説明

起上り玩具

【課題】、起上り小法師の原理を利用した簡単な構造で確実に揺動運動を取出すことができると共に、転動や歩行等の様々な動作を付加してアクション性、ゲーム性を高めることができ量産性に優れる起上り玩具を提供することを目的とする。
【解決手段】(a)略半球状に形成され鉛直面で対向配置された左右の外殻部と、鉛直面に直交し左右の外殻部の間に渡設された水平軸と、左右の外殻部の間に全周に渡って形成された分割開口部と、を有する略球形で中空状の胴体部と、(b)水平軸に揺動自在に軸支され胴体部の内部に収容された揺動重錘部と、(c)揺動重錘部に連設され端部が分割開口部から胴体部の外部に突出した揺動部と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起上り小法師の原理を利用して転動、揺動、歩行等の様々な動作を行う起上り玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から起上り小法師の原理を利用した様々な玩具が知られている。例えば、(特許文献1)には、「静止位置が決まるように重心が下方に偏って設けられ、かつ起上り小法師状に復元転動する中空玩具本体内に、該本体の転動により本体に設けた開口から出退動作する動物模型・人形等の運動体が設けられていることを特徴とする転動玩具」が開示されている。
(特許文献2)には、「転がして遊ぶ玩具において、内部に空洞を持つボールの中に、上部に磁石と下部に重りを備え磁石が重力により常に上側にあるように自由回転する中枠を設け、ボールの磁石と引き付け合う極性を持った磁石を底部に持つ小型の玩具を載せることにより、ボールの回転にともない、ボールの上で小型玩具が走行動作をすることを特徴とする玉乗り玩具。」が開示されている。
【特許文献1】特開2000−102676号
【特許文献2】特開2002−126373号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の技術では、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)では、振り子体の揺動運動を運動体の直進運動に変換するための機構が必要になり、部品点数が増加し量産性に欠けると共に、揺動運動を直進運動に変換しているため、運動体がスムーズに動作せず信頼性に欠けるという課題を有していた。また、本体は運動体を出退させるための容器としての役目しかなく、その場に止まって揺動するだけで移動することができず、運動体が開口から出退を繰返すだけなので動作が単純でゲーム性に欠けるという課題を有していた。
(2)(特許文献2)では、磁石によって小型玩具をボールに引き付けているだけなので、小型玩具とボールがバラバラになって紛失し易いという課題を有していた。また、動作が玉乗りだけに限定され単純でゲーム性に欠けるという課題を有していた。
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、起上り小法師の原理を利用した簡単な構造で確実に揺動運動を取出すことができると共に、転動や歩行等の様々な動作を付加してアクション性、ゲーム性を高めることができ量産性に優れる起上り玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明の起上り玩具は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の起上り玩具は、(a)略半球状に形成され鉛直面で対向配置された左右の外殻部と、前記鉛直面に直交し前記左右の外殻部の間に渡設された水平軸と、前記左右の外殻部の間に全周に渡って形成された分割開口部と、を有する略球形で中空状の胴体部と、(b)前記水平軸に揺動自在に軸支され前記胴体部の内部に収容された揺動重錘部と、(c)前記揺動重錘部に連設され端部が前記分割開口部から前記胴体部の外部に突出した揺動部と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)略球形で中空状に形成された胴体部の内部に揺動重錘部が揺動自在に軸支されているので、胴体部の揺動(起上り小法師の動作)を行わせることができる。
(2)揺動重錘部が水平軸に揺動自在に軸支されているので、胴体部の揺動(起上り小法師の動作)に加え、胴体部を転動させることができる。
(3)左右の外殻部の間に全周に渡って分割開口部が形成されているので、胴体部を転動させる際に、分割開口部がガイドとなり、胴体部を安定して転動させることができる。
(4)揺動重錘部に連設された揺動部の端部が分割開口部から胴体部の外部に突出しているので、胴体部の揺動時や転動時に揺動部を胴体部の上方で揺動させることができる。
【0006】
ここで、外殻部は合成樹脂のほか、金属や木等で形成することができる。左右の外殻部は水平軸を介して連結することができる。左右いずれか一方の外殻部と水平軸を一体に形成してもよいし、外殻部と独立して形成した水平軸の両端部に外殻部を連結してもよい。水平軸を胴体部の中心軸に合わせて配置した場合は、胴体部を転動させた際に重心が変化せず安定した動作を行わせることができる。水平軸を胴体部の中心軸からずらして配置した場合は、胴体部を転動させた際に重心が変化し転動速度が変化すると共に、揺動重錘部に連設された揺動部も上下動して不規則な動作を行わせることができる。水平軸は螺合、嵌合、接着等により固定することができる。揺動重錘部は半球状や碇型等の形状に形成することができる。揺動部は揺動重錘部の上面等に立設することができる。揺動部を揺動重錘部の中心に配置した場合は、胴体部の外周に沿うように揺動し、中心からずらして配置した場合は、水平軸周りに揺動しながら上下動する。揺動部は棒状や板状等に形成できるほか、胴体部の外部に突出した部分に様々な形状のオブジェを取付けることもできるし、揺動部自体の先端を様々な形状に形成することもできる。
