超音波アクチュエータ
【課題】複数の振動子間の調整が不要であり、小型でありながら強い発生力を有するリニア型超音波アクチュエータを提供する。
【解決手段】厚み方向に分極された第１圧電体、第１圧電体と対向するように配置され、厚み方向に分極された第２圧電体、及び、第１圧電体と第２圧電体を挟持する第１弾性体と第２弾性体を有し、第１弾性体と第２弾性体による挟持方向に伸縮する駆動部と、駆動部に対して移動可能に配置された移動体と、駆動部に結合され、移動体に対する把持力を調整可能に構成された伝達部と、駆動部の伸縮と伝達部の把持力調整を連動させる制御部と、駆動部と伝達部を機械的及び音響的に互いに連結する連結部と、を備える。
【解決手段】厚み方向に分極された第１圧電体、第１圧電体と対向するように配置され、厚み方向に分極された第２圧電体、及び、第１圧電体と第２圧電体を挟持する第１弾性体と第２弾性体を有し、第１弾性体と第２弾性体による挟持方向に伸縮する駆動部と、駆動部に対して移動可能に配置された移動体と、駆動部に結合され、移動体に対する把持力を調整可能に構成された伝達部と、駆動部の伸縮と伝達部の把持力調整を連動させる制御部と、駆動部と伝達部を機械的及び音響的に互いに連結する連結部と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、超音波アクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来の超音波アクチュエータとして、特許文献１に記載の超音波モータがある。この超音波モータにおいては、２つのランジュバン振動子を互いに直交するように配置した駆動子を、ロータの外周面に押圧し、振動子の駆動によってロータに回転力を発生させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２０００−１５２６７１号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、上述の超音波モータでは、所望の振動を得るには、２つのランジュバン振動子の角度、位置、振幅、周波数等をそろえる調整が必要である。また、２つのランジュバン振動子を互いに直交するように配置するため、駆動子全体の体積が大きくなるという欠点がある。
【０００５】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の振動子間の調整が不要であり、小型でありながら強い発生力を有するリニア型超音波アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る超音波アクチュエータは、厚み方向に分極された第１圧電体、第１圧電体と対向するように配置され、厚み方向に分極された第２圧電体、及び、第１圧電体と第２圧電体を挟持する第１弾性体と第２弾性体を有し、第１弾性体と第２弾性体による挟持方向に伸縮する駆動部と、駆動部に対して移動可能に配置された移動体と、駆動部に結合され、移動体に対する把持力を調整可能に構成された伝達部と、駆動部の伸縮と伝達部の把持力調整を連動させる制御部と、駆動部と伝達部を機械的及び音響的に互いに連結する連結部と、を備えることを特徴としている。
【０００７】
本発明に係る超音波アクチュエータにおいて、連結部は、挟持方向に沿った断面径が、駆動部側よりも伝達部側の方が小さいことが好ましい。
【０００８】
本発明に係る超音波アクチュエータにおいて、連結部は、駆動部側から伝達部側へ向かうほど径が小さくなるホーン形状を備えた部分を有することが好ましい。
【０００９】
本発明に係る超音波アクチュエータにおいて、ホーン形状は指数形であることが好ましい。
【００１０】
本発明に係る超音波アクチュエータにおいて、駆動部は、第１圧電体と第２圧電体をそれぞれ複数組み合わせた構成を備えることが好ましい。
【００１１】
本発明に係る超音波アクチュエータにおいて、駆動部はその振動の略節位置で支持されていることが好ましい。
【発明の効果】
【００１２】
本発明に係る超音波アクチュエータは、小型であり、かつ、強い発生力を有するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】第１実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図２】第１実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す分解斜視図である。
【図３】第１実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す側面図である。
【図４】第１実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す正面図である。
【図５】第１実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す背面図である。
【図６】第１実施形態における制御部の構成を示すブロック図である。
【図７】第１実施形態における駆動部の伸縮と伝達部の本体部の屈曲による移動体の把持力の変化を経時的に示す図である。
【図８】第２実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図９】第２実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す分解斜視図である。
【図１０】第３実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図１１】第３実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
以下に、本発明に係る超音波アクチュエータの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
