走間板厚変更方法および装置
【課題】走間板厚変更圧延において、溶接点前後の板厚変更部が短く、かつ張力変動を抑制するロール速度の設定およびロールギャップの設定を行うことができる走間板厚変更方法および装置を提供することを課題とする。
【解決手段】先行材と後行材を接合してタンデム圧延機で連続圧延する際に、接合部前後の板厚を定常部の板厚と異なる仕上厚に圧延する、走間板厚変更方法であって、
定常部から板厚変更部への板厚変更点1と板厚変更部から定常部への板厚変更点2は、最上流の圧延スタンドから最下流の圧延スタンド間に同時に入っているが、同一の圧延スタンド間には同時に入らないことを特徴とする。
【解決手段】先行材と後行材を接合してタンデム圧延機で連続圧延する際に、接合部前後の板厚を定常部の板厚と異なる仕上厚に圧延する、走間板厚変更方法であって、
定常部から板厚変更部への板厚変更点1と板厚変更部から定常部への板厚変更点2は、最上流の圧延スタンドから最下流の圧延スタンド間に同時に入っているが、同一の圧延スタンド間には同時に入らないことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷間連続圧延により圧延された後、切断されて巻き取られる金属帯の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷間連続圧延では、タンデム圧延機の入側で先行材尾端と後行材先端を溶接して、一つの連続した金属帯としてタンデム圧延機で連続的に圧延する。そして、圧延機の出側にて製品単位の位置で切断し、テンションリールで順次巻き取る。
【0003】
圧延にあたっては、先行材と後行材の硬度、母板厚、仕上厚のいずれかが異なる場合には、先行材と後行材が各々目標の板厚となるように圧延機のロールギャップとロール速度を制御する、所謂、走間板厚変更(以下、走変と略称することもある)の技術が良く知られている。
【0004】
このような先行材と後行材をそれぞれの目標の板厚となるように制御する走間板厚変更方法以外にも、操業上のトラブルを回避するために、コイルの溶接部前後を定常部よりも厚く圧延する板厚制御方法(以降、厚み付け圧延と称する)が、以下に示す特許文献1〜4に開示されている。
【0005】
先行材と後行材の仕上厚目標値が薄い場合には、コイル状にした際に内径にかかる応力によりコイルが潰れてしまうことがあり、これを防止するために、従来はスリーブと呼ばれる鋼板をコイル先端に接合して厚み付けしていた。先ず、特許文献1では、スリーブ接合に伴うコスト削減のため、スリーブの代わりに溶接点前後で厚み付け圧延することが開示されている。
【0006】
また特許文献2には、テンションリールに巻きつく際の過張力状態においても、破断なく安定的に巻き取りを行うことを目的に、極薄材の溶接点前後を厚み付け圧延する方法が開示されている。この方法は、まず先行材の製品厚(極薄部)より厚い中間板厚目標値に厚く圧延し、そこから溶接点前後をさらに厚く圧延する2段階にわたる走間板厚変更方法である。2段階にわたる走間板厚変更をしているのは、板厚変更量が大きい場合に張力変動が大きくなることによる絞りや蛇行といったトラブルを回避するためであり、実施例では厚み付け部は90m程度である。
【0007】
また特許文献3は、前工程で検出された圧延材の耳割れ部の前後を定常部と比べて厚み付け圧延することで、破断を防止している。実施例には、耳割れ部前後30m(全長60m)程度を厚み付け圧延していることが開示されている。
【0008】
さらに特許文献4は、特許文献2と同様の課題を解決するために厚み付け圧延している。ただし、ロールギャップの設定とロール速度の設定は、AGC(自動板厚制御)により行い、厚み付け部の長さは5〜100m程度で行えば良いと記載されている。
【0009】
なお上述した特許文献1〜4は、それぞれ対象にしている仕上厚は多少異なるものの、仕上厚0.4mm以下程度の極薄材を対象としており、厚み付厚は最大200μmである。
【0010】
コイル溶接部前後は溶接による入熱のため、材質の変化があり、製品とすることはできず、屑として処理される。従って、屑量削減のために、前述した極薄材特有の破断などの操業上トラブルが生じない仕上厚が厚い材料の連続圧延では、厚み付け圧延とは逆に溶接部前後を薄く圧延する(以降、薄引圧延と称する)ことが求められている。
【0011】
以上のように、コイル溶接部前後は定常部の板厚と異なるように圧延することが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平5−169102号公報
【特許文献2】特開2003−260505号公報
【特許文献3】特開2006−224119号公報
【特許文献4】特開平11−33612号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】D.R.Bland and H.Ford:Proc. Inst. Mech. Eng.、163(1948)、144
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、連続圧延において溶接部前後の板厚を定常部と異なるように圧延するものであり、必ずしも背景技術に示した極薄材同士の溶接点前後の厚み付け圧延に限られるものではなく、仕上厚が厚い材料同士の溶接点前後を薄くする薄引圧延も含むものである。
【0015】
先に挙げた特許文献に開示されている厚み付け圧延を薄引圧延に転用するためには、以下のような問題がある。
【0016】
特許文献1〜3には、厚み付部の長さが長い実施例が記載されている。これは、操業トラブルなく安定的に圧延する目的のために、タンデム圧延機の機内(第1スタンド[以下、#1スタンド、1STDなどとも記載]から最終スタンドまで)に走間板厚変更点が2点以上入ることを避け、張力変動を抑制しているためであると推測される。上述したように、溶接点前後の板厚変更部の長さは、極力短い方が好ましいため、機内に走間板厚変更点が2点入る場合(走間板厚変更開始点と走間板厚変更終了点)であっても、溶接点前後の板厚変更部が短く、張力変動を抑制しつつ走間板厚変更できる技術の開発が課題である。
【0017】
また、特許文献4では、厚み付け部が5m程度に短くできると記載されているものの、これは、あくまで厚み付け厚さが200μm程度と小さく、AGCで対処可能であるためと考えられる。しかしながら、この方法を用いて200μm程度以上の板厚変更を伴う場合には、全スタンド間のマスフロー変動が大きいため、フィードバック制御を主体とするAGCの構成では、張力変動は大きくなってしまい、大幅な板厚変更を行うことは困難である。張力は、スタンド間のマスフローの収支により決まるため、その変動を抑制するためには、ロールギャップの設定方法とロール速度を適切に設定することが必要である。
【0018】
本発明では、これら従来技術の問題点に鑑み、走間板厚変更圧延において、溶接点前後の板厚変更部が短く、かつ張力変動を抑制するロール速度(ロール周速度、ロール回転速度とも言う)の設定およびロールギャップの設定を行うことができる走間板厚変更方法および装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題は、以下の発明によって解決できる。
【0020】
[1] 先行材と後行材を接合してタンデム圧延機で連続圧延する際に、接合部前後の板厚を定常部の板厚と異なる仕上厚に圧延する、走間板厚変更方法であって、
定常部から板厚変更部への板厚変更点1と板厚変更部から定常部への板厚変更点2は、最上流の圧延スタンドから最下流の圧延スタンド間に同時に入っているが、同一の圧延スタンド間には同時に入らないことを特徴とする走間板厚変更方法。
【0021】
[2] 上記[1]に記載の走間板厚変更方法において、
前記板厚変更点1および前記板厚変更点2の各圧延スタンド到達時に設定するロール速度変更量とロールギャップ変更量を圧延条件に基づいてそれぞれ求め、
前記板厚変更点1が各圧延スタンド到達時に、前記で求めた板厚変更点1用のロール速度変更量とロールギャップ変更量を設定し、
次に、前記板厚変更点2が対応する各圧延スタンド到達時に、先に設定したロール速度変更量とロールギャップ変更量に、板厚変更点2用のロール速度変更量とロールギャップ変更量をそれぞれ重ね合わせることを特徴とする走間板厚変更方法。
【0022】
[3] 上記[2]に記載の走間板厚変更方法において、
前記板厚変更点1と前記板厚変更点2のタンデム圧延機内での位置関係の遷移パターンを分類し、分類した遷移パターンに基づきロール速度変更量とロールギャップ変更量を算出することを特徴とする走間板厚変更方法。
【0023】
[4] 先行材と後行材を接合してタンデム圧延機で連続圧延する際に、接合部前後の板厚を定常部の板厚と異なる仕上厚に圧延する、走間板厚変更装置であって、
定常部から板厚変更部への板厚変更点1と板厚変更部から定常部への板厚変更点2が各圧延スタンド到達時に設定するロール速度変更量とロールギャップ変更量を圧延条件に基づいてそれぞれ求める変更量計算手段と、
前記板厚変更点1が各圧延スタンド到達時に、前記変更量計算手段により求めた板厚変更点1用のロール速度変更量とロールギャップ変更量を設定し、
次に、前記板厚変更点2が対応する各圧延スタンド到達時に、先に設定したロール速度変更量とロールギャップ変更量に、板厚変更点2用のロール速度変更量とロールギャップ変更量をそれぞれ重ね合わせる設定変更手段とを具備し、
前記板厚変更点1および前記板厚変更点2は、最上流の圧延スタンドから最下流の圧延スタンド間に同時に入っているが、同一の圧延スタンド間には同時に入らないことを特徴とする走間板厚変更装置。
【0024】
[5] 上記[4]に記載の走間板厚変更装置において、
前記変更量計算手段は、
