説明

超音波モータ機構

【課題】シャフト(被駆動部材)と枠体を変形させることなく互いに連結させることができ、これにより連結による特性の劣化を減少し、かつ、安定した駆動特性を得ることができる超音波モータ機構を提供する。
【解決手段】圧電素子を有する超音波振動子と、超音波振動子との間の摩擦力により相対的に駆動される被駆動部材と、被駆動部材と連結する複数の連結部材と、連結部材と連結する枠体と、超音波振動子を被駆動体に付勢する付勢部材と、被駆動部材を移動可能に支持するベース部材と、被駆動部材をベース部材に対して移動可能に支持する球状の転動部材と、を少なくとも具備するリニア駆動型超音波モータにおいて、複数の連結部材は、それぞれ枠体の位置を決める位置決め部を備え、枠体を挟み込むように点接触にて固定することができる形状となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波モータ機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の超音波モータ機構としては特許文献1記載の駆動装置が挙げられる。この駆動装置は、第1枠体と第2枠体とを相対移動させる第1駆動機構と、第2枠体と第3枠体とを相対移動させる第2駆動機構と、を備え、これら第1及び第2駆動機構は、圧電素子によって駆動を発生させる駆動発生部と、駆動発生部により発生した駆動を受ける駆動受部と、をそれぞれ有する。また、第1枠体には、第1駆動機構の駆動受部のシャフトの両端が固定され、第2枠体には、第2駆動機構の駆動受部のシャフトの両端が固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−67479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の駆動装置では、シャフトを各枠体に固定する際に、シャフトに捻じれや、曲げなどの変形をおこさせないよう考慮した積極的な対策が講じられていない。仮に、シャフトと枠体を接着材などによって固定する場合、シャフト両端の接着材の収縮具合により、シャフトに捻じれや、曲げなどの変形が発生し、それにより駆動受部も変形してしまう。そして駆動受部が変形してしまうことで、駆動発生部との接触状態が変化してしまい、特性の変化や劣化が発生してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、シャフト(被駆動部材)と枠体を変形させることなく互いに連結させることができ、これにより連結による特性の劣化を減少し、かつ、安定した駆動特性を得ることができる超音波モータ機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る超音波モータ機構は、圧電素子を有する超音波振動子と、超音波振動子との間の摩擦力により相対的に駆動される被駆動部材と、被駆動部材と連結する複数の連結部材と、連結部材と連結する枠体と、超音波振動子を被駆動体に付勢する付勢部材と、被駆動部材を移動可能に支持するベース部材と、被駆動部材をベース部材に対して移動可能に支持する球状の転動部材と、を少なくとも具備するリニア駆動型超音波モータにおいて、複数の連結部材は、それぞれ枠体の位置を決める位置決め部を備え、枠体を挟み込むように点接触にて固定することができる形状となっていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る超音波モータ機構において、連結部材が枠体を挟み込む方向は、付勢方向に対し、直角又は平行であることが好ましい。
【0008】
本発明に係る超音波モータ機構において、枠体との位置決めに使用する、連結部材の位置決め部は、V溝、半円形状の凹形状、又は凸形状であることが好ましい。
【0009】
本発明に係る超音波モータ機構において、枠体は、連結部材の位置決め部に対応する、凸形状又は凹形状を有していることが好ましい。
【0010】
本発明に係る超音波モータ機構において、連結部材と被駆動部材は、被駆動部材の屈曲振動の節付近で且つ、被駆動部材の屈曲振動と平行な方向又は直角な方向に、互いに固定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る超音波モータ機構は、シャフト(被駆動部材)と枠体を変形させることなく互いに連結させることができ、これにより連結による特性の劣化を減少し、かつ、安定した駆動特性を得ることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る超音波モータ機構の構成を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線における断面図である。
【図3】図1のIII−III線における断面図である。
【図4】図1のIV方向から見た側面図である。
【図5】図1のIV方向から見た側面図である。
【図6】図1のVI−VI線における断面図である。
