説明

走行玩具

【課題】 安価にして小型且つ軽量で遊戯者が容易に取り扱うことのできるフライホイールを用いた自走式走行玩具を提供する。
【解決手段】 走行玩具1は、フライホイール7の回転を歯車列によって駆動輪22に伝達することにより自走する走行玩具1であって、歯車列は、複数の歯車を有してフライホイール用入力歯車42の回転をフライホイール軸に取付けられた最終歯車に伝達するフライホイール用歯車列と、駆動輪22の駆動軸を回転させる駆動輪用歯車2と、該駆動輪用歯車2とフライホイール用入力歯車42との間に配置される少なくとも1個の制御伝達歯車3と、で構成され、制御伝達歯車3はフライホイール用入力歯車42と駆動輪用歯車2と回転伝達を遮断するようにフライホイール用入力歯車42と駆動輪用歯車2の少なくとも一方の歯車との噛合いが解除可能とされると共に、制御伝達歯車3を噛合い解除可能とされた歯車と噛合うように移動させる制御部材50を有することとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行玩具に関し、更に詳しくは、フライホイールを用いた自走式走行玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フライホイールを用いた小型の走行玩具は、前方に押すときにのみ駆動輪を走行面に擦付けるという動作を繰り返して、フライホイールの回転速度を増速させることによりフライホイールに回転力を蓄積させ、フライホイールが回転しているときに走行玩具を走行面に載置して車体から手を離すことで、フライホイールの回転が歯車列により駆動輪に伝達されて自走することが可能とされるものであった。
【0003】
しかしながら、このような走行玩具を高速回転させるための操作は、フライホイールを増速させるために繰返し走行面に走行玩具を擦付ける必要があり、駆動輪を走行面に擦付ける毎に、そのときのフライホイールの回転速度に対応した速度で車体を前方へ押し出す必要があるため、子供や初心者には困難な操作であるといった問題点があった。
【0004】
そこで、例えば、実公昭38−23563号公報(特許文献1)では、車体を取付ける底板上に支枠を取付け、支枠に機枠の前端両側を軸着すると共に、後端側をコイルばねによって底板に圧接させ、駆動軸にはラチェット歯車を取付け、ラチェット歯車の側面に接して同軸上に中間軸上のピニオンに噛合わせる歯車を遊着し、該歯車の一側にラチェット歯車に噛合わせる爪を配設し、他側にクラウンギアを取付け、該クラウンギアと噛合うクラウンギアを駆動軸上において軸方向に摺動可能に楔着し、肘部を機枠に軸支されるベルクランクの一方の下端をクラウンギアのハブ上の溝に遊嵌し、他方の側端を底板上に取付けた枠杆に緩着し、中間軸の一端に取付けた歯車をフライホイール上のピニオンに噛合わせて成る走行玩具が提案されている。
【0005】
この考案においては、車体を走行面に押付けた状態のままで走行玩具を後退させると駆動軸が空転するため、後退時に走行玩具を走行面から離す必要が無く、車体を手で押さえたまま、走行面上を前後に移動させることで、フライホイールの回転速度を増速させることができる。
【特許文献1】実公昭38−23563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の考案は、駆動輪を走行面に押し当てた状態で当該走行玩具を前後動させるだけで、フライホイールの回転速度を増速させることができるが、互いに噛合うクラウンギアのうち一方のクラウンギアを車体に対して左右方向に移動させる必要があるために、クラウンギアを動作させるベルクランク等の動作機構が大きくなってしまうため小型化を困難にし、又、部品点数も多く組立作業も複雑となるためコストの増加を伴うといった問題点があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、安価にして小型且つ軽量で遊戯者が容易に取り扱うことのできる走行玩具として、駆動輪を走行面に押し当て当該走行玩具を前後動させることによりフライホイールに一定方向の回転を与え、車体から手を離すとフライホイールの回転力が歯車列により駆動輪に伝達されて遠距離まで自走可能な走行玩具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の走行玩具は、車体にフライホイールと歯車列を備え、フライホイールの回転を歯車列によって駆動輪に伝達することにより自走する走行玩具であって、前記歯車列は、複数の歯車を有してフライホイール用入力歯車の回転をフライホイール軸に取付けられた最終歯車に伝達するフライホイール用歯車列と、前記駆動輪の駆動軸を回転させる駆動輪用歯車と、該駆動輪用歯車と前記フライホイール用入力歯車との間に配置される少なくとも1個の制御伝達歯車と、で構成され、前記制御伝達歯車は前記フライホイール用入力歯車と駆動輪用歯車と回転伝達を遮断するように前記フライホイール用入力歯車と駆動輪用歯車の少なくとも一方の歯車との噛合いが解除可能とされると共に、前記制御伝達歯車を前記噛合い解除可能とされた歯車と噛合うように移動させる制御部材を有し、前記車体が押圧される玩具操作状態では前記駆動輪が一方向に回転されると前記駆動輪用歯車の回転によって前記制御伝達歯車が噛み込まれることにより制御伝達歯車が前記噛合い解除可能とされた歯車と噛合って前記駆動輪の回転を前記フライホイール用入力歯車に伝達し、前記フライホイールが回転しているときにフライホイール用入力歯車の回転周速度よりも制御伝達歯車の回転周速度が遅く、或いは制御伝達歯車が停止や逆回転されると前記フライホイール用入力歯車の回転によって前記制御伝達歯車が蹴り出されて制御伝達歯車と前記噛合い解除可能とされた歯車との噛合い状態が解除され、前記車体への押圧が解除されると前記制御部材が制御伝達歯車を前記噛合い解除した歯車と噛合うように移動させる移動状態となって弾性力により押圧するものである。
