説明

超音波に関し可視性の針を作成するためのアセンブリーおよび方法

針アセンブリーはハブ(13)を有する金属針(1)およびマーカーを針内で挿入される泡充填されたプラスチックロッド(2)の形態において含む。ロッド(2)は針(1)の正しい配置を確認するときに超音波観察下で針アセンブリーをより一層可視性にし、しかる後に正しい配置が確認されたときに取り外される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は中空金属針を含む種類の針アセンブリー(組立体)に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波スキャナーは、カテーテルおよび体に挿入される他の装置の配置を方向付けまたは点検するのを助けるためにますます用いられている。これらの装置の若干のものは、それらの形状、サイズ(大きさ)またはそれらを作る材料がそれらを挿入される組織または体液に対して類似した反射音響インピーダンスをもつという事実から、超音波の下では普通はあまり見えない。医療外科装置の視感度を超音波観察の下で増大させるために、様々な方法によって試みがなされた。例えば針のように装置が金属性の場合には、その視感度を増大させる通常の方法は、その表面に溝または欠刻を形成することによってのように、その表面を修飾することによる。国際公開第98/19713号および欧州特許出願公開第0624342号明細書に記載されるように、例えば泡を組み込むことのようにして、反射性コーティングを装置に施すことができる。装置が英国特許出願公開第2379610号明細書に記載される種類のカテーテルのようなプラスチック材料である場合、壁は気泡を含むか、または泡含有材料を、外周の一部分のみを占めるストライプに組み込むことができる。英国特許出願公開第2400804号明細書は、いくつかの層を有する類似したカテーテルを記載する。米国特許第7258669号明細書は、螺旋状の、その長さに沿って伸びる気体充填された管腔を有するカテーテルを記載する。独国特許出願公開第102006051978号明細書は、超音波観察下で視感度を高めるために、可撓性のプラスチックカテーテルのボア(孔)に沿って挿入される泡充填されたロッドを記載する。体内におけるカテーテルの超音波の視感度はまた、カテーテルの孔に沿って泡を含む流体を供給することによって高めることもできる。しかしながら、これらのアレンジメント(調整)が全てのケースにおいて適切であるというわけではない。例えば脱離の危険性のために、装置を被覆することは望ましくないことがある。また、若干の調整は装置の長さに沿った視感度を提供しない。溝等を形成することによって金属性装置の表面を変えることは、装置の滑らかさを減ずることががある。多くのアプリケーション(適用)において気泡を用いることができるが、小さな径のカテーテルでは、泡はカテーテルの物理的特徴を変えることもありうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第98/19713号
【特許文献2】欧州特許出願公開第0624342号明細書
【特許文献3】英国特許出願公開第2379610号明細書
【特許文献4】英国特許出願公開第2400804号明細書
【特許文献5】米国特許第7258669号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第102006051978号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は代わりの針アセンブリー(組立体)およびその使用の方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一局面によれば、上記に特定した種類の針組立体を提供し、組立体は、針を取外し可能に取り付けられ、そして少なくとも1種のクローズドガス間隙が含まれるマーカーを、マーカーが超音波観察下で見えるように、またマーカーを有する組立体の超音波視感度が針単独のものより大きいように含むことを特徴とする。
【0006】
好適にはマーカーはプラスチック物質からなる。好適には少なくとも1種のガス間隙は、マーカーの厚さの範囲内で複数の気泡によって提供される。ガス間隙または間隙群は、好適にはマーカーの全長に実質沿って延びるが、1種またはそれよりも多くの局所的な領域に限られることができた。マーカーは、好適には針の孔の範囲内で取外し可能に挿入されるスタイレット(探り針)の形態である。
【0007】
本発明の別の局面によれば、本発明の上記1種の局面に従う針組立体と共に使用するためのマーカーが提供される。
【0008】
本発明のさらなる局面によれば、体内における針の正しい配置を確認する方法が提供され、その方法には、泡充填されたマーカーに針を配置の前または後に取り付けること、マーカーが針単独と比較して針およびマーカーの組合せの視感度を増大するように針の場所において超音波機器を用いて検視すること、およびしかる後に針を適所に残すためにマーカーを取り外すことのステップ(工程)を含む。
