超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の浄化方法、超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水に含まれる有害細菌類の殺菌方法、及び超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の有害物除去・殺菌による改良方法
【課題】本発明は、超微粒強磁性フェライトを不織布に塗布したナノフィルタの表面から発生する磁力線を利用した簡略、かつ、低コストな構成で、特に飲料水中に含有する鉄分に砒素等の有害物が凝集した凝集物を確実に除去する飲料水の浄化方法を実現し提供するものである。
【解決手段】本発明に係る飲料水の浄化方法は、粒径5nm〜30nmの超微粒フェライトを不織布からなるフィルタ素材に塗布してその表面から磁力線を放射する当該超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを形成し、このナノフィルタを飲料水中に浸漬し一定時間静置して、前記飲料水中の鉄分に凝集し磁性を帯びた砒素、及びその化合物を含む凝集物質に磁力線を作用させて前記超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタにより吸着させ、前記飲料水を浄化する構成としたものである。
【解決手段】本発明に係る飲料水の浄化方法は、粒径5nm〜30nmの超微粒フェライトを不織布からなるフィルタ素材に塗布してその表面から磁力線を放射する当該超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを形成し、このナノフィルタを飲料水中に浸漬し一定時間静置して、前記飲料水中の鉄分に凝集し磁性を帯びた砒素、及びその化合物を含む凝集物質に磁力線を作用させて前記超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタにより吸着させ、前記飲料水を浄化する構成としたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超微粒強磁性フェライトを不織布に塗布したナノフィルタの表面から発生する磁力線を利用した簡略、かつ、低コストな構成で、特に飲料水中に含有する鉄分に砒素等の有害物が凝集した凝集物が磁性を帯び、この凝集物がナノフィルタの表面から発生する磁力線に吸着し、確実に除去するようにした超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の浄化方法、超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水に含まれる有害細菌類の殺菌方法、及び超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の有害物除去・殺菌による改良方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばヒマラヤ山系の水源が地下水となり、この地下水に砒素等の有害物が含まれ、この地下水の下流地域のデルタ地帯に属する国等のように浄水施設、及び上下水道の整備がされていない地域においては、
井戸を掘ると地下水に含まれている砒素等の有害物が井戸水に含まれ、飲料水に使用する場合、飲料水中の砒素等の汚染は深刻な問題となっている。
【0003】
他方、世界保健機構(WHO)は、飲料水中での砒素の許容濃度を0.01mg/Lと低濃度に定めている。
【0004】
したがって、飲料水中の砒素除去に関する簡略安価な浄化技術が世界的に要請されているのが現況である。
【0005】
従来から一般的に行われている飲料水中の砒素処理技術としては、アルミナや活性炭を用いた吸着除去法、鉄イオンを用いた共沈法等が知られている。
【0006】
しかし、フェライト磁性を利用した簡略安価な砒素除去技術は現在のところ見当たらないのが現状である。更には、フェライト磁性を利用した飲料水に含まれる大腸菌等の有害細菌類の殺菌方法、及び、飲料水の有害物除去・殺菌による改良方法も存在しない。
【0007】
特許文献1には、砒素を含有する水をラテライト土壌に接触させ、砒素を吸着除去するようにした砒素除去方法が提案されている。
【0008】
また、特許文献2には、有機砒素を含有する水に対して、光照射により有機基と砒素とを解離させ、解離した砒素を凝集処理することで砒素を除去するようにした有機砒素含有水の処理方法が提案されている。しかし、これら特許文献1、2の場合も、フェライト磁性を利用したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−334541号公報
【特許文献2】特開2006−142282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする問題点は、超微粒強磁性フェライトを不織布に塗布したナノフィルタの表面から発生する磁力線を利用した簡略、かつ、低コストな構成で、特に飲料水中に含有する鉄分に砒素等の有害物が凝集した凝集物が磁性を帯びている。この凝集物はナノフィルタの表面から発生する磁力線に吸着し、除去できる。このように確実に除去し得るような飲料水の浄化方法は存在しない点が大きな特徴であるといえる。
更に、超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタによる飲料水に含まれる大腸菌等の有害細菌類の殺菌方法や飲料水の有害物除去・殺菌による改良方法も存在しない点である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の浄化方法は、超微粒強磁性フェラィトをフィルタ素材である不織布に塗布して形成され、磁力線を放射する当該超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを飲料水中に浸漬し、前記飲料水中の鉄分に凝集し磁性を帯びた砒素、及びその化合物を含む凝集物質に前記磁力線を作用させて前記超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタにより吸着させ、前記飲料水を浄化することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、超微粒強磁性フェラィトをフィルタ素材である不織布に塗布して形成した超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを飲料水に浸漬するだけで、該飲料水に含有する鉄分に凝集する砒素、及びその化合物の優れた除去効果を発揮させることができ、高度の設備が不要で、かつ、煩雑な処理を伴うことがなく、簡便、かつ、低コストで飲料水を浄化することができる超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の浄化方法を実現し提供することができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、粒径5nm〜30nmの超微粒フェライトを不織布からなるフィルタ素材に塗布して形成した超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを使用して、請求項1記載の発明と同様、試料原水に浸漬するだけで、砒素、及びその化合物の優れた除去効果を発揮させることができ、高度の設備が不要で、かつ、煩雑な処理を伴うことがなく、簡便、かつ、低コストで飲料水を浄化することができる超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の浄化方法を実現し提供することができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、粒径5nm〜30nmの超微粒フェライトを長方形状の不織布からなるフィルタ素材に塗布したナノフィルタが形成され、ナノフィルタの表面から磁力線を放射する複数枚の当該超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを飲料水中に並べて浸漬し一定時間静置して、前記飲料水中の鉄分に凝集し磁性を帯びた砒素、及びその化合物を含む凝集物質に超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタの表面からの磁力線を作用させて前記凝集物質を吸着させることができ、砒素、及びその化合物の優れた除去効果を発揮するとともに、高度の設備が不要で、かつ、煩雑な処理を伴うことがなく、簡便、かつ、低コストで飲料水を浄化することが超微粒強磁性フェライト塗布フィルタを用いた飲料水の浄化方法を実現し提供することができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、粒径5nm〜30nmの超微粒フェライトを長方形状の不織布からなるフィルタ素材に塗布してナノフィルタが形成され、ナノフィルタ表面からの磁力線を放射する当該超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを飲料水中に浸漬し一定時間静置して前記飲料水中の鉄分に凝集し磁性を帯びた砒素、及びその化合物を含む凝集物質に超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタから磁力線を作用させて吸着させ、一定時間経過後超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを取り出し洗浄することを複数回繰り返すことによって、砒素、及びその化合物の優れた除去効果を発揮するとともに、高度の設備が不要で、かつ、煩雑な処理を伴うことがなく、簡便、かつ、低コストで飲料水を浄化することができる超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の浄化方法を実現し提供することができる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、大腸菌、黄色ブドウ球菌、枯草菌、緑膿菌等の有害細菌類を超微粒強磁性フェライトから放射されている磁力線と鎖交させ、渦電流を発生して有害細菌類の細胞を破壊し大量に殺菌させることができる超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水に含まれる有害細菌類の殺菌方法を実現し提供することができる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、請求項3の発明と、請求項5の発明を組み合わせた構成の基に、砒素、及びその化合物の優れた除去効果、有害細菌類の大量殺菌効果を発揮させることができる超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の有害物除去・殺菌による改良方法を実現し提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本発明の実施例に係るカルシウム亜鉛フェライトの磁界の強さと磁化の強さとの関連を示す磁化測定図である。
【図2】図2は本実施例に係る隣り合うフェライト塊の間隔を磁石に等価して概念的に示す説明図である。
【図3】図3は本実施例に係る試験例1におけるナノフィルタの概略平面図である。
【図4】図4は本実施例に係る試験例1における試料原水の浄化過程を示す説明図である。
【図5】図5は本実施例に係る試験例1における試料原水の水質、及び導電率の各試験項目についての測定結果一覧を示す図である。
【図6】図6は本実施例に係る試験例1におけるナノフィルタなしの場合における砒素、及びその化合物等の静置時間別の砒素除去率を示す説明図である。
【図7】図7は本実施例に係る試験例1における2000cm2のナノフィルタを用いた場合における砒素、及びその化合物等の静置時間別の砒素除去率を示す説明図である。
【図8】図8は本実施例に係る試験例1における4000cm2のナノフィルタを用いた場合における砒素、及びその化合物等の静置時間別の砒素除去率を示す説明図である。
【図9】図9は本実施例に係る試験例2におけるナノフィルタの概略平面図である。
【図10】図10は本実施例に係る試験例2における試料原水の浄化過程を示す説明図である。
【図11】図11は本実施例に係る試験例2におけるナノフィルタを繰り返し使用した場合における砒素、及びその化合物の濃度、除去率の変化を示す図である。
【図12】図12は本実施例に係る試験例2におけるナノフィルタを繰り返し使用した場合における砒素、及びその化合物の除去率の変化を示すグラフである。
【図13】図13は本発明の他の実施例に係る飲料水中に含まれる枯草菌、大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌に、カルシウム亜鉛フェライトを接触させる振盪接触試験を行った結果のデータを示す表である。
【図14】図14は、飲料水中に含まれる大腸菌にカルシウム亜鉛フェライトの粒子を接触させた場合の顕微鏡写真を示す図である。
【図15】図15は前記大腸菌にカルシウム亜鉛フェライトの粒子を接触させない場合の顕微鏡写真を示す図である。
【図16】図16は飲料水中の黄色ブドウ球菌にカルシウム亜鉛フェライトの粒子を接触させた場合の顕微鏡写真を示す図である。
【図17】図17は前記黄色ブドウ球菌にカルシウム亜鉛フェライトの粒子を接触させない場合の顕微鏡写真を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、超微粒強磁性フェライトを不織布に塗布したナノフィルタの表面から発生する磁力線を利用した簡略、かつ、低コストな構成で、特に飲料水中に含有する鉄分に砒素等の有害物が凝集した凝集物を除去する飲料水の浄化方法を実現し提供するという目的を、粒径5nm〜30nmの超微粒フェライトを不織布からなるフィルタ素材に塗布して形成され、磁力線を放射する当該超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを飲料水中に浸漬し一定時間静置して、前記飲料水中の鉄分に凝集し磁性を帯びた砒素、及びその化合物を含む凝集物質に前記磁力線を作用させて前記超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタにより吸着させ、前記飲料水を浄化する構成により実現した。
【実施例】
【0020】
以下、本発明の実施例に係る超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の浄化方法について詳細に説明する。
【0021】
まず、本実施例に係る超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタ(以下単に「フィルタ」ともいう)1の原理的説明を行う。
【0022】
本実施例に係るナノフィルタ1の主要素となる超微粒強磁性フェライトの磁化の強さについて概説する。
【0023】
図1にカルシウム亜鉛フェライト(CaOZnOFeO2)の磁界の強さと磁化の強さとの関連を示す磁化測定図をそれぞれ示す。
【0024】
図1において磁化の強さは25emu/g及び26emu/gとなっている。それぞれガウスに換算すると、約1630ガウス及び1700ガウスに相当する。
【0025】
したがって、図2に示すように、超微粒強磁性のカルシウム亜鉛フェライトのフェライト磁粉(超微粒)3を、不織布等々のフィルタ素材2に塗布して前記フィルタ1を構成することで、このナノフィルタ1の近傍領域に強力な磁場が形成されて磁力線を放射する状態となり、磁性を含む物質(磁性体)を吸着する作用を発揮する。
【0026】
ところで、井戸水、河川等を原水として利用する飲料水には鉄分が含まれているが、この鉄分と砒素、マンガン等とは相性がよく、鉄分と、砒素、マンガン等とが凝集するので、これら凝集した物質は磁性を帯びている。
【0027】
このような鉄分と、砒素、マンガン等とが凝集している飲料水をタンク等に貯留し、この飲料水内に前記ナノフィルタ1を浸漬する。
【0028】
これにより、前記ナノフィルタ1の表面からでている磁力線により上記凝集した物質がナノフィルタ1自体に吸着されるので、汚染された飲料水は浄化され、清浄な飲料水として飲用に供することが可能となる。
【0029】
次に、カルシウム亜鉛フェライトの超微粒強磁性フェライト磁粉による磁性を帯びた物質の吸着原理について図2を参照して説明する。
【0030】
本実施例のフェライト磁粉3は、粒度(粒径)5nm〜30nmの超微粒フェライトからなり、フィルタ素材2に所定量塗布される。
【0031】
但し、塗布の際には完全には分散されず、通常凝集した状態、すなわち、フェライト塊となった状態で散布される。フェライト塊の粒度は100nm程度であり、また隣り合うフェライト塊の間隔は約500nm程度である。
【0032】
図2は、この隣り合うフェライト磁粉3(フェライト塊)の間隔を概念的に示すものである。
【0033】
これらのフェライト塊は、強磁性の超微粒であるが、図2に示すように、等価的にN極11とS極12を有する永久磁石に近似できる。
【0034】
そして、N極11からS極12に向って磁力線13が放射され、このとき磁性を帯びた物質14が磁力線13に近づくと、前記物質14がS極の磁性を有する場合にはN極11に、物質14がN極の磁性を有する場合にはS極12に各々吸着される。
【0035】
