説明

走行クレーンの操作制御装置、操作制御方法

【課題】手元を注視することなく、片手で素早く的確に操作でき、且つ巻上下の無段速変速、微細な速度制御ができる走行クレーンの操作制御装置及び方法を提供すること。
【解決手段】操作装置制御回路部10、モータ駆動制御回路部30を備え、指令信号生成部21は、加速度センサ16からの操作筐体の傾き角度を3つの傾き範囲に区分し、動作決定無段速押釦スイッチ15からの動作決定信号S15を条件として、第1傾き範囲では走行モータ41及び横行モータ42への走行・横行指令信号、速度信号指令信号を生成して走行・横行運転のみを行い、第2傾き範囲では走行・横行指令信号、及び加速度センサ16からの操作筐体の傾き方向により昇降モータ43への上昇又は下降の指令信号、速度信号指令信号を生成して走行、横行、昇降運転を行い、第3傾き範囲では上昇又は下降指令信号、速度指令信号を生成して昇降運転のみを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平面内の所定方向(例えば、東西方向)に敷設された走行レールと、該走行レールに直交する方向(例えば、南北方向)に配置され且つ走行モータにより、該走行レールに沿って移動する横行レール(ガータ)と、該横行レールに沿って横行する横行モータと荷を巻上下げするための昇降モータを具備する電動巻上機を備えた走行クレーンの操作制御装置、及び操作制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は、上記走行クレーンの外観概略構成例を示す図である。本走行クレーン100は、建物天井の水平面内の所定方向(例えば、東西方向)に敷設された走行レール101、101と、該走行レール101、101に直交する方向(例えば、南北方向)に配置され、ギヤードモータ(走行モータ)103により該走行レール101、101上を移動する横行レール(ガータ)102と、横行レール102に沿って横行する横行モータ104と荷巻上下するための昇降モータ105を備えた電動巻上機106を備えて構成されている。
【0003】
上記走行クレーン100において、電動巻上機106にはケーブル108等により操作筐体107が接続されている。この操作筐体107には、例えば「東」、「西」、「南」、「北」、「上」、「下」の各押釦スイッチが取り付けられている。この「東」、「西」、「南」、「北」の押釦スイッチを操作することにより、電動巻上機106は、走行レール101、101に沿って東西方向への走行、横行レール102に沿って南北方向へ横行するようになっている。また、「上」、「下」の押釦スイッチの操作により、荷吊下用フック109に吊り下げられた荷(図示せず)が昇降(巻上下げ)する。なお、図1(a)は走行クレーンの全体概略構成例を示す図であり、図1(b)は操作筐体107部分の拡大図である。
【0004】
上記構成の走行クレーンでは、荷吊下用フック109に吊下げた荷(搬送物)の移動する方向(走行、横行、巻上下げ方向)に対応する押釦スイッチを操作筐体107に取付けられた「東」、「西」、「南」、「北」、「上」、「下」の各押釦スイッチの中から探し出す必要がある。また、電動巻上機106を走行・横行両方向に運転する場合、同時に2つの押釦スイッチを押さなければならない。また、走行、横行、巻上下の微細な速度制御ができないという問題がある。
【0005】
また、特許文献1に開示されている走行クレーンのように、作業者は手元を見なくともスイッチを押しつつ、フックに掛けられて移動する搬送物の移動方向を見ながら操作筐体の向きを調整して、所望の方向へ搬送物を平行移動させることができる走行クレーンがある。図2は、特許文献1に開示されている、走行クレーンの外観概略構成例を示す図である。本走行クレーン200は建物天井の水平面内の所定方向に敷設された走行レール201、201と、該走行レール201、201を車輪を介して走行する1対のサドル202、202間に横行レール(ガータ)203を配置し、該横行レール203を車輪を介して横行する電動巻上機204を備えた構成である。電動巻上機204により巻き上げる支持ワイヤーロープ205の先端には荷吊下用フック206を固定している。電動巻上機204からは、撓みはするが捩れない通信ケーブル207が床面近傍まで垂下している。該通信ケーブル207の下端には回転自在な回転接続部209を介して操作筐体210が接続されている。
【0006】
操作筐体210の正面には、2段押釦の操作スイッチ211が設けられ、上下に上昇(巻上げ)スイッチと下降(巻下)スイッチが設けられ、操作スイッチ211を押すとX軸モータ・Y軸モータが作動して、電動巻上機204が操作筐体210の向いている方向、即ち操作筐体210の正面と正反対の方向へ水平移動する。従って、作業者は手元を見なくともスイッチを押しつつ、荷吊下用フック206に掛けられて移動する搬送物の移動方向を見ながら操作筐体210の向きを調整して、所望の方向へ搬送物を平行移動させることができるというものである。
【特許文献1】特開2007−39232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図2に示す従来の走行クレーンでは、電動巻上機204の水平方向の移動(走行・横行)と昇降(巻上・巻下)がそれぞれ違う押釦スイッチで行う場合、それぞれの押釦スイッチによる操作のため、両手操作が必要になるという問題がある。