本発明の超音波アクチュエータは、超音波モータとして移動体を移動する推力を大きくするために、ボルト締めランジュバン振動子の発生力を利用している。また、伝達部における移動体の把持力の調整のために圧電素子を用いている。移動体は、ランジュバン振動子での力の発生と、伝達部によって移動体を把持する力の調整と、を連動させることによって移動させている。このような構成において、駆動用のランジュバン振動子と移動体の把持力調整用の圧電素子とを独立して制御しているため、これらの駆動周波数をそろえる必要がない等設計の自由度がある。さらに、駆動用のランジュバン振動子の先端をホーン形状にすることによって、移動体が移動する移動量をより大きくできるとともに、ホーン形状の先端が細くなることからスペースに限りがある空間でも配置しやすくなる。
【００１５】
（第１実施形態）
図１〜図５は、第１実施形態に係る超音波アクチュエータ１００の構成を示す図であって、図１は斜視図、図２は分解斜視図、図３は側面図、図４は正面図、図５は背面図である。図６は、第１実施形態における制御部１５０の構成を示すブロック図である。
【００１６】
超音波アクチュエータ１００は、駆動部１１０と、弾性連結部１１３と、移動体１２０と、伝達部１３０と、制御部１５０（図６）と、を備える。
駆動部１１０は、第１圧電体としての第１圧電素子１１１と、第２圧電体としての第２圧電素子１１２と、第１弾性体及び連結部としての弾性連結部１１３と、第２弾性体としての埋め込みナット部１１４と、を備える。
【００１７】
第１圧電素子１１１及び第２圧電素子１１２は、それぞれ厚み方向に分極された略円板状をなしており、厚み方向において分極方向が互いに対向するように配置されている。駆動部１１０は、弾性連結部１１３から延出するボルト部１１３ｃを、第１圧電素子１１１及び第２圧電素子１１２に貫通させ、さらにナット部１１４の内面のネジに嵌め合わせることにより、第１圧電素子１１１及び第２圧電素子１１２を共締めする。この構成により駆動部１１０は、ランジュバン振動子を構成する。駆動部１１０は、第１圧電素子１１１と第２圧電素子１１２に通電させることにより、弾性連結部１１３とナット部１１４が第１圧電素子１１１と第２圧電素子１１２を挟持する方向Ａ（図２）に沿って伸縮する。
【００１８】
弾性連結部１１３は、駆動部１１０と伝達部１３０を機械的及び音響的に互いに連結する、すなわち、第１圧電素子１１１及び第２圧電素子１１２で発生した振動を伝達部１３０に効率良く伝達できるように構成されている。弾性連結部１１３は、第１圧電素子１１１と第２圧電素子１１２が挟持される方向Ａに沿って、同心状に順に配置された、先端部１１３ｂ、ホーン部１１３ａ、支持部１１３ｅ、及びボルト部１１３ｃを備える。先端部１１３ｂは、筒形状の内面にネジが形成され、ボルト部１１３ｃは、外面にネジが形成されている。
【００１９】
ホーン部１１３ａは、ボルト部１１３ｃ側から先端部１１３ｂ側へ向かって外径が小さくなる形状を備える。別言すると、ホーン部１１３ａは、第１圧電素子１１１と第２圧電素子１１２が挟持される方向Ａに沿った断面径が、第１圧電素子１１１側から伝達部１３０側へ向かうほど小さくなるホーン形状を備える。この断面のホーン形状は、指数関数的に変化することが好ましいが、第１圧電素子１１１側から伝達部１３０側へ向かうほど小さくなっていれば、これ以外の形状であってもよい。つまり、この断面径は、第１圧電素子１１１側から伝達部１３０へ向かうほど小さくなっていれば、その途中で同じ断面径の部分があってもよい。したがって、この断面形状として、直線的に変化する形状や階段状に変化する形状とすることもできる。
【００２０】
伝達部１３０は、本体部１３１と第３圧電素子１３２を備え、駆動部１１０と別体であり、連結板１０１によって互いに結合される。具体的には、弾性連結部１１３の先端部１１３ｂに対して連結板１０１を貫通したネジ１０２を嵌め込むとともに、伝達部１３０の本体部１３１に対して連結板１０１を貫通したネジ１０３を嵌め込む。
【００２１】
本体部１３１には、弾性連結部１１３とナット部１１４が第１圧電素子１１１と第２圧電素子１１２を挟持する方向Ａに沿って、貫通孔１３１ａが設けられている。この貫通孔１３１ａには、棒状の移動体１２０が移動可能に挿通されている。また、本体部１３１の下面には第３圧電体としての第３圧電素子１３２が貼り付けられている。
【００２２】
伝達部１３０の本体部１３１は、第３圧電素子１３２に通電することにより屈曲し、これにより本体部１３１が移動体１２０を把持する力が発生する。また、第３圧電素子１３２への通電を停止することにより屈曲から回復し、移動体１２０への把持力が低減する。
【００２３】
図６に示すように、制御部１５０は、第１信号発生器１５１、第１電力増幅部１５２、遅延回路１５３、第２信号発生器１５４、及び第２電力増幅部１５５を備える。第１信号発生器１５１で発生した信号は第１電力増幅部１５２で増幅されて駆動部１１０（第１圧電素子１１１、第２圧電素子１１２）へ出力される。第２信号発生器１５４で発生した信号は第２電力増幅部１５５で増幅されて伝達部１３０（第３圧電素子１３２）へ出力される。
【００２４】
駆動部１１０と伝達部１３０へ出力する信号は、遅延回路１５３を介することにより、所定の遅延時間をおいて互いに時間的に同期している。なお、駆動部１１０と伝達部１３０へ出力する信号の位相は同期する必要はない。
【００２５】
制御部１５０から駆動部１１０と伝達部１３０へそれぞれ出力する２系統の信号は、駆動部１１０の第１圧電素子１１１及び第２圧電素子１１２と、第３圧電素子１３２と、にそれぞれ印加される。これにより、駆動部１１０の伸縮と伝達部１３０の本体部１３１の屈曲の動作が連動し、これを繰り返すことにより移動体１２０を所定の方向にリニアに駆動することができる。
【００２６】
支持部１１３ｅは、ホーン部１１３ａとボルト部１１３ｃに挟まれる位置に、これらと一体に構成された板形状をした部材である。この支持部１１３ｅは、駆動部１１０の振動の略節位置に配置され、例えば２枚の支持板（不図示）で挟持される。これにより、超音波アクチュエータ１００は、駆動部１１０の振動の略節位置で支持されるとともに、外部の部材に対して取り付け可能となる。
【００２７】
次に、駆動部１１０の伸縮と伝達部１３０の把持力調整を連動させることによって、移動体１２０を移動させる工程について、図７を例に挙げて説明する。図７は、駆動部１１０の伸縮と伝達部１３０の本体部１３１の屈曲による移動体１２０の把持力の変化を経時的に示す図である。
【００２８】
図７（ａ）は、基本状態を示している。この基本状態においては、第１圧電素子１１１、第２圧電素子１１２、及び第３圧電素子１３２には電圧が印加されていないため、駆動部１１０は伸縮しておらず、本体部１３１は屈曲していない。
