説明

超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法

【課題】超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法を提供する。
【解決手段】織物を超臨界流体を注入する開口を11を設けた中央柱体を有する抽出槽10内に置くステップと、貯蔵槽20に気体を注入するステップと、冷却装置30によって気体を冷却するステップと、ポンプ40によって気体を圧縮するステップと、加熱装置50によって気体を加熱して超臨界流体にするステップと、超臨界流体を抽出槽10内に注入して油脂抽出を行なうステップと、からなる。
洗剤、洗浄水を必要とせずに油脂を付着した織物などを効率的に洗浄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織物の油脂を抽出する方法に関し、特に、超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無塵布などの織物の洗浄方式はその多くが界面活性剤および大量の水を使用するので、水資源を浪費するだけでなく、界面活性剤の処理および排出によってコストが上昇し、更に、環境を汚染するという問題が発生する。
【0003】
また、従来技術における無塵布の洗浄方式は水洗浄および熱乾燥などの複数の行程を行うことで清潔にすることができ、複雑な工程によってコストが増加してしまう。
【特許文献1】特開平10−24270号公報
【特許文献2】特開平11−207276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の第1の目的は、超臨界流体によって無塵布を洗浄し、界面活性剤および水を使用しないことによってコストが増加し環境が汚染されるという問題を解決できる超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、超臨界流体によって無塵布を洗浄し、超臨界流体は圧力、温度、流速および時間などを制御することによって洗浄効果を達成でき、熱乾燥工程が必要なく、コストを低減させることができる超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、超臨界流体によって無塵布を洗浄し、超臨界流体は回収でき、コストを低減させることができる以外に環境汚染を低減できる超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法を提供することにある。
本発明の第4の目的は、紫外線センサによって油脂濃度の測定を行い、油脂抽出後の織物の油脂含有量を即時に測定できる超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するために、本発明の超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法は、織物を抽出槽内に置くステップと、貯蔵槽に気体を注入するステップと、冷却装置によって気体を冷却するステップと、ポンプによって気体を圧縮するステップと、加熱装置によって気体を加熱して超臨界流体にするステップと、超臨界流体を抽出槽内に注入して油脂抽出を行なうステップと、からなる。
【発明の効果】
【0006】
従来技術と比較して以下の長所を有する。1.超臨界流体によって無塵布を洗浄し、界面活性剤および水を使用しないことによってコストが増加し環境が汚染されるという問題を解決できる。2.超臨界流体によって無塵布を洗浄し、超臨界流体は圧力、温度、流速および時間などを制御することによって洗浄効果を達成でき、熱乾燥工程が必要なく、コストを低減させることができる。3.超臨界流体によって無塵布を洗浄し、超臨界流体は回収でき、コストを低減させることができる以外に環境汚染を低減できる。4.紫外線センサによって油脂濃度の測定を行い、油脂抽出後の織物の油脂含有量を即時に測定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の目的、特徴および効果を示す実施例を図に沿って詳細に説明する。
【0008】
図1は、本発明の一実施例を示し、超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法を示すフロー図である。図2は、本発明の一実施例を示し、超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法において使用される設備を示す模式図である。図3は織物全体を開口を具えた柱状構造外側に巻設させた状態を示す模式図である。図4は織物を開口外側に分散、投入した状態を示す模式図である。
【0009】
図に示すように、本発明は超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法を提供するものであり、織物を抽出槽10内に置くステップ1と、貯蔵槽20に気体を注入するステップ2と、冷却装置30によって気体を冷却するステップ3と、ポンプ40によって気体を圧縮するステップ4と、加熱装置50によって気体を加熱して超臨界流体にするステップ5と、超臨界流体を抽出槽10内に注入して油脂抽出を行なうステップ6と、からなる。
【0010】
織物を抽出槽10内に置くステップ1において、織物は例えば無塵布、無塵拭き布または無菌布などであるがそれらに制限されず、以下は無塵布を例として説明するがそれだけに制限されない。抽出槽10の中央部分は数カ所の開口11を有する柱状構造とし、気体が該開口から内部に注入される。織物はその全体を開口11外側に巻設させる(図3を参照)か、或いは開口11を具えた柱状体外側に分散、配置する(図4を参照)。
【0011】
気体を貯蔵槽20内に注入するステップ2において、気体は超臨界流体(Supercritical Fluid:SCF)とすることができ、例えば二酸化炭素であるが、それに制限されず、二酸化炭素にメタノール(MeOH)、エタノール(ETOH)、イソプロピルアルコール(IPA)、アセトン(Acetone)などの溶剤を添加してもよく、その比率は≦10%である。
【0012】
冷却装置30によって気体を冷却するステップ3において、冷却装置30の水槽内には二酸化炭素コイル状管体(図示せず)が設けられ、気体を冷却し、気体はポンプ40入口に進入する前において液化気体状態が確保される。
【0013】
ポンプ40によって気体を圧縮するステップ4において、ポンプ40は例えばダイヤフラムポンプであるがそれだけに制限されず、液化気体の輸送および加圧を行なう。
【0014】
加熱装置50によって気体を加熱して超臨界流体にするステップ5において、固体、液体または気体とは異なり、第4の状態である超臨界流体となる。加熱装置50のタンク内には気体を流通するコイル状管体(図示せず)が設けられ、必要に応じて気体を低温から加圧して高温状態にする。その温度は、例えば10℃〜150℃であるが、それだけに制限されず、圧力は例えば1MPa〜100MPa(10bar〜1000bar)であるが、それだけに制限されない。
【0015】
超臨界流体を抽出槽10内に注入して油脂抽出を行なうステップ6において、高温超臨界流体は数カ所の開口11を経由して抽出槽10内に注入され、織物内の油脂を抽出する。
【0016】
また、本発明の超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法は、更に、超臨界流体の回収ステップ(ステップ7)を有する。抽出槽10内の超臨界流体は抽出後、他側から気体注入口部分に回収される。これによって製造コストを低減できるだけでなく、環境汚染を低減することができる。
