説明

超臨界二酸化炭素を含む溶液からの溶質の分離方法

【課題】 環境に優しく、省エネルギーで、処理コストを抑えつつ、超臨界二酸化炭素を含む溶液中から選択した溶質を特定の物質表面に選択的に分離して回収する。
【解決手段】 分離したい溶質がその溶解度以下で溶けている超臨界二酸化炭素を含む溶液中に、所定のサイズの細孔を有する物質を存在させ、細孔における毛細管凝縮現象を主として利用して、細孔内に溶質を析出させることにより、溶液中の溶質を分離、回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には溶液中の選択した溶質の分離方法に関する。本発明は特に、超臨界二酸化炭素を含む溶液中から、選択した溶質を析出させることにより溶質を分離、回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超臨界流体は、物質を臨界点以上の圧力と温度に保つことにより得られる流体であり、液体と同等な溶質に対する溶解度と気体と同等な拡散性を有するという特徴がある。例えば、超臨界二酸化炭素は、臨界点が73気圧(7.38MPa)、31℃(304.1K)であり、工業的に容易に作製できること、溶質を溶解させて臨界点以下の圧力にした場合、二酸化炭素は気化して後には溶質のみが残り、その気化した二酸化炭素は回収して再利用が可能であること等の理由から、コーヒー豆の脱カフェイン化等の目的で既に実用化されている。
【0003】
また、従来の重金属や強酸等を使った各種プロセスや可燃性や毒性のある溶媒を使った各種プロセスを、超臨界二酸化炭素を使ったプロセスに置き換えることで、環境への悪い影響を低減できるので、環境に優しい溶媒の視点から、その置き換え利用が期待されている。また、超臨界二酸化炭素は、特に有機化合物に対する溶解度が大きく、たとえ減圧後に溶質に二酸化炭素が残留しても、人体に対する毒性がほとんどないことからも、その利用が期待されている。
【0004】
一方で、超臨界二酸化炭素への金属塩等の無機化合物に対する溶解度は小さく、無機化合物には適用はできないと思われていた。しかし、1990年代に、特許文献1に示されるように、金属の持つ電荷を有機キレート剤で中和することにより抽出できることが発見され、現在では、非特許文献1に示されるように、様々な分野での工業的応用を目指した研究や開発が行われている。中でも特許文献2に見られるように、金属化合物を材料の表面に付着させて機能性材料を製造することは、触媒等の画期的な新材料創成にとって重要な方法になりつつある。
【0005】
特許文献2に開示されるような方法で、材料表面に超臨界二酸化炭素中に溶解した溶質を付着させる場合、十分な付着量を確保するためには超臨界二酸化炭素中の溶質の溶解度を下げて析出させるために、超臨界二酸化炭素の減圧および気化操作が必要である。その操作の際、二酸化炭素は代表的な地球温暖化ガスの一つであるため、環境中に放出することなく再利用することが求められるが、圧縮による液化や再利用のためには、加圧やリサイクル利用のための高圧機器が不可欠となる。しかし、高圧機器は高価であり、また再加圧には大きなエネルギーが必要であり、総じて処理コストが高くなるという問題がある。さらに、溶質が、塗布したい対象物だけではなく、高圧機器の内面などにも非選択的に析出してしまうという問題がある。
【0006】
【特許文献1】 米国特許5,356,538
【特許文献2】 米国特許7,294,528
【非特許文献1】 A.S.Gopalan,C.M.Wai,H.K.Jacobs編、ACS Symposium Series 860‘’Separations and Processes Using Supercritical Carbon Dioxide‘’
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、減圧および気化操作を軽減すること、あるいは追加の高圧機器の使用を無くすことができる、超臨界二酸化炭素を含む溶液中から選択した溶質を分離、回収する方法を提供することである。
【0008】
さらに、本発明の目的は、超臨界二酸化炭素を含む溶液中から選択した溶質を特定の物質表面にだけ選択的に析出させて分離、回収することができる方法を提供することである。
【0009】