前記板厚変更点1と前記板厚変更点2のタンデム圧延機内での位置関係の遷移パターンを分類し、分類した遷移パターンに基づきロール速度変更量とロールギャップ変更量を算出することを特徴とする走間板厚変更装置。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、タンデム圧延機での連続圧延における溶接部前後で板厚を変更するにあたって、タンデム圧延機内に板厚変更点が2点入る場合を考慮してロール速度とロールギャップの動作を規定することで、スクラップとなる板厚変更部の長さを短くすることが可能となった。また、マスフローを考慮してロール速度を設定するようにしているので、張力変動が抑制可能となり安定した圧延が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明における薄引圧延の開始点と終了点の位置関係を示す図である。
【図2】板厚変更開始点が#1スタンド通過前の時点での圧延状態を示す図である。
【図3】板厚変更開始点が#1〜#2スタンド間に存在する時点での圧延状態を示す図である。
【図4】板厚変更開始点が#2〜#3スタンド間に存在する時点での圧延状態を示す図である。
【図5】板厚変更開始点が#3〜#4スタンド間に存在する時点での圧延状態を示す図である。
【図6】板厚変更開始点が#4スタンド通過後の時点での圧延状態を示す図である。
【図7】本発明におけるロール速度、ロールギャップの設定変更に関する装置構成例を示す図である。
【図8】全体の処理手順を示す図である。
【図9】ケース分類の処理フローを示す図である。
【図10】ケース分類における入出力および説明に使用した記号ならびに各ケースを示す図である。
【図11】ケース分類の考え方を説明する図である。
【図12】ケース分類の考え方を説明する図である。
【図13】ケース分類の考え方を説明する図である。
【図14】ケース分類の考え方を説明する図である。
【図15】ケース1における板厚変更点の位置関係の遷移を示す図である。
【図16】ケース2における板厚変更点の位置関係の遷移を示す図である。
【図17】ケース3における板厚変更点の位置関係の遷移を示す図である。
【図18】ケース4における板厚変更点の位置関係の遷移を示す図である。
【図19】ケース5における板厚変更点の位置関係の遷移を示す図である。
【図20】薄引圧延を実施する際の従来法の実施形態を示す図である。
【図21】従来法と本発明法の薄引長さについての比較を示す図である。
【図22】本発明におけるロールギャップの動作例を示す図である。
【図23】本発明におけるロール速度の動作例を示す図である。
【図24】従来法と本発明法の薄引長さについての比較を示す図である。
【図25】本発明法と従来法におけるロールギャップの動作例を示す図である。
【図26】本発明法と従来法におけるロール速度の動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[発明を実施するための形態1]
本発明を実施するための形態1を、以下に図、表、数式を用いて具体的に説明を行う。図1は、本発明における薄引圧延の開始点と終了点の位置関係を示す図である。ここで、板厚変更開始点から終了点にかけて定常部より薄く圧延する。薄引長を短くするために板厚変更開始点と終了点は同時にタンデム圧延機内(#1圧延スタンド(#1STD)〜#4圧延スタンド(#4STD)間)に入っているが、同一の圧延スタンド間に板厚変更開始点と終了点は入らないこととする(以降では、圧延スタンドを略してスタンドと称することもある)。
【0028】
次に、本発明の説明に必要な変数を表1に示す。記号の右上の添字(I、II、III))は、板厚変更前(定常部)、板厚変更部、板厚変更後(定常部)をそれぞれ表し(便宜上それぞれ、スケジュールI、スケジュールII、スケジュールIIIとも称する)、また、右上の添字(t)は遷移状態(transition)を表す。さらに、記号右下の添字(1〜4)はスタンド番号を表している。なお、ロール速度については、例外的にVRと記載している。
【0029】
【表1】
【0030】
板厚変更点の各スタンド到達時に設定するロール速度変更量とロールギャップ変更量を圧延条件に基づいて求める変更量計算手段での処理内容について説明する。なお、図2〜図6は、各スタンドのワークロール部分のみを示している(バックアップロール等周辺設備については不図示としている)。
【0031】
(A)薄引開始点のロール速度の設定方法
[1]板厚変更開始点が#1スタンドを通過する前の時点
図2は、板厚変更開始点が#1スタンド通過前の時点での圧延状態を示す図である。板厚変更開始点が#1スタンドを通過する前の初期状態であり、この状態では、マスフローの整合性が取れているのでスタンドのロール速度を変更する必要はない。
【0032】
[2]板厚変更開始点が#1〜#2スタンド間に存在する時点
図3は、板厚変更開始点が#1〜#2スタンド間に存在する時点での圧延状態を示す図である。#2スタンド入側のマスフローが変化しないように#1スタンドのロール速度を変更する必要がある。この#1スタンドのロール速度設定値(以下、各スタンドのロール速度設定値は右上のアスタリスク添字で表示)は、#2スタンド入側のマスフローは不変という条件のもとに、次の(1)式で求められる。なお、先進率fについては、例えば、非特許文献1に記載の方法を用いるようにするとよい。
【0033】
【数1】
【0034】
[3]板厚変更開始点が#2〜#3スタンド間に存在する時点
図4は、板厚変更開始点が#2〜#3スタンド間に存在する時点での圧延状態を示す図である。#2スタンドのロール速度は、#3スタンドの入側マスフローが変化しないように設定し、次の(2)式で求められる。
【0035】
【数2】
【0036】
#1スタンドのロール速度は、#2スタンド入出側のマスフローが変化しないように設定し、次の(3)式で求められる。
【0037】
【数3】
【0038】
[4]板厚変更開始点が#3〜#4スタンド間に存在する時点
図5は、板厚変更開始点が#3〜#4スタンド間に存在する時点での圧延状態を示す図である。#3スタンドのロール速度は、#4スタンドの入側マスフローが変化しないように設定し、#2スタンドのロール速度は#3スタンド入出側のマスフローが一致するように設定し、#1スタンドのロール速度は#2スタンド入出側のマスフローが一致するように設定する必要がある。これらの設定値は、次の(4)〜(6)式で求められる。
【0039】
【数4】
【0040】
【数5】
【0041】
【数6】
【0042】
[5]板厚変更開始点が#4スタンド通過後の時点
図6は、板厚変更開始点が#4スタンド通過後の時点での圧延状態を示す図である。#4スタンドのロール速度は、スケジュールIIの設定通りとし、#1スタンド、#2スタンド、#3スタンドのロール速度は、最終スタンド出側のマスフローと一致するように設定する。なお、これらの速度は、スケジュールIIの速度である。以下の(7)〜(10)式に、それぞれの計算式を示す。
【0043】
【数7】
【0044】
【数8】
【0045】
【数9】
【0046】
【数10】
【0047】
以上をまとめると、表2に示すロール速度設定値が得られる。そして、このロール速度設定値をロール速度変更量として整理すると表3となる。このロール速度変更量を、通過スタンドに応じて設定する。
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
(B)薄引終了点のロール速度の設定方法
薄引終了点についても、上述した薄引開始点と同じ考え方で、ロール速度変更量を求めておく。表4に、薄引終了位置のロール速度変更量をまとめて示す。そして、このロール速度変更量を通過スタンドに応じて設定する。
【0051】
【表4】
【0052】
(C)ロールギャップの設定方法
ある圧延スケジュールでのロールギャップは、次の(11)式で表されるゲージメータ式で求める。この式で、薄引前、薄引部、薄引後のロールギャップを求めることが可能となり、薄引開始点・終了点での変更量を、それぞれ表5、表6の形式で保存しておく。
【0053】
【数11】
【0054】
【表5】
【0055】
【表6】
【0056】
以上の処理は、変更量計算手段で行う。なお、この変更量計算手段は、入出力装置を有する演算装置にて構成する。
【0057】
続いて、変更量計算手段により求めた変更量を、板厚変更開始点と板厚変更終了点が各スタンドに到達する時において重ね合わせて反映させる設定変更手段について説明する。
【0058】
図7は、本発明における設定変更に関する装置構成例を示す図である。図中、101は開始点トラッキング装置、102は終了点トラッキング装置、201は開始点油圧圧下指令装置、202は終了点油圧圧下指令装置、301は開始点ロール速度指令装置、302は終了点ロール速度指令装置をそれぞれ表す。
【0059】
開始点トラッキング装置101および終了点トラッキング装置102は、薄引開始点と終了点の通過位置をトラッキングしている。そして、各スタンドを通過したタイミングに応じて、開始点油圧圧下指令装置201及び終了点油圧圧下指令装置202の圧下指令装置が、前述した表5と表6に従って、各スタンドの圧下装置に対して圧下指令を出す。なお、双方の出力は重ね合わせたものが圧下指令となる。
【0060】
圧下指令と同様に薄引開始点と終了点の位置により、開始点ロール速度指令装置301及び終了点ロール速度指令装置302で示されるロール速度指令装置が前述した表3と表4に従って、各スタンドのロール速度変更量を出力し、それらを重ね合わせたものを速度変更量として電動機を駆動させる。
【0061】
また、ロールギャップとロール速度の変更レートは、変更時間(動作開始時刻から終了時刻までの時間)が一致するように指令を出す。
【0062】
以上の構成および処理により、タンデム圧延機内に走変変更点が2点入る場合でも張力変動を抑制しつつ、板厚制御を行うことが可能となり、前述の課題を解決する。
