説明

走行台車

【課題】大幅な設計変更をすることなく防塵装置を配置することができる走行台車の提供を目的とする。
【解決手段】操作部20の側面と対向するようにラジエーター34を配置し、操作部20の側面に冷却風を導入する導入部24を配置し、導入部24に、防塵部材であるロータリースクリーン51を回転させながら吸引ファン54によってロータリースクリーン51に付着した塵埃を吸引除去する除塵装置50を配置し、ラジエーター34と導入部24とを接続する冷却風ダクト35を備える走行台車1において、導入部24は、側面視で操作部20の運転席22と重複しないように配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行台車の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロールベーラ装置等の各種作業機を搭載可能な走行台車においては、エンジンが走行装置により支持された走行機台の内側に設けられ、このエンジンの冷却風を機外から走行機台の内側に取り入れるための取入口が走行台車の外側面に設けられている。このような走行台車において、搭載されている作業機の稼働に伴って塵埃(刈取後の草や藁屑等)が発生すると、この塵埃が前記外側面の取入口に設けられた防塵部材に付着するため、防塵部材の清掃等のメンテナンスを随時行う必要があった。
【0003】
そこで、冷却風の取入口に回転可能に構成されるロータリースクリーン(防塵部材)を有する除塵装置が設けられた作業台車が提案されている。除塵装置は、ロータリースクリーンの外側面に、吸引ファンと接続された吸引ダクトが設けられる。ロータリースクリーンに付着した塵埃は、ロータリースクリーンの回転によって順次吸引ダクトに吸引される。この技術によれば、ロータリースクリーンに付着した藁屑等の塵埃の大半は、吸引ダクトを介して吸引ファンによって吸着除去されるのでメンテナンスを容易に行うことができる。例えば特許文献1の如くである。
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、吸引ダクトの吸引力が低下しないようにロータリースクリーンの近傍に吸引ファンを配置する必要がある。一方、走行台車は、作業機を搭載するスペースを確保するために、エンジンや操作装置等が集約して配置されている。従って、エンジンや操作部等の配置を変更することなくロータリースクリーンを操作部の近傍に取り付けると機体幅が大きくなってしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−81903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の如き課題を鑑みてなされたものであり、機体幅を大きくしたりエンジンや操作部等の配置を変更したりすることなく防塵装置を配置することができる走行台車の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1においては、操作部の側面に対向するようにラジエーターを配置し、前記操作部の側面に冷却風を導入する導入部を配置し、前記導入部に、防塵部材を回転させながら吸引ファンによって前記防塵部材に付着した塵埃を吸引除去する除塵装置を配置し、前記ラジエーターと前記導入部とを接続する冷却風ダクトを備える走行台車において、前記導入部は、側面視で前記操作部の運転席と重複しないように配置されるものである。
【0008】
請求項2においては、前記導入部は、前記操作部の側面のうち前記ラジエーターと対向する部分から後方にずらした位置に配置され、前記吸引ファンは、前記冷却風ダクトの前方であって前記操作部の下方に配置されるものである。
【0009】
請求項3においては、前記吸引ファンは、前記ラジエーターの前方に左右方向に亘って配置され、伝動ベルトを介してエンジンの出力軸と連動連結される駆動軸によって駆動されるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
請求項1の如く構成したので、操作部の近傍に防塵装置を配置しても、他の装置等と干渉することがない。これにより、走行台車は、機体幅を大きくしたりエンジンや操作部等の配置を変更したりすることなく防塵装置を配置することができる。
【0012】
請求項2の如く構成したので、吸引ファンを配置する空間が確保できるので操作部の近傍に防塵装置を配置しても、吸引ファンが他の装置等と干渉することがない。これにより、走行台車は、機体幅を大きくしたりエンジンや操作部等の配置を変更したりすることなく防塵装置を配置することができる。
【0013】
請求項3の如く構成したので、簡単な動力伝達構成で吸引ファンを駆動することができる。これにより、走行台車は、機体幅を大きくしたりエンジンや操作部等の配置を変更したりすることなく防塵装置を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第一実施形態に係る走行台車を示す全体側面図。