【0007】
本発明の請求項2に記載の起上り玩具は、(a)少なくとも底面部が略球面状に形成された外殻部と、前記外殻部の内部に配設された車軸と、前記外殻部の内部下端側に固設された重錘部と、を有する中空状の胴体部と、(b)前記車軸に回動自在に軸支され前記胴体部の下端側中央部で接地する車輪部と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)少なくとも外殻部の底面部が略球面状に形成され、外殻部の内部下端側に重錘部が固設されているので、胴体部の揺動(起上り小法師の動作)を行わせることができる。
(2)胴体部の下端側中央部で接地する車輪部を有するので、胴体部の揺動(起上り小法師の動作)に加え、胴体部を回転させることなく車輪部で移動させることができる。
(3)胴体部を形成する外殻部の内部下端側に重錘部が固設されているので、車輪部で移動する際に胴体部を揺動させることができる。
【0008】
ここで、外殻部は請求項1と同様の材質で形成することができる。また、外殻部は少なくとも左右や上下などに二つ以上に分割されて形成される。車輪部の外径は任意に選択することができるので、車輪部と干渉しない位置に請求項1と同様の水平軸等を設け左右に分割された外殻部を連結してもよいし、或いは車輪部が軸支された車軸で左右に分割された外殻部を連結してもよい。胴体部が略球形に形成され車輪部の外径が胴体部の直径と同等程度の場合、車輪部を軸支する車軸で左右の外殻部を連結するだけで容易に胴体部を形成することができ、別に左右の外殻部を連結するための水平軸が不要で量産性に優れる。車輪部の外径が小さい程、胴体部の移動が不安定になり、不規則な動作によるゲーム性に優れる。また、車輪部の外径が大きい程、胴体部を確実に移動させることができ、動作の安定性に優れる。
車輪部の少なくとも外周面は摩擦係数の大きな材質で形成することが好ましい。これにより、確実に車輪部を回動させることができ、胴体部を安定させて移動させることができる。また、車輪部の外周面に凹凸部や溝等を形成した場合、接地面に対する摩擦力を向上させることができ、材質の選択の幅を広げることができる。車輪部の外周面の材質としてはニトリルゴム,ブチルゴム,フッ素ゴム,アクリルゴム等の合成ゴムやポリプロピレン,シリコン,ウレタン等の合成樹脂が好適に用いられる。
尚、胴体部の上部や側部にはキャラクタの頭部や手足或いは様々な形状のオブジェを配設することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の起上り玩具であって、前記車軸又は前記外殻部の内部に配設される水平軸に揺動自在に軸支され前記胴体部の内部に収容された揺動重錘部と、前記揺動重錘部の揺動方向と平行に前記外殻部に形成された1以上の開口部と、前記揺動重錘部に連設され端部が前記開口部から前記胴体部の外部に突出した揺動部と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項2の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)車軸又は外殻部の内部に配設される水平軸に揺動重錘部が揺動自在に軸支され、揺動重錘部に連設された揺動部の端部が揺動重錘部の揺動方向と平行に形成された開口部から胴体部の外部に突出しているので、胴体部の揺動時や転動時に揺動部を胴体部の上方で揺動させることができる。
【0010】
ここで、水平軸は請求項2で説明したように必要に応じて車軸と干渉しない位置(車軸より上方)に設けることができる。揺動重錘部及び揺動重錘部に連設される揺動部は、それぞれ揺動時に車輪部や水平軸等に干渉しないように取付け位置や形状を選択する。
揺動重錘部、揺動部、開口部はそれぞれ少なくとも1つ設けることができる。また、1つの揺動重錘部に複数の揺動部を配設することもできる。胴体部が略球形に形成され、車輪部の外径が胴体部の直径と同等に形成されている場合は、揺動部を略コ字型等に形成し、車輪部を跨ぐように配設することもできる。揺動部は請求項1と同様に様々な形状に形成したり、胴体部の外部に突出した部分に様々な形状のオブジェ等を取付けたりすることができる。
【0011】
本発明の請求項4に記載の起上り玩具は、(a)少なくとも底面部が略球面状に形成された外殻部と、前記外殻部の上面部に形成された上面開口部と、前記外殻部の内部下端側に固設された重錘部と、を有する中空状の胴体部と、(b)前記胴体部の内部に全方向に揺動自在に支持された揺動重錘部と、(c)前記揺動重錘部に連設され端部が前記上面開口部から前記胴体部の外部に突出した揺動部と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)少なくとも底面部が略球面状に形成された外殻部の内部下端側に重錘部が固設されているので、胴体部の揺動(起上り小法師の動作)を行わせることができる。
(2)胴体部の内部に揺動重錘部が全方向に揺動自在に支持され、揺動重錘部に連設された揺動部の端部が外殻部の上面部に形成された上面開口部から胴体部の外部に突出しているので、揺動部を胴体部の上方で様々な方向に揺動させて首振り動作を行わせることができる。
【0012】
ここで、重錘部は外殻部と別部材で形成したものを配設してもよいし、外殻部の下端側を肉厚に形成してもよい。揺動重錘部を全方向に揺動自在に支持するには、ゴム、ピアノ線、合成樹脂等の弾性や伸縮性を有する支持部を胴体部の内部に放射状等に配設し、揺動重錘部を吊り下げるようにすればよい。揺動重錘部や揺動部に形成した環状の挿通固定部に支持部を挿通或いは結着する等して固定することができる。また、硬質の合成樹脂や金属等で形成され放射状等に配設された揺動支持部の中央部に環状の座部を設け、揺動重錘部の上方に連設された少なくとも底面部が略球面状の回動固定部を座部により下方から支持するようにしてもよい。
【0013】
