説明

超ロングアタッチメントの姿勢保持架台

【課題】超ロングアタッチメントを保持する姿勢保持架台において、超ロングアタッチメントに設けられたシリンダへの負担を軽減しつつ据え付け時間を短縮する。
【解決手段】油圧ショベルのメインブームに取り付けられるブーム7と、中継ぎブーム47と、アーム57と、中継ぎブーム47とブーム7とを連結するシリンダ15,19とを備えた超ロングアタッチメント3を、アーム57の先端部57aがブーム7の基端側7aに向くように折り畳まれた状態で保持する超ロングアタッチメント3の姿勢保持架台2である。ブーム長手方向に延び、超ロングアタッチメント3を左右両側及び下側から囲むように設けられた架台本体23と、ブーム7の基端側を剛体支持する基端側受け部材39と、ブーム7の先端側を基端側受け部材39よりも高い位置で剛体支持する先端側受け部材39,41と、アーム57を弾性支持する緩衝装置43とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブームと、中継ぎブームと、当該中継ぎブームを介して上記ブームに取り付けられるアームとを備えた超ロングアタッチメントを、アームの先端部がブームの基端側に向くように折り畳まれた状態で保持する超ロングアタッチメントの姿勢保持架台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、高層ビルの解体等の高所解体作業を行うために、基端部が建設機械のメインブームの先端部に取り付けられるとともに先端部に油圧破砕機等が取り付けられた超ロングアタッチメントが知られている。
【0003】
この超ロングアタッチメントは、通常、インサートブームやフロントブームといった部材を複数継ぎ足してなるブームと、当該ブームの先端部に取り付けられる中継ぎブームと、当該中継ぎブームを介して上記ブームに回動可能に取り付けられるアームと、ブームと中継ぎブームとに回動可能に連結されているジブシリンダと、中継ぎブームとアームとに回動可能に連結されているアームシリンダとを備えている。
【0004】
そして、超ロングアタッチメントは、ブームがブームシリンダによって、中継ぎブームがジブシリンダによって、またアームがアームシリンダによってそれぞれ駆動されることで、先端に取り付けられた油圧破砕機等が高所に届くように略真っ直ぐ延びた姿勢や、先端部が建設機械側に向くようにアームを折り畳んだ略コ字状の姿勢をとるようになっている。
【0005】
ところで、以前は、超ロングアタッチメントを作業現場等に搬送する際には、当該超ロングアタッチメントを分解し、ブームや中継ぎブームやアーム等を個別にトラックに積載する方法が採用されていた。しかしながら、この方法では、これらブーム、中継ぎブーム、アーム等を作業現場で組立る必要があり、当該組立作業に多大な時間と労力を要するという問題があった。
【0006】
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1には、折り畳まれた解体作業用サブアセンブリ(超ロングアタッチメント)のブームの基端側が載置される横梁と、先端部がブームの基端側に向くように折り畳まれたアームが載置される受板とを有する載置台を備え、ブームをワイヤーで載置台に固定するようにした姿勢保持装置が提案されている。この姿勢保持装置によれば、解体作業用サブアセンブリを分解することなく作業現場に搬送するので、作業現場において解体作業用サブアセンブリを組み立てる作業を省略することができる。
【0007】
また、特許文献1のものとは異なり、図9に示すように、インサートブーム127とフロントブーム137とからなるブーム107を安定支持するために、当該ブーム107の基端側を横梁139で、また当該ブーム107の先端側を横梁139よりも高い位置にある横梁141でそれぞれ剛体支持(固定点で支持)するとともに、先端部がブームの基端側に向くように折り曲げられたアーム157を架台本体123に固定された受け台143で剛体支持するようにした姿勢保持装置102も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−193543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記図9に示す超ロングアタッチメント103を姿勢保持装置102に据え付ける際には、アーム157を受け台143に当接させるとともにブーム107を横梁139,141に載置した後、当該ブーム107の基端部と建設機械(図示せず)に取り付けられたメインブーム117(図10参照)の先端部とを切り離すことになる。
【0010】
そして、ブーム107の基端部とメインブーム117の先端部とを切り離すには、これらを連結している上下のブームピン118a,118bを、ブーム107の基端部に形成された上下のピン挿入孔127a,127b及びメインブーム117先端側に形成された上下のピン挿入孔117a,117bから抜き取る必要がある。
【0011】
ここで、上下のブームピン118a,118bの軸心が、共にブーム107及びメインブーム117の上下のピン挿入孔127a,127b,117a,117bの中心と完全に一致していることは希であり、図10(a)に示すように、上下のブームピン118a,118bが共にピン挿入孔127a,117a,…の孔壁とせった状態になっている。このため、上下のブームピン118a,118bを、上下のピン挿入孔127a,117a,…から抜き取る際には、図10(b)に示すように、先ずメインブーム117を下方(白抜き矢印の方向)に若干下げることで、上側ブームピン118aと上側ピン挿入孔127a,117aの孔壁とを意図的にせった状態にしたまま、換言すると、ブームピン118a,118bの軸心とピン挿入孔127a,117a,…の中心とのずれを、あたかも上側ブームピン118aと上側ピン挿入孔127a,117aとに吸収させて、下側ブームピン118bと下側ピン挿入孔127b,117bの孔壁とのクリアランスを確保し、この状態で下側ブームピン118bを下側ピン挿入孔127b,117bから抜き取る。次いで、図10(c)に示すように、メインブーム117を上方(白抜き矢印の方向)に若干持ち上げて、上側ブームピン118aと上側ピン挿入孔127a,117aの孔壁とのクリアランスを確保してから、上側ブームピン118aを上側ピン挿入孔127a,117aから抜き取ることが多い。