【0063】
[発明を実施するための形態2]
本発明を実施するための形態2を、以下に図、表、数式を用いて具体的に説明を行う。
【0064】
図8は、全体の処理手順を示す図である。薄引圧延材の通板通知を受けて処理が開始され、Step01のケース分類計算が行われる。ここでは、薄引長、各スタンド出側厚等をもとに、薄引開始点と終了点のタンデム圧延機内での位置関係の遷移パターンを分類する。
【0065】
次に、Step02の速度変更量計算が行われる。ここでは、Step01で求めた遷移パターンをもとに速度変更量を求める。
【0066】
そして、Step03の圧下変更量計算の処理にて、圧下変更量を求める。さらに、Step04の制御指令の処理では、2つの板厚変更点のトラッキング信号に基づき、Step02とStep03で求めた速度と圧下の変更指令を出す。最終的に、制御指令に基づき薄引圧延が行われ、板厚変更が完了して、処理が終了する。
【0067】
Step01:ケース分類計算
図9は、ケース分類の処理フローを示す図である。そして、図10は、ケース分類における入出力および説明に使用した記号ならびに各ケースを示す図である。図10に示す入力によって、図9に示すように5つのケースに分類している。
【0068】
図10に示した[説明のために使用した記号]を用いてケースを説明すると、例えばケース2の場合では、板厚変更点1が、#1スタンド、#2スタンドの順に通過(A1→A2)し、その後に板厚変更点2が#1スタンドを通過(→B1)、その後に板厚変更点1が#3スタンドを通過(→A3)、その後に板厚変更点2が#2スタンドを通過(→B2)し、その後に板厚変更点1が#4スタンドを通過(→A4)、その後に板厚変更点2が、#3スタンド、#4スタンドの順に通過(→B3→B4)することを示している。
【0069】
なお、図11〜14は、ケース分類の考え方を説明する図である。図11から順次、ケース分類を行っていく様子を示している。先ず、図11の最初に示す「同一スタンド間に板厚変更点は2つ存在しない」という前提の基に、「板厚変更点1が#2スタンド到達時には,必ず板厚変更点2が#1スタンド未到達」、そして「板厚変更点1が#3スタンド到達時には,板厚変更点2はどの位置にいるか?」と考え、さらに・・・と、板厚変更点1と板厚変更点2の位置関係を場合分けして、5つのケースに分類している。
【0070】
Step02:速度変更量計算
図9で求めた遷移経過が異なる各ケースに応じて速度変更量を算出し、表3、表4の形式で保存する。各ケースにおける遷移状態ごとでの速度変更量の算出の仕方を、以下にケース1から順に説明する。なお、先に示した表3と表4の表下段のV11〜V44およびV11_2〜V44_2は、以下に示す値に読み替えるものとする。
【0071】
1)ケース1:A1→A2→B1→A3→A4→B2→B3→B4
図15は、ケース1における板厚変更点の位置関係の遷移を示す図である。このとき、設定すべきロール速度は、各遷移状態ごと順番に次のようになる。
【0072】
[初期状態]
速度変更なし
[遷移状態1]
#1STD速度設定(#2STD入のマスフローは不変):
【0073】
【数1】
【0074】
[遷移状態2]
#2STD速度設定 (#3STD入のマスフローは不変) :
【0075】
【数2】
【0076】
#1STD速度設定 (#2STD入出のマスフローは不変) :
【0077】
【数3】
【0078】
[遷移状態3]
#2STD速度設定 (#3STD入のマスフローは不変) :
【0079】
【数2】
【0080】
#1STD速度設定 (2STD入出のマスフローは不変) :
【0081】
【数12】
【0082】
[遷移状態4]
#3STD速度設定 (4STD入のマスフローは不変) :
【0083】
【数4】
【0084】
#2STD速度設定 (3STD入出のマスフローは不変) :
【0085】
【数5】
【0086】
#1STD速度設定 (2STD入出のマスフローは不変) :
【0087】
【数13】
【0088】
[遷移状態5]
#3STD速度設定 (4STD入出のマスフローは不変) :
【0089】
【数14】
【0090】
#2STD速度設定 (3STD入出のマスフローは不変) :
【0091】
【数15】
【0092】
#1STD速度設定 (2STD入出のマスフローは不変) :
【0093】
【数16】
【0094】
[遷移状態6]
#3STD速度設定 (4STD入出のマスフローは不変) :
【0095】
【数14】
【0096】
#2STD速度設定 (3STD入出のマスフローは不変) :
【0097】
【数17】
【0098】
#1STD速度設定 (2STD入出のマスフローは不変) :
【0099】
【数18】
【0100】
[遷移状態7]
#3STD速度設定 (4STD入出のマスフローは不変) :
【0101】
【数19】
【0102】
#2STD速度設定 (3STD入出のマスフローは不変) :
【0103】
【数20】
【0104】
#1STD速度設定 (2STD入出のマスフローは不変) :
【0105】
【数21】
【0106】
[最終状態]
#3STD速度設定:
【0107】
【数22】
【0108】
#2STD速度設定:
【0109】
【数23】
【0110】
#1STD速度設定:
【0111】
【数24】
【0112】
次に、板厚変更点1と2が各スタンド通過で変更する速度変更量を求める。
[板厚変更点1が設定する速度]
V11:遷移状態1と初期状態の速度差
【0113】
【数25】
【0114】
V12、V22:遷移状態2と遷移状態1の速度差
【0115】
【数26】
【0116】
V13、V23、V33:遷移状態4と遷移状態3の速度差
【0117】
【数27】
【0118】
V14、V24、V34、V44:遷移状態5と遷移状態4の速度差
【0119】
【数28】
【0120】
[板厚変更点2が設定する速度]
V11_2:遷移状態3と遷移状態2の速度差
【0121】
【数29】
【0122】
V12_2、V22_2:遷移状態6と遷移状態5の速度差
【0123】
【数30】
【0124】
V13_2、V23_2、V33_2:遷移状態7と遷移状態6の速度差
【0125】
【数31】
【0126】
V14_2、V24_2、V34_2、V44_2:最終状態と遷移状態7の速度差
【0127】
【数32】
【0128】
2)ケース2:A1→A2→B1→A3→B2→A4→B3→B4
図16は、ケース2における板厚変更点の位置関係の遷移を示す図である。このとき、設定すべきロール速度は次のようになる。
[初期状態]
速度変更なし
[遷移状態1]
ケース1と同じ
[遷移状態2]
ケース1と同じ
[遷移状態3]
ケース1と同じ
[遷移状態4]
ケース1と同じ
[遷移状態5]
#3STD速度設定 (4STD入出のマスフローは不変) :
【0129】
【数33】
【0130】
#2STD速度設定 (3STD入出のマスフローは不変) :
【0131】
【数34】
【0132】
#1STD速度設定 (2STD入出のマスフローは不変) :
【0133】
【数35】
【0134】
[遷移状態6]
ケース1と同じ
[遷移状態7]
ケース1と同じ
[最終状態]
ケース1と同じ
次に、板厚変更点1と2が各スタンド通過で変更する速度変更量を求める。
[板厚変更点1が設定する速度]
V11:遷移状態1と初期状態の速度差
ケース1と同じ
V12、V22:遷移状態2と遷移状態1の速度差
ケース1と同じ
V13、V23、V33:遷移状態4と遷移状態3の速度差
ケース1と同じ
V14、V24、V34、V44:遷移状態6と遷移状態5の速度差
【0135】
【数36】
【0136】
[板厚変更点2が設定する速度]
V11_2:遷移状態3と遷移状態2の速度差
ケース1と同じ
V12_2、V22_2:遷移状態5と遷移状態4の速度差
【0137】
【数37】
【0138】
V13_2、V23_2、V33_2:遷移状態7と遷移状態6の速度差
ケース1と同じ
V14_2、V24_2、V34_2、V44_2:最終状態と遷移状態7の速度差
ケース1と同じ
3)ケース3:A1→A2→A3→A4→B1→B2→B3→B4
図17は、ケース3における板厚変更点の位置関係の遷移を示す図である。このとき、設定すべきロール速度は次のようになる。
[初期状態]
速度変更なし
[遷移状態1]
ケース1と同じ
[遷移状態2]
ケース1と同じ
[遷移状態3]
#3STD速度設定 (4STD入のマスフローは不変) :
【0139】
【数38】
【0140】
#2STD速度設定 (1STD入のマスフローは不変) :
【0141】
【数39】
【0142】
#1STD速度設定 (2STD入出のマスフローは不変) :
【0143】
【数40】
【0144】
[遷移状態4]
#3STD速度設定:
【0145】
【数41】
【0146】
#2STD速度設定 :
【0147】
【数42】
【0148】
#1STD速度設定:
【0149】
【数43】
【0150】
[遷移状態5]
#3STD速度設定:
【0151】
【数44】
【0152】
#2STD速度設定 :
【0153】
【数45】
【0154】
#1STD速度設定 (2STD入出のマスフローは不変) :
【0155】
【数46】
【0156】
[遷移状態6]
#3STD、#2STD、#1STD速度設定:
ケース1と同じ
[遷移状態7]
#3STD、#2STD、#1STD速度設定:
ケース1と同じ
[最終状態]
#3STD、#2STD、#1STD速度設定:
ケース1と同じ
次に、板厚変更点1と2が各スタンド通過で変更する速度変更量を求める。
[板厚変更点1が設定する速度]
V11:遷移状態1と初期状態の速度差
ケース1と同じ
V12、V22:遷移状態2と遷移状態1の速度差
ケース1と同じ
V13、V23、V33:遷移状態3と遷移状態2の速度差