【図7】第1実施形態の第1変形例におけるシャフトと枠体との連結構造を示す側面図である。
【図8】第1実施形態の第2変形例におけるシャフトと枠体との連結構造を示す側面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る超音波モータ機構の構成を示す平面図である。
【図10】図9のX方向から見た側面図である。
【図11】図9のXI方向から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る超音波モータ機構の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る超音波モータ機構の構成を示す平面図である。図2は、図1のII−II線における断面図である。図3は、図1のIII−III線における断面図である。図4は、図1のIV方向から見た側面図である。図5は、図1のIV方向から見た側面図である。図6は、図1のVI−VI線における断面図である。
【0015】
超音波モータ機構は、圧電素子110を有する超音波振動子と、超音波振動子との間の摩擦力により相対的に駆動される被駆動部材としてのシャフト120と、第1連結部材131及び第2連結部材136と、これらの連結部材と連結する枠体150と、超音波振動子をシャフト120に付勢する付勢部材としての押圧部材103と、シャフト120を移動可能に支持するベース部材124と、シャフト120をベース部材124に対して移動可能に支持する4つの転動部材122と、を備える。また、超音波モータ機構は、ベース部材124と結合して超音波振動子及び押圧部材103を内部に収容するケース部材102を備え、ケース部材102は、平板状の基台101上に載置される。
【0016】
略コの字型の断面形状を有するベース部材124の内部には、4つの球状部材からなる転動部材122が収容される。転動部材122は、ベース部材124の長手方向(図1の上下方向、図2の左右方向)に移動可能に収容される。なお、転動部材122は、ベース部材124の長手方向に移動可能であれば、4つより多くても良い。
【0017】
シャフト120は、曲面と平面からなる側面を備え、その軸方向120cに直交する断面が略D字形状をなしている。このシャフト120は、円筒面が転動部材122に当接するように載置される。
【0018】
シャフト120の長手方向両端は、シャフト120の駆動変位を外部装置に伝達するための、第1連結部材131及び第2連結部材136にそれぞれ結合されている。第1連結部材131及び第2連結部材136は、シャフト120の節付近に、屈曲振動に対して平行方向に、ねじの端面にて固定されている。
【0019】
ケース部材102は箱型の形状をしており、その内部空間には、圧電素子110と、押圧部材103と、が高さ方向(図2から図6の上下方向)の上側から順に内包される。押圧部材103としては例えば金属製の板バネを用いる。
圧電素子110の下面には、下方に突出する支持部材111が設けられ、押圧部材103の上面に当接する。押圧部材103は、その長手方向(図2の左右方向)の両端がケース部材102の内壁に当接し、下面の中央部がケース部材120に設けた支持凸部104に当接し、これにより、103は、上に凸に撓んだ状態で支持される。
【0020】
ベース部材124とケース部材102は、例えば、ケース部材102の上部に設けた複数の突起部を、ベース部材124の下部に設けた複数の係止部にそれぞれ係止することによって固定する。
【0021】
圧電素子110の上面には、上方へ突出する駆動子112、113が設けられ、ケース部材102をベース部材124に組みつけたとき、駆動子112、113はシャフト120の下側に位置する平面に当接する。このとき、押圧部材103は所定の量だけ撓んだ状態で長手方向略中央部分が支持部材111に当接する。押圧部材103の撓み量は任意に設定でき、この撓み量を所望の値にすることによって、シャフト120に対して圧電素子110から所望の押圧力を発生し、駆動子112、113をシャフト120に付勢する。これにより、駆動子112、113とシャフト120との間に摩擦力が生じ、圧電素子110を駆動することにより、シャフト120はベース部材124に対して長手方向(図1の上下方向、図2の左右方向、駆動方向)に移動可能となる。
【0022】
第1連結部材131は、互いに平行に延びる上側腕部132と下側腕部133(図3)を備え、側面視略コの字形状をなしている。上側腕部132と下側腕部133は、シャフト120の軸方向120cに直交し、かつ、基台101の上面に平行に延びるように設けられている。第2連結部材136は、第1連結部材131と同様に、互いに平行に延びる上側腕部137(図1)と下側腕部(不図示)を備え、側面視略コの字形状をなしている。第2連結部材136の上側腕部137と下側腕部についても、シャフト120の軸方向120cに直交し、かつ、基台101の上面に平行に延びるように設けられている。
【0023】