【0008】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、手元を注視することなく、片手で素早く的確に操作でき、且つ巻上下の無段速変速、微細な速度制御ができる走行クレーンの操作制御装置、及び操作制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明は、水平面内の所定方向に敷設された走行レールと、該走行レールに直交する方向に配置され且つ走行モータにより、該走行レールに沿って移動する横行レールと、該横行レールに沿って移動するための横行モータ及び荷を巻上下する昇降モータとを具備する電動巻上機を備えた走行クレーンの操作制御装置であって、操作筐体と、該操作筐体先端部の垂直面内で上下に向く方向とその傾き角度を検出する操作筐体傾き検出手段と、操作筐体先端部の水平面内で向く方向を検出する操作筐体方向検出手段と、走行モータへの走行指令信号及び走行速度指令信号と前記横行モータへの横行指令信号及び横行速度指令信号と昇降モータの昇降指令信号と昇降速度指令信号とを生成する指令信号生成手段を備えた操作装置制御回路と、該操作装置制御回路の指令信号生成手段からの各指令信号に基づいて走行モータ、横行モータ、及び昇降モータを駆動制御するモータ駆動制御回路を備え、操作筐体には、動作決定信号と無段速信号を出力する動作決定無段速設定手段を設け、操作装置制御回路の指令信号生成手段は、操作筐体傾き検出手段で検出される傾き角度を3つの傾き範囲に区分し、動作決定無段速設定手段からの動作決定信号があることを条件として、第1傾き範囲では走行指令信号及び横行指令信号と対応する速度信号指令信号を生成し、第2傾き範囲では走行指令信号、横行指令信号、及び操作筐体先端部の向く方向が上向又は下向かにより上昇又は下降の指令信号を生成すると共に、該指令信号のそれぞれに対応する速度信号指令信号を生成し、第3傾き範囲では操作筐体先端部の向く方向が上向又は下向かにより上昇又は下降の指令信号を生成すると共に、該上昇又は下降の指令信号と対応する速度信号指令信号を生成することを特徴とする。
【0010】
上記のように操作筐体の傾き範囲を第1〜第3の傾き範囲に区分し、第1傾き範囲では走行モータへの走行指令信号と横行モータへの横行指令信号を生成してモータ駆動制御回路に出力し、走行、及び横行の運転のみを行い、第2傾き範囲では走行モータへの走行指令信号と横行モータへの横行指令信号と昇降モータへの上昇又は下降の指令信号を生成してモータ駆動制御回路に出力し、走行、横行、及び昇降の運転を行い、第3傾き範囲では昇降モータへの上昇又は下降の指令信号を生成してモータ駆動制御回路に出力し昇降の運転のみを行うようにしたので、操作筐体を把持する片手により該操作筐体先端部の垂直面内での上下方向への傾け操作、水平面内での方向操作、動作決定無段速設定手段を操作することにより、走行クレーンの走行、横行、及び昇降の運転を把持する片手で手元を注視することなく行うことができる。また、電動巻上機を所定位置に速やかに移動させたい場合は、操作筐体先端部を移動させたい所定位置に向けて動作決定無段速設定手段を操作するたけで実施できる。
【0011】
また、本発明は、上記走行クレーンの操作制御装置において、3つの傾き範囲は、操作筐体傾き検出手段で検出される傾き角度を第1所定角度<第2所定角度<90°により、第1所定角度以下を第1傾き範囲、第1所定角度〜第2所定角度を第2傾き範囲、第2所定角度〜90°を第3傾き範囲としたことを特徴とする。
【0012】
また、上記走行クレーンの操作制御装置において、第1所定角度は15°、第2所定角度は60°であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記走行クレーンの操作制御装置において、操作装置制御回路の指令信号生成手段は、第1傾き範囲の走行指令信号及び横行指令信号に対応する速度指令信号を動作決定無段速設定手段からの無段速信号に応じて生成し、第2傾き範囲の走行指令信号、横行指令信号に対応する速度指令信号を動作決定無段速設定手段からの無段速信号に応じて生成し、第2傾き範囲の上昇又は下降の指令信号に対する速度指令信号を操作筐体傾き検出手段からの検出傾き角度に応じて生成し、第3傾き範囲の上昇又は下降の指令信号に対応する速度指令信号を動作決定無段速設定手段からの無段速信号に応じて生成することを特徴とする。
【0014】
上記のように操作筐体の傾き角度が小さい第1傾き範囲(0°〜15°)における走行指令信号及び横行指令信号に対応する速度指令信号を動作決定無段速設定手段からの無段速信号に応じて生成し、傾き角度が中間の第2傾き範囲(15°〜60°)の走行指令信号、横行指令信号、及び上昇又は下降の指令信号に対応する速度指令信号を操作筐体傾き検出手段からの検出傾き角度に応じて生成し、傾き角度が大きい第3傾き範囲(60°〜90°)の上昇又は下降の指令信号に対応する速度指令信号を動作決定無段速設定手段からの無段速信号に応じて生成するので、走行速度、横行速度、及び昇降速度を無段速変速できることになり、微細な速度制御が可能となる。
【0015】
また、本発明は、上記走行クレーンの操作制御装置において、操作装置制御回路の指令信号生成手段は、走行指令信号、横行指令信号、及び上昇又は下降の指令信号に対応する速度指令信号を動作決定無段速設定手段からの無段速信号に応じて生成することを特徴とする。
【0016】