【0009】
そして、この走行玩具は、前記制御伝達歯車として1個の歯車を有し、前記車体への押圧が解除されると制御部材によりこの制御伝達歯車が前記フライホイール用入力歯車及び駆動輪用歯車と噛合うように押圧されるものである。
【0010】
又、この走行玩具は、前記制御伝達歯車として2個の歯車を有して、一方の制御伝達歯車が直接に前記フライホイール用入力歯車及び駆動輪用歯車と噛合い可能とされると共に他方の制御伝達歯車が2個の中間歯車を介して前記フライホイール用入力歯車と駆動輪用歯車との回転伝達を可能とされ、前記制御伝達歯車の内の一方の歯車が前記フライホイール用入力歯車と駆動輪用歯車との少なくとも一方に対して噛合い解除可能とされ、制御伝達歯車の内の他方の歯車が少なくとも前記中間歯車に対して噛合い解除可能とされ、前記制御部材が、前記車体への押圧が解除されたとき、少なくとも前記中間歯車に対して噛合い解除可能とされた前記制御伝達歯車を噛合い解除した歯車に対して噛合わせるように移動させるように構成されることもある。
【0011】
そして、前記歯車列は平歯車で構成することが好ましい。
【0012】
又、この走行玩具は、前輪と後輪とを有する走行玩具であって、後輪軸の回転を前輪軸に伝達する伝達歯車列を有する場合もある。
【0013】
そして、この走行玩具は、車体の上面部や側面部に押し込み可能な押圧ボタンを有し、車体を操作するために車体を指で摘んだときには該押圧ボタンが押し込まれ、指を離したときは押圧ボタンが復帰状態となり、該押圧ボタンの復帰状態のときに制御部材が移動状態とされるように構成されることもある。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、安価にして小型且つ軽量で遊戯者が容易に取り扱うことのできる走行玩具として、駆動輪を走行面に押し当て当該走行玩具を前後動させることによりフライホイールに一定方向の回転を与え、車体から手を離すとフライホイールの回転力が歯車列により駆動輪に伝達されて遠距離まで自走可能な走行玩具を提供することができる。
【0015】
そして、この走行玩具は、駆動輪用歯車とフライホイール用入力歯車との間に1個の制御伝達歯車を配設した部品点数を抑えたシンプルな構成とすることによりコスト低減と小型化を図ることができる。
【0016】
又、2個の制御伝達歯車を配設し、フライホイールの回転力を中間歯車を介して駆動輪に伝達させることで、内部部品の配置の自由度を広げることが可能となり、車体に対応した歯車列を容易に構成することもできる。更に、歯車列を平歯車で構成すれば、内部部品の配置をシンプルなものとして、容易に組立を行うことの出来る走行玩具を提供することができる。
【0017】
そして、後輪軸の回転を前輪軸に伝達する伝達歯車列を備えることで、前輪及び後輪を駆動輪とすることができ、悪路走破性や登坂性能を高めることができる。
【0018】
又、車体の上面部や側面部に押圧ボタンを配設すれば、車体を押圧する代わりに車体と一緒にこの押圧ボタンを同時に摘んで車体を前後動させることにより、フライホイールを高速で回転させて当該走行玩具を遠距離まで走行させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の走行玩具1は、下部に方形箱状の車台18を有し、この車台18に覆設される車体10と、車台18の前側に取付けられた前輪22Fと、車台18の後側に取付けられた後輪22Rと、車体10内に配設されるフライホイール7と複数の平歯車から構成される歯車列とを備え、フライホイール7の回転を歯車列によって駆動輪22に伝達することにより自走する四輪駆動の走行玩具1である。
【0020】
この歯車列は、フライホイール用入力歯車42の回転をフライホイール軸に取付けられた最終歯車72に伝達するフライホイール用歯車列と、駆動輪22の駆動軸20を回転させる駆動輪用歯車2と、該駆動輪用歯車2とフライホイール用入力歯車42の小径部43との間に配置される1個の制御伝達歯車3と、後輪軸の回転を前輪軸に伝達する伝達歯車列8で構成されるものである。
【0021】
そして、制御伝達歯車3は、フライホイール用入力歯車42の小径部43と駆動輪用歯車2との回転伝達を遮断するようにフライホイール用入力歯車42の小径部43との噛合いが解除可能とされている。又、この走行玩具1は、制御伝達歯車3をフライホイール用入力歯車42の小径部43と噛合うように移動させる制御部材50を有し、車体10が押圧される玩具操作状態では駆動輪22が一方向に回転されると駆動輪用歯車2の回転によって制御伝達歯車3が噛み込まれることにより制御伝達歯車3がフライホイール用入力歯車42の小径部43と噛合って駆動輪22の回転をフライホイール用入力歯車42の小径部43に伝達し、フライホイール7が回転しているときにフライホイール用入力歯車42の小径部43の回転周速度よりも制御伝達歯車3の回転周速度が遅く、或いは制御伝達歯車3が停止や逆回転されるとフライホイール用入力歯車42の小径部43の回転によって制御伝達歯車3が蹴り出されて制御伝達歯車3とフライホイール用入力歯車42の小径部43との噛合い状態が解除され、車体10への押圧が解除されると制御部材50が制御伝達歯車3をフライホイール用入力歯車42の小径部43と噛合うように移動させる移動状態となって弾性力により押圧するものである。
【実施例】
【0022】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。尚、本発明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は、走行玩具の進行方向を前方として見た方向に従うこととする。