すなわち、ナノフィルタ1に塗布され含有されている前記フェライト塊により、鉄分と、砒素、マンガン等とが凝集している飲料水中の磁性を有する物質14が吸着され、この結果、汚染された飲料水は浄化され、普通の飲料水として利用できることになる。
【0036】
次に、本実施例に係るナノフィルタ1を用いた飲料水の浄化方法について、具体的試験例を挙げて更に詳述する。
【0037】
(試験例1)
試験例1に係る試験所、試験水、試験期間は、以下の通りである。
試験所:財団法人 北里環境科学センター
神奈川県相模原市北里1丁目15番1号
試験水:
採取地:Comilla Doudkandi Kalair Kandi Banglades
試験期間:2009年4月20日〜4月28日
【0038】
以下、試験例1について図4乃至図8を参照して詳述する。
【0039】
試料原水は、搬入した時点で沈殿が生じていたために、撹拌し均一にして試験用の試料原水とした。
【0040】
試験用の試料原水10Lについて、図4に示すように、0時間後、6時間静置後、24時間静置後に採水した各上澄み液に関して、ナノフィルタ1(図4乃至図8において、「ナノフィルタ」と表記する)なし、2000cm2(25×8cm、10枚)、4000cm2(25×8cm、20枚)のナノフィルタ1使用の各場合について測定した水質及び導電率の各試験項目についての測定結果一覧を図5に示す。
【0041】
なお、0時間後の採水を丸付き数字1で、ナノフィルタ1なしの場合の6時間静置後、24時間静置後の採水を丸付き数字2、3で、2000cm2(25×8cm、10枚)のナノフィルタ使用の場合の6時間静置後、24時間静置後の採水を丸付き数字4、5及び6、7で、4000cm2(25×8cm、20枚)のナノフィルタ1使用の場合の採水を丸付き数字8、9及び10、11で各々表記する。
【0042】
試験項目は、砒素(ヒ素)及びその化合物(mg/L)、鉄及びその化合物(mg/L)、マンガン及びその化合物(mg/L)、カルシウム、マグネシウム等(硬度)(mg/L)、ナトリウム及びその化合物(mg/L)、ホウ素及びその化合物(mg/L)、アルミニウム及びその化合物(mg/L)、銅及びその化合物(mg/L)、亜鉛及びその化合物(mg/L)、セレン及びその化合物(mg/L)、鉛及びその化合物(mg/L)、カドミウム及びその化合物(mg/L)、六価クロム及びその化合物(mg/L)、有機物(全有機炭素(TOC)の量)(mg/L)、pH値、色度(度)、濁度(度)及び導電率(mS/m)である。
【0043】
図6は試料原水10Lについてナノフィルタ1を使用しないで測定した砒素(ヒ素)及びその化合物、鉄及びその化合物、マンガン及びその化合物、色度、濁度に関する減少率(%)を示す。
【0044】
図5、図6から明らかなように、砒素(ヒ素)及びその化合物の濃度は、当初の0.28mg/Lから、静置6時間後で0.084mg/L(減少率約70%)、静置24時間後で0.055mg/L(減少率約80%)まで減少した。
また、鉄及びその化合物(mg/L)、マンガン及びその化合物(mg/L)、色度(度)、濁度(度)についても、砒素(ヒ素)及びその化合物の場合と同様な減少傾向を示した。
【0045】
図7は、2000cm2(25×8cm、10枚)のナノフィルタ1を使用した場合における試験用の試料原水の0時間後、6時間静置後、24時間静置後の夫々の上澄み液の砒素(ヒ素)及びその化合物、鉄及びその化合物、マンガン及びその化合物、色度(度)、濁度(度)に関する除去率(%)を示す。
【0046】
図5、図7から明らかなように、この場合、砒素(ヒ素)及びその化合物の濃度は、当初の0.28mg/Lから、静置6時間後で、0.0036mg/L(除去率約87%)、静置24時間後で、0.0021mg/L(除去率約91%)となった。
【0047】
図8は、4000cm2(25×8cm、20枚)のナノフィルタ1を使用した場合の試験用の試料原水についての、0時間後、6時間静置後、24時間静置後の各上澄み液の砒素(ヒ素)及びその化合物、鉄及びその化合物、マンガン及びその化合物、色度(度)、濁度(度)に関する除去率(%)を示す。
【0048】
図5、図8から明らかなように、この場合、砒素(ヒ素)及びその化合物の濃度は、当初の0.28mg/Lから、静置6時間後で、0.0037mg/L(除去率約87%)、静置24時間後で、0.0015mg/L(除去率約95%)となった。
【0049】
以上から、6時間静置後では2000cm2(25×8cm、10枚)のナノフィルタ1と、4000cm2(25×8cm、20枚)のナノフィルタ1との面積の差による相違は見られなかったが、24時間静置後では、4000cm2(25×8cm、20枚)のナノフィルタ1のほうが除去率が大きかった。
【0050】
この他、鉄及びその化合物、マンガン及びその化合物、色度(度)、濁度(度)に関しては、図6と、図7、図8との比較からも明らかなように、試料原水のみを静置したときとは異なる挙動を示し、砒素及びその化合物と濁度、鉄及びその化合物と色度で同じ減少傾向を示した。
【0051】
なお、前記ナノフィルタ1からの溶出については、亜鉛の溶出がみられたが水質基準内(1mg/L)であるので問題のないレベルであった。
【0052】
以上説明したように、本試験例1において、砒素及びその化合物の除去が最も効果的であったのは、試料原水10Lに4000cm2のナノフィルタ1を浸漬して処理した場合であり、砒素及びその化合物の濃度は、24時間で0.28mg/Lから0.015mg/Lまで除去(除去率94%)することができた。この結果、世界保健機構(WHO)が定める飲料水中の砒素の許容濃度0.01mg/Lを略満足させることができる。
【0053】
このように本実施例に係る超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタ1を用いた飲料水の浄化方法によれば、前記ナノフィルタ1を試料原水に浸漬するだけで砒素及びその化合物の優れた除去効果を発揮させることができ、高度の設備が不要で、かつ、煩雑な処理を伴うことがなく、簡便、かつ、斬新な飲料水の浄化方法を実現し提供することができる。
【0054】
(試験例2)
試験例2に係る試験所、試験水、試験期間は、以下の通りである。
試験所:財団法人 北里環境科学センター
神奈川県相模原市北里1丁目15番1号
試験水:
採取地:Comilla Doudkandi Kalair Kandi Banglades
試験期間:2009年4月20日〜4月28日
【0055】
以下、試験例2について図9乃至図12を参照して詳述する。
【0056】
試験開始時には試料原水に沈殿が生じていたため、図10に示すように、試料原水25Lをタンクに入れ、2時間撹拌した後、250mLを採水して試験用の試料とした。
【0057】
この試料250mLを別のタンクに入れ、既述したナノフィルタ1と同様に構成した図9に示す50cm2(5×10cm)のナノフィルタ1A((図10乃至図12において、「ナノフィルタ」と表記する)を浸潰し、24時間静置した上澄み液を測定試料とした。
【0058】
この操作を同じナノフィルタ1Aを用いて各操作毎に精製水で表面の洗浄を行い、最大5回(n=2)まで繰り返し行って砒素及びその化合物の濃度を測定した。
【0059】
なお、図10において、試験用の試料原水250mLの0時間後の採水を丸付き数字1で、24時間静置後の採水を丸付き数字2で、ナノフィルタ1A浸潰後における24時間後の採水を丸付き数字3乃至12で各々表記する。
【0060】
また、ナノフィルタ1A浸潰なしで24時間静置した上澄み液をコントロールとした。
【0061】
試験例2における砒素及びその化合物の濃度の測定結果とその除去率とを図11に、同じくナノフィルタ1A浸潰なし、使用回数1乃至5回の各場合の除去率の比較グラフを図12に示す。
【0062】
図11、図12に示すように、試料原水250mLに、50cm2(5×10cm)のナノフィルタ1Aを24時間浸潰し、繰り返し使用(5回)した時の砒素及びその化合物の除去率は、試料原水の砒素濃度約0.31mg/Lに対して24時間後で平均0.022mg/L(94%)から0.038mg/L(88%)となり、除去率は繰り返し回数の増加とともに減少傾向を示した。
【0063】
一方、コントロールの24時間経過後の砒素及びその化合物の濃度は0.052mg/L(減少率83%)であった。
【0064】
このように試験例2に係るナノフィルタ1Aを用いた飲料水の浄化方法によれば、このナノフィルタ1Aを試料原水に浸漬するだけで砒素及びその化合物の優れた除去効果を発揮させることができ、高度の設備が不要で、かつ、煩雑な処理を伴うことがなく、簡便、かつ、斬新な飲料水の浄化方法を構築することができる。
【0065】
この試験例2に係るナノフィルタ1Aを用いた飲料水の浄化方法の場合、同じナノフィルタ1Aを繰り返し使用できるため、試験例1に係るナノフィルタ1を用いる場合に比べよりコスト削減を図ることが可能となる。
