説明

超音波プローブ、この超音波プローブに用いられる超音波振動子部規定部材及び内視鏡装置

【課題】超音波を送受信する走査範囲を所望する任意の方向で行うことができ、ひいては広範囲な観察を行うこと。
【解決手段】本発明の超音波プローブ2は、内視鏡6の処置具挿通チャンネル26に挿通可能な超音波プローブ2であって、超音波を送受信する超音波振動子部22と、前記超音波振動子部22の一端に接続され、前記処置具挿通チャンネル26の長さ以上の長さで構成された可撓性を有する超音波ケーブル23と、前記超音波ケーブル23に接続されたコネクタ部23aと、前記超音波振動子部22の他端に接続され、前記処置具挿通チャンネル26の長さ以上の長さで構成された可撓性を有する紐状部24と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波プローブ、この超音波プローブに用いられる超音波振動子部規定部材及び内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、超音波プローブは、超音波の送受信を行うことにより生成された超音波診断画像を用いて被検体の観察及び診断を行うために用いられるものであり、広く利用されている。
【0003】
このような超音波プローブとしては、直接体内に挿入される超音波プローブ、或いは内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿通されて体内に挿入される超音波プローブがある。
【0004】
特に、後者の超音波プローブは、予め内視鏡の光学系画像を用いて体内の病変部を特定した後に、さらに、この特定した病変部の超音波診断画像を得ることにより、詳しく病変部の観察あるいは診断を行うのに好適である。
【0005】
このような内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿通可能な超音波プローブとしては、例えば、特許文献1に記載のセクタースキャン型体内超音波プローブがある。
特許文献1に記載のセクタースキャン型体内超音波プローブは、先端本体を有し、この先端本体の外周表面近傍には、多数の超音波振動子を一例に並べて形成された超音波振動子列が設けられている。前記超音波振動子列を構成する各超音波振動子は、背後の一点を中心とする放射線状のラインに対して垂直をなす方向に傾けられて、先端本体の軸線と平行に一列に真っ直ぐに並べられて構成されている。
【0006】
したがって、前記セクタースキャン型体内超音波プローブは、体内に直接挿入し、或いは内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿通された体内に挿入した場合、各超音波振動子から超音波を順次送受信することにより、先端本体の側方を扇形に走査する、いわゆるセクタースキャンを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−41985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のセクタースキャン型体内超音波プローブは、各超音波振動子が先端本体の外周表面近傍に設けられて該先端本体の側方を扇形に走査するものであるため、超音波を送受信する方向、つまり、走査範囲が限られており、言い換えれば、超音波プローブの軸方向に沿った方向(挿入部の先端部の中心軸に沿った方向)の走査を行うことができない。
【0009】
よって、特許文献1に記載のセクタースキャン型体内超音波プローブでは、超音波プローブの軸方向に沿った方向は勿論、超音波を送受信する走査範囲を所望する任意の方向で行うことができず、広範囲な観察を容易に行うことができないといった問題点があった。
【0010】
具体的には、超音波プローブの軸方向に沿った方向等を含むように、超音波を送受信する走査範囲を広範囲にしようとすると、該超音波プローブを挿通した内視鏡挿入部の湾曲部を適宜湾曲させたり、或いは該超音波プローブを回転させたりするなど煩雑な操作が必要となってしまう。
【0011】
そこで、本発明は前記問題点に鑑みてなされたもので、超音波を送受信する走査範囲を所望する任意の方向で行うことができ、ひいては広範囲な観察を行うことができる超音波プローブ、この超音波プローブに用いられる超音波振動子部規定部材及び内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様の超音波プローブは、内視鏡のチャンネルに挿通可能なプローブであって、超音波を送受信する超音波振動子部と、前記超音波振動子部の一端に接続され、前記チャンネルの長さ以上の長さで構成された可撓性を有する超音波ケーブルと、前記超音波ケーブルに接続されたコネクタ部と、前記超音波振動子部の他端に接続され、前記チャンネルの長さ以上の長さで構成された可撓性を有する紐状部と、を有している。
【0013】
また、本発明の一態様の超音波振動子部規定部材は、内視鏡の挿入部に着脱可能であって、本発明の超音波プローブを保持する保持部を有し、前記超音波プローブの前記超音波振動子部による超音波の送受信方向を規定することを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の一態様の内視鏡装置は、本発明の超音波プローブと、前記超音波プローブを挿通可能なチャンネルを有する内視鏡と、本発明の超音波振動子部規定部材と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、超音波を送受信する走査範囲を所望する任意の方向で行うことができ、ひいては広範囲な観察を行うことができる超音波プローブ、この超音波プローブに用いられる超音波振動子部規定部材及び内視鏡装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る超音波診断装置の全体構成を示す図。
【図2】超音波プローブを取り付けた状態の図1に示す内視鏡の構成を示す図。
【図3】本発明に係る超音波プローブの構成を説明するための図。
【図4】キャップを先端部に取り付けた状態の図2の挿入部の先端部近傍の断面図。
【図5】超音波振動子部が図4に示す位置であるときの内視鏡画像を表示したモニタ画面を示す図。
【図6】第1の変形例に係るキャップ及び先端部の構成を示す斜視図。
【図7】図6のB矢印方向から見た場合のキャップの平面図。
【図8】第2の変形例に係るキャップの構成を示す斜視図。
【図9】第3の変形例に係るキャップの構成を示す断面図。
【図10】第4変形例に係る超音波プローブの構成を示す側面図。
【図11】図10の超音波プローブを先端部に取り付けた状態の挿入部の先端近傍の断面図。
【図12】第1の実施の形態で用いられた図2に示す紐状部規定部材の断面図。
