説明

超伝導線材の転位方法

【課題】 本発明は超伝導線材で巻線を成し、転位が可能になるように改善させた超伝導線材の転位方法及びそれを利用した超伝導変圧器について開示する。
【解決手段】 本発明の超伝導線材の転位方法は、複数の並列超伝導線材を巻線する、少なくとも二つ以上のディスクの間に巻線の始めの位置を異にして組み立て、前記ディスクの間の導体の連結が互いに異なる超伝導線材の間に導体の連結を成すことによって前記ディスクの外部で転位を形成させる。そして、前記ディスクを複数個組み立てるにおいて、全体の巻線数を等しく維持しながら転位を形成するように一部組み立てられる対を回転させ組み立てることが望ましい。
したがって、本発明は超伝導線材の折れ曲げや鎔接なしに成り立つことができるので、超伝導体の特性を維持しながら転位を形成することのできる利点がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超伝導線材の転位方法に関するものであって、より詳しくは超伝導線材で巻線を成して、転位が可能になるように改善させた超伝導線材の転位方法及びそれを利用した超伝導変圧器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、変圧器は電磁気力を介して電磁誘導作用によって一側の巻線に供給した交流電流を他の巻線に同一周波数の交流電流に変換する静止誘導装置である。変圧器は上記した電流柔道のために少なくとも二つ以上の電気回路と一つの共通の磁気回路を具備し、電気回路は巻線を持っており、磁気回路は鉄心で構成されながら電気回路に鎖交するように構成される。
【0003】
すなわち、変圧器は図1のように鉄心10と多数個の巻線12、14、16を具備して、一例として巻線は1次巻線12、2次巻線14及び3次巻線16に仕分けられる。
【0004】
そして、上記した図1のような構造の変圧器は、図2のように鉄心10と巻線12、14、16の組み立てを円滑にするための絶縁筒18を具備し、絶縁筒18の上に巻線20が成り立った後、鉄心10と絶縁筒18が組み立てられる。
【0005】
大電流が使われ多くの導体を並列で使う必要がある巻線には、並列導体の電流分担を均等にするために並列導体の位置を変えてくれる転位Aが形成される。
【0006】
通常、銅電線を使う従来の巻線方法は、交流電流による損失を最小化するために多くの筋の電線を使う。特に、変圧器は数百ないし数千アンペア以上の電流が使われるので数十筋の電線を使う。したがって、数ないし数十筋の電線を巻線するために螺旋巻、円筒巻及び連続巻など多様な種類の巻線方法が変圧器に使われる。上記の巻線方法は巻線の大きさ、絶縁及び損失を最小化するために多様に開発されたものである。
【0007】
巻線の損失を最小化するための転位を説明する。
巻線に2筋以上の並列導体を使う場合、巻線の内側の素線と外側の素線のインピーダンス差によって、各素線の間には電圧降下の差が生じ、また巻線の内側の素線と巻線の外側の素線との鎖交磁束数の差による誘起電圧差が発生して並列導体の間には循環電流が流れ、これによって損失は増加する。
【0008】
転位はこのような循環電流を最小化するために具現されることであり、内側と外側の素線間の鎖交磁束数が等しくなるように内側の素線20a及び外側の素線20bの位置を適切な所で互いに変える。転位の回数は少なくとも電線筋の数より一つ少ない数以上に適用される。すなわち、4筋の並列導体を使う場合、少なくとも3回以上の転位がなければならない。
【0009】
最近、超伝導現象を利用した変圧器の開発が進んでおり、超伝導変圧器の場合、上記した従来方法の転位を具現するのに問題点がある。
【0010】
具体的に超伝導現象とは、温度、磁場及び電流が特定の臨界値以下に維持される場合、電気抵抗がゼロになる現象を言う。超伝導変圧器を含んだ電力器機等の巻線に超伝導体を使うためには超伝導現象が維持される最大電流である臨界電流以下の電流を維持しなければならない。
【0011】
特に、大電流が流れるようにするために数個以上の超伝導体を並列に使って巻線を製作する場合、各並列導体の間の電流分担が均等でなければならないし、並列導体の間の電流分担が均等でない場合、超伝導並列導体の中で特定の導体が、電流分流が発生して自らの臨界電流を超過する場合、超伝導特性を失くしてしまうようになって超伝導巻線の破損に繋がる現象が生ずることもある。
【0012】
したがって、電流分流を抑えるために銅巻線でのように転位の形成が必要となる。
【0013】
しかし、超伝導体はセラミックス系列の材料であって、折り曲げや捩じれがある場合、超伝導の特性を失くしてしまう。それ故に従来の銅線のような方法で転位を形成することが不可能である。
【0014】
したがって、超伝導体変圧器を具現するためには超伝導体を利用して転位が可能な方法の提示が必要になるという問題点がある。
【特許文献1】大韓民国特許出願公開第00139602号明細書
【特許文献2】大韓民国特許出願公開第96005325号明細書
【特許文献3】特開2000−030926号公報
【特許文献4】特開2000−021652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、超伝導変圧器を具現するにおいて線材で使われる超伝導体が超伝導の特性を喪失しない状態で転位を形成することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明による超伝導線材の転位方法は、複数の並列超伝導線材を巻線する少なくとも二つ以上のディスクの間に巻線の始めの位置を異にして組み立て、前記ディスクの間の導体連結が互いに異なる超伝導線材の間に導体連結を成すことによって前記ディスクの外部で転位を形成させる。
【0017】
そして、前記ディスクの間の巻線の始めの位置は360゜を巻線数に分割した角度に対応される位、変わることが望ましい。
【0018】
そして、前記ディスクを複数個組み立てるにおいて、全体の巻線数を等しく維持しながら転位を形成するように一部組み立てられる対を回転させて組み立てることが望ましい。
【0019】
また、本発明による転位方法は、変圧器、電動機、エネルギー保存装置、限流器などのような超伝導材料を利用して転位を形成するすべての装置に適用可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明による転位は、超伝導線材の折れ曲げや溶接なしに成り立つことができるので、超伝導体の特性を維持しながら転位を形成することのできる利点がある。
【0021】
そして、本発明は4筋の超伝導線材を並列で使った実施例を示しており、それによって循環電流が発生しない。
【0022】
また、それぞれの並列導体の転位は多くのダブルディスクを組み立てて全体の巻線を構成し、各ダブルディスクを回転させるに望ましい位置と巻き数で転位が成り立つことができる効果がある。
【0023】
したがって、ダブルディスクの始めの位置を適切に配分して大容量の電流に適用することができるし、高電圧の巻線を製作することも可能な効果がある。
【0024】
そして、本発明に適用された巻線の転位以外に、その他の電動機、エネルギー保存装置、限流器などのような、超伝導材料を利用して転位を形成する全ての装置に適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明による超伝導線材の転位方法及びそれを利用した超伝導変圧器の望ましい実施例について、添付図面を参照しながら詳しく説明する。
【0026】
本発明の実施例を説明するために図3の4並列導体の転位を有する実施例を例示する。
【0027】
ボビンはベース30を中心に辺部にウィング32が構成され、ベース中心の上部にスペイサー34が構成される。そして、ウィング32とスペイサー34の間の領域にディスク36が構成され、ディスク36には超伝導線材38が構成される。
【0028】
図3のディスク36の巻線形態は連続巻の構造で、二つのディスクを一つにモジュール化してダブルディスク36を構成しており、ボビンは上述したようにディスク36を支持する構造を持つ。
【0029】
4筋の並列超伝導線が巻線された全体の巻き数が“80”の場合、ダブルディスク形態に巻線するために3回の転位が成り立たなければならないし、四つのダブルディスクで構成されなければならない。そして、一つのダブルディスクの巻き数は“20”になる。
【0030】
ダブルディスクに含まれた巻き数“20”は各ディスク別に“9”の巻き数が割り当てられ、残り“2”巻きはディスクを互いに連結させるために割り当てられる。
【0031】
すなわち、図4のように4筋の並列導体は、ダブルディスクでそれぞれ異なる巻き数を持つ。
【0032】
