説明

超指向性スピーカ

【課題】放射角度を拡げ、且つ、放射角度範囲の音圧レベルを略均一化する超指向性スピーカを提供する。
【解決手段】第1の増幅器30から出力された増幅信号を超音波に変換する複数の超音波素子41を配列して形成した複数の配列音源を備え、当該複数の配列音源のうち、隣り合う配列音源の位相を略逆位相に設定したエミッタ40を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、可聴音を極めて狭いエリアに提供する超指向性スピーカに関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気の非線形現象を得る従来の超指向性スピーカは、例えば次のように構成されている。
まず、可聴音を生成する音声生成器で生成された音声信号は、掛算器において高周波生成器からの超音波キャリア信号と掛算される。当該掛算処理により変調が行われ、掛算器および高周波生成器で変調器を構成し、その出力として変調波信号が得られる。変調器の変調波信号は増幅器により増幅され、超音波を放射する超音波素子がアレイ状に配置されたエミッタに供給され、エミッタから音波となって放射される。当該音波は、強力超音波である有限振幅音波として空気中を伝播する仮定で非線形相互作用を起こし、元の可聴音である低周波成分が自己復調され、聴取可能なものとなる。ここで、音の放射パターンはエミッタの正面方向のみに生成され、エミッタの側面方向および背面方向には生成されないことからパラメトリックスピーカの特徴的な音圧分布を得る。
【0003】
一方、超指向性スピーカの使用環境によっては、指向角度の変更が望まれる場合もある。これに対応するものとして例えば特許文献1には、極めて狭いエリアに可聴音を提供する超指向性スピーカの指向角度を広げる指向性音源が記載されている。具体的には、多層円環状に配列された複数の超音波素子からなる音源部を有し、当該音源部の直径を変化させることにより、指向角度を変化させている。
【0004】
また、非特許文献1には、超指向性スピーカにおいて、エミッタの正面に集中する超音波音圧レベルを低減させることを目的として、音源を2領域に分け、中央と外側で位相を180°ずらして干渉させる方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平4−103091号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】菊地哲、愛甲英寿、鎌倉友男、野村英之、酒井新一著、「キャリア超音波の音圧低減を目的としたパラメトリックスピーカ用位相反転駆動」電子情報通信学会、電子情報通信学会技術研究報告、2008.11
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の超指向性スピーカでは、例えば円環状の音源であれば音源部の直径を変化させることにより指向性を変化させることが可能であるが、指向性が変化した場合であっても放射させる放射パターンは先端の鋭い単峰パターンであり、聴感範囲はピンポイントになるため、人が超指向性スピーカの音を聞いたときに、片方の耳だけ大きな音になるなどの不快感や違和感を与えるという課題があった。また、スピーカ近距離では、スピーカの正面中心部の超音波の音圧レベルが大きく、大きな音圧レベルの超音波暴露による人への影響も懸念されるという課題があった。
また、非特許文献1の超指向性スピーカでは、エミッタの正面の超音波の音圧レベルは低減するが、可聴音の放射パターンは従来と同様の鋭い単峰パターンであり、上記と同様の課題が残る。
【0008】
この発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、放射角度を拡げ、且つ、放射角度範囲の音圧レベルを略均一化する超指向性スピーカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る超指向性スピーカは、第1の増幅器から出力された増幅信号を超音波に変換する複数の超音波素子を配列して形成した複数の配列音源を備え、当該複数の配列音源のうち、隣り合う配列音源の位相を略逆位相に設定したエミッタを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、配列音源同士の干渉により指向角度を拡げることが可能となり、これにより指向角度範囲の音圧レベルが均一となり、エミッタの正面の超音波の音圧レベルを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1による超指向性スピーカの構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1による超指向性スピーカのエミッタの詳細な構造を示す図である。
