説明

走行クレーンの操作制御装置、操作制御方法

【課題】操作装置を身体に装着した状態で、身体の動きで手元を注視することなく、片手で素早く的確に操作でき、且つ駆動装置の無段速制御、微細な速度制御ができる走行クレーンの操作制御装置、及び操作制御方法を提供する。
【解決手段】走行クレーンの操作制御装置であって、腕4に装着できる基本部2と手で操作できる操作部3からなる操作制御回路部1を備え、基本部2は、垂直面内で傾く方向と傾き角度を検出する基本部傾き検出手段と、水平面内で該基本部2の向く方向を検出する基本部方向検出手段と、走行モータへの走行指令信号及び走行速度指令信号と横行モータへの横行指令信号及び横行速度指令信号と昇降モータへの昇降指令信号と昇降速度指令信号とを生成する指令信号生成手段を備え、基本部2を走行クレーンの移動させたい方向、昇降させたい上下方向に向け、操作部3を操作するだけで、移動昇降の運転ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平面内の所定方向(例えば、東西方向)に敷設された走行レールと、該走行レールに直交する方向(例えば、南北方向)に配置され且つ走行モータにより、該走行レールに沿って移動する横行レール(ガータ)と、該横行レールに沿って横行する横行モータと荷を巻上下げするための昇降モータを具備する電動巻上機を備えた走行クレーンの操作制御装置、及び操作制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は、上記走行クレーンの外観概略構成例を示す図である。本走行クレーン100は、建物天井の水平面内の所定方向(例えば、東西方向)に敷設された走行レール101、101と、該走行レール101、101に直交する方向(例えば、南北方向)に配置され、ギヤードモータ(走行モータ)103により該走行レール101、101上を移動する横行レール(ガータ)102と、横行レール102に沿って横行する横行モータ104と荷巻上下するための昇降モータ105を備えた電動巻上機106を備えて構成されている。
【0003】
上記走行クレーン100において、電動巻上機106にはケーブル108等により操作筐体107が接続されている。この操作筐体107には、例えば「東」、「西」、「南」、「北」、「上」、「下」の各押釦スイッチが取り付けられている。この「東」、「西」、「南」、「北」の押釦スイッチを操作することにより、電動巻上機106は、走行レール101、101に沿って東西方向へ走行、横行レール102に沿って南北方向へ横行するようになっている。また、「上」、「下」の押釦スイッチの操作により、荷吊下用フック109に吊り下げられた荷(図示せず)が昇降(巻上下げ)する。なお、図1(a)は走行クレーンの全体概略構成例を示す図であり、図1(b)は操作筐体107部分の拡大図である。
【0004】
上記構成の走行クレーンでは、荷吊下用フック109に吊下げた荷(搬送物)の移動する方向(走行、横行、巻上下げ方向)に対応する押釦スイッチを操作筐体107に取付けられた「東」、「西」、「南」、「北」、「上」、「下」の各押釦スイッチの中から探し出す必要がある。また、電動巻上機106を走行・横行両方向に運転する場合、同時に2つの押釦スイッチを押さなければならない。また、走行、横行、巻上下げの微細な速度制御ができないという問題がある。
【0005】
また、特許文献1に開示されている走行クレーンのように、作業者は手元を見なくともスイッチを押しつつ、フックに掛けられて移動する搬送物の移動方向を見ながら操作筐体の向きを調整して、所望の方向へ搬送物を平行移動させることができる走行クレーンがある。図2は、特許文献1に開示されている、走行クレーンの外観概略構成例を示す図である。本走行クレーン200は建物天井の水平面内の所定方向に敷設された走行レール201、201と、該走行レール201、201を車輪を介して走行する1対のサドル202、202間に横行レール(ガータ)203を配置し、該横行レール203を車輪を介して横行する電動巻上機204を備えた構成である。電動巻上機204により巻き上げる支持ワイヤーロープ205の先端には荷吊下用フック206を固定している。電動巻上機204からは、撓みはするが捩れない通信ケーブル207が床面近傍まで垂下している。該通信ケーブル207の下端には回転自在な回転接続部209を介して操作筐体210が接続されている。
【0006】
操作筐体210の正面には、2段押釦の操作スイッチ211が設けられ、上下に上昇(巻上げ)スイッチと下降(巻下げ)スイッチが設けられ、操作スイッチ211を押すとX軸モータ・Y軸モータが作動して、電動巻上機204が操作筐体210の向いている方向、即ち操作筐体210の正面と正反対の方向へ水平移動する。従って、作業者は手元を見なくともスイッチを押しつつ、荷吊下用フック206に掛けられて移動する搬送物の移動方向を見ながら操作筐体210の向きを調整して、所望の方向へ搬送物を平行移動させることができるというものである。
【特許文献1】特開2007−39232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図2に示す従来の走行クレーンでは、電動巻上機204の水平方向の移動(走行・横行)と昇降(巻上げ・巻下げ)をそれぞれ違う押釦スイッチで行う場合、それぞれの押釦スイッチによる操作のため、両手操作が必要になるという問題がある。また、従来の操作装置は、操作筐体を手で把持しなければならず、両手の少なくとも一方は操作筐体の把持に塞がれてしまい、走行クレーンを操作しながら両手を必要とする作業が行なえないという問題もある。
【0008】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、操作装置を身体に装着した状態で、身体の動きで手元を注視することなく、片手で素早く的確に操作でき、且つ各駆動装置の無段速制御、微細な速度制御ができる走行クレーンの操作制御装置、及び操作制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明は、水平面内の所定方向に敷設された走行レールと、該走行レールに直交する方向に配置され、且つ走行モータにより該走行レールに沿って移動する横行レールと、該横行レールに沿って移動するための横行モータ及び荷を巻上下する昇降モータとを具備する電動巻上機を備えた走行クレーンの操作制御装置であって、腕に装着できる基本部と該基本部を装着した腕の手で操作できる操作部からなる操作制御回路部を備え、基本部は、垂直面内で該基本部の上下に傾く方向と傾き角度を検出する基本部傾き検出手段と、水平面内で該基本部の向く方向を検出する基本部方向検出手段と、走行モータへの走行指令信号及び走行速度指令信号と横行モータへの横行指令信号及び横行速度指令信号と昇降モータへの昇降指令信号と昇降速度指令信号とを生成する指令信号生成手段を備え、操作部は少なくとも基本部の指令信号生成手段に動作決定信号を出力する動作決定手段を備え、基本部を装着した腕を走行クレーンを水平面内で移動させたい移動方向、又は昇降させたい上下方向、又は該移動方向及び上下方向の両方に向けることにより、指令信号生成手段は、動作決定手段からの動作決定信号があることを条件に、基本部傾き検出手段、又は基本部方向検出手段、又は該基本部傾き検出手段及び該基本部方向検出手段からの検出信号により、移動方向に移動させるための走行指令信号及び走行速度指令信号、横行指令信号及び横行速度指令信号、昇降させるための昇降指令信号及び昇降速度指令信号を生成することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記走行クレーンの操作制御装置において、操作部の動作決定手段は動作決定信号の他に速度を指示する速度信号を出力する速度信号出力機能を備え、指令信号生成手段は、速度信号出力機能からの速度信号に応じて移動方向に移動させるための走行速度指令信号及び横行速度指令信号、昇降させるための昇降速度指令信号を生成する機能を備えていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記走行クレーンの操作制御装置において、操作部の動作決定手段は動作決定信号の他に速度を指示する速度信号を出力する速度信号出力機能を備え、指令信号生成手段は、腕の上下方向の傾き角度範囲を第1の傾き角度範囲<第2の傾き角度範囲<第3の傾き角度範囲に区分し、基本部傾き検出手段で検出した上下方向の傾き角度の範囲に応じて下記第1〜第3の機能を備えたことを特徴とする。
第1の機能:第1の傾き角度範囲にある場合、基本部方向検出手段が検出した方向へ移動させるための走行指令信号と横行指令信号を生成すると共に、操作部の速度信号出力機能で出力する速度信号に応じた走行速度指令信号と横行速度指令信号を生成する機能
第2の機能:第2の傾き角度範囲にある場合、基本部方向検出手段が検出した方向へ移動させるための走行指令信号と横行指令信号を生成すると共に、基本部傾き検出手段で検出した上下方向へ昇降させるための昇降指令信号を生成し、更に操作部の速度信号出力機能で出力する速度信号に応じた走行速度指令信号、横行速度指令信号、昇降速度指令信号を生成する機能