【0023】
本発明に係る走行玩具1は、図1に示すように、四輪走行自動車の形状を模し、駆動輪22とする車輪を有する車体10に内蔵したフライホイールの回転を歯車列によって駆動輪22に伝達することにより自走する走行玩具1であって、下部に方形箱状の車台18を有し、この車台18に覆設される車体10と、車台18の前側に取付けられた前輪22Fと、車台18の後側に取付けられた後輪22Rと、を備え、前輪22F及び後輪22Rを駆動輪22とした四輪駆動の走行玩具1として構成されるものである。
【0024】
又、この走行玩具1は、図2に示すように、フライホイール7と、駆動輪22及びフライホイール7の回転力を相互に伝達可能とする歯車列と、制御機構5と、駆動輪22と、を支持する支持板ブロック9が搭載されるものである。この支持板ブロック9は、略矩形状の平板である3枚の支持板92,94,96が車台18の前後方向と平行になるように車台18の左端近傍、中央近傍、右端近傍に各々配置されるように取付けられて、この支持板92,94,96に、前輪22F及び後輪22Rの駆動軸20が枢支されると共に各歯車及び制御機構5が軸支されることにより、各歯車、駆動輪22等が各支持板92,94,96によって支持された状態で一体として車台18上の車体10内に組込まれるものである。
【0025】
そして、この歯車列は、複数の平歯車から構成されており、駆動輪22とフライホイール7の回転を相互に伝達する回転伝達系統としての機能を担うものであって、フライホイール用入力歯車42の回転をフライホイール軸に取付けられた最終歯車72に伝達するフライホイール用歯車列と、駆動輪22の駆動軸20を回転させる駆動輪用歯車2と、該駆動輪用歯車2とフライホイール用入力歯車42との間に配置される1個の制御伝達歯車3と、後輪軸の回転を前輪軸に伝達する伝達歯車列8から構成されて成るものである。
【0026】
このフライホイール用歯車列は、中央支持板94と右側支持板96との間においてフライホイール軸に固着される最終歯車72と、該最終歯車72の後方に配設され当該最終歯車72に噛合う変速歯車群4と、から構成されるものである。そして、この変速歯車群4は、大径部と小径部から成る2個の歯車から構成され、制御伝達歯車3に噛合う中央支持板94の左方に突出するように配置される小径部43を有するフライホイール用入力歯車42が変速歯車群4の後側の歯車として配置されている。
【0027】
尚、変速歯車群4の歯車を単一径の歯車から成る歯車群とすることも可能であるが、大径部と小径部から成る歯車を組み合わせることで、駆動輪22の回転速度を増速させてフライホイール7に伝達させ、逆にフライホイール7の回転速度を減速させて駆動輪22に伝達させることができるため、フライホイール7を容易に加速させて遠距離まで走行玩具1を走行させることができる。
【0028】
又、駆動輪用歯車2は、左側支持板92と中央支持板94との間において駆動輪22である後輪22Rの駆動軸20に固着されている。そして、伝達歯車列8は、左側支持板92の左方において駆動輪22となる前輪22F及び後輪22Rの駆動軸20に固着される前輪歯車80と後輪歯車82と、この前輪歯車80と後輪歯車82の回転を相互に伝達可能に前輪歯車80と後輪歯車82との間に配設される3個の歯車とから構成されている。
【0029】
そして、制御伝達歯車3は、下端近傍が駆動輪用歯車2に噛合わされ、駆動輪用歯車2に噛合った状態で前上端近傍がフライホイール用入力歯車42の小径部43に着脱自在に配設されることにより、フライホイール用入力歯車42と駆動輪用歯車2との回転伝達を遮断するように小径部43との噛合いを解除することができるものである。
【0030】
具体的には、左側支持板92及び中央支持板94には、制御伝達歯車3の回転軸である制御軸30を軸架する保持孔90が前後方向を長手方向とする長孔として形成されており、これにより、制御伝達歯車3は当該保持孔90に沿って前後方向に移動することができ、前方に制御伝達歯車3が移動すると当該制御伝達歯車3は駆動輪用歯車2及びフライホイール用入力歯車42の小径部43に噛合わされ、後方に制御伝達歯車3が移動すると当該制御伝達歯車3は駆動輪用歯車2にのみ噛合わされることとなる。
【0031】
又、この走行玩具1は、制御伝達歯車3をフライホイール用入力歯車42の小径部43に噛合うまで移動させ、当該制御伝達歯車3をフライホイール用入力歯車42の小径部43及び駆動輪用歯車2に噛合わせた拘束状態を維持可能とする制御機構5を備え、更に車体10が該制御機構5を外部から押下操作可能な操作部6として形成されているものである。
【0032】
そして、この制御機構5は、外部からの押下操作により回動可能に左側及び中央支持板92,94に枢設される制御部材50と、外部からの操作が解除されたとき制御部材50を回動させ、回動させた状態が維持されるように当該制御部材50を付勢する弾性体である引張コイルばね52と、を有し、非玩具操作状態で制御伝達歯車3を拘束し、玩具操作状態で制御伝達歯車3の拘束を解放するものである。
【0033】
この制御部材50は、略L字状であって、肘部において左右方向に突出するように形成される支持軸を備えているものである。又、この制御部材50の下部には、制御伝達歯車3の左右幅よりも幅広の方形状の切欠きが形成されている。そして、この制御部材50は、切欠きの両端部である脚部の前面下部が制御軸30に接した状態で、肘部の支持軸が左側支持板92及び中央支持板94に枢支されているものである。
【0034】
