説明

超硬合金用組成物及び超硬合金の製造方法

各々が、第一材料を含有する硬質粒子とレニウムもしくはNiベース超合金を含む第二の異なる材料を含有する結合剤マトリックスとを含有する超硬金属組成物。2ステップ焼結法を利用して、比較的低い焼結温度にして固体相で上記超硬合金を製造し、実質的に完全に緻密化した超硬合金を生産することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、2003年6月2日付けで出願された米国特許願第10/453,085号並びに二つの米国仮特許願、すなわち発明の名称が「Hardmetal Compositions with Novel Binder Compositions」で2003年1月13日付けで出願された米国仮特許願第60/439,838号及び同じ発明の名称で2003年2月20日付けで出願された米国仮特許願第60/449,305号の特典を主張するものである。
【0002】
背景
本願は、超硬合金組成物、その製造方法及び関連用途に関する。
【0003】
超硬合金としては各種の複合材料があり、特に硬質でかつ耐火性でありそして強い耐摩耗性を示すように設計されている。広範囲にわたって使用されている超硬合金の例としては、焼結又は結合(cement)された炭化物(carbide)又は炭窒化物(carbonitrides)又はこのような材料の組合せがある。サーメットと呼ばれるいくつかの超硬合金は、結合剤の金属粒子で結合された加工セラミック粒子(例えばTiC)を含む組成である。超硬合金の特定の組成は技術文献に記載されている。例えば、超硬合金の組成を広範囲にわたって編集して、「Brookes' World Dictionary and Handbook of Hardmetas, 第6版、International Carbide Data」(英国、1996年)として刊行されている。
【0004】
超硬合金は各種の用途に使用することができる。代表的な用途としては、金属、石及びその他の硬質材料を切断するのに使用する切削工具、線引き抜きダイ(wire-drawing dies)、ナイフ、石炭、各種の鉱石及び岩石を採掘する採掘工具、並びに石油用の掘削工具やその他の掘削用途がある。さらに、このような超硬合金は、各種の装置の作動又はそれら装置が作動する環境条件の特定の要求を満たす、それら装置のハウジング及び外表面もしくは外層をつくるのに使用することもできる。
【0005】
最初に炭化物又は炭窒化物の硬質で耐火性を有する粒子を結合剤マトリックス中に分散させ、次にその混合物を圧縮し焼結することによって、多種類の超硬合金を製造することができる。その焼結工程によって、結合剤マトリックスが前記粒子と結合して前記混合物が凝縮され超硬合金が生成する。上記硬質粒子は、生成する超硬合金の硬質性と耐火性に主として寄与している。
【0006】
要約
下記の超硬合金材料は、第一材料を含む硬質粒子及び第二の異なる材料を含む結合剤マトリックスで構成された材料を含有している。上記硬質粒子は、上記結合剤マトリックス中に広がって実質的に均一に分散されている。上記硬質粒子用の上記第一材料としては、例えば、炭化タングステンに基づいた材料、炭化チタンに基づいた材料、及び炭化タングステンと炭化チタンの混合物に基づいた材料がある。上記結合剤マトリックス用の上記第二材料としては、とりわけ、レニウム、レニウムとコバルトの混合物、ニッケルベース超合金、ニッケルベース超合金とレニウムの混合物、ニッケルベース超合金とレニウムとコバルトの混合物、並びに他の材料と混合されたこれらの材料がある。そのニッケルベース超合金は、γ−γ’金属相のものでよい。
【0007】
各種の実施態様で、例えば、第二材料の容量は、材料の全容量の約3%〜40%である。いくつかの用途では、上記結合剤マトリックスは、材料の全重量の25%を超える量のレニウムを含有している。その他の用途では、第二材料はNiベース超合金を含有している。上記Niベース超合金は、特定の用途の場合、Ni及び他の元素例えばReを含有している。
【0008】
本願の超硬合金材料は、一実施態様によれば、材料混合物を減圧条件下で焼結し、次いで、気体媒体を通じて圧力をかけながら、固相焼結することによって製造することができる。
【0009】
これら超硬合金材料及び配合法から生まれる利点は、一般に硬度が優れていること、高温での硬度が増大していること及び腐蝕と酸化に対する耐性が改善されていることのうちの1又は2以上を含んでいる。
【0010】
これらの及びその他の特徴、実施態様及び利点は、図面、詳細な説明及び請求項によって詳細に説明する。
【0011】
詳細な説明
超硬合金の組成は、超硬合金の所期の用途での超硬合金の技術的性能及びこのような超硬合金の製造中に利用される加工条件と加工装置に直接影響する点で重要である。また、超硬合金の組成は、超硬合金の原料のコスト及び製造法に関連するコストにも直接影響することがある。これらの及びその他の理由から、超硬合金用の技術的に優れかつ経済的に引き合う組成を開発するため、超硬合金産業界で広範囲にわたる努力がなされている。本願は、とりわけ、性能の利点を提供する選択された結合剤マトリックス材料を含有する超硬合金の特徴、材料組成物について述べる。
【0012】
対象の超硬合金の材料組成物は、各種の硬質粒子と各種の結合剤マトリックス材料を含有している。一般に、これらの硬質粒子は、元素周期表のIVA族の金属の炭化物(例えばTiC、ZrC、HfC)、VA族の金属の炭化物(例えばVC、NbC、TaC)及びVIA族の金属の炭化物(例えばCr、MoC、WC)から製造することができる。さらに、元素周期表のIVA族の金属元素で製造される窒化物(例えばTiN、ZrN、HfN)並びにVA族の金属元素で製造される窒化物(例えばVN、NbN、TaN)も使用することができる。例えば、多くの超硬合金に広く使用されている、硬質粒子の一つの材料組成物は、炭化タングステン例えば一炭化タングステン(WC)である。各種の窒化物を、炭化物と混合して上記硬質粒子を製造することができる。上記の及びその他の炭化物及び窒化物を2種以上混合して、WCベースの超硬合金又はWCを含有しない超硬合金を製造することができる。異なる炭化物の混合物の混合物の例としては、限定されないが、WCとTiCの混合物並びにWC、TiC及びTaCの混合物がある。
【0013】
さらに、硬質粒子を互いに結合するのに使うマトリックスを提供する結合剤マトリックス材料の組成物は、生成する超硬合金の硬度や耐火性に有意に影響する。一般に、この結合剤マトリックスは、元素周期表のVIII族の遷移金属、例えば、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)の1又は2種以上、並びにVIA族の金属、例えば、モリブテン(Mo)及びクロム(Cr)を含有している。これらの及び他の結合剤金属の2種以上を混合して、適切な硬質粒子を結合するための所望の結合剤マトリックスを製造することができる。例えば、いくつかの結合剤マトリックスは、相対重量が異なるCo、Ni及びMoの混合物を利用している。
【0014】
本明細書に記載の超硬合金組成物は、結合剤マトリックス材料の組成物が、各種用途の特別な要求を満たす高性能の超硬合金を提供するため、特別に目的に合わせて製造できるという認識に基づいて開発したものである。特に、結合剤マトリックス材料の組成物は、生成する超硬合金の他の材料特性、例えば弾性、剛性及び強さのパラメータ(横破断強さ、引張り強さ及び衝撃強さを含む)に対して有意に影響する。したがって、本発明者は、材料の特性及び生成する超硬合金の性能を高めるため、超硬合金の硬質粒子及び他の成分の材料組成物に一層良好に適合する結合剤マトリックスに用いる適正な材料組成物を提供することが望ましいことが分かった。
【0015】
さらに具体的に述べると、これらの超硬合金組成物は、レニウム、ニッケルベース超合金、又は少なくとも1種のニッケルベース超合金と他の結合剤材料の混合物を含む結合剤マトリックスを使用する。他の適切な結合剤材料は、とりわけ、レニウム(Re)又はコバルトを含んでいる。Niベース超合金は、比較的高い温度において、高い材料強さを示す。このような結合剤材料で製造して得られた超硬合金は、レニウムやNi超合金の高温での高い材料強さから恩恵を受けて高温での性能が向上している。さらに、Niベース超合金は、腐蝕や酸化に対する優れた耐性も示すので、結合剤材料として使用すると、超硬合金のこれら耐性が改善される。
【0016】
本願に記載の超硬合金の組成物は、超硬合金の全材料の約3〜約40容量%の結合剤マトリックス材料を含有し、したがって硬質粒子の対応する容積%は約97%〜約60容量%である。上記容量%の範囲内で、特定の実施態様の結合剤マトリックス材料は、全超硬合金材料の容量の約4〜約35容量%でよい。より好ましくは、超硬合金のいくつかの組成物は、全超硬合金材料の容量の約5〜約30容量%の結合剤マトリックス材料を含有している。生成する超硬合金の全重量中の結合剤マトリックス材料の重量%は、その超硬合金の特定の組成から導くことができる。
【0017】
各種の実施態様で、結合剤マトリックスは、主として、ニッケルベース超合金で、及びニッケルベース超合金と他の元素、例えば、Re、Co、Ni、Fe、Mo及びCrとの各種混合物によって製造できる。対象のNiベース超合金は、Niに加えて元素Co、Cr、Al、Ti、Mo、W並びに他の元素、例えば、Ta、Nb、B、Zr及びCを含有していてもよい。例えば、Niベース超合金は、以下の成分金属を、超合金の全重量に対し以下の重量%で含有している。すなわち、約30%〜約70%のNi、約10%〜約30%のCr、約0%〜約25%のCo、約4%〜約12%のAlとTiの合計、約0%〜約10%のMo、約0%〜約10%のW、約0%〜約10%のTa、約0%〜約5%のNb、及び約0%〜約5%のHfを含有している。また、Niベース超合金は、ReとHfの両者又はどちらかを、例えばReを約0%〜約10%及びHfを0%〜約5%含有していてもよい。Reを含有するNiベース超合金は、高温下での用途に使用できる。Niベース超合金は、さらに、他の元素、例えば、B、Zr及びCを少量含有していてもよい。
【0018】
TaCとNbCは、ある程度類似の特性を有しているので、いくつかの実施態様の超硬合金組成物において、互いに、部分的に又は完全に置換又は代替して使用することができる。また、HfCとNbCのいずれか一方又は両方も、超硬合金設計時に、TaCの一部又はすべてを置換又は代替するのに使用できる。WC、TiC、TaCは、単体で又は固溶体の形態での混合物で製造することができる。混合物を使用する場合、その混合物は、(1)WC、TiC及びTaCの混合物、(2)WC、TiC及びNbCの混合物、(3)WC、TiC及びTaCとNbCのうちの少なくとも一方の混合物、並びに(4)WC、TiC及びHfCとNbCのうちの少なくとも一方の混合物からなる群から少なくとも一つ選択される。多種類の炭化物の固溶体は、数種類の炭化物の混合物より優れた特性と性能を示す。したがって、硬質粒子は、(1)WC、TiC及びTaCの固溶体、(2)WC、TiC及びNbCの固溶体、(3)WC、TiC及びTaCとNbCのうちの少なくとも一方の固溶体、並びに(4)WC、TiC及びHfCとNbCのうちの少なくとも一方の固溶体からなる群から少なくとも一つ選択できる。
【0019】
結合剤材料としてのニッケルベース超合金は、FCC構造を有するγ’相がγ相と混合しているγ−γ’相であってもよい。その強さは、温度が上昇するにつれてある程度増大する。このようなNiベース超合金の他の望ましい特性は、酸化及び腐蝕に対する耐性が高いことである。ニッケルベース超合金は、各種のコバルトベース結合剤組成物中のCoの一部又は全体を代替するのに使用できる。本願に開示されている実施例で示されているように、超硬合金の結合剤マトリックス中に、レニウムとニッケルベース超合金の両者が含有されていると、Niベース超合金の比較的低い焼結温度を利用して、製造しやすいように適度に低い焼結温度を維持しながら、Reの存在による高温下での優れた性能の利点をうけることによって、生成する超硬合金の性能が有意に改善される。さらに、このような結合剤組成物中の比較的低い含有量のReによって、結合剤材料のコストを下げることができるので、そのような材料は経済的に引き合う。
【0020】
このようなニッケルベース超合金は、結合剤マトリックスの特定の組成に基づいて、結合剤マトリックスの全材料成分の全重量に対して数%〜100%の重量%である。典型的なニッケルベース超合金は、主として、ニッケルと他の金属成分を、γ−γ’相の強化された状態(γ−γ’ phase strengthened state)で含有しているので、温度が上昇するにつれて強さが増大する。
【0021】
各種のニッケルベース超合金、例えば、主としてNiを含有しCo、Cr、Al、Ti、Nb、W、B及びZrを組み合わせてなるSpecial Metalsから入手できる商品名がRene-95、Udimet-700、Udimet-720の合金は、一般的な結合剤材料のCoより融点が低い。したがって、このようなニッケルベース超合金だけを結合剤材料として使用すると、生成する超硬合金の融点は、Coを含有する結合剤を使用している超硬合金と比べて高くならない。
【0022】
しかし、一実施態様で、上記ニッケルベース超合金は、結合剤に使用して、生成する超硬合金に高い材料強さを提供し、かつ生成する超硬合金の500℃近傍又は500℃を超える高温度での材料硬度を改善することができる。いくつかの製造した試料を試験したところ、結合剤中にNiベース超合金を含有する超硬合金の材料硬度と材料強さが、結合剤中にNiベース超合金を含有していない類似の材料組成物と比べて、低い操作温度において、有意に例えば少なくとも10%改善されることを示した。結合剤中にNiベース超合金を含有する試料P65とP46Aの硬度パラメータの測定値を、結合剤として、純Coを含有する試P49とP47Aと比較して以下の表に示す。なお、これら試料の組成は表4に列挙してある。
【0023】
【表1】