【図3】実施の形態1による超指向性スピーカのポーラパターンを示す図である。
【図4】実施の形態1による超指向性スピーカの超音波素子の配置およびそのポーラパターンを示す図である。
【図5】実施の形態1による超指向性スピーカのエミッタの他の構成例を示す図である。
【図6】実施の形態1による超指向性スピーカのエミッタの他の構成例を示す図である。
【図7】実施の形態2による超指向性スピーカの構成を示すブロック図である。
【図8】実施の形態2による超指向性スピーカの他の構成を示すブロック図である。
【図9】その他の構成による超指向性スピーカの円環状音源の配置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による超指向性スピーカの構成を示すブロック図である。
実施の形態1の超指向性スピーカ100は、可聴音を示す音声信号を生成する音声生成器10、音声信号を入力して振幅変調信号を生成する振幅変調器20、振幅変調信号を増幅する第1の増幅器30、第1の増幅器30によって増幅された振幅変調信号を超音波に変換し、音響振動(音)として空中に放射するエミッタ40で構成されている。
さらに振幅変調器20は、超音波帯域のキャリア波を示す信号を生成する高周波生成器21、および高周波生成器21からの超音波キャリア波信号と音声生成器10からの音声信号とを入力し、これらの信号の掛算処理を行う掛算器22で構成されている。
【0013】
エミッタ40は、図1に示すように超音波を放出する複数の超音波素子41が円環状に配置されている。各超音波素子41は「+」位相、あるいは「−」位相を有している。
図2は、この発明の実施の形態1による超指向性スピーカのエミッタの詳細な構造を示す図である。図2の例では、複数の超音波素子41が半径の異なる3つの同心円である円環状音源50a,50b,50cを有し、これらの円環状音源50a,50b,50cが多層化されて多層円環状音源50を構成している。各円環状音源50a,50b,50cは、中心円51a,51b,51cの両側に超音波素子41が隣接するように配置されている。また、隣り合う円環状音源50aと50b、および隣り合う円環状音源50bと50cはそれぞれ逆位相となるように接続される。例えば、円環状音源50aが「+」位相である場合、円環状音源50bは「−」位相、円環状音源50cは「+」位相となるように接続される。
このように、隣り合う円環状音源50a,50b,50cの極性を交互に替えて接続することにより、隣り合う円環状音源50a,50b,50cが逆位相となり、当該エミッタ40から放射される音が干渉し、指向角度が拡がる。
【0014】
また、円環状音源50a,50b,50cの各中心円51a,51b,51cはそれぞれ所定距離離間して配置しているが、中心円51aと中心円51bとの離間距離を高周波生成器21で発生される周波数で決まる波長の2倍以下に設定することにより、エミッタ40から放射される音の指向角度を拡げ、且つ指向角度の範囲内の音圧レベルを均一化させることができる。
【0015】
図3は、この発明の実施の形態1による超指向性スピーカのポーラパターンを示す図である。
図3の領域Aは、中心円51aと中心円51bとの距離、および中心円51bと中心円51cとの距離を所定の波長の2倍以下の範囲で離間させた場合の音圧レベルを示し、領域Bは所定の波長の2倍以上の範囲で離間させた場合の音圧レベルを示し、領域Cは従来の超指向性スピーカの音圧レベルを示している。領域Bは、領域Cに比べて指向角度が拡がっているか、希望する指向角度範囲P−Qにおける音圧レベルは均一ではない。一方、領域Aは、領域Bおよび領域Cに比べて指向角度が拡がると共に、希望する指向角度範囲P−Qにおける音圧レベルが均一となっている。
【0016】