【0012】
しかしながら、上記特許文献1に記載されるものや図9に示されるもののように、先端部がブーム107の基端側に向くように折り畳まれたアーム157を固定された受け台143で受けるようにした従来の姿勢保持装置には以下のような問題がある。すなわち、超ロングアタッチメント103が姿勢保持装置102に保持された状態では、ジブシリンダ115及びアームシリンダ119の負担を軽減するために、ブーム103とアーム157とを移動フック155(図11参照)で繋ぐことが望ましいが、移動フック155を取り付けた場合には、上記の要領で下側及び上側ブームピン118b,118aを下側ピン挿入孔127b,117b及び上側ピン挿入孔127a,117aから順次抜き取ることが困難となる。
【0013】
詳しくは、下側ブームピン118bと下側ピン挿入孔127b,117bの孔壁とのクリアランスを確保するために、図11に示すように、ブーム107を横梁141に強く押し当ててメインブーム117を下方に下げようとすると、移動フック155で繋がれることで剛構造となった(ピン結合部137a,147aで回動しなくなった)超ロングアタッチメント103が横梁141を支点として図11の時計回り回転しようとするが、受け台143が固定点であることからアーム157が白抜き矢印C’の方向に動くことができず、ブーム103の先端側及び基端側が白抜き矢印B’及びA’の方向に動き難くなる。このため、従来の姿勢保持装置102では、移動フック155を取り付けていない状態で、超ロングアタッチメント103を据え付けざるを得ず、ジブシリンダ115及びアームシリンダ119に負担がかかるという問題があった。
【0014】
一方、ブーム103とアーム157とを移動フック155で繋いでいない場合も、ブーム103と中継ぎブーム147及び中継ぎブーム147とアーム157はそれぞれジブシリンダ115及びアームシリンダ119で連結されているので、ブーム103を動かせば、少なからず中継ぎブーム147及びアーム157も連動することになる。そこで、従来の姿勢保持装置102では、下側ブームピン118bを下側ピン挿入孔127b,117bから抜き取る際、アーム157を受け台143に接触させないようにしながら、超ロングアタッチメント103と架台本体123との間に介在させた敷物を少しずつずらして、ブーム147、中継ぎブーム147及びアーム157の高さ調整を繰り返すことにより、超ロングアタッチメント103を据え付けていた。このため、超ロングアタッチメント103の姿勢保持装置123への据え付けが完了するまでには多大な時間を要するという問題があった。
【0015】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、超ロングアタッチメントを保持する姿勢保持架台において、超ロングアタッチメントに設けられたシリンダへの負担を軽減しつつ超ロングアタッチメントの据え付け時間を短縮できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために本発明では、ブームを支持する第1及び第2支持手段とアームを支持するための第3支持手段とを異なる構造とし、第1支持手段によってブームの基端部を、第2支持手段によってブームの先端部をそれぞれ剛体支持する一方、先端部がブームの基端側に向くように折り畳まれたアームを第3支持手段によって弾性支持することにより、超ロングアタッチメントを安定支持しつつ姿勢保持架台に載置された状態におけるその可動性を確保できるようにしている。
【0017】
第1の発明は、基端部が建設機械のメインブームの先端部に取り付けられるブームと、当該ブームの先端部に回動可能に取り付けられる中継ぎブームと、当該中継ぎブームを介して上記ブームに回動可能に取り付けられるアームと、上記中継ぎブームと上記ブーム及び上記アームとをそれぞれ連結するシリンダとを備えた超ロングアタッチメントを、上記アームの先端部が上記ブームの基端側に向くように折り畳まれた状態で保持する超ロングアタッチメントの姿勢保持架台であって、上記ブームの延びる方向である長手方向に延び、上記超ロングアタッチメントを長手方向と直角な方向である左右方向両側及び下側から囲むように設けられた架台本体と、上記ブームの基端側を剛体支持する第1支持手段と、上記ブームの先端側を上記第1支持手段よりも高い位置で剛体支持する第2支持手段と、上記アームを弾性支持するための第3支持手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0018】
第1の発明によれば、ブームの基端部とメインブームの先端部とを切り離す際、ブームピンとピン挿入孔の孔壁とのクリアランスを確保するために、ブームを第2支持手段に強く押し当てると、第2支持手段は第1支持手段よりも高い位置でブームを剛体支持しているので、超ロングアタッチメントが第2支持手段を支点として回転する。ここで、第3支持手段はアームを弾性支持しているので、当該アームはしっかりと支えられた状態で下方に移動し、それに伴って、ブームの基端部が下方に下がる。これにより、ブームの基端部とメインブームの先端部とをスムーズに切り離すことができる。したがって、ブームの基端部とメインブームの先端部とを切り離す際、超ロングアタッチメントと姿勢保持装置との間に介在させた敷物をずらすことによって、ブーム、中継ぎブーム及びアームの高さ調整を繰り返す必要があった従来の姿勢保持装置に比して、超ロングアタッチメントの据え付け時間を短縮することができる。
【0019】
しかも、第3支持手段によってアームを弾性支持することにより、仮に超ロングアタッチメントが剛な状態(アーム及び中継ぎブームが回動しない状態)でも、メインブームを下方に下げることが容易になるので、ブームとアームとを移動フックで繋いだ場合にも、ブームの基端部とメインブームの先端部とを切り離す際の支障とならない。したがって、超ロングアタッチメントに対して移動フックの取付が可能となり、超ロングアタッチメントに設けられたシリンダへの負担を軽減することができる。