【図2】本発明の第一実施形態に係る走行台車を示す全体後面図。
【図3】本発明の第一実施形態に係る走行台車を示す全体上面図。
【図4】本発明の第一実施形態に係る走行台車にロールベーラ装置を装備した状態を示す側面図。
【図5】本発明の第一実施形態に係る冷却風ダクト及び防塵装置を示す側面図。
【図6】本発明の第一実施形態に係る冷却風ダクト及び防塵装置を示す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
先ず、本発明の第一実施形態に係る走行台車1の全体構成について、図1から図3を用いて説明する。なお、以下では矢印F方向を前方向、矢印U方向を上方向として上下左右前後方向を規定する。
【0016】
走行台車1は、ロールベーラ装置等の各種作業機を積載し、走行しながら作業機によって作業を行うものである。走行台車1は、走行機台9に対して走行部10、操作部20、原動機部30、除塵装置50等、を具備する。
【0017】
走行部10は、走行機台9を移動可能にするものである。
図1、および図2に示すように、走行部10は、走行機台9の下部に設けられる。走行部10は、左右一対のクローラ11aを有するクローラ式走行装置11を具備し、走行機台9を前進または後進方向に走行させることができるように構成される。
【0018】
操作部20は、走行部10、原動機部30、および図示しない作業機等を操作するものである。
図1から図3に示すように、操作部20は、走行機台9の前部右側方であって後述のエンジン31の右側方に配置される。操作部20は、ステアリングハンドル21、運転席22、主変速レバー23等を具備する。
【0019】
図1に示すように、操作部20の前方であって略左右中央部には、ハンドルコラム21aが配置され、その上面にステアリングハンドル21が配置される。ステアリングハンドル21の後方には、運転席22が配置される。操作部20の右側面である運転席22の右側方には、冷却風を機内に導入する導入部24が配置される。導入部24には、後述のラジエーター34を冷却する冷却風の取入口24a(図1参照)が設けられる。つまり、操作部20の右側面に冷却風の取入口24aが配置される。導入部24は、側面視で、運転席22と重複しないように操作部20の右側面に配置される。このようにすることで、導入部24に後述の除塵装置50を配置しても運転席22に除塵装置50が干渉することがない。運転席22の左側方には、サイドコラム25が配置され、その上面に主変速レバー23や作業クラッチレバー等が配置される。運転席22の下方には、着座した運転者が足を置くことができる高さにステップ26が設けられる。このため、ステップ26の下方には、各種装置を配置可能な空間Aが生じている。このように、操作部20は、運転席22に運転者を着座させ、操作具類により運転者が各部の装置を操作できるように構成される。
【0020】
原動機部30は、走行部10や図示しない作業機に動力を伝達するものである。
図2、および図3に示すように、原動機部30は、エンジン31、トランスミッション32、燃料タンク33、ラジエーター34、冷却風ダクト35、カウンタユニット等を具備して走行機台9に設けられる。
【0021】
走行機台9の前方であって左右両側方に配置される側面視アーチ型の支持フレーム9a・9aと、支持フレーム9a・9a間を連結する連結フレーム9bとからエンジンルームが構成される。エンジン31は、前記エンジンルーム内の略中央部分に配置される。エンジン31の前方であって左右一対のクローラ11a間には、トランスミッション32が配置される。トランスミッション32は、エンジン31の出力軸の回転速度を増減して走行部10などの各装置へ伝達することができるように構成される。エンジン31の左側方には、燃料タンク33等が配置され、その後方にロールベーラ装置等の作業機に動力を伝達するためのカウンタユニットが配置される。エンジン31の右側方には、ラジエーター34が操作部20の左側面と対向するように配置される。
【0022】
除塵装置50は、藁屑等の塵埃を通過させないようにするものである。
図1に示すように、除塵装置50は、導入部24に設けられる冷却風の取入口24a及びその近辺に配置される。除塵装置50は、冷却風ダクト35(図2及び図3参照)によってラジエーター34と接続される。これにより、除塵装置50は、機外からラジエーター34に送られる冷却風を除塵可能に構成される。
【0023】
このようにして、走行台車1は、操作部20での操作具類の操作によって、原動機部30のエンジン31の回転動力を走行部10やロールベーラ装置等の作業機に伝達して、走行部10にて走行機台9を走行させながら、各種作業を行うことができるように構成される。
【0024】
次に上記の如く構成される走行台車1に装備される作業機の一実施形態であるロールベーラ装置40について図4を用いて説明する。なお、以下では矢印F方向を前方向とし、矢印U方向を上方向として前後左右上下方向を規定する。
【0025】