又、引張コイルばね52は、上端部のフックが制御部材50の上部より後方に突出して形成される略三角形状の平板の左側面において左方に突出するように形成される軸に貫装され、下端部のフックが中央支持板94の下部後方の左側面に突出する軸に貫装されている。これにより、引張コイルばね52は、当該引張コイルばね52の弾性力によって制御部材50の前部を上昇させる方向に、下部を前方に移動させる方向に付勢して、制御部材50の下部が制御軸30を前方に押圧して制御伝達歯車3を前方に移動させて、当該制御伝達歯車3をフライホイール用入力歯車42の小径部43に噛合わせ、制御伝達歯車3と駆動輪用歯車2とフライホイール用入力歯車42との噛合い状態が維持されるように当該制御伝達歯車3を拘束することができる。
【0035】
そして、この走行玩具1は、図3に示すように、車台18と車体10がピン等で固定され一体と成るものである。又、車体10は、自動車を模して形成されるものであり、制御部材50の前端近傍上方において、車体10の上端内面より下方に突出するように棒状の押圧部11が垂設され、当該押圧部11の下端が制御部材50の前端近傍上面によって支持されている。したがって、車体10及び車台18は、支持板ブロック9に対して、引張コイルばね52により付勢される制御部材50を介して揺動自在に支持されている。
【0036】
又、左側及び右側支持板92,96には、前端下部において前方に突出する前側係止突起98が形成され、後端下部において後方に突出する後側係止突起99が形成されており、前側係止突起98が車台18の前下端に形成される前側凹部に挿嵌され、後側係止突起99が車台18の後下端に形成される後側凹部に遊挿されている。
【0037】
この後側凹部は、後側係止突起99の縦幅に対して十分な間隙を有しており、又、車体10及び車台18が制御機構5により支持板ブロック9に対して揺動自在に支持されているため、操作部6である車体10を下方へ押圧操作すると、図4(a)に示すように、後側凹部の上側の側壁に後側係止突起99の上端が係止するまで、車体10の後部が下降する。したがって、車体10を押下させれば、押圧部11が制御部材50の前端近傍上面を押圧して、制御部材50を引張コイルばね52の弾性力に抗して回動させて、制御部材50の脚部によって前方に付勢されていた制御伝達歯車3の拘束が解放されることとなる。
【0038】
以下、この走行玩具1の走行手順と動作について説明する。
先ず、図4(a)に示したように、走行玩具1を走行面に載置して、操作部6である車体10を外部上方から引張コイルばね52の弾性力に抗して押圧して車体10を降下させた玩具操作状態として、制御機構5による制御伝達歯車3への拘束を解放する。そして、車体10を押下させた玩具操作状態のまま、図4(b)に示すように、駆動輪22を走行面に擦付けながら走行玩具1を前方に移動させて駆動輪22を回転させる。
【0039】
そして、走行玩具1を前方に移動させる方向に駆動輪22が回転されると、駆動軸20に固着される駆動輪用歯車2が回転し、この回転する駆動輪用歯車2が保持孔90に沿って前後方向に移動可能な状態にある制御伝達歯車3に噛合っているため、駆動輪用歯車2の回転によって制御伝達歯車3が噛み込まれることにより当該制御伝達歯車3がフライホイール用入力歯車42の小径部43と噛合う。
【0040】
したがって、車体10が押圧される玩具操作状態で走行玩具1を前方に移動させると、駆動輪22の回転は、図示しない伝達歯車列8、及び、図4(b)に示した駆動輪用歯車2、制御伝達歯車3を介してフライホイール用入力歯車42に伝達され、大小の歯車で構成される変速歯車群4により回転速度が増速されてフライホイール7が高速で回転することとなる。
【0041】
そして、図5(a)に示すように、フライホイール7が回転しているときに、玩具操作状態で、走行玩具1の前方移動を止めて駆動輪22を停止させ、或いは、走行玩具1を後方に移動させて駆動輪22を逆回転させると、駆動輪用歯車2が停止、或いは、逆回転することとなる。これにより、前後方向に移動可能な状態にある制御伝達歯車3がフライホイール用入力歯車42の回転によって後方へ蹴り出されて、フライホイール用入力歯車42との噛合い状態が解除される。したがって、歯車列の回転伝達が遮断され、フライホイール用歯車列が空転状態となる。
【0042】
又、走行玩具1の前方移動の速度を減速させて、フライホイール用入力歯車42の小径部43の回転周速度よりも駆動輪用歯車2の大径部の回転周速度が遅くなった場合も同様に、制御伝達歯車3が蹴り出されて、歯車列の回転伝達が遮断されて、フライホイール用歯車列が空転状態となる。
【0043】
そして、車体10を押下した玩具操作状態で、再び走行玩具1を前方に移動させれば、図4(b)に示したように、再度、制御伝達歯車3がフライホイール用入力歯車42に噛合って、駆動輪22の回転が回転伝達系統である歯車列を介してフライホイール7に伝達されてフライホイール7の回転速度を増速させることができる。
【0044】
そして、図5(b)に示すように、フライホイール7が回転しているときに、走行玩具1から手を離すと、車体10への押圧が解除され、制御部材50が引張コイルばね52の弾性力により回動して、車体10及び車台18を上方に持ち上げると共に、制御軸30を制御部材50の下部で前方へ押圧し、制御伝達歯車3を前方に押動した移動状態となってフライホイール用入力歯車42の小径部43に当該制御伝達歯車3を噛合わせ、この噛合い状態が維持される。これにより、フライホイール7に蓄積された回転力は、回転伝達系統である歯車列を介して前輪22F及び後輪22Rに伝達されて、走行玩具1が自走することとなる。
【0045】
尚、この走行玩具1は、図2に示したように、伝達歯車列8によって前輪22Fと後輪22Rの回転を相互に伝達可能とする四輪駆動の走行玩具1として構成したが、伝達歯車列8を設けずに、後輪22Rのみを駆動させる後輪駆動の走行玩具1としてもよく、駆動輪用歯車2を前輪22Fの駆動軸20に配設すれば、前輪22Fのみを駆動させる前輪駆動の走行玩具1として構成することもできる。
【0046】