【0009】
泡充填されたマーカーは、好適には針の孔内に挿入され、そしてしかる後に孔に沿って流体が通過できるように孔から取り外されるロッドである。
【0010】
本発明に従う、針組立体およびその使用の方法を以下に、1例として、次の添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】拡大したスケールでの組立体の断面側面図である。
【図2】図1の線II−IIに沿った拡大した横断面図である。
【図3】使用の際の組立体を例証する。
【図4】代わりの組立体の前端の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
最初に図1から3に関して、組立体は慣習的な剛性の、金属性の針またはカニューレ1およびその中に挿入されるスタイレット2の形態での新しい超音波マーカーを含む。
【0013】
針1は、円形の断面を有する滑らかな外面およびその長さに沿って延びる同軸孔10をもつ。その前方、患者側端部11で、針は、鋭い、穿通性の先端部を設けるために斜角をつけられる。その後部、機械側端部12で、針は慣習的なハブ13をもち、それによって針は、例えばシリンジ等の鼻状部のような外部装置に付けることができる。針1の外径は典型的に0.5−2mmであり、そしてその長さは典型的に50−150mmである。針1の滑らかな表面は、超音波観察下ではそれ自体あまり見えないようなものである。針は、開口先端部をもつように示しているが、それはその端部で閉鎖し、その先端部近くにサイドオープニング(側面の開口部)をもつことができた。
【0014】
スタイレット2は、丸い先方側または患者側端部21を有する中実の、円柱状ロッド20を含み、そしてその後部端においてハンドル22に付けられる。ロッド20の外径はそれが針1の孔10内でのフリーな滑りばめ(sliding fit)であるようなものであり、そしてそのハンドル22がハブ13の後部端に接するとき、患者側端部21は針の患者側端部11と実質同じ高さにある。ロッド20は、例えばPEBA、ナイロン、PVC、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルまたはポリウレタンのような可撓性プラスチック物質から押し出され、それに対して、ロッドがその全長に沿って泡23の形態によりガス間隙で満たされるように、発泡剤が加えられた。泡23のサイズおよび密度を選定し、スタイレット2が高いエコー源性であることを確かにする。典型的に、気泡23は0.1μ(ミクロン、μm)から300μまでの範囲のサイズをもち、好適には1μから50μまでの範囲のサイズをもち、そして最も好適には5μから10μまでの範囲のサイズをもつ。プラスチック物質に、例えばガス充填されたポリマーまたはガラス微粒子を含ませることによってのように、ガス間隙を形成させる他の方法があることは理解される。泡内または間隙内のガスは、任意の種類であることができ、また真空であることもありうる。非常に多数の気泡をもたせる代わりに、スタイレットに沿って延び、また両端部で閉鎖した中空孔によって単一のガス間隙を設けることができた。スタイレット2の外面は、それが針1を挿入し、そしてそれから取り外すのを容易にされるように、滑剤または滑らかか、または低摩擦の層で被覆することができた。その代わりに、スタイレット2は、例えばABSまたはスチレン系物質のように、剛性なものであることができた。もし針がまっすぐでないならば、スタイレットは好適には可撓性であろう。スタイレットは丸い断面をもつことができるが、他の形状とすることもできる。
【0015】
スタイレット2をいくつかの異なる方法で使用することができる。例えば、スタイレット2は、針およびスタイレットの全体の組立体が同時に挿入されるように、体内への針の挿入に先立って針1に挿入することができた。超音波機器の走査ヘッド30は次いで皮膚31に対して保たれ、そして図3に示すように、下にある構造のイメージ(画像)が機器のスクリーン32上で見られる。スタイレット2は、組立体が超音波エネルギーを高屈折するようにし、そのようにしてその全長に沿った組立体の場所がスクリーン32上で明瞭に見える。臨床医は次いで、その先端部11、21または針の若干の他の所望の部分(たとえば穴の部分のようなもの)を所望の位置に置くまで、必要に応じて組立体を再配置することができる。次いで、例えば患者への投与のための投薬、または針を経て患者から採取される試料(サンプル)のように、流体を針の孔10に沿って流すことができるように、臨床医はスタイレット2を引き抜き、針1を所望の位置に残す。
【0016】
あるいはまた、針は、エコー源性スタイレットを伴わずに適所で体内に挿入することができた。針を正しい位置であると思われるところに置くときに、臨床医は、次いで、針の正しいポジショニング(位置決め)が超音波スキャナーを用いた観察によって確認することができるように、エコー源性スタイレットを挿入する。
【0017】