【0020】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記第3支持手段は、架台本体に取り付けられる基台と、上記アームを受ける受け台と、一端部が上記基台に回動可能に連結されるとともに他端部に当該受け台に転接するローラが設けられた第1リンク部材と、当該第1リンク部材と交差し、一端部が上記受け台に回動可能に連結されるとともに他端部に上記基台に転接するローラが設けられた第2リンク部材と、当該両リンク部材にブーム先端側斜め上向きの付勢力を与えるスプリング機構とを備えていることを特徴とするものである。
【0021】
第2の発明によれば、第1リンク部材は、一端部が基台に回動可能に連結されるとともに他端部に受け台に転接するローラが設けられており、当該第1リンク部材と交差する第2リンク部材は、一端部が受け台に回動可能に連結されるとともに他端部に基台に転接するローラが設けられているので、アームを受ける受け台は、上下方向のみならずブーム(アーム)の延びる方向である長手方向にも移動可能となっている。
【0022】
また、スプリング機構は第1及び第2リンク部材にブーム先端側斜め上向きの付勢力を与えるので、第1及び第2リンク部材と連結される受け台には、常にアームを押し上げる力が働くことになる。
【0023】
これらのことから、受け台は、アームの上面に当接しつつ当該アームの動きに合わせて上下方向及び長手方向に移動可能に構成されているので、メインブームの移動に伴うアームの動きを阻害することなく、当該アームを安定支持することができる。したがって、超ロングアタッチメントを安定支持しつつその据え付け時間を短縮することができる。
【0024】
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、上記第3支持手段の基台は、上記架台本体に対し長手方向に移動可能に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0025】
第3の発明によれば、第3支持手段の基台は、架台本体に対し長手方向に移動可能に取り付けられているので、長さの異なる超ロングアタッチメントを第3支持手段によって確実に弾性支持できるとともに、超ロングアタッチメントを据え付ける際の長手方向におけるずれ等を吸収することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る超ロングアタッチメントの姿勢保持架台によれば、メインブームを下方に下げると、超ロングアタッチメントが第2支持手段を支点に回転するとともにアームが第3支持手段で支えられた状態で下方に移動し、それに伴って、ブームの基端部が下方に下がるので、ブームの基端部とメインブームの先端部とを容易に切り離すことが可能となり、超ロングアタッチメントの据え付け時間を大幅に短縮することができる。
【0027】
また、第2支持手段によってアームを弾性支持することにより、仮に超ロングアタッチメントが剛な状態でも、メインブームを下方に下げることが容易になるので、超ロングアタッチメントに対して移動フックの取付が可能となり、超ロングアタッチメントに設けられたシリンダへの負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】超ロングアタッチメントが取り付けられた油圧ショベルを示す側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る超ロングアタッチメントの姿勢保持架台を示す側面図である。
【図3】姿勢保持架台の断面形状を模式的に示す図である。
【図4】姿勢保持架台に超ロングアタッチメントが載置された状態を模式的に示す側面図である。
【図5】図(a)は、緩衝装置の側面図であり、図(b)は、緩衝装置の正面図であり、図(c)は、緩衝装置に設けられた圧縮ばね機構を示す図である。
【図6】解体及び組立作業時における姿勢保持架台を示す側面図である。
【図7】超ロングアタッチメントを姿勢保持架台に設置方法を模式的に説明する図である。
【図8】ブームとメインブームとを連結する際の手順を模式的に説明する図である。
【図9】従来の姿勢保持架台を示す側面図である。
【図10】ブームとメインブームとからブームピンを取り外す際の手順を模式的に説明する図である。
【図11】超ロングアタッチメントを従来の姿勢保持架台に設置方法を模式的に説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明に係る姿勢保持架台により保持される超ロングアタッチメントを備えた油圧ショベルを示す側面図である。この油圧ショベル(建設機械)1は、クローラ9aを装着した下部走行体9と、当該下部走行体9の上部に旋回自在に搭載されている上部旋回体11とを有するショベル本体5と、先端に油圧破砕機13が取り付けられた超ロングアタッチメント3とを備えている。
【0031】
この超ロングアタッチメント3は、ショベル本体5に起伏可能に取り付けられメインブーム17の先端部にその基端部7aが取り付けられているブーム7と、当該ブーム7の先端部7bに連結ピン37aを介して回動可能に取り付けられる中継ぎブーム47と、当該中継ぎブーム47の先端部に連結ピン47aを介して回動可能に取り付けられるアーム57とを有している。また、ブーム7は、メインブーム17の先端部に取り付けられるインサートブーム27と、当該インサートブーム27の先端部に取り付けられるフロントブーム37とから大略構成されている。なお、ブーム7は、その基端部7aに形成された上下のピン挿入孔27a,27b(図4及び図6参照)に挿通された上下のブームピン18a,18bによってメインブーム17に連結されている。
【0032】
超ロングアタッチメント3は、ブーム7がブームシリンダ21によって、中継ぎブーム47がジブシリンダ(当該中継ぎブーム47とブーム7とを連結するシリンダ)15によって、またアーム57がアームシリンダ(中継ぎブーム47と当該アーム57とを連結するシリンダ)19によってそれぞれ駆動されることで、先端に取り付けられた油圧破砕機13が高所に届くように略真っ直ぐ延びた姿勢や、先端部57aが油圧ショベル1側に向くようにアーム57を折り畳んだ略コ字状の姿勢をとることができるようになっている。
【0033】