【0024】
とりわけ、500℃を超える高い操作温度では、結合剤中にNiベース超合金を含有する超硬合金試料は、結合剤中にNiベース超合金を含有していない類似の超硬合金試料より有意に高い材料硬度を示すことができる。さらに、結合剤材料としてのNiベース超合金は、生成する超硬合金又はサーメットの腐蝕に対する耐性を、結合剤として通常のコバルトを使用している超硬合金又はサーメットと比べて改善することができる。
【0025】
ニッケルベース超合金を単独で又は他の元素と組み合わせて使用して、所望の結合剤マトリックスを製造することができる。ニッケルベース超合金を組み合わせて結合剤マトリックスを製造できるその他の元素としては、限定されないが、他のニッケルベース超合金、他の非ニッケルベース合金、Re、Co、Ni、Fe、Mo及びCrがある。
【0026】
レニウムは、結合剤として使用して硬質粒子を強く結合させることができ、特に、生成する超硬合金材料に高い融点をもたらすことができる。レニウムの融点は約3180℃であり、結合剤の材料として通常使用されるコバルトの融点1495℃よりはるかに高い。レニウムのこの特徴が、Reを使用している結合剤を含有する超硬合金の改善された性能例えば生成する超硬合金の高温での改善された硬度と強さに部分的に寄与している。また、Reは、結合剤材料として他の望ましい特性を持っている。例えば、その結合剤マトリックス中にReを含有する超硬合金の硬度、横破断強さ、破壊靭性及び融点は、結合剤マトリックス中にReを含有していない類似の超硬合金と比較して有意に多角することができる。2600kg/mmを超える硬度Hvが、Reを結合剤マトリックス中に含有する代表的なWCベース超硬合金で達成された。いくつかの代表的なWCベース超硬合金の融点すなわち焼結温度は2200℃より高いことを示した。比較すると、先に引用したBrookesの文献の表2.1に示されているように、Coを結合剤中に含有するWCベース超硬合金の焼結温度は1500℃より低い。焼結温度が高い超硬合金は、その材料を、その焼結温度より低い高温で操作することができる。例えば、このようなReを含有する超硬合金材料に基づいた工具は、高速で操作して加工時間を短縮して加工の全処理量を増大することができる。
【0027】
しかし、Reを超硬合金の結合剤材料として使用することには実用上制約がある。例えば、Reの好ましい高温特性によって一般に、製造時の焼結温度が高くなる。したがって、通常の焼結工程のオーブン又は炉は、高い焼結温度で又はそれを超える温度で作動させる必要がある。このような高い温度、例えば2200℃を超える温度で作動できるオーブン又は炉は高価なので、商業用途に広く利用することができない。米国特許第5,476,531号には、迅速全方向締固め(rapid omnidirectional compaction)(ROC)法を使用して、純Reを結合剤材料として、各超硬合金の全重量の6%〜18%含有するWCベース超硬合金を製造する際の加工温度を低下させることが開示されている。しかし、このROC法は、やはり高価であるから、一般に商業生産用には不適である。
【0028】
本願に記載されている超硬合金の組成物と製造方法の一つの有望な利点は、結合剤マトリックス中に、Re又はReと他の結合剤材料の混合物を含有する超硬合金を製造するためのより実用的な製造方法を提供するか又は可能にすることである。特に、本発明の2ステップ法によって、Reが生成する超硬合金の全重量の25%を超える超硬合金を製造することが可能になる。25%を超えるReを含有するこのような超硬合金を使用して、高温において、高い硬度と材料強さを達成できる。
【0029】
その他に、純Reを超硬合金の結合剤材料として使用することは、Reが空気中約350℃で又はそれを超える温度でひどく酸化されるので制約される。この耐酸化性が劣っているために、約300℃を超えるどの用途でも純Reを結合剤として使用することは著しく少ない。Niベース超合金は、1000℃より低い温度で、例外的に強さと耐酸化性をもっているので、Niベース超合金とReの混合物(Reが結合剤中支配的な材料である)を使用して、このような混合物を結合剤として使用することにより生成する超硬合金の強さと耐酸化性を改善することができる。一方、Niベース超合金を主として含有する結合剤中にReを添加すると、生成する超硬合金の溶融範囲が高くなり、Niベース超合金の結合剤の高温での強度と耐クリープ性が改善される。
【0030】
一般に、結合剤マトリックス中のレニウムの重量%は、超硬合金中の結合剤マトリックスの全重量の数%〜ほぼ100%である。結合剤マトリックス中のレニウムの重量%は好ましくは5%か又は5%を超えている。特に、結合剤マトリックス中のレニウムの重量%は、結合剤マトリックスの10%か又は10%を超えてもよい。いくつかの実施態様で結合剤マトリックス中のレニウムの重量%は、生成する超硬合金の全重量の25%又は25%を超えてもよい。このような高濃度のReを含有する超硬合金は、本願に記載されている2ステップ法によって、比較的低い温度で製造することができる。
【0031】
レニウムは、一般に、超硬合金に使用される他の材料より高価であるので、レニウムを含有する結合剤マトリックスを設計する際にコストを考慮しなければならない。以下に示す実施例のいくつかは、この考慮を反映している。一般に、一実施態様によれば、超硬合金組成物は、第一材料を含有し分散されている硬質粒子と、レニウムを含む第ニの異なる材料を含有する結合剤マトリックスとを含有し、上記硬質粒子は、上記結合剤マトリックス中に広がって実質的に均一に分散されている。その結合剤マトリックスは、Reと、一部は原材料の全コストを下げるため一部は結合剤マトリックスの性能を高める他の結合剤材料を含有させるためにReの全含有量を減らす他の結合剤材料との混合物である。Reと他の結合材料の混合物を含有する結合剤マトリックスの例としては、Reと少なくとも一種のNiベース超合金の混合物、ReとCo及び少なくとも1種のNiベース超合金の混合物、ReとCoの混合物などがある。
【0032】
表1に、対象の超硬合金組成物のいくつかの例を列挙してある。この表中のWCベース組成物は、「超硬合金」と呼称され、そしてTiCベースの組成物は「サーメット」と呼称される。伝統的に、NiとMoの混合物又はNiとMoCの混合物によって結合されているTiC粒子はサーメットである。本願に記載されているサーメットとしては、さらに、NiとMoの混合物又はNiとMoCの混合物によって製造された結合剤マトリックスを含有する、TiCとTiN又はTiC、TiN、WC、TaC及びNbCの混合物で製造された硬質粒子がある。各超硬合金組成物について、与えられた結合剤材料のこれら組成物中の三つの異なる重量%範囲を列挙してある。一例として、結合剤がNiベース超合金とコバルトの混合物で、硬質粒子がWC、TiC、TaC及びNbCの混合物である組成物がある。この組成物は、結合剤が超硬合金の全重量の約2%〜約40%でもよい。この範囲は、いくつかの用途では約3〜約35%に設定してもよく、そして、他の用途では約4〜約30%のより小さい範囲にさらに限定してもよい。
【0033】
【表2】