【0066】
なお、試験例2に係るナノフィルタ1Aを用いた飲料水の浄化方法の場合、試験例1のナノフィルタ1を用いた飲料水の浄化方法に比べ砒素及びその化合物の除去率はナノフィルタ1Aの繰り返し使用回数が3回、4回、5回と増加するほど低くなるが、水質の汚濁状況に応じて砒素及びその化合物の除去率が相違するので、このナノフィルタ1Aの実用面では使用現場の飲料水の汚濁状況を十分に考慮することが肝要となる。
【0067】
次に、図13乃至図17を参照して、本発明の他の実施例に係る超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水に含まれる有害細菌類の殺菌方法について説明する。
【0068】
この他の実施例の殺菌方法は、既述した構成のナノフィルタ1又はナノフィルタ1Aを、井戸水等の飲料水中に並べて浸漬して、飲料水中に含まれる大腸菌、黄色ブドウ球菌、枯草菌、緑膿菌等の有害細菌類を殺菌するものである。
【0069】
すなわち、超微粒強磁性フェライトを塗布した前記ナノフィルタ1(又は前記フィルタ1A)に井戸水等の飲料水が接触し又は通過すると、有害細菌類が活動し超微粒強磁性フェライトから放射されている磁力線と鎖交する状態となり、電磁誘導則により渦電流が発生する。そして、この渦電流が有害細菌類に作用してその細胞を破壊し殺菌させる。
【0070】
この他の実施例の殺菌方法は極めて斬新であり、かつ、安全無害である点に特徴がある。
【0071】
この他の実施例の殺菌方法による具体的試験例について、図13乃至図17を参照して説明する。
【0072】
図13は、飲料水中に含まれる枯草菌、大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌に、カルシウム亜鉛フェライト(CaOZnOFeO2)を接触させる振盪接触試験を行った結果のデータを示す。
【0073】
図14は、飲料水中に含まれる大腸菌にカルシウム亜鉛フェライトの粒子を接触させた場合の顕微鏡写真を示し、図15は、前記大腸菌にカルシウム亜鉛フェライトの粒子を接触させない場合の顕微鏡写真を示す。
【0074】
図16は、飲料水中の黄色ブドウ球菌にカルシウム亜鉛フェライトの粒子を接触させた場合の顕微鏡写真を示し、図17は、前記黄色ブドウ球菌にカルシウム亜鉛フェライトの粒子を接触させない場合の顕微鏡写真を示す。
【0075】
図13に示す実験データと、図14、図15に示す顕微鏡写真の比較から、大腸菌に関して本発明の他の実施例の殺菌方法の効果は明白であり、大腸菌を大量に殺菌させる効果を発揮する。
【0076】
同様に図13に示す実験データと、図16、図17に示す顕微鏡写真の比較から、黄色ブドウ球菌に関しても本発明の他の実施例の殺菌方法の効果は明白であり、黄色ブドウ球菌を大量に殺菌させる効果を発揮する。
【0077】
更に、図13に示す実験データから、枯草菌、緑膿菌に関しても、これらを大量に殺菌させる効果を発揮することは明らかである。
【0078】
次に、既述した実施例の浄化方法と、他の実施例の殺菌方法とを組み合わせた飲料水の有害物除去・殺菌による改良方法について説明する。
【0079】
この飲料水の有害物除去・殺菌による改良方法は、既述した実施例の浄化方法と、他の実施例の殺菌方法とを、同時進行させるものである。
【0080】
すなわち、この飲料水の有害物除去・殺菌による改良方法は、既述した構成のナノフィルタ1又はナノフィルタ1Aを、井戸水等の飲料水中に並べて浸漬して、既述した吸着作用による飲料水中に含まれる砒素、及びその化合物の除去と、既述した渦電流による有害細菌類の細胞破壊作用により飲料水中に含まれる大腸菌、黄色ブドウ球菌、枯草菌、緑膿菌等の有害細菌類の殺菌を同時に行い、飲料水の水質を大幅に改良するものである。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の飲料水の浄化方法は、日本国内はもとより、ヒマラヤ山系に属する国をはじめ浄水施設、及び上下水道の整備されていない世界中の国や地域における飲料水の浄化用として広範に適用可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 ナノフィルタ
1A ナノフィルタ
2 フィルタ素材
3 フェライト磁粉
11 N極
12 S極
13 磁力線
14 磁性を帯びた物質
【技術分野】
【0001】
本発明は、超微粒強磁性フェライトを不織布に塗布したナノフィルタの表面から発生する磁力線を利用した簡略、かつ、低コストな構成で、特に飲料水中に含有する鉄分に砒素等の有害物が凝集した凝集物が磁性を帯び、この凝集物がナノフィルタの表面から発生する磁力線に吸着し、確実に除去するようにした超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の浄化方法、超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水に含まれる有害細菌類の殺菌方法、及び超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の有害物除去・殺菌による改良方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばヒマラヤ山系の水源が地下水となり、この地下水に砒素等の有害物が含まれ、この地下水の下流地域のデルタ地帯に属する国等のように浄水施設、及び上下水道の整備がされていない地域においては、
井戸を掘ると地下水に含まれている砒素等の有害物が井戸水に含まれ、飲料水に使用する場合、飲料水中の砒素等の汚染は深刻な問題となっている。
【0003】
他方、世界保健機構(WHO)は、飲料水中での砒素の許容濃度を0.01mg/Lと低濃度に定めている。
【0004】
したがって、飲料水中の砒素除去に関する簡略安価な浄化技術が世界的に要請されているのが現況である。
【0005】
従来から一般的に行われている飲料水中の砒素処理技術としては、アルミナや活性炭を用いた吸着除去法、鉄イオンを用いた共沈法等が知られている。
【0006】
しかし、フェライト磁性を利用した簡略安価な砒素除去技術は現在のところ見当たらないのが現状である。更には、フェライト磁性を利用した飲料水に含まれる大腸菌等の有害細菌類の殺菌方法、及び、飲料水の有害物除去・殺菌による改良方法も存在しない。
【0007】
特許文献1には、砒素を含有する水をラテライト土壌に接触させ、砒素を吸着除去するようにした砒素除去方法が提案されている。
【0008】
また、特許文献2には、有機砒素を含有する水に対して、光照射により有機基と砒素とを解離させ、解離した砒素を凝集処理することで砒素を除去するようにした有機砒素含有水の処理方法が提案されている。しかし、これら特許文献1、2の場合も、フェライト磁性を利用したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−334541号公報
【特許文献2】特開2006−142282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする問題点は、超微粒強磁性フェライトを不織布に塗布したナノフィルタの表面から発生する磁力線を利用した簡略、かつ、低コストな構成で、特に飲料水中に含有する鉄分に砒素等の有害物が凝集した凝集物が磁性を帯びている。この凝集物はナノフィルタの表面から発生する磁力線に吸着し、除去できる。このように確実に除去し得るような飲料水の浄化方法は存在しない点が大きな特徴であるといえる。
