説明

走行玩具及びそれを用いた玩具セット

【課題】 水玉を発生させるのに適した量の液体を水玉発生機構に供給でき、確実に水玉を噴出させることができる走行玩具及びそれを用いた玩具セットを提供する。
【解決手段】 注入口211を有する水玉発生装置2と、該水玉発生装置2を駆動するモータ3と、該モータ3を作動させる電力源4と、排出口51を有し液体を保持する液体タンク5と、該液体タンク5内の液体を水玉発生装置2に誘導する誘導通路6と、車輪8とを玩具本体7に備えてなる走行玩具1。前記水玉発生装置2の注入口211が、液体タンク5の排出口51より下方に位置する。前記走行玩具1と、該走行玩具1が走行する軌道玩具9とからなる玩具セット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は走行玩具及びそれを用いた玩具セットに関する。更には、水玉を噴出させることができる走行玩具及びそれを用いた玩具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上方に水玉を噴出する玩具としては、船体として水上に浮遊するものが存在しており、浮遊する船体内に浸水させた状態で、液面を一定の位置に維持させることにより、常に水玉発生機構に対して一定量の水を供給できるので、確実に水玉を形成できるものである(例えば、特許文献1参照)。
前記水玉発生機構を走行体等の陸上玩具に用いた場合、前記機構への適切な液体供給が困難であり、噴出される液体が噴水状になってしまうために陸上で使用する玩具には適用されなかった。
【特許文献1】実開昭54−73899号の図面及び明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、前記従来の問題を解決するものであって、水玉を発生させるのに適した量の液体を水玉発生機構に供給でき、確実に水玉を噴出させることができる走行玩具及びそれを用いた玩具セットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、注入口を有する水玉発生装置と、該水玉発生装置を駆動するモータと、該モータを作動させる電力源と、排出口を有し液体を保持する液体タンクと、該液体タンク内の液体を水玉発生装置に誘導する誘導通路と、車輪とを玩具本体に備えてなる走行玩具であることを要件とする。
更に、前記水玉発生装置の注入口が、液体タンクの排出口より下方に位置すること、前記液体タンクの深さHと横方向の最長部分DとがH<Dであること、前記モータが、水玉発生装置と共に車輪を駆動することを要件とする。
更には、前記走行玩具と、該走行玩具が走行する軌道玩具とからなる玩具セットを要件とする。
更には、前記軌道玩具が、走行玩具を誘導するガイド部と、走行玩具の通過回数をカウントするカウンターとを備えてなることを要件とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明により、陸上で使用する玩具においても、噴出する液体が噴水状になることなく、確実に塊状(水玉)に噴出することができる走行玩具を提供できる。更に、前記走行玩具を用いることで、意外性を有し、興趣に富んだ玩具セットを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の走行玩具は、スプラッシュ機構を有する水玉発生装置と、該水玉発生装置を駆動するモータと、該モータを作動させる電力源と、液体を保持する液体タンクと、該液体タンク内の液体を水玉発生装置に誘導する誘導通路と、車輪とを玩具本体に備えてなり、陸上において確実に水玉を噴出させることができるものである。
【0007】
前記水玉発生装置に設けられるスプラッシュ機構とは、シリンダ又はプランジャの何れか一方を固定し、他方を可動可能とし、可動する側に縦方向の貫通孔(噴出孔)を設けたものから構成される。そして、可動時にシリンダとプランジャとの間に生じる液体貯溜室内に液体を供給し、該液体を前記貫通孔から塊状に噴出する機構である。前記機構を水玉発生装置に設けることで、シリンダ又はプランジャの可動側が作動した際、液体貯溜室内に液体が供給された後、圧縮されることで貫通孔から液体の塊(水玉)を噴出できるものとなる。
前記水玉発生装置には、外部から液体貯溜室内に液体を供給するための注入口が設けられ、スプラッシュ機構が作動した際に、水玉の作成に最適な量の液体を液体貯溜室内に確実且つ容易に供給することができる。
【0008】
前記液体貯溜室内には、別に設けられる液体タンクに貯溜された液体が排出口より排出され、誘導通路を経由して注入口より供給される。その際、水玉発生装置の注入口が、液体タンクの排水口より下方に位置するように設けられる。これにより液体供給をスムーズに行うことができる。また、前記液体タンクの容積は、液体貯溜室の容積より大きく設定される。
【0009】
前記液体タンクは、最深部の深さHと横方向の最長部分DとがH<Dとなる形状(所謂、皿状)を有している。前記形状とすることで、液体タンク内の液体の収容量に関係なく一定速度で緩やかに排出できるので、液体貯溜室内への一定量の液体供給が可能となり、貫通孔から確実に塊状の液体を噴出できるようになる。