【0157】
【数47】
【0158】
V14、V24、V34、V44:遷移状態4と遷移状態3の速度差
【0159】
【数48】
【0160】
[板厚変更点2が設定する速度]
V11_2:遷移状態5と遷移状態4の速度差
【0161】
【数49】
【0162】
V12_2、V22_2:遷移状態6と遷移状態5の速度差
【0163】
【数50】
【0164】
V13_2、V23_2、V33_2:遷移状態7と遷移状態6の速度差
ケース1と同じ
V14_2、V24_2、V34_2、V44_2:最終状態と遷移状態7の速度差
ケース1と同じ
4)ケース4:A1→A2→A3→B1→A4→B2→B3→B4
図18は、ケース4における板厚変更点の位置関係の遷移を示す図である。このとき、設定すべきロール速度は次のようになる。
[初期状態]
速度変更なし
[遷移状態1]
ケース1と同じ
[遷移状態2]
ケース1と同じ
[遷移状態3]
ケース3と同じ
[遷移状態4]
#3STD速度設定 (4STD入のマスフローは不変) :
【0165】
【数51】
【0166】
#2STD速度設定 (1STD入のマスフローは不変) :
【0167】
【数52】
【0168】
#1STD速度設定(2STD入出のマスフローは不変):
【0169】
【数53】
【0170】
[遷移状態5]
ケース3と同じ
[遷移状態6]
#3STD、#2STD、#1STD速度設定:
ケース1と同じ
[遷移状態7]
#3STD、#2STD、#1STD速度設定:
ケース1と同じ
[最終状態]
#3STD、#2STD、#1STD速度設定:
ケース1と同じ
次に、板厚変更点1と2が各スタンド通過で変更する速度変更量を求める。
[板厚変更点1が設定する速度]
V11:遷移状態1と初期状態の速度差
ケース1と同じ
V12、V22:遷移状態2と遷移状態1の速度差
ケース1と同じ
V13、V23、V33:遷移状態3と遷移状態2の速度差
ケース3と同じ
V14、V24、V34、V44:遷移状態5と遷移状態4の速度差
【0171】
【数54】
【0172】
[板厚変更点2が設定する速度]
V11_2:遷移状態4と遷移状態3の速度差
【0173】
【数55】
【0174】
V12_2、V22_2:遷移状態6と遷移状態5の速度差
ケース3と同じ
V13_2、V23_2、V33_2:遷移状態7と遷移状態6の速度差
ケース1と同じ
V14_2、V24_2、V34_2、V44_2:最終状態と遷移状態7の速度差
ケース1と同じ
5)ケース5:A1→A2→A3→B1→B2→A4→B3→B4
図19は、ケース5における板厚変更点の位置関係の遷移を示す図である。このとき、設定すべきロール速度は次のようになる。
[初期状態]
速度変更なし
[遷移状態1]
ケース1と同じ
[遷移状態2]
ケース1と同じ
[遷移状態3]
ケース3、4と同じ
[遷移状態4]
ケース4と同じ
[遷移状態5]
#3STD速度設定 (4STD入のマスフローは不変) :
【0175】
【数56】
【0176】
#2STD速度設定 (3STD入出のマスフローは不変) :
【0177】
【数57】
【0178】
#1STD速度設定 (2STD入出のマスフローは不変) :
【0179】
【数58】
【0180】
[遷移状態6]
#3STD、#2STD、#1STD速度設定:
ケース1と同じ
[遷移状態7]
#3STD、#2STD、#1STD速度設定:
ケース1と同じ
[最終状態]
#3STD、#2STD、#1STD速度設定:
ケース1と同じ
次に、板厚変更点1と2が各スタンド通過で変更する速度変更量を求める。
[板厚変更点1が設定する速度]
V11:遷移状態1と初期状態の速度差
ケース1と同じ
V12、V22:遷移状態2と遷移状態1の速度差
ケース1と同じ
V13、V23、V33:遷移状態3と遷移状態2の速度差
ケース3と同じ
V14、V24、V34、V44:遷移状態6と遷移状態5の速度差
ケース2と同じ
[板厚変更点2が設定する速度]
V11_2:遷移状態4と遷移状態3の速度差
ケース4と同じ
V12_2、V22_2:遷移状態5と遷移状態4の速度差
ケース2と同じ
V13_2、V23_2、V33_2:遷移状態7と遷移状態6の速度差
ケース1と同じ
V14_2、V24_2、V34_2、V44_2:最終状態と遷移状態7の速度差
ケース1と同じ
【0181】
Step03:圧下変更量計算
ここでは、板厚変更点1と板厚変更点2が各スタンド通過時に変更するロールギャップは、例えば、前述の(11)式を用いて求め、表5と表6の形式で保存する。
【0182】
Step04:制御指令
Step02とStep03で求めた速度変更量と圧下変更量を、重ねあわせたものをトラッキングに基づき指令する(図7参照)。すなわち、圧延条件が決まれば、ケース1〜5にあてはまるかを決めて、速度変更量と圧下変更量を重ねあわせたものをセットアップ値として確定し、変更点をトラッキングし、変更点が来たならば決めたセットアップ値にて圧延を実行する。
【実施例】
【0183】
[実施例1]
図20は、薄引圧延を実施する際の従来法の実施形態を示す図である。従来法では、薄引開始点と終了点が同時にタンデム圧延機内に存在しないように走間板厚変更を実施していた。一方、本発明[発明を実施するための形態1]では、同時にタンデム圧延機内に存在可能とする構成である。実施例として、従来法と本発明との比較を、シミュレーション結果の一例として示す。
【0184】
シミュレーション条件は、母板厚:2.2mm、薄引前の仕上厚:1.7mm、薄引中の仕上厚:0.9mm、薄引後の仕上厚:1.7mm、最終スタンドのロール周速度:85mpmであり、全張力の設定として、#1スタンド−#2スタンド:28.56[tonf]、#2スタンド−#3スタンド:20.1 [tonf]、#3スタンド−#4スタンド:16.74 [tonf]をそれぞれ設定している。
【0185】
図21は、従来法と本発明法の薄引長さについての比較例を示す図である。本発明を適用することで、板厚変更点が2点同時にタンデム圧延機内に入ることが可能となったため溶接点前後の薄引長さが25m程度から12m程度に低減可能となった。これにより、屑量が削減でき、製造コストを低減できることが分かる。
【0186】
そして、図22および図23からは、このときのロールギャップとロール速度が、板厚変更点の通過スタンドに応じて設定されていることが確認できる。
【0187】
[実施例2]
図24は、従来法と本発明法の薄引長さについての比較例を示す図である。本発明法[発明を実施するための形態2]を適用することで、板厚変更点が2点同時にタンデム圧延機内に入ることが可能となったため溶接点前後の薄引長さが25m程度から12m程度に低減可能となった。これにより、屑量が削減でき、製造コストを低減できることが分かる。
【0188】
そして、図25および図26からは、このときのロールギャップとロール速度が、板厚変更点の通過スタンドに応じて設定されていることが確認できる。
【符号の説明】
【0189】
101 開始点トラッキング装置
102 終了点トラッキング装置
201 開始点油圧圧下指令装置
202 終了点油圧圧下指令装置
301 開始点ロール速度指令装置
302 終了点ロール速度指令装置
M 電動機
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷間連続圧延により圧延された後、切断されて巻き取られる金属帯の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷間連続圧延では、タンデム圧延機の入側で先行材尾端と後行材先端を溶接して、一つの連続した金属帯としてタンデム圧延機で連続的に圧延する。そして、圧延機の出側にて製品単位の位置で切断し、テンションリールで順次巻き取る。
【0003】
圧延にあたっては、先行材と後行材の硬度、母板厚、仕上厚のいずれかが異なる場合には、先行材と後行材が各々目標の板厚となるように圧延機のロールギャップとロール速度を制御する、所謂、走間板厚変更(以下、走変と略称することもある)の技術が良く知られている。
【0004】
このような先行材と後行材をそれぞれの目標の板厚となるように制御する走間板厚変更方法以外にも、操業上のトラブルを回避するために、コイルの溶接部前後を定常部よりも厚く圧延する板厚制御方法(以降、厚み付け圧延と称する)が、以下に示す特許文献1〜4に開示されている。
【0005】
先行材と後行材の仕上厚目標値が薄い場合には、コイル状にした際に内径にかかる応力によりコイルが潰れてしまうことがあり、これを防止するために、従来はスリーブと呼ばれる鋼板をコイル先端に接合して厚み付けしていた。先ず、特許文献1では、スリーブ接合に伴うコスト削減のため、スリーブの代わりに溶接点前後で厚み付け圧延することが開示されている。
【0006】
また特許文献2には、テンションリールに巻きつく際の過張力状態においても、破断なく安定的に巻き取りを行うことを目的に、極薄材の溶接点前後を厚み付け圧延する方法が開示されている。この方法は、まず先行材の製品厚(極薄部)より厚い中間板厚目標値に厚く圧延し、そこから溶接点前後をさらに厚く圧延する2段階にわたる走間板厚変更方法である。2段階にわたる走間板厚変更をしているのは、板厚変更量が大きい場合に張力変動が大きくなることによる絞りや蛇行といったトラブルを回避するためであり、実施例では厚み付け部は90m程度である。
【0007】
また特許文献3は、前工程で検出された圧延材の耳割れ部の前後を定常部と比べて厚み付け圧延することで、破断を防止している。実施例には、耳割れ部前後30m(全長60m)程度を厚み付け圧延していることが開示されている。
【0008】
さらに特許文献4は、特許文献2と同様の課題を解決するために厚み付け圧延している。ただし、ロールギャップの設定とロール速度の設定は、AGC(自動板厚制御)により行い、厚み付け部の長さは5〜100m程度で行えば良いと記載されている。