本発明の請求項5に記載の起上り玩具は、(a)少なくとも底面部が略球面状に形成された外殻部と、前記外殻部の内部に配設された水平軸と、前記水平軸と直交方向に前記外殻部に形成された1以上の開口部と、前記外殻部の内部下端側に固設された重錘部と、を有する中空状の胴体部と、(b)前記水平軸に揺動自在に軸支され前記胴体部の内部に収容された揺動重錘部と、(c)前記揺動重錘部に連設され端部が前記開口部から前記胴体部の外部に突出した揺動部と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)少なくとも底面部が略球面状に形成された外殻部の内部下端側に重錘部が固設されているので、胴体部の揺動(起上り小法師の動作)を行わせることができる。
(2)胴体部の内部に配設された水平軸に揺動重錘部が揺動自在に軸支され、揺動重錘部に連設された揺動部の端部が水平軸と直交方向に形成された開口部から胴体部の外部に突出しているので、胴体部の揺動時に揺動部を胴体部の上方で揺動させることができる。
【0014】
ここで、重錘部は請求項4と同様に形成することができる。また、開口部は水平軸と直交方向であれば任意の位置に形成することができる。揺動部は請求項1と同様に形成することができるが、1つの揺動重錘部に複数の揺動部を配設してもよいし、揺動重錘部を複数に分割してそれぞれに揺動部を配設してもよい。複数の揺動重錘部に揺動部を配設した場合、それぞれの揺動部を独立して揺動させることができる。特に複数の揺動重錘部の質量に差をつけたり、水平軸の軸支位置に段差を設けたりすれば、異なる周期で揺動部を揺動させることができアクション性に優れる。
【0015】
本発明の請求項6に記載の起上り玩具は、(a)少なくとも底面部が略球面状に形成された外殻部と、前記外殻部の内部に左右方向に渡設された水平軸と、前記外殻部の前記底面部に形成された底面開口部と、前記外殻部の内部下端側に固設された重錘部と、を有する中空状の胴体部と、(b)前記水平軸に回動自在に軸支され下端部が前記底面開口部から前記胴体部の外部に突出した揺動部と、(c)前記揺動部の下端部に配設された略球面状の足部と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)外殻部の内部下端側に重錘部が固設され、底面開口部から胴体部の外部に突出した揺動部の下端部に略球面状の足部が配設されているので、胴体部の揺動(起上り小法師の動作)を行わせることができる。
(2)揺動部が水平軸に回動自在に軸支されているので、胴体部が横方向に揺動した際に、浮いた揺動部を前方に揺動させることができ、胴体部が横方向に揺動を繰り返している間に左右の揺動部を交互に揺動させ、前方に歩行させることができる。
(3)外殻部の底面部及び足部が略球面状に形成されているので、揺動部が揺動した際に、外殻部の底面部と足部が干渉することがなく、スムーズな歩行を行うことができる。
【0016】
ここで、揺動部の長さと足部の質量を選択することにより、歩幅を設定することができる。また、足部の前方を軽くし、後方を重くした場合、浮いた足部を確実に前方に踏み出させることができ歩行動作の安定性に優れる。尚、足部の曲率は外殻部の底面部の曲率と同等以下に形成することが好ましい。これにより、足部と外殻部の干渉を確実に防止でき歩行動作の安定性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明の起上り玩具によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)揺動重錘部が水平軸に揺動自在に軸支されているので、胴体部の揺動(起上り小法師の動作)に加え、胴体部を転動させて移動させることができる娯楽性、ゲーム性に優れた起上り玩具を提供することができる。
(2)胴体部を転動させる際に、左右の外殻部の間に全周に渡って形成された分割開口部をガイドとして胴体部を確実に転動させることができる転道動作の安定性に優れた起上り玩具を提供することができる。
(3)胴体部の揺動時や転動時に分割開口部から胴体部の外部に突出した揺動部を揺動させることができ、揺動部に配設されたオブジェに玉乗りをするような動作を行わせることができるアクション性、娯楽性に優れた起上り玩具を提供することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)胴体部の下端側中央部で接地する車輪部を有するので、胴体部の揺動(起上り小法師の動作)に加え、車輪部により移動することができる娯楽性、ゲーム性に優れた起上り玩具を提供することができる。
(2)外殻部の内部下端側に重錘部が固設されているので、車輪部で移動する際に胴体部を揺動させることができるアクション性、娯楽性に優れた起上り玩具を提供することができる。
(3)車輪部のみが回転し胴体部を回転させることなく移動させることができるので、胴体部と胴体部に連設された頭部等に位置ずれを発生させることなく一緒に揺動させることができるアクション性、娯楽性に優れた起上り玩具を提供することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)胴体部の揺動時や転動時に開口部から胴体部の外部に突出した揺動部を揺動させることができ、揺動部に配設された様々な形状やキャラクタの頭部等のオブジェを胴体部の上方で揺動させることができ、玉乗りのような動作や首振りのような動作を行わせることができるアクション性、娯楽性に優れた起上り玩具を提供することができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)胴体部の揺動(起上り小法師の動作)に加え、胴体部の揺動時に上面開口部から胴体部の外部に突出した揺動部を様々な方向に揺動させることができ、揺動部に配設された頭部などのオブジェに首振り動作を行わせることができるアクション性、娯楽性に優れた起上り玩具を提供することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)胴体部の揺動(起上り小法師の動作)に加え、胴体部の揺動時に開口部から胴体部の外部に突出した揺動部を胴体部の上方で揺動させることができ、揺動部に配設された頭部や手足等の形状のオブジェを胴体部に対して揺動させることができ、首や手足を振るような動作を行わせることができるアクション性、娯楽性に優れた起上り玩具を提供することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)揺動部が水平軸に回動自在に軸支されているので、胴体部の揺動(起上り小法師の動作)に加え、胴体部が横方向に揺動した際に、浮いた揺動部を前方に揺動させることができ、胴体部が横方向に揺動を繰り返している間に左右の揺動部を交互に揺動させ、前方に歩行させることができるアクション性、娯楽性に優れた起上り玩具を提供することができる。
(2)外殻部の底面部及び足部を略球面状に形成することにより、外殻部の底面部と足部を干渉させることなく揺動部を揺動させることができ、スムーズな歩行動作を行うことができるアクション性、娯楽性に優れた起上り玩具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における起上り玩具について、以下図面を参照しながら説明する。
図1(a)は本発明の実施の形態1における起上り玩具を示す斜視図であり、図1(b)は本発明の実施の形態1における起上り玩具を示す断面図である。
図1中、1は本発明の実施の形態1における起上り玩具、2は略球形で中空状に形成された起上り玩具1の胴体部、3,4はそれぞれ略半球状に形成され鉛直面で対向配置された胴体部2の左右の外殻部、5aは鉛直面に直交し左の外殻部3の中心軸上に一体に形成された水平軸、5bは右の外殻部4の中心部に一体に形成され水平軸5aの端部が嵌合された軸着部、6は左右の外殻部3,4の間に全周に渡って形成された分割開口部、7は上端部に形成された軸支孔8で水平軸5aに揺動自在に軸支され胴体部2の内部に収容された揺動重錘部、9は揺動重錘部7に連設され端部が分割開口部6から胴体部2の外部に突出した揺動部、10は揺動部9の上端部に配設されたオブジェである。
【0024】
左右の外殻部3,4は合成樹脂材や金属材、木材等で形成した。また、水平軸5aや軸着部5bを外殻部3,4と独立して形成し、水平軸5aや軸着部5bの両端部に外殻部3,4を連結してもよい。尚、水平軸5aと軸着部5bの軸着は嵌合以外に螺合や接着等により固定することができる。
また、水平軸5aは胴体部2の中心軸に合わせて配置した。これにより、胴体部2を転動させた際に重心が変化せず安定した動作を行わせることができる。尚、水平軸5aは胴体部2の中心軸からずらして配置した場合は、胴体部2を転動させた際に重心が変化し転動速度が変化すると共に、揺動重錘部7に連設された揺動部9も上下動して不規則な動作を行わせることができる。
揺動重錘部7は半球状や碇型等の形状に形成し、揺動部9は揺動重錘部7の中心位置に立設させた。これにより、揺動部9に配設したオブジェ10が胴体部2の外周に沿うように揺動する。尚、揺動部9を揺動重錘部7の中心からずらして配置した場合は、水平軸5aの周りに揺動させながら上下動させることができる。
揺動部9は棒状や板状に形成した。尚、本実施の形態では揺動部9の先端にオブジェ10を取付けたが、代わりに揺動部9自体の先端を様々な形状に形成してもよい。
【0025】
以上のように構成された実施の形態1における起上り玩具の動作について説明する。
揺動重錘部7が水平軸5aに揺動自在に軸支され、重心が胴体部2の下端側にあるので、胴体部2に水平方向の力を加えると、オブジェ10が上端で静止するまで胴体部2が揺動を繰り返す。
また、大きな力を加えて胴体部2を分割開口部6に沿うように(水平軸5aと直交する方向に)転がすと、胴体部2が移動(転動)しながら揺動重錘部7が水平軸5aを中心に揺動する。揺動重錘部7に連設された揺動部9が揺動重錘部7に連動して揺動するので、揺動部9に配設されたオブジェ10が胴体部2に対して玉乗りをするような動作を行う。
【0026】
実施の形態1の起上り玩具は以上のように構成されているので以下の作用を有する。
(1)略球形で中空状に形成された胴体部2の内部に揺動重錘部7が揺動自在に軸支されているので、胴体部2の揺動(起上り小法師の動作)を行わせることができる。
(2)揺動重錘部7が水平軸5aに揺動自在に軸支されているので、胴体部2の揺動(起上り小法師の動作)に加え、胴体部2を転動させることができる。
(3)左右の外殻部3,4の間に全周に渡って分割開口部6が形成されているので、胴体部2を転動させる際に、分割開口部6がガイドとなり、胴体部2を安定して転動させることができる。
(4)揺動重錘部7に連設された揺動部9の端部が分割開口部6から胴体部2の外部に突出しているので、胴体部2の揺動時や転動時に揺動部9を胴体部2の上方で揺動させることができる。
【0027】
(実施の形態2)
図2(a)は本発明の実施の形態2における起上り玩具を示す斜視図であり、図2(b)は本発明の実施の形態2における起上り玩具を示す断面図である。
図2中、11は本発明の実施の形態2における起上り玩具、12は略球形で中空状に形成された起上り玩具11の胴体部、12aは胴体部12に連設された起上り玩具11の頭部、13,14は左右に分割されて略半球状に形成された胴体部12の左右の外殻部、13a,14aはそれぞれ外殻部13,14の内部下端側に固設又はリブ(図示せず)で固定された重錘部、15aは左の外殻部13の中心軸上に一体に形成された車軸、15bは右の外殻部14の中心部に一体に形成され車軸15aの端部が嵌合された軸着部、16は左右の外殻部13,14の間に全周に渡って形成された分割開口部、17は車軸15aに回動自在に軸支され胴体部12の下端側中央部で接地する車輪部である。
【0028】