上記のように走行指令信号、横行指令信号、及び上昇又は下降の指令信号に対応する速度指令信号を動作決定無段速設定手段からの無段速信号に応じて生成するので、走行速度、横行速度、及び昇降速度を無段速変速できることになり、微細な速度制御が可能となる。
【0017】
また、本発明は、上記走行クレーンの操作制御装置において、動作決定無段速設定手段は、押圧操作とその押圧圧力で動作決定信号と無段速信号を出力する動作決定無段速押釦スイッチであることを特徴とする。
【0018】
上記のように動作決定無段速設定手段に動作決定無段速押釦スイッチを用いることにより、簡単な押圧操作により動作決定信号と無段速信号を出力し、走行速度、横行速度、及び昇降速度を無段速変速できる。
【0019】
また、本発明は、上記走行クレーンの操作制御装置において、操作筐体先端部が向く方向を水平面内で360°に変位させ、操作筐体方向検出手段で操作筐体先端部の向く方向を検出し、操作装置制御回路の指令信号生成手段は、検出された操作筐体先端部が向く方向に応じて走行モータへの走行指令信号及び横行モータへの横行指令信号を生成するようになっていることを特徴とする。
【0020】
上記のように操作筐体先端部が向く方向に応じて走行モータへの走行指令信号及び横行モータへの横行指令信号を生成するようにしたことにより、電動巻上機の移動させたい場所が水平面内360°のどの位置にあっても、その位置に操作筐体先端部を向けるだけで、速やかに所定位置に電動巻上機を移動させることができる。
【0021】
また、本発明は、上記走行クレーンの操作制御装置において、操作筐体にリセット信号を出力するリセットスイッチを設け、操作装置制御回路はリセット信号を受けて操作制御装置を初期状態にリセットするリセット機能を備えていることを特徴とする。
【0022】
上記のように操作装置制御回路はリセット機能を備えているので、操作筐体に設けたリセットスイッチを操作することにより、操作制御装置を速やかに初期状態にセットできる。
【0023】
また、本発明は、上記走行クレーンの操作制御装置において、動作決定無段速設定手段及びリセットスイッチは、操作筐体を把持する片手の指で操作できる位置に配置されていることを特徴とする。
【0024】
動作決定無段速設定手段及びリセットスイッチを、操作筐体を把持する片手の指で操作できる位置に配置することにより、走行クレーンの走行、横行、及び昇降運転、初期状態へのセットを片手で操作できる。
【0025】
また、本発明は、水平面内の所定方向に敷設された走行レールと、該走行レールに直交する方向に配置され且つ走行モータにより、該走行レールに沿って移動する横行レールと、該横行レールに沿って移動するための横行モータ及び荷を巻上下する昇降モータとを具備する電動巻上機を備えた走行クレーンの操作制御方法であって、操作筐体と、該操作筐体先端部の垂直面内で上下に向く方向とその傾き角度を検出する操作筐体傾き検出手段と、操作筐体先端部の水平面内で向く方向を検出する操作筐体方向検出手段と、動作決定信号と無段速信号を出力する動作決定無段速設定手段を備え、操作筐体先端部の垂直面内の上下傾け操作、及び水平面内の方向操作により、操作筐体傾き検出手段で検出される傾き角度の範囲を3つに区分し、動作決定無段速設定手段からの動作決定信号があることを条件として、1つの傾き範囲では走行モータへの走行指令信号及び横行モータへの横行指令信号と対応する速度信号指令信号のみ生成し、走行クレーンの走行・横行運転のみを行い、他の1つの傾き範囲では走行モータへの走行指令信号、横行モータへの横行指令信号、及び操作筐体先端部の向く方向が上向又は下向かにより昇降モータへの上昇又は下降の指令信号と該指令信号に対応する速度指令信号を生成し、走行クレーンの走行・横行、及び昇降運転を行い、更に他の1つの傾き範囲では操作筐体先端部の向く方向が上向又は下向により昇降モータへの上昇又は下降の指令信号と該指令信号に対応する速度指令信号を生成して、走行クレーンの昇降運転のみを行うことを特徴とする。
【0026】
上記のように操作筐体先端部の垂直面内の上下傾け操作、及び水平面内の方向操作により、動作決定無段速設定手段からの動作決定信号があることを条件として、走行クレーンの走行・横行、及び昇降を運転が行うことができるから、手元の注視を必要としない簡単な操作により、走行クレーンの操作制御が実施できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、下記のような優れた効果が得られる。
・手元を注視する必要なく、素早く、的確な走行クレーンの巻上下、走行・横行運転操作が可能となる。
・操作筐体の傾き角度で巻上下げ速度を無段速で変速制御できるから、微細な速度制御ができる。
・走行クレーンの走行、横行、昇降運転を一つの動作決定無段速設定手段(例えば動作決定用押釦スイッチ)で実施できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明に係る操作制御装置を用いる走行クレーンの構成は図1及び図2に示す構成と同様であるのでその説明は省略する。図3は本発明に係る走行クレーンの操作制御装置の操作装置制御回路部の外観構成例を示す図である。操作装置制御回路部10は平面、正面、及び側面が矩形状の6面体からなる操作筐体11を備えている。該操作筐体11の上面には筐体の先端方向を示す矢印Aが付している。また、操作筐体11の上面には電源をON/OFFする電源押釦スイッチ12、動作決定信号と無段速信号を出力する動作決定無段速設定手段としての動作決定無段速押釦スイッチ15、リセット押釦スイッチ14が取り付けられている。