【0009】
なお上述した特許文献1〜4は、それぞれ対象にしている仕上厚は多少異なるものの、仕上厚0.4mm以下程度の極薄材を対象としており、厚み付厚は最大200μmである。
【0010】
コイル溶接部前後は溶接による入熱のため、材質の変化があり、製品とすることはできず、屑として処理される。従って、屑量削減のために、前述した極薄材特有の破断などの操業上トラブルが生じない仕上厚が厚い材料の連続圧延では、厚み付け圧延とは逆に溶接部前後を薄く圧延する(以降、薄引圧延と称する)ことが求められている。
【0011】
以上のように、コイル溶接部前後は定常部の板厚と異なるように圧延することが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平5−169102号公報
【特許文献2】特開2003−260505号公報
【特許文献3】特開2006−224119号公報
【特許文献4】特開平11−33612号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】D.R.Bland and H.Ford:Proc. Inst. Mech. Eng.、163(1948)、144
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、連続圧延において溶接部前後の板厚を定常部と異なるように圧延するものであり、必ずしも背景技術に示した極薄材同士の溶接点前後の厚み付け圧延に限られるものではなく、仕上厚が厚い材料同士の溶接点前後を薄くする薄引圧延も含むものである。
【0015】
先に挙げた特許文献に開示されている厚み付け圧延を薄引圧延に転用するためには、以下のような問題がある。
【0016】
特許文献1〜3には、厚み付部の長さが長い実施例が記載されている。これは、操業トラブルなく安定的に圧延する目的のために、タンデム圧延機の機内(第1スタンド[以下、#1スタンド、1STDなどとも記載]から最終スタンドまで)に走間板厚変更点が2点以上入ることを避け、張力変動を抑制しているためであると推測される。上述したように、溶接点前後の板厚変更部の長さは、極力短い方が好ましいため、機内に走間板厚変更点が2点入る場合(走間板厚変更開始点と走間板厚変更終了点)であっても、溶接点前後の板厚変更部が短く、張力変動を抑制しつつ走間板厚変更できる技術の開発が課題である。
【0017】
また、特許文献4では、厚み付け部が5m程度に短くできると記載されているものの、これは、あくまで厚み付け厚さが200μm程度と小さく、AGCで対処可能であるためと考えられる。しかしながら、この方法を用いて200μm程度以上の板厚変更を伴う場合には、全スタンド間のマスフロー変動が大きいため、フィードバック制御を主体とするAGCの構成では、張力変動は大きくなってしまい、大幅な板厚変更を行うことは困難である。張力は、スタンド間のマスフローの収支により決まるため、その変動を抑制するためには、ロールギャップの設定方法とロール速度を適切に設定することが必要である。
【0018】
本発明では、これら従来技術の問題点に鑑み、走間板厚変更圧延において、溶接点前後の板厚変更部が短く、かつ張力変動を抑制するロール速度(ロール周速度、ロール回転速度とも言う)の設定およびロールギャップの設定を行うことができる走間板厚変更方法および装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題は、以下の発明によって解決できる。
【0020】
[1] 先行材と後行材を接合してタンデム圧延機で連続圧延する際に、接合部前後の板厚を定常部の板厚と異なる仕上厚に圧延する、走間板厚変更方法であって、
定常部から板厚変更部への板厚変更点1と板厚変更部から定常部への板厚変更点2は、最上流の圧延スタンドから最下流の圧延スタンド間に同時に入っているが、同一の圧延スタンド間には同時に入らないことを特徴とする走間板厚変更方法。
【0021】
[2] 上記[1]に記載の走間板厚変更方法において、
前記板厚変更点1および前記板厚変更点2の各圧延スタンド到達時に設定するロール速度変更量とロールギャップ変更量を圧延条件に基づいてそれぞれ求め、
前記板厚変更点1が各圧延スタンド到達時に、前記で求めた板厚変更点1用のロール速度変更量とロールギャップ変更量を設定し、
次に、前記板厚変更点2が対応する各圧延スタンド到達時に、先に設定したロール速度変更量とロールギャップ変更量に、板厚変更点2用のロール速度変更量とロールギャップ変更量をそれぞれ重ね合わせることを特徴とする走間板厚変更方法。
【0022】
[3] 上記[2]に記載の走間板厚変更方法において、
前記板厚変更点1と前記板厚変更点2のタンデム圧延機内での位置関係の遷移パターンを分類し、分類した遷移パターンに基づきロール速度変更量とロールギャップ変更量を算出することを特徴とする走間板厚変更方法。
【0023】
[4] 先行材と後行材を接合してタンデム圧延機で連続圧延する際に、接合部前後の板厚を定常部の板厚と異なる仕上厚に圧延する、走間板厚変更装置であって、
定常部から板厚変更部への板厚変更点1と板厚変更部から定常部への板厚変更点2が各圧延スタンド到達時に設定するロール速度変更量とロールギャップ変更量を圧延条件に基づいてそれぞれ求める変更量計算手段と、
前記板厚変更点1が各圧延スタンド到達時に、前記変更量計算手段により求めた板厚変更点1用のロール速度変更量とロールギャップ変更量を設定し、
次に、前記板厚変更点2が対応する各圧延スタンド到達時に、先に設定したロール速度変更量とロールギャップ変更量に、板厚変更点2用のロール速度変更量とロールギャップ変更量をそれぞれ重ね合わせる設定変更手段とを具備し、
前記板厚変更点1および前記板厚変更点2は、最上流の圧延スタンドから最下流の圧延スタンド間に同時に入っているが、同一の圧延スタンド間には同時に入らないことを特徴とする走間板厚変更装置。
【0024】
[5] 上記[4]に記載の走間板厚変更装置において、
前記変更量計算手段は、
前記板厚変更点1と前記板厚変更点2のタンデム圧延機内での位置関係の遷移パターンを分類し、分類した遷移パターンに基づきロール速度変更量とロールギャップ変更量を算出することを特徴とする走間板厚変更装置。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、タンデム圧延機での連続圧延における溶接部前後で板厚を変更するにあたって、タンデム圧延機内に板厚変更点が2点入る場合を考慮してロール速度とロールギャップの動作を規定することで、スクラップとなる板厚変更部の長さを短くすることが可能となった。また、マスフローを考慮してロール速度を設定するようにしているので、張力変動が抑制可能となり安定した圧延が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明における薄引圧延の開始点と終了点の位置関係を示す図である。
【図2】板厚変更開始点が#1スタンド通過前の時点での圧延状態を示す図である。
【図3】板厚変更開始点が#1〜#2スタンド間に存在する時点での圧延状態を示す図である。
【図4】板厚変更開始点が#2〜#3スタンド間に存在する時点での圧延状態を示す図である。
【図5】板厚変更開始点が#3〜#4スタンド間に存在する時点での圧延状態を示す図である。
【図6】板厚変更開始点が#4スタンド通過後の時点での圧延状態を示す図である。
【図7】本発明におけるロール速度、ロールギャップの設定変更に関する装置構成例を示す図である。
【図8】全体の処理手順を示す図である。
【図9】ケース分類の処理フローを示す図である。
【図10】ケース分類における入出力および説明に使用した記号ならびに各ケースを示す図である。
【図11】ケース分類の考え方を説明する図である。
【図12】ケース分類の考え方を説明する図である。
【図13】ケース分類の考え方を説明する図である。
【図14】ケース分類の考え方を説明する図である。
【図15】ケース1における板厚変更点の位置関係の遷移を示す図である。
【図16】ケース2における板厚変更点の位置関係の遷移を示す図である。
【図17】ケース3における板厚変更点の位置関係の遷移を示す図である。
【図18】ケース4における板厚変更点の位置関係の遷移を示す図である。
【図19】ケース5における板厚変更点の位置関係の遷移を示す図である。
【図20】薄引圧延を実施する際の従来法の実施形態を示す図である。
【図21】従来法と本発明法の薄引長さについての比較を示す図である。
【図22】本発明におけるロールギャップの動作例を示す図である。
【図23】本発明におけるロール速度の動作例を示す図である。
【図24】従来法と本発明法の薄引長さについての比較を示す図である。
【図25】本発明法と従来法におけるロールギャップの動作例を示す図である。
【図26】本発明法と従来法におけるロール速度の動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[発明を実施するための形態1]
本発明を実施するための形態1を、以下に図、表、数式を用いて具体的に説明を行う。図1は、本発明における薄引圧延の開始点と終了点の位置関係を示す図である。ここで、板厚変更開始点から終了点にかけて定常部より薄く圧延する。薄引長を短くするために板厚変更開始点と終了点は同時にタンデム圧延機内(#1圧延スタンド(#1STD)〜#4圧延スタンド(#4STD)間)に入っているが、同一の圧延スタンド間に板厚変更開始点と終了点は入らないこととする(以降では、圧延スタンドを略してスタンドと称することもある)。
【0028】