本実施の形態では胴体部12を左右の外殻部13,14に分割して形成したが、胴体部12の中心軸位置で上下に分割して形成することもできる。その場合、上下の外殻部の両端内側にそれぞれ半円筒状の軸着部を形成し、別部材で形成された車軸を上下から挟み込むようにして固定すればよい。また、胴体部12は車輪部17によって移動するので、少なくとも外殻部13,14の底面部が略球面状であればよく、必ずしも胴体部12全体を略球形に形成する必要はない。尚、頭部12aは胴体部12と一体に形成してもよいし、別々に形成したものを取付けてもよい。また、胴体部12には頭部12a以外に上部や側部に手や足等の様々な形状のオブジェを配設することができる。
車輪部17の外径は胴体部12の直径と同等に形成した。これにより、車軸15aを利用して左右の外殻部13,14を連結することができ、胴体部12を安定して移動(転動)させることができる。尚、胴体部12の直径よりも外径の小さな車輪部17を使用する場合は、車輪部17が接地するように車軸15aを胴体部12の下端側に設ければよい。このとき、必要に応じて車輪部17と干渉しない位置(車輪部17の上方)に左右の外殻部13,14を補助的に連結して固定するための水平軸及び軸着部を設けてもよい。
車輪部17の外径が大きい程、胴体部12の転動動作の安定性に優れる。また、車輪部17の外径を小さくした場合は、胴体部12の移動が不安定になるが、不規則な動作でゲーム性を高めることができる。
車輪部17の少なくとも外周面はニトリルゴム,ブチルゴム,フッ素ゴム,アクリルゴム等の合成ゴムやポリプロピレン,シリコン,ウレタン等の合成樹脂で形成した。車輪部17の外周面の摩擦係数が大きいものの方が確実に車輪部17を回動させることができ、胴体部12を安定させて移動させることができるので好ましい。また、車輪部17の外周面に凹凸部や溝等を形成した場合、接地面に対する摩擦力を向上させることができ、材質の選択の幅を広げることができる。
【0029】
以上のように構成された実施の形態2における起上り玩具の動作について説明する。
重錘部13a,14aが外殻部13,14の内部下端側に固設され、重心が胴体部12の下端側にあるので、胴体部12に水平方向の力を加えると、頭部12aが上端で静止するまで胴体部12が揺動を繰り返す。
また、車輪部17により胴体部12を移動(転動)させると、車軸15aを中心に胴体部12が揺動する。移動時に車輪部17のみが回転し胴体部12が回転しないので、胴体部12と頭部12aが一体で揺動し、キャラクタが体全体を揺らすような動作を行う。
【0030】
以上のように実施の形態2における起上り玩具によれば、以下の作用を有する。
(1)少なくとも外殻部13,14の底面部を略球面状に形成し、外殻部13,14の内部下端側に重錘部13a,14aを固設することにより、胴体部12の揺動(起上り小法師の動作)を行わせることができる。
(2)胴体部12の下端側中央部で接地する車輪部17を有するので、胴体部12の揺動(起上り小法師の動作)に加え、胴体部12を回転させることなく車輪部17で移動させることができる。
(3)胴体部12を形成する外殻部13,14の内部下端側に重錘部13a,14aが固設等されているので、車輪部17で移動する際に胴体部12を揺動させることができる。
【0031】
(実施の形態3)
図3(a)は本発明の実施の形態3における起上り玩具を示す斜視図であり、図3(b)は本発明の実施の形態3における起上り玩具を示す断面図である。
図3中、実施の形態3における起上り玩具11aが実施の形態2と異なるのは、胴体部12bが略球形に形成され頭部12aを有していない点と、胴体部12bの内部に配設された車軸15aに揺動重錘部18a,18bが揺動自在に軸支され揺動重錘部18a,18bの揺動方向と平行に外殻部13,14の上面部にそれぞれスリット状の開口部13b,14bが形成されている点と、揺動重錘部18a,18bに連設された揺動部19a,19bの端部が開口13b,14bから胴体部12bの外部に突出している点と、揺動部19a,19bを連結し車輪部17を跨ぐように配設されたオブジェ20を有する点である。
【0032】
尚、本実施の形態では揺動部19a,19bを連結するように一つのオブジェ20を配設したが、揺動部19a,19bはいずれか一方のみでもよいし、揺動部19a,19bにそれぞれ別々のオブジェを配設してもよい。揺動部19a,19bにそれぞれ別々のオブジェを配設する場合、揺動部19a,19bに連設される揺動重錘部18a,18bは同一の質量でも異なる質量でもよい。揺動重錘部18a,18bを異なる質量にすることで、揺動部19a,19bにそれぞれ配設されたオブジェの揺動の周期に差が生じ、娯楽性、アクション性を高めることができる。
【0033】
以上のように構成された実施の形態3における起上り玩具の動作が実施の形態2と異なるのは、車輪部17により胴体部12bを移動(転動)させると、車軸15aを中心に胴体部12bが揺動すると共に、揺動重錘部18a,18bが車軸15aを中心に揺動する。揺動重錘部18a,18bに連動して揺動部19a,19bが揺動するので、揺動部19a,19bに配設されたオブジェ20が玉乗りのような動作や首振りのような動作を行う。
【0034】
以上のように構成された実施の形態3における起上り玩具によれば、実施の形態2の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)車軸15aに揺動重錘部18a,18bが揺動自在に軸支され、揺動重錘部18a,18bに連設された揺動部19a,19bの端部が揺動重錘部18a,18bの揺動方向と平行に形成された開口部13b,14bから胴体部12bの外部に突出しているので、胴体部12bの揺動時や転動時に揺動部19a,19bを胴体部12bの上方で揺動させることができる。
【0035】
(実施の形態4)
以下、本発明の実施の形態4における起上り玩具について、以下図面を参照しながら説明する。