【0029】
また、図示は省略するが操作筐体11内には、操作筐体11の先端部が傾く方向とその角度(先端部が垂直面内で上下に向く方向とその角度)を検出する操作筐体傾き検出手段としての加速度センサと、操作筐体11の先端部が向く方向(先端部が水平面内で向く方向)を検出する操作筐体方向検出手段としてのジャイロセンサが取り付けられている。
【0030】
図4は本発明に係る走行クレーンの操作制御装置の全体システム構成を示すブロック図である。走行クレーンの操作制御装置は、操作装置制御回路部10と、モータ駆動制御回路部30とから構成されている。操作装置制御回路部10は、指令信号生成部21と通信部22を備えている。モータ駆動制御回路部30は、通信部31、制御部32、走行インバータ33、横行インバータ34、昇降インバータ35を備えている。上記操作装置制御回路部10の指令信号生成部21や通信部22を構成する電子部品や機器は操作筐体11内に実装され、モータ駆動制御回路部30の通信部31や制御部32を構成する電子部品や機器は電動巻上機(図1の電動巻上機106、図2の電動巻上機204参照)に搭載配置される。
【0031】
操作装置制御回路部10の指令信号生成部21には、加速度センサ16で検出された操作筐体11の先端部11aが上向きであるか下向きであるかを示す傾き方向検出信号S16aとその傾き角度を示す傾き角度検出信号S16b、動作決定無段速押釦スイッチ15が押圧操作された場合の動作決定信号S15、押圧圧力に応じた無段速信号SV15、リセット押釦スイッチ14の押圧操作によるリセット信号S14、ジャイロセンサ17で検出された操作筐体11の先端部11aが水平面内で向く方向を検出した操作筐体方向検出信号S17がそれぞれ入力されるようになっている。なお、動作決定無段速押釦スイッチ15は、上記のように押圧操作時の押圧力に応じた大きさの無段速信号SV15が出力できるように、例えば感圧ゴム(押圧力に応じて抵抗値が変化するゴム材)を用いた押釦スイッチとする。
【0032】
操作装置制御回路部10の指令信号生成部21は、加速度センサ16からの傾き方向検出信号S16aと傾き角度検出信号S16b、動作決定無段速押釦スイッチ15からの動作決定信号S15と無段速信号SV15、ジャイロセンサ17からの操作筐体方向検出信号S17を受けて、走行モータ41への走行指令信号と走行速度指令信号、横行モータ42への横行指令信号と横行速度指令信号、昇降モータ43の昇降指令信号と昇降速度信号を生成し、通信部22を介して、モータ駆動制御回路部30の通信部31に伝送する。通信部31は受信した各指令信号を制御部32に送り、制御部32は各指令信号に基づいて走行モータ41の起動信号と速度信号、横行モータ42の起動信号と速度信号、及び昇降モータ43の起動信号と速度信号を生成して、走行インバータ33、横行インバータ34、及び昇降インバータ35を起動する。
【0033】
これにより走行インバータ33、横行インバータ34、及び昇降インバータ35から、それぞれ走行モータ41、横行モータ42、及び昇降モータ43に電力が供給され、走行モータ41、横行モータ42、及び昇降モータ43が起動し走行クレーンの電動巻上機を操作筐体11の先端部が向く方向に設定された速度で走行・横行すると共に、昇降モータ43を指定された方向に設定された速度で昇降(巻上下)する。即ち、操作筐体11の先端部の垂直面内での上げ下げ操作と、水平方向への変位操作(旋回操作)と動作決定無段速押釦スイッチ15の押圧操作のみで、走行クレーンの走行、横行、及び昇降運転を手元を注視する必要なく、素早く、的確に実行できる。
【0034】
以下、運転操作手順を詳細に説明する。加速度センサ16からの傾き方向検出信号S16aが操作筐体11の先端部11aの傾き方向を図5に示すように、上方で傾き角度が0°〜15°の場合を第1傾き範囲B1、傾き角度が15°〜60°の場合を第2傾き範囲B2、傾き角度が60°〜90°を第3傾き範囲B3とし、傾き方向が下方で、傾き角度0°〜−15°を第1傾き範囲B1、傾き角度が−15°〜−60°を第2傾き範囲B2、傾き角度が−60°〜−90°を第3傾き範囲B3とする。そして、指令信号生成部21は動作決定無段速押釦スイッチ15からの動作決定信号S15があることを条件として、操作筐体11の先端部11aの傾き方向が上方か下方かにより、上記傾き範囲により走行クレーンを下記のように運転する指令信号を生成する。
【0035】
〔操作筐体先端部が上向きに傾いている場合〕
・第1傾き範囲B1:第1傾き範囲B1では、走行クレーンの走行、横行運転のみを行う。ジャイロセンサ17からの操作筐体方向検出信号S17の示す操作筐体先端部が水平面面内で向く方向に走行クレーンを移動させるために、走行モータ41への走行指令信号及び速度指令信号と横行モータ42への横行指令信号及び速度指令信号を生成し、この指令信号をモータ駆動制御回路部30に伝送し、走行クレーンの走行、横行のみの運転を行う。この時、走行指令信号及び横行指令信号に対応する速度信号は、動作決定無段速押釦スイッチ15からの無段速信号SV15に応じた速度の走行速度指令信号、横行速度指令信号を生成する。
【0036】