【0034】
結合剤マトリックス中にRe又はニッケルベース超合金を含有している超硬合金は以下のようにして製造することができる。第一に、望ましい硬質粒子、例えば、1又は2種以上の炭化物又は炭窒化物などの望ましい硬質粒子を含有する粉末を調製する。この粉末は、異なる炭化物の混合物又は炭化物と窒化物の混合物を含有していてもよい。この粉末は、Re又はニッケルベース超合金を含有する適切な結合剤マトリックス材料に混合される。この混合物には、さらにプレス潤滑剤(pressing lubricant)例えばワックスを添加してもよい。
【0035】
硬質粒子、結合剤マトリックス材料及び潤滑剤の混合物を、所望の期間例えば複数時間、粉砕(mill)又は磨砕(attrite)することによって粉砕又は磨砕の工程で混合しこれら材料を完全に混合して、各硬質粒子を結合剤マトリックス材料でコートし次の工程で硬質粒子を結合しやすくする。また、硬質粒子は、潤滑材料でコートしてこれら材料を潤滑し、上記混合工程を容易に行えるようにしかつ硬質粒子の酸化を低下させるか又は除かなければならない。次に、圧縮、予備焼結、成形及び最終焼結を、続けて上記粉砕混合物に実施して超硬合金を製造する。上記焼結工程は、粉末材料を、硬質粒子の溶融温度より低い温度まで加熱することによって連続塊に変換する工程であり、圧力によって予備圧縮した後に実行できる。この工程中に、結合剤材料は緻密化されて連続結合剤マトリックスを形成して、その中に硬質粒子を結合する。さらに1又は2以上の追加のコーティングを、生成する超硬合金の表面に形成させて、超硬合金の性能を向上させることができる。図1は、製造工程のこの実施態様のフローチャートである。
【0036】
一実施態様のセメンテッド炭化物(cemented carbide)の製造工程は、溶媒内での湿式粉砕(wet milling)、減圧乾燥、圧縮及び減圧下での液相焼結を含んでいる。上記液相焼結の温度は、結合剤材料の融点(例えばCoの場合1495℃)と超硬合金の混合物の共融温度(WC・COの場合1320℃)の間である。一般に、セメンテッド炭化物の焼結温度は1360℃〜1480℃の範囲である。結合剤合金内のRe又はNiベース超合金の濃度が低い新しい材料の場合、製造工程は、従来のセメンテッド炭化物の工程と同じである。この場合、減圧下での液相焼結の原理が適用される。その焼結温度は、結合剤合金と炭化物の共融温度よりわずかに高い。例えば、P17(結合剤合金中Reが25重量%)の焼結条件は、減圧下、1700℃で1時間である。
【0037】
図2は、本願に記載されている各種超硬合金を製造するための固相焼結(solid-state phase sintering)に基づいた2ステップの製造方法を示す。この2ステップ焼結法で製造できる超硬合金の例としては、結合剤マトリックス中に高濃度のReを含有する超硬合金があるが、この合金は、他の方法で製造するには、高温下での液相焼結が必要であろう。この2ステップ法は、比較的低い温度、例えば2200℃より低い温度で実施して、商業的に引き合うオーブンを利用しかつ妥当な低コストで超硬合金を製造することができる。液相焼結は、結合剤合金と炭化物の共融温度が一般に高いから実用的でないので、この2ステップ法では除外される。先に考察したように、このような高温での焼結は、商業的に引き合わない、高温で作動するオーブンが必要である。
【0038】
この2ステップ法の第一ステップは、結合剤マトリックス用の混合材料と硬質粒子との混合物が減圧下で焼結される減圧焼結である。その混合物は、セメンテッド炭化物を製造する従来の方法で実施される例えば湿式粉砕、乾燥及び圧縮によって最初加工される。焼結のこの第一ステップは、結合剤合金材料と硬質粒子材料の共融温度より低い温度で実施されて、互いに接続している細孔が除去される。第二ステップは、上記共融温度より低い温度にて圧縮された状態で行われる固相焼結であり、第一ステップを行った後、焼結された混合物に残っている細孔や空隙が除かれる。この第ニステップの焼結法として、熱間等方加圧(hot isostatic pressing)(HIP)法を利用できる。焼結中、材料に熱と圧力の両方をかけて、他の方法では圧力をかけないので高くなる加工温度を低下させる。不活性ガスなどの気体媒体を使って、焼結される混合物に圧力をかけて伝達する。その圧力は1000バールか又は1000バールを超える圧力である。HIP法で圧力を加えると、必要な加工温度が低くなり、従来のオーブン又は炉が使用できる。充分に緻密化された材料を得るための固相焼結法とHIP法の温度は、一般に液相焼結法の温度より有意に低い。例えば、純Reを結合剤として使用する試料P62は、2200℃で1〜2hrの減圧焼結とこれに続く約2000℃にてArなどの不活性ガス内での30,000PSIの圧力下約1時間のHIP法によって充分に緻密化することができる。とりわけ、粒径が0.5ミクロンより小さい超微細硬質粒子を使用すると、焼結温度を下げて、超硬合金(微細粒子は大きさが数ミクロンである)を完全に緻密化することができる。例えば、試料P62とP63を製造する場合、このような超微粒子のWCを使用すると、焼結温度が低くなり、例えば約2000℃になる。この2ステップ法はROC法よりコストが低いので商業生産に利用できる。
【0039】
少なくともレニウム又はニッケルベース超合金を含有する各種結合剤マトリックス材料に基づいた代表的な超硬合金組成物とその特性について、以下の章で説明する。
【0040】
表2は、代表的な超硬合金を製造するのに使用されるいくつかの成分材料のコードネーム(ロット番号)のリストを提供する。すなわちH1はレニウムを示し、そしてL1、L2及びL3は3種類の代表的な工業用ニッケルベース超合金を示す。さらに表3には、上記3種の代表的なニッケルベースの超合金:Udimet720(U720)、Ren′95(R−95)及びUdimet700(U700)それぞれの組成が列挙されている。表4には、結合剤マトリックス中にレニウム又はニッケルベース超合金を含有している代表的な超硬合金及び含有していない代表的超硬合金の組成が列挙されている。例えば、ロットP17の材料組成物は、主として、T32(WC)88g、I32(TiC)3g、A31(TaC)3g、H1(Re)1.5g及びL2(R−95)4.5gを結合剤として含有し、そしてワックス2gを潤滑剤として含有している。ロットP58は、Reを含有していない唯一の結合剤材料としてニッケルベース超合金L2を含有する超硬合金である。これらの超硬合金を製造し試験して、結合剤材料としてのレニウム及びニッケルベース超合金のいずれか又はこれら両者の生成する超硬合金の各種特性に対する効果を示した。表5〜8はさらに上記異なる試料ロットの組成と特性を要約した情報を提供する。
【0041】
図3〜8は本願の選択された超硬合金試料の測定値を示す。図3と4はスチール切削グレードのいくつかの代表的超硬合金の靱性と硬度のパラメータの測定値を示す。図5と6は、非鉄切削グレード用のいくつかの代表的超硬合金の靱性と硬度のパラメータの測定値を示す。測定は、固相焼結HIP法を行う前と行った後に実施したが、そのデータは、HIP法が材料の靱性と硬度の両者を有意に改善することを示唆している。図7は、いくつかの試料について、温度の関数として硬度の測定値を示す。比較のため、図7と8は、同じ試験条件下での市販の炭化物C2とC6の測定値も示し、図7は硬度の測定値を示しそして図8は室温(RT)での硬度の値から変化の測定結果を示す。本願に記載の組成に基づいた超硬合金試料は、高温における硬度については、明らかに、市販グレードの材料より優れている。これらの結果は、Reとニッケルベース超合金のどちらか又は両者を結合材料として含有する結合剤マトリックスがCoベース結合剤マトリックス材料と比べて性能が優れていることを示している。
【0042】
【表3】