図4(a)は本発明の実施の形態4における起上り玩具を示す斜視図であり、図4(b)は本発明の実施の形態4における起上り玩具を示す断面図である。
図4中、21は本発明の実施の形態4における起上り玩具、22は起上り玩具21の中空状の胴体部、23は略半球状に形成された二つの分割外殻部23a,23bを接着等により接合して略球形に形成した胴体部22の外殻部、24は外殻部23の内部下端側に固設された重錘部、25は外殻部23の上面部に形成された略円形の上面開口部、26は胴体部22の内部に配設され揺動重錘部27を全方向に揺動自在に支持する揺動支持部、26aは揺動支持部26の中央部に形成され回動固定部28の底面部を支持する環状の座部、26bは座部26aを中心に放射状に配設され端部が外殻部23の内壁に固定された揺動支持部26の固定部、27は略半球状や碇型等に形成された揺動重錘部、28は略球形に形成され座部26aを挟んで揺動重錘部27と連結された回動固定部、29は回動固定部28を介して揺動重錘部27に連設され端部が上面開口部25から胴体部22の外部に突出した揺動部、30は揺動部29の上端部に配設されたオブジェである。
【0036】
本実施の形態では胴体部22を略球形に形成したが、少なくとも外殻部23の底面部が略球面状であればよく、必ずしも胴体部22全体を略球形に形成する必要はない。尚、重錘部24は外殻部23と別部材で形成したものを配設してもよいし、外殻部23の下端側を肉厚にして外殻部23と一体に形成してもよい。
揺動重錘部27と回動固定部28は分割して形成しておき、組立時に座部26aを挟んで連結する。本実施の形態では回動固定部28を略球形に形成したが、少なくとも座部26aと接する底面部が略球面状であればよい。また、回動固定部28の代りに環状の挿通固定部等を形成し、胴体部22の内部に放射状等に配設したゴムやピアノ線等の弾性や伸縮性を有する支持部を挿通或いは結着する等して直接、揺動重錘部27を吊り下げるようにしてもよい。
【0037】
以上のように構成された実施の形態4における起上り玩具の動作について説明する。
外殻部23の内部下端側に重錘部24が固設され、重心が胴体部22の下端側にあるので、胴体部22に水平方向の力を加えると、胴体部22が揺動を繰り返す。
このとき、揺動重錘部27が揺動支持部26の座部26aと回動固定部28により全方向に揺動自在に支持されているので、揺動重錘部27が回動固定部28を中心に様々な方向に揺動する。揺動重錘部27に連設された揺動部29が揺動重錘部27に連動して揺動するので、揺動部29に配設されたオブジェ30が胴体部22に対して首振り動作を行う。
【0038】
実施の形態4の起上り玩具は以上のように構成されているので以下の作用を有する。
(1)略球面状に形成された外殻部23の内部下端側に重錘部24が固設されているので、胴体部22の揺動(起上り小法師の動作)を行わせることができる。
(2)揺動支持部26の座部26aと回動固定部28により、胴体部22の内部に揺動重錘部27が全方向に揺動自在に支持され、揺動重錘部27に連設された揺動部29の端部が外殻部の上面部に形成された上面開口部25から胴体部22の外部に突出しているので、揺動部29を胴体部22の上方で様々な方向に揺動させて首振り動作を行わせることができる。
【0039】
(実施の形態5)
以下、本発明の実施の形態5における起上り玩具について、以下図面を参照しながら説明する。
図5(a)は本発明の実施の形態5における起上り玩具を示す斜視図であり、図5(b)は本発明の実施の形態5における起上り玩具を示す断面図である。
図5中、31は本発明の実施の形態5における起上り玩具、32は起上り玩具31の中空状の胴体部、33は略半球状に形成された二つの分割外殻部33a,33bを接着等により接合して略球形に形成した胴体部32の外殻部、34は外殻部33の内部下端側に固設された重錘部、35aは分割外殻部33aの中心軸上に一体に形成された水平軸、35bは分割外殻部33bの中心部に一体に形成され水平軸35aの端部が嵌合された軸着部、36は水平軸35と直交方向に外殻部33の上面部に形成されたスリット状の開口部、37は上端部に形成された軸支孔38で水平軸35に揺動自在に軸支され胴体部32の内部に収容された揺動重錘部、39は揺動重錘部37に連設され端部が開口部36から胴体部32の外部に突出した揺動部、40aは揺動部39の上端部に配設された頭部のオブジェ、40bは揺動部39の両側部に配設された手のオブジェである。
【0040】
本実施の形態では胴体部32を略球形に形成したが、少なくとも外殻部33の底面部が略球面状であればよく、必ずしも胴体部32全体を略球形に形成する必要はない。尚、重錘部34は外殻部33と別部材で形成したものを配設してもよいし、外殻部33の下端側を肉厚にして外殻部33と一体に形成してもよい。また、水平軸35aや軸着部35bを分割外殻部33a,33bと独立して形成し、水平軸35aや軸着部35bの両端部に分割外殻部33a,33bを連結してもよい。尚、水平軸35aと軸着部35bの軸着は嵌合以外に螺合や接着等により固定することができる。
【0041】
以上のように構成された実施の形態5における起上り玩具の動作について説明する。
外殻部33の内部下端側に重錘部34が固設され、重心が胴体部32の下端側にあるので、胴体部32に水平方向の力を加えると、胴体部32が揺動を繰り返す。
このとき、揺動重錘部37が水平軸35aを中心に揺動し、揺動重錘部7に連設された揺動部39が揺動重錘部37に連動して揺動するので、揺動部39に配設されたオブジェ40a,40bが頭部と手を振るような動作を行う。
【0042】
実施の形態5の起上り玩具は以上のように構成されているので以下の作用を有する。
(1)略球面状に形成された外殻部33の内部下端側に重錘部34が固設されているので、胴体部32の揺動(起上り小法師の動作)を行わせることができる。