次に本実施例で用いる走行玩具1の変形例について述べる。この走行玩具1は、図6及び図7に示すように、前述と同様に、車台18と、車台18に覆設される車体10と、車台18の左右両側板間に軸架される軸に軸支される前輪22F及び後輪22Rと、を備え、前輪22F及び後輪22Rを駆動輪22とした四輪駆動の走行玩具1として構成されるものである。
【0047】
又、フライホイール7と駆動輪22との回転を相互に伝達する回転伝達系統としての歯車列は、複数の平歯車から構成されており、前述と同様にフライホイール用歯車列と、駆動輪用歯車2と、制御伝達歯車3と、伝達歯車列8から構成されるが、本変形例における走行玩具1は、制御伝達歯車3として2個の歯車を有しており、一方の制御伝達歯車3であるチャージ用の制御伝達歯車34が直接にフライホイール用入力歯車42の小径部43及び駆動軸20を回転させる駆動輪用歯車2としての後輪歯車82と噛合い可能とされると共に、他方の制御伝達歯車2である走行用の制御伝達歯車32が2個の中間歯車24を介してフライホイール用入力歯車42と駆動輪用歯車2である後輪歯車82との回転伝達を可能とされるものである。
【0048】
そして、フライホイール用歯車列は、車台18に嵌着される中空形状のギアケース44に搭載されており、このギアケース44には、後述の制御部材50が枢設されると共に、図8に示すように、フライホイール7及び変速歯車群4が、ギアケース44の左右両側板間に軸架される軸に軸支されており、変速歯車群4がフライホイール軸に固着される最終歯車72に噛合わされている。又、最後方に位置する変速歯車であるフライホイール用入力歯車42の回転軸に固着される小径部43がギアケース44の左側方において後述の走行用の制御伝達歯車32と噛合っている。
【0049】
そして、駆動輪用歯車2としての後輪歯車82は、図6及び図7に示すように、左側面近傍において後輪22Rの駆動軸20に固着され、2個の中間歯車24が、当該後輪歯車82の前方に配置されている。又、伝達歯車列8は、前輪22Fの駆動軸20に固着される前輪歯車80と、この前輪歯車80と中間歯車24の回転を相互に伝達可能に前輪歯車80と中間歯車24との間に配設される1個の歯車とから構成されている。
【0050】
そして、制御伝達歯車3としての走行用の制御伝達歯車32は、フライホイール用入力歯車42の小径部43の前方において、後述の制御部材50の左側面に垂設される軸によって軸支されることにより、フライホイール用入力歯車42の小径部43と噛合わされ、制御部材50の回動により、フライホイール用入力歯車42の小径部43に噛合った状態で中間歯車24に着脱自在とされてフライホイール用入力歯車42と後輪歯車82との回転伝達を遮断するように中間歯車24との噛合いを解除することができるものである。
【0051】
又、制御伝達歯車3としてのチャージ用の制御伝達歯車34は、後述の保持部材62の上部の左側面に垂設される軸によって軸支されることにより、下端近傍が後輪歯車82に噛合わされ、後輪歯車82に噛合った状態で前上端近傍がフライホイール用入力歯車42の小径部43に着脱自在とされてフライホイール用入力歯車42と後輪歯車82との回転伝達を遮断するように小径部43との噛合いを解除することができるものである。
【0052】
そして、本変形例の走行玩具1は、走行用の制御伝達歯車32を中間歯車24に噛合うまで移動させ、当該走行用の制御伝達歯車32を中間歯車24及びフライホイール用入力歯車42の小径部43に噛合わせた拘束状態を維持可能とする制御機構5を備えるものである。
【0053】
この制御機構5は、外部からの押下操作により回動可能にフライホイール用入力歯車42の回転軸に枢支される制御部材50と、外部からの操作が解除されたとき制御部材50を回動させ、回動させた状態が維持されるように当該制御部材50を付勢する弾性体である圧縮コイルばね56と、から構成されるものである。
【0054】
又、この走行玩具1は、後輪22Rの駆動軸20に枢支され、外部からの操作が解除されたとき制御部材50に係合して押圧されることにより回動し、当該制御部材50により回動した状態が維持される保持部材62と、外部からの操作が実行されたとき制御部材50との係合が解除され、係合が解除された状態にある保持部材62を回動させ、この回動させた状態が維持されるように保持部材62を付勢する弾性体である引張コイルばね58と、を備えており、この保持部材62に制御伝達歯車3としてのチャージ用の制御伝達歯車34が保持されている。
【0055】
これにより、チャージ用の制御伝達歯車34が後輪22Rの駆動軸20を回転中心として前後方向に移動することができ、前方にチャージ用の制御伝達歯車34が移動すると当該チャージ用の制御伝達歯車34は後輪歯車82及びフライホイール用入力歯車42の小径部43に噛合わされ、後方にチャージ用の制御伝達歯車34が移動すると当該チャージ用の制御伝達歯車34は後輪歯車82にのみ噛合わされることとなる。即ち、この保持部材62と引張りコイルばね58は前実施例における保持孔90と同様に、チャージ用の制御伝達歯車34を前後方向の所定範囲において遊動可能に保持するものである。
【0056】
又、この制御部材50及び保持部材62は、車台18の前後方向と平行になるように配置される略L字状の平板であって、制御部材50は、一方が後方に延在し他方が下方に延在するようにフライホイール用入力歯車42の回転軸に軸支され、保持部材62は、一方が前方に延在し他方が上方に延在するように後輪22Rの駆動軸20に軸支されている。そして、この制御部材50と保持部材62は、制御部材50の下端部と保持部材62の前面とが係合して相互に回転力を伝達可能に近接して配置されているものである。
【0057】