第3の機能:第3の傾き角度範囲にある場合、基本部傾き検出手段で検出した上下方向に昇降指令信号を生成すると共に、操作部の速度信号出力機能で出力する速度信号に応じた昇降速度指令信号を生成する機能
【0012】
また、本発明は、上記走行クレーンの操作制御装置において、第1の傾き角度範囲は0°〜15°、第2の傾き角度範囲は15°〜60°、第3の傾き角度範囲は60°〜90°であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記走行クレーンの操作制御装置において、操作部の動作決定手段は動作決定信号の他に速度を指示する速度信号を出力する速度信号出力機能を備え、指令信号生成手段は、腕の上下方向の傾き角度範囲を第1の傾き角度範囲<第2の傾き角度範囲<第3の傾き角度範囲に区分し、基本部傾き方向検出手段で検出した上下方向の傾き角度の範囲に応じて下記第1〜第3の機能を備えたことを特徴とする。
第1の機能:第1の傾き角度範囲にある場合、基本部方向検出手段が検出した方向へ移動させるための走行指令信号と横行指令信号を生成すると共に、操作部の速度信号出力機能で出力する速度信号に応じた走行速度指令信号と横行速度指令信号を生成する機能
第2の機能:第2の傾き角度範囲にある場合、走行指令信号及び走行速度指令信号、横行指令信号及び横行速度指令信号、昇降指令信号及び昇降速度指令信号のいずれも生成しない機能
第3の機能:第3の傾き角度範囲にある場合、基本部傾き検出手段で検出した上下方向に昇降指令信号を生成すると共に、操作部の速度信号出力機能で出力する速度信号に応じた昇降速度指令信号を生成する機能
【0014】
また、本発明は、上記走行クレーンの操作制御装置において、第1の傾き角度範囲は0°〜30°、第2の傾き角度範囲は30°〜45°、第3の傾き角度範囲は45°〜90°であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記走行クレーンの操作制御装置において、操作部の動作決定手段は動作決定信号の他に速度を指示する速度信号を出力する速度信号出力機能と昇降用トリガー信号を出力する昇降用トリガー信号出力機能を備え、指令信号生成手段は、下記第1〜第3の機能を備えたことを特徴とする。
第1の機能:基本部方向検出手段が検出した方向へ移動させるための走行指令信号及び横行指令信号を生成すると共に、操作部の速度信号出力機能で出力する速度信号に応じた走行速度指令信号と横行速度指令信号とを生成する機能
第2の機能:操作部の昇降用トリガー信号出力機能からの昇降用トリガー信号に応じて昇降指令信号を出力すると共に、基本部傾き検出手段で検出した上下方向の傾き角度に応じて昇降速度指令信号を生成する機能
第3の機能:基本部方向検出手段が検出した方向へ移動させるための走行指令信号及び横行指令信号を生成すると共に、操作部の速度信号出力機能で出力する速度信号に応じた走行速度指令信号と横行速度指令信号を生成し、更に操作部の昇降用トリガー信号出力機能からの昇降用トリガー信号に応じて昇降指令信号を出力すると共に、基本部傾き検出手段で検出した上下の傾き角度に応じて昇降速度指令信号を生成する機能
【0016】
また、本発明は、上記走行クレーンの操作制御装置において、操作部に水平面内で該操作部の向く方向を検出する操作部方向検出手段、又は該操作部の垂直面内で上下に傾く方向と傾き角度を検出する操作部傾き検出手段を設け、基本部を装着した腕に対する手首の相対角度を検出して、指令信号生成部は該検出された相対角度に応じた昇降指令信号及び昇降速度指令信号を生成することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、水平面内の所定方向に敷設された走行レールと、該走行レールに直交する方向に配置され、且つ走行モータにより該走行レールに沿って移動する横行レールと、該横行レールに沿って移動するための横行モータ及び荷を巻上下する昇降モータとを具備する電動巻上機を備えた走行クレーンの操作制御装置であって、腕に装着できる基本部と該基本部を装着した腕の手の指に装着できる操作部からなる操作制御回路部を備え、基本部は、水平面内で該基本部の向く方向を検出する基本部方向検出手段と、走行モータへの走行指令信号及び走行速度指令信号と横行モータへの横行指令信号及び横行速度指令信号と昇降モータへの昇降指令信号及び昇降速度指令信号とを生成する指令信号生成手段を備え、操作部は、該操作部を装着した指以外の指で操作でき、且つ基本部の指令信号生成手段に走行横行決定信号と速度を指示する速度信号を出力する動作決定速度設定手段と、昇降決定信号を出力する昇降決定手段とを備え、指令信号生成手段は、下記第1、第2の機能を備えたことを特徴とする。
第1の機能:基本部を装着した腕を水平面内で走行クレーンを移動させたい方向に向けることにより、動作決定速度設定手段からの走行横行決定信号があることを条件に、移動させるための走行指令信号及び横行指令信号を生成すると共に、速度信号に応じて走行速度指令信号及び横行速度指令信号を生成する機能
第2の機能:昇降決定手段からの昇降決定信号があることを条件に昇降指令信号と定速の昇降速度指令信号を生成する機能
【0018】
また、本発明は、上記走行クレーンの操作制御装置において、基本部は、垂直面内で該基本部の上下に傾く方向と角度を検出する基本部傾き検出手段を備え、指令信号生成手段は、下記第3の機能を備えたことを特徴とする。
第3の機能:昇降決定手段からの昇降決定信号があることを条件に昇降指令信号と、基本部傾き検出手段が検出した傾き角度に応じた速度の昇降速度指令信号を出力する機能
【0019】
また、請求項11に記載の発明は、水平面内の所定方向に敷設された走行レールと、該走行レールに直交する方向に配置され、且つ走行モータにより該走行レールに沿って移動する横行レールと、該横行レールに沿って移動するための横行モータ及び荷を巻上下する昇降モータとを具備する電動巻上機を備えた走行クレーンの操作制御装置であって、腕以外の身体に装着できる基本部と手で操作できる操作部からなる操作制御回路部を備え、操作部は、垂直面内で該操作部の上下に傾く方向と傾き角度を検出する操作部傾き検出手段と、水平面内で該操作部の向く方向を検出する操作部方向検出手段と、動作決定信号と速度信号を出力する動作決定速度設定手段とを備え、基本部は、走行モータへの走行指令信号及び走行速度指令信号と横行モータへの横行指令信号及び横行速度指令信号と昇降モータへの昇降指令信号及び昇降速度指令信号とを生成する指令信号生成手段を備え、基本部の指令信号生成手段は、操作部の傾き検出手段で検出される傾き角度を3つの傾き角度範囲に区分し、動作決定速度設定手段からの動作決定信号があることを条件として、下記第1〜第3の機能を備えたことを特徴とする。
第1の機能:第1傾き角度範囲では走行指令信号及び横行指令信号と対応する速度信号指令信号を生成する機能
第2の機能:第2傾き角度範囲では走行指令信号、横行指令信号、及び操作部の傾く方向が上向又は下向かにより上昇又は下降の指令信号を生成すると共に、該指令信号のそれぞれに対応する速度指令信号を生成する機能
第3の機能:第3傾き角度範囲では操作部の向く方向が上向又は下向かにより上昇又は下降の指令信号を生成すると共に、該上昇又は下降の指令信号と対応する速度指令信号を生成する機能
【0020】
本発明は、上記走行クレーンの操作制御装置において、指令信号生成手段は、第1傾き範囲の走行指令信号及び横行指令信号に対応する速度指令信号を動作決定速度設定手段からの速度信号に応じて生成し、第2傾き範囲の走行指令信号、横行指令信号に対応する速度指令信号を動作決定速度設定手段からの速度信号に応じて生成し、第2傾き範囲の上昇又は下降の指令信号に対する速度指令信号を操作部傾き検出手段からの検出傾き角度に応じて生成し、第3傾き範囲の上昇又は下降の指令信号に対応する速度指令信号を動作決定速度設定手段からの速度信号に応じて生成することを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、上記走行クレーンの操作制御装置であって、第1傾き角度範囲は0°〜15°、第2傾き角度範囲は15°〜60°、第3傾き角度範囲は60°〜90°であることを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、水平面内の所定方向に敷設された走行レールと、該走行レールに直交する方向に配置され、且つ走行モータにより該走行レールに沿って移動する横行レールと、該横行レールに沿って移動するための横行モータ及び荷を巻上下する昇降モータとを具備する電動巻上機を備えた走行クレーンの操作制御方法であって、垂直面内で上下に傾く方向を検出する傾き検出手段と、平面内で向く方向を検出する方向検出手段と具備する基本部を身体に装着し、走行クレーンを水平面内で移動させたい方向、又は垂直面内で上下に昇降させたい方向、又は該移動させたい方向及び昇降させたい上下方向の両方向に向け、手で操作する操作部を指で操作することにより、移動させたい方向に移動、又は昇降させたい上下方向に昇降、又は該移動と昇降を同時に行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、下記のような優れた効果が得られる。