更に、液体タンク内に液体通電用の端子を設け、収容する液体の使用量に応じて種々のアクションを起こす構成とすることもできる。
【0010】
前記モータは、電力源により水玉発生装置を駆動するものである。モータの駆動力を分配することで、水玉発生装置の駆動と共に他のアクションを起こす構成とすることも可能である。
【0011】
前記車輪はモータにより駆動されるものであってもよいし、手押し等の人力により回転させて走行するものであってもよい。更に、前記車輪をモータ駆動とする場合、水玉発生装置を駆動するモータを併用して車輪を駆動させる構成とすることで、搭載するモータの数を減らし軽量化を図ることもできる。
【0012】
更に、前記走行玩具は、該走行玩具が走行する軌道玩具と組み合わせて走行玩具セットとすることもできる。その際、走行玩具には、軌道上の一定範囲内を走行するように誘導用のガイド部を設けることもできる。
【0013】
前記軌道玩具としては、走行玩具が走行できる形態であればどのようなものでも適用できるが、走行玩具を誘導するガイド部を設けて走行範囲を規定したり、走行玩具の通過回数をカウントするカウンターを設けることでアクション性を付与でき、玩具としてより興趣に富んだものとすることもできる。
【実施例】
【0014】
本発明の実施例を図1乃至3に示す。
図1の走行玩具1は複数の車輪8を備えた機関車の形状を有する玩具であり、スプラッシュ機構を有する水玉発生装置2を前方に配設し、該水玉発生装置2を駆動するモータ3と、該モータを作動させる電力源となるバッテリ4と、液体を保持する液体タンク5と、該液体タンク5内の液体を水玉発生装置2に誘導する誘導通路6とを樹脂成形物からなる本体7内に備えている。
【0015】
前記水玉発生装置2は、本体7内の一定位置に固定された、上方を開口するプランジャ21と、プランジャ21内を上下方向に可動する円柱状シリンダ22とからなり、シリンダ22が上方に移動した際、プランジャ21内(シリンダ22下方部)に深さ5mmの液体貯溜室23が形成される。
前記プランジャ21は、底面が液体タンク5の底面より20mm下方に位置するように固定され、側面下端部(液体貯溜室23側面)には、外部から液体を供給する注入口211が設けられている。
前記シリンダ22には、下端を揺動カム32と当接し、上下方向に5mmのストロークを有する可動片25と、シリンダ22の中心を上下方向に貫通する貫通孔221とが設けられている。更に、前記シリンダ22の上下方向の移動を規制するスプリング24が、可動片25の上方にシリンダ22上部外周をとりまくように配設され、スプリング24上端を係止部となる着脱可能なボディ71により一定距離に係止することで、一定の弾性力が維持されている。
【0016】
また、本体7の後方には、上方を開口する液体タンク5が配設される。前記液体タンク5の底面には、下方に貫通された排出口51と、センサー回路41に接続されており水の有無を検知する一対の端子52が設けられる。
前記液体タンク5としては、深さ10mm、直径40mmの円柱状皿形容器が用いられ、深さHより横方向の最長部分の長さD(即ち、皿形容器の横断面の直径)が長く設定されている。更に、前記排出口51は、樹脂製チューブである誘導部材6を介して水玉発生装置2の注入口211と接続されており、注入口211より高い位置に設けられている。液体タンク5を前記構成とすることで、液体タンク5内に収容される水の水位の変動による水圧変化を少なくでき、常に一定量の水を排出口51から排出できるので、液体貯溜室23内に定量の水を送ることが容易なものとなる。
【0017】
前記液体タンク5の下方には、モータ3及びセンサー回路41が防水シールドされた状態で配設されている。
前記モータ3は、本体4中央に配設されるバッテリ4により駆動し、モータ3の駆動力は歯車31を介して車輪8及び揺動カム32に伝達される。
前記センサー回路41は増幅回路からなり、液体タンク5内に設けられる一対の端子52が、液体タンク5内への液体供給によって導通状態を感知するとモータ3が始動し、また、液体タンク5内の液体が排出されて端子間の導通が感知されなくなるとモータ3が停止するように制御されている。
【0018】
本体7の下部には、短スプリング73により下方向に押圧されるガイドピン72が車輪8より低い位置まで突出するように設けられており、前記ガイドピン72は走行時には軌道と接触することにより上方に押圧された状態となっている。
【0019】
前記走行玩具1は、液体タンク5内に液体を供給することにより、端子52間の導通をセンサー回路41が感知してモータ3が作動する。モータ3の駆動力により歯車31を介して後方の車輪8及び断片部を有する揺動カム32が駆動して走行を開始する。
前記揺動カム32が回転することによって、揺動カム32と当接する可動片25が上昇し、該可動片25を介してシリンダ22が5mm上昇して液体貯溜室23が出現する。その際、前記液体貯溜室23内には、液体タンク5内の水圧により排出口51から排出された液体が、誘導通路6を経由して注入口211より一定量供給される。