また、本発明の目的は、環境に優しく、省エネルギー効果が大きく、あるいは処理コストを抑えることが可能な、超臨界二酸化炭素を含む溶液中から選択した溶質を分離、回収する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、分離したい溶質がその溶解度以下で溶けている超臨界二酸化炭素を含む溶液中に、所定のサイズの細孔を有する物質を存在させ、細孔における毛細管凝縮現象を利用して、細孔内に溶質を析出させることにより、溶液中の溶質を分離する方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、超臨界二酸化炭素を含む溶液から溶質を分離、回収する際に必要となる減圧および気化操作を軽減することができる。
【0012】
本発明によれば、超臨界二酸化炭素を含む溶液から溶質を分離、回収する際に必要となるエネルギーを軽減することができる。
【0013】
本発明によれば、超臨界二酸化炭素を含む溶液から、溶質を溶液中の特定の物質表面にのみ選択的に析出させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
発明を実施するための最良の形態について、実施例を示しながら説明する。なお、以下の実施例では、特定の溶質を用いた場合について説明しているが、本発明はこれに限られるものではなく、他の溶質についても適用可能であり、また本発明の趣旨を逸脱しない範囲でいかなる変形も可能であることは当業者には明らかであろう。
【0015】
最初に本発明の実施形態の概要を説明する。超臨界二酸化炭素は、有機化合物または有機化合物と化学的に錯体を形成した無機化合物からなる溶質に対する大きな溶解度と、細孔への大きな拡散浸透性を有する一方、有機溶媒に比較して環境汚染を引き起こさない点で優れている流体媒質である。本発明では、超臨界二酸化炭素中に溶解した溶質を簡単に所定のサイズ(例えば、1マイクロメータ以下)の細孔を有する物質内(細孔内)に選択的に回収できる。そして、その物質を加熱する等の方法によって、細孔内面にその分解物を担持させることにより、機能性材料を得ることができる。
【0016】
本発明によれば、対象物を例えば1マイクロメータ以下の代表径の細孔を有する構造物とし、これを、溶質を溶解した超臨界二酸化炭素中にあらかじめ設置するか、あるいは、後から挿入することによって、毛細管凝縮現象を、細孔に流入した高圧流体に物理的に生起させ、細孔内で実効的に低下した圧力により、超臨界二酸化炭素に溶解していた溶質を析出させることができる。これにより、高圧流体を減圧することなく、溶質を細孔内に回収でき、引き続く物理化学操作に供することができる。その結果、高圧機器から構成される工程の合理化が可能となる。
【0017】
超臨界二酸化炭素に十分な溶解度を有する溶質として、1,5シクロオクタジエンジメチル白金(1,5−cyclooctadiene dimethyl platinum)がある。これを最初に超臨界二酸化炭素の溶液中で溶解度近くまで溶解しておく。この高圧流体(超臨界二酸化炭素の溶液)中に、300ナノメートル程度の高さの凹凸を有する撥水性の膜がその表面に付着したステンレス鋼を挿入する。すると、この300ナノメートル程度の凹凸構造の凹部において毛細管凝縮現象が発現し、1,5シクロオクタジエンジメチル白金が、この凹凸構造中に析出する。この状態で高圧流体を排出した後に、膜のついたステンレス鋼の温度を120℃に昇温する。すると、1,5シクロオクタジエンジメチル白金が凹凸構造中で熱分解して白金微粒子がそこに形成される。このようにして、容易に白金粒子を担持した撥水性の触媒、すなわち、機能性材料を作製することができる。この詳細な例を下記の実施例1に示す。
【0018】
上の一連の操作の際に、溶解度の異なる二種類の溶質を超臨界二酸化炭素に溶解すれば、毛細管凝縮の際に溶解度の差に応じた析出が起こる。すなわち、溶解度の小さな溶質が先に析出することを利用する。その結果、減圧することなく二種類の溶質を二酸化炭素から分別して回収できる。この詳細な例を下記の実地例2に示す。なお、実施例2に示される方法は、2種類以上の溶質の分離にも拡張できることは明らかであり、その例を実施例3に示す。このように、本発明は、二酸化炭素と溶質の分離だけに限定するものではなく、2種類以上の溶質の分離にも適用できる。
【実施例1】
【0019】