(1)操作制御回路部は基本部と操作部から構成し、操作部には無段速押釦スイッチ等操作に必要な最小限の押釦スイッチを配置するから、操作部が小型になると同時に、操作部を注視することなく、簡単な操作で走行クレーンの運転操作が可能となる。
(2)腕に装着した基本部の基本部傾き検出手段により、垂直面内で基本部の上下傾く方向と角度、基本部方向検出手段により、水平面内で基本部の向く方向を検出するので、基本部を走行クレーンの移動させたい方向、昇降させたい上下方向に向け、操作部を操作するだけの簡単な操作で、指示する速度で移動、昇降が可能となるから、微細で精度の良い速度や位置制御が可能となる。
(3)腕や頭部や腰等に装着し、身体の動きで移動方向や昇降方向を指示できるので、回転範囲も大きく微細な方向指示が可能となる。
(4)操作制御回路部の基本部を動かしても操作部を操作し動作決定信号が出力されない限り、走行クレーンの移動や昇降動作は発生しないから、誤動作を防ぐことができ安全である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明に係る操作制御装置を用いる走行クレーンの構成は図1及び図2に示す構成と同様であるのでその説明は省略する。
〔実施形態1〕
図3は本発明に係る走行クレーンの操作制御回路部の外観構成例を示す図である。操作制御回路部1は、基本部2と操作部3とから構成されている。操作部3は基本部2の上面に形成された溝状の収納部2aに着脱できるようになっている。基本部2は腕帯5で腕4に装着できるようになっている。また、基本部2には非常停止用押釦スイッチ11と動作中を示すLED等から構成される表示部7、リセット用押釦スイッチ13、電源スイッチ15が設けられている。また、操作部3には動作決定用無段速押釦スイッチ16が設けられている。
【0025】
上記構成の操作制御回路部1は基本部2を腕4に装着し、操作部3を手で把持し、指で動作決定用無段速押釦スイッチ16を押圧操作できるようになっている。基本部2には後に詳述するように、ジャイロセンサと、加速度センサが備えられている。基本部2を腕4に装着し、該腕4を水平面内で矢印Aに示すように回転すると、腕4の水平面内で向く方向(回転角度)をジャイロセンサが検出する。腕4を矢印Bに示すように上方又は下方向に傾けると腕4の上下方向の傾きと、その傾き角度を加速度センサが検出するようになっている。つまり、ジャイロセンサは基本部2の水平面内での回転角度を検出する水平面内角度検出器として作用し、加速度センサは基本部2の垂直面(上下方向面)で傾き方向とその傾き角度を検出する垂直面内角度検出器として作用する。腕4を水平面内で走行クレーンの電動巻上機106、204(図1、図2を参照)を移動させたい方向に向け、操作部3の動作決定用無段速押釦スイッチ16を押圧することにより、該の電動巻上機106、204をその方向に移動(走行及び横行)させることができる。また、腕4を電動巻上機106、204の荷吊下用フック109、206を昇降させたい方向(上方又は下方)に向け、動作決定用無段速押釦スイッチ16を押圧することにより、荷吊下用フック109、206を昇降させることができる。
【0026】
図4は本発明に係る走行クレーンの操作制御装置の全体システム構成を示すブロック図である。走行クレーンの操作制御装置は、操作制御回路部1と、モータ駆動制御回路部30とから構成されている。操作制御回路部1は、基本部2と操作部3から構成されている。基本部2には、非常停止用押釦スイッチ11、加速度センサ12、リセット用押釦スイッチ13、ジャイロセンサ14、及び電源スイッチ15と、指令信号生成部21と通信部22を備えている。また、操作部3は、動作決定用無段速押釦スイッチ16と通信部23を備えている。基本部2の通信部22と操作部3の通信部23は通信ケーブル24で接続され、有線で信号の送受信を行うようになっている。なお、通信部22と通信部23の信号の送受信は、電波や光等の無線で行うようにしてもよい。モータ駆動制御回路部30は、通信部31、制御部32、走行インバータ33、横行インバータ34、昇降インバータ35を備えている。
【0027】
上記操作制御回路部1の指令信号生成部21や通信部22を構成する電子部品や機器は腕4に装着される基本部2に収納され、通信部23を構成する電子部品や機器は操作部3に収納されている。また、モータ駆動制御回路部30の通信部31や制御部32を構成する電子部品や機器は電動巻上機(図1の電動巻上機106、図2の電動巻上機204参照)に搭載配置される。
【0028】
操作制御回路部1の基本部2の指令信号生成部21には、非常停止用押釦スイッチ11の押圧操作による非常停止信号S11、加速度センサ12で検出された腕4の先端部が上向きであるか下向きであるかを示す上下傾き方向検出信号S12aとその傾き角度を示す傾き角度検出信号S12b、リセット用押釦スイッチ13の押圧操作によるリセット信号S13、ジャイロセンサ14で腕4に装着された基本部2の水平面内で向く方向を検出した基本部方向検出信号S14、電源スイッチ15の押圧操作による電源投入信号S15がそれぞれ入力されるようになっている。また、操作部3の動作決定用無段速押釦スイッチ16が押圧操作された場合の動作決定信号S16、押圧圧力に応じた無段速信号SV16は通信部23及び通信ケーブル24を介して基本部2の通信部22に送られ、該通信部22から指令信号生成部21に送られる。なお、動作決定無段速押釦スイッチ16は、上記のように押圧操作時の押圧力に応じた大きさの無段速信号SV16が出力できるように、例えば感圧ゴム(押圧力に応じて抵抗値が変化するゴム材)を用いた押釦スイッチとする。
【0029】
基本部2の指令信号生成部21は、加速度センサ12からの上下傾き方向検出信号S12aと傾き角度検出信号S12b、操作部3の動作決定用無段速押釦スイッチ16からの動作決定信号S16と無段速信号SV16、ジャイロセンサ14からの基本部方向検出信号S14を受けて、走行モータ41への走行指令信号と走行速度指令信号、横行モータ42への横行指令信号と横行速度指令信号、昇降モータ43の昇降指令信号と昇降速度指令信号を生成し、通信部22を介して、モータ駆動制御回路部30の通信部31に伝送する。通信部31は受信した各指令信号を制御部32に送り、制御部32は各指令信号に基づいて走行モータ41の起動信号と速度信号、横行モータ42の起動信号と速度信号、及び昇降モータ43の起動信号と速度信号を生成して、走行インバータ33、横行インバータ34、及び昇降インバータ35を起動する。
【0030】
これにより走行インバータ33、横行インバータ34、及び昇降インバータ35から、それぞれ走行モータ41、横行モータ42、及び昇降モータ43に電力が供給され、走行モータ41、横行モータ42、及び昇降モータ43が起動する。これにより、走行クレーンの電動巻上機は腕4の先端部が向く方向に設定された速度(動作決定用無段速押釦スイッチ16の押圧力に応じた速度)で移動(走行及び横行)すると共に、昇降モータ43を腕4の先端部が向く方向に設定された速度(動作決定用無段速押釦スイッチ16の押圧力に応じた速度)で昇降(巻上げ巻下げ)する。即ち、腕4の垂直面内での上げ下げと、水平面内での回転と動作決定用無段速押釦スイッチ16の押圧操作のみで、走行クレーンの走行、横行、及び昇降運転を手元を注視する必要なく、素早く、的確に実行できる。
【0031】
以下、運転操作手順を詳細に説明する。基本部2を腕帯5で腕4に装着し、操作部3を手で把持する。腕4の先端部の傾き方向を図5に示すように、傾き方向が上方で傾き角度が0°〜15°の場合を第1傾き範囲B1、傾き角度が15°〜60°の場合を第2傾き範囲B2、傾き角度が60°〜90°の場合を第3傾き範囲B3とし、傾き方向が下方で、傾き角度0°〜−15°を第1傾き範囲B1、傾き角度が−15°〜−60°を第2傾き範囲B2、傾き角度が−60°〜−90°を第3傾き範囲B3とする。そして、指令信号生成部21は操作部3の動作決定用無段速押釦スイッチ16からの動作決定信号S16があることを条件として、腕4(基本部2)の傾き方向が上方か下方かにより、上記傾き範囲により走行クレーンを下記のように運転する指令信号を生成する。
【0032】
〔基本部2の先端部が上向きに傾いている場合〕
・第1傾き範囲B1:第1傾き範囲B1では、走行クレーンの走行、横行運転のみを行う。ジャイロセンサ14からの基本部方向検出信号S14の示す腕4(基本部2)が水平面内で向く方向に走行クレーンを移動させるために、走行モータ41への走行指令信号及び走行速度指令信号と横行モータ42への横行指令信号及び横行速度指令信号を生成し、この指令信号をモータ駆動制御回路部30に伝送し、走行クレーンの走行、横行のみの運転を行う。この時、走行指令信号及び横行指令信号に対応する速度信号は、動作決定無段速押釦スイッチ16からの無段速信号SV16に応じた速度の走行速度指令信号、横行速度指令信号を生成する。