【0043】
【表4】

【0044】
【表5−1】

【0045】
【表5−2】

【0046】
超硬合金組成物のいくつもの代表的範疇を以下に説明して、Reとニッケルベース超合金のどちらか又は両者を含有する各種超硬合金組成物の上記一般設計を例示する。超硬合金組成物の代表的範疇は、生成する超硬合金又はサーメットに用いられる結合剤マトリックスの組成に基づいて定義される。第一の範疇は純Reを含有する結合剤マトリックスを使用し、第二の範疇はRe−Co合金を含有する結合剤マトリックスを使用し、第三の範疇はNiベース超合金を含有する結合剤マトリックスを使用し、そして第四の範疇はReとCoを組み合わせたNiベース超合金又はCoなしでReと組み合わせたNiベース超合金を含有する結合剤マトリックスを使用している。
【0047】
対象の超硬合金に使用される硬質で耐火性の粒子としては、限定されないが、一般に、炭化物、窒化物、炭窒化物、ホウ化物、及びケイ化物がある。炭化物のいくつかの例としては、WC、TiC、TaC、HfC、NbC、MoC、Cr、VC、ZrC、BC、及びSiCがある。窒化物の例としては、TiN、ZrN、HfN、VN、NbN、TaN、及びBNがある。炭窒化物の例としてはTi(C,N)、Ta(C,N)、Nb(C,N)、Hf(C,N)、Zr(C,N)及びV(C,N)がある。ホウ化物の例としてはTiB、ZrB、HfB、TaB、VB、MoB、WB及びWBがある。さらにケイ化物の例はTaSi、WSi、NbSi及びMoSiである。超硬合金又はサーメットの上記四つの範疇は、これらの及び他の硬質で耐火性の粒子も使用できる。
【0048】
純Re合金の結合剤マトリックスに基づいた超硬合金の第一範疇では、Reは、超硬合金又はサーメットに使用されている材料組成物全体のほぼ5〜40容量%でよい。例えば、表4のロット番号P62の試料は、純Reが10容量%、WCが70容量%、TiCが15容量%及びTaCが5容量%である。この組成は、14.48重量%のRe、75.43重量%のWC、5.09重量%のTiC及び5.0重量%のTaCに相当する。試料P62−4は、製造時、2100℃で約1時間次いで2158℃で約1時間減圧焼結した。この材料の密度は約14.51g/ccであり、なお計算密度は14.50g/ccである。室温で10kgの荷重下10回測定して得た平均硬度Hvは2627±35kg/mmである。表面破壊靱性(surface fracture toughness)KSCの測定値は、10kg荷重におけるPalmvist亀裂長によって推定して約7.4×10Pa・m1/2である。
【0049】
この範疇の他の例は表4に示すP66である。この試料の組成は、Reが約20容量%、WCが60容量%、TiCが15容量%及びTaCが5容量%である。この試料は、重量%で示すと、Reが約27.92%、WCが62.35%、TiCが4.91%及びTaCが4.82%である。試料P66−4は、まず約2200℃にて1時間減圧焼結法で処理され、次いで固相にてHIP法で焼結されて細孔や空隙が除かれる。生成した超硬合金の密度は、計算密度が15.04g/ccであるのに比べて約14.40g/ccである。室温で10kgの荷重下7回測定して得た平均硬度Hvは約2402±44kg/mmである。その表面破壊靱性KSCは約8.1×10Pa・m1/2である。Reを、25重量%を超える高濃度で、結合剤中の単独の結合剤材料又は2種以上の結合剤材料のうちの1種として含有する、本願に記載の試料P66及び他の組成物は、操作温度の高い各種用途に使用することができ、かつ固相焼結に基づいた2ステップ法を利用することによって製造することができる。
【0050】
Reで結合された複数種の硬質耐火性粒子、例えば、炭化物、窒化物、炭窒化物、ケイ化物及びホウ化物の微細構造と特性は、Reで結合されたWCの材料を超える利点を提供できる。例えばReで結合されたWC−TiC−TaCは、スチールを切削する際、Reで結合されたWCの材料より優れたクレータ抵抗(crater resistance)を有している。別の例は、Re結合剤中に結合されたMoCとTiCの耐火性粒子で製造された材料である。
【0051】
結合剤マトリックスとしてRe−Co合金を含有する第二範疇の場合、そのRe−Co合金は、その組成物に使用される全材料組成物の約5〜40容量%である。いくつかの実施態様で、結合剤中のRe対Coの比率は約0.01〜0.99の範囲内で変化させることができる。Reを含有させると、生成する超硬合金の機械的特性、例えば、高温における独特の硬度、強さ及び靭性を、Coで結合された超硬合金に比べて改善することができる。このような結合剤マトリックスを使用する大部分の材料の場合、Reの含量が高ければ高いほど、高温での特性が良好になる。
【0052】
表4に示す試料P31は、この範疇に入る一例であり、容量%でReが2.5%、Coが7.5%及びWCが90%であり、そして重量%でReが3.44%、Coが4.40%及びWCが92.12%である。試料P31−1は、製造時、1725℃で約1時間減圧焼結したが、焼結中細孔や空隙がわずかにあった。生成した超硬合金の密度は約15.16g/ccである(計算密度は15.27g/ccである)。平均硬度Hvは室温にて荷重10kgで約1889±18kg/mmでありそして表面破壊靭性Kscは約7.7×10Pa・m1/2である。さらに、試料P31−1は、焼結を行った後、約1600℃/15Ksiで約1時間熱間等方加圧(HIP)法で処理した。このHIP法は、化合物中の細孔や空隙を減らすか又は実質的に除いて材料の密度を増大させる。HIP法を行った後、密度の測定値は約15.25g/cc(計算密度は15.27g/cc)である。室温にて荷重が10kgでの硬度Hvの測定値は約1887±12kg/mmである。表面破壊靭性Kscは約7.6×10Pa・m1/2である。
【0053】
この範疇の他の例は表4に示すP32であり、これは容量%でReが5.0%、Coが5.0%およびWCが90%である(重量%ではReが6.75%、Coが2.88%及びWCが90.38%である)。試料P32−4は1800℃で約1時間減圧焼結した。密度の測定は、計算密度が15.57g/ccであるのに比べて約15.58g/ccである。硬度Hvの測定値は、室温にて10kgの荷重で約2065kg/mmである。表面破壊靭性Kscは約5.9×10Pa・m1/2である。試料P32−4も、焼結を行った後、1600℃/15Ksiにて約1時間HIP法で処理した。密度の測定値は約15.57g/ccである(計算密度は15.57g/ccである)。硬度Hvの平均値は室温にて10kgの荷重で約2010±12kg/mmである。表面破壊靭性Kscは約5.8×10Pa・m1/2である。
【0054】
第三の実施例は表4に示すP33であるが、これは容量%でReが7.5%、Coが2.5%及びWCが90%でありそして重量%でReが9.93%、Coが1.41%及びWCが88.66%である。試料P33−7は、製造時、1950℃にて約1時間減圧焼結されたが焼結下、細孔と空隙があった。密度の測定値は約15.38g/ccである(計算密度は15.87g/ccである)。硬度Hvの測定値は室温にて10kgの力のもとで約2081kg/mmである。表面破壊靭性Kscは約5.6×10Pa・m1/2である。試料P33−7を、焼結を行った後、1600℃/15Ksiにて約1時間HIP法で処理した。密度の測定値は約15.82g/ccである(計算密度=15.87g/cc)。硬度Hvの平均値は、室温にて10kgの力のもとで測定したところ約2039±18kg/mmである。表面破壊靭性Kscは約6.5×10Pa・m1/2である。
【0055】
【表6】

