説明

超音波ガイド下のニードル挿入用のファントム及び該ファントムの製法

本発明は、人体部位の血管への超音波ガイド下のニードル挿入をシミュレートするためのファントムに関する。ファントムは、第1の材料で形成される皮膚模倣層2と、第2の材料で形成される組織模倣層3と、第3の材料で形成される少なくとも1つの人工血管4a、4b、4cと、を有し、第1、第2及び第3の材料は、人体部位の対応する部分の機械的特性及び超音波特性を再現するように構成される。本発明により、ファントムは、人体部位挙動の現実的なシミュレーションを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニードル挿入に関し、特に、超音波ガイド下の挿入に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の血管へのニードルの挿入は、例えば血管から血液を集めるため又はワクチンのような製品を注入するための、非常に一般的な医学的プロシージャである。ニードルの挿入は、必ずしも完璧に実施されることができるわけでなく、挿入のモニタリングが有益でありうる。それゆえ、超音波ガイド下のニードル挿入の大きなニーズがあった。
【0003】
超音波ガイド下のニードル挿入は、手動で又は自動で実施されることができる。手動の挿入の場合、人は、片方の手で、例えば超音波プローブのような超音波イメージング手段を持ち、他方の手で、ニードルを保持する注射器を持つことができる。ニードルが挿入されるにつれて、人は、イメージング手段によってリアルタイムに得られる画像上で、患者の組織内のニードルの動きをチェックすることができる。自動化された挿入の場合、ニードルを挿入するための駆動手段、超音波イメージング手段及び画像処理手段を有する自動化されたニードル挿入のための装置が提供される。画像処理装置は、イメージング手段によって撮像された皮膚内のニードルの画像を解析する。画像処理手段からの情報は、駆動手段を制御するために使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超音波ガイド下のニードル挿入プロセスは、容易に理解されることができるように、その人体への実施の前にテストされるべきである。特に、このテストは、手動の又は自動化された挿入のいずれの場合についても、開発、評価、最適化、認証、前処置計画又は医療スタッフの訓練の目的で、実施されることができる。テストは、通常ファントム又はマネキンと呼ばれるテスト対象物において実施されることができる。ファントムは、特定の人体部位をシミュレートし、ニードル挿入プロセスをテストするためにあたかも本物の人体部位内にあるかのようにニードルが挿入される対象物である。
【0005】
ファントムは、ニードル挿入の間の人体部位の挙動をシミュレーションするように設計されるべきである。米国特許出願公開第2005/0202381号明細書は、成型可能な、エラストマの組織をシミュレーションする化学組成でできている擬似人体ファントムを開示している。散在する薬剤及び色素が、生体組織の超音波撮影特性をシミュレートするファントムを提供するために、加えられることができる。ファントム身体は、内部構造をシミュレートする空の又は液体充填キャビティ及び管路を含むことができる。内部キャビティ及び構造は、着脱可能な二次モールドを一次モールド内に配置することによって形成される。例えば、中空のロッドが、一次モールド内に長手方向に配置され、そののち除去されることができ、それによって、静脈又は動脈をシミュレートする中空の管路を形成する。
【0006】
米国特許出願公開第2005/0202381号明細書に記載のファントムは、ファントムの超音波撮影特性を、より密接に人間組織を模倣するように合わせることを可能にする。しかしながら、上記のファントムは、ニードルが血管内に挿入される際の人体部位の挙動を模倣することができない。実際に、静脈は、ニードル挿入により特別な変形挙動を呈する。静脈は、容易に虚脱し(潰れ)、より小さい静脈は、押しのけられることもありうる。その結果、所望の血管が、単一の挿入で命中されないことがある。
【0007】
従って、本発明の目的は、超音波ガイド下のニードル挿入方法をテストするためのファントムであって、ニードルが血管に挿入される際の人体部位の挙動を模倣するファントムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、人体部位の血管への超音波ガイド下のニードル挿入をシミュレートするためのファントムであって、