1,5シクロオクタジエンジメチル白金の粉末0.002モルを、内容積が100ミリリットルの高圧オートクレーブ内に入れた。次に高圧オートクレーブ内に、ステンレス鋼製の金網状の充填物である直径6ミリメートルのディクソンパッキンを50ミリリットル入れた。そのディクソンパッキンは、その表面にCVD加工により形成された、有機ケイ素化合物からなる約300ナノメートルの高さ(深さ)の凹凸膜を有している。その後、高圧オートクレーブ内に、液体二酸化炭素を導入し封入後、高圧オートクレーブの温度を80℃に、圧力を180気圧に5時間保った。この操作の際に、液体二酸化炭素は超臨界二酸化炭素となり、0.002モルの1,5シクロオクタジエンジメチル白金の粉末は超臨界二酸化炭素に均一に溶解した。
【0020】
溶解後、超臨界二酸化炭素のもつ高拡散性のために、溶解している1,5シクロオクタジエンジメチル白金がディクソンパッキン表面の凹凸膜中に進入した。さらに、凹凸膜中では、細孔内で起こる物理現象である毛細管凝縮が生じ、進入した高圧流体の実効的圧力が下がり、超臨界二酸化炭素中の1,5シクロオクタジエンジメチル白金が溶解度に達して凹凸膜中に析出した。
【0021】
この操作の前後におけるディクソンパッキン表面のステンレス鋼金網を走査型電子顕微鏡で観察した結果を図1と図2に示した。図1は操作前の顕微鏡写真であり、図2は操作後の顕微鏡写真である。図2と図1の比較から、図2のステンレス鋼金網の表面に明らかに白い付着物(析出物)があることがわかる。同時に、X線エネルギー分散分光分析法によりステンレス鋼金網表面の元素分析を行い、その白い付着物が白金化合物(1,5シクロオクタジエンジメチル白金)であることを確認した。
【0022】
次に、オートクレーブ内の高圧流体を排出し、再度、液体二酸化炭素を導入した後、オートクレーブの温度を120℃に、圧力を15気圧に6時間保った。この操作の際に、液体二酸化炭素は超臨界二酸化炭素となり、オートクレーブ内の温度を均一に保つことに寄与した。ステンレス鋼製ディクソンパッキン表面の凹凸膜中に析出した1,5シクロオクタジエンジメチル白金は、熱分解して金属白金となって凹凸膜中に担持された。図3は、この操作の後におけるディクソンパッキン表面のステンレス鋼金網を走査型電子顕微鏡で観察した結果である。図3のステンレス鋼金網の表面に明らかに白い付着物(析出物)があることがわかる。同時に、X線エネルギー分散分光分析法によりステンレス鋼金網表面の元素分析を行い、その白い付着物が白金金属であることを確認した。
【0023】
また、この白金金属が担持したステンレス鋼金網を水素ガス(H)と重水素ガス(D)の混合物に30分接触させたところ、水素原子の交換反応が発生し、HD分子が発生した。このことから、水素原子交換活性が観測され、白金の触媒活性が認められた。比較のために行った通常のステンレス鋼製のディクソンパッキングでは、交換反応は全く生じなかった。以上のように、本発明を利用することにより、簡便な操作で、白金触媒のような機能性材料を作製できることが確認できた。
【0024】
本発明では、超臨界二酸化炭素に溶解する他の物質を利用して、機能性材料を作製することもできる。その物質としては、例えば、リン、銅(II)ビスヘキサフルオロアセチルアセトン水和物(銅)、トリメチルインジウム(インジウム)、テトラチタン(二酸化チタン)、ビスパラジウム(II)(パラジウム)、パラジウム(II)ヘキサフルオロアセチルアセトン(パラジウム)、ニッケル(II)ヘキサフルオロアセチルアセトン(ニッケル)、ビスジイソブチリルメタナイト銅(銅)、銅(I)ヘキサフルオロアセチルアセトン・2ブチン(銅)が挙げられる。かっこ内の金属の膜(層)を最終的に得ることができる。例えば、3番目のトリメチルインジウムからは、インジウムの機能性材料を得ることができる。
【実施例2】
【0025】
硝酸第二セリウムや硝酸ネオジムのような金属塩は、リン酸トリブチル(TBP)のような錯形成剤を用いて錯体を形成すると、超臨界二酸化炭素に溶解できることが知られている。硝酸第二セリウムアンモニウムおよび硝酸ネオジム六水和塩をそれぞれ純粋なTBPに飽和するまで溶解することにより有機溶液を調製した。後者をTBP硝酸ネオジム溶液と称し、これを用いて図4に示す試験装置100で試験をおこなった。図4の試験装置100で、液化二酸化炭素のボンベ10から、液化二酸化炭素を高圧ポンプ12(米国イスコ社製シリンジポンプD260)により、内容積60ミリリットルの高圧容器14に導入した。さらに、別の容器16内のTBP硝酸ネオジム溶液を別の高圧ポンプ18(東ソー製 DP−8020)により、高圧容器14内に導入した。その後、高圧容器14の下側に設けられた攪拌器20により高圧容器14内の混合溶液を攪拌した。高圧容器14内で一相の均一な流体となったことを高圧容器14の観察窓から撮影したビデオ映像により確認した。