【0056】
表4に示す試料P55、P56、P56A及びP57も、Re−Co合金を結合剤マトリックスとして使用する範疇の例である。これらの試料は、P57がVCを含有していないことを除いてReを約1.8%、Coを7.2%、VCを0.6%含有し、最後に、残りはWCである。これらの異なる組成物は、超硬合金の粒子の大きさのHvとKscに対する影響を調べるために製造した。表5はその試験結果を示す。
【0057】
【表7】

【0058】
第三の範疇は、Niベース超合金を、生成する超硬合金の全材料の5〜40容量%含有する結合剤マトリックスに基づいている。Niベース超合金はγ’強化されている(γ’strengthening)高温合金のファミリーである。3種の強力合金:Rene’95、Udimet720及びUdimet700を例として使用して、超硬合金の機械的特性に対する結合剤の強さの効果を示す。Niベース超合金は、特に高温で強度が高い。また、これらの合金は、高温における腐食や酸化に対する耐性などの耐環境性に優れている。したがって、Niベース超合金を使用して、この超合金で結合した超硬合金の硬度を、コバルトで結合された超硬合金の硬度と比べて高くすることができる。とりわけ、Niベース超合金の引張強さは表6に示すように通常の結合剤材料のコバルトよりははるかに高い。このことは、さらに、Niベース超合金が超硬合金用に優れた結合剤材料であることを示している。
【0059】
この範疇の一例は表4に示すP58であり、これは重量%でRene’95を7.5%、VCを0.6%及びWCを91.9%含有し、表4に示すコバルトで結合されたP54(Co8%、VC0.6%及びWC91.4%)に匹敵するものである。P58の硬度は表7に示すようにP54より有意に高い。
【0060】
【表8】

【0061】
第四の範疇は、Niベース超合金+Reを結合剤として、例えば、生成する超硬合金又はサーメットの全材料の約5〜40容量%使用した超硬合金である。Niベース超合金にReを添加して得られる結合剤合金は、Niベース超合金より融点が高くなるので、Re含量が増大するにつれて、Niベース超合金+Re結合剤を含有する超硬合金の処理温度は高くなる。Reの濃度が異なるいくつもの超硬合金を表8に列挙してある。表9はさらに、表8に示す超硬合金の特性の測定値を示す。
【0062】
【表9】

【0063】
【表10】

【0064】
第四の範疇の属する他の例は、結合剤としてNiベース超合金+Re及びCoをやはり約5〜40容量%使用する超硬合金である。Niベース超合金+Re及びCoで結合された超硬合金の代表的な組成は表10に列挙してある。
【0065】
【表11】

【0066】
Niベース超合金含有の結合剤マトリックスの特性を調べるため選択した試料の測定を行った。一般に、Niベース超合金は、高温で優れた強さを示すのみならず、高温において顕著な耐酸化性と耐腐蝕性を有している。Niベース超合金は、複雑な微細構造と強化機構をもっている。一般に、Niベース超合金の強化作用は、主としてγ−γ’相の析出強化作用及び固溶体の強化作用によるものである。選択された試料の測定値は、Niベース超合金が超硬合金用の高性能結合剤材料として使用できることを示している。
【0067】
表11に、選択した試料の組成を、超硬合金の全重量の重量%によって列挙してある。これら試料中のWC粒子は、大きさが0.2μmである。表12には、実施した2ステップ法の条件並びに試料の密度、硬度のパラメータ及び靭性のパラメータの測定値を列挙してある。Palmgvist破壊靭性Kscは、ビッカー圧子が生成するPalmgvist亀裂の全亀裂長(total crack length)から計算する〔Ksc=0.087*(Hv*w)1/2〕(例えばWarren及びH. Matzke、Proceedings Of the International Conference On the Science of Hard Materials、米国ワイオミング州ジャクソン、1981年8月23〜28日参照)。硬度Hvと亀裂長は15秒間の10kgの荷重下で測定した。各測定は各試料に対し8回ずつ圧子押し込みをして実施し、その平均値を使用して列挙したデータを計算した。
【0068】
【表12】

【0069】
【表13】

【0070】
被検試料中、試料P54には、Coからなる従来の結合剤が使用されている。試料P58には、試料P54に結合剤として使用されているCoの代わりにNi超合金R−95が使用されている。その結果、HvはP54が2090であるのにP58は2246まで増大している。試料P56の場合、結合剤として、ReとCoの混合物がCoの代わりに使用されているが、HvはP54が2090であるのにP56は2133まで増大している。試料P72、P73、P74は同量のReを含有しているが異なる量のCoとR95を含有している。試料P72には結合剤としてReとCoの混合物が使用されているのに対し、試料P73とP74には代わりにRe、Co及びR95の混合物が結合剤として使用されている。硬度Hvは、2041(P72)から2217(P73)及び2223(P74)へと増大している。
【0071】
【表14】

【0072】
また、選択した試料を測定して、結合剤マトリックス中のReを含有する結合剤マトリックスの特性をさらに調べた。表13に被検試料を列挙した。粒経が2μmと0.2μmである2種類のWC粒子を使用した。表14に、実施した2ステップ法の条件並びに選択した試料の密度、硬度のパラメータ及び靭性のパラメータの測定値を列挙してある。
【0073】
【表15】

【0074】
表15は、さらに選択した試料の各種温度下での硬度パラメータの測定値を示し、この場合、1kgの荷重で15秒間、NikonQM高温硬度テスタ(hot hardness tester)によってヌープ硬度Hを測定した。なおRは25℃でのHに対する試験高温でのHの比率である。高温硬度の試料C2とC6の炭化物は、MSC Co.(米国ニューヨーク州メルビル)から購入したインサート(insert)SNU434から調製した。
【0075】
【表16】

【0076】
超硬合金の結合剤マトリックスにReを含有させると、結合剤合金すなわちCo−Re、Ni超合金−Re、Ni超合金−Re−Coの融点が高くなる。例えば、試料P63の融点は、固相焼結法で利用される2200℃という温度よりはるかに高い。結合剤中にReを含有するこのような超硬合金(例えばP17〜P63)の熱硬度の値は、従来のCoで結合された超硬合金(C2炭化物とC6炭化物)よりはるかに高い。特に、上記測定値は、結合剤中のRe濃度が増大すると高温における硬度が高くなることを示している。被検試料の中で、純Reを結合剤として含有する試料P62Aは硬度が最高である。Reが94%でNiベース超合金R95が6%という結合剤組成物を含有する試料P63は二番目に高い硬度を有している。試料P40A(71.9%Re−29.1%R95)、P49(69.9%Re−30.1%R95)、P51(88.5%Re−11.5%R95)及びP50(71.9%Re−28.1%R95)はその硬度が前記試料に続く値のグループである。結合剤中に62.5%のReと37.5%のR95を含有する試料P48は、Re含有量が最低なので、一部の被検試料の中で高温における硬度が最低である。
【0077】
さらに別の範疇の超硬合金又はサーメットは、NiとMoもしくはMoCを含有する結合剤マトリックスに結合されたTiCとTiNを含有している。サーメットの結合剤Niは、Re、Re+Co、Niベース超合金、Re+Niベース超合金、及びRe+CoとNiベース超合金によって完全に又は一部を代替することができる。例えば、P38とP39は典型的なNiで結合されたサーメットである。試料P34はRene95で結合されたサーメットである。P35、P36、P37及びP45はRe+Rene95で結合されたサーメットである。P34、35、36、37、38、39及び45の組成は表16に列挙してある。
【0078】
【表17】