更に、超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタによる飲料水に含まれる大腸菌等の有害細菌類の殺菌方法や飲料水の有害物除去・殺菌による改良方法も存在しない点である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の浄化方法は、超微粒強磁性フェラィトをフィルタ素材である不織布に塗布して形成され、磁力線を放射する当該超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを飲料水中に浸漬し、前記飲料水中の鉄分に凝集し磁性を帯びた砒素、及びその化合物を含む凝集物質に前記磁力線を作用させて前記超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタにより吸着させ、前記飲料水を浄化することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、超微粒強磁性フェラィトをフィルタ素材である不織布に塗布して形成した超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを飲料水に浸漬するだけで、該飲料水に含有する鉄分に凝集する砒素、及びその化合物の優れた除去効果を発揮させることができ、高度の設備が不要で、かつ、煩雑な処理を伴うことがなく、簡便、かつ、低コストで飲料水を浄化することができる超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の浄化方法を実現し提供することができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、粒径5nm〜30nmの超微粒フェライトを不織布からなるフィルタ素材に塗布して形成した超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを使用して、請求項1記載の発明と同様、試料原水に浸漬するだけで、砒素、及びその化合物の優れた除去効果を発揮させることができ、高度の設備が不要で、かつ、煩雑な処理を伴うことがなく、簡便、かつ、低コストで飲料水を浄化することができる超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の浄化方法を実現し提供することができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、粒径5nm〜30nmの超微粒フェライトを長方形状の不織布からなるフィルタ素材に塗布したナノフィルタが形成され、ナノフィルタの表面から磁力線を放射する複数枚の当該超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを飲料水中に並べて浸漬し一定時間静置して、前記飲料水中の鉄分に凝集し磁性を帯びた砒素、及びその化合物を含む凝集物質に超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタの表面からの磁力線を作用させて前記凝集物質を吸着させることができ、砒素、及びその化合物の優れた除去効果を発揮するとともに、高度の設備が不要で、かつ、煩雑な処理を伴うことがなく、簡便、かつ、低コストで飲料水を浄化することが超微粒強磁性フェライト塗布フィルタを用いた飲料水の浄化方法を実現し提供することができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、粒径5nm〜30nmの超微粒フェライトを長方形状の不織布からなるフィルタ素材に塗布してナノフィルタが形成され、ナノフィルタ表面からの磁力線を放射する当該超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを飲料水中に浸漬し一定時間静置して前記飲料水中の鉄分に凝集し磁性を帯びた砒素、及びその化合物を含む凝集物質に超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタから磁力線を作用させて吸着させ、一定時間経過後超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを取り出し洗浄することを複数回繰り返すことによって、砒素、及びその化合物の優れた除去効果を発揮するとともに、高度の設備が不要で、かつ、煩雑な処理を伴うことがなく、簡便、かつ、低コストで飲料水を浄化することができる超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の浄化方法を実現し提供することができる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、大腸菌、黄色ブドウ球菌、枯草菌、緑膿菌等の有害細菌類を超微粒強磁性フェライトから放射されている磁力線と鎖交させ、渦電流を発生して有害細菌類の細胞を破壊し大量に殺菌させることができる超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水に含まれる有害細菌類の殺菌方法を実現し提供することができる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、請求項3の発明と、請求項5の発明を組み合わせた構成の基に、砒素、及びその化合物の優れた除去効果、有害細菌類の大量殺菌効果を発揮させることができる超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の有害物除去・殺菌による改良方法を実現し提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本発明の実施例に係るカルシウム亜鉛フェライトの磁界の強さと磁化の強さとの関連を示す磁化測定図である。
【図2】図2は本実施例に係る隣り合うフェライト塊の間隔を磁石に等価して概念的に示す説明図である。
【図3】図3は本実施例に係る試験例1におけるナノフィルタの概略平面図である。
【図4】図4は本実施例に係る試験例1における試料原水の浄化過程を示す説明図である。
【図5】図5は本実施例に係る試験例1における試料原水の水質、及び導電率の各試験項目についての測定結果一覧を示す図である。
【図6】図6は本実施例に係る試験例1におけるナノフィルタなしの場合における砒素、及びその化合物等の静置時間別の砒素除去率を示す説明図である。
【図7】図7は本実施例に係る試験例1における2000cm2のナノフィルタを用いた場合における砒素、及びその化合物等の静置時間別の砒素除去率を示す説明図である。
【図8】図8は本実施例に係る試験例1における4000cm2のナノフィルタを用いた場合における砒素、及びその化合物等の静置時間別の砒素除去率を示す説明図である。
【図9】図9は本実施例に係る試験例2におけるナノフィルタの概略平面図である。
【図10】図10は本実施例に係る試験例2における試料原水の浄化過程を示す説明図である。
【図11】図11は本実施例に係る試験例2におけるナノフィルタを繰り返し使用した場合における砒素、及びその化合物の濃度、除去率の変化を示す図である。
【図12】図12は本実施例に係る試験例2におけるナノフィルタを繰り返し使用した場合における砒素、及びその化合物の除去率の変化を示すグラフである。
【図13】図13は本発明の他の実施例に係る飲料水中に含まれる枯草菌、大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌に、カルシウム亜鉛フェライトを接触させる振盪接触試験を行った結果のデータを示す表である。
【図14】図14は、飲料水中に含まれる大腸菌にカルシウム亜鉛フェライトの粒子を接触させた場合の顕微鏡写真を示す図である。
【図15】図15は前記大腸菌にカルシウム亜鉛フェライトの粒子を接触させない場合の顕微鏡写真を示す図である。
【図16】図16は飲料水中の黄色ブドウ球菌にカルシウム亜鉛フェライトの粒子を接触させた場合の顕微鏡写真を示す図である。
【図17】図17は前記黄色ブドウ球菌にカルシウム亜鉛フェライトの粒子を接触させない場合の顕微鏡写真を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、超微粒強磁性フェライトを不織布に塗布したナノフィルタの表面から発生する磁力線を利用した簡略、かつ、低コストな構成で、特に飲料水中に含有する鉄分に砒素等の有害物が凝集した凝集物を除去する飲料水の浄化方法を実現し提供するという目的を、粒径5nm〜30nmの超微粒フェライトを不織布からなるフィルタ素材に塗布して形成され、磁力線を放射する当該超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを飲料水中に浸漬し一定時間静置して、前記飲料水中の鉄分に凝集し磁性を帯びた砒素、及びその化合物を含む凝集物質に前記磁力線を作用させて前記超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタにより吸着させ、前記飲料水を浄化する構成により実現した。
【実施例】
【0020】
以下、本発明の実施例に係る超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の浄化方法について詳細に説明する。
【0021】
まず、本実施例に係る超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタ(以下単に「フィルタ」ともいう)1の原理的説明を行う。
【0022】
本実施例に係るナノフィルタ1の主要素となる超微粒強磁性フェライトの磁化の強さについて概説する。
【0023】
図1にカルシウム亜鉛フェライト(CaOZnOFeO2)の磁界の強さと磁化の強さとの関連を示す磁化測定図をそれぞれ示す。
【0024】
図1において磁化の強さは25emu/g及び26emu/gとなっている。それぞれガウスに換算すると、約1630ガウス及び1700ガウスに相当する。