図2は、本発明に係る姿勢保持架台を示す側面図であり、図3は、姿勢保持架台の断面形状を模式的に示す図である。この姿勢保持架台2は、ブーム7の延びる方向であるブーム長手方向(長手方向)に延びるように設けられた架台本体23と、ブーム7の基端側を支持する基端側受け部材(第1支持手段)39と、ブーム7の先端側を支持する先端側受け部材(第2支持手段)41と、アーム57を支持する緩衝装置(第3支持手段)43とを備えていて、図4及び図6に示すように、アーム57の先端部57aがブーム7の基端部7a側に向くように折り畳まれた状態で超ロングアタッチメント3を保持するようになっている。
【0034】
架台本体23は、図3に示すように、上方に開放した断面略コ字状に形成されていて、超ロングアタッチメント3を長手方向と直角な方向である左右方向両側及び下側から囲むようになっている。
【0035】
この架台本体23の下部は、断面矩形状の鋼管からなり、ブーム長手方向に延びる左右一対の縦フレーム部材25,25と、同じく断面矩形状の鋼管からなり、左右方向に延びてこれら両縦フレーム部材25,25を連結する横フレーム部材29,29,…と、長手方向基端側に行くほど上方に傾斜する傾斜フレーム35,35とから大略構成されている。
【0036】
また、架台本体23の両側部は、断面矩形状の鋼管からなり、ブーム長手方向に間隔をあけて縦フレーム部材25,25の上端から上方に延びる支柱部材31,31,…と、相隣り合う支柱部材31,31の上端部と下端部とを連結する傾斜補強部材59,59,…と、断面矩形状の鋼管からなり、超ロングアタッチメント3を左右両側から挟むように長手方向に延びる左右一対の桁部材33,33とから大略構成されている。
【0037】
支柱部材31,31,…は、その上端が桁部材33,33によって長手方向に連結されている一方、その下端部が上記横フレーム部材29,29,…に対応するように設けられた水平補強部材51,51,…によって左右方向に連結されている。また、各桁部材33,33は、設置高さの異なる3つの桁部材から大略構成されており、先端側桁部材33a、中央桁部材33b、基端側桁部材33cの順にその設置高さが低くなっている。
【0038】
さらに、架台本体23には、作業員が超ロングアタッチメント3の据え付け作業を行うためのステージ足場53,53,…が、支柱部材31,31,…及び桁部材33,33よりも左右両外側に張り出すように設けられている。また、このステージ足場53,53には、上下方向に延びる縦パイプ部材49a,49a,…と長手方向に延びる横パイプ部材49b,49b,…とを格子状に連結してなる転落防止柵49が設けられている。そして、架台本体23の左側における長手方向先端及び中央には、これらのステージ足場53,53,…に上り下りするための昇降階段45a,45bが設けられている。
【0039】
上記基端側受け部材39は、断面矩形状の鋼管からなっており、中央側の昇降階段45bの上方において、上下方向に延びる連結ピン39aを介して左側の中央桁部材33bに回動可能に取り付けられている。この基端側受け部材39は、左側の中央桁部材33bに固定されたストッパプレート39bに当接することで、長手方向に延びる第1姿勢(図2の二点鎖線)をとる一方、当該第1姿勢から連結ピン39a中心として時計回りに90度回動させることで、左右一対の中央桁部材33b,33bに架け渡されるように左右方向に延びる第2姿勢をとるように構成されている。基端側受け部材39をこのような構成とすることにより、アーム57が左右一対の中央桁部材33b,33bの間を通過するときには第1姿勢をとることでアーム57との干渉をさけるとともに、アーム57が左右一対の中央桁部材33b,33bの間を通過した後ブーム7を載置するときには、第2姿勢をとることで両端固定梁として機能し当該ブーム7の基端側を剛体支持することが可能となる。
【0040】
一方、上記先端側受け部材41は、断面矩形状の鋼管からなっており、長手方向先端側の昇降階段45aの上方において、左側の先端側桁部材33aに上下方向に延びる連結ピン41aを介して回動可能に取り付けられている。このように、先端側受け部材41を中央桁部材33bよりも高い位置に設けられる先端側桁部材33aに取り付けることにより、先端側受け部材41は、ブームの先端側を基端側受け部材39よりも高い位置で支持するようになっている。この先端側受け部材41は、左側の先端側桁部材33aの長手方向の先端に固定されたストッパプレート41bに当接することで、長手方向に延びる第1姿勢(図2の二点鎖線)をとる一方、当該第1姿勢から連結ピン41a中心として時計回りに90度回動させることで、左右一対の先端側桁部材33a,33aに架け渡されるように左右方向に延びる第2姿勢をとるように構成されている。先端側受け部材41をこのような構成とすることにより、アーム57が左右一対の先端側桁部材33a,33aの間を通過するときには第1姿勢をとることでアーム57との干渉をさけるとともに、アーム57が左右一対の先端側桁部材33a,33aの間を通過した後ブーム7を載置するときには、第2姿勢をとることで両端固定梁として機能し当該ブーム7の先端側を剛体支持することが可能となる。
【0041】
上記緩衝装置43は、図5(a)及び図5(b)に示すように、架台本体23に取り付けられるスライドベース(基台)83と、アーム57を受ける受け台61と、一端部がスライドベース83に回動可能に連結されるとともに他端部に受け台61に転接するツバ付きローラ63が設けられた左右一対の外側リンク(第1リンク部材)79,79と、当該左側リンク79と交差し、一端部が受け台61に回動可能に連結されるとともに他端部にスライドベース83に転接するローラ65が設けられた左右一対の内側リンク(第2リンク部材)81,81と、当該両リンク79,81に長手方向先端側斜め上向きの付勢力を与えるスプリング機構77とを備えている。なお、図5(b)では、図を見やすくするために、スプリング機構77を図示省略するとともに、図の左側では、長手方向先端側における外側及び内側リンク79,81とスライドベース83及び受け台61との取付構造のみを示し、図の左側では、長手方向基端側における外側及び内側リンク79,81とスライドベース83及び受け台61との取付構造のみを示す。
【0042】