又、制御機構5の圧縮コイルばね56は、上端部が制御部材50の後部上端側面に垂設される平板である上側弾性体支持板53と、車台18の後方上端近傍の一部に覆設される平板である下側弾性体支持板54によって上下方向に圧縮可能に挟持されているものである。又、引張コイルばね58は、一端のフックが車台18の底板から上方に突出するように形成される掛止部57に貫装され、他端のフックが保持部材62の回転軸である駆動軸20の上方において、該駆動軸20と平行になるように保持部材62の右側面に垂設される掛止棒59に貫装されている。
【0058】
これにより、圧縮コイルばね56は、当該圧縮コイルばね56の弾性力によって制御部材50の後部を上昇させる方向に、前部を降下させる方向に付勢して、制御部材50の前下端がギアケース44の左側面中央に垂設されるストッパー45に係止するまで、走行用の制御伝達歯車32を降下させて、当該走行用の制御伝達歯車32を中間歯車24に噛合わせ、走行用の制御伝達歯車32と中間歯車24とフライホイール用入力歯車42の小径部43との噛合い状態が維持されるように当該走行用の制御伝達歯車32を拘束することができる。
【0059】
又、圧縮コイルばね56の弾性力により制御部材50が回動すると、制御部材50の下端部が保持部材62に係合して保持部材62の上部を後方に移動させるように保持部材62を引張コイルばね58の弾性力に抗して回動させて、チャージ用の制御伝達歯車34を歯車列から離脱させて回転伝達系統から切り離すことができる。
【0060】
そして、本変形例に係る走行玩具1は、車体10が車台18の前端に貫装される車体回転軸14によって枢支され、車体10の後端である掛止爪15が車台18の後端に形成される開口部に遊挿されているものである。又、この車体10には、制御部材50の上側弾性体支持板53の上方において、車体10の上端内面より下方に突出するように平板状の押圧部11が車台18左右方向に平行となるように垂設されており、当該押圧部11の下端が制御部材50の上側弾性体支持板53の上面によって支持されている。即ち、車体10は、車台18に対して、圧縮コイルばね56により上方に付勢される制御部材50を介して揺動自在に支持されている。
【0061】
したがって、車体10は前実施例と同様に操作部6としての機能を担い、当該車体10を下方へ押圧すると、図9(a)に示すように、押圧部11により押圧され回動する制御部材50の後部下端面が下側弾性体支持板54の上面に係止するまで、車体10が車体回転軸14を回転中心として回動し、車体10の後部が降下する。これにより、押圧部11が上側弾性体支持板53の上面を押圧して、制御部材50をフライホイール用入力歯車42の回転軸を回転中心として回動させ、制御部材50に軸支される走行用の制御伝達歯車32を上方に移動させて、当該走行用の制御伝達歯車32を歯車列から離脱させて回転伝達系統から切り離すことができる。
【0062】
更に、制御部材50を介して圧縮コイルばね56によって付勢されていた保持部材62の拘束が解放されて、保持部材62が引張コイルばね58の弾性力によって後輪22Rの駆動軸20を回転中心として回動し、チャージ用の制御伝達歯車34がフライホイール用入力歯車42の小径部43と噛合わされる。
【0063】
以下、本変形例に係る走行玩具1の走行手順と動作について説明する。
先ず、図9(a)に示したように、走行玩具1を走行面に載置して車体10を外部上方から圧縮コイルばね56の弾性力に抗して押圧して車体10を降下させた玩具操作状態として、走行用の制御伝達歯車32を中間歯車24から離隔させると共にチャージ用の制御伝達歯車34を後輪歯車82及びフライホイール用入力歯車42の小径部43に噛合わせた状態で、図9(b)に示すように、駆動輪22を走行面に擦付けながら走行玩具1を前方に移動させて駆動輪22を回転させる。
【0064】
そして、駆動輪22が回転すると、駆動軸20に固着される後輪歯車82が回転し、この回転する後輪歯車82が、引張コイルばね58の弾性力により前方へ付勢されたチャージ用の制御伝達歯車34と噛合い、且つ、チャージ用制御伝達歯車34が駆動輪用歯車2である後輪歯車82の回転によって噛み込まれ、後輪歯車82の回転がチャージ用の制御伝達歯車34を介してフライホイール用入力歯車42の小径部43に伝達され、変速歯車群4を介してフライホイール7が高速で回転することとなる。
【0065】
尚、チャージ用の制御伝達歯車34は、後輪歯車82の回転によって噛み込まれることによってもフライホイール用入力歯車42と噛合うこととなるため、引張コイルばね58を設けずにチャージ用の制御伝達歯車34の後方移動を制限するために保持部材62を係止するストッパー等を備えたり、前実施例と同様に車体10に保持孔を設けたりすることで、チャージ用の制御伝達歯車34を前後方向に移動可能に構成してもよいが、この引張コイルばね58を設けることにより、より確実に噛合い状態を維持させることができ、フライホイール7のチャージを安定して行うことができる。又、この引張コイルばね58は、特にチャージ用の制御伝達歯車34が比較的大きい場合に有効である。
【0066】
そして、図10(a)に示すように、フライホイール7が回転しているときに、玩具操作状態で、走行玩具1の前方移動を止めて駆動輪22を停止させ、或いは、走行玩具1を後方に移動させて駆動輪22を逆回転させると、後輪歯車82が停止、或いは、逆回転することとなる。これにより、チャージ用の制御伝達歯車34がフライホイール用入力歯車42の小径部43の回転によって後方へ蹴り出されて、フライホイール用入力歯車42との噛合い状態が解除される。したがって、歯車列の回転伝達が遮断され、フライホイール7、変速歯車群4、走行用の制御伝達歯車32が空転状態となる。
【0067】
又、走行玩具1の前方移動の速度を減速させて、フライホイール用入力歯車42の小径部43の回転周速度よりも後輪歯車82の回転周速度が遅くなった場合も同様に、チャージ用の制御伝達歯車34が蹴り出されて、歯車列の回転伝達が遮断される。