【００２９】
図７（ｂ）は、第１圧電素子１１１及び第２圧電素子１１２には電圧を印加しない状態を維持し、第２電力増幅部１５５から第３圧電素子１３２へ所定の電圧を印加した状態を示す。この状態では、本体部１３１が屈曲することにより、貫通孔１３１ａの内面の屈曲による移動体１２０の把持力が発生し、これにより移動体１２０は伝達部１３０に把持される。
【００３０】
図７（ｃ）は、図７（ｂ）の状態から第３圧電素子１３２への電圧の印加を継続しつつ、第１電力増幅部１５２から第１圧電素子１１１及び第２圧電素子１１２へ所定の電圧を印加した状態を示す。図７（ｂ）に示すタイミングと図７（ｃ）に示すタイミングの差は、遅延回路１５３が定める遅延時間に対応する。図７（ｃ）の状態では、移動体１２０が伝達部１３０に把持された状態が維持されつつ、駆動部１１０の第１圧電素子１１１、第２圧電素子１１２に所定の電圧が印加されることによって、駆動部１１０が伸張するため、伝達部１３０が把持する移動体１２０は左へ移動する。
【００３１】
図７（ｄ）は、第１圧電素子１１１及び第２圧電素子１１２へ電圧を印加した状態を維持しつつ、第３圧電素子１３２への電圧の印加を停止した状態を示す。図７（ｄ）の状態では、第１圧電素子１１１、第２圧電素子１１２、及びホーン部１１３ａが伸びきっている一方、伝達部１３０は屈曲から回復して移動体１２０を把持する力は低下している。
【００３２】
図７（ｅ）は、第３圧電素子１３２への電圧の印加を停止したまま、第１圧電素子１１１及び第２圧電素子１１２への電圧の印加を停止した状態を示す。図７（ｄ）から図７（ｅ）への過程において、電圧印加の停止によって第１圧電素子１１１、第２圧電素子１１２、及びホーン部１１３ａは基本状態（図７（ａ））まで縮退するが、伝達部１３０による移動体１２０の把持力が低下しているため、移動体１２０は伝達部１３０の移動に拘わらずに図７（ｄ）に示す位置に留まる。
【００３３】
以上の動作により、移動体１２０は、図７（ａ）に示す状態よりも左側に移動し、これを繰り返すことにより移動体１２０を所望の位置まで移動させることができる。
【００３４】
これに対して、図７に示す動作と逆の動作を行うことによって、移動体１２０を右側へ移動させることもできる。
より具体的には、伝達部１３０による移動体１２０の把持力を低下させた状態で移動体１２０の位置を維持しつつ駆動部１１０を伸張させる動作と、伝達部１３０による移動体１２０の把持力を高めた状態で駆動部１１０を縮退することにより移動体１２０を右側へ移動させる動作と、を順に行うことによって移動体１２０を右側へ移動させる。
【００３５】
（第２実施形態）
第２実施形態に係る超音波アクチュエータにおいては、駆動部２１０に第１圧電素子及び第２圧電素子をそれぞれ複数用いる点が第１実施形態に係る超音波アクチュエータと異なる。移動体及び伝達部の構成、並びに、駆動部と伝達部の連結構造は第１実施形態に係る超音波アクチュエータと同様であるため、その図示及び詳細な説明は省略する。
【００３６】
図８は、第２実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す斜視図である。図９は、第２実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す分解斜視図である。
【００３７】
図８、図９に示す例では、第１圧電素子と第２圧電素子を２枚ずつ厚み方向に交互に配置している。具体的には、弾性連結部２１３側からナット部２１４側へ順に、第１圧電素子２１１、第２圧電素子２１２、第１圧電素子２１５、及び第２圧電素子２１６を配置している。
【００３８】
第１圧電体としての第１圧電素子２１１、２１５、及び、第２圧電体としての第２圧電素子２１２、２１６は、それぞれ厚み方向に分極された略円板状をなしており、厚み方向において隣り合う圧電素子の分極方向が互いに対向するように配置されている。駆動部２１０は、弾性連結部２１３から延出するボルト部２１３ｃを、第１圧電素子２１１、第２圧電素子２１２、第１圧電素子２１５、及び第２圧電素子２１６に貫通させ、さらにナット部２１４の内面のネジに嵌め合わせることにより、これらの４枚の圧電素子を共締めする。この構成により駆動部２１０は、ランジュバン振動子を構成する。駆動部２１０は、第１圧電素子２１１、２１５と第２圧電素子２１２、２１６に通電させることにより、弾性連結部２１３とナット部２１４が第１圧電素子２１１、２１５と第２圧電素子２１２、２１６を挟持する方向Ｂ（図９）に沿って伸縮する。なお、第２実施形態では互いに向き合った２組の圧電素子の例を示したが３組以上でももちろんよい。
【００３９】
弾性連結部２１３は、駆動部２１０と伝達部１３０を機械的及び音響的に互いに連結する、すなわち、駆動部２１０で発生した振動を伝達部１３０に効率良く伝達できるように構成されている。弾性連結部２１３は、第１圧電素子２１１、２１５、及び第２圧電素子２１２、２１６が挟持される方向Ｂに沿って、同心状に順に配置された、先端部２１３ｂ、ホーン部２１３ａ、及びボルト部２１３ｃを備える。先端部２１３ｂは、筒形状の内面にネジが形成され、ボルト部２１３ｃは、外面にネジが形成されている。
【００４０】
駆動部２１０は、第１実施形態の制御部１５０と同じ構成の制御部によって制御する。制御部１５０による伝達部１３０の制御は第１実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【００４１】
第１信号発生器１５１で発生した信号は第１電力増幅部１５２で増幅されて駆動部２１０（第１圧電素子２１１、２１５、第２圧電素子２１２、２１６）へ出力される。駆動部２１０と伝達部１３０へ出力する信号は、遅延回路１５３を介することにより、所定の遅延時間をおいて互いに時間的に同期している。
【００４２】
制御部１５０から駆動部２１０と伝達部１３０へそれぞれ出力する２系統の信号は、駆動部２１０の第１圧電素子２１１、２１５、及び、第２圧電素子２１２、２１６と、第３圧電素子１３２と、にそれぞれ印加する。これにより、駆動部２１０の伸縮と伝達部１３０の本体部１３１の屈曲の動作が連動し、これを繰り返すことにより移動体１２０を所定の方向にリニアに駆動することができる。
なお、その他の構成、作用、効果については、第１実施形態と同様である。