シャフト120は、長手方向の一方の端部が、第1連結部材131内に設けた収容空間134に収容され、他方の端部が、第2連結部材136内の収容空間(不図示)に収容される。
第1連結部材131の底壁131aには、圧電素子110による付勢方向(図6のA方向)と平行に延び、収容空間134へ貫通するネジ穴131bが形成されており、このネジ穴131bに螺合した固定ネジ135(図2、図6)の上側の端面がシャフト120の平面120aに当接する。固定ネジ135をさらに収容空間134内へ螺合すると、シャフト120の曲面120bが収容空間134の内面に当接し、これにより、シャフト120と第1連結部材131とが互いに固定される。
【0024】
第2連結部材136は、第1連結部材131と同様の構成を備え、固定ネジ135(図2)を収容空間134内へ螺合していくと、シャフト120の曲面120bが収容空間の内面に当接し、これにより、シャフト120と第2連結部材136とが互いに固定される。
【0025】
次に、第1連結部材131によるシャフト120と枠体150との連結構造について説明する。
図6に示すように、第1連結部材131の上側腕部132には、連結ネジ141が上下方向(図6の上下方向)に貫通している。また、下側腕部133の上面のうち、連結ネジ141に対応する位置に、上下方向に沿った断面がV字状のV溝133a(位置決め部)が形成されている。
【0026】
枠体150は、平面視において略矩形板状の外形を有し、その一辺150aが上側腕部132と下側腕部133との間の空間に挿入される。挿入される部分の下面には、シャフト120の軸方向120cに沿う方向に直交する断面が半円状である突起部151(凸形状)が形成されている。この突起部151をV溝133aの内面に点接触させつつ、連結ネジ141を枠体150の上面の突起部151に対応する位置に押しつけることで枠体150と第1連結部材131を互いに結合させ、これにより枠体150とシャフト120とを互いに連結させる。
【0027】
第2連結部材136についても、第1連結部材131と同様の連結構造により、シャフト120と枠体150とを互いに連結させる。したがって、枠体150は、第1連結部材131と第2連結部材136によってシャフト120に正確に位置決めされて連結される。
【0028】
つづいて、あおり防止バネ160及び転動部材170を用いた、枠体150と基台101との連結構造について説明する。
図1に示すように、枠体150のシャフト120側の辺150aに対向する辺150bの長手方向(軸方向120cに沿った方向)の略中央には、シャフト120から離れる方向に延びる係止部152が設けられている。この係止部152には、あおり防止バネ160の一方の端部161が係止されている。あおり防止バネ160の他方の端部162は、基台101の係止部152に対向する位置に係止されている。
【0029】
また、枠体150の係止部152側の下面からは、基台101側へ延びるように支持部153が設けられている。基台101の上面には、支持部153の下端面に対応する位置に転動部材170が配置されている。この転動部材170は球状の部材であって、あおり防止バネ160の弾性力によって、基台101上に形成した案内溝部(不図示)の内面と当接し、枠体150の係止部152と基台101の間隔が一定に維持される。さらに、案内溝部は軸方向120cと平行に形成されており、転動部材170は、シャフト120の移動に伴って、案内溝部の内面と当接しつつ軸方向120cに平行に転動可能である。
【0030】
以上の構成により、枠体150は、第1連結部材131及び第2連結部材136のV溝と、転動部材170と、の3点で支持され、あおり防止バネ160の弾性力によって基台101との間隔を一定に維持したままシャフト120とともに移動可能である。
【0031】
[効果]
圧電素子110による付勢方向において2つの連結部材131、136によって枠体150の端部を挟み込むとともに、転動部材170と基台101との点接触によって枠体150が基台101に対して移動可能に当接しているため、連結部材131、136の枠体150と接触する点と点の平面度と枠体の平面度のギャップを吸収できる。特に、位置決め部に対応して設けられ、位置決め部が当接する部分の形状と、位置決め部の形状と、を半球状と溝状(凹形状)の組合せとすると、ギャップを吸収しやすい。したがって、超音波モータ機構の組立時において、シャフト120と枠体150とを、連結部材131、136によって連結しても、シャフト120及び枠体150が変形しない。したがって、シャフト120と枠体150の連結後の特性が安定し、連結前と後の特性劣化を減少させることができる。
【0032】
さらに、連結部材131、136とシャフト120との固定位置を、連結部材131、136とシャフト120のもつ固有振動節付近にし、且つ、シャフト120のもつ固有振動と平行になるように固定しているため、シャフト120から伝わる余分な振動が連結部材131、136に伝わりにくくなり、その結果、連結部材131、136及び枠体150が余計な振動をしないことから、異音などの発生が少ない。