次に、円環状音源50a,50b,50cにおける超音波素子41の配置について説明する。図4は、この発明の実施の形態1による超指向性スピーカのエミッタを構成する超音波素子の配置およびそのポーラパターンを示す図である。なお、図2では中心円51a,51b,51cの両側に超音波素子41が隣接するように配置した円環状音源を示したが、図4では超音波素子41を一列に配列して構成した簡略的な円環状音源としている。
また、図4(a)は、エミッタ40の中心を通る軸X上に、各超音波素子41の中心が位置しないように配置した場合を示し、図4(b)は軸X上に各超音波素子41の中心が位置するように配置した場合を示している。
【0017】
図4(a)の構成を採用した場合のポーラパターンを図4(c)の領域Dに示し、図4(b)の構成を採用した場合のポーラパターンを図4(c)の領域Eに示している。領域Eは、領域Dに比べてサイドローブE´が形成されている。これは、各超音波素子41の中心が軸X上、即ち直線状に並ぶことにより超音波の干渉が集中して不要なサイドローブが発生するためである。
これらから明らかなように、多層円環状音源50の1つの円環状音源の超音波素子41の中心がエミッタ40の中心Oを通る軸X上に位置している場合には、当該1つの円環状音源を除く他の円環上音源を形成する超音波素子の中心を軸X上に位置しないように配置することにより、不要なサイドローブの発生を抑制することができる。
【0018】
図5および図6は、この発明の実施の形態1による超指向性スピーカのエミッタの他の構成例を示す図である。
図5は、超音波素子41を矩形の環状に配列した複数の矩形環状音源を多層化して構成した多層矩形環状音源52を示している。また図5に示す以外にも、六角形などの多角形の環状に配置してもよい。超音波素子41の配置を矩形、六角形などの多角形の環状構造で配置した場合であっても同様の性能を得ることができる。
【0019】
図6(a)は超音波素子41を直線状に配列した複数の直線状音源をエミッタ40の横方向に多層化して構成した多層直線状音源53を示している。図6(b)はそのポーラパターンを示している。
図6(a)に示した構成では、エミッタ40の横方向に隣り合う超音波素子41の極性が交互に異なるように配置している。そのため、図6(b)に示すようにエミッタ40の横方向の超音波素子41によるポーラパターンの領域Fは、0°付近の正面の音圧レベルが若干下がる傾向となるが、放射パターンの指向角度が拡がり、放射パターンの指向角度が拡がり、指向角度範囲P−Qにおける音圧レベルがほぼ均一となる。
一方、エミッタ40の縦方向では、隣り合う超音波素子41の極性が同一となるように配置している。そのため、図6(b)に示すようにエミッタ40の縦方向の超音波素子41によるポーラパターンの領域Gは従来と同様の指向角度が鋭い単峰パターンとなり、指向角度範囲P−Qにおける音圧レベルは均一ではない。
【0020】
このように、超音波素子41を直線状に配置した配列音源を構成することにより、エミッタ40の横方向の超音波素子41による放射パターンと、エミッタ40の縦方向の超音波素子41による放射パターンが異なり、エミッタ40の配列方向により異なる指向角度を有する超指向性スピーカを得ることができる。
もちろん、エミッタ40の横方向において隣り合う超音波素子41の極性が同一となるように配置し、エミッタ40の縦方向において隣り合う超音波素子41の極性が交互に異なるように配置してもよい。
【0021】
以上のように、この実施の形態1によれば、円環状音源50a,50b,50cを多層化した多層円環状音源50を備え、隣り合う円環状音源を略逆位相に配列するように構成したので、各円環状音源同士の干渉により指向角度を拡げることが可能となる。さらに、指向角度の範囲の音圧レベルが均一となり、エミッタ正面の超音波の音圧レベルを低減することができる。
【0022】
また、この実施の形態1によれば、例えば隣り合う円環状音源50a,50bにおいて、中心円51aと中心円51bとの距離が、高周波生成器21で発生される周波数で決まる波長の2倍以下に設定するように構成したので、指向角度範囲の超音波の音圧レベルを均一とすることができる。
【0023】
また、この実施の形態1によれば、1つの円環状音源を形成する超音波素子41の中心が、エミッタ40の中心Oを通る軸X上に位置している場合、その他の円環状音源を形成する超音波素子41の中心が軸X上に位置しないように配置するように構成したので、不要なサイドローブの発生を抑制することができる。
【0024】
実施の形態2.