次に、本発明の説明に必要な変数を表1に示す。記号の右上の添字(I、II、III))は、板厚変更前(定常部)、板厚変更部、板厚変更後(定常部)をそれぞれ表し(便宜上それぞれ、スケジュールI、スケジュールII、スケジュールIIIとも称する)、また、右上の添字(t)は遷移状態(transition)を表す。さらに、記号右下の添字(1〜4)はスタンド番号を表している。なお、ロール速度については、例外的にVRと記載している。
【0029】
【表1】
【0030】
板厚変更点の各スタンド到達時に設定するロール速度変更量とロールギャップ変更量を圧延条件に基づいて求める変更量計算手段での処理内容について説明する。なお、図2〜図6は、各スタンドのワークロール部分のみを示している(バックアップロール等周辺設備については不図示としている)。
【0031】
(A)薄引開始点のロール速度の設定方法
[1]板厚変更開始点が#1スタンドを通過する前の時点
図2は、板厚変更開始点が#1スタンド通過前の時点での圧延状態を示す図である。板厚変更開始点が#1スタンドを通過する前の初期状態であり、この状態では、マスフローの整合性が取れているのでスタンドのロール速度を変更する必要はない。
【0032】
[2]板厚変更開始点が#1〜#2スタンド間に存在する時点
図3は、板厚変更開始点が#1〜#2スタンド間に存在する時点での圧延状態を示す図である。#2スタンド入側のマスフローが変化しないように#1スタンドのロール速度を変更する必要がある。この#1スタンドのロール速度設定値(以下、各スタンドのロール速度設定値は右上のアスタリスク添字で表示)は、#2スタンド入側のマスフローは不変という条件のもとに、次の(1)式で求められる。なお、先進率fについては、例えば、非特許文献1に記載の方法を用いるようにするとよい。
【0033】
【数1】
【0034】
[3]板厚変更開始点が#2〜#3スタンド間に存在する時点
図4は、板厚変更開始点が#2〜#3スタンド間に存在する時点での圧延状態を示す図である。#2スタンドのロール速度は、#3スタンドの入側マスフローが変化しないように設定し、次の(2)式で求められる。
【0035】
【数2】
【0036】
#1スタンドのロール速度は、#2スタンド入出側のマスフローが変化しないように設定し、次の(3)式で求められる。
【0037】
【数3】
【0038】
[4]板厚変更開始点が#3〜#4スタンド間に存在する時点
図5は、板厚変更開始点が#3〜#4スタンド間に存在する時点での圧延状態を示す図である。#3スタンドのロール速度は、#4スタンドの入側マスフローが変化しないように設定し、#2スタンドのロール速度は#3スタンド入出側のマスフローが一致するように設定し、#1スタンドのロール速度は#2スタンド入出側のマスフローが一致するように設定する必要がある。これらの設定値は、次の(4)〜(6)式で求められる。
【0039】
【数4】
【0040】
【数5】
【0041】
【数6】
【0042】
[5]板厚変更開始点が#4スタンド通過後の時点
図6は、板厚変更開始点が#4スタンド通過後の時点での圧延状態を示す図である。#4スタンドのロール速度は、スケジュールIIの設定通りとし、#1スタンド、#2スタンド、#3スタンドのロール速度は、最終スタンド出側のマスフローと一致するように設定する。なお、これらの速度は、スケジュールIIの速度である。以下の(7)〜(10)式に、それぞれの計算式を示す。
【0043】
【数7】
【0044】
【数8】
【0045】
【数9】
【0046】
【数10】
【0047】
以上をまとめると、表2に示すロール速度設定値が得られる。そして、このロール速度設定値をロール速度変更量として整理すると表3となる。このロール速度変更量を、通過スタンドに応じて設定する。
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
(B)薄引終了点のロール速度の設定方法
薄引終了点についても、上述した薄引開始点と同じ考え方で、ロール速度変更量を求めておく。表4に、薄引終了位置のロール速度変更量をまとめて示す。そして、このロール速度変更量を通過スタンドに応じて設定する。
【0051】
【表4】
【0052】
(C)ロールギャップの設定方法
ある圧延スケジュールでのロールギャップは、次の(11)式で表されるゲージメータ式で求める。この式で、薄引前、薄引部、薄引後のロールギャップを求めることが可能となり、薄引開始点・終了点での変更量を、それぞれ表5、表6の形式で保存しておく。
【0053】
【数11】
【0054】
【表5】
【0055】
【表6】
【0056】
以上の処理は、変更量計算手段で行う。なお、この変更量計算手段は、入出力装置を有する演算装置にて構成する。
【0057】
続いて、変更量計算手段により求めた変更量を、板厚変更開始点と板厚変更終了点が各スタンドに到達する時において重ね合わせて反映させる設定変更手段について説明する。
【0058】
図7は、本発明における設定変更に関する装置構成例を示す図である。図中、101は開始点トラッキング装置、102は終了点トラッキング装置、201は開始点油圧圧下指令装置、202は終了点油圧圧下指令装置、301は開始点ロール速度指令装置、302は終了点ロール速度指令装置をそれぞれ表す。
【0059】
開始点トラッキング装置101および終了点トラッキング装置102は、薄引開始点と終了点の通過位置をトラッキングしている。そして、各スタンドを通過したタイミングに応じて、開始点油圧圧下指令装置201及び終了点油圧圧下指令装置202の圧下指令装置が、前述した表5と表6に従って、各スタンドの圧下装置に対して圧下指令を出す。なお、双方の出力は重ね合わせたものが圧下指令となる。
【0060】
圧下指令と同様に薄引開始点と終了点の位置により、開始点ロール速度指令装置301及び終了点ロール速度指令装置302で示されるロール速度指令装置が前述した表3と表4に従って、各スタンドのロール速度変更量を出力し、それらを重ね合わせたものを速度変更量として電動機を駆動させる。
【0061】
また、ロールギャップとロール速度の変更レートは、変更時間(動作開始時刻から終了時刻までの時間)が一致するように指令を出す。
【0062】
以上の構成および処理により、タンデム圧延機内に走変変更点が2点入る場合でも張力変動を抑制しつつ、板厚制御を行うことが可能となり、前述の課題を解決する。
【0063】
[発明を実施するための形態2]
本発明を実施するための形態2を、以下に図、表、数式を用いて具体的に説明を行う。
【0064】
図8は、全体の処理手順を示す図である。薄引圧延材の通板通知を受けて処理が開始され、Step01のケース分類計算が行われる。ここでは、薄引長、各スタンド出側厚等をもとに、薄引開始点と終了点のタンデム圧延機内での位置関係の遷移パターンを分類する。
【0065】
次に、Step02の速度変更量計算が行われる。ここでは、Step01で求めた遷移パターンをもとに速度変更量を求める。
【0066】
そして、Step03の圧下変更量計算の処理にて、圧下変更量を求める。さらに、Step04の制御指令の処理では、2つの板厚変更点のトラッキング信号に基づき、Step02とStep03で求めた速度と圧下の変更指令を出す。最終的に、制御指令に基づき薄引圧延が行われ、板厚変更が完了して、処理が終了する。
【0067】
Step01:ケース分類計算
図9は、ケース分類の処理フローを示す図である。そして、図10は、ケース分類における入出力および説明に使用した記号ならびに各ケースを示す図である。図10に示す入力によって、図9に示すように5つのケースに分類している。
【0068】
図10に示した[説明のために使用した記号]を用いてケースを説明すると、例えばケース2の場合では、板厚変更点1が、#1スタンド、#2スタンドの順に通過(A1→A2)し、その後に板厚変更点2が#1スタンドを通過(→B1)、その後に板厚変更点1が#3スタンドを通過(→A3)、その後に板厚変更点2が#2スタンドを通過(→B2)し、その後に板厚変更点1が#4スタンドを通過(→A4)、その後に板厚変更点2が、#3スタンド、#4スタンドの順に通過(→B3→B4)することを示している。
【0069】
なお、図11〜14は、ケース分類の考え方を説明する図である。図11から順次、ケース分類を行っていく様子を示している。先ず、図11の最初に示す「同一スタンド間に板厚変更点は2つ存在しない」という前提の基に、「板厚変更点1が#2スタンド到達時には,必ず板厚変更点2が#1スタンド未到達」、そして「板厚変更点1が#3スタンド到達時には,板厚変更点2はどの位置にいるか?」と考え、さらに・・・と、板厚変更点1と板厚変更点2の位置関係を場合分けして、5つのケースに分類している。
【0070】
Step02:速度変更量計算
図9で求めた遷移経過が異なる各ケースに応じて速度変更量を算出し、表3、表4の形式で保存する。各ケースにおける遷移状態ごとでの速度変更量の算出の仕方を、以下にケース1から順に説明する。なお、先に示した表3と表4の表下段のV11〜V44およびV11_2〜V44_2は、以下に示す値に読み替えるものとする。
【0071】
1)ケース1:A1→A2→B1→A3→A4→B2→B3→B4
図15は、ケース1における板厚変更点の位置関係の遷移を示す図である。このとき、設定すべきロール速度は、各遷移状態ごと順番に次のようになる。
【0072】
[初期状態]
速度変更なし
[遷移状態1]
#1STD速度設定(#2STD入のマスフローは不変):
【0073】
【数1】
【0074】
[遷移状態2]
#2STD速度設定 (#3STD入のマスフローは不変) :
【0075】
【数2】
【0076】
#1STD速度設定 (#2STD入出のマスフローは不変) :
【0077】
【数3】
【0078】
[遷移状態3]
#2STD速度設定 (#3STD入のマスフローは不変) :
【0079】
【数2】
【0080】
#1STD速度設定 (2STD入出のマスフローは不変) :
【0081】
【数12】
【0082】
[遷移状態4]