上記スライドベース83は、緩衝装置43の前後(長手方向先端側及び基端側)の横フレーム部材29,29にその両端が固定されるとともに左右方向に間隔を空けて配置された長手方向に延びる左右一対の溝型鋼62,62に対し長手方向に移動可能に取り付けられている。
【0043】
各溝型鋼62,62には、上下のフランジを繋ぐように長手方向に延びる固定ベース58が取り付けられており、この固定ベース58には長手方向先端側及び基端側の端部にそれぞれ3つずつピン挿通孔58a,58a,…が形成されている。また、両溝型鋼62,62の間には、長手方向先端側及び基端側の2箇所に送りねじ座66,66が設けられており、当該両送りねじ座66,66に長手方向に延びるスライド用角ねじ89が回転自在に取り付けられている。このスライド用角ねじ89の長手方向基端側の端部には大径スプロケット68aが取り付けられており、この大径スプロケット68aは、ハンドル70に取り付けられた小径スプロケット68bと伝導チェーン64を介して連結されている。これにより、スライド用角ねじ89は、当該ハンドル70を回すことで時計回り及び反時計回りに回転するようになっている。
【0044】
一方、スライドベース83は、頂壁部83aと当該頂壁部83aの左右両端部から下方に延びる側壁部83b,83bとを有する略コ字状に形成されており、両溝型鋼62,62を左右両側から挟むようになっている。スライドベース83の頂壁部83aには、その下面から下方に延びていて、スライド用角ねじ89に螺合するホルダー91が設けられている一方、スライドベース83の各側壁部83b,83bには、長手方向先端側及び基端側の端部にそれぞれ1つづつピン挿通孔83c,83c,…が形成されている。
【0045】
そして、ハンドル70を回すとスライド用角ねじ89が回転し、当該スライド用角ねじ89の回転に伴ってホルダー91が前後に動き、これにより、スライドベース83が溝型鋼62,62に沿って長手方向前後両側に移動する。スライドベース83を所定の位置に移動させると、固定ベース58のピン挿通孔58a,58a,…とスライドベース83の側壁部83bのピン挿通孔83c,83c,…とに位置決めピン85を挿通し、当該位置決めピン85にピン抜け止め具87を差し込むことで、スライドベース83が架台本体23に固定される。
【0046】
また、スライドベース83の頂壁部83aの上面には、長手方向先端側の左右両端部に左右方向で対向するように上方に延びる一対の取付片83d,83dが形成されている一方、長手方向基端側の中央部に左右方向で対向するように上方に延びる一対の取付部83e,83eが形成されている。
【0047】
上記受け台61は、矩形状の鋼製プレートであり、その上面が、先端部がブーム7の基端側に向くように折り畳まれることにより下側を向いたアーム57の上面と当接するようになっている。また、受け台61の下面には、長手方向先端側の左右両端部に左右方向で対向するように下方に延びる一対の取付片61a,61aが形成されている一方、長手方向基端側の左右両端部に下方に突起する断面矩形状の突条部61b,61bが長手方向に延びるように形成されている。なお、取付片61a,61aは、スライドベース83の各取付片83d,83dよりも内側の位置に形成されている。
【0048】
上記一対の外側リンク79,79のうち左側の外側リンク79と、上記左右一対の内側リンク81,81のうち左側の内側リンク81とが左側のシザースリンクを構成しており、上記一対の外側リンク79,79のうち右側の外側リンク79と、上記左右一対の内側リンク81,81のうち右側の内側リンク81とが右側のシザースリンクを構成している。これら左右のシザースリンクは上記スプリング機構77を挟んで左右対称に設けられており、ほぼ同様の構造を有しているので、以下、左側のシザースリンクについて説明する。
【0049】
外側リンク79は、長円形のプレートからなっており、長手方向先端側に行くほど下方に傾斜するように緩衝装置43に取り付けられている。外側リンク79の先端部(一端部)は、スライドベース83の取付片83d,83dに挟まれた状態で、当該外側リンク79及び取付片83d,83dを貫通する連結ピン79aを介して当該スライドベース83に回動可能に連結されている。一方、外側リンク79の基端部(他端部)には、ツバ付きローラ63が回転自在に取り付けられており、当該ツバ付きローラ63はそのツバ部で受け台61の突条部61bを挟み込んだ状態で、当該受け台61に対し転接しながら前後方向(長手方向)に相対的に移動可能となっている。このようにツバ部で突条部61bを挟み込むことにより、シザースリンクが受け台61に対し左右方向にずれるのが抑えられる。
【0050】
これに対し、内側リンク81は、長円形のプレートからなっており、長手方向先端側に行くほど上方に傾斜するように緩衝装置43に取り付けられている。内側リンク81の先端部(一端部)は、受け台61の取付片61a,61aに挟まれた状態で、当該内側リンク81及び取付片61a,61aを貫通する連結ピン81aを介して当該受け台61に回動可能に連結されている。一方、外側リンク79の基端部(他端部)には、ローラ65が回転自在に取り付けられており、当該ローラ65はスライドベース83に対し転接しながら前後方向(長手方向)に相対的に移動可能となっている。
【0051】
外側リンク79と内側リンク81とは、これら中央部で左右方向に延びるシャフト69にエンドプレート73及び六角ボルト75,75によって連結されており、互いに回動可能となっている。なお、左右のシザースリンクもシャフト69で連結されており、これら外側リンク79,79及び内側リンク81,81は同期して動くようになっている。そうして、受け台61にアーム57の荷重による斜め下向き(長手方向基端側且つ上下方向下側)の力が加わると、ツバ付きローラ63が受け台61に対し転接するとともにローラ65がスライドベース83に対し転接し、下方及び長手方向基端側に移動する一方、受け台61にスプリング機構77による斜め上向き(長手方向先端側且つ上下方向上側)の力が加わると、ツバ付きローラ63が受け台61に対し転接するとともにローラ65がスライドベース83に対し転接し、上方及び長手方向先端側に移動する。
【0052】