【００４３】
（第３実施形態）
第３実施形態に係る超音波アクチュエータにおいては、駆動部３１０の圧電素子３１１を積層タイプにしている点が第１実施形態に係る超音波アクチュエータと異なる。移動体及び伝達部の構成、並びに、駆動部と伝達部の連結構造は第１実施形態に係る超音波アクチュエータと同様であるため、その図示及び詳細な説明は省略する。
【００４４】
図１０は、第３実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す斜視図である。図１１は、第３実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す分解斜視図である。
【００４５】
図１０、図１１に示す圧電素子３１１は、第１圧電素子（第１圧電体）と第２圧電素子（第２圧電体）が複数枚積層され一体焼結されたものである。ここで、第１圧電素子と第２圧電素子の枚数は、同数であればよい。また、第１圧電素子と第２圧電素子は、交互に配置することが好ましいが、同じ種類の圧電素子を連続して配置する部分があってもよい。
【００４６】
第１圧電素子及び第２圧電素子は、それぞれ厚み方向に分極された略円板状をなしており、厚み方向において隣り合う圧電素子の分極方向が互いに対向するように配置されている。駆動部３１０は、弾性連結部３１３から延出するボルト部３１３ｃを、圧電素子３１１に貫通させ、さらにナット部３１４の内面のネジに嵌め合わせることにより、圧電素子３１１を共締めする。この構成により駆動部３１０は、ランジュバン振動子を構成する。駆動部３１０は、圧電素子３１１の第１圧電素子と第２圧電素子のそれぞれに通電させることにより、弾性連結部３１３とナット部３１４が圧電素子３１１を挟持する方向Ｃ（図１１）に沿って伸縮する。
【００４７】
弾性連結部３１３は、駆動部３１０と伝達部１３０を機械的及び音響的に互いに連結する、すなわち、圧電素子３１１で発生した振動を伝達部１３０に効率良く伝達できるように構成されている。弾性連結部３１３は、圧電素子３１１が挟持される方向Ｃに沿って、同心状に順に配置された、先端部３１３ｂ、ホーン部３１３ａ、及びボルト部３１３ｃを備える。先端部３１３ｂは、筒形状の内面にネジが形成され、ボルト部３１３ｃは、外面にネジが形成されている。
【００４８】
駆動部３１０は、第１実施形態の制御部１５０と同じ構成の制御部によって制御する。制御部１５０による伝達部１３０の制御は第１実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【００４９】
第１信号発生器１５１で発生した信号は第１電力増幅部１５２で増幅されて駆動部２１０（圧電素子３１１の第１圧電素子及び第２圧電素子）へ出力される。駆動部３１０と伝達部１３０へ出力する信号は、遅延回路１５３を介することにより、所定の遅延時間をおいて互いに時間的に同期している。
【００５０】
制御部１５０から駆動部３１０と伝達部１３０へそれぞれ出力する２系統の信号は、駆動部３１０の圧電素子３１１の第１圧電素子及び第２圧電素子と、第３圧電素子１３２と、にそれぞれ印加する。これにより、駆動部３１０の伸縮と伝達部１３０の本体部１３１の屈曲の動作が連動し、これを繰返すことにより移動体１２０を所定の方向にリニアに駆動することができる。
なお、その他の構成、作用、効果については、第１実施形態と同様である。
【産業上の利用可能性】
【００５１】
以上のように、本発明に係る超音波アクチュエータは、ランジュバン振動子を含む複数の振動子を用いた小型のアクチュエータに有用である。
【符号の説明】
【００５２】
１００ 超音波アクチュエータ
１０１ 連結板
１０２、１０３ ネジ
１１０ 駆動部
１１１ 第１圧電素子（第１圧電体）
１１２ 第２圧電素子（第２圧電体）
１１３ 弾性連結部（第１弾性体、連結部）
１１３ａ ホーン部
１１３ｂ 先端部
１１３ｃ ボルト部
１１３ｅ 支持部
１１４ ナット部（第２弾性体）
１２０ 移動体
１３０ 伝達部
１３１ 本体部
１３１ａ 貫通孔
１３２ 第３圧電素子（第３圧電体）
１５０ 制御部
１５１ 第１信号発生器
１５２ 第１電力増幅部
１５３ 遅延回路
１５４ 第２信号発生器
１５５ 第２電力増幅部
２１０ 駆動部
２１１ 第１圧電素子（第１圧電体）
２１２ 第２圧電素子（第２圧電体）
２１３ 弾性連結部（第１弾性体、連結部）
２１３ａ ホーン部
２１３ｂ 先端部
２１３ｃ ボルト部
２１４ ナット部（第２弾性体）
２１５ 第１圧電素子（第１圧電体）
２１６ 第２圧電素子（第２圧電体）
３１０ 駆動部
３１１ 圧電素子（第１圧電体、第２圧電体）
３１３ 弾性連結部（第１弾性体、連結部）
３１３ａ ホーン部
３１３ｂ 先端部
３１３ｃ ボルト部
３１４ ナット部（第２弾性体）
【技術分野】
【０００１】
本発明は、超音波アクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来の超音波アクチュエータとして、特許文献１に記載の超音波モータがある。この超音波モータにおいては、２つのランジュバン振動子を互いに直交するように配置した駆動子を、ロータの外周面に押圧し、振動子の駆動によってロータに回転力を発生させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２０００−１５２６７１号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、上述の超音波モータでは、所望の振動を得るには、２つのランジュバン振動子の角度、位置、振幅、周波数等をそろえる調整が必要である。また、２つのランジュバン振動子を互いに直交するように配置するため、駆動子全体の体積が大きくなるという欠点がある。
【０００５】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の振動子間の調整が不要であり、小型でありながら強い発生力を有するリニア型超音波アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る超音波アクチュエータは、厚み方向に分極された第１圧電体、第１圧電体と対向するように配置され、厚み方向に分極された第２圧電体、及び、第１圧電体と第２圧電体を挟持する第１弾性体と第２弾性体を有し、第１弾性体と第２弾性体による挟持方向に伸縮する駆動部と、駆動部に対して移動可能に配置された移動体と、駆動部に結合され、移動体に対する把持力を調整可能に構成された伝達部と、駆動部の伸縮と伝達部の把持力調整を連動させる制御部と、駆動部と伝達部を機械的及び音響的に互いに連結する連結部と、を備えることを特徴としている。