【0079】
超硬合金又はサーメットの上記組成物は、各種の用途に使用することができる。例えば、このような材料は、摩耗部品を使ってターゲット物体の材料を切削することによってターゲット物体を切削、研削又はドリルする工具のその摩耗部品を製造するのに使用できる。このような工具は、異なる材料、例えば、スチールで製造された支持部品を備えていてもよい。その場合、摩耗部品はインサートとして支持部品に係合している。工具は、支持部品に係合された複数のインサートを備えるように設計することができる。例えば、いくつかの採掘用ドリルには、超硬合金材料製の複数のボタンビットを設けることができる。このような工具の例としては、ドリル、ナイフなどの刃物、のこぎり、研削器、ドリルがある。あるいは、本明細書に記載の超硬合金を使用して、切削、穴あけ又は他の機械加工操作用の摩耗部品としての工具の全頭部を製造することができる。また、超硬合金粒子を使用して、各種の材料を研磨又は研削するのに用いる砥粒グリッド(abrasive grid)を製造できる。さらに、このような超硬合金を使用して、装置の作動又は装置が作動する環境条件の特別の用件を満たす各種装置のハウジング及び外表面もしくは外層を製造することもできる。
【0080】
さらに具体的に述べると、本明細書に記載の超硬合金を使用して、金属、複合材、プラスチック及び木材を機械加工するための切削工具を製造することができる。その切削工具としては旋削、転削、中ぐり及び穴あけを行うためのスローアウェイチップ(indexable inserts)や、ドリル、エンドミル、ソーマ、タップ、ホブ並びにミリングカッタがある。これら工具の切れ刃の温度は機械加工中500℃より高くなることがあるので、上記高温作動条件に対して用いる超硬合金組成物は、これら切削工具に使用すると特に有利であり、例えば工具の寿命が延長され、かつ切削速度が増大することによってこれら工具による生産性が改善される。
【0081】
本明細書に記載の超硬合金は、線引き抜き(wire-drawing)、押し出し、鍛造及び冷間頭部すえこみ(cold heading)に使う工具を製造するのに使用できる。また、粉末法用の型やパンチとしても使用できる。さらにこれら超硬合金は、岩石を穴あけしたり採掘するのに使用する耐摩耗性材料として使用できる。
【0082】
いくつかの実施態様と実施例しか開示されていないが、変形と改良は、本願の特許請求の範囲の精神から逸脱せずに行うことができかつ本願の特許請求の範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の一実施態様による超硬合金の一つの代表的な製造の流れを示す。
【図2】固相で超硬合金を処理する代表的な2ステップ焼結法を示す。
【図3】選択された代表的な超硬合金の各種特性の測定値を示す。
【図4】選択された代表的な超硬合金の各種特性の測定値を示す。
【図5】選択された代表的な超硬合金の各種特性の測定値を示す。
【図6】選択された代表的な超硬合金の各種特性の測定値を示す。
【図7】選択された代表的な超硬合金の各種特性の測定値を示す。
【図8】選択された代表的な超硬合金の各種特性の測定値を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一材料を含む硬質粒子及び第二の異なる材料を含む結合剤マトリックスを含有する材料であって、
前記第二材料の容量が前記材料の全容量の約3%〜約40%であり、前記結合剤マトッリックスが前記材料の全重量の25%より多い量のレニウムを含有し、そして前記硬質粒子は前記結合剤マトリックス中に広がって実質的に均一に分散されている材料。
【請求項2】
前記第一材料が、タングステンを含む炭化物を含有している請求項1に記載の材料。
【請求項3】
前記炭化物が、一炭化タングステン(WC)を含有している請求項2に記載の材料。
【請求項4】
前記第一材料がさらに、タングステンと異なる金属元素を含む他の炭化物を含有している請求項2に記載の材料。
【請求項5】
前記金属元素がチタン(Ti)である請求項4に記載の材料。
【請求項6】
前記金属元素がタンタル(Ta)である請求項4に記載の材料。
【請求項7】
前記金属元素がニオブ(Nb)である請求項4に記載の材料。
【請求項8】
前記金属元素がバナジウム(V)である請求項4に記載の材料。
【請求項9】
前記金属元素がクロム(Cr)である請求項4に記載の材料。
【請求項10】
前記金属元素がハフニウム(Hf)である請求項4に記載の材料。
【請求項11】
前記金属元素がモリブデン(Mo)である請求項4に記載の材料。
【請求項12】
前記第一材料がさらに窒化物を含有している請求項2に記載の材料。
【請求項13】
前記窒化物がTiN又はHfNを含んでいる請求項12に記載の材料。
【請求項14】
前記第一材料がさらに窒化物を含有している請求項1に記載の材料。
【請求項15】
前記窒化物がTiN又はHfNを含んでいる請求項14に記載の材料。
【請求項16】
前記結合剤マトリックスがさらにコバルト(Co)を含有している請求項1に記載の材料。
【請求項17】
前記結合剤マトリックスがさらにニッケル(Ni)を含有している請求項1に記載の材料。
【請求項18】
前記結合剤マトリックスがさらにモリブデン(Mo)を含有している請求項1に記載の材料。
【請求項19】
前記結合剤マトリックスがさらに鉄(Fe)を含有している請求項1に記載の材料。
【請求項20】
前記結合剤マトリックスがさらにクロム(Cr)を含有している請求項1に記載の材料。
【請求項21】
前記結合剤マトリックスがさらにNiベース超合金を含有している請求項1に記載の材料。
【請求項22】
前記結合剤マトリックスがさらにコバルトを含有している請求項21に記載の材料。
【請求項23】
(1)WC、TiC及びTaCの混合物、(2)WC、TiC及びNbCの混合物、(3)WC、TiC及びTaCとNbCの少なくとも一方の混合物、並びに(4)WC、TiC及びHfCとNbCの少なくとも一方の混合物からなる群の中の少なくとも一つを選択してなる混合物を含む第一材料を含有する硬質粒子と、第二の異なる材料を含有する結合剤マトリックスとを含有する材料であって、
前記結合剤マトリックスの容量が前記材料の全容量の約3%〜約40%であり、前記結合剤マトリックスがレニウムを含有し、そして前記硬質粒子が前記結合剤マトリックス中に広がって実質的に均一に分散されている材料。
【請求項24】
前記結合剤マトリックスがさらにNiベース超合金を含有している請求項23に記載の材料。
【請求項25】
MoC及びTiCの混合物を含む第一材料を含有する硬質粒子と、第二の異なる材料を含む結合剤マトリックスとを含有する材料であって、
前記結合剤マトリックスの容量が前記材料の全容量の約3%〜約40%であり、前記結合剤マトリックスがレニウムを含有し、そして前記硬質粒子が前記結合剤マトリックス中に広がって実質的に均一に分散されている材料。
【請求項26】
前記第一材料がさらにTiNを含有している請求項25に記載の材料。
【請求項27】
前記結合剤マトリックスがさらにNiベース超合金を含有している請求項25に記載の材料。
【請求項28】
硬質粒子の粉末とレニウムを含有する結合剤マトリックス材料とを混合することによってグレード粉末を製造し、
前記グレード粉末を処理して、前記結合剤マトリックス材料を利用し前記硬質粒子を結合させて固体超硬合金材料を製造することを含む方法であって、
前記処理が(1)前記グレード粉末を固相で減圧条件下焼結すること、及び(2)前記グレード粉末を固相で不活性ガス媒体中加圧下焼結することを含む方法。
【請求項29】
前記結合剤マトリックス材料がさらにNiベース超合金を含有している請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記結合剤マトリックス材料がさらにコバルトを含有している請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記結合剤マトリックス材料がさらにコバルトを含有している請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記各焼結が前記硬質粒子及び前記結合剤マトリックス材料の共融温度より低い温度で行われる請求項28に記載の方法。
【請求項33】
第一材料を含有する硬質粒子と、ニッケルベース超合金を含む第二の異なる材料を含有する結合剤マトリックスとを含有する材料であって、
前記硬質粒子が前記結合剤マトリックス中に広がって実質的に均一に分散されている材料。
【請求項34】
前記第一材料がタングステンを含む炭化物を含有している請求項33に記載の材料。
【請求項35】
前記炭化物が一炭化タングステン(WC)を含有している請求項34に記載の材料。
【請求項36】
前記第一材料がさらにタングステンとは異なる金属元素を含む他の炭化物を含有する請求項34に記載の材料。
【請求項37】
前記金属元素がチタン(Ti)である請求項36に記載の材料。
【請求項38】
前記金属元素がタンタル(Ta)である請求項36に記載の材料。
【請求項39】
前記金属元素がニオブ(Nb)である請求項36に記載の材料。
【請求項40】
前記金属元素がバナジウム(V)である請求項36に記載の材料。
【請求項41】
前記金属元素がクロム(Cr)である請求項36に記載の材料。
【請求項42】
前記金属元素がハフニウム(Hf)である請求項36に記載の材料。
【請求項43】
前記金属元素がモリブデン(Mo)である請求項36に記載の材料。
【請求項44】
前記第一材料がさらに窒化物を含有している請求項34に記載の材料。
【請求項45】
前記窒化物がTiNを含有している請求項44に記載の材料。
【請求項46】
前記窒化物がHfNを含有している請求項44に記載の材料。
【請求項47】
前記第一材料がさらに窒化物を含有している請求項33に記載の材料。