−第1の材料で形成される皮膚模倣層と、
−第2の材料で形成される組織模倣層と、
−第3の材料で形成される少なくとも1つの人工血管と、を有し、
−第1、第2及び第3の材料は、人体部位の対応する部分の機械的特性及び超音波特性の両方を再現するように構成される、
ファントムが提供される。
【0009】
本発明によれば、ファントムは、人体部位の各々の特定部分を模倣するための特定の材料を有し、かかる材料は、実際の人体の対応する(模倣される)部分の機械的特性及び超音波特性を再現するように構成されるので、ファントムは、血管への超音波ガイド下のニードル挿入の間の人体挙動の現実的なシミュレーションを可能にする。従って、ファントムは、人体として機械的に挙動し、ニードル挿入の現実的な超音波イメージングを可能にする。言い換えると、本発明のファントムは、特定の人体部位の解剖学的構造と、ニードルを血管に挿入する際の血管及びそれらの周囲物の変形挙動並びに血管、組織及び皮膚の超音波特性と、をシミュレートすることを可能にする。ファントムは、手動の及び自動化されたニードル挿入方法をシミュレートするように適応される。
【0010】
一実施例によれば、人工血管は、第3の材料で形成される管状の壁を有する。
【0011】
一実施例によれば、第2及び第3の材料は異なる。
【0012】
一実施例によれば、第1及び第3の材料は、同様又は同一である。
【0013】
一実施例によれば、第1及び第3の材料は、ラテックスであり、特に流体(液体)ラテックスである。
【0014】
一実施例によれば、第2の材料は、水性ゲルであり、特に、純水中、アガロース1%w/v乃至1.5%w/vを、直径0.3μmの粒子を有するAlパウダ0.88%w/v、直径3.0μmの粒子を有するAlパウダ0.94%w/v、SiC0.54%w/v、及びBC0.43%と共に実質的に含むゲルである。
【0015】
一実施例によれば、第2の材料は、アルギン酸塩ベースのヒドロゲルである。
【0016】
本発明によれば、更に、上述されたファントムを作る製法であって、
−皮膚模倣層を準備するステップと、
−組織模倣層を形成するための混合物を準備するステップと、
−少なくとも1つの人工血管を準備するステップと、
−人工血管を保持する手段を有するモールドに、人工血管を配置するステップと、
−組織模倣層を形成するために人工血管の周囲に混合物を注入するステップと、
−組織模倣層上に皮膚模倣層を堆積するステップと、
を含む製法が提供される。
【0017】
本発明のこれら及び他の見地は、添付の図面を参照して以下の記述から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施例によるファントムの概略的な斜視図。
【図2】図1のファントムの概略的な側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1及び図2を参照して、本発明によるファントム1は、皮膚模倣層2、組織模倣層3及び人工血管4a、4b、4cを有する。ファントム1は、超音波画像ガイド下の医学的侵襲プロシージャ、すなわち人体部位の血管へのニードルの挿入、のシミュレーションにおいて使用されるテスト対象物である。記述される実施例において、ファントム1は、その表在静脈を有する人体の肘内側領域を模倣しており、静脈穿刺は、通常、表在静脈に実施される。本発明は、特に、静脈穿刺に適用されるが、より一般的には、人体部位の血管内へのニードルのいかなる挿入にも適用される。
【0020】
皮膚模倣層2は、本実施例においてラテックスである第1の材料、特に流体ラテックス、で形成される。皮膚模倣層2の厚さは、人体の肘領域の皮膚の一つに実質的に等しい。ここで組織模倣層3は、脂肪層を模倣するものであり、第2の材料で形成される。第2の材料は、本実施例において水性ゲル(又はヒドロゲル)である。組織模倣層3は更に、その超音波特性を調整するために減衰パウダを含む。各々の人工血管4a、4b、4cは、管状の壁を有する可撓性の管状部材によって形成される。人工血管4a、4b、4cの壁は、記述される実施例において、皮膚模倣層2を形成する材料、すなわち流体ラテックス、と同じ材料で形成される。実際に、肘領域において、血管の壁は、皮膚層と同様の機械的特性及び超音波特性を呈する。
【0021】