【図13】図12の紐状部規定部材を拡径させて挿入部に取り付ける状態を示す図。
【図14】図13の状態から挿入部の所定位置に紐状部規定部材を取り付けた状態を示す図。
【図15】第5の変形例に係る紐状部規定部材の構成を示す断面図。
【図16】第6の変形例に係る紐状部規定部材の構成を示す側面図。
【図17】図16の紐状部規定部材を取り外す場合を説明するための説明図。
【図18】本発明の第2の実施の形態に係る超音波診断装置に用いられる内視鏡の構成を示す図。
【図19】図18のD−D線断面図。
【図20】本発明の第3の実施の形態に係る超音波診断装置に用いられる内視鏡の構成を示す図。
【図21】図20のE−E線断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
【0018】
図1から図5は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は本実施の形態の超音波診断装置の全体構成を示す図である。
図1に示すように本実施の形態の超音波診断装置1は、超音波プローブ2と、内視鏡装置3と、超音波観測装置4と、モニタ5とを有して構成されている。
内視鏡装置3は、内視鏡6と、光源装置7と、画像処理装置8と、モニタ9等を有して構成されている。
【0019】
内視鏡6は、細長な挿入部10と、この挿入部10の基端側に位置する把持部を兼ねる操作部11と、この操作部11の側部から延出するユニバーサルコード20とを備えて構成されている。
【0020】
挿入部10は、操作部11側に順に柔軟な可撓管部12と、湾曲自在な湾曲部13と、硬性な先端構成部(以下、単に先端部と称す)14とを配置して構成されている。この先端部14には、観察光学系を構成する観察窓15と、照明光学系を構成する照明窓16と、処置具挿通チャンネルの開口17等が設けられている。
【0021】
また、先端部14には、超音波振動子部規定部材を構成するキャップ18が着脱自在に取り付けられている。なお、キャップ18の具体的な構成については後述する。
【0022】
操作部11には、湾曲部13を上下及び左右方向に湾曲させるための湾曲操作ノブ21や送気送水ボタン、吸引ボタン等の各種操作ボタンが配設されている。
【0023】
また、操作部11の把持部の基端側には、鉗子等の処置具や、後述する超音波プローブ2を処置具挿通チャンネル26に挿通するための鉗子栓口金19が設けられている。
【0024】
ユニバーサルコード20の基端側には、コネクタ20aが設けられており、このコネクタ20aは、前記光源装置7に着脱自在に接続されている。
【0025】
光源装置7は、前記照明窓16に被検体を照明するのに必要な照明光を供給する。また、画像処理装置8は、前記観察窓15を介して図示しない撮像素子により撮像された撮像信号を処理して映像信号をモニタ9に出力する。これにより、モニタ9には供給された映像信号に基づく内視鏡画像が表示される。
【0026】
次に、内視鏡6に取り付けられる超音波プローブ2及びキャップ18の具体的な構成について図1から図4を用いて説明する。
図2に示すように、内視鏡6の挿入部10には、超音波プローブ2を挿通可能な処置具挿通チャンネル26が設けられている。この処置具挿通チャンネル26の先端側は、先端部14の開口17で開口し、基端側は、鉗子栓口金19で開口している。
【0027】
そして、本実施の形態では、この処置具挿通チャンネル26に、超音波プローブ2が挿通されるようになっている。従来の振動子部と前記振動子部に接続されたコネクタ部とからなる超音波プローブと異なり、前記超音波プローブ2は前記振動子部の他端に紐状部を有する。前記振動子部および前記紐状部を内視鏡のチャンネルから露出させて、前記紐状部を内視鏡の手元側で操ることにより前記振動子部を内視鏡の先端に接触させつつ、前記振動子による走査部位を色々と変えることができる。超音波プローブ2の詳細については後述する。
【0028】
また、超音波プローブに超音波振動子部規定部材を併用してもよい。超音波振動子部規定部材を用いることにより、超音波プローブ2の振動子部の位置決めをし易い。超音波振動子部規定部材は内視鏡の挿入部に着脱可能であって、前記超音波プローブを保持する保持部を有する。
【0029】
また、挿入部10の先端部14には、前記キャップ18が取り付けられている。このキャップ18は、処置具挿通チャンネル26に挿通された超音波プローブ2の超音波振動子部22による超音波の送受信方向を規定する超音波振動子部規定部材である。
【0030】
また、前記キャップ18は、例えば、ポリヒドロキシエチルメタアクリート、ポリビニルピロリドン、ジメチルアクリルアミド、またはグリセロースメタクリレート等の可視光透過性のある高分子材料を用いてキャップ状に構成されている。この構成により、キャップ18を先端部14に取り付けたとしても、前記したような可視光透過性のある高分子材料を用いることで、内視鏡6の観察窓15による光学視野θa(図4参照)を十分に確保しながら、正常な内視鏡画像を得ることができる。
【0031】
さらに、具体的な構成を説明すると、前記キャップ18は、図2及び図4に示すように、キャップ18が先端部14に装着されたときに、先端部14の処置具挿通チャンネル26の開口17に対向する位置に配置される孔18aを有する。さらに、キャップ18は、この孔18aから延設され、キャップ18の先端側から基端側にかけて、外表面に設けられた溝であって、前記孔18aを介して引き出される超音波プローブ2を摺動させてガイド可能なガイド溝18bを有している。
【0032】
なお、キャップ18の内径が内視鏡6の先端部14の外径よりも僅かに小さい寸法で構成される。このため、キャップ18の締め付け力で先端部14に十分に固定することができる。また、キャップ18の基端側開口(先端部14をキャップ18に嵌入する側の開口)は、先端部14の外径よりも僅かに大きい寸法で構成することが望ましい。これは、先端部14からキャップ18を取り外し易くなるといった作用がある。
【0033】
また、キャップ18を先端部14から取り外しやすくするために、図4に示すように、キャップ18の内周面の一部を、挿入軸方向に向かって内径がわずかに小さくなるようなテーパー形状に構成しても良い。
【0034】
次に、内視鏡に挿通される超音波プローブ2の構成について図3を用いて説明する。
図3に示す超音波プローブ2は、内視鏡6の処置具挿通チャンネル26に挿通可能であって、超音波を送受信する超音波振動子部22と、処置具挿通チャンネル26に挿通可能であって、超音波振動子部22の一端に接続され、処置具挿通チャンネル26の長さ以上の長さで構成された可撓性を有する超音波ケーブル23と、超音波ケーブル23に接続されたコネクタ部23a(図1)と、処置具挿通チャンネル26に挿通可能であって、超音波振動子部22の他端に接続され、前記処置具挿通チャンネル26の長さ以上の長さで構成された可撓性を有する紐状部24と、を有して構成されている。