【請求項48】
前記窒化物がTiNとHfNの少なくとも一方を含有している請求項47に記載の材料。
【請求項49】
前記ニッケルベース超合金が主としてニッケルを含有し他の元素も含有している請求項33に記載の材料。
【請求項50】
前記他の元素がCo、Cr、Al、Ti、Mo、Nb、W、及びZrを含んでいる請求項49に記載の材料。
【請求項51】
前記結合剤マトリックスがさらに第二の異なるニッケルベース超合金を含有している請求項33に記載の材料。
【請求項52】
前記結合剤マトリックスがさらにレニウムを含有している請求項51に記載の材料。
【請求項53】
前記結合剤マトリックスがさらにコバルトを含有している請求項52に記載の材料。
【請求項54】
前記結合剤マトリックスがさらにレニウムを含有している請求項33に記載の材料。
【請求項55】
前記結合剤マトリックスがさらにコバルトを含有している請求項54に記載の材料。
【請求項56】
前記結合剤マトリックスがさらにコバルトを含有している請求項33に記載の材料。
【請求項57】
前記結合剤マトリックスがさらにニッケルを含有している請求項33に記載の材料。
【請求項58】
前記結合剤マトリックスがさらに鉄を含有している請求項33に記載の材料。
【請求項59】
前記結合剤マトリックスがさらにモリブデンを含有している請求項33に記載の材料。
【請求項60】
前記結合剤マトリックスがさらにクロムを含有している請求項33に記載の材料。
【請求項61】
前記結合剤マトリックスがさらにニッケルベース合金と異なる他の合金を含有している請求項33に記載の材料。
【請求項62】
TiCとTiNを含む第一材料を含有する硬質粒子と、Ni、Mo、及びMoCのうち少なくとも一つを含む第二の異なる材料を含有する結合剤マトリックスとを含有する材料であって、
前記硬質粒子が前記結合剤マトリックス中に広がって実質的に均一に分散されている材料。
【請求項63】
前記結合剤マトリックスがさらにReを含有している請求項62に記載の材料。
【請求項64】
前記結合剤マトリックスがさらにCoを含有している請求項63に記載の材料。
【請求項65】
前記結合剤マトリックスがさらにNiベース超合金を含有している請求項64に記載の材料。
【請求項66】
前記結合剤マトリックスがさらにNiベース超合金を含有している請求項63に記載の材料。
【請求項67】
前記結合剤マトリックスがさらにNiベース超合金を含有している請求項62に記載の材料。
【請求項68】
硬質粒子の粉末を、Niベース超合金を含む結合剤マトリックス材料と混合することによってグレード粉末を製造し、
前記グレード粉末を処理して、前記結合剤マトリックス材料を利用し前記硬質粒子を結合させることによって固体の超硬合金材料を製造することを含む方法。
【請求項69】
前記処理が、引き続き圧縮操作、第一焼結操作,成形操作及び第二焼結操作を行うことを含む請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記混合前に、レニウムをさらに含有するように結合剤マトリックス材料を調製することをさらに含む請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記混合前に、コバルトをさらに含有するように結合剤マトリックス材料を調製することをさらに含む請求項68に記載の方法。
【請求項72】
前記処理が,熱間等方加圧法の固相焼結を含む請求項68に記載の方法。
【請求項73】
前記処理が、(1)グレード粉末を固相で減圧条件下焼結すること及び(2)グレード粉末を固相で不活性ガス媒体中加圧下焼結することを含む請求項68に記載の方法。
【請求項74】
前記混合前に,粒径が0.5ミクロンより小さい硬質粒子を調製することをさらに含み、焼結操作の温度を下げる請求項68に記載の方法。
【請求項75】
物体から材料を切削する摩耗部品を備えた装置であって、前記摩耗部品が、第一材料を含む硬質粒子と、レニウムとNiベース超合金を含む第二の異なる材料を含有する結合剤マトリックスとを含有する材料を含み、前記硬質粒子が前記結合剤マトリックス中に広がって実質的に均一に分散されている装置。
【請求項76】
前記結合剤マトリックスがさらにコバルトを含有している請求項75に記載の装置。
【請求項77】
摩耗部品を備えた装置であって、その摩耗部品が、第一材料を含む硬質粒子と、Niベース超合金を含有する第二の異なる材料の結合剤マトリックスとを含有する材料を含み、前記硬質粒子が前記結合剤マトリックス中に広がって実質的に均一に分散されている装置。
【請求項78】
(1)WC、TiC及びTaCの固溶体、(2)WC、TiC及びNbCの固溶体、(3)WC、TiC及びTaCとNbCの少なくとも一方の固溶体、並びに(4)WC、TiC及びHfCとNbCの少なくとも一方の固溶体からなる群の中の少なくとも一つを選択してなる第一材料を含有する硬質粒子と、第二の異なる材料を含む結合剤マトリックスとを含有する材料であって、前記結合剤マトリックスの容量が前記材料の全容量の約3%〜約40%であり、前記結合剤マトリックスがレニウムを含有し、そして前記硬質粒子が前記結合剤マトリックス中に広がって実質的に均一に分散されている材料。
【請求項79】
前記硬質粒子がWC、TiC及びTaCの固溶体を含有し、前記結合剤マトリックスが純Reで構成されている請求項78に記載の材料。
【請求項80】
前記固溶体が前記材料の約72%であり、そしてReが前記材料の全重量の約28%である請求項79に記載の材料。
【請求項81】
前記固溶体が前記材料の約85%であり、そしてReが前記材料の全重量の約15%である請求項79に記載の材料。
【請求項82】
TiCとTaCの量がほぼ等しくかつその合計量がWCの量より少ない請求項79に記載の材料。
【請求項83】
前記硬質粒子がWC、TiC及びTaCの固溶体を含有し、前記結合剤マトリックスがReとNi超合金を含有する請求項78に記載の材料。
【請求項84】
TiCとTaCが、各々、前記材料の全重量の約3%から約6%未満であり、そしてWCが前記材料の全重量の78%を超え89%より少ない請求項83に記載の材料。
【請求項85】
前記結合剤マトリックスがさらにCoを含有している請求項83に記載の材料。
【請求項86】
前記Niベース超合金が主としてNiを含有しCo、Cr、Al、Ti、Mo、Nb、W、Zr、B、C、及びVを含む他の元素をも含有している請求項83に記載の材料。
【請求項87】
前記結合剤マトリックスが、Re及びReを含有するNiベース超合金を含有している請求項78に記載の材料。
【請求項88】
前記Niベース超合金がReを含有している請求項21に記載の材料。
【請求項89】
前記Niベース超合金がReを含有している請求項24に記載の材料。
【請求項90】
前記Niベース超合金がReを含有している請求項21に記載の材料。
【請求項91】
前記Niベース超合金がReを含有している請求項33に記載の材料。
【請求項92】
前記Niベース超合金がγ−γ’相である請求項33に記載の材料。
【請求項93】
前記他の元素がさらにReを含有している請求項50に記載の材料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一材料を含む硬質粒子及び第二の異なる材料を含む結合剤マトリックスを含有する材料であって、
前記第二材料の容量が前記材料の全容量の約3%〜約40%であり、前記結合剤マトッリックスが前記材料の全重量の25%より多い量のレニウム(Re)を含有し、そして前記硬質粒子は前記結合剤マトリックス中に広がって実質的に均一に分散されている材料。
【請求項2】
前記第一材料が、タングステンを含む炭化物を含有している請求項1に記載の材料。
【請求項3】
前記炭化物が、一炭化タングステン(WC)を含有している請求項2に記載の材料。
【請求項4】
前記第一材料がさらに、タングステンと異なる金属元素を含む他の炭化物を含有している請求項2に記載の材料。
【請求項5】
前記金属元素がチタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ハフニウム(Hf)およびモリブデン(Mo)のうちの少なくとも一つである請求項4に記載の材料。
【請求項6】
前記第一材料がさらに窒化物を含有している請求項1または請求項2に記載の材料。
【請求項7】
前記窒化物がTiN又はHfNを含んでいる請求項6に記載の材料。
【請求項8】
前記結合剤マトリックスがさらにコバルト(Co)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)およびクロム(Cr)のうちの少なくとも一つを含有している請求項1に記載の材料。
【請求項9】
前記結合剤マトリックスがさらにNiベース超合金を含有している請求項1に記載の材料。
【請求項10】
前記結合剤マトリックスがさらにコバルトを含有している請求項9に記載の材料。
【請求項11】
前記Niベース超合金がReを含有している請求項9に記載の材料。
【請求項12】
(1)WC、TiC及びTaCの混合物、(2)WC、TiC及びNbCの混合物、(3)WC、TiC及びTaCとNbCの少なくとも一方の混合物、並びに(4)WC、TiC及びHfCとNbCの少なくとも一方の混合物からなる群の中の少なくとも一つを選択してなる混合物を含む第一材料を含有する硬質粒子と、第二の異なる材料を含有する結合剤マトリックスとを含有する材料であって、
前記結合剤マトリックスの容量が前記材料の全容量の約3%〜約40%であり、前記結合剤マトリックスがレニウム(Re)を含有し、そして前記硬質粒子が前記結合剤マトリックス中に広がって実質的に均一に分散されている材料。
【請求項13】
前記結合剤マトリックスがさらにNiベース超合金を含有している請求項12に記載の材料。
【請求項14】