・第2傾き範囲B2:第2傾き範囲B2では、走行クレーンの走行、横行、及び昇降運転を行う。即ち、ジャイロセンサ17からの操作筐体方向検出信号S17の示す操作筐体先端部が指す方向に走行クレーンを移動させるために、走行モータ41への走行指令信号及び速度指令信号と、横行モータ42への横行指令信号及び速度指令信号と、昇降モータ43への上昇指令信号及び速度指令信号を生成し、この指令信号をモータ駆動制御回路部30に伝送し、走行クレーンの走行、横行、上昇運転を行う。この時、走行指令信号及び横行指令信号に対する速度信号は、動作決定無段速押釦スイッチ15からの無段速信号SV15に応じた速度の走行速度指令信号、横行速度指令信号を生成する。また、上昇指令信号に対する速度信号は加速度センサ16からの傾き角度検出信号S16bが示す操作筐体11の傾き角度に応じた速度の上昇速度指令信号を生成する。
【0037】
・第3傾き範囲B3:第3傾き範囲B3では、走行クレーンの上昇運転のみを行う。即ち、昇降モータ43への上昇指令信号のみを生成する。この上昇指令信号に対する上昇速度指令信号は、動作決定無段速押釦スイッチ15からの無段速信号SV15に応じた速度の上昇速度指令信号を生成する。
【0038】
〔操作筐体先端部が下向きに傾いている場合〕
・第1傾き範囲B1:第1傾き範囲B1では、走行クレーンの走行、横行運転のみを行う。即ち、ジャイロセンサ17からの操作筐体方向検出信号S17の示す操作筐体先端部が指す方向に走行クレーンを移動させるために、走行モータ41への走行指令信号及び速度指令信号と横行モータ42への横行指令信号及び速度指令信号を生成し、この指令信号をモータ駆動制御回路部30に伝送し、走行クレーンの走行、横行のみの運転を行う。この時、走行指令信号及び横行指令信号に対する速度信号は、動作決定無段速押釦スイッチ15からの無段速信号SV15に応じた速度の走行速度指令信号、横行速度指令信号を生成する。
【0039】
・第2傾き範囲B2:第2傾き範囲B2では、走行クレーンの走行、横行、昇降運転を行う。即ち、ジャイロセンサ17からの操作筐体方向検出信号S17の示す操作筐体先端部が指す方向に走行クレーンを移動させるために、走行モータ41への走行指令信号及び速度指令信号と、横行モータ42への横行指令信号及び速度指令信号と、昇降モータ43への下降指令信号及び速度指令信号を生成し、この指令信号をモータ駆動制御回路部30に伝送し、走行クレーンの走行、横行、下降運転を行う。この時、走行指令信号及び横行指令信号に対する速度信号は、動作決定無段速押釦スイッチ15からの無段速信号SV15に応じた速度の走行の走行速度指令信号、横行速度指令信号を生成する。また、下降指令信号に対する速度信号は加速度センサ16からの傾き角度検出信号S16bが示す操作筐体11の傾き角度に応じた速度に応じた速度の下降速度指令信号を生成する。
【0040】
・第3傾き範囲B3:第3傾き範囲B3では、走行クレーンの下降運転のみを行う。即ち、昇降モータ43への下降指令信号のみを生成する。この下降指令信号に対する下降速度指令信号は、動作決定無段速押釦スイッチ15からの無段速信号SV15に応じた速度の下降速度指令信号を生成する。
【0041】
上記のように操作筐体11の垂直面内の傾き範囲を第1乃至第3傾き範囲に区分し、走行クレーンの運転を第1傾き範囲B1で走行及び横行運転のみを可能とし、第2傾き範囲B2で走行、横行、及び昇降運転を可能とし、第3傾き範囲B3で昇降運転のみを可能とすることにより、1個の操作筐体11の先端部11aの垂直面内での傾け操作と水平面内での旋回操作(操作筐体11の向きを変える操作)と該操作筐体11に取り付けた動作決定無段速押釦スイッチ15の押圧操作という簡単な操作、即ち手元を注視する必要のない操作で、素早く、的確に走行クレーンの運転操作が可能となる。また、動作決定無段速押釦スイッチ15の押圧操作による無段速信号SV15、及び操作筐体11の傾け操作により、無段速変速で走行、横行、及び昇降速度を制御するので、微細な速度制御が可能となる。
【0042】
なお、上記例では、第2傾き範囲B2の昇降速度を操作筐体11の傾き角度により制御するように、昇降速度指令信号を生成しているが、第1傾き範囲B1、第2の傾き範囲B2、及び第3傾き範囲B3を通して、走行、横行、及び昇降運転に対する速度制御を動作決定無段速押釦スイッチ15の押圧操作による無段速信号SV15に応じた速度で制御ができるように、速度指令信号を該無段速信号SV15に応じて生成するようにしてもよい。これにより、1個の動作決定無段速押釦スイッチ15の押圧操作により、走行、横行、昇降の三方向の速度制御が可能となる。
【0043】
また、ジャイロセンサ17により、操作筐体11の先端部11aの水平面内での向く方向を検出して、走行、横行を制御するので、操作筐体11はその先端部11aを水平面内で図6に示すように、360°の任意の方向に向けることができるから、走行クレーンの電動巻上機(図1及び図2の電動巻上機106、204参照)を荷を吊上下げしたい任意場所に速やかに移動させることが可能となる。
【0044】
また、走行モータ41、横行モータ42、及び昇降モータ43の起動、即ち走行指令信号、横行指令信号、昇降指令信号の生成を動作決定無段速押釦スイッチ15の押圧操作による動作決定信号S15があることを条件とすることにより、オペレータが走行クレーンの移動、巻上下げを意図して操作筐体11の先端部11aの水平面内の向きや上下方向の傾きを変えた場合にのみ、走行クレーンの走行・横行、昇降(巻上下げ)運転が行われる。即ち、オペレータが不用意に操作筐体11の先端部11aを水平面内で変位させたり、上下方向の傾きを変えても動作決定無段速押釦スイッチ15の押圧操作による動作決定信号S15がないと走行クレーンが走行、横行、巻上下げ動作をしないことになり、安全性が維持できる。なお、操作装置制御回路部10の指令信号生成部21及びモータ駆動制御回路部30の制御部32はそれぞれマイクロコンピュータで構成される。また、通信部22と通信部31の信号伝送手段としては、有線による信号伝送、電波や光等の無線による信号伝送を用いる。