【0035】
超音波振動子部22の具体的な構成を説明すると、前記超音波振動子部22は、ケース30と、音響整合層31と、グランド側基板32と、複数の超音波振動子33と、ワイヤ34と、ダンピング材35と、シグナル側基板36と、接続線37と、信号線38aを有する同軸ケーブル38と、樹脂39とを有して構成されている。
【0036】
超音波振動子部22のケース30内において、超音波振動子33は、超音波プローブ2の長手方向に沿って複数(例えば30個)配設される。そして、複数の超音波振動子33の超音波放出面側には、グランド側基板32、音響整合層31が順次積層されている。一方、複数の超音波振動子33の超音波放出面とは反対側の面(背面)にはダンピング材35と、シグナル側基板36が配置されている。なお、音響整合層231の超音波放出面側には、図示しない表面保護層等が積層されている。
【0037】
超音波振動子33としては、例えば、電気信号を超音波に変換させる圧電体素子を用いている。そして、複数の超音波振動子33は、それぞれ圧電体と、圧電体の超音波放出面及び背面とに形成された一対の電極とを有し、背面側の電極はダンピング材35を貫通するワイヤ34を介してシグナル側基板36に電気的に接続されている。超音波放出面側の電極はグランド側基板32に電気的に接続されている。
【0038】
なお、超音波プローブ2の長手方向に沿って配設された複数の超音波振動子33間の距離(ピッチ)は、観察する部位に応じて設定される。すなわち、複数の超音波振動子33間の距離(ピッチ)が小さいほど、送受信する超音波の走査線密度を高くすることができるので、前記距離(ピッチ)が小さくなるように複数の超音波振動子33を配設すれば、より高精度な超音波診断画像が得られる。
【0039】
シグナル側基板36は、例えば、超音波振動子33からのワイヤ34が接続される複数の第1の基板36aと、これら第1の基板36aの背面側に電気的に接続され、グランドの配線部を有する第2の基板36bとを有して構成されている。また、第2の基板36bの図示しないグランドの配線部には、接続線37が接続され、この接続線37は、グランド側基板32に電気的に接続されている。
【0040】
また、シグナル側基板36の複数の第1の基板36aには、それぞれ信号線38aを有する同軸ケーブル38が接続されている。そして、これら同軸ケーブル38は、超音波ケーブル23内に挿通されて前記コネクタ部23aと電気的に接続される。
【0041】
なお、シグナル側基板36は、ケース内30において充填剤39によって充填されてケース30内に固定されるようになっている。また、前記グランド側基板32及び前記シグナル側基板36は、フレキシブル基板を用いて構成しても良いし、あるいはリジット基板を用いて構成しても良い。
【0042】
また、本実施の形態では、前記超音波振動子33として、圧電体素子を用いたが、これに限定されるものではなく、例えば、静電容量型超音波振動子(Capacitive Micro-Machined Ultrasonic Transducer(c−MUT素子))を用いて構成しても良い。また、超音波振動子部22における超音波を発生させるための構造としては図3に限定されるものではなく、従来公知の構造を採用することができる。
【0043】
一方、前記超音波ケーブル23は、図3に示すように、例えば、特殊硬鋼線等のコイル線23bxを巻回することで構成されるフレキシブルシャフトを用いて構成されている。また、前記紐状部24は、例えば、ステンレス、或いはフッ素樹脂コーティングステンレス等を用いて構成されたガイドワイヤであり、このガイドワイヤは、超音波振動子部22内のケース30に固定されている。
なお、前記超音波ケーブル23は、超音波振動子部22の同径に構成されているが、必ずしも同径でなくても良く、超音波振動子部22の外径よりも小さく構成しても良い。また、前記紐状部24の直径、断面形状は特に限定されないが、内視鏡6の挿入部10とともに体内に挿入されるので、細径であると円滑に挿入できるという利点がある。
【0044】
そして、前記紐状部24、前記超音波振動子部22、及び前記超音波ケーブル23の外表面には、例えば、柔軟な材質の外皮2aが設けられている。
【0045】
従って、このような構成の超音波プローブ2が、図1及び図2に示すように、内視鏡6の処置具挿通チャンネル26に挿通されるようになっている。また、超音波プローブ2の超音波ケーブル23の基端側には、コネクタ部23aが設けられており、このコネクタ部23aは、超音波観測装置4に着脱自在に接続されている。
【0046】
超音波観測装置4は、制御部と画像処理部を構成するものであって、超音波プローブ2の駆動制御を行うと同時に、得られた受信信号を処理して超音波映像信号を生成しモニタ5に出力する。これにより、モニタ5には供給された超音波映像信号に基づく超音波診断画像が表示される。
【0047】
なお、本実施の形態では、1つの超音波振動子部22を設けた超音波プローブ2の構成について説明したが、超音波プローブ2は、例えば、送信周波数の異なる、つまり、解像度の異なる複数の超音波振動子部22を有して、これら複数の超音波振動子部22を超音波プローブ2の長手方向に沿って接続して構成するようにしても良い。この場合、解像度の異なる超音波振動子部22の駆動を切り換える制御が必要となる。
【0048】
次に、前記構成の超音波プローブ2の内視鏡6への取り付け方法を説明する。
まず、キャップ18の孔18aが、先端部14の処置具挿通チャンネル26の開口17に対向する位置に位置するように、術者は、キャップ18を先端部14に装着する。
【0049】
超音波プローブ2を内視鏡6の処置具挿通チャンネル26に挿通する場合、術者は、超音波プローブ2の紐状部24の先端部を鉗子栓口金19から挿通させる。
【0050】
そして、術者は、紐状部24を順次処置具挿通チャンネル26内に送り込み、紐状部24の先端部を内視鏡6の先端部14の開口17を介してキャップ18の孔18aから突出させる。
【0051】
その後、術者は、キャップ18の孔18aから突出した紐状部24を引き出す。このとき、術者は、超音波プローブ2の超音波振動子部22が孔18aから出てくるまでその引き出す動作を継続する。
【0052】
超音波振動子部22が孔18aから出てくると、術者は、超音波振動子部22をキャップ18のガイド溝18bに入れた状態で、紐状部24の基端部を操作部11側へと引っ張る。
【0053】
そして、術者は、キャップ18に対する超音波振動子部22の位置が所望する位置となり、かつ超音波振動子部22の超音波放出面がキャップ18の挿入方向になるように、適宜紐状部24を引っ張ったり、押し込んだり、あるいは超音波振動子部22をガイド溝18bの中で回転させたりして調整する。