【0025】
したがって、図2に示すように、超微粒強磁性のカルシウム亜鉛フェライトのフェライト磁粉(超微粒)3を、不織布等々のフィルタ素材2に塗布して前記フィルタ1を構成することで、このナノフィルタ1の近傍領域に強力な磁場が形成されて磁力線を放射する状態となり、磁性を含む物質(磁性体)を吸着する作用を発揮する。
【0026】
ところで、井戸水、河川等を原水として利用する飲料水には鉄分が含まれているが、この鉄分と砒素、マンガン等とは相性がよく、鉄分と、砒素、マンガン等とが凝集するので、これら凝集した物質は磁性を帯びている。
【0027】
このような鉄分と、砒素、マンガン等とが凝集している飲料水をタンク等に貯留し、この飲料水内に前記ナノフィルタ1を浸漬する。
【0028】
これにより、前記ナノフィルタ1の表面からでている磁力線により上記凝集した物質がナノフィルタ1自体に吸着されるので、汚染された飲料水は浄化され、清浄な飲料水として飲用に供することが可能となる。
【0029】
次に、カルシウム亜鉛フェライトの超微粒強磁性フェライト磁粉による磁性を帯びた物質の吸着原理について図2を参照して説明する。
【0030】
本実施例のフェライト磁粉3は、粒度(粒径)5nm〜30nmの超微粒フェライトからなり、フィルタ素材2に所定量塗布される。
【0031】
但し、塗布の際には完全には分散されず、通常凝集した状態、すなわち、フェライト塊となった状態で散布される。フェライト塊の粒度は100nm程度であり、また隣り合うフェライト塊の間隔は約500nm程度である。
【0032】
図2は、この隣り合うフェライト磁粉3(フェライト塊)の間隔を概念的に示すものである。
【0033】
これらのフェライト塊は、強磁性の超微粒であるが、図2に示すように、等価的にN極11とS極12を有する永久磁石に近似できる。
【0034】
そして、N極11からS極12に向って磁力線13が放射され、このとき磁性を帯びた物質14が磁力線13に近づくと、前記物質14がS極の磁性を有する場合にはN極11に、物質14がN極の磁性を有する場合にはS極12に各々吸着される。
【0035】
すなわち、ナノフィルタ1に塗布され含有されている前記フェライト塊により、鉄分と、砒素、マンガン等とが凝集している飲料水中の磁性を有する物質14が吸着され、この結果、汚染された飲料水は浄化され、普通の飲料水として利用できることになる。
【0036】
次に、本実施例に係るナノフィルタ1を用いた飲料水の浄化方法について、具体的試験例を挙げて更に詳述する。
【0037】
(試験例1)
試験例1に係る試験所、試験水、試験期間は、以下の通りである。
試験所:財団法人 北里環境科学センター
神奈川県相模原市北里1丁目15番1号
試験水:
採取地:Comilla Doudkandi Kalair Kandi Banglades
試験期間:2009年4月20日〜4月28日
【0038】
以下、試験例1について図4乃至図8を参照して詳述する。
【0039】
試料原水は、搬入した時点で沈殿が生じていたために、撹拌し均一にして試験用の試料原水とした。
【0040】
試験用の試料原水10Lについて、図4に示すように、0時間後、6時間静置後、24時間静置後に採水した各上澄み液に関して、ナノフィルタ1(図4乃至図8において、「ナノフィルタ」と表記する)なし、2000cm2(25×8cm、10枚)、4000cm2(25×8cm、20枚)のナノフィルタ1使用の各場合について測定した水質及び導電率の各試験項目についての測定結果一覧を図5に示す。
【0041】
なお、0時間後の採水を丸付き数字1で、ナノフィルタ1なしの場合の6時間静置後、24時間静置後の採水を丸付き数字2、3で、2000cm2(25×8cm、10枚)のナノフィルタ使用の場合の6時間静置後、24時間静置後の採水を丸付き数字4、5及び6、7で、4000cm2(25×8cm、20枚)のナノフィルタ1使用の場合の採水を丸付き数字8、9及び10、11で各々表記する。
【0042】
試験項目は、砒素(ヒ素)及びその化合物(mg/L)、鉄及びその化合物(mg/L)、マンガン及びその化合物(mg/L)、カルシウム、マグネシウム等(硬度)(mg/L)、ナトリウム及びその化合物(mg/L)、ホウ素及びその化合物(mg/L)、アルミニウム及びその化合物(mg/L)、銅及びその化合物(mg/L)、亜鉛及びその化合物(mg/L)、セレン及びその化合物(mg/L)、鉛及びその化合物(mg/L)、カドミウム及びその化合物(mg/L)、六価クロム及びその化合物(mg/L)、有機物(全有機炭素(TOC)の量)(mg/L)、pH値、色度(度)、濁度(度)及び導電率(mS/m)である。
【0043】
図6は試料原水10Lについてナノフィルタ1を使用しないで測定した砒素(ヒ素)及びその化合物、鉄及びその化合物、マンガン及びその化合物、色度、濁度に関する減少率(%)を示す。
【0044】
図5、図6から明らかなように、砒素(ヒ素)及びその化合物の濃度は、当初の0.28mg/Lから、静置6時間後で0.084mg/L(減少率約70%)、静置24時間後で0.055mg/L(減少率約80%)まで減少した。
また、鉄及びその化合物(mg/L)、マンガン及びその化合物(mg/L)、色度(度)、濁度(度)についても、砒素(ヒ素)及びその化合物の場合と同様な減少傾向を示した。
【0045】
図7は、2000cm2(25×8cm、10枚)のナノフィルタ1を使用した場合における試験用の試料原水の0時間後、6時間静置後、24時間静置後の夫々の上澄み液の砒素(ヒ素)及びその化合物、鉄及びその化合物、マンガン及びその化合物、色度(度)、濁度(度)に関する除去率(%)を示す。
【0046】
図5、図7から明らかなように、この場合、砒素(ヒ素)及びその化合物の濃度は、当初の0.28mg/Lから、静置6時間後で、0.0036mg/L(除去率約87%)、静置24時間後で、0.0021mg/L(除去率約91%)となった。
【0047】
図8は、4000cm2(25×8cm、20枚)のナノフィルタ1を使用した場合の試験用の試料原水についての、0時間後、6時間静置後、24時間静置後の各上澄み液の砒素(ヒ素)及びその化合物、鉄及びその化合物、マンガン及びその化合物、色度(度)、濁度(度)に関する除去率(%)を示す。
【0048】
図5、図8から明らかなように、この場合、砒素(ヒ素)及びその化合物の濃度は、当初の0.28mg/Lから、静置6時間後で、0.0037mg/L(除去率約87%)、静置24時間後で、0.0015mg/L(除去率約95%)となった。
【0049】
以上から、6時間静置後では2000cm2(25×8cm、10枚)のナノフィルタ1と、4000cm2(25×8cm、20枚)のナノフィルタ1との面積の差による相違は見られなかったが、24時間静置後では、4000cm2(25×8cm、20枚)のナノフィルタ1のほうが除去率が大きかった。
【0050】
この他、鉄及びその化合物、マンガン及びその化合物、色度(度)、濁度(度)に関しては、図6と、図7、図8との比較からも明らかなように、試料原水のみを静置したときとは異なる挙動を示し、砒素及びその化合物と濁度、鉄及びその化合物と色度で同じ減少傾向を示した。
【0051】
なお、前記ナノフィルタ1からの溶出については、亜鉛の溶出がみられたが水質基準内(1mg/L)であるので問題のないレベルであった。
【0052】
以上説明したように、本試験例1において、砒素及びその化合物の除去が最も効果的であったのは、試料原水10Lに4000cm2のナノフィルタ1を浸漬して処理した場合であり、砒素及びその化合物の濃度は、24時間で0.28mg/Lから0.015mg/Lまで除去(除去率94%)することができた。この結果、世界保健機構(WHO)が定める飲料水中の砒素の許容濃度0.01mg/Lを略満足させることができる。
【0053】
このように本実施例に係る超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタ1を用いた飲料水の浄化方法によれば、前記ナノフィルタ1を試料原水に浸漬するだけで砒素及びその化合物の優れた除去効果を発揮させることができ、高度の設備が不要で、かつ、煩雑な処理を伴うことがなく、簡便、かつ、斬新な飲料水の浄化方法を実現し提供することができる。
【0054】
(試験例2)
試験例2に係る試験所、試験水、試験期間は、以下の通りである。
試験所:財団法人 北里環境科学センター
神奈川県相模原市北里1丁目15番1号
試験水:
採取地:Comilla Doudkandi Kalair Kandi Banglades
試験期間:2009年4月20日〜4月28日
【0055】
以下、試験例2について図9乃至図12を参照して詳述する。
【0056】