【0033】
・第2傾き範囲B2:第2傾き範囲B2では、走行クレーンの走行、横行、及び昇降運転を行う。即ち、ジャイロセンサ14からの基本部方向検出信号S14の示す腕4(基本部2)の指す方向に走行クレーンを移動させるために、走行モータ41への走行指令信号及び走行速度指令信号と、横行モータ42への横行指令信号及び横行速度指令信号と、昇降モータ43への上昇指令信号及び上昇速度指令信号を生成し、この指令信号をモータ駆動制御回路部30に伝送し、走行クレーンの走行、横行、上昇運転を行う。この時、走行指令信号及び横行指令信号に対する速度信号は、操作部3の動作決定用無段速押釦スイッチ16からの無段速信号SV16に応じた速度の走行速度指令信号、横行速度指令信号を生成する。また、上昇指令信号に対する速度信号は、操作部3の動作決定用無段速押釦スイッチ16からの無段速信号SV16に応じた速度の上昇速度指令信号を生成する。
【0034】
・第3傾き範囲B3:第3傾き範囲B3では、走行クレーンの上昇運転のみを行う。即ち、昇降モータ43への上昇指令信号のみを生成する。この上昇指令信号に対する上昇速度指令信号は、操作部3の動作決定無段用速押釦スイッチ16からの無段速信号SV16に応じた速度の上昇速度指令信号を生成する。
【0035】
〔基本部2の先端部が下向きに傾いている場合〕
・第1傾き範囲B1:第1傾き範囲B1では、走行クレーンの走行、横行運転のみを行う。即ち、ジャイロセンサ14からの基本部方向検出信号S14の示す腕4(基本部2)の先端部が指す方向に走行クレーンを移動させるために、走行モータ41への走行指令信号及び走行速度指令信号と横行モータ42への横行指令信号及び横行速度指令信号を生成し、この指令信号をモータ駆動制御回路部30に伝送し、走行クレーンの走行、横行のみの運転を行う。この時、走行指令信号及び横行指令信号に対する速度信号は、操作部3の動作決定用無段速押釦スイッチ16からの無段速信号SV16に応じた速度の走行速度指令信号、横行速度指令信号を生成する。
【0036】
・第2傾き範囲B2:第2傾き範囲B2では、走行クレーンの走行、横行、昇降運転を行う。即ち、ジャイロセンサ14からの基本部方向検出信号S14の示す基本部2の先端部が指す方向に走行クレーンを移動させるために、走行モータ41への走行指令信号及び走行速度指令信号と、横行モータ42への横行指令信号及び横行速度指令信号と、昇降モータ43への下降指令信号及び下降速度指令信号を生成し、この指令信号をモータ駆動制御回路部30に伝送し、走行クレーンの走行、横行、下降運転を行う。この時、走行指令信号及び横行指令信号に対する横行速度信号は、操作部3の動作決定用無段速押釦スイッチ16からの無段速信号SV16に応じた速度の走行の走行速度指令信号、横行速度指令信号を生成する。また、下降指令信号に対する速度信号は、操作部3の動作決定用無段速押釦スイッチ16からの無段速信号SV16に応じた速度の下降速度指令信号を生成する。
【0037】
・第3傾き範囲B3:第3傾き範囲B3では、走行クレーンの下降運転のみを行う。即ち、昇降モータ43への下降指令信号のみを生成する。この下降指令信号に対する下降速度指令信号は、操作部3の動作決定用無段速押釦スイッチ16からの無段速信号SV16に応じた速度の下降速度指令信号を生成する。
【0038】
上記のように基本部2の垂直面内の傾き範囲を第1乃至第3傾き範囲に区分し、走行クレーンの運転を第1傾き範囲B1で走行及び横行運転のみを可能とし、第2傾き範囲B2で走行、横行、及び昇降運転を可能とし、第3傾き範囲B3で昇降運転のみを可能とする。これにより、腕4に装着した基本部2の先端部の垂直面内での傾きと水平面内での回転(旋回)と操作部3に取り付けた動作決定無段速押釦スイッチ16の押圧操作という簡単な操作、即ち手元を注視する必要のない操作で、素早く、的確に走行クレーンの運転操作が可能となる。また、動作決定用無段速押釦スイッチ16の押圧による無段速信号SV16、及び腕4に装着した基本部2の傾きより、無段速変速で走行、横行、及び昇降速度を制御するので、微細な速度制御が可能となる。
【0039】
また、ジャイロセンサ14により、基本部2の先端部の水平面内で向く方向を検出して、移動(走行及び横行)を制御するので、腕4(基本部2)の先端部を水平面内で図6に示すように、360°の任意の方向に向けることができるから、走行クレーンの電動巻上機(図1及び図2の電動巻上機106、204参照)を荷を吊上下げしたい任意の場所に速やかに移動させることが可能となる。
【0040】
また、走行モータ41、横行モータ42、及び昇降モータ43の起動、即ち走行指令信号、横行指令信号、昇降指令信号の生成を動作決定用無段速押釦スイッチ16の押圧操作による動作決定信号S16があることを条件とすることにより、オペレータが走行クレーンの移動、巻上下げを意図して腕4の水平面内の向きや上下方向の傾きを変えた場合にのみ、走行クレーンの移動(走行及び横行)、昇降(巻上げ巻下げ)運転が行われる。即ち、オペレータが不用意に腕4を水平面内で変位させたり、上下方向の傾きを変えても動作決用定押釦スイッチ16の押圧による動作決定信号S16がないと走行クレーンが移動、昇降動作をしないことになり、安全性が維持できる。
【0041】
なお、操作制御回路部1の基本部2の指令信号生成部21及びモータ駆動制御回路部30の制御部32はそれぞれマイクロコンピュータで構成される。また、通信部22と通信部31の信号伝送手段としては、有線による信号伝送、電波や光等の無線による信号伝送を用いる。信号伝送手段に有線を選択することは、基本部2に備えたバッテリー(図示せず)から操作部3に制御用電力を供給でき、操作部3のバッテリーを不要とできるので、操作部3の小型化のために望ましい。
【0042】
ここで、加速度センサ12で腕4に装着した基本部2の上下傾き方向及び傾き角度を検出することについて説明する。加速度センサ12を取り付けている基本部2を角度θだけ傾斜させた場合、図7に示すように、加速度センサ12の取り付け方向には重力加速度gの分解成分g・sinθがかかることになる。従って、加速度センサ12の出力としてg・sinθに相当する値が電圧として出力される。ここで、角度θが0からπ/2まで変化すると、sinθの値は0.0から1.0まで変化し、最も傾いたθ=g・sinθは1gに等しくなる。上記のように加速度センサ12の出力は電圧値として出力されるから、基本部2を水平にした時の出力電圧値を基準として、垂直に配置した時までの変化幅を求め基準となる出力電圧値を取得する。そして現在の加速度センサ12の出力電圧と上記基準値の差を求め、逆サインを用いてこの値を角度に変換することにより、この変換した角度が現在の基本部2の傾き角度となる。
【0043】
次に、ジャイロセンサ14で基本部2の先端部が向く方向(基本部方向)を検出することについて説明する。ジャイロセンサには、振動式、機械式、光学式、流体式等がある。本走行クレーンの操作制御装置には、上記いずれのジャイロセンサも利用可能であるが、小型・量産化に有利などの理由で、圧電型振動ジャイロセンサがよく使用される。図8は圧電型振動ジャイロセンサの原理を示す図で、図8(a)は静止時、図8(b)は回転時をそれぞれ示す。圧電型振動ジャイロセンサ14は圧電素子からなる振動子14aを具備し、静止時は矢印Cに示すように駆動振動している。回転時に振動子14aに軸を回転中心とする角速度ωを与えると、矢印Dに示す方向のコリオリの力が作用し振動子14aに電荷14bが発生する。この電荷を検出することにより、角速度ωを検出する。このように圧電型振動ジャイロセンサ14は角速度ωを検出するセンサであることから、角速度センサと呼ばれることもある。
【0044】
上記圧電型振動ジャイロセンサ(角速度センサ)14をジャイロセンサ14として基本部2の所定位置に設置する。そして基本部2の先端部を予め決められた方向(例えば東西方向の東方向)に位置するように、腕4を動かし、基本部2に設けたリセット用押釦スイッチ13を押すことにより、ジャイロセンサ14の初期設定と累積誤差を消去するようになっている。このリセット時点から、ジャイロセンサ14(圧電型振動ジャイロセンサ14)で検出した角速度ωを基本部方向検出信号S14として指令信号生成部21に出力する。指令信号生成部21では基本部方向検出信号S14と経過時間(角速度ωの積分)から基本部2が上記予め決められた方向(東方向)から水平方向にどれだけ回転(旋回)したかを演算して、基本部2が向いている方向を求める。
【0045】