【0054】
なお、後述するように、前記超音波プローブ2の超音波ケーブル23には、図5に示すように、超音波振動子部22の超音波放出面とは反対側の面(背面)を示すマーカ23bが設けられていてもよい。このマーカ23bは、超音波ケーブル23の超音波振動子部22の背面に合わせた表面上の、超音波振動子部22との境界部分から基端側に向けて設けられている。従って、術者は、観察する以前の取り付け作業において、前記マーカ23bがキャップ18側に向くように配置すれば良い。これにより、超音波振動子部22の超音波放出面をキャップ18の挿入方向側へと向かせることができる。
また、超音波ケーブル23とコネクタ部23aとを着脱可能にし、超音波ケーブルをキャップ18の孔18aまたは内視鏡の処置具挿通チャンネル26から挿入できるようにしてもよい。
【0055】
超音波プローブ2を使用する際には、紐状部規定部材25を併用してもよい。
紐状部規定部材25を併用すると、超音波プローブ2の紐状部24は挿入部10の挿入軸方向には摺動可能であるが、挿入部10の外周面上で周方向に移動しないため超音波プローブ2を内視鏡6の挿入部10に取り付けた状態で体内に挿入するときに、挿入部10の外周面上で周方向に沿って紐状部24が移動してしまうのを抑制し易い。
【0056】
図12は、図2に示す紐状部規定部材25の断面図であり、図13は、図12の紐状部規定部材25を拡径させて挿入部に取り付ける状態を示す図であり、図14は、図13の状態から挿入部の所定位置に紐状部規定部材25を取り付けた状態を示す図である。この紐状部規定部材25は、図12から図14に示すように、例えば、挿入部10の外周に着脱可能な、ゴム材等の弾性体からなるリング形状部材で、そのリング形状部材の軸方向に沿って紐状部24を挿通するための連通孔25aと、挿入部10を挿通するための連通孔25bとを有して構成されている。
【0057】
この紐状部規定部材25を挿入部10に取り付ける場合、図13に示すように、弾性部材である紐状部規定部材25を拡径させた状態で挿入部10を挿通し、その後、挿入部10の所定位置で、拡径させた状態を解除することでその弾性機能によって、図14に示すように取り付けられる。
【0058】
このような紐状部規定部材25は、挿入部10の長手方向の所定間隔毎に設けられることにより、挿入部10の外周面上における前記紐状部24の位置が規定される。
【0059】
なお、複数の紐状部規定部材25は、必ずしも挿入部10に設けなくても良いが、設けると、患者の体内への挿入を円滑に行うことができ、かつ、紐状部24の押し引き操作を円滑に行うのに有効である。
【0060】
複数の紐状部規定部材25を挿入部10に設けた場合、術者は、超音波振動子部22をキャップ18のガイド溝18bの中に入れた状態で紐状部24を引っ張りながら、紐状部24の基端部を複数の紐状部規定部材25の連通孔25aに順次挿通させて操作部11側へと引き出す。
【0061】
次に、本実施の形態の超音波診断装置1の作用を図4及び図5を用いて説明する。
いま、術者は、本実施の形態の超音波診断装置1を用いて体内の病変部の観察・診断を行うものとする。
【0062】
この場合、術者は、予め、前記した手順などで超音波プローブ2を、内視鏡6の挿入部10内の処置具挿通チャンネル26に挿通させるとともに、超音波振動子部22の超音波放射面がキャップ18の外側方向に向くように、超音波振動子部22をキャップ18のガイド溝18bの所定位置に配置させておく(図2参照)。
【0063】
その後、術者は、超音波プローブ2を取り付けた挿入部10を、体内に挿入し、まず、モニタ9に表示される観察窓15による内視鏡の光学画像を見ながら体内の病変部を特定する。
【0064】
このとき、超音波振動子部22は、極力、観察窓15による視野角θaに入らない位置に待避させておくことが望ましい。例えば、術者が紐状部24を引き出したり、或いは超音波ケーブル23を引き出す、あるいは紐状部24と超音波ケーブル23の一方を引き他方を押す等の押し引きをすることにより、超音波振動子部22の観察窓15に対する位置を調整することができる。
【0065】
また、モニタ9に表示される内視鏡の光学画像は、キャップ18が可視光透過性のある含水性高分子材料により構成されているので、正常な観察窓15の光学視野θaで確保された内視鏡画像となり、円滑に体内の病変部を特定することができる。
【0066】
そして、体内の病変部を特定後、術者は、再度、内視鏡の光学画像を見ながら、超音波振動子部22をキャップ18のガイド溝18bの所定位置、すなわち、超音波振動子部22の超音波放出面が病変部に向くように、紐状部24、或いは超音波ケーブル23の押し引きを行って、キャップ18に対する超音波振動子部22の位置を調整する。
【0067】
この場合、モニタ9に表示される、内視鏡6の光学画像の一例を図5に示す。
術者は、図5に示すモニタ9に画面9Aに表示される光学画像を見て、まず、超音波振動子部22の超音波放出面が確実に病変部に向いているか否かを判断する。この場合、光学画像内の超音波ケーブル23のマーカ23bを正しく光学画像で確認できれば、超音波振動子部22の超音波放出面が確実に病変部に向いており、また、挿入部10の挿入方向に向いていると判断することができる。
【0068】
さらに、超音波プローブ2の紐状部24の背面側に設けられた目盛り24aを用いることによって、超音波振動子部22の位置を調整することもできる。なお、前記目盛り24aは、例えば、2mm間隔で複数配設されている。
【0069】
例えば、超音波振動子部22が、図5に示す光学画像のように見えたとき、超音波振動子部22は、図4に示すようなキャップ18のガイド溝18bの所定位置に配置されたものとなる。
【0070】
そして、術者は、図示しない超音波実行ボタンを押下すると、超音波プローブ2が駆動し、超音波振動子部22からは超音波が、図4に示す放射角θ0で放射状に送信される。すると、超音波プローブ2の超音波振動子部22は、エコー信号を受信し、超音波ケーブル23内の複数の同軸ケーブル38を介して超音波観測装置4に受信信号を出力する。
【0071】
超音波観測装置4は、供給された受信信号を処理して超音波映像信号を生成しモニタ5に出力することにより、モニタ5には供給された超音波映像信号に基づく超音波診断画像が表示されることになる。
【0072】
この状態から、術者は、超音波振動子部22の位置を調整することによって、任意の方向の超音波診断画像を、連続的して観ることができる。
【0073】