【０００７】
本発明に係る超音波アクチュエータにおいて、連結部は、挟持方向に沿った断面径が、駆動部側よりも伝達部側の方が小さいことが好ましい。
【０００８】
本発明に係る超音波アクチュエータにおいて、連結部は、駆動部側から伝達部側へ向かうほど径が小さくなるホーン形状を備えた部分を有することが好ましい。
【０００９】
本発明に係る超音波アクチュエータにおいて、ホーン形状は指数形であることが好ましい。
【００１０】
本発明に係る超音波アクチュエータにおいて、駆動部は、第１圧電体と第２圧電体をそれぞれ複数組み合わせた構成を備えることが好ましい。
【００１１】
本発明に係る超音波アクチュエータにおいて、駆動部はその振動の略節位置で支持されていることが好ましい。
【発明の効果】
【００１２】
本発明に係る超音波アクチュエータは、小型であり、かつ、強い発生力を有するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】第１実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図２】第１実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す分解斜視図である。
【図３】第１実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す側面図である。
【図４】第１実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す正面図である。
【図５】第１実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す背面図である。
【図６】第１実施形態における制御部の構成を示すブロック図である。
【図７】第１実施形態における駆動部の伸縮と伝達部の本体部の屈曲による移動体の把持力の変化を経時的に示す図である。
【図８】第２実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図９】第２実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す分解斜視図である。
【図１０】第３実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図１１】第３実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
以下に、本発明に係る超音波アクチュエータの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
本発明の超音波アクチュエータは、超音波モータとして移動体を移動する推力を大きくするために、ボルト締めランジュバン振動子の発生力を利用している。また、伝達部における移動体の把持力の調整のために圧電素子を用いている。移動体は、ランジュバン振動子での力の発生と、伝達部によって移動体を把持する力の調整と、を連動させることによって移動させている。このような構成において、駆動用のランジュバン振動子と移動体の把持力調整用の圧電素子とを独立して制御しているため、これらの駆動周波数をそろえる必要がない等設計の自由度がある。さらに、駆動用のランジュバン振動子の先端をホーン形状にすることによって、移動体が移動する移動量をより大きくできるとともに、ホーン形状の先端が細くなることからスペースに限りがある空間でも配置しやすくなる。
【００１５】
（第１実施形態）
図１〜図５は、第１実施形態に係る超音波アクチュエータ１００の構成を示す図であって、図１は斜視図、図２は分解斜視図、図３は側面図、図４は正面図、図５は背面図である。図６は、第１実施形態における制御部１５０の構成を示すブロック図である。
【００１６】
超音波アクチュエータ１００は、駆動部１１０と、弾性連結部１１３と、移動体１２０と、伝達部１３０と、制御部１５０（図６）と、を備える。
駆動部１１０は、第１圧電体としての第１圧電素子１１１と、第２圧電体としての第２圧電素子１１２と、第１弾性体及び連結部としての弾性連結部１１３と、第２弾性体としての埋め込みナット部１１４と、を備える。
【００１７】
第１圧電素子１１１及び第２圧電素子１１２は、それぞれ厚み方向に分極された略円板状をなしており、厚み方向において分極方向が互いに対向するように配置されている。駆動部１１０は、弾性連結部１１３から延出するボルト部１１３ｃを、第１圧電素子１１１及び第２圧電素子１１２に貫通させ、さらにナット部１１４の内面のネジに嵌め合わせることにより、第１圧電素子１１１及び第２圧電素子１１２を共締めする。この構成により駆動部１１０は、ランジュバン振動子を構成する。駆動部１１０は、第１圧電素子１１１と第２圧電素子１１２に通電させることにより、弾性連結部１１３とナット部１１４が第１圧電素子１１１と第２圧電素子１１２を挟持する方向Ａ（図２）に沿って伸縮する。
【００１８】
弾性連結部１１３は、駆動部１１０と伝達部１３０を機械的及び音響的に互いに連結する、すなわち、第１圧電素子１１１及び第２圧電素子１１２で発生した振動を伝達部１３０に効率良く伝達できるように構成されている。弾性連結部１１３は、第１圧電素子１１１と第２圧電素子１１２が挟持される方向Ａに沿って、同心状に順に配置された、先端部１１３ｂ、ホーン部１１３ａ、支持部１１３ｅ、及びボルト部１１３ｃを備える。先端部１１３ｂは、筒形状の内面にネジが形成され、ボルト部１１３ｃは、外面にネジが形成されている。
【００１９】
ホーン部１１３ａは、ボルト部１１３ｃ側から先端部１１３ｂ側へ向かって外径が小さくなる形状を備える。別言すると、ホーン部１１３ａは、第１圧電素子１１１と第２圧電素子１１２が挟持される方向Ａに沿った断面径が、第１圧電素子１１１側から伝達部１３０側へ向かうほど小さくなるホーン形状を備える。この断面のホーン形状は、指数関数的に変化することが好ましいが、第１圧電素子１１１側から伝達部１３０側へ向かうほど小さくなっていれば、これ以外の形状であってもよい。つまり、この断面径は、第１圧電素子１１１側から伝達部１３０へ向かうほど小さくなっていれば、その途中で同じ断面径の部分があってもよい。したがって、この断面形状として、直線的に変化する形状や階段状に変化する形状とすることもできる。