基本部2を、例えば東方向(走行方向)に向け、リセット用押釦スイッチ13を押圧操作した後、操作部3の動作決定用無段速押釦スイッチ16を押圧操作すると、指令信号生成部21は走行モータ41を東方向(正転)に走行させる走行指令信号を生成すると共に、動作決定用無段速押釦スイッチ16の無段速信号SV16に応じた速度指令信号を生成する。また、基本部2を東方向からずらすと、ジャイロセンサ14はそのずれの角速度ωを検出し基本部方向検出信号S14として指令信号生成部21に出力する。これにより指令信号生成部21はその角速度ωを積分して、基準方向(東方向)からずれた回転角度を算出し、その方向に応じて走行モータ41、横行モータ42の回転方向(走行方向、横行方向)と回転速度を演算し、その指令信号を生成する。
【0046】
例えば図9に示すように、基本部2を装着した腕4を東方向からθ°(θ<90°)水平に北側に回転した場合、走行モータ41を東方向(正転)に走行させる走行指令信号を生成すると共に、横行モータ42を北方向(逆転)に横行させる横行指令信号を生成し、走行モータ41の回転数(速度)に対する横行モータ42の回転数(速度)の比は、Vcosθ:Vsinθとなるように制御する。また、基本部2を東方向からθ°水平に南側に回転した場合、走行モータ41を東方向(正転)に走行させる走行指令信号を生成すると共に、横行モータ42を南方向(正転)に横行させる横行指令信号を生成し、走行モータ41の回転数(速度)に対する横行モータ42の回転数(速度)の比は、Vcosθ:Vsinθとなるように制御する。
【0047】
また、基本部2を装着した腕4を東方向から(180−θ)°水平に北側に回転した場合、走行モータ41を西方向(逆転)に走行させる走行指令信号を生成すると共に、横行モータ42を北方向(逆転)に横行させる横行指令信号を生成し、走行モータ41の回転数(速度)に対する横行モータ42の回転数(速度)の比は、Vcosθ:Vsinθとなるように制御する。また、基本部2を装着した腕4を東方向から(180−θ)°水平に南側に回転した場合、走行モータ41を西方向(逆転)に走行させる走行指令信号を生成すると共に、横行モータ42を南方向(正転)に横行させる横行指令信号を生成し、走行モータ41の回転数(速度)に対する横行モータ42の回転数(速度)の比は、Vcosθ:Vsinθとなるように制御する。
【0048】
また、基本部2のリセット押釦スイッチ13を押圧操作することにより、リセット信号S13を指令信号生成部21に出力する。指令信号生成部21はこのリセット信号S13を受けて、操作制御回路部1を初期状態にセットする。非常停止用押釦スイッチ11が押されたら、操作制御回路部1の電源をOFFとする。この場合、非常停止用押釦スイッチ11が解除されても、自動的に電源ONとしない。
【0049】
また、上記実施形態例では、動作決定速度設定手段として感圧ゴムを用いた動作決定用無段速押釦スイッチ16を用い、押圧操作時の押圧圧力に応じた、無段速信号SV16を出力するように構成したが、動作決定信号と無段速信号を出力できるものであれば、これに限定されるものではなく、押圧操作時の押圧圧力に応じて無段速信号を出力できる他の押釦スイッチ又は操作部が所定のストロークで移動しその移動ストロークに応じた無段速信号を出力できるスイッチでもよい。或いはまた、走行クレーンの仕様によって無段速押釦スイッチとする必要は無く、1速又は多段速の速度信号を出力する押釦スイッチであってもよい。この場合の速度指令は、1速(正転又は逆転指令信号のみ)乃至多段速の速度指令信号を指令信号生成部21より出力する。
【0050】
また、上記実施形態例では、基本部2の上下の傾き方向と傾き角度を検出する基本部傾き検出手段として、加速度センサ12を用いる例を示したが、基本部2の上下の傾き方向と傾き角度を検出できるものであれば、加速度センサに限定されない。また、基本部2の水平面内での向く方向を検出する基本部方向検出手段としてジャイロセンサ14を用いる例を示したが、基本部2の水平面内での向く方向を検出できるものであれば、ジャイロセンサに限定されない。
【0051】
図10は実施形態1における走行クレーンの操作制御回路部の他の外観構成例を示す図である。本操作制御回路部の外観が図3と異なる点は、操作部3が基本部2に伸縮するロッド8で結合されている点である。ロッド8は回転軸部9を中心に矢印Cに示すように回転できるようになっている。操作制御回路部1の不使用時には、操作部3をロッド8を回転軸部9を中心に回転し、操作部3を基本部2の上面に当接させて全体がコンパクトになる。図10に示す外観構成の操作制御回路部1を使用する走行クレーンの操作制御装置の全体システム構成は図4と同一であるのでその説明は省略する。
【0052】
〔実施形態2〕
実施形態2における走行クレーンの操作制御回路部の外観構成例は、図3及び図10と同一であり、操作制御装置の全体も図4と同一であるのでその説明を省略する。実施形態2では、操作制御回路部1の操作方法が下記のように異なる。先ず、基本部2を腕4に装着し、操作部3を手で把持する点は実施形態1と同様である。
・走行及び横行のみの運転を行う場合
電動巻上機106、204(図1及び図2を参照)を水平面内の所定方向に移動させる場合は、腕4を水平状態(上下傾き角度<30°)に保ち、該腕4を電動巻上機106、204を移動させたい方向に向け、操作部3を把持する手の指で動作決定用無段速押釦スイッチ16を押圧することにより、電動巻上機106、204は腕4の先端部が指す方向に移動(走行及び横行)する。この時の速度は動作決定用無段速押釦スイッチ16の押圧力で制御する。
【0053】
・昇降のみの運転を行う場合
荷吊下用フック109、206(図1及び図2を参照)を上昇させる場合は、腕4を上方向に傾け(上方傾き角度>45°)、操作部3を把持する手の指で動作決定用無段速押釦スイッチ16を押圧操作することにより、荷吊下用フック109、206は上昇する。
荷吊下用フック109、206を下降させる場合は、腕4を下方向に傾け(上方傾き角度>45°)、操作部3を把持する手の指で動作決定用無段速押釦スイッチ16を押圧操作することにより、荷吊下用フック109、206は下降する。
上記上昇及び下降における速度は、動作決定用無段速押釦スイッチ16を押圧力で制御する。
【0054】
・また、本実施形態では、水平面内での移動(走行及び横行)と垂直面内での移動(昇降)の同時運転は不可とする。また、腕4の傾き角度が30°〜45°の範囲にある場合は、走行横行も昇降も不可とする。
【0055】
上記のように、昇降運転をする場合、腕4を上方に傾き角度>45°又は下方に傾き角度>45°で傾け、操作部3を把持する手の指で動作決定用無段速押釦スイッチ16を押圧操作することにより、荷吊下用フック109、206を昇降させるので、昇降運転時に腕4を大きく上方又は下方へ動かす必要がない。また、腕4の傾き角度が30°〜45°の範囲にある場合は、走行横行も昇降も不可とする不感帯を設けることにより、走行横行運転のとき、腕4が水平位置から少し傾いてもよい。なお、加速度センサ12、ジャイロセンサ14、リセット用押釦スイッチ13、非常停止用押釦スイッチ11の作用は上記実施形態1と同じであるので、その説明は省略する。
【0056】
〔実施形態3〕
図11、図12はそれぞれ実施形態3の走行クレーンの操作制御回路部の外観構成例を示す。本操作制御回路部1が図3、図10に示す操作制御回路部の外観構成例と異なる点は、操作部3に昇降用トリガー押釦スイッチ17を設けている点である。図13は実施形態3の操作制御装置の全体システム構成を示すブロック図である。図示するように、操作部3に昇降用トリガー押釦スイッチ17が備わっている点が異なるだけで、基本部2、モータ駆動制御回路部30のブロック構成は図4と同一である。
【0057】
上記実施形態3の走行クレーンの操作制御回路部において、基本部2を腕4に装着し、操作部3を手で把持し、下記の手順で動作決定用無段速押釦スイッチ16と、昇降用トリガー押釦スイッチ17の操作を行い走行クレーンの運転を行う。
・走行横行のみの運転
走行横行のみの運転の場合は、電動巻上機106、204(図1及び図2を参照)を移動させたい方向に腕4を向け、指で動作決定用無段速押釦スイッチ16を押圧する。これにより、電動巻上機109、204は腕4の指す方向に移動する。この時の移動速度は動作決定用無段速押釦スイッチ16の押圧力により制御する。
【0058】
・昇降のみの運転
上昇運転(巻上運転)の場合は、腕4を上方に向け、指で操作部3の昇降用トリガー押釦スイッチ17を押圧する。また、下降運転(巻下運転)の場合は、腕4を下方に向け指で操作部3の昇降用トリガー押釦スイッチ17を押圧する。これにより、荷吊下用フック109、206は上昇、又は下降する。このときの上昇速度、又は下降速度は腕4の傾き角度を基本部2の加速度センサ12で検出し(基本部方向検出信号S14)、その傾き角度に応じた速度となる。例えば、傾き角度が小から大になると、速度は低速から高速となる。
【0059】
・走行横行昇降の運転