特定の材料「で形成される」なる表現によって、対応する部分が、主としてこの材料を含み、その材料が、その部分の主成分であるが、対応する部分は、他の材料又は成分を含んでもよいことが理解されるべきである。例えば、組織模倣層3は、ヒドロゲルで形成されるが、減衰パウダを更に含む。
【0022】
本発明のファントム1は、それが模倣する人体部位の機械的特性及び超音波特性を再現するように適応される。機械的特性を再現することによって、ファントムは、ニードルが血管に挿入される際の身体部位(皮膚、脂肪層及び血管)の機械的挙動を再現することが理解されるべきである。具体的には、ファントムは、ニードルの挿入の間の血管の特別な変形挙動、特に血管及びその周囲物の易虚脱性(潰れやすさ)及び/又は遠ざかること(押しのけられること)、シミュレートするべきである。その上、本発明のファントム1の材料は、挿入後にその最初の形状を回復するので、本発明のファントム1は、ファントム1にニードルが数回挿入されることを可能にする。更に、ファントム1は、保管され、再利用されることができる。
【0023】
ファントム1は、更に、それが模倣する人体部位の超音波特性を再現する。超音波特性によって、材料内の音波の減衰及びスピードを示すことが特に理解されるべきである。例えばターゲット血管のサイズ及び深さ並びにニードル挿入のリアルタイムモニタリングのような超音波画像から得られる情報が、ニードル挿入を実施するために使用されるので、超音波特性は重要である。超音波は、血管の変形挙動に対する洞察を与え、従って、ターゲット血管へニードルをガイドすることを助けることができる。
【0024】
機械的特性及び超音波特性が再現されるので、本発明のファントム1におけるニードル挿入は、実際の人体部位におけるニードル挿入を良好にシミュレートする。
【0025】
再び、本発明のファントムは、人体部位の機械的特性及び超音波特性を再現するので、ファントム1は、単一のファントム内で、人体部位の解剖学的構造、機械的及び幾何学的な変形挙動並びに超音波特性を、それらの組み合わせにおいて再現する。要するに、本発明のファントム1は、皮膚層2及び脂肪層3を有するとともに、虚脱性をもつ血管4a、4b、4cが脂肪層3に組み込まれた二層モデルである。人体部位の機械的特性及び超音波特性を再現するために、本発明のファントム1は、実際の人体部位内のように、それぞれ異なる材料で形成されるそれぞれ異なるエレメントを含む。それらの材料は、人体部位の対応する部分の機械的特性及び超音波特性を再現する。皮膚模倣層2は、皮膚の機械的特性及び超音波特性を再現し、組織模倣層は、組織(すなわち脂肪)の機械的特性及び超音波特性を再現し、人工血管4a、4b、4cは、血管の機械的特性を再現する。人体部位のそれぞれのエレメントは、ファントム1の別個の(又は分離した)部分によって模倣される。人工血管4a、4b、4cは、脂肪模倣層3とは別個のエレメントを形成し、脂肪模倣層3は、皮膚模倣層2とは別個である。
【0026】
人工血管4a、4b、4cは、当分野において知られている任意の標準的な人工血液でありうる人工血液を囲む。人工血液は、好適には、実際の血液の機械的特性及び超音波特性を再現する。しかしながら、これは血液に関しては重要性が低い。その理由は、一旦ニードルが血管に入ると、挿入が完了されるからである。これが、血管の機械的特性に対して影響を及ぼさないという条件で、人工血液は、それゆえ、必ずしも実際の血液の機械的特性を再現しうるわけではなく、実際の血液の超音波特性のみを再現する。
【0027】
人工血管4a、4b、4cは、血流をシミュレートするポンプに接続されることができる。従って、血流は、容易に変更されることができる。
【0028】
本発明のファントム1は、任意の人体部位をシミュレートするように調整可能である。皮膚層2、皮下脂肪模倣層3及び人工血管4a、4b、4cの解剖学的寸法及びスチフネスは、変更されることができる。人工血管4a、4b、4cは、静脈又は動脈を模倣することができる。骨のような他の解剖学的エレメントが、ファントム1に容易に組み込まれることができる。ファントム1を特定の身体部位に合わせるための主なパラメータは、ファントム1のそれぞれ異なるエレメントのジオメトリ、厚さ及び材料の選択である。
【0029】
本発明のファントム1を作る製法が、以下に、より詳しく記述される。
【0030】
皮膚層2は、流体ラテックスから、人間皮膚と同様の厚さ、例えば約1.2mmを有するように、モールドで形成される。血管もまた形成される。血管は、可撓性の管状部材の形であり、内側血管直径の約10%の厚さを有する流体ラテックスで作られた管状の壁を有する。その最終的な形状を得るために、流体ラテックスは成形され、硬化される。