【0033】
次に図7を参照して、第1実施形態の第1変形例について説明する。図7は、第1実施形態の第1変形例におけるシャフトと枠体との連結構造を示す側面図である。
第1変形例に係る超音波モータ機構は、第1実施形態に対して、シャフトと枠体との連結構造が異なる。その他の構成は第1実施形態に係る超音波モータ機構と同様であって、同じ部材については同じ参照符号を使用して詳細な説明は省略する。
【0034】
第1変形例は、第1実施形態の第1連結部材131及び第2連結部材136に対応する2つの連結部材を有する。これら2つの連結部材は互いに同様の構成を備えるため、ここでは、第1連結部材231についてのみ説明する。
【0035】
第1連結部材231は、互いに平行に延びる上側腕部232と下側腕部233を備え、側面視略コの字形状をなしている。上側腕部232と下側腕部233は、シャフト120の軸方向120cに直交し、かつ、基台101の上面に平行に延びるように設けられている。
シャフト120は、長手方向の一方の端部が、第1連結部材231内に設けた収容空間234に収容され、他方の端部が、第2連結部材の収容空間(不図示)に収容される。
【0036】
第1連結部材231の底壁231aには、圧電素子110による付勢方向と平行に延び、収容空間234へ貫通するネジ穴(不図示)が形成されており、このネジ穴に螺合した固定ネジ235の上側の端面がシャフト120の平面120aに当接する。固定ネジ235をさらに収容空間234内へ螺合すると、シャフト120の曲面120bが収容空間234の内面に当接し、これにより、シャフト120と第1連結部材231とが互いに固定される。
【0037】
第1連結部材231の上側腕部232には、連結ネジ141が上下方向に貫通している。また、下側腕部233の上面のうち、連結ネジ141に対応する位置に、上下方向に沿った断面が半円状の溝233a(位置決め部)が形成されている。
【0038】
枠体250は、平面視において略矩形板状の外形を有し、その一辺250aが上側腕部232と下側腕部233との間の空間に挿入される。挿入される部分の下面には下方に突出し、下端面が半球状の突起部251(凸形状)が形成されている。この突起部251を溝233aの内面に点接触させつつ、連結ネジ141を枠体250の上面の突起部251に対応する位置に押しつけることで枠体250と第1連結部材231を互いに結合させ、これにより枠体250とシャフト120とを互いに連結させる。
【0039】
第1変形例の超音波モータ機構においても、シャフト120と枠体150を変形させることなく互いに連結させることができ、これにより連結による特性の劣化を減少し、かつ、安定した駆動特性を得ることができる。
【0040】
次に図8を参照して、第1実施形態の第2変形例について説明する。図8は、第1実施形態の第2変形例におけるシャフトと枠体との連結構造を示す側面図である。
第2変形例に係る超音波モータ機構は、第1実施形態に対して、シャフトと枠体との連結構造が異なる。その他の構成は第1実施形態に係る超音波モータ機構と同様であって、同じ部材については同じ参照符号を使用して詳細な説明は省略する。
【0041】
第2変形例は、第1実施形態の第1連結部材131及び第2連結部材136に対応する2つの連結部材を有する。これら2つの連結部材は互いに同様の構成を備えるため、ここでは、第1連結部材331についてのみ説明する。
【0042】
第1連結部材331は、互いに平行に延びる上側腕部332と下側腕部333を備え、側面視略コの字形状をなしている。上側腕部332と下側腕部333は、シャフト120の軸方向120cに直交し、かつ、基台101の上面に平行に延びるように設けられている。
シャフト120は、長手方向の一方の端部が、第1連結部材331内に設けた収容空間334に収容され、他方の端部が、第2連結部材の収容空間(不図示)に収容される。
【0043】
第1連結部材331の底壁331aには、圧電素子110による付勢方向と平行に延び、収容空間334へ貫通するネジ穴(不図示)が形成されており、このネジ穴に螺合した固定ネジ335の上側の端面がシャフト120の平面120aに当接する。固定ネジ335をさらに収容空間334内へ螺合すると、シャフト120の曲面120bが収容空間334の内面に当接し、これにより、シャフト120と第1連結部材331とが互いに固定される。
【0044】
第2連結部材は、第1連結部材131と同様の構成を備え、固定ネジ335を収容空間334内へ螺合していくと、シャフト120の曲面120bが収容空間の内面に当接し、これにより、シャフト120と第2連結部材136とが互いに固定される。
【0045】
第1連結部材331の上側腕部332には、連結ネジ141が上下方向に貫通している。また、下側腕部333の上面のうち、連結ネジ141に対応する位置に、上下方向に沿う断面が半円状の凸形状である突起部333a(位置決め部)が形成されている。
【0046】