具体的には、術者は、超音波診断画像による観察・診断中、すなわち、モニタ5により表示された超音波診断画像を見ながら、超音波プローブ2と超音波ケーブル23を押し引きすることにより、超音波振動子部22のキャップ18に対する位置を調整する。これにより、前記放射角θ0の範囲外の、任意の範囲に超音波振動子部22の超音波放出面を向かせることができる。つまり、キャップのガイド溝18bによって、超音波振動子部22による超音波の送受信方向を任意の方向にすることができる。
【0074】
すなわち、超音波振動子部22のキャップ18に対する位置が調整できるので、術者によるその位置調整に応じて、モニタ5には、移動の方向の超音波診断画像が連続的に表示される。
【0075】
従って、術者は、キャップ18のガイド溝18bの範囲内において超音波振動子部22の向きを変えることができるので、内視鏡6の挿入部10の軸方向に沿った方向を含み、かつ超音波を送受信する走査範囲を広範囲に行うことができる。
【0076】
なお、超音波ケーブル23の操作は、さらに、回転させることにより、超音波振動子部22の超音波の送受信方向を、挿入部10の軸方向に直交する方向に適宜変更することも可能であり、さらに、広範囲で超音波の送受信を行うこともできる。
【0077】
従って、第1の実施の形態によれば、従来技術のように超音波プローブ2を大型化することなく、挿入部10の先端部14の軸方向に沿った方向は勿論、超音波を送受信する走査範囲を所望する任意の方向で行うことができ、広範囲な観察を行うことができる超音波プローブ2、この超音波プローブ2を用いた内視鏡装置3及び超音波診断装置1を提供することができる。
【0078】
なお、第1の実施の形態では、図6及び図7の変形例1に示すようにキャップ18及び先端部14を構成して、先端部14に対するキャップ18のガイド溝18bの装着位置を変更して超音波の送受信方向を変更するようにしても良い。このような変形例1を図6及び図7に示す。
【0079】
(変形例1)
図6及び図7は、第1の実施の形態の第1の変形例を示し、図6は変形例1に係るキャップ及び先端部の構成を示す斜視図、図7は、図6のB矢印方向から見た場合のキャップの平面図である。
【0080】
変形例1のキャップ18Aは、先端部14に取り付けた際に、キャップ18Aの周方向におけるガイド溝18bbの位置が予め決められた位置となるようにキャップ18Aの周方向におけるガイド溝18bbの位置を変更可能に構成される。
【0081】
具体的には、変形例1では、キャップ18Aの内周面に、例えば、挿入部10の挿入軸方向に沿って少なくとも3つの配置位置が異なる溝40a〜cが設けられている。これら3つの溝40a〜cの内、溝40aは、図7に示すように、軸cに対して前記ガイド溝18bとは反対側の位置に設けられており、すなわち、軸cを原点としたときの前記ガイド溝18bの位置から反時計回りに180度の角度θ1の位置に配置されるように設けられている。なお、この位置は、開口17が、前記第1の実施の形態と同様に、ガイド溝18bに対して配置される初期位置である。
【0082】
また、もうひとつの溝40bは、溝40aよりも軸cに対して45度回動させた位置に設けており、すなわち、軸cを原点としたときのガイド溝18bの位置から反時計回りに135度の角度θ2に配置されるように設けられている。
【0083】
さらに、もう一つの溝40cは、溝40bよりも45度回動させた位置に設けており、すなわち、軸cを原点としたときのガイド溝18bの位置から反時計回りに90度の角度θ3に配置されるように設けられている。
【0084】
また、キャップ18Aの外周面には、3つの溝の位置に対応して、ガイド溝18bbが形成されている。ガイド溝18bbは、キャップ18Aの基端側(具体的には該キャップ18Aの開口縁部)において合流する3つのガイド溝から構成される。キャップ18Aの外周面の3つのガイド溝は、3つの溝40a〜cに対応して形成されている。
【0085】
なお、本変形例では、3つの溝40a〜cを設けたが、これに限定されるものではなく、より細かな角度毎に3つ以上の溝40a〜c、40xを設けて構成しても良い。
【0086】
また、前記キャップ18Aの孔18a1は、キャップ18を挿入部10の挿入軸方向と直交する方向で切った断面において、2つの溝40b、40c側方向に沿って長穴形状となるように構成している。すなわち、孔18a1を長穴形状にすることで、いずれの角度でキャップ18Aを先端部14に取り付けても、開口17から突出する超音波プローブ2を常にガイド溝18bへと導くことができる。
【0087】
一方、前記3つの溝40a〜cのいずれかの1つに係合する凸溝14aが、先端部14の開口17側の外周部に、挿入部10の挿入軸方向に沿って設けられている。
【0088】
このような構成により、変形例1では、予め術者は、内視鏡6の先端部14に対して、キャップ18Aの溝40a、又は溝40b、又は溝40cの位置でキャップ18Aを取り付けることにより、先端部14に対するキャップ18Aのガイド溝18bbうち超音波振動子部22を配置させる溝を変えることができる。即ち、超音波プローブ2の超音波振動子部22による超音波の送受信方向を、前記第1の実施の形態より、さらに細かく変更して、より種々の範囲に超音波の送受信を行うことが出来る。
【0089】
なお、本変形例では、3つのガイド溝を有するガイド溝18bbを設けた構成について説明したが、前記第1の実施の形態と同様の一つのガイド溝18bのみを設けて構成しても良い。
【0090】
(変形例2)
前記第1の実施の形態に係る超音波診断装置1は、キャップ18Bの外周面に、図8の変形例2に示すように、1つの孔から分岐する複数のガイド溝を設けることで、超音波の送受信方向を変更可能に構成しても良い。このような変形例2を図8に示す。図8は、第1の実施の形態の第2の変形例に係るキャップの構成を示す斜視図である。
【0091】
図8に示すように、変形例2のキャップ18Bには、2つのガイド溝18b、18b1が設けられている。新たに設けられたガイド溝18b1は、キャップ18Bの孔18aから延設され、ガイド溝18bから離間した位置に設けられている。
【0092】
この場合、2つのガイド溝18b、18b1はいずれも孔18aから延設されて、互いに離れる方向に設けられているので、これら2つのガイド溝18b、18b1は、図8に示す角度θ4を有している。
【0093】
勿論、前記角度θ4は、変形例1と同様に予め決められた角度となるように設定してキャップ18Bを構成しても良いし、あるいは所望する範囲が得られるように適宜設定してキャップ18Bを構成しても良い。また、変形例2では、2つのガイド溝18b、18b1を設けたが、3個以上のガイド溝を所定角度毎に設けて構成しても良い。
【0094】
このような構成により、変形例2では、変形例1のようにキャップ18及び先端部14に特別な構成を設けなくても、内視鏡6に超音波プローブ2を取り付ける際に、キャップ18Bに設けた2つのガイド溝18b、18b1の内、いずれかのガイド溝18b(又は18b1)に超音波振動子部22を配置するだけで、超音波の送受信方向を簡単に変更することができ、前記第1の実施の形態よりも広範囲に超音波の送受信を行うことが出来る。
