するキャリッジ(30)とを備えるプリンタであり、
フレーム(10)が、支持構造(12)と、2個の板状機能ブロック(20)とから構成され、該板状機能ブロック(20)が、前記軸方向(Y)に垂直なそれぞれの平面(X−Z)内に延びるように、フィードローラ(24)の両端で前記支持構造(12)に支持され、かつガイドレール(28)およびシート支持プレート(26)を支持する、プリンタであって、
フィードローラ(24)が、それぞれベアリングケース(46)を有する2個のベアリング(22)で回転可能に支持され、
各ベアリングケース(46)が、支持構造(12)の部材(18)で支持され、
板状機能ブロック(20)それぞれが、ベアリングケース(46)の一方の周表面でちょうど2点で支持された、下方に開いたV字ノッチを画定し、
ガイドレール(28)が、板状機能ブロック(20)のV字上面に載っており、それによって、前記軸方向(Y)に垂直な両方向(X、Z)に正確に位置決めされることを特徴とする、プリンタ。
【請求項2】
支持構造(12)の前記部材(18)が、ベアリングケース(46)の周表面をちょうど2点で支持する、上方に開いたV字ノッチを画定する、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
ガイドレール(28)およびシート支持プレート(26)が、フィードローラ(24)の両側で板状機能ブロック(20)に支持される、請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項4】
支持構造の前記部材(18)が、ベアリング(22)からずれた位置で板状機能ブロック(20)に直接連結される、突出するストリップ(48)を有する、請求項2または3に記載のプリンタ。
【請求項5】
支持構造(12)の前記部材(18)が、金属薄板から成る取り付けプレートであり、かつ板状機能ブロック(20)と平行に延びている、請求項1から4のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項6】
ガイドレール(28)が、板状機能ブロック(20)に剛性的に連結される、請求項1から5のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項7】
シート支持プレート(26)が、2個の板状機能ブロック(20)にちょうど合計3点で支持される、請求項1から6のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項8】
シート支持プレート(26)が、軸方向(Y)において板状機能ブロック(20)の一方で固定され、前記軸方向(Y)において板状機能ブロック(20)の他方に対して自由に移動する、請求項1から7のいずれか一項に記載のプリンタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−176334(P2006−176334A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−359899(P2005−359899)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(390039435)オセ−テクノロジーズ・ベー・ヴエー (103)
【氏名又は名称原語表記】OCE’−NEDERLAND BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】