ロールベーラ装置40は、飼料作物を刈り取り、刈り取った稈をロールさせて円柱状に成形して放出するものである。
図4に示すように、ロールベーラ装置40は、刈取部41、搬送部42、成形部43等を具備する。
【0026】
刈取部41は、飼料作物を刈り取るものである。刈取部41は、カバー411、駆動軸412、フレール刃413、固定刃414等を有し、走行機台9の前方に配置される。
【0027】
刈取部41は、カバー411内に左右水平方向に向けて駆動軸412が回転自在に支持される。駆動軸412には、フレール刃413が放射状に所定間隔、かつ所定角度で位置をずらして配置される。カバー411内には、固定刃414が水平方向にフレール刃413と対向して配置される。これにより、フレール刃413は、立毛状態の飼料作物(稈)を切断可能であるとともに、回転により搬送部42方向に向かう搬送風を発生させて切断された飼料作物を搬送部42内に跳ね上げるように構成される。
【0028】
搬送部42は、刈取部41で刈り取られた飼料作物を成形部へ搬送するものである。搬送部42は、搬送ダクト421、支持アーム422、揺動軸423、昇降シリンダ424等を有し、走行機台9の前部上側方に配置される。
【0029】
搬送ダクト421の一側端部は、刈取部41の後部上側面に連通するようにして配置される。搬送ダクト421は、一側端部から後上方に向かって延伸するように設けられ、側面視略逆J字状に形成される。搬送ダクト421の他側端部は、刈り取られた飼料作物の排出口42aとして、成形部43の前部上側面から成形部43内部に挿入されている。これにより、搬送部42は、刈取部41で刈り取られた飼料作物を、搬送風によって搬送ダクト421を通じて成形部43内に投入可能に構成される。
【0030】
搬送ダクト421の後側側面には、支持アーム422が後方に向かって略水平に設けられる。支持アーム422の後側端部は、走行機台9の連結フレーム9bに軸方向を左右方向として設けられる揺動軸423に回転自在に支持される。また、搬送ダクト421の後側側面には、伸縮方向を略上下方向として昇降シリンダ424が設けられる。昇降シリンダ424の一端は、走行機台9の前端部に連結される。従って、搬送ダクト421、および搬送ダクト421の一側端部に配置される刈取部41は、昇降シリンダ424が伸縮されることにより、揺動軸423を中心として昇降回転自在に構成される。
【0031】
成形部43は、刈り取られた飼料作物をロールベールとして成形するものである。成形部43は、固定側筐体431、開閉側筐体432、揺動軸433、開閉シリンダ434、ロールベール形成装置435等を有し、エンジン31の後方である走行機台9上の後部に配置される。
【0032】
成形部43は、固定側筐体431と開閉側筐体432とによって前後半割状に構成される。開閉側筐体432は、その前側上端部を固定側筐体431の後側上端部に軸方向を左右方向として設けられる揺動軸433に回転自在に支持される。固定側筐体431の上側面には、伸縮方向を前後方向として開閉シリンダ434が設けられる。開閉シリンダ434は、伸縮方向を前後方向として開閉側筐体432の上側面に連結されている。よって、開閉側筐体432は、開閉シリンダ434が伸縮されることにより、揺動軸433を中心として開閉回転自在に構成される。固定側筐体431の前部上側面には、刈り取られた飼料作物の投入口43aとして、搬送ダクト421(搬送部42の排出口42a)が挿入されている。
【0033】
成形部43の内部には、軸方向を左右方向として回転自在に支持される複数の回転ローラ436が開口部分を投入口43aに向けて側面視略C字状に配置される。このように配置された複数の回転ローラ436によって、ロールベール形成装置435が構成される。複数の回転ローラ436は、エンジン31から図示しないカウンタユニットを介して伝達される動力により同一方向に回転可能に構成される。よって、投入口43aから投入された飼料作物は、ロールベール形成装置435の内側に投入されて複数の回転ローラ436によって円柱状に形成される。新たに投入される飼料作物は、すでにロールベール形成装置435の内側で円柱状に形成された飼料作物の外径部分に順次巻きつけられ、所定の外径のロールベールに形成される。
【0034】
ロールベール形成装置435の後側部分を構成する複数の回転ローラ436は、開閉側筐体432に配置されている。すなわち、ロールベール形成装置435の後部は、開閉側筐体432の開閉に伴って開閉される。これにより、ロールベール形成装置435は、形成したロールベールを機外に放出可能に構成される。
【0035】
以上より、走行台車1は、走行部10の上部に配置される走行機台9の前部に原動機部30が配置され、その右側方に操作部20が配置される。そして、走行機台9の後部には、ロールベーラ装置40が配置される。このようにして、走行台車1は、操作部20での操作具類の操作によって、原動機部30のエンジン31の動力を走行部10やロールベーラ装置40に伝達して、走行部10にて走行機台9を走行させながら、ロールベーラ装置40でロールベールの成形、および放出を行うことができるように構成される。