【0095】
(変形例3)
前記第1の実施の形態に係る超音波診断装置1は、キャップ18を図9の変形例3に示すような形状に構成することで、超音波の送受信方向を変更可能に構成しても良い。このような変形例3を図9に示す。図9は、第1の実施の形態の第3の変形例に係るキャップの構成を示す断面図である。
【0096】
図9に示すように、変形例3のキャップ18Cには、超音波振動子部22による超音波の送受信方向を変更するための凸状方向変更部41が設けられている。この凸状方向変更部41は、キャップ18Cと一体的に形成されるもので、例えば、第1の実施の形態のキャップ18のガイド溝18b側の一部の肉厚が厚く、かつ表面が外側に向けて突出するような略球面状に構成されている。
【0097】
本変形例では、前記凸状方向変更部41は記キャップ18Cのガイド溝18bが設けられた側面部に設けられている。
【0098】
このような構成の本変形例では、図9に示す位置の超音波振動子部22を、術者による紐状部24の引き操作によって、破線で示す前記方向変更部41の谷側の位置まで移動させる。すると、超音波振動子部22の超音波の送受信方向は、図9に示すように、キャップ18Cの側面方向及び後方の斜め方向となる。
【0099】
すなわち、キャップ18Cの前方方向の放射角θ0から、キャップ18Cの側面方向及び後方の斜め方向に、超音波の送受信方向を変更できる。
【0100】
なお、前記凸状方向変更部41は、キャップ18Cの側面部に設けたが、これに限定されるものではなく、所望する超音波の送受信方向に応じて前記ガイド溝18bの何れかの箇所に設けて構成しても良い。
【0101】
また、前記凸状方向変更部41の配置位置が異なる複数種類のキャップ18Cを構成すれば、所望する超音波の送受信方向に応じたキャップ18Cを取り付けることにより、簡単に所望する送受信方向の超音波画像を得ることができる。
【0102】
(変形例4)
前記第1の実施の形態に係る超音波診断装置1は、超音波プローブ2の超音波振動子部22のキャップ18に対する位置決めを容易に行うために、図10の変形例4に示すような形状記憶部42を備えた超音波プローブ2Aを用いて構成しても良い。このような変形例4を図10及び図11に示す。
【0103】
図10及び図11は、第1の実施の形態の第4変形例を示し、図10は、第4変形例に係る超音波プローブの構成を示す側面図、図11は、図10の超音波プローブを先端部に取り付けた状態の挿入部の先端近傍の断面図である。
【0104】
図10に示すように、変形例4の超音波プローブ2Aは、超音波振動子部22の一端から所定の長さ分の前記超音波ケーブル23に密着する形状記憶部42を設けている。この形状記憶部42は、超音波振動子部22の一部から超音波ケーブル23における、前記超音波振動子部22の超音波放出面とは反対側の面(背面)に固定されている。
【0105】
また、形状記憶部42は、超音波プローブ2と共に挿入部10の処置具挿通チャンネル26に挿通可能であって、機械的負荷から開放されると超音波振動子部22の一端から所定の長さ分の超音波ケーブル23を円弧形状にする特性を有している。この円弧形状は、キャップ18のガイド溝18bに沿った円弧形状である。
【0106】
なお、前記形状記憶部42は、超音波ケーブル23ではなく、紐状部24側に設けて構成しても良く、或いは超音波ケーブル23と紐状部24の双方に設けて構成しても良い。
【0107】
このような本変形例では、超音波プローブ2Aを挿入部10の処置具挿通チャンネル26内に挿通している場合には、形状記憶部42は、処置具挿通チャンネル26の内壁との接触により機械的負荷がかけられて、例えば、図10に示すような直線形状となる。
【0108】
そして、術者による紐状部24の引き操作、或いは超音波ケーブル23の押し操作によって、超音波振動子部22及び形状記憶部42がキャップ18の孔18aから出ると、形状記憶部42は、処置具挿通チャンネル26等による機械的負荷から解放され、このため、キャップ18のガイド溝18bに沿った円弧形状に戻る。すなわち、形状記憶部42は、機械的負荷から開放されると超音波振動子部22の一端から所定の長さ分の超音波ケーブル23を所定の湾曲形状にするように変形させる。
【0109】
例えば、予め前記形状記憶部42の形状を、図11に示すようなガイド溝18bの先端側の所定の範囲に対応する円弧形状となるように記憶させておけば、常に、この形状記憶部42は円弧形状に戻り、対応する円弧形状のガイド溝18bの所定の範囲ではガイド溝に密着する。
【0110】
すなわち、形状記憶部42がガイド溝18bに沿って所定箇所に規定されるので、超音波振動子部22を常にガイド溝18b中の所定の範囲で適切に配置することができるので、術者による紐状部24或いは超音波ケーブル23の押し引き操作による位置調整がスムーズに行え、かつ超音波の送受信方向が常に予め設定した方向に向くように超音波振動子部22を配置できる。
【0111】
従って、本変形例によれば、形状記憶部42を備えた超音波プローブ2Aを用いることにより、超音波振動子部22の位置調整に伴う操作を簡略化できる。
【0112】
(変形例5)
前記第1の実施の形態に係る超音波診断装置1は、複数の紐状部規定部材25の挿入部10への装着を容易にするために、図15の変形例5に示すような形状となるように紐状部規定部材25Aを構成しても良い。このような変形例5を図15に示す。
【0113】
図15は、第1の実施の形態の第5変形例に係る紐状部規定部材の構成を示す断面図である。図15に示すように、変形例5の紐状部規定部材25Aは、連通孔25aが設けられた反対側の円周部の一部が、他の部分の肉厚よりも薄くなるように構成されている。
【0114】
なお、前記紐状部規定部材25の肉厚が他の部分よりも薄い部分の寸法Lは、容易に拡張できるが切れず、かつ挿入部10にしっかりとその弾性作用で装着できる厚さ寸法であることが望ましい。
【0115】
このような変形例5によれば、肉厚が他の部分よりも薄くした紐状部規定部材25Aを用いたことにより、挿入部10への装着を容易に行うことができる他に、肉厚が薄い部分があることで、体内に挿入する際の抵抗を小さくして、円滑に挿入できる。
【0116】
(変形例6)
前記第1の実施の形態に係る超音波診断装置1は、複数の紐状部規定部材25の挿入部10からの取り外しを容易にするために、図16及び図17の変形例6に示すような形状となるように紐状部規定部材25Bを構成しても良い。このような変形例6を図16及び図17に示す。
【0117】
図16及び図17は、第1の実施の形態の第6の変形例に係り、図16は、第6変形例に係る紐状部規定部材の構成を示す側面図、図17は、図16の紐状部規定部材を取り外す場合を説明するための説明図である。