(2)胴体部32の内部に配設された水平軸35aに揺動重錘部37が揺動自在に軸支され、揺動重錘部37に連設された揺動部39の端部が水平軸35aと直交方向に形成された開口部36から胴体部32の外部に突出しているので、胴体部32の揺動時に揺動部39を胴体部32の上方で揺動させることができる。
【0043】
(実施の形態6)
図6(a)は本発明の実施の形態6における起上り玩具を示す斜視図であり、図6(b)は本発明の実施の形態6における起上り玩具を示す正面断面図であり、図6(c)は本発明の実施の形態6における起上り玩具を示す側面断面図である。
図6中、41は本発明の実施の形態6における起上り玩具、42は起上り玩具41の中空状の胴体部、42aは胴体部42に連設された起上り玩具41の頭部、43は二つの分割外殻部43a,43bを接着等により接合して略球形に形成した胴体部42の外殻部、44は外殻部43の内部下端側に環状に固設又はリブで固定された重錘部、45aは分割外殻部43aの中心軸上に一体に形成された水平軸、45bは分割外殻部43bの中心部に一体に形成され水平軸45aの端部が嵌合された軸着部、46は外殻部43の底面部に略矩形状に形成された底面開口部、47a,47bはそれぞれ上端部に形成された軸支孔48a,48bで水平軸45aに回動自在に軸支され下端部が底面開口部46から胴体部42の外部に突出した左右一組の揺動部、49a,49bは左右の揺動部47a,47bの下端部に配設された略球面状の足部である。
【0044】
本実施の形態では胴体部42を略球形に形成したが、少なくとも外殻部43の底面部が略球面状であればよく、必ずしも胴体部42全体を略球形に形成する必要はない。尚、重錘部44は外殻部43と別部材で形成したものを配設してもよいし、外殻部43の下端側を肉厚にして外殻部43と一体に形成してもよい。また、頭部42aは胴体部42と一体に形成してもよいし、別々に形成したものを取付けてもよい。
足部49a,49bの曲率は外殻部43の底面部の曲率と同等以下の曲率に形成した。これにより、足部49a,49bと外殻部43の干渉を確実に防止して歩行動作の安定性を向上させている。また、足部49a,49bは前方が軽く、後方が重くなるように肉厚状に形成した。これにより、胴体部42が左右に揺動した際に、宙に浮いた足部49a又は49bを確実に前方に揺動させることができ歩行動作の安定性に優れる。
尚、歩幅については揺動部47a,47bの長さや足部49a,49bの質量などを選択することにより、適宜、設定することができる。
【0045】
以上のように構成された実施の形態6における起上り玩具の動作について説明する。
図7(a)は左足部接地状態を示す正面断面図であり、図7(b)は左足部接地状態を示す側面断面図であり、図8(a)は両足部接地状態を示す正面断面図であり、図8(b)は両足部接地状態を示す側面断面図であり、図9(a)は右足部接地状態を示す正面断面図であり、図9(b)は右足部接地状態を示す側面断面図であり、図10(a)は両足部接地状態を示す正面断面図であり、図10(b)は両足部接地状態を示す側面断面図である。
尚、図7(b)、図8(b)、図9(b)、図10(b)においては、右の足部49aを実線で示し、左の足部49bを二点鎖線で示した。
【0046】
図7乃至図10において、重錘部44が外殻部43の内部下端側に固設され、重心が胴体部42の下端側にあるので、胴体部42に水平方向の力を加えると、通常は頭部42aが上端で静止するまで胴体部42が揺動を繰り返す(図7(a)→図8(a)→図9(a)→図10(a)→図7(a))。
このとき、図7(a)に示すように胴体部42が左方向に揺動した際に、左の足部49aのみが接地し、右の足部49bが宙に浮くと、図7(b)に示すように右の足部49bが胴体部42の前方に踏み出す。
次に、図8(a)に示すように胴体部42が中立位置に戻ると、右の足部49bも接地し左右の足部49a,49bが接地する。このとき、前方に揺動した右の足部49bに向かって重心が移動するので、側面から見ると、図8(b)に示すように右の足部49bが中立位置にあり、左の足部49aが後方位置にある。
次に、図9(a)に示すように胴体部42が右方向に揺動した際に、右の足部49bのみが接地し、左の足部49aが宙に浮くと、図9(b)に示すように左の足部49aが胴体部42の前方に踏み出す。
次に、図10(a)に示すように胴体部42が中立位置に戻ると、左の足部49aも接地し左右の足部49a,49bが接地する。このとき、前方に揺動した左の足部49aに向かって重心が移動するので、側面から見ると、図10(b)に示すように左の足部49aが中立位置にあり、右の足部49bが後方位置にある。
以上のような図7乃至図10の動作を繰返すことにより、起上り玩具41は左右に揺動しながら前方への歩行動作を行うことができる。
尚、この歩行動作には偶発的な要素が含まれており、起上り玩具41の揺動角度や揺動方向などにより歩行の歩数や歩幅などが変化するので、ゲーム性や娯楽性を高めることができる。
【0047】
以上のように実施の形態6における起上り玩具によれば、以下の作用を有する。
(1)外殻部43の内部下端側に重錘部44が固設され、底面開口部46から胴体部42の外部に突出した揺動部47a,47bの下端部に略球面状の足部49a,49bが配設されているので、胴体部42の揺動(起上り小法師の動作)を行わせることができる。
(2)揺動部47a,47bが水平軸45aに回動自在に軸支されているので、胴体部42が横方向に揺動した際に、宙に浮いた揺動部47a,47bを前方に踏み出させることができ、胴体部42が横方向に揺動を繰り返している間に左右の揺動部47a,47bを交互に前方に踏み出させて、歩行させることができる。