実施の形態1では、隣り合う円環状音源はそれぞれ逆位相となるように接続する構成を示したが、この実施の形態2では、隣り合う円環状音源の位相を切り替える手段を設ける構成を示す。
図7は、実施の形態2による超指向性スピーカの構成を示すブロック図である。上記図1で示した超指向性スピーカ100に位相シフタ60と第2の増幅器31を追加して設けている。
位相シフタ60と第2の増幅器31は振幅変調器20の後段に設けられる。位相シフタ60は、掛算器22において掛算処理された信号の位相を自由に調整することができる。図7に示した構成では、掛算器22から出力された「+」位相の信号を、位相シフタ60により「−」位相の信号に調整し、第2の増幅器31において増幅し、エミッタ40に出力している。
このように、位相角度を可変可能な位相シフタ60を設けることにより、位相を任意に設定することができ、位相を0°にすれば従来と同様の狭い指向性を有することができ、指向角度を切替可能な超指向性スピーカを得ることができる。
【0025】
図8は、実施の形態2による超指向性スピーカの他の構成を示すブロック図である。図8では、位相を逆相に調整する位相シフタ(逆相)61の後段に切替スイッチ70を設けている。
位相シフタ(逆相)61は、掛算器22から入力される信号を逆相の信号に調整する。切替スイッチ70は、掛算器22からの信号と、位相シフタ(逆相)61により逆相に調整された信号とを入力とし、出力信号を任意に選択するためのスイッチである。
図8に示した構成では、切替スイッチ70には掛算器22から出力される「+」位相の信号と位相シフタ(逆相)61から出力される「−」位相の信号が入力される。切替スイッチ70により掛算器22から出力される「+」位相の信号を選択して第2の増幅器31に出力すると、従来のような単峰パターンとなる。一方、切替スイッチ70により位相シフタ(逆相)61から出力される「−」位相の信号を選択して第2の増幅器31に出力すると、指向角度範囲において音圧レベルが均一な放射パターンを得ることができる。
【0026】
以上のように、この実施の形態2によれば、掛算器22において掛算処理された信号の位相を調整する位相シフタ60を設けたので、超音波素子41の位相を任意に設定することができ、指向角度を切替可能な超指向性スピーカを得ることができる。
【0027】
また、この実施の形態2によれば、掛算器22において掛算処理された信号の位相を逆相に調整する位相シフタ(逆相)61と、掛算器22から出力される信号と位相シフタ(逆相)61から出力される信号との2つの入力信号から、出力信号を任意に選択する切替スイッチ70を備えるように構成したので、単峰パターンと指向角度範囲において音圧レベルが均一な放射パターンとを切り替えることができる。
【0028】
また、上述した実施の形態1および実施の形態2では、超音波素子41をアレイ化する構成を示したが、超音波素子41を設ける構成に限定されることなく、通常の導電型や圧電方・静電型などの膜状振動板を持つ各種の電気音響変換方式が適用可能である。
また、エミッタ40に配置する超音波素子41の種類は超音波帯域での再生周波数特性が同じであれば、大きさや形状は適宜変更可能である。
【0029】
また、上述した実施の形態1および実施の形態2では、隣り合う円環状音源50を逆位相とするため、超音波素子41を+極、−極交互に結線する構成を示したが、結線は同一極とし、隣り合う円環状音源50において、高周波生成器21で発生する周波数で決まる波長の略1/2波長分の距離の位相差を設け、音の放射方向に位相を180°ずらすように構成してもよい。これにより結線を交互に変化させたときと同様の効果を得ることができる。
【0030】
また、上記では、隣り合う円環状音源50に電気的な位相差を設ける構成を示したが、物理的に各円環状音源50の位置をずらして配置してもよい。図9は、実施の形態1または2による超指向性スピーカの円環状音源の配置例を示す図である。
図9(a)は各円環状音源50a,50b,50cを略1/2波長(180°)分の距離ずらした一例を示し、図9(b)は円環状音源50a,50cに対して円環状音源50bを略1/2波長(180°)分の距離ずらして配置した一例を示している。
【0031】
なお、波長は以下の式(1)により算出可能である。
波長=波の伝播速度/周波数 ・・・(1)
波の伝播速度は音の速さ(340m/sec)であり、周波数は超音波キャリアである。超音波キャリアを40kHzで計算した場合、波長は以下の式(1)´のように算出される。
波長=340[m/sec]/40[kHz]=8.5[mm]・・・(1)´
【0032】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0033】