上記スプリング機構77は、図5(a)に示すように、長手方向先端側に行くほど上方に傾斜するように緩衝装置43に取り付けられている。このスプリング機構77は、図5(c)に示すように、先端部に突起部96aが形成されたガイドバー96と、当該突起部96aの基端側に取り付けられた、コイルバネ99(圧縮ばね)を保持するためのスプリングホルダー98と、ガイドバー96の基端側に取り付けられたねじ付きガイド93と、その中央部をガイドバー96が貫通する円環状の調整用ライナー95と、調整用ライナー95を介してスプリングホルダー98とねじ付きガイド93との間に収容されたコイルバネ99とを備えている。なお、図中の符合76は、ガイドバー96の下端(基端)に取り付けられた舌付ナットである。
【0053】
ねじ付きガイド93は、ガイドバー96を案内する筒状のガイド本体93aと、当該ガイド本体93aが挿通される貫通孔を有する直方体状のガイド受部93bと、当該ガイド受部93bの両側面からそれぞれ左右両側に延びる軸部93c,93cを有している。
【0054】
ガイド本体93aには、その先端側に、コイルバネ99を保護するための筒状の保護用カラー97が取り付けられている。これらガイド本体93a及び保護用カラー97には、ガイドバー96が摺動自在に挿通されている。また、ガイド本体93aの外周面及びガイド受部93bの貫通孔の内周面は、互いに螺合するようにねじが切られており、ガイド本体93aを回転させると、ガイド本体93a及び保護用カラー97が、ガイドバー96の延びる方向に沿って上下に移動するようになっている。
【0055】
ガイド受部93bの先端側には、ガイド本体93aを全周に亘って囲むように上記調整用ライナー95が配設されている。そして、ガイド受部93bと上記スプリングホルダー98との間には、当該調整用ライナー95を介して上記コイルバネ99が配設されている。これにより、ガイドバー96は、コイルバネ99の付勢力に抗し又は付勢されながら、ねじ付きガイド93に対して摺動するようになっている。
【0056】
各軸部93cは、ブッシュ94,94を介してホルダー78,78に回動可能に取り付けられている。また、ホルダー78,78は、穴付きボルト80,80によって上記スライドベース83の取付部83e,83eに固定されている。これにより、ガイド受部93b延いてはスプリング機構77は、スライドベース83に軸支されるとともに、軸部93c周りに回動可能になっている。
【0057】
以上のように構成されたスプリング機構77は、ガイドバー96がレバー84を介して左右のシザースリンクに連結されたシャフト69と連結されることで、左右のシザースリンクに付勢力を与えるようになっている。より詳しくは、レバー84は、一端部がシャフト69に嵌合しているカラー67に連結されており、その他端部に頭付けピン90が取り付けられている。一方、ガイドバー96の先端部は扁平になっており、当該先端部がブッシュ88を介して頭付けピン90に回動可能に連結されている。
【0058】
上記スプリング機構77を備えた緩衝装置43では、上記調整用ライナー95を組付け替えすることにより、コイルバネ99の指定荷重を一定にしたまま上記受け台61の初期の高さ調整を行うことが可能となっている。より詳しくは、受け台61の初期の高さを高く設定する場合には、左右のシザースリンクを連結するシャフト69が斜め上向きに移動し、これに伴ってガイドバー96も斜め上向きに移動することになる。このように、ガイドバー96が移動すると、上記ガイド受部93bと上記スプリングホルダー98との間隔が拡がり、受け台61に荷重がかかっていない初期設定時において、コイルバネ99の指定荷重が変化することになる。しかしながら、本実施形態のスプリング機構77では、調整用ライナー95を介してガイド受部93bとスプリングホルダー98との間にコイルバネ99が配設されているので、当該調整用ライナー95を組付け替えすることにより、具体的には、調整用ライナー95を厚いものに組付け替えすることにより、ガイド受部93bとスプリングホルダー98との間隔を一定に保ってコイルバネ99の指定荷重を一定に維持することができる。
【0059】
なお、ガイドバー96が移動すると、スプリングホルダー98と上記保護用カラー97の先端との間隔が拡がることになるが、上述の如くガイド本体93aを回転させることで、ガイド本体93a及び保護用カラー97を斜め上向きに移動させることが可能となっているので、スプリングホルダー98と保護用カラー97の先端との間隔も一定に保つことができる。これにより、コイルバネ99が過剰に縮むのを抑えられ、当該コイルバネ99の保護を図ることができる。
【0060】
一方、受け台61の初期の高さを低く設定する場合には、調整用ライナー95を薄いものに組付け替えする(又は調整用ライナー95を取り除く)とともに、ガイド本体93a及び保護用カラー97を斜め下向きに移動させることで、コイルバネ99の指定荷重を一定に維持しつつ、スプリングホルダー98と保護用カラー97の先端との間隔を一定に保つことができる。
【0061】
以上のように構成された緩衝装置43では、受け台61にアーム57が載置されて長手方向基端側斜め下方に力がかると、上記左右一対の外側及び内側リンク79,81,…は、それぞれ連結ピン79a,81a,…廻りに回動する。そして、外側及び内側リンク79,81の動きが、シャフト69の両端部に設けられた平行キー71によって伝達され当該シャフト69が回動する。
【0062】
シャフト69が回動すると、シャフト69の中央部に設けられた平行キー82によりカラー67が回動し、これによりレバー84が図5(a)の時計回りに回動して、ガイドバー96を長手方向基端側斜め下方に押し込む。このときコイルバネ99がガイドバー96を長手方向先端側斜め上方に押し返すことで、アーム57にコイルバネ99による付勢力が作用すことになる。
【0063】
以上のように、緩衝装置43の受け台61は上下方向及び長手方向に移動可能となっているので、下側ブームピン18bと下側ピン挿入孔27bの孔壁とのクリアランスを確保するために、図7に示すように、ブーム7を先端側受け部材41に強く押し当てると、移動フック55で繋がれることで剛構造となった(ピン結合部37a,47aで回動しなくなった)超ロングアタッチメント3が先端側受け部材41を支点として図7の時計回り回転する。このとき、アーム57の荷重を受けて受け台43が移動するので、アーム57が白抜き矢印Cの方向に、ブーム3の先端側及び基端側が白抜き矢印B及びAの方向にそれぞれ動く。