走行横行昇降の運転の場合は、電動巻上機106、204を移動させたい方向に腕4の先端部を水平面内で向け、指で動作決定用無段速押釦スイッチ16の押圧操作をする。同時に荷吊下用フック109、206を上昇させたい場合は、腕4を上方向に向け、指で操作部3の昇降用トリガー押釦スイッチ17を押圧する。また、同時に荷吊下用フック109、206を下降させたい場合は、腕4を下方に向け、指で操作部3の昇降用トリガー押釦スイッチ17を操作する。これにより、走行横行と上昇又は下降の3方向同時運転が可能となる。また、操作部3の昇降用トリガー押釦スイッチ17を備えるため、昇降操作が判り易く、確実に運転できる。なお、加速度センサ12、ジャイロセンサ14、リセット用押釦スイッチ13、非常停止用押釦スイッチ11の作用は上記実施形態1と同じであるので、その説明は省略する。
【0060】
〔実施形態4〕
図14は実施形態4の走行クレーンの操作制御回路部の外観構成例を示す。図示するように実施形態4では基本部2を腕4に装着し、操作部3を手60の人差し指61に装着している。基本部2には非常停止用押釦スイッチ11と動作中を示すLED等から構成される表示部7、リセット用押釦スイッチ13、電源スイッチ15が設けられている。また、操作部3には走行横行決定用無段速押釦スイッチ51、上昇決定用押釦スイッチ52、及び下降決定用押釦スイッチ53が設けられている。この走行横行決定用無段速押釦スイッチ51、上昇決定用押釦スイッチ52、及び下降決定用押釦スイッチ53はそれぞれ親指62で操作できるようになっている。
【0061】
図15は実施形態4の操作制御装置の全体システム構成を示すブロック図である。図示するように、基本部2には、非常停止用押釦スイッチ11、リセット用押釦スイッチ、ジャイロセンサ14、電源スイッチ15が備えられ、ここでは、基本部2の上下方向とその角度を検出するための加速度センサが備えられていない。また、操作部3には、走行横行決定用無段速押釦スイッチ51、上昇決定用押釦スイッチ52、及び下降決定用押釦スイッチ53が備えられている。
【0062】
上記実施形態4の操作制御装置において、基本部2を腕4に装着し、操作部3を人差し指61に装着し、親指62で下記の手順で走行横行決定用無段速押釦スイッチ51、上昇決定用押釦スイッチ52、及び下降決定用押釦スイッチ53の操作を行い走行クレーンの運転を行う。
・走行横行のみの運転
走行横行のみの運転の場合は、腕4を電動巻上機106、204(図1及び図2を参照)を移動させたい水平面内で方向に向け、親指62で走行横行決定用無段速押釦スイッチ51を押圧する。これにより、電動巻上機106、204は腕4の指す方向に移動する。この時の移動速度は走行横行決定用無段速押釦スイッチ51の押圧力により制御する。
【0063】
・昇降のみの運転
上昇運転(巻上運転)の場合は、基本部2を装着した腕4を上方に向け、親指62で操作部3の上昇決定用押釦スイッチ52を押圧する。これにより荷吊下用フック109、206(図1及び図2を参照)が上昇する。このときの上昇速度は、ある定まった一定の速度である。また、下降運転(巻下運転)の場合は、基本部2を装着した腕4を下方に向け、親指62で操作部3の下降決定用押釦スイッチ53を押圧する。このときの下降速度は、ある定まった一定の速度である。
【0064】
上記のように基本部2を腕4に、操作部3を手60の人差し指61に装着することにより、両手で他の作業を行なうことができる。また、上昇決定用押釦スイッチ52、下降決定用押釦スイッチ53を押圧しない限り、昇降運転をしないので、確実な操作ができる。また、水平面内での移動(走行及び横行)時の速度は無段速で制御できる。なお、ジャイロセンサ14、リセット用押釦スイッチ13、非常停止用押釦スイッチ11の作用は上記実施形態1と同じであるので、その説明は省略する。
【0065】
〔実施形態5〕
図16は実施形態4の操作制御装置の全体システム構成を示すブロック図である。なお、実施形態5の走行クレーンの操作制御回路部の外観構成は、操作部3に指で押圧操作できる位置に走行横行決定用無段速押釦スイッチ51、昇降決定用無段速押釦スイッチ56の2個のスイッチが設けられているだけで、他は図11、図12と同一であるのでその説明は省略する。本実施形態5では、基本部2に非常停止用押釦スイッチ11、加速度センサ12、リセット用押釦スイッチ13、ジャイロセンサ14、電源スイッチ15を設けている。また、操作部3には上記のように、走行横行決定用無段速押釦スイッチ51、昇降決定用無段速押釦スイッチ56を設けている。
【0066】
上記実施形態5の操作制御装置において、基本部2を腕4に装着し、操作部3を手で把持し、下記の手順で走行横行決定用無段速押釦スイッチ51、昇降決定用無段速押釦スイッチ56の操作を行い走行クレーンの運転を行う。
・走行横行のみの運転
走行横行のみの運転の場合は、腕4を電動巻上機106、204(図1及び図2を参照)を移動させたい方向に腕4を水平面内で向け、指で走行横行決定用無段速押釦スイッチ51を押圧する。これにより、電動巻上機106、204は腕4の指す方向に移動する。この時の移動速度は走行横行決定用無段速押釦スイッチ51の押圧力に応じた速度となる。
【0067】
・昇降のみの運転
上昇運転(巻上運転)の場合は、腕4を上方に向け、操作部3の昇降決定用無段速押釦スイッチ56を押圧することにより上昇運転となる。また、下降運転の場合は、腕4を下方に向け操作部3の昇降決定用無段速押釦スイッチ56を押圧することにより下降運転となる。これにより荷吊下用フック109、206(図1及び図2を参照)は、上昇、下降するがその速度は、昇降決定用無段速押釦スイッチ56の押圧力に応じた速度となる。即ち、例えば、腕4の傾き角度を小から大にすると、速度は低速から高速となる。なお、加速度センサ12、ジャイロセンサ14、リセット用押釦スイッチ13、非常停止用押釦スイッチ11の作用は上記実施形態1と同じであるので、その説明は省略する。
【0068】
・走行横行昇降の運転
走行横行昇降の運転の場合は、電動巻上機106、204を移動させたい方向に腕4の先端部を水平面内で向け、指で走行横行決定用無段速押釦スイッチ51の押圧操作をする。同時に荷吊下用フック109、206を上昇させたい場合は、腕4を上方に向け、指で操作部3の昇降決定用無段速押釦スイッチ56を押圧操作する。また、同時に荷吊下用フック109、206を下降させたい場合は、腕4を下方に向け、指で操作部3の昇降決定用無段速押釦スイッチ56を押圧操作する。これにより、走行横行と上昇又は下降の3方向同時運転が可能となり、この時の速度は、走行横行決定用無段速押釦スイッチ51及び昇降決定用無段速押釦スイッチ56の押圧力に応じたそれぞれの速度となる。
【0069】
〔実施形態6〕
図17は実施形態6の走行クレーンの操作制御回路部の外観構成例を示す。図示するように実施形態6の、操作制御回路部70は、基本部71と操作部72を備えている。基本部71は装着ベルト73で腰に装着できるようになっており、操作部72は手で把持できるようになっている。基本部71と操作部72はケーブル74で接続されている。基本部71には、電源釦スイッチ85、非常停止用押釦スイッチ86が設けられている。操作部72には、動作決定用無段速押釦スイッチ81が設けられている。操作部72を手で把持し、肘を回転中心として腕4を矢印Dに示すように水平面内で回転(旋回)させることにより、電動巻上機106、204の移動(走行及び横行)方向を指示でき、手首を回転中心に上下方向に傾けることにより、昇降速度制御ができるようになっている。
【0070】
図18は実施形態6の操作制御装置の全体システム構成を示すブロック図である。図示するよう腰に装着される基本部71は電源釦スイッチ85、非常停止用押釦スイッチ86、指令信号生成部76、及び通信部77で構成されている。また、操作部72は、動作決定用無段速押釦スイッチ81、加速度センサ82、リセット用押釦スイッチ83、ジャイロセンサ84、通信部78で構成されている。操作制御回路部70の動作は、基本部2と操作部3からなる図4に示す操作制御回路部1と同じであるからその説明は省略する。
【0071】
〔実施形態7〕
図19は実施形態7の操作制御装置の全体システム構成を示すブロック図である。実施形態7の操作制御回路部の外観構成例は図3と略同じであるから、その説明は省略する。本操作制御回路部1の基本部2は、非常停止用押釦スイッチ11、加速度センサ12、リセット用押釦スイッチ13、ジャイロセンサ14、電源スイッチ15で構成されている。また、操作部3は動作決定用無段速押釦スイッチ16とジャイロセンサ54で構成されている。
【0072】
実施形態7では、上記のように基本部2にジャイロセンサ14を、操作部3にはジャイロセンサ54を設け、即ち基本部2と操作部3の両方にジャイロセンサを設けている。基本部2を腕4に装着し、操作部3を手で把持し、手首を傾けることにより操作部3の腕4に対する相対角度を検出する。この検出した相対角度を利用して、昇降運転と速度を制御する。即ち、この検出した相対角度信号を受け指令信号生成部21は昇降指令信号及び昇降速度指令信号を生成する。このようにすることにより、腕4を大きく動かさなくても、昇降操作ができる。但し、手首の傾き角度範囲は小さく、人によって傾き角度範囲が異なるという問題がある。
【0073】
〔実施形態8〕