【0118】
図16に示すように、変形例6の紐状部規定部材25Bは、内視鏡6の操作部11側の側面の一部に、つまみ43を設けて構成されている。このつまみ43は、紐状部規定部材25Bの円周部の一部を延設して形成されている。
【0119】
超音波診断装置1による観察・診断を終えた後、挿入部10から複数の紐状部規定部材25Bを取り外す場合には、術者は、つまみ43を摘みながら紐状部規定部材25Bを拡張させた状態で挿入部10から取り外したり、或いは、図17に示すように、つまみ43を摘みながら、挿入部10の先端部14側方向に引き寄せて破くことにより、挿入部10から取り外す。
【0120】
従って、本変形例6によれば、複数の紐状部規定部材25Bのそれぞれに前記つまみ43を設けたことにより、複数の紐状部規定部材25の挿入部10からの取り外しを容易にすることができる。また、つまみ43は、挿入方向側でなく、操作部11側に設けられているので、挿入部10を対向内に挿入する際にも抵抗にはならず、円滑に挿入できる。
【0121】
(第2の実施の形態)
図18及び図19は、本発明の第2の実施の形態に係り、図18は、第2の実施の形態に係る超音波診断装置に用いられる内視鏡の構成を示す図、図19は、図18のD−D線断面図で、図18の挿入部に取り付けられたオーバーチューブの構成を示している。
【0122】
なお、図18及び図19は、前記第1の実施の形態の超音波診断装置1と同様の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0123】
第2の実施の形態の超音波診断装置1は、第1の実施の形態のキャップ18に変えて超音波振動子規定部材としてのオーバーチューブ18Dを設けて構成している。
具体的には、図18及び図19に示すように、超音波振動子規定部材としてのオーバーチューブ18Dは、例えば、ポリ塩化ビニール樹脂又はシリコンゴム等で構成されたもので、挿入部10を長手方向に渡って挿通可能な挿通孔44を有し、この挿通孔44が先端側で閉塞された管部材である。
また、オーバーチューブ18Dは、このオーバーチューブ18Dの先端側に設けられ、先端部14の先端面に配置された前記処置具挿通チャンネル26の開口17に連通する孔18aと、この孔18aに延設され、オーバーチューブ18Dの先端側から長手方向の一部にかけての表面に設けられた溝であって、処置具挿通チャンネル26の開口17から孔18aを介して引き出される超音波プローブ2を摺動させてガイドするガイド溝18abと、このガイド溝18abから挿入部10の手元側へと延出される超音波プローブ2の紐状部24を、挿通して摺動可能で、かつ挿入部10の周面に沿うように位置を規定する紐状部規定チャンネル45と、有して構成されている。
【0124】
すなわち、オーバーチューブ18Dの先端側は、前記第1の実施の形態におけるキャップ18と略同様に構成されている。
【0125】
また、オーバーチューブ18Dの基端側の内径は、挿入部10の外径よりも幾分小さい寸法で構成されており、この部分を挿入部10に対して固定する固定部46として構成している。
超音波プローブ2のオーバーチューブ18Dへの取付は、予めオーバーチューブ18Dを挿入部10に取り付けた後に、前記第1の実施の形態と同様に超音波プローブ2を取り付ければ良い。
本実施の形態の超音波診断装置では、挿入部10に超音波振動子部規定部材としてのオーバーチューブ18Dを取り付けた状態で体内に挿入するので、前記第1の実施の形態よりも、体内に挿入する際の抵抗を小さくすることができ、円滑に挿入することができる。
その他の構成及び作用は、前記第1の実施の形態と同様である。
【0126】
従って、第2の実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の効果が得られる他に、オーバーチューブ18Dを設けたことで、体内に円滑に挿入することができる。
【0127】
また、オーバーチューブ18Dを挿入部10に挿通するだけで装着でき、或いはオーバーチューブ18Dを挿入部10から抜くだけで取り外しができるので、複数の紐状部規定部材25、及びキャップ18の挿入部10に対する取り付け作業及び取り外し作業よりも容易に行うことができる。
【0128】
なお、本実施の形態において、前記オーバーチューブ18Dは、内視鏡6の挿入部10の長手方向に渡って覆うような長さで構成したが、これに限定されることはない。例えば、超音波プローブ2の紐状部24が連通孔25aによって挿入部10周面に規定され、かつ、押し引き操作が可能であれば、長手方向の長さを短く構成しても良い。
【0129】
(第3の実施の形態)
図20及び図21は、本発明の第3の実施の形態に係り、図20は、第3の実施の形態に係る超音波診断装置に用いられる内視鏡の構成を示す図、図21は、図20のE−E線断面図で、図20の挿入部に取り付けられた超音波振動子部規定部材の構成を示している。
【0130】
なお、図20及び図21は、前記第1の実施の形態の超音波診断装置1と同様の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0131】
第3の実施の形態の超音波診断装置1は、第1の実施の形態の前記複数の紐状部規定部材25に改良を施した紐状部規定部材25Cを設けて構成している。
図20に示す紐状部規定部材25Cは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(フッ素樹脂)やポリエーテルエーテルケトン等の材質で構成されたもので、前記第1の実施の形態における複数の紐状部規定部材25に相当する形状の複数の紐状部規定部材47を有し、これら複数の紐状部規定部材47の連通孔を挿入部の長手方向に渡って連接するように構成している。
【0132】
すなわち、図21に示すように、前記紐状部規定部材25Cは、紐状部24を挿通して摺動可能で、且つ挿入部10の周面に沿うように位置を規定する位置規定チャンネル48が前記挿入部10の長手方向に渡って設けられている。
【0133】
また、図21に示すように、前記複数の紐状部規定部材47は、図21に示す断面形状において、位置規定チャンネル48とは反対側の一部が切り欠かれた、チャンネル形状を有して、前記挿入部10の周面から着脱自在に構成されている。
【0134】
本実施の形態の超音波診断装置では、紐状部規定部材25Cを挿入部10に取り付ける場合、先端部14に取り付けられたキャップ18のガイド溝18bの位置と、紐状部規定部材25Dの位置規定チャンネル48の位置とを合わせ、さらに、挿入部10の周方向から複数の紐状部規定部材47の切り欠き部分をそれぞれ嵌め込んで取り付ける。その後は、前記第1の実施の形態と同様の手順で、超音波プローブ2の取り付けを行えば良い。