前記Niベース超合金がReを含有している請求項13に記載の材料。
【請求項15】
MoC及びTiCの混合物を含む第一材料を含有する硬質粒子と、第二の異なる材料を含む結合剤マトリックスとを含有する材料であって、
前記結合剤マトリックスの容量が前記材料の全容量の約3%〜約40%であり、前記結合剤マトリックスがレニウム(Re)を含有し、そして前記硬質粒子が前記結合剤マトリックス中に広がって実質的に均一に分散されている材料。
【請求項16】
前記第一材料がさらにTiNを含有している請求項15に記載の材料。
【請求項17】
前記結合剤マトリックスがさらにNiベース超合金を含有している請求項15に記載の材料。
【請求項18】
前記Niベース超合金がReを含有している請求項17に記載の材料。
【請求項19】
硬質粒子の粉末とレニウム(Re)を含有する結合剤マトリックス材料とを混合することによってグレード粉末を製造し、
前記グレード粉末を処理して、前記結合剤マトリックス材料を利用し前記硬質粒子を結合させて固体超硬合金材料を製造することを含む方法であって、
前記処理が(1)前記グレード粉末を固相で減圧条件下焼結すること、及び(2)前記グレード粉末を固相で不活性ガス媒体中加圧下焼結することを含む方法。
【請求項20】
前記結合剤マトリックス材料がさらにNiベース超合金を含有している請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記結合剤マトリックス材料がさらにコバルトを含有している請求項19または請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記各焼結が前記硬質粒子及び前記結合剤マトリックス材料の共融温度より低い温度で行われる請求項19に記載の方法。
【請求項23】
第一材料を含有する硬質粒子と、ニッケルベース超合金を含む第二の異なる材料を含有する結合剤マトリックスとを含有する材料であって、
前記硬質粒子が前記結合剤マトリックス中に広がって実質的に均一に分散されている材料。
【請求項24】
前記第一材料がタングステンを含む炭化物を含有している請求項23に記載の材料。
【請求項25】
前記炭化物が一炭化タングステン(WC)を含有している請求項24に記載の材料。
【請求項26】
前記第一材料がさらにタングステンとは異なる金属元素を含む他の炭化物を含有する請求項24に記載の材料。
【請求項27】
前記金属元素がチタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ハフニウム(Hf)およびモリブデン(Mo)のうちの少なくとも一つである請求項26に記載の材料。
【請求項28】
前記第一材料がさらに窒化物を含有している請求項23または請求項24に記載の材料。
【請求項29】
前記窒化物が少なくともTiNまたはHfNを含有している請求項28に記載の材料。
【請求項30】
前記ニッケルベース超合金が主としてニッケルを含有し他の元素も含有している請求項23に記載の材料。
【請求項31】
前記他の元素がCo、Cr、Al、Ti、Mo、Nb、W、及びZrを含んでいる請求項30に記載の材料。
【請求項32】
前記他の元素がさらにReを含有している請求項31に記載の材料。
【請求項33】
前記結合剤マトリックスがさらに第二の異なるニッケルベース超合金を含有している請求項23に記載の材料。
【請求項34】
前記結合剤マトリックスがさらにレニウム(Re)を含有している請求項23または請求項33に記載の材料。
【請求項35】
前記結合剤マトリックスがさらにコバルトを含有している請求項34に記載の材料。
【請求項36】
前記結合剤マトリックスがさらにコバルト、ニッケル、鉄、モリブデン、クロムおよびニッケルベース合金と異なる他の合金のうちの少なくとも一つを含有している請求項23に記載の材料。
【請求項37】
前記Niベース超合金がReを含有している請求項23に記載の材料。
【請求項38】
前記Niベース超合金がγ−γ’相である請求項23に記載の材料。
【請求項39】
TiCとTiNを含む第一材料を含有する硬質粒子と、Ni、Mo、及びMoCのうち少なくとも一つを含む第二の異なる材料を含有する結合剤マトリックスとを含有する材料であって、
前記硬質粒子が前記結合剤マトリックス中に広がって実質的に均一に分散されている材料。
【請求項40】
前記結合剤マトリックスがさらにReを含有している請求項39に記載の材料。
【請求項41】
前記結合剤マトリックスがさらにCoを含有している請求項40に記載の材料。
【請求項42】
前記結合剤マトリックスがさらにNiベース超合金を含有している請求項39、請求項40または請求項41に記載の材料。
【請求項43】
硬質粒子の粉末を、Niベース超合金を含む結合剤マトリックス材料と混合することによってグレード粉末を製造し、
前記グレード粉末を処理して、前記結合剤マトリックス材料を利用し前記硬質粒子を結合させることによって固体の超硬合金材料を製造することを含む方法。
【請求項44】
前記処理が、引き続き圧縮操作、第一焼結操作,成形操作及び第二焼結操作を行うことを含む請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記混合前に、レニウム(Re)をさらに含有するように結合剤マトリックス材料を調製することをさらに含む請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記混合前に、コバルトをさらに含有するように結合剤マトリックス材料を調製することをさらに含む請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記処理が,熱間等方加圧法の固相焼結を含む請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記処理が、(1)グレード粉末を固相で減圧条件下焼結すること及び(2)グレード粉末を固相で不活性ガス媒体中加圧下焼結することを含む請求項43に記載の方法。
【請求項49】
前記混合前に,粒径が0.5ミクロンより小さい硬質粒子を調製することをさらに含み、焼結操作の温度を下げる請求項43に記載の方法。
【請求項50】
物体から材料を切削する摩耗部品を備えた装置であって、前記摩耗部品が、第一材料を含む硬質粒子と、レニウム(Re)とNiベース超合金を含む第二の異なる材料を含有する結合剤マトリックスとを含有する材料を含み、前記硬質粒子が前記結合剤マトリックス中に広がって実質的に均一に分散されている装置。
【請求項51】
前記結合剤マトリックスがさらにコバルトを含有している請求項50に記載の装置。
【請求項52】
摩耗部品を備えた装置であって、その摩耗部品が、第一材料を含む硬質粒子と、Niベース超合金を含有する第二の異なる材料の結合剤マトリックスとを含有する材料を含み、前記硬質粒子が前記結合剤マトリックス中に広がって実質的に均一に分散されている装置。
【請求項53】
(1)WC、TiC及びTaCの固溶体、(2)WC、TiC及びNbCの固溶体、(3)WC、TiC及びTaCとNbCの少なくとも一方の固溶体、並びに(4)WC、TiC及びHfCとNbCの少なくとも一方の固溶体からなる群の中の少なくとも一つを選択してなる第一材料を含有する硬質粒子と、第二の異なる材料を含む結合剤マトリックスとを含有する材料であって、前記結合剤マトリックスの容量が前記材料の全容量の約3%〜約40%であり、前記結合剤マトリックスがレニウム(Re)を含有し、そして前記硬質粒子が前記結合剤マトリックス中に広がって実質的に均一に分散されている材料。
【請求項54】
前記硬質粒子がWC、TiC及びTaCの固溶体を含有し、前記結合剤マトリックスが純Reで構成されている請求項53に記載の材料。
【請求項55】
前記固溶体が前記材料の約72%であり、そしてReが前記材料の全重量の約28%である請求項54に記載の材料。
【請求項56】
前記固溶体が前記材料の約85%であり、そしてReが前記材料の全重量の約15%である請求項54に記載の材料。
【請求項57】
TiCとTaCの量がほぼ等しくかつその合計量がWCの量より少ない請求項54に記載の材料。
【請求項58】
前記硬質粒子がWC、TiC及びTaCの固溶体を含有し、前記結合剤マトリックスがReとNi超合金を含有する請求項53に記載の材料。
【請求項59】
TiCとTaCが、各々、前記材料の全重量の約3%から約6%未満であり、そしてWCが前記材料の全重量の78%を超え89%より少ない請求項58に記載の材料。
【請求項60】
前記結合剤マトリックスがさらにCoを含有している請求項58に記載の材料。
【請求項61】
前記Niベース超合金が主としてNiを含有しCo、Cr、Al、Ti、Mo、Nb、W、Zr、B、C、及びVを含む他の元素をも含有している請求項58に記載の材料。
【請求項62】
前記結合剤マトリックスが、Re及びReを含有するNiベース超合金を含有している請求項53に記載の材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−513119(P2006−513119A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544169(P2004−544169)
【出願日】平成15年7月8日(2003.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2003/021332
【国際公開番号】WO2004/065645
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(504066564)ジーニアス メタル インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】