【0045】
ここで、加速度センサ16で操作筐体11の上下傾き方向及び傾き角度を検出することについて説明する。加速度センサ16を取り付けている操作筐体11を角度θだけ傾斜させた場合、図7に示すように、加速度センサ16の取り付け方向には重力加速度gの分解成分g・sinθがかかることになる。従って、加速度センサ16の出力としてg・sinθに相当する値が電圧として出力される。ここで、角度θが0からπ/2まで変化すると、sinθの値は0.0から1.0まで変化し、最も傾いたθ=g・sinθは1gに等しくなる。上記のように加速度センサ16の出力は電圧値として出力されるから、操作筐体11を水平にした時の出力電圧値を基準として、垂直に配置した時までの変化幅を求め基準となる出力電圧値を取得する。そして現在の加速度センサ16の出力電圧と上記基準値の差を求め、逆サインを用いてこの値を角度に変換することにより、この変換した角度が現在の操作筐体11の傾き角度となる。
【0046】
次に、ジャイロセンサ17で操作筐体11の先端部が向く方向(操作筐体方向)を検出することについて説明する。ジャイロセンサには、振動式、機械式、光学式、流体式等がある。本走行クレーンの操作制御装置には、上記いずれのジャイロセンサも利用可能であるが、小型・量産化に有利などの理由で、圧電型振動ジャイロセンサがよく使用される。図8は圧電型振動ジャイロセンサの原理を示す図で、図8(a)は静止時、図8(b)は回転時をそれぞれ示す。圧電型振動ジャイロ18は圧電素子からなる振動子18aを具備し、静止時は矢印Cに示すように駆動振動している。回転時に振動子18aに軸を回転中心とする角速度ωを与えると、矢印Dに示す方向のコリオリの力が作用し振動子18aに電荷18bが発生する。この電荷を検出することにより、角速度ωを検出する。このように圧電型振動ジャイロセンサ18は角速度ωを検出するセンサであることから、角速度センサと呼ばれることもある。
【0047】
上記圧電型振動ジャイロセンサ(角速度センサ)18をジャイロセンサ17として操作筐体11内の所定位置に設置する。そして操作筐体11の矢印Aを予め決められた方向に設定(例えば走行方向である東西方向の東方向に向けて設定)し、操作筐体11に設けたリセット用押釦スイッチ14を押すことにより、ジャイロセンサ17の初期設定と累積誤差を消去するようになっている。このリセット時点から、ジャイロセンサ17(圧電型振動ジャイロセンサ18)で検出した角速度ωを操作筐体方向検出信号S17として指令信号生成部21に出力する。指令信号生成部21では操作筐体方向検出信号S17と経過時間(角速度ωの積分)から操作筐体11が上記予め決められた方向(東方向)から水平方向にどれだけ回転(旋回)したかを演算して、操作筐体11の矢印Aが向いている方向を求める。
【0048】
操作筐体11の矢印Aを、例えば東方向(走行方向)に向け、リセット用押釦スイッチ14を押圧操作した後、動作決定無段速押釦スイッチ15を押圧操作すると、指令信号生成部21は走行モータ41を東方向(正転)に走行させる走行指令信号を生成すると共に、動作決定無段速押釦スイッチ15の押圧力に応じた速度Vの速度指令信号を生成する。また、操作筐体11の矢印Aを東方向からずらすと、ジャイロセンサ17はそのずれの角速度ωを検出し操作筐体方向検出信号S17として指令信号生成部21に出力する。これにより指令信号生成部21はその角速度ωを積分して、基準方向(東方向)からずれた回転角度を算出し、その方向に応じて走行モータ41、横行モータ42の回転方向(走行方向、横行方向)と回転速度を演算し、その指令信号を生成する。
【0049】
例えば図9に示すように、操作筐体11を東方向からθ°(θ<90°)水平に北側に回転した場合、走行モータ41を東方向(正転)に走行させる走行指令信号を生成すると共に、横行モータ42を北方向(逆転)に横行させる横行指令信号を生成し、走行モータ41の回転数(速度)に対する横行モータ42の回転数(速度)の比は、Vcosθ:Vsinθとなるように制御する。また、操作筐体11を東方向からθ°水平に南側に回転した場合、走行モータ41を東方向(正転)に走行させる走行指令信号を生成すると共に、横行モータ42を南方向(正転)に横行させる横行指令信号を生成し、走行モータ41の回転数(速度)に対する横行モータ42の回転数(速度)の比は、Vcosθ:Vsinθとなるように制御する。
【0050】
また、操作筐体11を東方向から(180−θ)°水平に北側に回転した場合、走行モータ41を西方向(逆転)に走行させる走行指令信号を生成すると共に、横行モータ42を北方向(逆転)に横行させる横行指令信号を生成し、走行モータ41の回転数(速度)に対する横行モータ42の回転数(速度)の比は、Vcosθ:Vsinθとなるように制御する。また、操作筐体11を東方向から(180−θ)°水平に南側に回転した場合、走行モータ41を西方向(逆転)に走行させる走行指令信号を生成すると共に、横行モータ42を南方向(正転)に横行させる横行指令信号を生成し、走行モータ41の回転数(速度)に対する横行モータ42の回転数(速度)の比は、Vcosθ:Vsinθとなるように制御する。