#3STD速度設定 (4STD入のマスフローは不変) :
【0083】
【数4】
【0084】
#2STD速度設定 (3STD入出のマスフローは不変) :
【0085】
【数5】
【0086】
#1STD速度設定 (2STD入出のマスフローは不変) :
【0087】
【数13】
【0088】
[遷移状態5]
#3STD速度設定 (4STD入出のマスフローは不変) :
【0089】
【数14】
【0090】
#2STD速度設定 (3STD入出のマスフローは不変) :
【0091】
【数15】
【0092】
#1STD速度設定 (2STD入出のマスフローは不変) :
【0093】
【数16】
【0094】
[遷移状態6]
#3STD速度設定 (4STD入出のマスフローは不変) :
【0095】
【数14】
【0096】
#2STD速度設定 (3STD入出のマスフローは不変) :
【0097】
【数17】
【0098】
#1STD速度設定 (2STD入出のマスフローは不変) :
【0099】
【数18】
【0100】
[遷移状態7]
#3STD速度設定 (4STD入出のマスフローは不変) :
【0101】
【数19】
【0102】
#2STD速度設定 (3STD入出のマスフローは不変) :
【0103】
【数20】
【0104】
#1STD速度設定 (2STD入出のマスフローは不変) :
【0105】
【数21】
【0106】
[最終状態]
#3STD速度設定:
【0107】
【数22】
【0108】
#2STD速度設定:
【0109】
【数23】
【0110】
#1STD速度設定:
【0111】
【数24】
【0112】
次に、板厚変更点1と2が各スタンド通過で変更する速度変更量を求める。
[板厚変更点1が設定する速度]
V11:遷移状態1と初期状態の速度差
【0113】
【数25】
【0114】
V12、V22:遷移状態2と遷移状態1の速度差
【0115】
【数26】
【0116】
V13、V23、V33:遷移状態4と遷移状態3の速度差
【0117】
【数27】
【0118】
V14、V24、V34、V44:遷移状態5と遷移状態4の速度差
【0119】
【数28】
【0120】
[板厚変更点2が設定する速度]
V11_2:遷移状態3と遷移状態2の速度差
【0121】
【数29】
【0122】
V12_2、V22_2:遷移状態6と遷移状態5の速度差
【0123】
【数30】
【0124】
V13_2、V23_2、V33_2:遷移状態7と遷移状態6の速度差
【0125】
【数31】
【0126】
V14_2、V24_2、V34_2、V44_2:最終状態と遷移状態7の速度差
【0127】
【数32】
【0128】
2)ケース2:A1→A2→B1→A3→B2→A4→B3→B4
図16は、ケース2における板厚変更点の位置関係の遷移を示す図である。このとき、設定すべきロール速度は次のようになる。
[初期状態]
速度変更なし
[遷移状態1]
ケース1と同じ
[遷移状態2]
ケース1と同じ
[遷移状態3]
ケース1と同じ
[遷移状態4]
ケース1と同じ
[遷移状態5]
#3STD速度設定 (4STD入出のマスフローは不変) :
【0129】
【数33】
【0130】
#2STD速度設定 (3STD入出のマスフローは不変) :
【0131】
【数34】
【0132】
#1STD速度設定 (2STD入出のマスフローは不変) :
【0133】
【数35】
【0134】
[遷移状態6]
ケース1と同じ
[遷移状態7]
ケース1と同じ
[最終状態]
ケース1と同じ
次に、板厚変更点1と2が各スタンド通過で変更する速度変更量を求める。
[板厚変更点1が設定する速度]
V11:遷移状態1と初期状態の速度差
ケース1と同じ
V12、V22:遷移状態2と遷移状態1の速度差
ケース1と同じ
V13、V23、V33:遷移状態4と遷移状態3の速度差
ケース1と同じ
V14、V24、V34、V44:遷移状態6と遷移状態5の速度差
【0135】
【数36】
【0136】
[板厚変更点2が設定する速度]
V11_2:遷移状態3と遷移状態2の速度差
ケース1と同じ
V12_2、V22_2:遷移状態5と遷移状態4の速度差
【0137】
【数37】
【0138】
V13_2、V23_2、V33_2:遷移状態7と遷移状態6の速度差
ケース1と同じ
V14_2、V24_2、V34_2、V44_2:最終状態と遷移状態7の速度差
ケース1と同じ
3)ケース3:A1→A2→A3→A4→B1→B2→B3→B4
図17は、ケース3における板厚変更点の位置関係の遷移を示す図である。このとき、設定すべきロール速度は次のようになる。
[初期状態]
速度変更なし
[遷移状態1]
ケース1と同じ
[遷移状態2]
ケース1と同じ
[遷移状態3]
#3STD速度設定 (4STD入のマスフローは不変) :
【0139】
【数38】
【0140】
#2STD速度設定 (1STD入のマスフローは不変) :
【0141】
【数39】
【0142】
#1STD速度設定 (2STD入出のマスフローは不変) :
【0143】
【数40】
【0144】
[遷移状態4]
#3STD速度設定:
【0145】
【数41】
【0146】
#2STD速度設定 :
【0147】
【数42】
【0148】
#1STD速度設定:
【0149】
【数43】
【0150】
[遷移状態5]
#3STD速度設定:
【0151】
【数44】
【0152】
#2STD速度設定 :
【0153】
【数45】
【0154】
#1STD速度設定 (2STD入出のマスフローは不変) :
【0155】
【数46】
【0156】
[遷移状態6]
#3STD、#2STD、#1STD速度設定:
ケース1と同じ
[遷移状態7]
#3STD、#2STD、#1STD速度設定:
ケース1と同じ
[最終状態]
#3STD、#2STD、#1STD速度設定:
ケース1と同じ
次に、板厚変更点1と2が各スタンド通過で変更する速度変更量を求める。
[板厚変更点1が設定する速度]
V11:遷移状態1と初期状態の速度差
ケース1と同じ
V12、V22:遷移状態2と遷移状態1の速度差
ケース1と同じ
V13、V23、V33:遷移状態3と遷移状態2の速度差
【0157】
【数47】
【0158】
V14、V24、V34、V44:遷移状態4と遷移状態3の速度差
【0159】
【数48】
【0160】
[板厚変更点2が設定する速度]
V11_2:遷移状態5と遷移状態4の速度差
【0161】
【数49】
【0162】
V12_2、V22_2:遷移状態6と遷移状態5の速度差
【0163】
【数50】
【0164】
V13_2、V23_2、V33_2:遷移状態7と遷移状態6の速度差
ケース1と同じ
V14_2、V24_2、V34_2、V44_2:最終状態と遷移状態7の速度差
ケース1と同じ
4)ケース4:A1→A2→A3→B1→A4→B2→B3→B4
図18は、ケース4における板厚変更点の位置関係の遷移を示す図である。このとき、設定すべきロール速度は次のようになる。
[初期状態]
速度変更なし
[遷移状態1]
ケース1と同じ
[遷移状態2]
ケース1と同じ
[遷移状態3]
ケース3と同じ
[遷移状態4]
#3STD速度設定 (4STD入のマスフローは不変) :
【0165】
【数51】
【0166】
#2STD速度設定 (1STD入のマスフローは不変) :
【0167】
【数52】
【0168】
#1STD速度設定(2STD入出のマスフローは不変):
【0169】
【数53】
【0170】
[遷移状態5]
ケース3と同じ
[遷移状態6]
#3STD、#2STD、#1STD速度設定:
ケース1と同じ
[遷移状態7]
#3STD、#2STD、#1STD速度設定:
ケース1と同じ
[最終状態]
#3STD、#2STD、#1STD速度設定:
ケース1と同じ
次に、板厚変更点1と2が各スタンド通過で変更する速度変更量を求める。
[板厚変更点1が設定する速度]
V11:遷移状態1と初期状態の速度差
ケース1と同じ
V12、V22:遷移状態2と遷移状態1の速度差
ケース1と同じ
V13、V23、V33:遷移状態3と遷移状態2の速度差
ケース3と同じ
V14、V24、V34、V44:遷移状態5と遷移状態4の速度差
【0171】
【数54】
【0172】
[板厚変更点2が設定する速度]
V11_2:遷移状態4と遷移状態3の速度差
【0173】
【数55】
【0174】
V12_2、V22_2:遷移状態6と遷移状態5の速度差
ケース3と同じ
V13_2、V23_2、V33_2:遷移状態7と遷移状態6の速度差
ケース1と同じ
V14_2、V24_2、V34_2、V44_2:最終状態と遷移状態7の速度差
ケース1と同じ
5)ケース5:A1→A2→A3→B1→B2→A4→B3→B4
図19は、ケース5における板厚変更点の位置関係の遷移を示す図である。このとき、設定すべきロール速度は次のようになる。
[初期状態]
速度変更なし
[遷移状態1]
ケース1と同じ
[遷移状態2]
ケース1と同じ
[遷移状態3]
ケース3、4と同じ
[遷移状態4]
ケース4と同じ
[遷移状態5]
#3STD速度設定 (4STD入のマスフローは不変) :
【0175】
【数56】
【0176】
#2STD速度設定 (3STD入出のマスフローは不変) :
【0177】
【数57】
【0178】
#1STD速度設定 (2STD入出のマスフローは不変) :
【0179】
【数58】
【0180】
[遷移状態6]
#3STD、#2STD、#1STD速度設定:
ケース1と同じ
[遷移状態7]
#3STD、#2STD、#1STD速度設定:
ケース1と同じ
[最終状態]
#3STD、#2STD、#1STD速度設定:
ケース1と同じ
次に、板厚変更点1と2が各スタンド通過で変更する速度変更量を求める。
[板厚変更点1が設定する速度]
V11:遷移状態1と初期状態の速度差
ケース1と同じ
V12、V22:遷移状態2と遷移状態1の速度差