10 音声生成器、20 振幅変調器、21 高周波生成器、22 掛算器、30 第1の増幅器,31 第2の増幅器、40 エミッタ、41 超音波素子、50 多層円環状音源、50a,50b,50c 円環状音源、51a,51b,51c 中心円、52 多層矩形環状音源、53 多層直線状音源、60 位相シフタ、61 位相シフタ(逆相)、70 切替スイッチ、100 超指向性スピーカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可聴音を音声信号として出力する音声生成器と、超音波キャリア信号を出力する高周波生成器および前記音声生成器から出力される音声信号により前記超音波キャリア信号を振幅変調した変調波信号を生成する掛算器を有する変調器と、前記変調器により生成された変調波信号を増幅する第1の増幅器と、前記第1の増幅器から出力された増幅信号を音響振動として空中に放射するエミッタとを備えた超指向性スピーカにおいて、
前記エミッタは、前記第1の増幅器から出力された増幅信号を超音波に変換する複数の超音波素子を配列して形成した複数の配列音源を備え、当該複数の配列音源のうち、隣り合う配列音源の位相を略逆位相に設定したことを特徴とする超指向性スピーカ。
【請求項2】
前記配列音源は、前記複数の超音波素子を円環状に配列した複数の円環状音源を多層化して形成した多層円環状音源であり、当該多層円環状音源を形成する複数の円環状音源の中心を前記エミッタの中心と一致させると共に、隣り合う前記円環状音源の位相を略逆位相に設定したことを特徴とする請求項1記載の超指向性スピーカ。
【請求項3】
前記多層円環状音源は、隣接する2つの円環状音源において、外側に位置する円環状音源の中心を通る中心円と、内側に位置する円環状音源の中心を通る中心円との離間距離が、前記高周波生成器で発生する周波数により決定される波長の2倍以下であることを特徴とする請求項2記載の超指向性スピーカ。
【請求項4】
前記多層円環状音源は、前記複数の円環状音源のうち、1つの円環状音源を形成する超音波素子の中心が、前記エミッタの中心を通る軸上に位置している場合、前記1つの円環状音源を除く他の円環状音源を形成する超音波素子の中心を前記軸上に配置しないことを特徴とする請求項2または請求項3記載の超指向性スピーカ。
【請求項5】
前記変調器が生成した変調波信号の位相を逆位相に切り替える位相シフタと、
前記位相シフタにより位相が切り替えられた変調波信号を増幅する第2の増幅器とを備え、
前記エミッタは、前記第1の増幅器から出力された増幅信号を超音波に変換する複数の超音波素子を配列して形成した配列音源と、前記第2の増幅器から出力された増幅信号を超音波に変換する複数の超音波素子を配列して形成した配列音源とを交互に隣り合わせて配置したことを特徴とする請求項2から請求項4のうちのいずれか1項記載の超指向性スピーカ。
【請求項6】
前記第2の増幅器への入力を、前記振幅変調器から出力された変調波信号、あるいは前記位相シフタから出力された位相が切り替えられた変調波信号のいずれかに切り替える切替スイッチを設けたことを特徴とする請求項5記載の超指向性スピーカ。
【請求項7】
前記配列音源は、前記複数の超音波素子を矩形環状に配列した複数の矩形環状音源を多層化して形成した多層矩形環状音源であり、当該多層矩形環状音源を形成する複数の矩形環状音源の中心を前記エミッタの中心と一致させると共に、隣り合う前記矩形円環状音源の位相を略逆位相に設定したことを特徴とする請求項1記載の超指向性スピーカ。
【請求項8】
前記配列音源は、前記複数の超音波素子を直線状に配列した複数の直線状音源を、前記エミッタの縦方向または横方向に多層化して形成した多層直線状音源であり、当該多層直線状音源を形成する前記エミッタの縦方向に隣り合う各直線状音源、または前記エミッタの横方向に隣り合う各直線状音源の位相を略逆位相に設定したことを特徴とする請求項1記載の超指向性スピーカ。
【請求項9】
前記多層円環状音源は、隣接する2つの円環状音源に、前記音響振動の放射方向に前記振幅変調器で発生する周波数により決定される波長の略1/2波長分の位相差を設けたことを特徴とする請求項2記載の超指向性スピーカ。
【請求項10】
前記多層円環状音源は、隣接する2つの円環状音源を、前記音響振動の放射方向に前記振幅変調器で発生する周波数により決定される波長の略1/2波長分の距離を離間させて配置したことを特徴とする請求項2記載の超指向性スピーカ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−21448(P2013−21448A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151888(P2011−151888)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(591036457)三菱電機エンジニアリング株式会社 (419)
【Fターム(参考)】