【0026】
試験装置100において、充填カラム22はステンレス鋼製のカラムであり、その入り口と出口にそれぞれ圧力計24、26がある。充填カラム22の出口側の配管は、背圧制御装置28を介して捕集容器30に導かれている。充填カラム22の内部には、表1に示した3種類の充填物を充填した。その3種類は、(イ)JIS規格に準拠したA型シリカゲル(テクノスナカタ社製)を粉砕して、粒径を180〜212マイクロメータに調整したもの、(ロ)JIS規格に準拠したB型シリカゲル(テクノスナカタ社製)を粉砕して、粒径を180〜212マイクロメータに調整したもの、(ハ)多孔質シリカビーズ(GL サイエンス社製、80〜100メッシュ)である。表1の細孔径、細孔容積および比表面積は実測値である。
【0027】
【表1】

【0028】
この3種類の充填物では、(イ)は比表面積が大きく、シリカ表面での化学吸着が期待できる充填剤である。(ロ)と(ハ)は、細孔容積が相対的に大きいことから化学吸着よりも毛細管凝縮が期待できる充填剤である。実際に高圧流体をこれらの充填剤に供給する試験をおこなった結果の一部を図5に示した。図5はいわゆる破過曲線を示しており、縦軸はTBP硝酸ネオジム溶液の流出濃度(cm/分)であり、横軸はその通水時間(分)である。3つの曲線は、左から、空カラムの場合A、(イ)のA型シリカゲルの場合B、(ロ)のB型シリカゲルの場合Cである。この試験では、TBP硝酸ネオジム溶液の(イ)と(ロ)への吸着量は、シリカゲル1gあたりそれぞれ0.543gと0.825gであった。
【0029】
この試験結果より、超臨界二酸化炭素中に溶解していたTBP硝酸ネオジム溶液が高圧流体中に設置した約1〜4ナノメートルの細孔を有するシリカゲルに回収できることが確認できた。また、比表面積の大きな(イ)A型シリカゲルの充填剤よりも細孔容積の大きな(ロ)B型シリカゲルの充填剤により多く回収されていることから、毛細管凝縮現象による吸着が大きいこと確認できた。なお、細孔中に回収された硝酸ネオジム塩については、得られたシリカビーズ0.204gを濃度0.01モル/リットルの硝酸水溶液1cmに10分間浸したところ、硝酸水溶液中にネオジムを硝酸ネオジムとして100%回収することができた。
【実施例3】
【0030】
次に、希土類元素のネオジムとセリウムの分離試験の結果について説明する。実施例2で既に説明した図4の試験装置100を用いて、容器16内にTBP硝酸ネオジム錯体溶液とTBP硝酸セリウム溶液を混合した混合溶液を入れた。充填カラム22には、(ハ)多孔質シリカビーズ(GL サイエンス社製、80〜100メッシュ)を入れて、ネオジムとセリウムを分離する実験を行った。この結果、捕集容器30で得られた回収物中のネオジムとセリウムの濃度変化を図6に示す。図6は破過曲線を示しており、縦軸はTBP硝酸ネオジム錯体溶液またはTBP硝酸セリウム溶液の流出濃度(cm/分)であり、横軸はその通水時間(分)である。
【0031】
図6で、曲線DはTBP硝酸セリウムの場合であり、曲線EはTBP硝酸ネオジムの場合である。容器16には、2つの同一モル濃度の混合液を供給したので、捕集容器30で得られる溶液中にも同じ量ずつ回収されてもよいはずだが、実際には図6から明らかなようにセリウムの濃度Dの方が大きくなっている。これは、ネオジムの方が(ハ)の多孔質シリカビーズ充填剤の細孔中により凝縮しやすいためと考えられる。このことを確かめるために、超臨界二酸化炭素中の溶解度を調べてみた。
【0032】
図7は、TBP硝酸ネオジム溶液とTBP硝酸セリウム溶液の溶解度の測定結果である。縦軸は圧力(MPa)であり、横軸は各錯体のモル分率である。曲線FはTBP硝酸ネオジムの場合であり、曲線GはTBP硝酸セリウムの場合である。図7では、各曲線よりも高い圧力で、各錯体が超臨界二酸化炭素に溶解する。逆に、圧力が下がって各曲線以下になると、各錯体が析出(凝縮)する。すなわち、図7から、ネオジムを溶解する方(曲線F)が、超臨界二酸化炭素に溶解するには高い圧力を必要とするので、多孔質シリカビーズ充填剤の細孔中で毛細管凝縮が生じると、まずネオジム錯体が凝縮し、その後セリウム錯体が凝縮することがわかる。この結果は、図6の試験結果と一致しており、ネオジムの方が(ハ)の多孔質シリカビーズ充填剤の細孔中により凝縮しやすいことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】 本発明の一実施例の処理前のディクソンパッキン表面のステンレス鋼金網の図面代用顕微鏡写真である。