【0135】
従って、第3の実施の形態によれば、前記紐状部規定部材25の各紐状部規定部材47に切り欠きを設けたことにより、前記第1の実施の形態よりも簡単に挿入部10に取り付けたり、或いは外したりすることが出来、また、体内に挿入する際の抵抗を小さくすることが出来るため、体内への挿入を円滑に行うことができる。その他の効果は前記第1の実施の形態と同様である。
【0136】
なお、前記紐状部規定部材25は、3つの紐状部規定部材47を設けて構成したが、これに限定されるものではなく、挿入部10の長手方向の長さに応じて紐状部規定部材47を適宜増やしたり、或いは減らしたりして構成しても良い。
【0137】
本発明は、上述した実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【符号の説明】
【0138】
1…超音波診断装置、
2…超音波プローブ、
2A…超音波プローブ、
2a…外皮、
3…内視鏡装置、
4…超音波観測装置、
5…モニタ、
6…内視鏡、
7…光源装置、
8…画像処理装置、
9…モニタ、
9A…画面、
10…挿入部、
11…操作部、
12…可撓管部、
13…湾曲部、
14…先端部、
14a…凸溝
15…観察窓、
16…照明窓、17…開口、
18…キャップ、
18A…キャップ、
18B…キャップ、
18C…キャップ、
18D…オーバーチューブ、
18a…孔、
18a1…孔、
18ab…ガイド溝、
18b…ガイド溝、
18b1…ガイド溝、
18bb…ガイド溝、
19…鉗子栓口金、
20…ユニバーサルコード、
21…湾曲操作ノブ、
22…超音波振動子部、
23…超音波ケーブル、
23a…コネクタ部、
23b…マーカ
23bx…コイル線
24…紐状部、
24a…目盛り、
25…紐状部規定部材、
25A…紐状部規定部材、
25B…紐状部規定部材、
25C…紐状部規定部材、
25a…連通孔、
25b…連通孔、
26…処置具挿通チャンネル、
30…ケース、
31…音響整合層、
32…グランド側基板、
33…超音波振動子、
34…ワイヤ、
35…ダンピング材、
36…シグナル側基板、
36a…第1の基板、
36b…第2の基板、
37…接続線、
38…同軸ケーブル、
38a…信号線、
39…充填剤、
40a…溝、
40b…溝、
40c…溝、
40x…溝、
41…凸状方向変更部、
42…形状記憶部、
43…つまみ、
44…挿通孔、
45…紐状部規定チャンネル、
46…固定部、
47…紐状部規定部材、
48…位置規定チャンネル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡のチャンネルに挿通可能なプローブであって、
超音波を送受信する超音波振動子部と、
前記超音波振動子部の一端に接続され、前記チャンネルの長さ以上の長さで構成された可撓性を有する超音波ケーブルと、
前記超音波ケーブルに接続されたコネクタ部と、
前記超音波振動子部の他端に接続され、前記チャンネルの長さ以上の長さで構成された可撓性を有する紐状部と、
を具備したことを特徴とする超音波プローブ。
【請求項2】
送信周波数の異なる2種以上の超音波振動子部を有していることを特徴とする請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項3】
機械的負荷から開放されると所定の湾曲形状に変形する形状記憶部を含み、
前記紐状部又は前記超音波ケーブルのうち前記超音波振動子部に隣接する部分は、前記形状記憶部の湾曲に伴い湾曲するように前記形状記憶部に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項4】
内視鏡の挿入部に着脱可能であって、
請求項1に記載の超音波プローブを保持する保持部を有し、前記超音波プローブの前記超音波振動子部による超音波の送受信方向を規定することを特徴とする超音波振動子部規定部材。
【請求項5】
前記挿入部の先端部に着脱自在なキャップ形状を有し、
前記保持部は、前記先端部の先端面に配置された前記チャンネルの開口に対応する孔であり、
前記孔に延設され、前記キャップの先端側から基端側にかけて外表面に設けられた溝であって、前記孔を介して引き出される前記超音波プローブを摺動させてガイドするガイド溝を、有することを特徴とする請求項4に記載の超音波振動子部規定部材。
【請求項6】
前記キャップは、前記先端部に取り付けた際に、前記キャップの周方向における前記ガイド溝の位置が予め決められた位置となるように前記キャップの周方向における前記ガイド溝の位置を変更可能に構成したことを特徴とする請求項5に記載の超音波振動子部規定部材。
【請求項7】
前記ガイド溝は、前記キャップの外周面に、該キャップの開口縁部に形成される前記ガイド溝から分岐する複数のガイド溝を有し、前記キャップの孔は、前記複数のガイド溝に対応するように長穴形状に構成したことを特徴とする請求項6に記載の超音波振動子部規定部材。
【請求項8】
前記ガイド溝は、前記キャップの外周面に、前記孔から分岐する複数のガイド溝を有して構成したことを特徴とする請求項5に記載の超音波振動子部規定部材。
【請求項9】
請求項4に記載の超音波振動子部規定部材に保持された前記超音波プローブの前記紐状部が前記内視鏡の挿入軸方向に摺動可能で、かつ前記挿入部周面に沿うように位置を規定することを特徴とする紐状部規定部材。
【請求項10】
前記挿入部の外周に着脱可能なリング形状に構成したことを特徴とする請求項9に記載の紐状部規定部材。
【請求項11】
前記紐状部を挿通可能な位置規定チャンネルを有することを特徴とする請求項9に記載の紐状部規定部材。
【請求項12】
前記挿入部を挿入可能な有底筒状のオーバーチューブであって、
前記オーバーチューブの先端側に設けられ、前記内視鏡の先端部の先端面に配置された前記チャンネルの開口に対応する孔と、
前記孔に延設され、前記オーバーチューブの先端側から長手方向の一部にかけての表面に設けられた溝であって、前記チャンネルの開口から前記孔を介して引き出される前記超音波プローブを前記溝に摺動させてガイドするガイド溝と、
前記ガイド溝から前記挿入部の手元側へと延出される前記超音波プローブの前記紐状部が摺動可能なように挿通して、かつ前記挿入部周面に沿うように位置を規定する紐状部規定チャンネルと、有することを特徴とする請求項4に記載の超音波振動子部規定部材。
【請求項13】
請求項1に記載の超音波プローブと、
前記超音波プローブを挿通可能なチャンネルを有する内視鏡と、
請求項4に記載の超音波振動子部規定部材と、を具備したことを特徴とする内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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