説明

起き上がり用補助具

【課題】 病弱者等が自力で起き上がり、立ち上がり、又段差箇所での移動を可能にする起き上がり用補助具の提供を課題としている。
【解決手段】ほぼ平行な直線部3、3を形成したフレーム5の前記対向直線部3、3間に、継手6を介して横桟7を所要高さ間隔で連結した本体2と、ほぼ中央に直線部3、3の下端を支承する受部9、9をほぼ垂直に立設したベース8と、から構成されている。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、病弱等のために、自分の力だけでは起き上がり、立ち上がりができない病弱者や、下肢の不自由な身体障害者及び老齢者等(以下病弱者等という)
であって、僅かな支えが在れば起き上がり、立ち上がりができる比較的軽度の病弱者等が使用する起き上がり用補助具に関する。
【0002】
【従来の技術】
特に、介護が必要な軽度の病弱者等が、和室に敷いた布団から起き上がり、立ち上がる場合は、起き上がりを補助する機器がないため、近くにある机や柱等の家具や構築物につかまって起き上がるか、介護者が側や近くに居る場合は介護者に体を支えてもらって起き上がっている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
病弱者等は、介護者が側や近くにいる場合は体を支えてもらって起き上がりができるからよいが、常時介護者が側や近くにいるとは限らず、介護者がいない場合は自力では起き上がり、立ち上がりの動作が困難である。その結果、自力で起き上がり、立ち上がりの動作が困難な病弱者等は、寝たままの状態となり、体力が低下していく。
また、体力が低下して自力で起き上がり、立ち上がりの動作が困難な病弱者等の介護は、介護者等への負担が増大する。
本考案はこのような問題点に鑑みてなされたもので、僅かな支えで起き上がり、立ち上がりが可能な軽度の病弱者等が自力で起き上がり、立ち上がりが可能で、段差のある場所でも移動等が可能な起き上がり用補助具の提供を課題としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本考案の起き上がり用補助具は、 ほぼ平行な直線部3、3を形成したフレーム5の前記対向直線部3、3間に、継手6を介して横桟7を所要高さ間隔で連結した本体2と、ほぼ中央に直線部3、3の下端を支承する受部9、9をほぼ垂直に立設したベース8と、から構成したことを特徴としている。
【0005】
前記フレーム5は、上部4を円弧状に曲げて逆U字状に形成してもよい。
【0006】
前記本体2は、表面を樹脂で被覆した鋼管のフレーム5及び横桟7と、樹脂製の継手6とで組み立てて梯子状に形成してもよい。
【0007】
また、上記ベース8は、床面への面接触面積を大きくした形状に形成することが好ましい。
【0008】
更に、べース8の端縁は、操作の安全面から滑り止め機能を有する保護部材80で被覆するのがよい。
【0009】
また、べース8には、長手方向の片側寄りに本体2を支承する受部9、9を立設してもよい。
【0010】
【考案の実施の形態】
べース8の受部9、9に本体2の直線部3、3下端を挿入した後、ビス91止め、リベット止め等による所定の固定手段で、べース8に本体2をほぼ垂直に取付け固定する。
起き上がり用補助具1を使用する場合は、図2に示すように、本体2の横桟7を布団10の端縁と平行に位置させ、ベース8の平面部を布団10の下に本体2が当たるまで差し込む。そして、病弱者等が寝ていた布団10から起き上がる場合は、一方の腕14で上段の横桟7を掴んだ後、上体を起こしながら他方の腕15を支えにして起き上がる。この場合、他方の腕15で下段の横桟7を支えにして行ってもよい。又いずれか片方の腕で起き上がれない人の場合は、両腕14、15で横桟7、7を掴み上体を起こして起き上がる。
逆に、床に敷いた布団の上に横になる場合は、上段の横桟7から順に下段の横桟7を掴み、自分の体重を支えながら横になる。
また、玄関等段差のある場所において杖代わりとして使用する場合を図3で説明すると、高い床面11から低い床面12に降りる時は、起き上がり用補助具1を高い床面11に、本体2を進む方向と平行に置き、立った状態で上部4を掴み体重を支えながら腰を降ろす。次に、両足を低い床面12に降ろして、上部4に体重を掛けながら立ち上がる。この立ち上がる時に、起き上がり用補助具1を低い床面12に移動してもよい。又低い床面12から高い床面11へ移動する時は、起き上がり用補助具1を床面11に置いて体重を支えてもよく、低い床面12に置いて、杖代わりとして使用される。
以上の構成を採用したため、特に軽度の病弱者等は介護者に頼らずに、自分の力で寝床から起き上がり、又は床に横たわることができ、起き上がり用補助具1を使用して屋内外で起き上がり等が容易にできる。また、介護者が病弱者等に付きっきりで手助けする手間を省くことができる。
【0011】
【実施例】
本考案の一実施例を図面に基いて説明すると、図1は本考案の起き上がり用補助具の斜視図、図2、図3は起き上がり用補助具の実施の形態の一例を示す斜視図、図4は起き上がり用補助具の他の実施の形態を示す斜視図である。
起き上がり用補助具1は、畳や床13上に載置されるべース8と、このべース8にほぼ垂直に起立固定される本体2とから構成されている。本体2は、ほぼ平行な直線部3、3を備えると共にその上部4を円弧状に曲げて逆U字状に形成したフレーム5の前記対向直線部3、3間に、継手6を介して横桟7を所要高さ間隔で連結し、高さ885ミリ、幅230ミリ程度の大きさに製作されているが、これらの寸法は使用者の身長や体格等を考慮して適宜変更される。