【図2】 本発明の一実施例の処理後のディクソンパッキン表面のステンレス鋼金網の図面代用顕微鏡写真である。
【図3】 本発明の一実施例の加熱後のディクソンパッキン表面のステンレス鋼金網の図面代用顕微鏡写真である。
【図4】 本発明の一実施例の試験装置の構成を示す図である。
【図5】 本発明の実施例2における破過曲線を示す図である。
【図6】 本発明の実施例3における破過曲線を示す図である。
【図7】 本発明の実施例3における溶解度を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
10 液化二酸化炭素のボンベ
12、18 高圧ポンプ
14 高圧容器
16 容器
20 攪拌器
22 充填カラム
24、26 圧力計
28 背圧制御装置
30 捕集容器
100 試験装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離したい溶質がその溶解度以下で溶けている超臨界二酸化炭素を含む溶液中に、所定のサイズの細孔を有する物質を存在させ、前記細孔における毛細管凝縮現象を利用して、前記細孔内に前記溶質を析出させることにより、溶液中の溶質を分離する方法。
【請求項2】
さらに、前記細孔に析出した溶質を所定の温度で熱分解させて、前記溶質に含まれる特定の元素を前記細孔内に担持させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶液は、溶解度の異なる2種類以上の溶質を含み、その溶質の中から溶解度の小さな溶質を選択的に前記細孔内に析出させることを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定のサイズの細孔を有する物質は、シリカゲル、B型シリカゲル、表面に微細な凹凸を有する材料、網状材料、ディクソンパッキンを含むグループから選択された1つの物質からなる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記溶質は、1,5シクロオクタジエンメチル白金、硝酸第2セリウム錯体、硝酸ネオジム錯体、トリフェニルホスフィン、銅(II)ビスヘキサフルオロアセチルアセトン水和物、トリメチルインジウム、テトラチタン、ビスパラジウム(II)、パラジウム(II)ヘキサフルオロアセチルアセトン、ニッケル(II)ヘキサフルオロアセチルアセトン、ビスジイソブチリルメタナイト銅、および銅(I)ヘキサフルオロアセチルアセトン・2ブチンからなるグループから選択された少なくとも1つの化合物を含む、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
表面に微細な凹凸を有する材料を、1,5シクロオクタジエンメチル白金がその溶解度以下で溶けている超臨界二酸化炭素を含む溶液に接触させる工程と、
前記材料の表面の微細な凹凸における毛細管凝縮現象を利用して、前記凹凸内に前記1,5シクロオクタジエンメチル白金を析出させる工程と、
前記凹凸内に析出した1,5シクロオクタジエンメチル白金を所定の温度で熱分解させて、前記1,5シクロオクタジエンメチル白金に含まれる白金を前記凹凸内に担持させる工程と、を含む白金触媒の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−279573(P2009−279573A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162549(P2008−162549)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(506214460)株式会社スリー・アール (7)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【Fターム(参考)】