記載したように、スタイレットは、中実のロッドである必要はないが、その特徴を変えるために、その長さに沿って延びる開口または閉鎖した孔、またはワイヤーまたは他の部材をもつことができた。泡または他のガス間隙のために、スタイレットの全長に沿って設けられることが概して好適であるが、このことは本質的ではなく、そしてその代わりにそれらはまさに患者側端部に向かってのような長さの一部分に沿って設けることができた。
【0018】
取外し可能なマーカーは好適には、泡充填されたプラスチックであるが、それは例えばガス間隙をもつ焼結金属のような他の物質であることができた。泡または他のガス間隙を有するマーカーの領域は、マーカーの全長に沿って延びる必要はないが、1またはそれよりも多くの局所的な領域に提供することができ、例えばそれらは、距離測定を補助するために、マーカーに沿って規則的な間隔で間を置く短い長さであることができた。
【0019】
超音波マーカーは針内に挿入されるスタイレットである必要はないが、その代わりに超音波可視性の、例えば図4に示されるような、針の外側に沿って延びるシース(外筒)またはスリーブ(袖)40であることができた。針41の外側に沿ってエコー源性シース40を滑らせることにより、針およびシースの組み合わされた組立体を超音波スキャナー上でより一層明瞭に観察することができる。針41が正しく置かれたときに、シース40は滑り落ち、針を適所に残す。シース40は好適には、それが針ハブをクリアーにする(除く)ことができるように、それが2つの部分に分かれるのを可能にするために断裂線を有する。
【0020】
本発明は、目に見える超音波観察に限られず、それは、例えば超音波反射装置と並んで置かれたときのトーンの増大のような、ユーザーに対する聞き取れるフィードバック(応答)を提供する超音波スキャナーと共に使用するときに利益を有しうるからであることは理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空金属針(1)を含む針アセンブリーであって、針を取外し可能に取り付けられ、および少なくとも1種のクローズドガス間隙(23)を含むマーカー(2)を、マーカーが超音波観察下で見えるように、またマーカー(2)を有するアセンブリーの超音波視感度が針(1)単独のものより大きいように含むことを特徴とする、アセンブリー。
【請求項2】
マーカー(2)はプラスチック物質のものであることを特徴とする、請求項1に記載のアセンブリー。
【請求項3】
少なくとも1種のガス間隙は複数の気泡(23)によってマーカー(2)の厚さ内で設けられることを特徴とする、請求項1または2に記載のアセンブリー。
【請求項4】
ガス間隙または間隙群(23)はマーカー(2)の全長に実質沿って延びることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のアセンブリー。
【請求項5】
ガス間隙または間隙群はマーカーの1種またはそれよりも多くの局所的な領域に沿って延びることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアセンブリー。
【請求項6】
マーカーは、針(1)の孔(10)内に取外し可能に挿入されるスタイレット(2)の形態であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のアセンブリー。
【請求項7】
先行する請求項のいずれか1項に記載の針アセンブリーと共に使用するためのマーカー(2)。
【請求項8】
体内における針(1)の正しい配置を確認する方法であって、泡充填されたマーカー(2)に針(1)を配置の前または後に取り付けること、マーカー(2)が針単独と比較して針(1)およびマーカー(2)の組合せの視感度を増大するように針の場所において超音波機器(30、32)を用いて検視すること、およびしかる後に針(1)を適所に残すためにマーカー(2)を取り外すことによるステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項9】
泡充填されたマーカーは、針(1)の孔(10)内で挿入され、そしてしかる後に孔に沿って流体が通過できるように孔から取り外されるロッド(2)であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2011−502676(P2011−502676A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533649(P2010−533649)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【国際出願番号】PCT/GB2008/003599
【国際公開番号】WO2009/063166
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(501038551)スミスズ グループ ピーエルシー (26)
【氏名又は名称原語表記】SMITHS GROUP PLC
【Fターム(参考)】