枠体350は、平面視において略矩形板状の外形を有し、その一辺350aが上側腕部332と下側腕部333との間の空間に挿入される。挿入される部分の下面には、上下方向に沿う断面がV字状のV溝351が形成されている。この突起部333aをV溝351の内面に点接触させつつ、連結ネジ141を枠体350の上面のV溝351に対応する位置に押しつけることで枠体350と第1連結部材331を互いに結合させ、これにより枠体350とシャフト120とを互いに連結させる。
【0047】
第2変形例の超音波モータ機構においても、シャフト120と枠体150を変形させることなく互いに連結させることができ、これにより連結による特性の劣化を減少し、かつ、安定した駆動特性を得ることができる。
【0048】
(第2実施形態)
図9は、本発明の第2実施形態に係る超音波モータ機構の構成を示す平面図である。図10は、図9のX方向から見た側面図である。図11は、図9のXI方向から見た側面図である。
第2実施形態に係る超音波モータ機構においては、2つの連結部材が枠体を挟み込む方向が、圧電素子110による付勢方向に対して直角である点が第1実施形態に係る超音波モータ機構と異なる。その他の構成は第1実施形態に係る超音波モータ機構と同様であって、同じ部材については同じ参照符号を使用し、詳細な説明は省略する。
【0049】
超音波モータ機構は、圧電素子110を有する超音波振動子と、超音波振動子との間の摩擦力により相対的に駆動される被駆動部材としてのシャフト120と、第1連結部材431及び第2連結部材436と、これらの連結部材と連結する枠体450と、超音波振動子をシャフト120に付勢する付勢部材としての押圧部材103と、シャフト120を移動可能に支持するベース部材124と、シャフト120をベース部材124に対して移動可能に支持する4つの転動部材122と、を備える。また、超音波モータ機構は、ベース部材124と結合して超音波振動子及び押圧部材103を内部に収容するケース部材102を備える。このケース部材102は、圧電素子110による付勢方向が水平方向に沿うように、支持板401の端部403に固定される。支持板401は、水平方向に配置した平板状の部材のシャフト120側の端部403を上向きに折り曲げた構造であり、ケース部材102は、端部403のシャフト120側の面に固定される。
【0050】
シャフト120の長手方向両端は、シャフト120の駆動変位を外部装置に伝達するための、第1連結部材431及び第2連結部材436にそれぞれ結合されている。第1連結部材431及び第2連結部材436は、第1連結部材431及び第2連結部材436とシャフト120のもつ固有振動節付近にし、且つ、シャフト120のもつ固有振動と平行になるように、ねじの端面にて固定されている。
【0051】
第1連結部材431は、互いに平行に延びる下側腕部432と上側腕部433(図11)を備え、側面視略コの字形状をなしている。下側腕部432と上側腕部433は、シャフト120の軸方向120cに直交し、かつ、枠体450の上面に平行に延びるように設けられている。第2連結部材436は、第1連結部材431と同様に、互いに平行に延びる上側腕部437(図9)と下側腕部(不図示)を備え、側面視略コの字形状をなしている。第2連結部材436の上側腕部437と下側腕部についても、シャフト120の軸方向120cに直交し、かつ、支持板401の上面に平行に延びるように設けられている。
【0052】
シャフト120は、第1実施形態と同様に、長手方向の一方の端部が、第1連結部材431内に設けた収容空間(不図示)に収容され、他方の端部が、第2連結部材436内の収容空間(不図示)に収容される。また、第2連結部材436も、第1連結部材431と同様の構成を備える。
【0053】
次に、第1連結部材431によるシャフト120と枠体450との連結構造について説明する。
図11に示すように、第1連結部材431の下側腕部432には、上側腕部433側へ突出する突起部441が設けられている。また、上側腕部433の下面のうち、突起部441に対応する位置に、上下方向に沿う断面がV字状のV溝433a(位置決め部)が形成されている。
【0054】
枠体450は、平面視において略矩形板状の外形を有し、その一辺450aが下側腕部432と上側腕部433との間の空間に挿入される。挿入される部分の上面には、上下方向に沿う断面が半円状である突起部451(凸形状)が形成されている。この突起部451をV溝433aの内面に点接触させつつ、突起部441を枠体450の下面の突起部451に対応する位置に押しつけることで枠体450と第1連結部材431を互いに結合させ、これにより枠体450とシャフト120とを互いに連結させる。
【0055】
第2連結部材436についても、第1連結部材431と同様の連結構造により、シャフト120と枠体450とを互いに連結させる。したがって、枠体450は、第1連結部材431と第2連結部材436によってシャフト120に正確に位置決めされて連結される。
【0056】
つづいて、あおり防止バネ160及び転動部材170を用いた、枠体450と支持板401との連結構造について説明する。