更に揺動カム32が回転して断片部に到達すると、可動片25が落下状態になり、シリンダ22上部に配設される下方押圧スプリング24によってシリンダ22がプランジャ21に勢いよく打ちつけられ、液体貯溜室23内の液体が貫通孔221から水玉形状で噴出される。
前記アクション(走行及び水玉噴出)は液体タンク5内の液体が無くなるまで繰り返し行われ、液体が無くなると端子52間の導通が解除されモータ3が停止する。
【0020】
前記走行玩具1は、液体タンク5の容量と、水玉の噴出量(液体貯溜室23の容量)との設定により水量を調節できるので、センサー回路41を用いた簡易なタイマーとして機能させることが可能となり、走行時間を自由に設定できる。
【0021】
更には、前記走行玩具1を走行させるための軌道玩具9を併用することもできる(図2、3)。
【0022】
前記軌道玩具9は、走行玩具1を誘導するためのガイド溝91と、該ガイド溝91の両端部分に設けられた回転部911と、走行玩具1の通過により通過回数をカウントするカウンター92が設けられた樹脂成形物から構成されている。
【0023】
前記ガイド溝91は、軌道玩具9の上表面に直線状に配置され、走行玩具1に設けられるガイドピン72を挿入して走行玩具1を誘導するものであり、ガイドピン72の突出部分より若干深く形成されている。
前記カウンター92は、表示部921にカウントされる数字を表示でき、前記数字に対応した本数設けられる放射状突起922が、走行玩具1に設けられる突起74により回転させられることでカウントされるものであり、走行玩具1の通過毎に一ずつカウントされていく構成となっている。
また、前記軌道玩具9には、壁面や縁部に取り付けるための吸盤やスライド式取付具を設けたり、水上に浮かべるためのフロート部材を設けることができ、浴室等で使用する際の利便性を向上することもできる。
【0024】
前記軌道玩具9に走行玩具1を走行させる場合、ガイド溝91にガイドピン72が挿入された状態で走行させると、直進走行して回転部911に到達する。その際、前記走行玩具1のモータ3により駆動される車輪(二つの後輪)を片輪のみ駆動するように構成して走行させることで、回転部911においてガイドピン72を支持軸として走行玩具1が180°回転して、前記ガイド溝91を往復走行することができるものとなる。
走行玩具1がガイド溝91を往復走行することで、走行玩具1の右側面に設けられた突起74が放射状突起922と接触し、表示部921に表示される数字一つずつがカウントされる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の走行玩具の一例を示す縦断面図である。
【図2】図1の走行玩具を用いた走行玩具セットを示す縦断面図である。
【図3】軌道玩具の上視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 走行玩具
2 水玉発生装置
21 プランジャ
211 注入口
22 シリンダ
221 貫通孔
23 液体保溜室
24 スプリング
25 可動片
3 モータ
31 歯車
32 揺動カム
4 バッテリ
41 センサー回路
5 液体タンク
51 排出口
52 端子
6 誘導通路
7 本体
71 ボディ
72 ガイドピン
73 短スプリング
74 突起
8 車輪
9 軌道玩具
91 ガイド溝
911 回転部
92 カウンター
921 表示部
922 放射状突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入口を有する水玉発生装置と、該水玉発生装置を駆動するモータと、該モータを作動させる電力源と、排出口を有し液体を保持する液体タンクと、該液体タンク内の液体を水玉発生装置に誘導する誘導通路と、車輪とを玩具本体に備えてなる走行玩具。
【請求項2】
前記水玉発生装置の注入口が、液体タンクの排出口より下方に位置することを特徴とする請求項1記載の走行玩具。
【請求項3】
前記液体タンクの深さHと横方向の最長部分Dとが、H<Dであることを特徴とする請求項1又は2に記載の走行玩具。
【請求項4】
前記モータが、水玉発生装置と共に車輪を駆動することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の走行玩具。
【請求項5】
前記請求項1乃至4のいずれかに記載の走行玩具と、該走行玩具が走行する軌道玩具とからなることを特徴とする玩具セット。
【請求項6】
前記軌道玩具が、走行玩具を誘導するガイド部と、走行玩具の通過回数をカウントするカウンターとを備えてなることを特徴とする請求項5記載の玩具セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−102349(P2006−102349A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−295962(P2004−295962)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000111890)パイロットインキ株式会社 (832)
【Fターム(参考)】