【0036】
次に、図2及び図3を用いて、原動機部30の構成について具体的に説明する。
【0037】
図2及び図3に示すように、原動機部30のエンジン31は、吸気ユニット311、排気ユニット312を有し、ラジエーター34、冷却風ダクト35等が具備される。
【0038】
吸気ユニット311は、外気を浄化してエンジン31に送給するものである。吸気ユニット311は、エアクリーナー311a、吸気通路311b、図示しない給気マニホールド等を具備する。エアクリーナー311aは、操作部20の後方に配置され、吸気通路311bを介してエンジン31の図示しない吸気マニホールドに接続される。
【0039】
排気ユニット312は、排気を機外へ排出するものである。排気ユニット312は、マフラー312a、テールパイプ312b、図示しない排気マニホールド等を具備する。マフラー312aは、エンジン31の上方に配置され、一側端に図示しない排気マニホールドが接続される。マフラー312aの他側端には、走行機台9の左側方の操作部20から離間した位置まで延伸するように形成されたテールパイプ312bが接続される。エンジン31の右側方であって運転席22の左側方には、エンジン31からの回転動力によって回転駆動される冷却ファン31aが具備される。
【0040】
ラジエーター34は、エンジン31本体の冷却水を冷却風によって冷却するものである。ラジエーター34は、冷却ファン31aの右側方に冷却ファン31aと対向するようにして配置される。ラジエーター34の右側方には、冷却風ダクト35が配置される。
【0041】
冷却風ダクト35は、機外からの冷却風をラジエーター34まで導くための通路を構成するものである。
図2、図3及び図6に示すように、冷却風ダクト35は、ラジエーター34の右側方であって操作部20の運転席22の下方に配置される。冷却風ダクト35の左側面には、ラジエーター34と対向するようにして出口35aが形成される。冷却風ダクト35の右側面には、導入部24に設けられる冷却風の取入口24aと対向するようにして入口35bが形成される。これにより、冷却風ダクト35は、冷却ファン31aの回転にともなって、外気が冷却風として取入口24aからラジエーター34に送られるように外気を導入する。
【0042】
取入口24aは、操作部20のうち、ラジエーター34と対向する部分から後方にずらした位置、すなわち、運転席22よりも後方の操作部20の側面に設けられる。よって、冷却風ダクト35は、ラジエーター34から取入口24aに至るまで右後方に向かって伸びるように形成される。これに伴い、冷却風ダクト35の入口35b側の前方には、各種装置を配置可能な空間Bが生じている(図3参照)。また、取入口24aは、ラジエーター34よりも高い位置に設けられる。従って、冷却風ダクト35の入口35bは、冷却風ダクト35の出口35aよりも高い位置に開口している。すなわち、冷却風ダクト35は、入口35bから出口35aにむかって下り勾配に形成される。これにより、冷却風ダクト35の入口35bから雨水等が浸入しても、冷却風ダクト35の出口35aとラジエーター34との間に設けられる隙間から機外に排出される。
【0043】
次に、図5及び図6を用いて、除塵装置50の構成について具体的に説明する。
【0044】
図5及び図6に示すように、除塵装置50は、藁屑等の塵埃を通過させないようにするものである。除塵装置50は、ロータリースクリーン51、アクチュエータ(電動モータ52)、吸引ダクト53を具備する。また、除塵装置50は、後述の接続ダクト55を介して吸引ファン54に接続される。
【0045】
ロータリースクリーン51は、冷却風のみを通過させ、藁屑等の塵埃を通過させない略円形状の防塵部材から構成される。ロータリースクリーン51は、導入部24の冷却風の取入口24a(図1参照)に設けられる。導入部24は、前述の様に側面視で運転席22と重複しないように操作部20の側面に配置されている。従って、導入部24に除塵装置50が設けられても運転席22に除塵装置50が干渉することがない。ロータリースクリーン51は、その中心を回転中心としてアクチュエータである電動モータ52により回転可能に構成される。
【0046】
吸引ダクト53は、ロータリースクリーン51の外面に付着した塵埃を吸引するものである。吸引ダクト53は、ロータリースクリーン51の回転中心から前方にむかって、ロータリースクリーン51の機外側面に近接するようにして配置される。吸引ダクト53は、ロータリースクリーン51と近接する面が開口されて吸引面53a(図6参照)として構成される。
【0047】
吸引ファン54は、空気や塵埃を吸引するものである。吸引ファン54は、操作部20のステップ26の下方に生じている空間Aと冷却風ダクト35の入口35b側の前方に生じている空間Bとに渡って配置される。吸引ファン54は、略円筒状のケース54a内に回転自在に支持される回転軸54cにファン54bが固設されて構成されている。吸引ファン54は、回転軸54cを介してファン54bを回転させることでケース54a内を負圧にして吸引口54dから空気や塵埃を吸引可能に構成される。