【0064】
−超ロングアタッチメントの据え付け手順−
次ぎに、姿勢保持架台2への超ロングアタッチメント3の据え付け手順について説明する。
【0065】
先ず、姿勢保持架台2への超ロングアタッチメント3の据え付けに先立ち、超ロングアタッチメント3の寸法等に合わせるために、ハンドル70を回して、スライドベース83を溝型鋼62,62に沿って長手方向に移動させる。スライドベース83の位置が決まれば、固定ベース58のピン挿通孔58a,58a,…とスライドベース83の側壁部83bのピン挿通孔83c,83c,…とに位置決めピン85を挿通し、緩衝装置43を架台本体23に固定する。また、ねじ付きガイド93及び調整用ライナー95により、コイルバネ99の指定荷重を一定にしたまま受け台61の初期の高さ調整を行っておく。
【0066】
次いで、ブームシリンダ21、ジブシリンダ15及びアームシリンダ19の伸縮によって、超ロングアタッチメント3を先端部57aが油圧ショベル1側に向くようにアーム57を折り畳んだ略コ字状の姿勢にし、当該超ロングアタッチメント3を架台本体23に固定された緩衝装置43を目標に下降させる。
【0067】
そして、アーム57が左右一対の中央桁部材33b,33b及び先端側桁部材33a,33aの間を通過した後、基端側受け部材39を第1姿勢から連結ピン39a中心として時計回りに90度回動させて、左右一対の中央桁部材33b,33bに架け渡される第2姿勢にするとともに、先端側受け部材41を第1姿勢から連結ピン41a中心として時計回りに90度回動させることで、左右一対の先端側桁部材33a,33aに架け渡される第2姿勢にする。
【0068】
次いで、ブーム7を先端側受け部材41、基端側受け部材39の順に押し当て、基端側受け部材39よりも先端側受け部材41の反力が大きい状態で、ブーム7を先端側及び基端側受け部材41,39に載置する。換言すると、一旦ブーム7を先端側及び基端側受け部材41,39に載置した後、メインブーム17を下げて基端側受け部材39に押し当てる状態と同じ状態に、この段階でしておく。なお、アーム57の重量が受け台61に作用しても、上述の如く、緩衝装置43がアーム57を弾性支持するので支障とはならない。このとき、ジブシリンダ15の連結部とアームシリンダ19の連結部を移動フック55で連結する。
【0069】
そして、基端側受け部材39の反力よりも先端側受け部材41の反力を大きくすることによりブーム7の基端側7aを下方に下げて、上側ブームピン18aとブーム7及びメインブーム17の上側ピン挿入孔27a,17aの孔壁とを意図的にせった状態にしたまま、換言すると、ブームピン18a,18bの軸心とピン挿入孔27a,27b,17a,17bの中心とのずれを、あたかも上側ブームピン18aと上側ピン挿入孔27a,17aとに吸収させて、下側ブームピン18bと下側ピン挿入孔27bの孔壁とのクリアランスを確保し、この状態で下側ブームピン18bを下側ピン挿入孔27b,17bから抜き取る。
【0070】
次いで、メインブーム17を上方に若干持ち上げて、上側ブームピン18aと上側ピン挿入孔27a,17aの孔壁とのクリアランスを確保してから、上側ブームピン18aを上側ピン挿入孔27aから抜き取る。これにより、姿勢保持架台2への超ロングアタッチメント3の据え付けが完了し、図4に示すように、アーム57の先端部57aがブーム7の基端側に向くように折り畳まれた状態で、超ロングアタッチメント3が姿勢保持架台2に保持される。
【0071】
一方、姿勢保持架台2に保持された超ロングアタッチメント3とショベル本体5に取り付けられたメインブーム17とを連結する際には、図6に示すように、姿勢保持架台2に長手方向基端側からメインブーム17が取り付けられたショベル本体5を近づける。そして、図8(a)に示すように、メインブーム17の先端部に設けられた、凹型ガイドを有する突起部17cを、ブーム7の基端側に形成されたピン7cに下方から近づけ、同図(b)に示すように、当該突起部17cの凹型ガイドをピン7cに引っ掛ける。
【0072】
このように凹型ガイドをピン7cに引っ掛けた状態で、ピン7cを中心にメインブーム17の先端部を揺動させながら、図8(c)に示すように、ブーム7の上側ピン挿入孔27aとメインブーム17の先端部に形成された上側ピン挿入孔17aとの位置を合わせ、これらピン挿入孔17a,27aに上側ブームピン18aを挿入して、ブーム7とメインブーム17とを連結する。
【0073】
次いで、メインブーム17の起伏角度を調整しながら、図8(d)に示すように、ブーム7の下側ピン挿入孔27bとメインブーム17の先端部に形成された下側ピン挿入孔17bとの位置を合わせ、これらピン挿入孔17b,27bに下側ブームピン18bを挿入して、ブーム7とメインブーム17とを連結する。
【0074】
そうして、基端側受け部材39及び先端側受け部材41を第1姿勢にするとともに、アームシリンダ19の連結部から移動フック55を外す。
【0075】
−効果−
本実施形態によれば、ブーム7の基端部7aとメインブーム17の先端部とを切り離す際、下側ブームピン18bと下側ピン挿入孔27b,17bの孔壁とのクリアランスを確保するために、ブーム7を先端側受け部材41に強く押し当てると、先端側受け部材41は基端側受け部材39よりも高い位置でブーム7を剛体支持しているので、超ロングアタッチメント3が先端側受け部材41を支点に回転する。ここで、緩衝装置43はアーム57を弾性支持しているので、当該アーム57はしっかりと支えられた状態で下方に移動し、それに伴って、ブーム7の基端部7aが下方に下がる。これにより、ブーム7の基端部7aとメインブーム17の先端部とをスムーズに切り離すことができる。したがって、ブーム7の基端部7aとメインブーム17の先端部とを切り離す際、超ロングアタッチメント3と姿勢保持装置2との間に介在させた敷物をずらすことによって、ブーム7、中継ぎブーム47及びアーム57の高さ調整を行う必要があった従来の姿勢保持装置に比して、超ロングアタッチメント3の据え付け時間を大幅に短縮することができる。
【0076】