【0051】
また、操作筐体11のリセット押釦スイッチ14を押圧操作することにより、リセット信号S14を指令信号生成部21に出力する。指令信号生成部21はこのリセット信号S14を受けて、操作装置制御回路部10を初期状態にセットする。このリセット押釦スイッチ14も操作筐体11を把持する片手の指で操作する位置に設ける。これにより、走行クレーンの走行、横行、及び昇降運転、及び操作装置制御回路部10の初期状態へのセットが操作筐体11を把持する片手で操作できる。
【0052】
また、上記実施形態例では、動作決定無段速設定手段として感圧ゴムを用いた動作決定無段速押釦スイッチ15を用い、押圧操作時の押圧圧力に応じた、無段速信号SV15を出力するように構成したが、動作決定信号と無段速信号を出力できるものであれば、これに限定されるものではなく、押圧操作時の押圧圧力に応じて無段速信号を出力できる他の押釦スイッチ又は操作部が所定のストロークで移動しその移動ストロークに応じた無段速信号を出力できるスイッチでもよい。
【0053】
また、上記実施形態例では、操作筐体11の上下の傾き方向と傾き角度を検出する操作筐体傾き検出手段として、加速度センサ16を用いる例を示したが、操作筐体11の上下の傾き方向と傾き角度を検出できるものであれば、加速度センサに限定されない。また、操作筐体11の水平面内での向く方向を検出する操作筐体方向検出手段としてジャイロセンサ17を用いる例を示したが、操作筐体11の水平面内での向く方向を検出できるものであれば、ジャイロセンサに限定されない。
【0054】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、傾き方向・角度検出手段として加速度センサを用いたが操作筐体の傾き方向及び傾き角度を検出できるのであれは、加速度センサに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】従来の走行クレーンの外観概略構成例を示す図である。
【図2】従来の走行クレーンの外観概略構成例を示す図である。
【図3】本発明に係る走行クレーンの操作制御装置の操作装置制御回路部の外観構成例を示す図である。
【図4】本発明に係る走行クレーンの操作制御装置の全体システム構成を示すブロック図である。
【図5】操作筐体の垂直面内の傾き範囲を説明する説明図である。
【図6】操作筐体の水平面内の変位を説明する説明図である。
【図7】加速度センサの説明図である。
【図8】圧電型振動ジャイロセンサの動作原理を示す図である。
【図9】操作筐体の水平面内の回転状態を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
10 操作装置制御回路部
11 操作筐体
12 電源押釦スイッチ
14 リセット押釦スイッチ
15 動作決定無段速押釦スイッチ
16 加速度センサ
17 ジャイロセンサ
18 圧電型振動ジャイロセンサ
21 指令信号生成部
22 通信部
30 モータ駆動制御回路部
31 通信部
32 制御部
33 走行インバータ
34 横行インバータ
35 昇降インバータ
41 走行モータ
42 横行モータ
43 昇降モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面内の所定方向に敷設された走行レールと、該走行レールに直交する方向に配置され且つ走行モータにより、該走行レールに沿って移動する横行レールと、該横行レールに沿って移動するための横行モータ及び荷を巻上下する昇降モータとを具備する電動巻上機を備えた走行クレーンの操作制御装置であって、
操作筐体と、該操作筐体先端部の垂直面内で上下に向く方向とその傾き角度を検出する操作筐体傾き検出手段と、前記操作筐体先端部の水平面内で向く方向を検出する操作筐体方向検出手段と、前記走行モータへの走行指令信号及び走行速度指令信号と前記横行モータへの横行指令信号及び横行速度指令信号と前記昇降モータの昇降指令信号と昇降速度指令信号とを生成する指令信号生成手段を備えた操作装置制御回路と、該操作装置制御回路の指令信号生成手段からの前記各指令信号に基づいて前記走行モータ、横行モータ、及び昇降モータを駆動制御するモータ駆動制御回路を備え、
前記操作筐体には、動作決定信号と無段速信号を出力する動作決定無段速設定手段を設け、
前記操作装置制御回路の指令信号生成手段は、前記操作筐体傾き検出手段で検出される傾き角度を3つの傾き範囲に区分し、前記動作決定無段速設定手段からの動作決定信号があることを条件として、第1傾き範囲では走行指令信号及び横行指令信号と対応する速度信号指令信号を生成し、第2傾き範囲では走行指令信号、横行指令信号、及び前記操作筐体先端部の向く方向が上向又は下向かにより上昇又は下降の指令信号を生成すると共に、該指令信号のそれぞれに対応する速度信号指令信号を生成し、第3傾き範囲では前記操作筐体先端部の向く方向が上向又は下向かにより上昇又は下降の指令信号を生成すると共に、該上昇又は下降の指令信号と対応する速度信号指令信号を生成することを特徴とする走行クレーンの操作制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の走行クレーンの操作制御装置において、