【００２０】
伝達部１３０は、本体部１３１と第３圧電素子１３２を備え、駆動部１１０と別体であり、連結板１０１によって互いに結合される。具体的には、弾性連結部１１３の先端部１１３ｂに対して連結板１０１を貫通したネジ１０２を嵌め込むとともに、伝達部１３０の本体部１３１に対して連結板１０１を貫通したネジ１０３を嵌め込む。
【００２１】
本体部１３１には、弾性連結部１１３とナット部１１４が第１圧電素子１１１と第２圧電素子１１２を挟持する方向Ａに沿って、貫通孔１３１ａが設けられている。この貫通孔１３１ａには、棒状の移動体１２０が移動可能に挿通されている。また、本体部１３１の下面には第３圧電体としての第３圧電素子１３２が貼り付けられている。
【００２２】
伝達部１３０の本体部１３１は、第３圧電素子１３２に通電することにより屈曲し、これにより本体部１３１が移動体１２０を把持する力が発生する。また、第３圧電素子１３２への通電を停止することにより屈曲から回復し、移動体１２０への把持力が低減する。
【００２３】
図６に示すように、制御部１５０は、第１信号発生器１５１、第１電力増幅部１５２、遅延回路１５３、第２信号発生器１５４、及び第２電力増幅部１５５を備える。第１信号発生器１５１で発生した信号は第１電力増幅部１５２で増幅されて駆動部１１０（第１圧電素子１１１、第２圧電素子１１２）へ出力される。第２信号発生器１５４で発生した信号は第２電力増幅部１５５で増幅されて伝達部１３０（第３圧電素子１３２）へ出力される。
【００２４】
駆動部１１０と伝達部１３０へ出力する信号は、遅延回路１５３を介することにより、所定の遅延時間をおいて互いに時間的に同期している。なお、駆動部１１０と伝達部１３０へ出力する信号の位相は同期する必要はない。
【００２５】
制御部１５０から駆動部１１０と伝達部１３０へそれぞれ出力する２系統の信号は、駆動部１１０の第１圧電素子１１１及び第２圧電素子１１２と、第３圧電素子１３２と、にそれぞれ印加される。これにより、駆動部１１０の伸縮と伝達部１３０の本体部１３１の屈曲の動作が連動し、これを繰り返すことにより移動体１２０を所定の方向にリニアに駆動することができる。
【００２６】
支持部１１３ｅは、ホーン部１１３ａとボルト部１１３ｃに挟まれる位置に、これらと一体に構成された板形状をした部材である。この支持部１１３ｅは、駆動部１１０の振動の略節位置に配置され、例えば２枚の支持板（不図示）で挟持される。これにより、超音波アクチュエータ１００は、駆動部１１０の振動の略節位置で支持されるとともに、外部の部材に対して取り付け可能となる。
【００２７】
次に、駆動部１１０の伸縮と伝達部１３０の把持力調整を連動させることによって、移動体１２０を移動させる工程について、図７を例に挙げて説明する。図７は、駆動部１１０の伸縮と伝達部１３０の本体部１３１の屈曲による移動体１２０の把持力の変化を経時的に示す図である。
【００２８】
図７（ａ）は、基本状態を示している。この基本状態においては、第１圧電素子１１１、第２圧電素子１１２、及び第３圧電素子１３２には電圧が印加されていないため、駆動部１１０は伸縮しておらず、本体部１３１は屈曲していない。
【００２９】
図７（ｂ）は、第１圧電素子１１１及び第２圧電素子１１２には電圧を印加しない状態を維持し、第２電力増幅部１５５から第３圧電素子１３２へ所定の電圧を印加した状態を示す。この状態では、本体部１３１が屈曲することにより、貫通孔１３１ａの内面の屈曲による移動体１２０の把持力が発生し、これにより移動体１２０は伝達部１３０に把持される。
【００３０】
図７（ｃ）は、図７（ｂ）の状態から第３圧電素子１３２への電圧の印加を継続しつつ、第１電力増幅部１５２から第１圧電素子１１１及び第２圧電素子１１２へ所定の電圧を印加した状態を示す。図７（ｂ）に示すタイミングと図７（ｃ）に示すタイミングの差は、遅延回路１５３が定める遅延時間に対応する。図７（ｃ）の状態では、移動体１２０が伝達部１３０に把持された状態が維持されつつ、駆動部１１０の第１圧電素子１１１、第２圧電素子１１２に所定の電圧が印加されることによって、駆動部１１０が伸張するため、伝達部１３０が把持する移動体１２０は左へ移動する。
【００３１】
図７（ｄ）は、第１圧電素子１１１及び第２圧電素子１１２へ電圧を印加した状態を維持しつつ、第３圧電素子１３２への電圧の印加を停止した状態を示す。図７（ｄ）の状態では、第１圧電素子１１１、第２圧電素子１１２、及びホーン部１１３ａが伸びきっている一方、伝達部１３０は屈曲から回復して移動体１２０を把持する力は低下している。
【００３２】
図７（ｅ）は、第３圧電素子１３２への電圧の印加を停止したまま、第１圧電素子１１１及び第２圧電素子１１２への電圧の印加を停止した状態を示す。図７（ｄ）から図７（ｅ）への過程において、電圧印加の停止によって第１圧電素子１１１、第２圧電素子１１２、及びホーン部１１３ａは基本状態（図７（ａ））まで縮退するが、伝達部１３０による移動体１２０の把持力が低下しているため、移動体１２０は伝達部１３０の移動に拘わらずに図７（ｄ）に示す位置に留まる。
【００３３】
以上の動作により、移動体１２０は、図７（ａ）に示す状態よりも左側に移動し、これを繰り返すことにより移動体１２０を所望の位置まで移動させることができる。
【００３４】
これに対して、図７に示す動作と逆の動作を行うことによって、移動体１２０を右側へ移動させることもできる。
より具体的には、伝達部１３０による移動体１２０の把持力を低下させた状態で移動体１２０の位置を維持しつつ駆動部１１０を伸張させる動作と、伝達部１３０による移動体１２０の把持力を高めた状態で駆動部１１０を縮退することにより移動体１２０を右側へ移動させる動作と、を順に行うことによって移動体１２０を右側へ移動させる。
【００３５】
（第２実施形態）
第２実施形態に係る超音波アクチュエータにおいては、駆動部２１０に第１圧電素子及び第２圧電素子をそれぞれ複数用いる点が第１実施形態に係る超音波アクチュエータと異なる。移動体及び伝達部の構成、並びに、駆動部と伝達部の連結構造は第１実施形態に係る超音波アクチュエータと同様であるため、その図示及び詳細な説明は省略する。