【0068】
そして、車体10を押下した玩具操作状態で、再び走行玩具1を前方に移動させれば、図9(b)に示したように、再度、チャージ用の制御伝達歯車34がフライホイール用入力歯車42に噛合って、駆動輪22の回転がチャージ用の制御伝達歯車34を含む回転伝達系統である歯車列を介してフライホイール7に伝達されてフライホイール7を増速させることができる。
【0069】
又、図10(b)に示すように、フライホイール7が回転しているときに、走行玩具1から手を離すと、車体10への押圧が解除され、制御部材50が圧縮コイルばね56の弾性力により回動して、車体10を上方に持ち上げると共に、走行用の制御伝達歯車32を下方に移動させた移動状態となる。そして、走行用の制御伝達歯車32は、圧縮コイルばね56の弾性力により、且つ、フライホイール用入力歯車42の回転によって噛み込まれることにより、中間歯車24に噛合い、この噛合い状態が維持される。これにより、フライホイール7に蓄積された回転力は、走行用の制御伝達歯車32を含む回転伝達系統である歯車列を介して前輪22F及び後輪22Rに伝達されて、走行玩具1が自走することとなる。
【0070】
尚、この走行玩具1は、図示したように、伝達歯車列8によって前輪22Fと後輪22Rの回転を相互に伝達可能とする四輪駆動の走行玩具1として構成したが、伝達歯車列8である前輪歯車80及び前輪歯車80の後方において前輪歯車80に噛合わされる歯車を設けずに、後輪22Rのみを駆動させる後輪駆動の走行玩具1としてもよく、又、前輪22Fのみを駆動させる前輪駆動の走行玩具1として構成することもできる。
【0071】
このように、フライホイール7の回転を駆動輪22に伝達する歯車列において、歯車列の回転伝達を遮断可能に所定の歯車に着脱自在に配設される制御伝達歯車3を備えることで、安価にして小型且つ軽量で、子供や初心者であっても容易に取り扱うことのできる走行玩具1として、駆動輪22を走行面に押し当て当該走行玩具1を前後動させることによりフライホイール7に一定方向の回転を与え、車体10から手を離すとフライホイール7の回転力が歯車列により駆動輪22に伝達されて遠距離まで自走可能な走行玩具1を提供することができる。
【0072】
そして、駆動輪用歯車2とフライホイール用入力歯車42との間に1個の制御伝達歯車3を配設した部品点数を抑えたシンプルな構成とすることによりコスト低減と小型化を図ることができる。又、歯車列に変速歯車群4を組み込むことで、フライホイール7を容易に高速回転させることができ、高速回転するフライホイール7の回転力を、歯車列を介して駆動輪22に伝達させることにより、当該走行玩具1の走行距離を更に長くすることができる。
【0073】
又、2個の制御伝達歯車3としてチャージ用の制御伝達歯車34と走行用の制御伝達歯車32を配設し、フライホイール7の回転力を2個の中間歯車24を介して駆動輪22に伝達させることで、内部部品の配置の自由度を広げることが可能となり、車体10に対応した歯車列を容易に構成することもできる。更に、歯車列を平歯車で構成すれば、内部部品の配置をシンプルなものとして、容易に組立を行うことの出来る走行玩具1を提供することができる。
【0074】
そして、走行玩具1に後輪軸の回転を前輪軸に伝達する伝達歯車列8を備えて当該走行玩具1を四輪駆動とした場合は、悪路走破性や登坂性能を高めることができる。
【0075】
又、このように走行玩具1を形成することで、例えば、図11に示すような、レース場を模擬した走行台100において走行玩具1を走行させるとき、一般的には走行台100とは別の平面台においてフライホイール7の回転力を蓄積させてその後走行台100の走行路101に走行玩具1を載置して走行させるが、本発明に係る走行玩具1は、走行玩具1の前後長よりも僅かに長い直線上の走行路101があれば、走行玩具1を前後動させて容易にフライホイール7を回転させることができるため、走行台100に載せた状態でフライホイール7のチャージを行って、そのまま走行させることができる。
【0076】
そして、本発明は、以上の実施例に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。例えば、制御伝達歯車3,34は、フライホイール用入力歯車42との噛合いを解除可能とする場合に限らず、駆動輪用歯車2,82との噛合いを解除可能としてもよいし、フライホイール用入力歯車42及び駆動輪歯車2,82の両歯車に対して解除可能としてもよい。又、走行用の制御伝達歯車32についても、駆動軸20を回転させる中間歯車24との噛合いを解除可能とする場合に限らず、中間歯車24及びフライホイール用入力歯車42の両歯車に対して解除可能としてもよい。
【0077】
又、車体10を操作部6として形成する場合に限定することなく、車体10の屋根やボンネットなどの上面部や、当該走行玩具1としての自動車におけるドア相当部などの側面部に押し込み可能な押圧ボタンを有し、車体10を操作するために車体を指で摘んだときには該押圧ボタンが押し込まれ、指を離したときは押圧ボタンが復帰状態となり、該押圧ボタンの復帰状態のときに制御部材50が制御伝達歯車3をフライホイール用入力歯車42及び駆動輪用歯車2に噛合わせるように移動させる移動状態とされるように走行玩具1を構成してもよく、これにより、車体10を押圧する代わりに、車体10と一緒にこの押圧ボタンを同時に摘んで車体10を前後動させることにより、フライホイール7を高速で回転させて当該走行玩具1を遠距離まで走行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施例に係る走行玩具の外観斜視図。
【図2】本発明の実施例に係る走行玩具の分解斜視図。