図20は実施形態8の操作制御装置の全体システム構成を示すブロック図である。実施形態8の操作制御回路部の外観構成例は図3と略同じであるから、その説明は省略する。本操作制御回路部1の基本部2は、非常停止用押釦スイッチ11、加速度センサ12、リセット用押釦スイッチ13、ジャイロセンサ14、電源スイッチ15で構成されている。また、操作部3は動作決定用無段速押釦スイッチ16と加速度センサ55で構成されている。
【0074】
実施形態例8では、上記のように基本部2に加速度センサ12を、操作部3に加速度センサ55を設け、即ち基本部2と操作部3の両方に加速度センサを設けている。基本部2を腕4に装着し、操作部3を手で把持し、手首を傾けることにより操作部3の腕4に対する相対角度を検出する。この検出した相対角度を利用して、昇降運転と速度を制御する。このようにすることにより、腕4を大きく動かさなくても、昇降操作ができる。但し、手首の傾き角度範囲は小さく、人によって傾き角度範囲がことなるという実施形態7と同様な問題がある。
【0075】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、傾き方向・角度検出手段として加速度センサを用いたが操作筐体の傾き方向及び傾き角度を検出できるのであれは、加速度センサに限定されるものではない。
【0076】
また、実施形態6において、手で把持された操作部3の水平面に対する角度を検出し(つまり手首の傾き角度を検出し)、昇降運転の速度を制御するようにしてもよい。
また、実施形態1において、腕4に装着された基本部2の水平面に対する傾き角度を検出し、昇降の運転と速度を制御するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】従来の走行クレーンの外観概略構成例を示す図である。
【図2】従来の走行クレーンの外観概略構成例を示す図である。
【図3】本発明に係る走行クレーンの操作制御回路部の外観構成例を示す図である。
【図4】本発明に係る走行クレーンの操作制御装置の全体システム構成を示すブロック図である。
【図5】基本部の垂直面内の傾き範囲を説明する説明図である。
【図6】基本部の水平面内の変位を説明する説明図である。
【図7】加速度センサの説明図である。
【図8】圧電型振動ジャイロセンサの動作原理を示す図である。
【図9】基本部の水平面内の回転状態を示す図である。
【図10】本発明に係る走行クレーンの操作制御回路部の外観構成例を示す図である。
【図11】本発明に係る走行クレーンの操作制御回路部の外観構成例を示す図である。
【図12】本発明に係る走行クレーンの操作制御回路部の外観構成例を示す図である。
【図13】本発明に係る走行クレーンの操作制御装置の全体システム構成を示すブロック図である。
【図14】本発明に係る走行クレーンの操作制御回路部の外観構成例を示す図である。
【図15】本発明に係る走行クレーンの操作制御装置の全体システム構成を示すブロック図である。
【図16】本発明に係る走行クレーンの操作制御装置の全体システム構成を示すブロック図である。
【図17】本発明に係る走行クレーンの操作制御回路部の外観構成例を示す図である。
【図18】本発明に係る走行クレーンの操作制御装置の全体システム構成を示すブロック図である。
【図19】本発明に係る走行クレーンの操作制御装置の全体システム構成を示すブロック図である。
【図20】本発明に係る走行クレーンの操作制御装置の全体システム構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0078】
1 操作制御回路部
2 基本部
3 操作部
4 腕
5 腕帯
11 非常停止用押釦スイッチ
12 加速度センサ
13 リセット用押釦スイッチ
14 ジャイロセンサ
15 電源スイッチ
16 動作決定用無段速押釦スイッチ
17 昇降用トリガー押釦スイッチ
21 指令信号生成部
22 通信部
23 通信部
24 通信ケーブル
30 モータ駆動制御回路部
31 通信部
32 制御部
33 走行インバータ
34 横行インバータ
35 昇降インバータ
41 走行モータ
42 横行モータ
43 昇降モータ
51 走行横行決定用無段速押釦スイッチ
52 上昇決定用押釦スイッチ
53 下降決定用押釦スイッチ
54 ジャイロセンサ
55 加速度センサ
56 昇降決定用無段速押釦スイッチ
60 手
61 人差し指
62 親指
70 操作制御回路部
71 基本部
72 操作部
73 装着ベルト
76 指令信号生成部
77 通信部
78 通信部
81 動作決定用無段速押釦スイッチ
82 加速度センサ
83 リセット用押釦スイッチ
84 ジャイロセンサ
85 電源釦スイッチ
86 非常停止用押釦スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面内の所定方向に敷設された走行レールと、該走行レールに直交する方向に配置され、且つ走行モータにより該走行レールに沿って移動する横行レールと、該横行レールに沿って移動するための横行モータ及び荷を巻上下する昇降モータとを具備する電動巻上機を備えた走行クレーンの操作制御装置であって、
腕に装着できる基本部と該基本部を装着した腕の手で操作できる操作部からなる操作制御回路部を備え、
前記基本部は、垂直面内で該基本部の上下に傾く方向と傾き角度を検出する基本部傾き検出手段と、水平面内で該基本部の向く方向を検出する基本部方向検出手段と、前記走行モータへの走行指令信号及び走行速度指令信号と前記横行モータへの横行指令信号及び横行速度指令信号と前記昇降モータへの昇降指令信号と昇降速度指令信号とを生成する指令信号生成手段を備え、
前記操作部は少なくとも前記基本部の指令信号生成手段に動作決定信号を出力する動作決定手段を備え、
前記基本部を装着した腕を走行クレーンを水平面内で移動させたい移動方向、又は昇降させたい上下方向、又は該移動方向及び上下方向の両方に向けることにより、
前記指令信号生成手段は、前記動作決定手段からの前記動作決定信号があることを条件に、前記基本部傾き検出手段、又は前記基本部方向検出手段、又は該基本部傾き検出手段及び該基本部方向検出手段からの検出信号により、前記移動方向に移動させるための走行指令信号及び走行速度指令信号、横行指令信号及び横行速度指令信号、前記昇降させるための昇降指令信号及び昇降速度指令信号を生成することを特徴とする走行クレーンの操作制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の走行クレーンの操作制御装置において、
前記操作部の動作決定手段は前記動作決定信号の他に速度を指示する速度信号を出力する速度信号出力機能を備え、
前記指令信号生成手段は、前記速度信号出力機能からの速度信号に応じて前記移動方向に移動させるための走行速度指令信号及び横行速度指令信号、前記昇降させるための昇降速度指令信号を生成する機能を備えていることを特徴とする走行クレーンの操作制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の走行クレーンの操作制御装置において、
前記操作部の動作決定手段は前記動作決定信号の他に速度を指示する速度信号を出力する速度信号出力機能を備え、
前記指令信号生成手段は、前記腕の上下方向の傾き角度範囲を第1の傾き角度範囲<第2の傾き角度範囲<第3の傾き角度範囲に区分し、前記基本部傾き検出手段で検出した上下方向の傾き角度の範囲に応じて下記第1〜第3の機能を備えたことを特徴とする走行クレーンの操作制御装置。
第1の機能:前記第1の傾き角度範囲にある場合、前記基本部方向検出手段が検出した方向へ移動させるための走行指令信号と横行指令信号を生成すると共に、前記操作部の速度信号出力機能で出力する速度信号に応じた走行速度指令信号と横行速度指令信号を生成する機能
第2の機能:前記第2の傾き角度範囲にある場合、前記基本部方向検出手段が検出した方向へ移動させるための走行指令信号と横行指令信号を生成すると共に、前記基本部傾き検出手段で検出した上下方向へ昇降させるための昇降指令信号を生成し、更に前記操作部の速度信号出力機能で出力する速度信号に応じた走行速度指令信号、横行速度指令信号、昇降速度指令信号を生成する機能
第3の機能:前記第3の傾き角度範囲にある場合、前記基本部傾き検出手段で検出した上下方向に昇降指令信号を生成すると共に、前記操作部の速度信号出力機能で出力する速度信号に応じた昇降速度指令信号を生成する機能
【請求項4】
請求項3に記載の走行クレーンの操作制御装置において、
前記第1の傾き角度範囲は0°〜15°、前記第2の傾き角度範囲は15°〜60°、前記第3の傾き角度範囲は60°〜90°であることを特徴とする走行クレーンの操作制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の走行クレーンの操作制御装置において、
前記操作部の動作決定手段は前記動作決定信号の他に速度を指示する速度信号を出力する速度信号出力機能を備え、
前記指令信号生成手段は、前記腕の上下方向の傾き角度範囲を第1の傾き角度範囲<第2の傾き角度範囲<第3の傾き角度範囲に区分し、前記基本部傾き方向検出手段で検出した上下方向の傾き角度の範囲に応じて下記第1〜第3の機能を備えたことを特徴とする走行クレーンの操作制御装置。