【００３６】
図８は、第２実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す斜視図である。図９は、第２実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す分解斜視図である。
【００３７】
図８、図９に示す例では、第１圧電素子と第２圧電素子を２枚ずつ厚み方向に交互に配置している。具体的には、弾性連結部２１３側からナット部２１４側へ順に、第１圧電素子２１１、第２圧電素子２１２、第１圧電素子２１５、及び第２圧電素子２１６を配置している。
【００３８】
第１圧電体としての第１圧電素子２１１、２１５、及び、第２圧電体としての第２圧電素子２１２、２１６は、それぞれ厚み方向に分極された略円板状をなしており、厚み方向において隣り合う圧電素子の分極方向が互いに対向するように配置されている。駆動部２１０は、弾性連結部２１３から延出するボルト部２１３ｃを、第１圧電素子２１１、第２圧電素子２１２、第１圧電素子２１５、及び第２圧電素子２１６に貫通させ、さらにナット部２１４の内面のネジに嵌め合わせることにより、これらの４枚の圧電素子を共締めする。この構成により駆動部２１０は、ランジュバン振動子を構成する。駆動部２１０は、第１圧電素子２１１、２１５と第２圧電素子２１２、２１６に通電させることにより、弾性連結部２１３とナット部２１４が第１圧電素子２１１、２１５と第２圧電素子２１２、２１６を挟持する方向Ｂ（図９）に沿って伸縮する。なお、第２実施形態では互いに向き合った２組の圧電素子の例を示したが３組以上でももちろんよい。
【００３９】
弾性連結部２１３は、駆動部２１０と伝達部１３０を機械的及び音響的に互いに連結する、すなわち、駆動部２１０で発生した振動を伝達部１３０に効率良く伝達できるように構成されている。弾性連結部２１３は、第１圧電素子２１１、２１５、及び第２圧電素子２１２、２１６が挟持される方向Ｂに沿って、同心状に順に配置された、先端部２１３ｂ、ホーン部２１３ａ、及びボルト部２１３ｃを備える。先端部２１３ｂは、筒形状の内面にネジが形成され、ボルト部２１３ｃは、外面にネジが形成されている。
【００４０】
駆動部２１０は、第１実施形態の制御部１５０と同じ構成の制御部によって制御する。制御部１５０による伝達部１３０の制御は第１実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【００４１】
第１信号発生器１５１で発生した信号は第１電力増幅部１５２で増幅されて駆動部２１０（第１圧電素子２１１、２１５、第２圧電素子２１２、２１６）へ出力される。駆動部２１０と伝達部１３０へ出力する信号は、遅延回路１５３を介することにより、所定の遅延時間をおいて互いに時間的に同期している。
【００４２】
制御部１５０から駆動部２１０と伝達部１３０へそれぞれ出力する２系統の信号は、駆動部２１０の第１圧電素子２１１、２１５、及び、第２圧電素子２１２、２１６と、第３圧電素子１３２と、にそれぞれ印加する。これにより、駆動部２１０の伸縮と伝達部１３０の本体部１３１の屈曲の動作が連動し、これを繰り返すことにより移動体１２０を所定の方向にリニアに駆動することができる。
なお、その他の構成、作用、効果については、第１実施形態と同様である。
【００４３】
（第３実施形態）
第３実施形態に係る超音波アクチュエータにおいては、駆動部３１０の圧電素子３１１を積層タイプにしている点が第１実施形態に係る超音波アクチュエータと異なる。移動体及び伝達部の構成、並びに、駆動部と伝達部の連結構造は第１実施形態に係る超音波アクチュエータと同様であるため、その図示及び詳細な説明は省略する。
【００４４】
図１０は、第３実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す斜視図である。図１１は、第３実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す分解斜視図である。
【００４５】
図１０、図１１に示す圧電素子３１１は、第１圧電素子（第１圧電体）と第２圧電素子（第２圧電体）が複数枚積層され一体焼結されたものである。ここで、第１圧電素子と第２圧電素子の枚数は、同数であればよい。また、第１圧電素子と第２圧電素子は、交互に配置することが好ましいが、同じ種類の圧電素子を連続して配置する部分があってもよい。
【００４６】
第１圧電素子及び第２圧電素子は、それぞれ厚み方向に分極された略円板状をなしており、厚み方向において隣り合う圧電素子の分極方向が互いに対向するように配置されている。駆動部３１０は、弾性連結部３１３から延出するボルト部３１３ｃを、圧電素子３１１に貫通させ、さらにナット部３１４の内面のネジに嵌め合わせることにより、圧電素子３１１を共締めする。この構成により駆動部３１０は、ランジュバン振動子を構成する。駆動部３１０は、圧電素子３１１の第１圧電素子と第２圧電素子のそれぞれに通電させることにより、弾性連結部３１３とナット部３１４が圧電素子３１１を挟持する方向Ｃ（図１１）に沿って伸縮する。
【００４７】
弾性連結部３１３は、駆動部３１０と伝達部１３０を機械的及び音響的に互いに連結する、すなわち、圧電素子３１１で発生した振動を伝達部１３０に効率良く伝達できるように構成されている。弾性連結部３１３は、圧電素子３１１が挟持される方向Ｃに沿って、同心状に順に配置された、先端部３１３ｂ、ホーン部３１３ａ、及びボルト部３１３ｃを備える。先端部３１３ｂは、筒形状の内面にネジが形成され、ボルト部３１３ｃは、外面にネジが形成されている。
【００４８】
駆動部３１０は、第１実施形態の制御部１５０と同じ構成の制御部によって制御する。制御部１５０による伝達部１３０の制御は第１実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【００４９】
第１信号発生器１５１で発生した信号は第１電力増幅部１５２で増幅されて駆動部２１０（圧電素子３１１の第１圧電素子及び第２圧電素子）へ出力される。駆動部３１０と伝達部１３０へ出力する信号は、遅延回路１５３を介することにより、所定の遅延時間をおいて互いに時間的に同期している。