【0012】
本体2は、薄肉鋼管の外周に合成樹脂を薄く均一な層状に接着被覆した、外径28ミリ程度の表面を樹脂で被覆した鋼管のフレーム5と、同材料の鋼管の横桟7と、合成樹脂等の継手6で組み立てて梯子状に形成し、製品の軽量化を図り、使用者等の移動や運搬を容易にしている。
また、上記横桟7は、継手6との外径差による握りの不具合を解消するために、継手6の外径に合致した軟質の樹脂パイプ、或いは薄いウレタンで滑りを防止する保護部材71を巻き付けて滑り止めと共に、握り易くしている。
更に、上記べース8は、容易に転倒しにくい大きさの金属板で、厚さ3ミリ、縦500ミリ、横600ミリ程度の大きさに製作され、該べース8のほぼ中央短長手方向に直線部3、3の下端を支承するパイプ状の受部9、9がほぼ垂直に立設されている。
【0013】
前記ベース8は、床面に対し広く面接触可能に平面視方形又は長方形、その他の形状に形成してもよい。また、このべース8の端縁は、下向きに折り曲げ、該端縁周囲に取付溝82を設けたゴム、合成樹脂製の滑り止め機能を有する保護部材80を取り付けて被覆して、布団10等への差し込みをスムーズにし、又体がベース8に接触しても怪我が回避可能に安全にされている。
【0014】
上記本体2は、フレーム5の直線部3、3をベース8の受部9、9に挿入して固定した後、ネジ91止め、リベット止め等の固定手段で固着されている。
【0015】
なお、上述した実施例においては、本体2は、その上部4を円弧状に曲げて逆U状に形成したフレーム5及びベース8は、平面視方形又は長方形に形成したものについて説明したが、図4に示す様に、上部4にL型の継手61、61にてフレーム5を連結してもよく、又上記と同じ位の大きさで、平面視円形、楕円形のベース81としてもよい。
また、本体2は、梯子状に形成せず、図示を省略したが高さ500ミリ程度の低い平面視矩形状の形状にしてもよい。
更に、べース8には、広いスペースを形成して該スペースに体を乗せても安定して行動可能に、べース8の長手方向の片側寄りに本体2を支承する受部9、9を立設してもよい。
【0016】
【考案の効果】
本考案は上述の通り構成されているので、次に記載する効果を奏する。
(1)介護者の必要な、比較的軽度の病弱者等が起き上がる時、床に横になる時等に、介護者の手助けに頼ることなく自力で容易に行動をとることができる。従って、病弱者等は自力で起き上がり、立ち上がりができるため寝たきりの状態になることを防止することができる。
(2)段差のある場所での歩行の際は、起き上がり用補助具を杖代わりに使用して自分の力で昇ったり、降りたりできる。従って、段差のある場所の移動の際には介護者が付きっきりで世話する必要がない。従って、介護者の負担も軽減できる。
(3)フレーム及び横桟には表面を樹脂で被覆した鋼管を使用し、又合成樹脂製継手を使用しているので、製品は軽量であり、余り体力のない人でも移動や運搬が容易である。また、製品の表面は樹脂で被覆されているので、使用者が起き上がり用補助具にぶつかってもけがの発生が防止できる。
(4)簡単な構造であるため安価に製作できる。また、部屋に置いても場所をとらず、邪魔にならない大きさのものである。
(5)べースの端縁は下向きに折り曲げ、該端縁周囲に滑り止め機能を有する保護部材で被覆してあるため、布団等への差し込みがスムーズで、布団等を傷めることが少ないと共に、足がベースにつまずいてもこの保護部材の弾性によって安全である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の起き上がり用補助具の一部切欠き斜視図。
【図2】本考案の起き上がり用補助具を使用して起き上がる時の説明図。
【図3】本考案の段差場所での説明図。
【図4】本考案の起き上がり補助具の他の実施例を示す斜視図。
【符号の説明】
1 起き上がり用補助具
2 本体
3 直線部
4 上部
5 フレーム
6 継手
7 横桟
8 べース
9 受部
10 布団

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 ほぼ平行な直線部を形成したフレームの前記対向直線部間に、継手を介して横桟を所要高さ間隔で連結した本体と、ほぼ中央に直線部の下端を支承する受部をほぼ垂直に立設したベースと、から構成したことを特徴とする起き上がり用補助具。
【請求項2】 フレームは、上部を円弧状に曲げて逆U字状に形成したことを特徴とする請求項1記載の起き上がり用補助具。
【請求項3】 本体は、表面を樹脂で被覆した鋼管のフレーム及び横桟と、樹脂製の継手とで組み立てて梯子状に形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の起き上がり用補助具。
【請求項4】 ベースは、床面への面接触面積を大きくした形状に形成したことを特徴とする請求項1記載の起き上がり用補助具。
【請求項5】 べースの端縁は、滑り止め機能を有する保護部材で被覆したことを特徴とする請求項1又は請求項4記載の起き上がり用補助具。
【請求項6】 べースには、長手方向の片側寄りに本体を支承する受部を立設したことを特徴とする請求項2、3又は5記載の起き上がり用補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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