第1の機能:前記第1の傾き角度範囲にある場合、前記基本部方向検出手段が検出した方向へ移動させるための走行指令信号と横行指令信号を生成すると共に、前記操作部の速度信号出力機能で出力する速度信号に応じた走行速度指令信号と横行速度指令信号を生成する機能
第2の機能:前記第2の傾き角度範囲にある場合、前記走行指令信号及び走行速度指令信号、前記横行指令信号及び横行速度指令信号、前記昇降指令信号及び昇降速度指令信号のいずれも生成しない機能
第3の機能:前記第3の傾き角度範囲にある場合、前記基本部傾き検出手段で検出した上下方向に昇降指令信号を生成すると共に、前記操作部の速度信号出力機能で出力する速度信号に応じた昇降速度指令信号を生成する機能
【請求項6】
請求項5に記載の走行クレーンの操作制御装置において、
前記第1の傾き角度範囲は0°〜30°、前記第2の傾き角度範囲は30°〜45°、前記第3の傾き角度範囲は45°〜90°であることを特徴とする走行クレーンの操作制御装置。
【請求項7】
請求項1に記載の走行クレーンの操作制御装置において、
前記操作部の動作決定手段は前記動作決定信号の他に速度を指示する速度信号を出力する速度信号出力機能と昇降用トリガー信号を出力する昇降用トリガー信号出力機能を備え、
前記指令信号生成手段は、下記第1〜第3の機能を備えたことを特徴とする走行クレーンの操作制御装置。
第1の機能:前記基本部方向検出手段が検出した方向へ移動させるための走行指令信号及び横行指令信号を生成すると共に、前記操作部の速度信号出力機能で出力する速度信号に応じた走行速度指令信号と横行速度指令信号とを生成する機能
第2の機能:前記操作部の昇降用トリガー信号出力機能からの昇降用トリガー信号に応じて昇降指令信号を出力すると共に、前記基本部傾き検出手段で検出した上下方向の傾き角度に応じて昇降速度指令信号を生成する機能
第3の機能:前記基本部方向検出手段が検出した方向へ移動させるための走行指令信号及び横行指令信号を生成すると共に、前記操作部の速度信号出力機能で出力する速度信号に応じた走行速度指令信号と横行速度指令信号を生成し、更に前記操作部の昇降用トリガー信号出力機能からの昇降用トリガー信号に応じて昇降指令信号を出力すると共に、前記基本部傾き検出手段で検出した上下の傾き角度に応じて昇降速度指令信号を生成する機能
【請求項8】
請求項1に記載の走行クレーンの操作制御装置において、
前記操作部に水平面内で該操作部の向く方向を検出する操作部方向検出手段、又は該操作部の垂直面内で上下に傾く方向と傾き角度を検出する操作部傾き検出手段を設け、前記基本部を装着した腕に対する手首の相対角度を検出して、前記指令信号生成部は該検出された相対角度に応じた昇降指令信号及び昇降速度指令信号を生成することを特徴とする走行クレーンの操作制御装置。
【請求項9】
水平面内の所定方向に敷設された走行レールと、該走行レールに直交する方向に配置され、且つ走行モータにより該走行レールに沿って移動する横行レールと、該横行レールに沿って移動するための横行モータ及び荷を巻上下する昇降モータとを具備する電動巻上機を備えた走行クレーンの操作制御装置であって、
腕に装着できる基本部と該基本部を装着した腕の手の指に装着できる操作部からなる操作制御回路部を備え、
前記基本部は、水平面内で該基本部の向く方向を検出する基本部方向検出手段と、前記走行モータへの走行指令信号及び走行速度指令信号と前記横行モータへの横行指令信号及び横行速度指令信号と前記昇降モータへの昇降指令信号及び昇降速度指令信号とを生成する指令信号生成手段を備え、
前記操作部は、該操作部を装着した指以外の指で操作でき、且つ前記基本部の指令信号生成手段に走行横行決定信号と速度を指示する速度信号を出力する動作決定速度設定手段と、昇降決定信号を出力する昇降決定手段とを備え、
前記指令信号生成手段は、下記第1、第2の機能を備えたことを特徴とする走行クレーンの操作制御装置。
第1の機能:前記基本部を装着した腕を水平面内で走行クレーンを移動させたい方向に向けることにより、前記動作決定速度設定手段からの前記走行横行決定信号があることを条件に、移動させるための走行指令信号及び横行指令信号を生成すると共に、速度信号に応じて走行速度指令信号及び横行速度指令信号を生成する機能
第2の機能:昇降決定手段からの昇降決定信号があることを条件に昇降指令信号と定速の昇降速度指令信号を生成する機能
【請求項10】
請求項9に記載の走行クレーンの操作制御装置において、
前記基本部は、垂直面内で該基本部の上下に傾く方向と角度を検出する基本部傾き検出手段を備え、
前記指令信号生成手段は、下記第3の機能を備えたことを特徴とする走行クレーンの操作制御装置。
第3の機能:前記昇降決定手段からの昇降決定信号があることを条件に昇降指令信号と、前記基本部傾き検出手段が検出した傾き角度に応じた速度の昇降速度指令信号を出力する機能
【請求項11】
水平面内の所定方向に敷設された走行レールと、該走行レールに直交する方向に配置され、且つ走行モータにより該走行レールに沿って移動する横行レールと、該横行レールに沿って移動するための横行モータ及び荷を巻上下する昇降モータとを具備する電動巻上機を備えた走行クレーンの操作制御装置であって、
腕以外の身体に装着できる基本部と手で操作できる操作部からなる操作制御回路部を備え、
前記操作部は、垂直面内で該操作部の上下に傾く方向と傾き角度を検出する操作部傾き検出手段と、水平面内で該操作部の向く方向を検出する操作部方向検出手段と、動作決定信号と速度信号を出力する動作決定速度設定手段とを備え、
前記基本部は、前記走行モータへの走行指令信号及び走行速度指令信号と前記横行モータへの横行指令信号及び横行速度指令信号と前記昇降モータへの昇降指令信号及び昇降速度指令信号とを生成する指令信号生成手段を備え、
前記基本部の指令信号生成手段は、前記操作部の傾き検出手段で検出される傾き角度を3つの傾き角度範囲に区分し、前記動作決定速度設定手段からの動作決定信号があることを条件として、下記第1〜第3の機能を備えたことを特徴とする走行クレーンの操作制御装置。
第1の機能:前記第1傾き角度範囲では走行指令信号及び横行指令信号と対応する速度指令信号を生成する機能
第2の機能:前記第2傾き角度範囲では走行指令信号、横行指令信号、及び前記操作部の傾く方向が上向又は下向かにより上昇又は下降の指令信号を生成すると共に、該指令信号のそれぞれに対応する速度指令信号を生成する機能
第3の機能:前記第3傾き角度範囲では操作部の向く方向が上向又は下向かにより上昇又は下降の指令信号を生成すると共に、該上昇又は下降の指令信号と対応する速度指令信号を生成する機能
【請求項12】
請求項11に記載の走行クレーンの操作制御装置において、
前記指令信号生成手段は、前記第1傾き範囲の走行指令信号及び横行指令信号に対応する速度指令信号を前記動作決定速度設定手段からの速度信号に応じて生成し、前記第2傾き範囲の走行指令信号、横行指令信号に対応する速度指令信号を前記動作決定速度設定手段からの速度信号に応じて生成し、前記第2傾き範囲の上昇又は下降の指令信号に対する速度指令信号を前記操作部傾き検出手段からの検出傾き角度に応じて生成し、前記第3傾き範囲の上昇又は下降の指令信号に対応する速度指令信号を前記動作決定速度設定手段からの速度信号に応じて生成することを特徴とする走行クレーンの操作制御装置。
【請求項13】
請求項11に記載の走行クレーンの操作制御装置であって、
前記第1傾き角度範囲は0°〜15°、前記第2傾き角度範囲は15°〜60°、前記第3傾き角度範囲は60°〜90°であることを特徴とする走行クレーンの操作制御装置。
【請求項14】
水平面内の所定方向に敷設された走行レールと、該走行レールに直交する方向に配置され、且つ走行モータにより該走行レールに沿って移動する横行レールと、該横行レールに沿って移動するための横行モータ及び荷を巻上下する昇降モータとを具備する電動巻上機を備えた走行クレーンの操作制御方法であって、
垂直面内で上下に傾く方向を検出する傾き検出手段と、水平面内で向く方向を検出する方向検出手段と具備する基本部を身体に装着し、
前記走行クレーンを水平面内で移動させたい方向、又は垂直面内で上下に昇降させたい方向、又は該移動させたい方向及び昇降させたい上下方向の両方向に向け、
手で操作する操作部を指で操作することにより、前記移動させたい方向に移動、又は前記昇降させたい上下方向に昇降、又は該移動と昇降を同時に行うことを特徴とする走行クレーンの操作制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−274791(P2009−274791A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126024(P2008−126024)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(000129367)株式会社キトー (101)