前記3つの傾き範囲は、前記操作筐体傾き検出手段で検出される傾き角度を第1所定角度<第2所定角度<90°により、第1所定角度以下を第1傾き範囲、第1所定角度〜第2所定角度を第2傾き範囲、第2所定角度〜90°を第3傾き範囲としたことを特徴とする走行クレーンの操作制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の走行クレーンの操作制御装置において、
前記第1所定角度は15°、第2所定角度は60°であることを特徴とする走行クレーンの操作制御装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の走行クレーンの操作制御装置において、
前記操作装置制御回路の指令信号生成手段は、前記第1傾き範囲の走行指令信号及び横行指令信号に対応する速度指令信号を前記動作決定無段速設定手段からの無段速信号に応じて生成し、前記第2傾き範囲の走行指令信号、横行指令信号に対応する速度指令信号を前記動作決定無段速設定手段からの無段速信号に応じて生成し、前記第2傾き範囲の上昇又は下降の指令信号に対する速度指令信号を前記操作筐体傾き検出手段からの検出傾き角度に応じて生成し、前記第3傾き範囲の上昇又は下降の指令信号に対応する速度指令信号を前記動作決定無段速設定手段からの無段速信号に応じて生成することを特徴とする走行クレーンの操作制御装置。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の走行クレーンの操作制御装置において、
前記操作装置制御回路の指令信号生成手段は、前記走行指令信号、横行指令信号、及び上昇又は下降の指令信号に対応する速度指令信号を前記動作決定無段速設定手段からの無段速信号に応じて生成することを特徴とする走行クレーンの操作制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の走行クレーンの操作制御装置において、
前記動作決定無段速設定手段は、押圧操作とその押圧圧力で動作決定信号と無段速信号を出力する動作決定無段速押釦スイッチであることを特徴とする走行クレーンの操作制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の走行クレーンの操作制御装置において、
前記操作筐体先端部が向く方向を水平面内で360°に変位させ、前記操作筐体方向検出手段で操作筐体先端部の向く方向を検出し、前記操作装置制御回路の指令信号生成手段は、前記検出された操作筐体先端部が向く方向に応じて前記走行モータへの走行指令信号及び前記横行モータへの横行指令信号を生成するようになっていることを特徴とする走行クレーンの操作制御装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の走行クレーンの操作制御装置において、
前記操作筐体にリセット信号を出力するリセットスイッチを設け、前記操作装置制御回路は前記リセット信号を受けて操作制御装置を初期状態にリセットするリセット機能を備えていることを特徴とする走行クレーンの操作制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の走行クレーンの操作制御装置において、
前記動作決定無段速設定手段及び前記リセットスイッチは、前記操作筐体を把持する片手の指で操作できる位置に配置されていることを特徴とする走行クレーンの操作制御装置。
【請求項10】
水平面内の所定方向に敷設された走行レールと、該走行レールに直交する方向に配置され且つ走行モータにより、該走行レールに沿って移動する横行レールと、該横行レールに沿って移動するための横行モータ及び荷を巻上下する昇降モータとを具備する電動巻上機を備えた走行クレーンの操作制御方法であって、
操作筐体と、該操作筐体先端部の垂直面内で上下に向く方向とその傾き角度を検出する操作筐体傾き検出手段と、前記操作筐体先端部の水平面内で向く方向を検出する操作筐体方向検出手段と、動作決定信号と無段速信号を出力する動作決定無段速設定手段を備え、
前記操作筐体先端部の垂直面内の上下傾け操作、及び水平面内の方向操作により、前記操作筐体傾き検出手段で検出される傾き角度の範囲を3つに区分し、前記動作決定無段速設定手段からの動作決定信号があることを条件として、1つの傾き範囲では前記走行モータへの走行指令信号及び前記横行モータへの横行指令信号と対応する速度信号指令信号のみ生成し、走行クレーンの走行・横行運転のみを行い、他の1つの傾き範囲では前記走行モータへの走行指令信号、前記横行モータへの横行指令信号、及び前記操作筐体先端部の向く方向が上向又は下向かにより前記昇降モータへの上昇又は下降の指令信号と該指令信号に対応する速度指令信号を生成し、走行クレーンの走行・横行、及び昇降運転を行い、更に他の1つの傾き範囲では前記操作筐体先端部の向く方向が上向又は下向により前記昇降モータへの上昇又は下降の指令信号と該指令信号に対応する速度指令信号を生成して、走行クレーンの昇降運転のみを行うことを特徴とする走行クレーンの操作制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−208919(P2009−208919A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−54982(P2008−54982)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000129367)株式会社キトー (101)
【Fターム(参考)】