【図3】本発明の実施例に係る走行玩具の側面断面図。
【図4】本発明の実施例に係る走行玩具の動作を示す側面断面図。
【図5】本発明の実施例に係る走行玩具の動作を示す側面断面図。
【図6】本発明の変形例に係る走行玩具の分解斜視図。
【図7】本発明の変形例に係る走行玩具の車体を取り除いた平面図及び側面断面図。
【図8】本発明の変形例に係る走行玩具のギアケースの平面図及び正面図及び側面断面図。
【図9】本発明の変形例に係る走行玩具の動作を示す側面断面図。
【図10】本発明の変形例に係る走行玩具の動作を示す側面断面図。
【図11】本発明の実施例に係る走行玩具の走行台を示す平面図。
【符号の説明】
【0079】
1 走行玩具 2 駆動輪用歯車
3 制御伝達歯車 4 変速歯車群
5 制御機構 6 操作部
7 フライホイール 8 伝達歯車列
9 支持板ブロック
10 車体 11 押圧部
14 車体回転軸 15 係止爪
18 車台
20 駆動軸 22 駆動輪
22F 前輪 22R 後輪
24 中間歯車
30 制御軸 32 走行用の制御伝達歯車
34 チャージ用の制御伝達歯車 42 フライホイール用入力歯車
43 小径部 44 ギアケース
45 ストッパー
50 制御部材 52 引張コイルばね
53 上側弾性体支持板 54 下側弾性体支持板
56 圧縮コイルばね 57 掛止部
58 引張コイルばね 59 掛止棒
62 保持部材
72 最終歯車
80 前輪歯車 82 後輪歯車
90 保持孔 92 左側支持板
94 中央支持板 96 右側支持板
98 前側係止突起 99 後側係止突起
100 走行台 101 走行路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体にフライホイールと歯車列を備え、フライホイールの回転を歯車列によって駆動輪に伝達することにより自走する走行玩具であって、
前記歯車列は、複数の歯車を有してフライホイール用入力歯車の回転をフライホイール軸に取付けられた最終歯車に伝達するフライホイール用歯車列と、前記駆動輪の駆動軸を回転させる駆動輪用歯車と、該駆動輪用歯車と前記フライホイール用入力歯車との間に配置される少なくとも1個の制御伝達歯車と、で構成され、
前記制御伝達歯車は前記フライホイール用入力歯車と駆動輪用歯車との回転伝達を遮断するように前記フライホイール用入力歯車と駆動輪用歯車の少なくとも一方の歯車との噛合いが解除可能とされると共に、前記制御伝達歯車を前記噛合い解除可能とされた歯車と噛合うように移動させる制御部材を有し、
前記車体が押圧される玩具操作状態では前記駆動輪が一方向に回転されると前記駆動輪用歯車の回転によって前記制御伝達歯車が噛み込まれることにより制御伝達歯車が前記噛合い解除可能とされた歯車と噛合って前記駆動輪の回転を前記フライホイール用入力歯車に伝達し、
前記フライホイールが回転しているときにフライホイール用入力歯車の回転周速度よりも制御伝達歯車の回転周速度が遅く、或いは制御伝達歯車が停止や逆回転されると前記フライホイール用入力歯車の回転によって前記制御伝達歯車が蹴り出されて制御伝達歯車と前記噛合い解除可能とされた歯車との噛合い状態が解除され、
前記車体への押圧が解除されると前記制御部材が制御伝達歯車を前記噛合い解除した歯車と噛合うように移動させる移動状態となって弾性力により押圧することを特徴とする走行玩具。
【請求項2】
前記制御伝達歯車として1個の歯車を有し、前記車体への押圧が解除されると制御部材によりこの制御伝達歯車が前記フライホイール用入力歯車及び駆動輪用歯車と噛合うように押圧されることを特徴とする請求項1に記載の走行玩具。
【請求項3】
前記制御伝達歯車として2個の歯車を有して一方の制御伝達歯車は直接に前記フライホイール用入力歯車及び駆動輪用歯車と噛合い可能とされると共に他方の制御伝達歯車は2個の中間歯車を介して前記フライホイール用入力歯車と駆動輪用歯車との回転伝達を可能とされ、
前記制御伝達歯車の内の一方の歯車は前記フライホイール用入力歯車と駆動輪用歯車との少なくとも一方に対して噛合い解除可能とされ、制御伝達歯車の内の他方の歯車は少なくとも前記中間歯車に対して噛合い解除可能とされ、
前記制御部材は、前記車体への押圧が解除されたとき、少なくとも前記中間歯車に対して噛合い解除可能とされた前記制御伝達歯車を噛合い解除した歯車に対して噛合わせるように移動させることを特徴とする請求項1に記載の走行玩具。
【請求項4】
前記歯車列は平歯車で構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の走行玩具。
【請求項5】
前輪と後輪とを有する走行玩具であって、後輪軸の回転を前輪軸に伝達する伝達歯車列を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の走行玩具。
【請求項6】
車体の上面部や側面部に押し込み可能な押圧ボタンを有し、車体を操作するために車体を指で摘んだときには該押圧ボタンが押し込まれ、指を離したときは押圧ボタンが復帰状態となり、該押圧ボタンの復帰状態のときに制御部材が移動状態とされることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の走行玩具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−291560(P2009−291560A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150936(P2008−150936)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(595037951)株式会社イマジック (10)
【Fターム(参考)】