本発明は図3及び図4のように巻線の外部で転位を実施する。そのため、各並列導体の巻線の始めの位置が異ならなければならない。またダブルディスクの巻線は、各ディスクの間の繋ぎなしの状態で連結されるので、ダブルディスク内のそれぞれのディスクは巻線の方向が互いに反対になる。
【0033】
すなわち、図5aのように各並列導体の始めの位置は、360゜を四等分した90゜ずつ変わるようになる。同じ方法で図5bないし図5dのようにダブルディスクの三つの巻線をさらに作れば、合計四つのダブルディスクの巻線36a、36b、36c、36dになり、要求される総巻き数“80”が形成される。
【0034】
上記したダブルディスクは、転位のために組み立てられなければならず、組み立てによってダブルディスク、すなわちダブルパンケーキの間に合計3回転位されるところが形成される。
【0035】
すなわち、四つの並列導体それぞれを同じ導体同士を連結するのではなく、全体の巻線での四つの並列導体の巻き数が同じになるようにダブルディスクが組み立てられなければならない。すなわち、図5aのように#1、#1'、#2、#2'、#3、#3'、#4、#4'のように導体連結が成り立つ。これは図4のようにダブルディスク内の四つの並列導体において、それぞれの巻き数が異なることを考慮したものである。
【0036】
すなわち、本発明は図6のように四つの並列導体の転位のための各ダブルディスクの巻き数と転位の形態を例示することができるし、ダブルディスク36a、36b、36c、36dの三つの間のところで転位が成り立つ。
【0037】
そして、全体の巻き数を合わせるためには、図7のようにボビンを回転させながら組み立てて全体の巻き数を合わせる。具体的に説明すると、ダブルディスク36a、36bを組み立てる時はボビンが180゜回転されて組み立てられ、ダブルディスク36c、36dを組み立てる時はボビンが180゜回転されて組み立てられる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】従来技術による変圧器の巻線構造を示す図面である。
【図2】従来技術による変圧器の転位を説明する図面である。
【図3】本発明による超伝導体線材の転位を説明するための連続巻の巻線構造を例示図である。
【図4】本発明によるダブルディスクの巻の状態を例示した回路図である。
【図5a】各超伝導線材の連結状態を例示した図面である。
【図5b】各超伝導線材の連結状態を例示した図面である。
【図5c】各超伝導線材の連結状態を例示した図面である。
【図5d】各超伝導線材の連結状態を例示した図面である。
【図6】本発明による転位の形態を説明する図面である。
【図7】本発明によるダブルディスクの組み立て方法を説明する図面である。
【符号の説明】
【0039】
10 鉄心
12〜16 巻線
18 絶縁筒
20 巻線
30 ベース
32 ウィング
34 スペイサー
36 ディスク
36a〜36d ダブルディスク
38 線材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の並列超伝導線材を巻線する少なくとも二つ以上のディスクの間に巻線の始めの位置を異にして組み立て、前記ディスクの間の導体の連結が互いに異なる超伝導線材の間に導体の連結を成すことによって、前記ディスクの外部で転位を形成させることを特徴とする超伝導線材の転位方法。
【請求項2】
前記ディスクの間の巻線の始めの位置は360゜を巻線数で分割した角度に対応される位に変わることを特徴とする請求項1記載の超伝導線材の転位方法。
【請求項3】
前記ディスクを複数個組み立てるにおいて全体の巻線数を等しく維持しながら転位を形成するように一部組み立てられる対を回転させて組み立てることを特徴とする請求項1記載の超伝導線材の転位方法。
【請求項4】
前記一部組み立てられる対は180゜回転して組み立てられることを特徴とする請求項3記載の超伝導線材の転位方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の方法による転位が形成されることを特徴とする変圧器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図6】
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【図7】
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