図11に示すように、支持板401のシャフト120から遠い辺401bの長手方向(軸方向120cに沿った方向)の略中央には、シャフト120から離れる方向に延びる係止部402が設けられている。この係止部402には、あおり防止バネ160の一方の端部161が係止されている。あおり防止バネ160の他方の端部162は、枠体450において係止部402に対向する位置に係止されている。
【0057】
また、枠体450のシャフト120から遠い側の上面からは、支持板401側へ延びるように支持部453が設けられている。支持板401の下面には、支持部453の上端面に対応する位置に転動部材170が配置されている。この転動部材170は球状の部材であって、あおり防止バネ160の弾性力によって、支持板401の下面に形成した案内溝部(不図示)の内面と当接し、枠体150の係止部152と基台101の間隔が一定に維持される。さらに、案内溝部は軸方向120cと平行に形成されており、転動部材170は、シャフト120の移動に伴って、案内溝部の内面と当接しつつ軸方向120cに平行に転動可能である。
【0058】
以上の構成により、枠体450は、第1連結部材431及び第2連結部材436のV溝と、転動部材170と、の3点で支持され、あおり防止バネ160の弾性力によって支持板401との間隔を一定に維持したままシャフト120とともに移動可能である。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上のように、本発明に係る超音波モータ機構は、被駆動部材と枠体を変形させることなく互いに連結させることが求められる駆動装置に有用である。
【符号の説明】
【0060】
101 基台
102 ケース部材
103 押圧部材
104 支持凸部
110 圧電素子
111 支持部材
112、113 駆動子
120 シャフト(被駆動部材)
120a 平面
120b 曲面
120c 軸方向
122 転動部材
124 ベース部材
131 第1連結部材
132 上側腕部
133 下側腕部
133a V溝(位置決め部)
134 収容空間
135 固定ネジ
136 第2連結部材
137 上側腕部
141 連結ネジ
150 枠体
151 突起部(凸形状)
152 係止部
153 支持部
160 あおり防止バネ
170 転動部材
231 第1連結部材
232 上側腕部
233 下側腕部
233a 溝(位置決め部)
234 収容空間
235 固定ネジ
250 枠体
251 突起部(凸形状)
331 第1連結部材
332 上側腕部
333 下側腕部
333a 突起部(位置決め部)
334 収容空間
335 固定ネジ
350 枠体
351 V溝(凹形状)
401 支持板
402 係止部
431 第1連結部材
432 下側腕部
433 上側腕部
433a V溝(位置決め部)
436 第2連結部材
437 上側腕部
441 突起部
450 枠体
451 突起部(凸形状)
453 支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子を有する超音波振動子と、
前記超音波振動子との間の摩擦力により相対的に駆動される被駆動部材と、
前記被駆動部材と連結する複数の連結部材と、
前記連結部材と連結する枠体と、
前記超音波振動子を前記被駆動体に付勢する付勢部材と、
前記被駆動部材を移動可能に支持するベース部材と、
前記被駆動部材を前記ベース部材に対して移動可能に支持する球状の転動部材と、
を少なくとも具備するリニア駆動型超音波モータにおいて、
前記複数の連結部材は、それぞれ前記枠体の位置を決める位置決め部を備え、前記枠体を挟み込むように点接触にて固定することができる形状となっていることを特徴とする超音波モータ機構。
【請求項2】
前記連結部材が枠体を挟み込む方向は、前記付勢方向に対し、直角又は平行であることを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ機構。
【請求項3】
前記連結部材の位置決め部は、V溝、半円形状の凹形状、又は凸形状であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超音波モータ機構。
【請求項4】
前記枠体は、前記位置決め部に対応する、凸形状又は凹形状を有していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の超音波モータ機構。
【請求項5】
前記連結部材と前記被駆動部材は、前記被駆動部材の屈曲振動の節付近で且つ、前記被駆動部材の屈曲振動と平行な方向又は直角な方向に、互いに固定されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の超音波モータ機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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