試験開始時には試料原水に沈殿が生じていたため、図10に示すように、試料原水25Lをタンクに入れ、2時間撹拌した後、250mLを採水して試験用の試料とした。
【0057】
この試料250mLを別のタンクに入れ、既述したナノフィルタ1と同様に構成した図9に示す50cm2(5×10cm)のナノフィルタ1A((図10乃至図12において、「ナノフィルタ」と表記する)を浸潰し、24時間静置した上澄み液を測定試料とした。
【0058】
この操作を同じナノフィルタ1Aを用いて各操作毎に精製水で表面の洗浄を行い、最大5回(n=2)まで繰り返し行って砒素及びその化合物の濃度を測定した。
【0059】
なお、図10において、試験用の試料原水250mLの0時間後の採水を丸付き数字1で、24時間静置後の採水を丸付き数字2で、ナノフィルタ1A浸潰後における24時間後の採水を丸付き数字3乃至12で各々表記する。
【0060】
また、ナノフィルタ1A浸潰なしで24時間静置した上澄み液をコントロールとした。
【0061】
試験例2における砒素及びその化合物の濃度の測定結果とその除去率とを図11に、同じくナノフィルタ1A浸潰なし、使用回数1乃至5回の各場合の除去率の比較グラフを図12に示す。
【0062】
図11、図12に示すように、試料原水250mLに、50cm2(5×10cm)のナノフィルタ1Aを24時間浸潰し、繰り返し使用(5回)した時の砒素及びその化合物の除去率は、試料原水の砒素濃度約0.31mg/Lに対して24時間後で平均0.022mg/L(94%)から0.038mg/L(88%)となり、除去率は繰り返し回数の増加とともに減少傾向を示した。
【0063】
一方、コントロールの24時間経過後の砒素及びその化合物の濃度は0.052mg/L(減少率83%)であった。
【0064】
このように試験例2に係るナノフィルタ1Aを用いた飲料水の浄化方法によれば、このナノフィルタ1Aを試料原水に浸漬するだけで砒素及びその化合物の優れた除去効果を発揮させることができ、高度の設備が不要で、かつ、煩雑な処理を伴うことがなく、簡便、かつ、斬新な飲料水の浄化方法を構築することができる。
【0065】
この試験例2に係るナノフィルタ1Aを用いた飲料水の浄化方法の場合、同じナノフィルタ1Aを繰り返し使用できるため、試験例1に係るナノフィルタ1を用いる場合に比べよりコスト削減を図ることが可能となる。
【0066】
なお、試験例2に係るナノフィルタ1Aを用いた飲料水の浄化方法の場合、試験例1のナノフィルタ1を用いた飲料水の浄化方法に比べ砒素及びその化合物の除去率はナノフィルタ1Aの繰り返し使用回数が3回、4回、5回と増加するほど低くなるが、水質の汚濁状況に応じて砒素及びその化合物の除去率が相違するので、このナノフィルタ1Aの実用面では使用現場の飲料水の汚濁状況を十分に考慮することが肝要となる。
【0067】
次に、図13乃至図17を参照して、本発明の他の実施例に係る超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水に含まれる有害細菌類の殺菌方法について説明する。
【0068】
この他の実施例の殺菌方法は、既述した構成のナノフィルタ1又はナノフィルタ1Aを、井戸水等の飲料水中に並べて浸漬して、飲料水中に含まれる大腸菌、黄色ブドウ球菌、枯草菌、緑膿菌等の有害細菌類を殺菌するものである。
【0069】
すなわち、超微粒強磁性フェライトを塗布した前記ナノフィルタ1(又は前記フィルタ1A)に井戸水等の飲料水が接触し又は通過すると、有害細菌類が活動し超微粒強磁性フェライトから放射されている磁力線と鎖交する状態となり、電磁誘導則により渦電流が発生する。そして、この渦電流が有害細菌類に作用してその細胞を破壊し殺菌させる。
【0070】
この他の実施例の殺菌方法は極めて斬新であり、かつ、安全無害である点に特徴がある。
【0071】
この他の実施例の殺菌方法による具体的試験例について、図13乃至図17を参照して説明する。
【0072】
図13は、飲料水中に含まれる枯草菌、大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌に、カルシウム亜鉛フェライト(CaOZnOFeO2)を接触させる振盪接触試験を行った結果のデータを示す。
【0073】
図14は、飲料水中に含まれる大腸菌にカルシウム亜鉛フェライトの粒子を接触させた場合の顕微鏡写真を示し、図15は、前記大腸菌にカルシウム亜鉛フェライトの粒子を接触させない場合の顕微鏡写真を示す。
【0074】
図16は、飲料水中の黄色ブドウ球菌にカルシウム亜鉛フェライトの粒子を接触させた場合の顕微鏡写真を示し、図17は、前記黄色ブドウ球菌にカルシウム亜鉛フェライトの粒子を接触させない場合の顕微鏡写真を示す。
【0075】
図13に示す実験データと、図14、図15に示す顕微鏡写真の比較から、大腸菌に関して本発明の他の実施例の殺菌方法の効果は明白であり、大腸菌を大量に殺菌させる効果を発揮する。
【0076】
同様に図13に示す実験データと、図16、図17に示す顕微鏡写真の比較から、黄色ブドウ球菌に関しても本発明の他の実施例の殺菌方法の効果は明白であり、黄色ブドウ球菌を大量に殺菌させる効果を発揮する。
【0077】
更に、図13に示す実験データから、枯草菌、緑膿菌に関しても、これらを大量に殺菌させる効果を発揮することは明らかである。
【0078】
次に、既述した実施例の浄化方法と、他の実施例の殺菌方法とを組み合わせた飲料水の有害物除去・殺菌による改良方法について説明する。
【0079】
この飲料水の有害物除去・殺菌による改良方法は、既述した実施例の浄化方法と、他の実施例の殺菌方法とを、同時進行させるものである。
【0080】
すなわち、この飲料水の有害物除去・殺菌による改良方法は、既述した構成のナノフィルタ1又はナノフィルタ1Aを、井戸水等の飲料水中に並べて浸漬して、既述した吸着作用による飲料水中に含まれる砒素、及びその化合物の除去と、既述した渦電流による有害細菌類の細胞破壊作用により飲料水中に含まれる大腸菌、黄色ブドウ球菌、枯草菌、緑膿菌等の有害細菌類の殺菌を同時に行い、飲料水の水質を大幅に改良するものである。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の飲料水の浄化方法は、日本国内はもとより、ヒマラヤ山系に属する国をはじめ浄水施設、及び上下水道の整備されていない世界中の国や地域における飲料水の浄化用として広範に適用可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 ナノフィルタ
1A ナノフィルタ
2 フィルタ素材
3 フェライト磁粉
11 N極
12 S極
13 磁力線
14 磁性を帯びた物質
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超微粒強磁性フェラィトをフィルタ素材である不織布に塗布して形成され、磁力線を放射する当該超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを飲料水中に浸漬し、
前記飲料水中の鉄分に凝集し磁性を帯びた砒素、及びその化合物を含む凝集物質に前記磁力線を作用させて前記超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタにより吸着させ、前記飲料水を浄化することを特徴とする超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の浄化方法。
【請求項2】
粒径5nm〜30nmの超微粒フェライトを不織布からなるフィルタ素材に塗布して形成され、磁力線を放射する当該超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを飲料水中に浸漬し一定時間静置して、
前記飲料水中の鉄分に凝集し磁性を帯びた砒素、及びその化合物を含む凝集物質に前記磁力線を作用させて前記超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタにより吸着させ、前記飲料水を浄化することを特徴とする超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の浄化方法。
【請求項3】
粒径5nm〜30nmの超微粒フェライトを長方形状の不織布からなるフィルタ素材に塗布して形成され、磁力線を放射する複数枚の当該超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを飲料水中に並べて浸漬し一定時間静置して、