ケース1と同じ
V13、V23、V33:遷移状態3と遷移状態2の速度差
ケース3と同じ
V14、V24、V34、V44:遷移状態6と遷移状態5の速度差
ケース2と同じ
[板厚変更点2が設定する速度]
V11_2:遷移状態4と遷移状態3の速度差
ケース4と同じ
V12_2、V22_2:遷移状態5と遷移状態4の速度差
ケース2と同じ
V13_2、V23_2、V33_2:遷移状態7と遷移状態6の速度差
ケース1と同じ
V14_2、V24_2、V34_2、V44_2:最終状態と遷移状態7の速度差
ケース1と同じ
【0181】
Step03:圧下変更量計算
ここでは、板厚変更点1と板厚変更点2が各スタンド通過時に変更するロールギャップは、例えば、前述の(11)式を用いて求め、表5と表6の形式で保存する。
【0182】
Step04:制御指令
Step02とStep03で求めた速度変更量と圧下変更量を、重ねあわせたものをトラッキングに基づき指令する(図7参照)。すなわち、圧延条件が決まれば、ケース1〜5にあてはまるかを決めて、速度変更量と圧下変更量を重ねあわせたものをセットアップ値として確定し、変更点をトラッキングし、変更点が来たならば決めたセットアップ値にて圧延を実行する。
【実施例】
【0183】
[実施例1]
図20は、薄引圧延を実施する際の従来法の実施形態を示す図である。従来法では、薄引開始点と終了点が同時にタンデム圧延機内に存在しないように走間板厚変更を実施していた。一方、本発明[発明を実施するための形態1]では、同時にタンデム圧延機内に存在可能とする構成である。実施例として、従来法と本発明との比較を、シミュレーション結果の一例として示す。
【0184】
シミュレーション条件は、母板厚:2.2mm、薄引前の仕上厚:1.7mm、薄引中の仕上厚:0.9mm、薄引後の仕上厚:1.7mm、最終スタンドのロール周速度:85mpmであり、全張力の設定として、#1スタンド−#2スタンド:28.56[tonf]、#2スタンド−#3スタンド:20.1 [tonf]、#3スタンド−#4スタンド:16.74 [tonf]をそれぞれ設定している。
【0185】
図21は、従来法と本発明法の薄引長さについての比較例を示す図である。本発明を適用することで、板厚変更点が2点同時にタンデム圧延機内に入ることが可能となったため溶接点前後の薄引長さが25m程度から12m程度に低減可能となった。これにより、屑量が削減でき、製造コストを低減できることが分かる。
【0186】
そして、図22および図23からは、このときのロールギャップとロール速度が、板厚変更点の通過スタンドに応じて設定されていることが確認できる。
【0187】
[実施例2]
図24は、従来法と本発明法の薄引長さについての比較例を示す図である。本発明法[発明を実施するための形態2]を適用することで、板厚変更点が2点同時にタンデム圧延機内に入ることが可能となったため溶接点前後の薄引長さが25m程度から12m程度に低減可能となった。これにより、屑量が削減でき、製造コストを低減できることが分かる。
【0188】
そして、図25および図26からは、このときのロールギャップとロール速度が、板厚変更点の通過スタンドに応じて設定されていることが確認できる。
【符号の説明】
【0189】
101 開始点トラッキング装置
102 終了点トラッキング装置
201 開始点油圧圧下指令装置
202 終了点油圧圧下指令装置
301 開始点ロール速度指令装置
302 終了点ロール速度指令装置
M 電動機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先行材と後行材を接合してタンデム圧延機で連続圧延する際に、接合部前後の板厚を定常部の板厚と異なる仕上厚に圧延する、走間板厚変更方法であって、
定常部から板厚変更部への板厚変更点1と板厚変更部から定常部への板厚変更点2は、最上流の圧延スタンドから最下流の圧延スタンド間に同時に入っているが、同一の圧延スタンド間には同時に入らないことを特徴とする走間板厚変更方法。
【請求項2】
請求項1に記載の走間板厚変更方法において、
前記板厚変更点1および前記板厚変更点2の各圧延スタンド到達時に設定するロール速度変更量とロールギャップ変更量を圧延条件に基づいてそれぞれ求め、
前記板厚変更点1が各圧延スタンド到達時に、前記で求めた板厚変更点1用のロール速度変更量とロールギャップ変更量を設定し、
次に、前記板厚変更点2が対応する各圧延スタンド到達時に、先に設定したロール速度変更量とロールギャップ変更量に、板厚変更点2用のロール速度変更量とロールギャップ変更量をそれぞれ重ね合わせることを特徴とする走間板厚変更方法。
【請求項3】
請求項2に記載の走間板厚変更方法において、
前記板厚変更点1と前記板厚変更点2のタンデム圧延機内での位置関係の遷移パターンを分類し、分類した遷移パターンに基づきロール速度変更量とロールギャップ変更量を算出することを特徴とする走間板厚変更方法。
【請求項4】
先行材と後行材を接合してタンデム圧延機で連続圧延する際に、接合部前後の板厚を定常部の板厚と異なる仕上厚に圧延する、走間板厚変更装置であって、
定常部から板厚変更部への板厚変更点1と板厚変更部から定常部への板厚変更点2が各圧延スタンド到達時に設定するロール速度変更量とロールギャップ変更量を圧延条件に基づいてそれぞれ求める変更量計算手段と、
前記板厚変更点1が各圧延スタンド到達時に、前記変更量計算手段により求めた板厚変更点1用のロール速度変更量とロールギャップ変更量を設定し、
次に、前記板厚変更点2が対応する各圧延スタンド到達時に、先に設定したロール速度変更量とロールギャップ変更量に、板厚変更点2用のロール速度変更量とロールギャップ変更量をそれぞれ重ね合わせる設定変更手段とを具備し、
前記板厚変更点1および前記板厚変更点2は、最上流の圧延スタンドから最下流の圧延スタンド間に同時に入っているが、同一の圧延スタンド間には同時に入らないことを特徴とする走間板厚変更装置。
【請求項5】
請求項4に記載の走間板厚変更装置において、
前記変更量計算手段は、
前記板厚変更点1と前記板厚変更点2のタンデム圧延機内での位置関係の遷移パターンを分類し、分類した遷移パターンに基づきロール速度変更量とロールギャップ変更量を算出することを特徴とする走間板厚変更装置。
【請求項1】
先行材と後行材を接合してタンデム圧延機で連続圧延する際に、接合部前後の板厚を定常部の板厚と異なる仕上厚に圧延する、走間板厚変更方法であって、
定常部から板厚変更部への板厚変更点1と板厚変更部から定常部への板厚変更点2は、最上流の圧延スタンドから最下流の圧延スタンド間に同時に入っているが、同一の圧延スタンド間には同時に入らないことを特徴とする走間板厚変更方法。
【請求項2】
請求項1に記載の走間板厚変更方法において、
前記板厚変更点1および前記板厚変更点2の各圧延スタンド到達時に設定するロール速度変更量とロールギャップ変更量を圧延条件に基づいてそれぞれ求め、
前記板厚変更点1が各圧延スタンド到達時に、前記で求めた板厚変更点1用のロール速度変更量とロールギャップ変更量を設定し、
次に、前記板厚変更点2が対応する各圧延スタンド到達時に、先に設定したロール速度変更量とロールギャップ変更量に、板厚変更点2用のロール速度変更量とロールギャップ変更量をそれぞれ重ね合わせることを特徴とする走間板厚変更方法。
【請求項3】
請求項2に記載の走間板厚変更方法において、
前記板厚変更点1と前記板厚変更点2のタンデム圧延機内での位置関係の遷移パターンを分類し、分類した遷移パターンに基づきロール速度変更量とロールギャップ変更量を算出することを特徴とする走間板厚変更方法。
【請求項4】
先行材と後行材を接合してタンデム圧延機で連続圧延する際に、接合部前後の板厚を定常部の板厚と異なる仕上厚に圧延する、走間板厚変更装置であって、
定常部から板厚変更部への板厚変更点1と板厚変更部から定常部への板厚変更点2が各圧延スタンド到達時に設定するロール速度変更量とロールギャップ変更量を圧延条件に基づいてそれぞれ求める変更量計算手段と、
前記板厚変更点1が各圧延スタンド到達時に、前記変更量計算手段により求めた板厚変更点1用のロール速度変更量とロールギャップ変更量を設定し、
次に、前記板厚変更点2が対応する各圧延スタンド到達時に、先に設定したロール速度変更量とロールギャップ変更量に、板厚変更点2用のロール速度変更量とロールギャップ変更量をそれぞれ重ね合わせる設定変更手段とを具備し、
前記板厚変更点1および前記板厚変更点2は、最上流の圧延スタンドから最下流の圧延スタンド間に同時に入っているが、同一の圧延スタンド間には同時に入らないことを特徴とする走間板厚変更装置。
【請求項5】
請求項4に記載の走間板厚変更装置において、
前記変更量計算手段は、
前記板厚変更点1と前記板厚変更点2のタンデム圧延機内での位置関係の遷移パターンを分類し、分類した遷移パターンに基づきロール速度変更量とロールギャップ変更量を算出することを特徴とする走間板厚変更装置。
【図8】
【図9】
【図10】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図9】
【図10】
【図21】
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【図3】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−35061(P2013−35061A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−145082(P2012−145082)
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
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