【0017】
また、本発明の超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法は、更に、抽出分離後の油脂を分離槽60に輸送するステップ(ステップ8)を含む。抽出槽10内において抽出分離された油脂は分離槽60に輸送され、回収再利用することができる。これによって製造コストを低減できるだけでなく、環境汚染を低減することができる。
【0018】
また、本発明の超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法は、更に、紫外線センサ70によって油脂濃度を測定するステップ(ステップ9)を含む。紫外線センサ70は抽出槽10外側に位置し、抽出後の織物の含有油脂量を測定する。紫外線センサ70の波長は254nmの単一の波長または190nm〜700nmの可変波長であるが、それだけに制限されない。
【0019】
従って、上述のステップによって、本発明の超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法は、従来技術と比較して以下の長所を有する。1.超臨界流体によって無塵布を洗浄し、界面活性剤および水を使用しないことによってコストが増加し環境が汚染されるという問題を解決できる。2.超臨界流体によって無塵布を洗浄し、超臨界流体は圧力、温度、流速および時間などを制御することによって洗浄効果を達成でき、熱乾燥工程が必要なく、コストを低減させることができる。3.超臨界流体によって無塵布を洗浄し、超臨界流体は回収でき、コストを低減させることができる以外に環境汚染を低減できる。4.紫外線センサによって油脂濃度の測定を行い、油脂抽出後の織物の油脂含有量を即時に測定できる。
【0020】
上述のように、本発明の超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法は従来技術と比較して新規性および進歩性を有する。
【0021】
上述の説明は本発明の実施例を挙げたものであり、当該技術に熟知する者による本発明の主旨に基づく変更および修飾は全て本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【0022】
上述のように、本発明の目的、手段および機能は従来技術と異なり、高い実用性を有し、特許要件に符合する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施例を示し、超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法のフロー図である。
【図2】本発明の一実施例を示し、超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法において使用される設備を示す模式図である。
【図3】織物全体を開口外側に巻設させた状態を示す模式図である。
【図4】織物を開口外側に散設させた状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0024】
10 抽出槽
11 開口
20 貯蔵槽
30 冷却装置
40 ポンプ
50 加熱装置
60 分離槽
70 紫外線センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
織物を抽出槽内に置くステップと、貯蔵槽に気体を注入するステップと、冷却装置によって前記気体を冷却するステップと、ポンプによって前記気体を圧縮するステップと、加熱装置によって前記気体を加熱して超臨界流体にするステップと、前記超臨界流体を前記抽出槽内に注入して油脂抽出を行なうステップと、からなることを特徴とする超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法。
【請求項2】
前記抽出槽は、中央に槽内に超臨界流体を注入する数カ所の開口を具えた柱状構造を具え、前記織物は前記開口外側に巻設されるか、或いは槽内の前記開口外側に分散して投入されることを特徴とする請求項1記載の超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法。
【請求項3】
前記気体を貯蔵槽内に注入するステップにおいて、前記気体は二酸化炭素であることを特徴とする請求項1記載の超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法。
【請求項4】
前記二酸化炭素にメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールまたはアセトンなどの溶剤を添加し、その比率は≦10%であることを特徴とする請求項3記載の超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法。
【請求項5】
前記気体を貯蔵槽内に注入するステップにおいて、前記貯蔵槽外部には冷却水ジャケットが設置され、前記冷却水ジャケット内を気体が回流し、前記気体が貯蔵されることを特徴とする請求項1記載の超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法。
【請求項6】
前記冷却装置によって前記気体を冷却するステップにおいて、前記冷却装置の水槽内には気体を流通するコイル状管体が設けられ、前記気体を冷却し、前記気体はポンプ入口に進入する前において液化気体状態が確保されることを特徴とする請求項1記載の超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法。
【請求項7】
前記ポンプによって前記気体を圧縮するステップにおいて、前記ポンプはダイヤフラムポンプであり、前記液化気体の輸送および加圧を行なうことを特徴とする請求項1記載の超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法。
【請求項8】
前記加熱装置によって気体を加熱するステップにおいて、前記加熱装置のタンク内には気体コイル状管体が設けられ、必要に応じて気体を低温から加圧して高温状態にし、その温度は約10℃〜150℃であり、圧力は約1MPa〜100MPa(約10bar〜1000bar)であることを特徴とする請求項1記載の超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法。
【請求項9】
更に、前記超臨界流体の回収ステップを有することを特徴とする請求項1記載の超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法。
【請求項10】
更に、抽出分離後の前記油脂を分離槽に輸送するステップを有することを特徴とする請求項1記載の超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法。
【請求項11】
更に、紫外線センサによって油脂濃度を測定するステップを有し、前記紫外線センサは前記抽出槽外側に位置し、油脂抽出後の織物の含油量を測定し、前記紫外線センサの波長は254nmの単一の波長または190nm〜700nmの可変波長であることを特徴とする請求項1記載の超臨界流体によって織物の油脂を抽出する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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