しかも、緩衝装置43によってアーム57を弾性支持することにより、仮に超ロングアタッチメント3が剛な状態でも、メインブーム17を下方に下げることが容易になるので、ブーム7とアーム57とを移動フック55で繋いだ場合にも、ブーム7の基端部7aとメインブーム17の先端部とを切り離す際の支障とならない。したがって、超ロングアタッチメント3に対して移動フック55の取付が可能となり、超ロングアタッチメント3に設けられたジブシリンダ15及びアームシリンダ19への負担を軽減することができる。
【0077】
さらに、外側リンク79は、先端部がスライドベース83に回動可能に連結されるとともに基端部に受け台61に転接するツバ付きローラ63が設けられており、当該外側リンク79と交差する内側リンク81は、先端部が受け台61に回動可能に連結されるとともに他端部にスライドベース83に転接するローラ65が設けられているので、アーム57を受ける受け台61は、上下方向のみならずブーム7(アーム57)の延びる方向である長手方向にも移動可能となっている。
【0078】
また、スプリング機構77は左右両側のシザースリンク(外側及び内側リンク79,81)にブーム先端側斜め上向きの付勢力を与えるので、外側及び内側リンク79,81と連結される受け台61には、常にアーム57を押し上げる力が働くことになる。
【0079】
これらのことから、受け台61は、アーム57の上面に当接しつつ当該アーム57の動きに合わせて上下方向及び長手方向に移動可能に構成されているので、メインブーム17の移動に伴うアーム57の動きを阻害することなく、当該アーム57を安定支持することができる。したがって、超ロングアタッチメント3を安定支持しつつその据え付け時間を短縮することができる。
【0080】
さらに、緩衝装置43のスライドベース83は、架台本体23に対し長手方向に移動可能に取り付けられているので、長さの異なる超ロングアタッチメント3を緩衝装置43によって確実に弾性支持できるとともに、超ロングアタッチメント3を据え付ける際の長手方向におけるずれ等を吸収することができる。
【0081】
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0082】
上記実施形態では、架台本体23を、断面矩形状の鋼管からなる縦フレーム部材25,25や横フレーム部材29,29,…や支柱部材31,31,…等で構成したが、超ロングアタッチメント3を左右方向両側及び下側から囲むように構成されているのであれば、これに限らず、例えば、H型鋼等を用いたり、トラスを組み合わせた構造の架台としてもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、外側及び内側リンク79,81とスプリング機構77とを組み合わせた緩衝装置43を用いたが、アーム57を弾性支持できるのであれば、これに限らず、例えば、ゴム弾性体やアクチュエータを用いた緩衝装置としてもよい。
【0084】
さらに、上記実施形態では、緩衝装置43を長手方向に移動可能としたが、これに限らず、緩衝装置43を架台本体に固定するようにしてもよい。
【0085】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上説明したように、本発明は、超ロングアタッチメントをアームの先端部がブームの基端側に向くように折り畳まれた状態で保持する姿勢保持架台等について有用である。
【符号の説明】
【0087】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 姿勢保持架台
3 超ロングアタッチメント
7 ブーム
7a 基端部
7b 先端部
15 ジブシリンダ(シリンダ)
17 メインブーム
19 アームシリンダ(シリンダ)
23 架台本体
27 インサートブーム(ブーム)
37 フロントブーム(ブーム)
39 基端側受け部材(第1支持手段)
41 先端側受け部材(第2支持手段)
43 緩衝装置(第3支持手段)
47 中継ぎブーム
57 アーム
57a 先端部
61 受け台
63 ツバ付きローラ(ローラ)
65 ローラ
79 外側リンク(第1リンク部材)
77 スプリング機構
81 内側リンク(第2リンク部材)
83 スライドベース(基台)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端部が建設機械のメインブームの先端部に取り付けられるブームと、当該ブームの先端部に回動可能に取り付けられる中継ぎブームと、当該中継ぎブームを介して上記ブームに回動可能に取り付けられるアームと、上記中継ぎブームと上記ブーム及び上記アームとをそれぞれ連結するシリンダとを備えた超ロングアタッチメントを、上記アームの先端部が上記ブームの基端側に向くように折り畳まれた状態で保持する超ロングアタッチメントの姿勢保持架台であって、
上記ブームの延びる方向である長手方向に延び、上記超ロングアタッチメントを長手方向と直角な方向である左右方向両側及び下側から囲むように設けられた架台本体と、
上記ブームの基端側を剛体支持する第1支持手段と、
上記ブームの先端側を上記第1支持手段よりも高い位置で剛体支持する第2支持手段と、
上記アームを弾性支持するための第3支持手段とを備えていることを特徴とする超ロングアタッチメントの姿勢保持架台。
【請求項2】
請求項1記載の超ロングアタッチメントの姿勢保持架台において、
上記第3支持手段は、架台本体に取り付けられる基台と、上記アームを受ける受け台と、一端部が上記基台に回動可能に連結されるとともに他端部に当該受け台に転接するローラが設けられた第1リンク部材と、当該第1リンク部材と交差し、一端部が上記受け台に回動可能に連結されるとともに他端部に上記基台に転接するローラが設けられた第2リンク部材と、当該両リンク部材にブーム先端側斜め上向きの付勢力を与えるスプリング機構とを備えていることを特徴とする超ロングアタッチメントの姿勢保持架台。
【請求項3】
請求項1又は2記載の超ロングアタッチメントの姿勢保持架台において、
上記第3支持手段の基台は、上記架台本体に対し長手方向に移動可能に取り付けられていることを特徴とする超ロングアタッチメントの姿勢保持架台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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