【0031】
モールドが、ファントム1を作るために提供され、その寸法は、12*6*6cmである。モールドは、孔を備える壁を有する。人工血管が、モールドのボリューム内に(従って人工血管が形成されるファントム1のボリューム内に)それらを位置付けるために、孔に通される。図1のファントムを作るために、孔が、モールドの対向する壁に設けられる。他の実施例によれば、孔は、例えば曲がる血管を有するように、連続する側壁上に設けられることができる。任意のジオメトリが企図されうる。
【0032】
脂肪模倣層3が準備される。以下において、濃度に関して使用される単位は、%w/v、すなわち%weight/volumeである。1%w/vは、100ml当たり1gを意味する。脂肪層3は、純水中、直径0.3μmの粒子を有する酸化アルミニウム(Al)パウダ0.88%w/v、直径3.0μmの粒子を有するAlパウダ0.94%w/v、(例えば400メッシュグレインサイズを有する)炭化けい素(SiC)0.54%w/v、及び(粘性流体である)塩化ベンザルコニウム(BC)0.43%を含む混合アガロースによって準備されるヒドロゲルで形成される。混合物は、シールされ、ゆっくり冷却される前に、99℃まで加熱される。混合物は、そののち、モールドの壁の孔の間の所定の位置に保持されている人工血管4a、4b、4cの周囲に脂肪層3を形成するように、人工血管4a、4b、4cを含むモールドに注入される。この注入が終了され、脂肪層3が形成されると、すでに準備された皮膚層2が、脂肪層3上に堆積される。
【0033】
このような製作プロセス及び材料の組成のこのような選択によって、ファントム1は、ニードルがファントム1に挿入される際の人体部位の超音波特性及び機械的特性を再現する。
【0034】
脂肪模倣層3が、例えば1.5%w/vのアガロース濃度に基づいて、相対的に堅く、少なくとも直径4mmの人工血管が、埋め込まれる場合、ファントム1は、主に、静脈の虚脱性をシミュレートするように適応される。アガロース濃度を1.0%w/vまで低下させ、直径約2mmの小さい人工血管を埋め込むことを通じて、ファントム1は、主に、ニードル挿入の間に遠ざかる静脈をシミュレートするように適応される。
【0035】
特に、模倣される身体部位が異なる場合、ファントム1のさまざまなエレメントの上述の濃度は、変更されることができる。一実施例によれば、製造の理由のため、濃度は、以下の制約を受ける:
−模倣される人体部位がたとえ何であろうとも、直径0.3μmのAl粒子と直径3.0μmのAl粒子との間の比率は、一定でありえ、実質的に0.88/0.94に等しく、これは、良好な超音波特性を得ることを可能にする。
−同様に、SiC濃度は、Al濃度に関連することができ、例えば、SiC濃度と直径3.0μmのAl粒子の濃度との間の比率は、実質的に0.54/0.94に等しくてもよい。
−アガロース濃度は、安定したヒドロゲルを得るために、1%より小さくてよいが、堅い人体部位を模倣するために最大2%まで増大する。
−BC濃度は、1%より小さくてよい。この場合、ファントム1の機械的特性に対するBCの影響は、無視できるほどであると考えられることができる。BC濃度が、1%より大きい場合、BCは、高い粘性をもつので、ファントム1の機械的特性に影響を与えうる。一般的に、BCは、材料を汚染から保護し、効率的であるために高い濃度を伴って存在する必要はない。
【0036】
アガロース及びAlの濃度は、組織層の機械的特性に影響を与える。それらの濃度の一方が増大する場合、ファントム1のスチフネスも増大する。
【0037】
本発明の他の実施例によると、脂肪層を模倣するためのヒドロゲルは、アルギン酸塩ベースのヒドロゲルである。
【0038】
本発明のファントム1は、手動の又は自動化されたニードル挿入シミュレーションのために使用されることができる。手動の挿入の場合、挿入を行っている人間によって持たれるプローブは、本発明のファントム1の皮膚模倣層2の表面上に配置される。プローブは、スクリーンにリンクされており、これは、特定の血管4a、4b、4cへのニードル挿入をモニタするために、ファントム1内におけるニードルの挿入をチェックすることを可能にする。自動化された挿入の場合、ニードルを挿入するための駆動手段、超音波イメージング手段及び画像処理手段を有する装置が使用される。画像処理手段は、超音波イメージング手段によって撮像される皮膚内でのニードルの画像を解析し、ニードルの位置に関して得られた情報は、ニードルを自動的に駆動するために使用される。