【００５０】
制御部１５０から駆動部３１０と伝達部１３０へそれぞれ出力する２系統の信号は、駆動部３１０の圧電素子３１１の第１圧電素子及び第２圧電素子と、第３圧電素子１３２と、にそれぞれ印加する。これにより、駆動部３１０の伸縮と伝達部１３０の本体部１３１の屈曲の動作が連動し、これを繰返すことにより移動体１２０を所定の方向にリニアに駆動することができる。
なお、その他の構成、作用、効果については、第１実施形態と同様である。
【産業上の利用可能性】
【００５１】
以上のように、本発明に係る超音波アクチュエータは、ランジュバン振動子を含む複数の振動子を用いた小型のアクチュエータに有用である。
【符号の説明】
【００５２】
１００ 超音波アクチュエータ
１０１ 連結板
１０２、１０３ ネジ
１１０ 駆動部
１１１ 第１圧電素子（第１圧電体）
１１２ 第２圧電素子（第２圧電体）
１１３ 弾性連結部（第１弾性体、連結部）
１１３ａ ホーン部
１１３ｂ 先端部
１１３ｃ ボルト部
１１３ｅ 支持部
１１４ ナット部（第２弾性体）
１２０ 移動体
１３０ 伝達部
１３１ 本体部
１３１ａ 貫通孔
１３２ 第３圧電素子（第３圧電体）
１５０ 制御部
１５１ 第１信号発生器
１５２ 第１電力増幅部
１５３ 遅延回路
１５４ 第２信号発生器
１５５ 第２電力増幅部
２１０ 駆動部
２１１ 第１圧電素子（第１圧電体）
２１２ 第２圧電素子（第２圧電体）
２１３ 弾性連結部（第１弾性体、連結部）
２１３ａ ホーン部
２１３ｂ 先端部
２１３ｃ ボルト部
２１４ ナット部（第２弾性体）
２１５ 第１圧電素子（第１圧電体）
２１６ 第２圧電素子（第２圧電体）
３１０ 駆動部
３１１ 圧電素子（第１圧電体、第２圧電体）
３１３ 弾性連結部（第１弾性体、連結部）
３１３ａ ホーン部
３１３ｂ 先端部
３１３ｃ ボルト部
３１４ ナット部（第２弾性体）
【特許請求の範囲】
【請求項１】
厚み方向に分極された第１圧電体、前記第１圧電体と対向するように配置され、厚み方向に分極された第２圧電体、及び、前記第１圧電体と前記第２圧電体を挟持する第１弾性体と第２弾性体を有し、前記第１弾性体と前記第２弾性体による挟持方向に伸縮する駆動部と、
前記駆動部に対して移動可能に配置された移動体と、
前記駆動部に結合され、前記移動体に対する把持力を調整可能に構成された伝達部と、
前記駆動部の伸縮と前記伝達部の把持力調整を連動させる制御部と、
前記駆動部と前記伝達部を機械的及び音響的に互いに連結する連結部と、
を備えることを特徴とする超音波アクチュエータ。
【請求項２】
前記連結部は、前記挟持方向に沿った断面径が、前記駆動部側よりも前記伝達部側の方が小さいことを特徴とする請求項１に記載の超音波アクチュエータ。
【請求項３】
前記連結部は、前記駆動部側から前記伝達部側へ向かうほど径が小さくなるホーン形状を備えた部分を有することを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の超音波アクチュエータ。
【請求項４】
前記ホーン形状は指数形であることを特徴とする請求項３に記載の超音波アクチュエータ。
【請求項５】
前記駆動部は、前記第１圧電体と前記第２圧電体をそれぞれ複数組み合わせた構成を備えることを特徴とする請求項３に記載の超音波アクチュエータ。
【請求項６】
前記駆動部はその振動の略節位置で支持されていることを特徴とする請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の超音波アクチュエータ。
【請求項１】
厚み方向に分極された第１圧電体、前記第１圧電体と対向するように配置され、厚み方向に分極された第２圧電体、及び、前記第１圧電体と前記第２圧電体を挟持する第１弾性体と第２弾性体を有し、前記第１弾性体と前記第２弾性体による挟持方向に伸縮する駆動部と、
前記駆動部に対して移動可能に配置された移動体と、
前記駆動部に結合され、前記移動体に対する把持力を調整可能に構成された伝達部と、
前記駆動部の伸縮と前記伝達部の把持力調整を連動させる制御部と、
前記駆動部と前記伝達部を機械的及び音響的に互いに連結する連結部と、
を備えることを特徴とする超音波アクチュエータ。
【請求項２】
前記連結部は、前記挟持方向に沿った断面径が、前記駆動部側よりも前記伝達部側の方が小さいことを特徴とする請求項１に記載の超音波アクチュエータ。
【請求項３】
前記連結部は、前記駆動部側から前記伝達部側へ向かうほど径が小さくなるホーン形状を備えた部分を有することを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の超音波アクチュエータ。
【請求項４】
前記ホーン形状は指数形であることを特徴とする請求項３に記載の超音波アクチュエータ。
【請求項５】
前記駆動部は、前記第１圧電体と前記第２圧電体をそれぞれ複数組み合わせた構成を備えることを特徴とする請求項３に記載の超音波アクチュエータ。
【請求項６】
前記駆動部はその振動の略節位置で支持されていることを特徴とする請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の超音波アクチュエータ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【公開番号】特開２０１２−２０５３５４（Ｐ２０１２−２０５３５４Ａ）
【公開日】平成２４年１０月２２日（２０１２．１０．２２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−６５９９４（Ｐ２０１１−６５９９４）
【出願日】平成２３年３月２４日（２０１１．３．２４）
【出願人】（００００００３７６）オリンパス株式会社 (11,466)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年１０月２２日（２０１２．１０．２２）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年３月２４日（２０１１．３．２４）
【出願人】（００００００３７６）オリンパス株式会社 (11,466)
【Ｆターム（参考）】
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