図6に示すように、吸引ファン54の吸引口54dには、接続ダクト55を介して吸引ダクト53が接続される。従って、吸引ファン54は、接続ダクト55を介して吸引ダクト53の吸引面53aから空気や塵埃を吸引可能に構成される。図6に示すように、吸引ファン54の回転軸54cには、ラジエーター34の前方に左右方向に亘って回転自在に配置される駆動軸56が接続される。そして駆動軸56は、エンジン31の出力軸31bと伝動ベルト57を介して連動連結される。つまり、吸引ファン54は、伝動ベルト57及び駆動軸56のみを介して伝動されるエンジン31の回転動力によって容易に駆動可能に構成される。
【0048】
このように構成される除塵装置50は、ロータリースクリーン51を回転させながら吸引ファン54をエンジン31によって駆動させることで、ロータリースクリーン51の機外側面に付着した塵埃を、吸引ダクト53を介して吸引ファン54により順次吸引除去することができるように構成されている。これにより、ロータリースクリーン51のメンテナンスを容易にすることができる。
【0049】
以上の如く、本発明に係る走行台車の第一実施形態である走行台車1は、操作部20の側面と対向するようにラジエーター34を配置し、操作部20の側面に冷却風を導入する導入部24を配置し、導入部24に、防塵部材であるロータリースクリーン51を回転させながら吸引ファン54によってロータリースクリーン51に付着した塵埃を吸引除去する除塵装置50を配置し、ラジエーター34と導入部24とを接続する冷却風ダクト35を備える走行台車1において、導入部24は、側面視で操作部20の運転席22と重複しないように配置されるものである。
このように構成することで、操作部20の近傍に防塵装置50を配置しても、他の装置等と干渉することがない。これにより、走行台車1は、機体幅を大きくしたりエンジン31や操作部20等の配置を変更したりすることなく防塵装置50を配置することができる。
【0050】
また、導入部24は、操作部20の側面のうちラジエーター34と対向する部分から後方にずらした位置に配置され、吸引ファン54は、冷却風ダクト35の前方であって操作部20の下方に配置されるものである。
このように構成することで、吸引ファン54を配置する空間が確保できるので操作部20の近傍に防塵装置50を配置しても、吸引ファン54が他の装置等と干渉することがない。これにより、走行台車1は、機体幅を大きくしたりエンジン31や操作部20等の配置を変更したりすることなく防塵装置50を配置することができる。
【0051】
また、吸引ファン54は、ラジエーター34の前方に左右方向に亘って配置され、伝動ベルト57を介してエンジンの出力軸31bと連動連結される駆動軸56によって駆動されるものである。
このように構成することで、簡単な動力伝達構成で吸引ファン54を駆動することができる。これにより、走行台車1は、機体幅を大きくしたりエンジン31や操作部20等の配置を変更したりすることなく防塵装置50を配置することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 走行台車
20 操作部
22 運転席
24 導入部
34 ラジエーター
35 冷却風ダクト
50 除塵装置
51 ロータリースクリーン
54 吸引ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部の側面に対向するようにラジエーターを配置し、
前記操作部の側面に冷却風を導入する導入部を配置し、
前記導入部に、防塵部材を回転させながら吸引ファンによって前記防塵部材に付着した塵埃を吸引除去する除塵装置を配置し、
前記ラジエーターと前記導入部とを接続する冷却風ダクトを備える走行台車において、
前記導入部は、
側面視で前記操作部の運転席と重複しないように配置される走行台車。
【請求項2】
前記導入部は、
前記操作部の側面のうち前記ラジエーターと対向する部分から後方にずらした位置に配置され、
前記吸引ファンは、
前記冷却風ダクトの前方であって前記操作部の下方に配置される請求項1に記載の走行台車。
【請求項3】
前記吸引ファンは、
前記ラジエーターの前方に左右方向に亘って配置され、伝動ベルトを介してエンジンの出力軸と連動連結される駆動軸によって駆動される請求項1又は請求項2に記載の走行台車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−125191(P2012−125191A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279938(P2010−279938)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】