【0039】
本発明のファントム1の超音波特性は更に、ドップラモード超音波モニタリングを実施するために有用でありうる。ドップラモードは、血流に関する情報を得ることを可能にする。
【0040】
本発明は、図面及び前述の記述において詳細に図示され記述されているが、このような図示及び記述は、説明的であり又は例示的であって、制限的ではないと考えられることができる。本発明は、開示された実施例に制限されない。
【0041】
開示された実施例に対する他の変更は、図面、開示及び添付の請求項の研究から、請求項に記載された本発明を実施する際に、当業者によって理解され達成されることができる。請求項において、「有する、含む」なる語は、他の構成要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数性を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に列挙されるいくつかのアイテムの機能を果たしてもよい。特定の方策が、互いに異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの方策の組み合わせが有利に使用されることができないことを示さない。コンピュータプログラムは、例えば他のハードウェアと共に又はその一部として供給される光学記憶媒体又はソリッドステート媒体のような適切な媒体上に記憶され/配布されることができるが、インターネット又は他のワイヤード若しくはワイヤレス通信システムを介するように、他の形で配布されることもできる。請求項における任意の参照符号は、範囲を制限するものとして解釈されるべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体部位の血管への超音波ガイド下のニードル挿入をシミュレートするためのファントムであって、
第1の材料で形成される皮膚模倣層と、
第2の材料で形成される組織模倣層と、
第3の材料で形成される少なくとも1つの人工血管と、を有し、
前記第1、前記第2及び前記第3の材料は、前記人体部位の対応する部分の機械的特性及び超音波特性の両方を再現するように構成される、ファントム。
【請求項2】
前記人工血管が、前記第3の材料で形成される管状の壁を有する、請求項1に記載のファントム。
【請求項3】
前記第2及び前記第3の材料は異なる、請求項1に記載のファントム。
【請求項4】
前記第1及び前記第3の材料は同様又は同一である、請求項1に記載のファントム。
【請求項5】
前記第1及び前記第3の材料は、ラテックスであり、特に流体ラテックスである、請求項4に記載のファントム。
【請求項6】
前記第2の材料は、水性ゲルであり、特に、純水中、アガロース1%w/v乃至1.5%w/vを、直径0.3μmの粒子を有するAlパウダ0.88%w/v、直径3.0μmの粒子を有するAlパウダ0.94%w/v、SiC0.54%w/v及びBC0.43%と共に実質的に含むゲルである、請求項1に記載のファントム。
【請求項7】
前記第2の材料が、アルギン酸塩ベースのヒドロゲルである、請求項1に記載のファントム。
【請求項8】
請求項1に記載のファントムを作る製法であって、
皮膚模倣層を準備するステップと、
組織模倣層を形成するための混合物を準備するステップと、
少なくとも1つの人工血管を準備するステップと、
前記人工血管を、前記人工血管を保持する手段を有するモールド内に配するステップと、
前記組織模倣層を形成するために、前記人工血管の周囲に前記混合物を注入するステップと、
前記組織模倣層上に前記皮膚模倣層を堆積するステップと、
を含む製法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−533025(P2010−533025A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515642(P2010−515642)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【国際出願番号】PCT/IB2008/052741
【国際公開番号】WO2009/010898
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】