(3)外殻部43の底面部及び足部49a,49bが略球面状に形成されているので、揺動部47a,47bが揺動した際に、外殻部43の底面部と足部49a,49bが干渉することがなく、スムーズな歩行を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、起上り小法師の原理を利用した簡単な構造で確実に揺動運動を取出すことができると共に、転動や歩行等の様々な動作を付加してアクション性、ゲーム性を高めることができ低コストで量産性に優れる起上り玩具を提供することができ、玩具として販売する以外にゲームセンターの景品などとして好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】(a)本発明の実施の形態1における起上り玩具を示す斜視図(b)本発明の実施の形態1における起上り玩具を示す断面図
【図2】(a)本発明の実施の形態2における起上り玩具を示す斜視図(b)本発明の実施の形態2における起上り玩具を示す断面図
【図3】(a)本発明の実施の形態3における起上り玩具を示す斜視図(b)本発明の実施の形態3における起上り玩具を示す断面図
【図4】(a)本発明の実施の形態4における起上り玩具を示す斜視図(b)本発明の実施の形態4における起上り玩具を示す断面図
【図5】(a)本発明の実施の形態5における起上り玩具を示す斜視図(b)本発明の実施の形態5における起上り玩具を示す断面図
【図6】(a)本発明の実施の形態6における起上り玩具を示す斜視図(b)本発明の実施の形態6における起上り玩具を示す正面断面図、(c)本発明の実施の形態6における起上り玩具を示す側面断面図
【図7】(a)左足部接地状態を示す正面断面図(b)左足部接地状態を示す側面断面図
【図8】(a)両足部接地状態を示す正面断面図(b)両足部接地状態を示す側面断面図
【図9】(a)右足部接地状態を示す正面断面図(b)右足部接地状態を示す側面断面図
【図10】(a)両足部接地状態を示す正面断面図(b)両足部接地状態を示す側面断面図
【符号の説明】
【0050】
1,11,11a,21,31,41 起上り玩具
2,12,12b,22,32,42 胴体部
3,4,13,14,23,33,43 外殻部
5a,35a,45a 水平軸
5b,15b,35b,45b 軸着部
6,16 分割開口部
7 揺動重錘部
8,38,48a,48b 軸支孔
9,19a,19b,29,39,47a,47b 揺動部
10,20,30,40a,40b オブジェ
12a,42a 頭部
13a,14a,24,34,44 重錘部
13b,14b,36 開口部
15a 車軸
17 車輪部
18a,18b,27,37 揺動重錘部
23a,23b,33a,33b,43a,43b 分割外殻部
25 上面開口部
26 揺動支持部
26a 座部
26b 固定部
28 回動固定部
46 底面開口部
49a,49b 足部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)略半球状に形成され鉛直面で対向配置された左右の外殻部と、前記鉛直面に直交し前記左右の外殻部の間に渡設された水平軸と、前記左右の外殻部の間に全周に渡って形成された分割開口部と、を有する略球形で中空状の胴体部と、(b)前記水平軸に揺動自在に軸支され前記胴体部の内部に収容された揺動重錘部と、(c)前記揺動重錘部に連設され端部が前記分割開口部から前記胴体部の外部に突出した揺動部と、を備えたことを特徴とする起上り玩具。
【請求項2】
(a)少なくとも底面部が略球面状に形成された外殻部と、前記外殻部の内部に配設された車軸と、前記外殻部の内部下端側に固設された重錘部と、を有する中空状の胴体部と、(b)前記車軸に回動自在に軸支され前記胴体部の下端側中央部で接地する車輪部と、を備えたことを特徴とする起上り玩具。
【請求項3】
前記車軸又は前記外殻部の内部に配設される水平軸に揺動自在に軸支され前記胴体部の内部に収容された揺動重錘部と、前記揺動重錘部の揺動方向と平行に前記外殻部に形成された1以上の開口部と、前記揺動重錘部に連設され端部が前記開口部から前記胴体部の外部に突出した揺動部と、を備えたことを特徴とする請求項2に記載の起上り玩具。
【請求項4】
(a)少なくとも底面部が略球面状に形成された外殻部と、前記外殻部の上面部に形成された上面開口部と、前記外殻部の内部下端側に固設された重錘部と、を有する中空状の胴体部と、(b)前記胴体部の内部に全方向に揺動自在に支持された揺動重錘部と、(c)前記揺動重錘部に連設され端部が前記上面開口部から前記胴体部の外部に突出した揺動部と、を備えたことを特徴とする起上り玩具。
【請求項5】
(a)少なくとも底面部が略球面状に形成された外殻部と、前記外殻部の内部に配設された水平軸と、前記水平軸と直交方向に前記外殻部に形成された1以上の開口部と、前記外殻部の内部下端側に固設された重錘部と、を有する中空状の胴体部と、(b)前記水平軸に揺動自在に軸支され前記胴体部の内部に収容された揺動重錘部と、(c)前記揺動重錘部に連設され端部が前記開口部から前記胴体部の外部に突出した揺動部と、を備えたことを特徴とする起上り玩具。
【請求項6】
(a)少なくとも底面部が略球面状に形成された外殻部と、前記外殻部の内部に左右方向に渡設された水平軸と、前記外殻部の前記底面部に形成された底面開口部と、前記外殻部の内部下端側に固設された重錘部と、を有する中空状の胴体部と、(b)前記水平軸に回動自在に軸支され下端部が前記底面開口部から前記胴体部の外部に突出した揺動部と、(c)前記揺動部の下端部に配設された略球面状の足部と、を備えたことを特徴とする起上り玩具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−288840(P2006−288840A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−115176(P2005−115176)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(500079687)株式会社ブルーム (3)
【Fターム(参考)】