前記飲料水中の鉄分に凝集し磁性を帯びた砒素、及びその化合物を含む凝集物質に各超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタから磁力線を作用させて前記各超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタにより吸着させ、前記飲料水を浄化することを特徴とする超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の浄化方法。
【請求項4】
粒径5nm〜30nmの超微粒フェライトを長方形状の不織布からなるフィルタ素材に塗布して形成され、磁力線を放射する当該超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを飲料水中に浸漬し一定時間静置して前記飲料水中の鉄分に凝集し磁性を帯びた砒素、及びその化合物を含む凝集物質に超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタから磁力線を作用させて吸着させる過程と、
一定時間経過後超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを取り出し洗浄する過程と、
を複数回繰り返し前記飲料水を浄化することを特徴とする超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の浄化方法。
【請求項5】
粒径5nm〜30nmの超微粒フェライトを長方形状の不織布からなるフィルタ素材に塗布して形成され、磁力線を放射する複数枚の当該超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを飲料水中に並べて浸漬し一定時間接触させて、
前記飲料水中の大腸菌、黄色ブドウ球菌、枯草菌、緑膿菌等の有害細菌類を超微粒強磁性フェライトから放射されている磁力線と鎖交させ、渦電流を発生して有害細菌類の細胞を破壊し殺菌させることを特徴とする超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水に含まれる有害細菌類の殺菌方法。
【請求項6】
粒径5nm〜30nmの超微粒フェライトを長方形状の不織布からなるフィルタ素材に塗布して形成され、磁力線を放射する複数枚の当該超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを飲料水中に並べて浸漬し一定時間接触させて、前記飲料水中の鉄分に凝集し磁性を帯びた砒素、及びその化合物を含む凝集物質に各超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタから磁力線を作用させて前記各超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタにより吸着させ、前記飲料水を浄化するとともに、
前記飲料水中の大腸菌、黄色ブドウ球菌、枯草菌、緑膿菌等の有害細菌類を超微粒強磁性フェライトから放射されている磁力線と鎖交させ、渦電流を発生して有害細菌類の細胞を破壊し殺菌させること、
を特徴とする飲料水の有害物除去・殺菌による改良方法。
【請求項1】
超微粒強磁性フェラィトをフィルタ素材である不織布に塗布して形成され、磁力線を放射する当該超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを飲料水中に浸漬し、
前記飲料水中の鉄分に凝集し磁性を帯びた砒素、及びその化合物を含む凝集物質に前記磁力線を作用させて前記超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタにより吸着させ、前記飲料水を浄化することを特徴とする超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の浄化方法。
【請求項2】
粒径5nm〜30nmの超微粒フェライトを不織布からなるフィルタ素材に塗布して形成され、磁力線を放射する当該超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを飲料水中に浸漬し一定時間静置して、
前記飲料水中の鉄分に凝集し磁性を帯びた砒素、及びその化合物を含む凝集物質に前記磁力線を作用させて前記超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタにより吸着させ、前記飲料水を浄化することを特徴とする超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の浄化方法。
【請求項3】
粒径5nm〜30nmの超微粒フェライトを長方形状の不織布からなるフィルタ素材に塗布して形成され、磁力線を放射する複数枚の当該超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを飲料水中に並べて浸漬し一定時間静置して、
前記飲料水中の鉄分に凝集し磁性を帯びた砒素、及びその化合物を含む凝集物質に各超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタから磁力線を作用させて前記各超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタにより吸着させ、前記飲料水を浄化することを特徴とする超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の浄化方法。
【請求項4】
粒径5nm〜30nmの超微粒フェライトを長方形状の不織布からなるフィルタ素材に塗布して形成され、磁力線を放射する当該超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを飲料水中に浸漬し一定時間静置して前記飲料水中の鉄分に凝集し磁性を帯びた砒素、及びその化合物を含む凝集物質に超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタから磁力線を作用させて吸着させる過程と、
一定時間経過後超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを取り出し洗浄する過程と、
を複数回繰り返し前記飲料水を浄化することを特徴とする超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水の浄化方法。
【請求項5】
粒径5nm〜30nmの超微粒フェライトを長方形状の不織布からなるフィルタ素材に塗布して形成され、磁力線を放射する複数枚の当該超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを飲料水中に並べて浸漬し一定時間接触させて、
前記飲料水中の大腸菌、黄色ブドウ球菌、枯草菌、緑膿菌等の有害細菌類を超微粒強磁性フェライトから放射されている磁力線と鎖交させ、渦電流を発生して有害細菌類の細胞を破壊し殺菌させることを特徴とする超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを用いた飲料水に含まれる有害細菌類の殺菌方法。
【請求項6】
粒径5nm〜30nmの超微粒フェライトを長方形状の不織布からなるフィルタ素材に塗布して形成され、磁力線を放射する複数枚の当該超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタを飲料水中に並べて浸漬し一定時間接触させて、前記飲料水中の鉄分に凝集し磁性を帯びた砒素、及びその化合物を含む凝集物質に各超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタから磁力線を作用させて前記各超微粒強磁性フェライトを塗布したナノフィルタにより吸着させ、前記飲料水を浄化するとともに、
前記飲料水中の大腸菌、黄色ブドウ球菌、枯草菌、緑膿菌等の有害細菌類を超微粒強磁性フェライトから放射されている磁力線と鎖交させ、渦電流を発生して有害細菌類の細胞を破壊し殺菌させること、
を特徴とする飲料水の有害物除去・殺菌による改良方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−83678(P2011−83678A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−237140(P2009−237140)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(595071173)株式会社ユタカ・トレンズ (1)
【出願人】(591120295)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(595071173)株式会社ユタカ・トレンズ (1)
【出願人】(591120295)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]